つくばFCが福山シティ撃破でラスト1試合残し首位に! 全4チームが勝ち点「3」の大混戦【Road to JFL/地域CL決勝ラウンド第2節】
2023.11.24 15:22 Fri
24日、全国地域サッカーチャンピオンズリーグ2023(地域CL)決勝ラウンド第2節のVONDS市原FCvs栃木シティFC、ジョイフル本田つくばFCvs福山シティFCが栃木県グリーンスタジアムで行われた。
◆順位表(第2節終了時点)
1.ジョイフル本田つくばFC | 勝ち点3|得失点差+1
---JFL自動昇格ライン---
2.栃木シティFC | 勝ち点3|得失点差±0
---入替戦進出ライン---
3.VONDS市原FC | 勝ち点3|得失点差±0
4.福山シティFC | 勝ち点3|得失点差-1
◆VONDS市原FC 0-1 栃木シティFC
【栃木C】
田中パウロ淳一(後37)
立ち上がりから一進一退の攻防が続くも、両軍とも決定機創出には至らず、V市原はDF有永一生の蹴るセットプレー、栃木CはFW田中パウロ淳一&FW藤原拓海のスピード豊かな両サイドハーフに先制点の糸口を探っていく。
15分過ぎから次第に栃木Cのワンサイドゲームと化すも、そこは関東1部18試合8失点という堅守軍団・V市原。ソリッドな[4-4-2]を“伝統”とするライトグリーンの雄は、集中力の高い守備でやり過ごしていく。
それでも栃木Cは25分、MF表原玄太の左サイドからのクロスに対し、初戦でバイシクル弾のFW平岡将豪がゴール正面からドンピシャヘッド。しかし、この日最初の決定機は、V市原のGK今川正樹に間一髪でセーブされる。
後半立ち上がりの50分には自陣からのカウンターで右サイドを崩し、最後はボックス手前からハーフタイム投入のFW伊藤恵亮が左足シュート。枠内へ飛ばしたが、決死のブロックでCKに逃げられる。
栃木Cに初戦同様、少しずつ焦りが見え始める一方、なかなか押し返せず、幾度となくバイタルエリアまで侵入されるV市原は悠然と時計の針を進めている印象。勿論、集中力の高さあってこそだが、確固たるプレー理念を感じさせる。彼らを打ち崩すのは容易ではない。
栃木Cはさらに71分、右CKの流れからDFカルロス・エドゥアルドが左足シュート。V市原のGK今川はクロス対応でゴールを空けていたが、しっかり枠内へ飛ばしたこの決定機も渾身のブロックで阻止される。
V市原は試合も終盤に差し掛かる75分に2枚替え。キャプテンのDF渡辺広大らを投入し、[4-4-2]から[5-4-1]へとシフト。テコ入れを施したなか、78分に栃木CのMF関野元弥が放ったシュートがクロスバーを直撃…肝を冷やす。
しかし、ほどなくしてV市原に悪夢。
80分、栃木Cは田中パウロが右サイドからドリブルで運び、ボックス内で倒されてPKを獲得。自らキッカーを務めた“元気印”田中パウロは左足で冷静にこれを沈め、押し込み続けた栃木Cがとうとう均衡を破ることに成功した。
結局、この1点が決勝点となり、栃木Cが0-1で勝利。今季の関東1部でvs栃木C2戦2勝だったV市原だが、地域CLでは1次ラウンドに続き、2試合連続で試合終盤のPKによる1点で敗れるということとなった。
◆ジョイフル本田つくばFC 2-0 福山シティFC
【つくば】
鈴木龍之介(前35、後27)
初戦で勝ち点「0」のつくばと「3」の福山。最初のチャンスは負ければ2連敗となるつくば。開始5分、自陣でのパウ交換から左ウイングバックのMF青木竣が抜け出し、ハーフウェイライン付近からボックス左まで独走する。しかし、渾身の左足シュートはゴール右へ外れる。
対する福山は選手どうしが頻繁にポジションチェンジしながら打開の糸口を探すが、[5-4-1]で用心深く様子をうかがうつくばの切り崩しに苦戦気味。ボール保持時の“食いつかせる”パスの効果が今ひとつと言ったところだ。
それでも福山はアイデアが豊富。19分、MF濱口草太が右サイド深くからのスローイン一発で最終ラインの背後を取り、ゴール前へクロス…FW高橋佳がフリーで放ったヘディングシュートはほんのわずかにゴール左へ外れた。
ただ、先制点はここまで劣勢のつくば。35分、ゴール正面ボックス手前から直接FKを得ると、キッカーMF鈴木龍之介のシュートがクロスバーを弾き、横っとびしていた福山のGK宮﨑浩太朗に当たってネットへ吸い込まれた。
つくばの先制点を皮切りに試合はオープンな展開へと移行。一歩前に出たつくば、追いかける立場となった福山、双方とも追加点、同点弾のチャンスが何度かあったが、モノにすることはできずにハーフタイムを迎える。
福山は後半頭からMF角田薫平を下げ、テクニカルなMF田口駿を投入。「第100回天皇杯得点王」という肩書きを持つ背番号20はインサイドハーフの一角からリズム良くパスを左右に散らす。田口がアクセントとなった福山は立ち上がりからつくば陣内へと押し込んでいく。
その田口は51分、前半つくばが先制FKを叩き込んだところとほぼ同じ位置からFKを直接狙うも、上手く落としきれずに同点ならず。地力で上回るのは福山だろうが、つくばにも意地がある。決勝ラウンドは共に今回が初進出だ。
時間の経過とともに激しくなってゆくデュエル…60分、福山はMF澤田健太がゴール正面ボックス手前から左足シュートを放つが、惜しくも枠外。華麗なムービングフットボールを展開する福山、美しいサックスブルーのユニフォームと相まって、鮮やかなほどに勝ち点3への執念を感じさせるつくば…JFL昇格を懸けた舞台に相応しい好ゲームだ。
待望の次の1点もつくばに。72分、なんと、前半FKを叩き込んだ鈴木がまたしても直接FK弾。今度はクロスバーの下部分に弾かれたシュートがそのままゴールラインを超えた。
結局、関東1部5位、10年ぶりの地域CL出場、決勝ラウンド初進出というつくばが鈴木のFK弾2発で福山を撃破。関東1部王者・VONDS市原、同2位・栃木シティらを抑え、ラスト1試合を残して首位に浮上した。
なお、この2試合の結果、第2節終了時点でJFL昇格が決まったチームも、望みが潰えたチームもなし。決勝ラウンド最終節は26日…全4チームが1勝1敗の勝ち点「3」…もはや説明不要、2023年の“地域リーグの世界”で最もアツい戦いが、間違いなく、そこにある。
◆決勝ラウンド第3節/11月26日(日)
[10:45] VONDS市原FC vs 福山シティFC
[13:00] ジョイフル本田つくばFC vs 栃木シティFC
PR
JFL昇格を目指す社会人の強豪が日本全国から集う地域CL。今年の決勝ラウンド初戦(22日)は関東1部王者のV市原がつくばに1-0と勝利し、中国リーグ王者の福山が栃木Cに2-1で勝利…という状況で第2節を迎えた。なお、JFLへの自動昇格は4チーム中1位の1チームのみで、2位はJFL最下位との入替戦へ進むことに。そんななか、第2節を終えた段階で確定事項は生まれず、4チームともJFLへの夢を第3節まで引き延ばすこととなった。1.ジョイフル本田つくばFC | 勝ち点3|得失点差+1
---JFL自動昇格ライン---
2.栃木シティFC | 勝ち点3|得失点差±0
---入替戦進出ライン---
3.VONDS市原FC | 勝ち点3|得失点差±0
4.福山シティFC | 勝ち点3|得失点差-1
◆VONDS市原FC 0-1 栃木シティFC
【栃木C】
田中パウロ淳一(後37)
初戦で勝ち点「3」のV市原と「0」の栃木C。今季の関東1部ではV市原の2戦2勝、地域CL1次ラウンドでは栃木Cが勝利というなか、栃木Cにとって敗戦は許されないという状況で今季4度目の顔合わせとなった。
立ち上がりから一進一退の攻防が続くも、両軍とも決定機創出には至らず、V市原はDF有永一生の蹴るセットプレー、栃木CはFW田中パウロ淳一&FW藤原拓海のスピード豊かな両サイドハーフに先制点の糸口を探っていく。
15分過ぎから次第に栃木Cのワンサイドゲームと化すも、そこは関東1部18試合8失点という堅守軍団・V市原。ソリッドな[4-4-2]を“伝統”とするライトグリーンの雄は、集中力の高い守備でやり過ごしていく。
それでも栃木Cは25分、MF表原玄太の左サイドからのクロスに対し、初戦でバイシクル弾のFW平岡将豪がゴール正面からドンピシャヘッド。しかし、この日最初の決定機は、V市原のGK今川正樹に間一髪でセーブされる。
後半立ち上がりの50分には自陣からのカウンターで右サイドを崩し、最後はボックス手前からハーフタイム投入のFW伊藤恵亮が左足シュート。枠内へ飛ばしたが、決死のブロックでCKに逃げられる。
栃木Cに初戦同様、少しずつ焦りが見え始める一方、なかなか押し返せず、幾度となくバイタルエリアまで侵入されるV市原は悠然と時計の針を進めている印象。勿論、集中力の高さあってこそだが、確固たるプレー理念を感じさせる。彼らを打ち崩すのは容易ではない。
栃木Cはさらに71分、右CKの流れからDFカルロス・エドゥアルドが左足シュート。V市原のGK今川はクロス対応でゴールを空けていたが、しっかり枠内へ飛ばしたこの決定機も渾身のブロックで阻止される。
V市原は試合も終盤に差し掛かる75分に2枚替え。キャプテンのDF渡辺広大らを投入し、[4-4-2]から[5-4-1]へとシフト。テコ入れを施したなか、78分に栃木CのMF関野元弥が放ったシュートがクロスバーを直撃…肝を冷やす。
しかし、ほどなくしてV市原に悪夢。
80分、栃木Cは田中パウロが右サイドからドリブルで運び、ボックス内で倒されてPKを獲得。自らキッカーを務めた“元気印”田中パウロは左足で冷静にこれを沈め、押し込み続けた栃木Cがとうとう均衡を破ることに成功した。
結局、この1点が決勝点となり、栃木Cが0-1で勝利。今季の関東1部でvs栃木C2戦2勝だったV市原だが、地域CLでは1次ラウンドに続き、2試合連続で試合終盤のPKによる1点で敗れるということとなった。
◆ジョイフル本田つくばFC 2-0 福山シティFC
【つくば】
鈴木龍之介(前35、後27)
初戦で勝ち点「0」のつくばと「3」の福山。最初のチャンスは負ければ2連敗となるつくば。開始5分、自陣でのパウ交換から左ウイングバックのMF青木竣が抜け出し、ハーフウェイライン付近からボックス左まで独走する。しかし、渾身の左足シュートはゴール右へ外れる。
対する福山は選手どうしが頻繁にポジションチェンジしながら打開の糸口を探すが、[5-4-1]で用心深く様子をうかがうつくばの切り崩しに苦戦気味。ボール保持時の“食いつかせる”パスの効果が今ひとつと言ったところだ。
それでも福山はアイデアが豊富。19分、MF濱口草太が右サイド深くからのスローイン一発で最終ラインの背後を取り、ゴール前へクロス…FW高橋佳がフリーで放ったヘディングシュートはほんのわずかにゴール左へ外れた。
ただ、先制点はここまで劣勢のつくば。35分、ゴール正面ボックス手前から直接FKを得ると、キッカーMF鈴木龍之介のシュートがクロスバーを弾き、横っとびしていた福山のGK宮﨑浩太朗に当たってネットへ吸い込まれた。
つくばの先制点を皮切りに試合はオープンな展開へと移行。一歩前に出たつくば、追いかける立場となった福山、双方とも追加点、同点弾のチャンスが何度かあったが、モノにすることはできずにハーフタイムを迎える。
福山は後半頭からMF角田薫平を下げ、テクニカルなMF田口駿を投入。「第100回天皇杯得点王」という肩書きを持つ背番号20はインサイドハーフの一角からリズム良くパスを左右に散らす。田口がアクセントとなった福山は立ち上がりからつくば陣内へと押し込んでいく。
その田口は51分、前半つくばが先制FKを叩き込んだところとほぼ同じ位置からFKを直接狙うも、上手く落としきれずに同点ならず。地力で上回るのは福山だろうが、つくばにも意地がある。決勝ラウンドは共に今回が初進出だ。
時間の経過とともに激しくなってゆくデュエル…60分、福山はMF澤田健太がゴール正面ボックス手前から左足シュートを放つが、惜しくも枠外。華麗なムービングフットボールを展開する福山、美しいサックスブルーのユニフォームと相まって、鮮やかなほどに勝ち点3への執念を感じさせるつくば…JFL昇格を懸けた舞台に相応しい好ゲームだ。
待望の次の1点もつくばに。72分、なんと、前半FKを叩き込んだ鈴木がまたしても直接FK弾。今度はクロスバーの下部分に弾かれたシュートがそのままゴールラインを超えた。
結局、関東1部5位、10年ぶりの地域CL出場、決勝ラウンド初進出というつくばが鈴木のFK弾2発で福山を撃破。関東1部王者・VONDS市原、同2位・栃木シティらを抑え、ラスト1試合を残して首位に浮上した。
なお、この2試合の結果、第2節終了時点でJFL昇格が決まったチームも、望みが潰えたチームもなし。決勝ラウンド最終節は26日…全4チームが1勝1敗の勝ち点「3」…もはや説明不要、2023年の“地域リーグの世界”で最もアツい戦いが、間違いなく、そこにある。
◆決勝ラウンド第3節/11月26日(日)
[10:45] VONDS市原FC vs 福山シティFC
[13:00] ジョイフル本田つくばFC vs 栃木シティFC
PR
田中パウロ淳一の関連記事
JFLの関連記事
記事をさがす
|
田中パウロ淳一の人気記事ランキング
1
【JFL表彰式】今季のMVPは吉田篤志! 栃木シティの初優勝&J3入会を支える…ベストイレブンは栃木C&高知で計8名
5日、第26回日本フットボールリーグ(JFL)の表彰式が開催され、2024シーズンの最優秀選手賞(MVP)には、優勝&J3リーグ入会の栃木シティからFW吉田篤志(25)が選出された。 MVP吉田は今季、栃木Cに2度目の加入を果たし、チーム最大の得点源として12ゴール。チームに勝ち点をもたらす決定的な得点が多かったのも特徴的で、見事、MVPに選出された。 得点王は沖縄SVのFW青戸翔(28)で15ゴール。今季J3宮崎から加入し、とりわけ後半戦14試合出場で10ゴールと得点を量産した。 新人王はソニー仙台FCの大卒ルーキーFW布方叶夢(22)。国士舘大学から加入した160cmドリブラーは全30試合出場で3得点6アシスト…名門ソニーのラスト1年を鮮やかに彩った。 ベストイレブンには吉田と青戸を含め、優勝した栃木Cから6名、準優勝した高知ユナイテッドSCから2名などが選出。 栃木CのFW田中パウロ淳一(31)は今季がキャリア初となるJFLだったが、キレキレのドリブルで相手チームの脅威に。また、高知のDF吉田知樹(26)は、今季のJFLフィールドプレーヤーで唯一、全30試合フルタイム出場を達成した。 ■チーム表彰 優勝:栃木シティ(初優勝) 準優勝:高知ユナイテッドSC 3位:FCティアモ枚方 フェアプレー賞:高知ユナイテッドSC 特別賞:ソニー仙台FC ■個人表彰 ▽最優秀選手賞(MVP) FW 吉田篤志 (栃木シティ) ▽得点王 FW 青戸翔(沖縄SV) 15ゴール ▽新人王 FW 布方叶夢(ソニー仙台FC) ▽優勝監督賞 今矢直城(栃木シティ) ▽優秀レフェリー賞 小林健太朗 ■ベストイレブン GK 相澤ピーターコアミ(栃木シティ) DF 吉田知樹(高知ユナイテッドSC) DF 池松大騎(Honda FC) DF 奥井諒(栃木シティ) DF 上月翔聖(高知ユナイテッドSC) MF 宇都木峻(栃木シティ) MF 関野元弥(栃木シティ) FW 田中パウロ淳一(栃木シティ) FW 青戸翔(沖縄SV) FW 吉田篤志(栃木シティ) FW 田村翔太(ヴィアティン三重) 2024.12.05 16:47 Thu2
“J3参入”栃木シティの分岐点は鈴鹿戦5失点大敗…元気印の田中パウロ淳一「疲れてたからと割り切ったのが正解だった」
来季から明治安田J3リーグの一員となる栃木シティ。攻撃の中枢、FW田中パウロ淳一が2024シーズンを振り返りつつ、今後へ抱負も。 昨季の栃木Cは関東1部2位、そして全国社会人サッカー選手権大会1回戦敗退ながら、百年構想枠で地域CLに出場し、見事に同大会優勝。勢いそのままに挑んだ今季のJFLも入会1年目にして初優勝を成し遂げ、J3切符を勝ち取った。 サッカーファンにお馴染みの田中パウロは、昨季から栃木C入りし、チャンスメイクと崩しを担う攻撃の核として、今季はキャリア初のJFLでも大ハッスル。見事、5日開催のJFL表彰式でベストイレブン受賞が発表された。 最終的には今季のJFLで圧倒的に強かったと言える栃木Cだが、田中パウロは1年を回想し、必ずしも順調ではなかった時期もあると話す。 「昇格組としてJFLに上がったなか、他のチームの方々に胸を借りつつも優勝を目指す…という決意で臨みました。ずっと首位だったわけじゃなく、シーズン途中には(気持ちが)落ちそうになった時期もあったんですが、チーム全員で励まし合った結果が、優勝なんだと思います」 後半戦を無敗で駆け抜けた栃木Cの“最後の敗戦”は6月15日、第12節のアトレチコ鈴鹿戦(A)。敵地で1-5と大敗を喫している。 「あの時は確かに大変な空気でしたね(笑)」 「だけど、天皇杯を挟んだ3連戦(のラスト)ということもあって、みんなに疲れがあったし、そういうことだとして割り切りました。もう、『疲れてたから仕方ない』という解釈にしてしまおうと。そうやって処理できたことが、そこからの負けなしに繋がったと思います」 JFLを1年で卒業する栃木C。頼れる男、田中パウロに来季への意気込みを尋ねてみた。 「応援してくださる方々の夢を背負っているわけですし、地域リーグやJFLを代表してJ3に上がるという側面もある。J3でも優勝なり、さらに上を目指して戦うことが、地域リーグやJFLの選手、またファンの方々に希望を与えることになります。そんな姿を見せたいですね」 2024.12.08 14:54 Sun3
栃木シティがJFL昇格へ! 関東1部2位、全社1回戦敗退…百年構想枠から地域CL優勝【Road to JFL/地域CL決勝ラウンド最終節】
26日、全国地域サッカーチャンピオンズリーグ2023(地域CL)決勝ラウンド第3節のVONDS市原vs福山シティFC、ジョイフル本田つくばFCvs栃木シティが栃木県グリーンスタジアムで行われ、優勝を決めた栃木CがJFL昇格の権利を獲得(※1)した。 JFL昇格を目指す社会人の強豪が日本全国から集う地域CL。今年の決勝ラウンドは栃木県開催というなか、そこに対して“ホーム”栃木Cを含む関東サッカーリーグ1部勢が4チーム中3チームを占めることとなった。 また、第2節終了時点では、全4チームが1勝1敗の勝ち点「3」で並び、第3節の2試合を終えるまでJFL昇格の権利を獲得(地域CL優勝)するチームが決まらないという大会史上初の事態に。最終的に大激戦を制したのは“ホーム”栃木Cだった。 ◆決勝ラウンド順位表(全日程終了) 1.栃木シティFC|勝ち点6|得失点差+4 ---JFL昇格権利獲得--- 2.VONDS市原FC|勝ち点6|得失点差+2(※2) —入替戦進出--- 3.ジョイフル本田つくばFC|勝ち点3|得失点差-3 4.福山シティFC|勝ち点3|得失点差-3 (※1)12月5日のJFL理事会にて正式決定 (※2)入替戦は沖縄SVとの対戦に。12月2日or3日に沖縄側が指定する会場にて一発勝負で開催される ◆VONDS市原FC 2-0 福山シティFC 【V市原】 谷尾昂也(後42) 清原翔平(後45+3) 第2節終了時点で3位のV市原、4位の福山。両チームが最低でも入替戦進出ラインの2位を確保するには、ともに敗戦は許されず、福山は勝利が絶対という状況。第2試合の[つくばvs栃木C]にプレッシャーをかけておく上でも、どちらも是が非でも勝ち点「3」がほしい。 V市原は20分、決勝ラウンド初先発のMF沼大希が接触プレーで痛めて途中交代。対する福山は中盤の底でプレーする地元・福山市出身のMF曽我大地がV市原の2トップに警戒されており、なかなか前を向いてボールを持てない。 立ち上がりに攻勢をかけたのはV市原だが、ほどなくして福山も押し返し、一進一退の攻防が続いていく。どちらもゴール前へボールを運び、チャンスも迎えるが、V市原はGK今川正樹、福山はGK菊地大輝…互いに守護神が決定的なピンチをセーブする。緊張感漂う好ゲームだ。 引き分け以下で決勝ラウンド3位以下が確定、中国リーグ残留となる福山は55分に2枚替え。FW若宮健人とMF田口駿を投入し打開を図る。田口は58分、ゴール正面左寄りの絶好の位置から直接FKを狙うが、シュートは枠外へ。 62分にはロングボールからMF濱口草太が抜け出し、ボックス右から右足を一閃も、渾身のシュートはゴール左へ…68分にはペナルティアーク内で左サイドからパスを受けた田口が右足ダイレクトシュートも、今度はクロスバー上へ。押し込む福山だが、シュートが枠へ飛ばない。 試合も終盤に差し掛かる74分、V市原も2枚替え。2トップの一角に巧みなポストプレーが光るFW谷尾昂也、サイドには36歳となった“ジョーカー”MF清原翔平を配置。V市原は引き分け以上でJFLへの望みがつながるが、当然ながら勝ちに行く采配だ。 すると87分、VONDSは右サイドからのFKをボックス左でFW濱野雄太が折り返し、これをゴール正面で谷尾が強引に詰め込む。とうとう均衡を破ったのは関東サッカーリーグ1部王者のV市原だ。 これで2点が必要となった福山。強引にでもこじ開けようと前線に人数をかけるが、なかなか噛み合わず、V市原にカウンターを浴び、後半アディショナルタイムに左CKを与えてしまう。 V市原がこのチャンスを活かす。90+3分、左CKに頭から飛び込んだのは36歳清原。Jリーグ経験も非常に豊富な精神的支柱が、勝ち点「3」を決定づける貴重な追加点をもたらした。 結局、2-0と勝利したV市原が2勝1敗の勝ち点「6」で、この時点で決勝ラウンド首位に。敗れた福山は3位以下が確定し、2024シーズンも中国リーグで戦うこととなった。V市原は、あとは[つくばvs栃木C]の結果を待つのみ… ◆ジョイフル本田つくばFC 0-4 栃木シティFC 【栃木C】 表原玄太(前18、後10) 山村佑樹(後1、後45+1) 第1試合[V市原 2-0 福山]の直後に激突したつくば&栃木C。今季の関東1部では1勝1敗という両チームだが、つくばは[1-0以外での勝利]なら1位でJFL自動昇格、[引き分けor1-0勝利]で2位確定&V市原のJFL自動昇格が確定、という状況だ。 対する栃木Cは現状3位のため、まずは勝利が絶対。JFL自動昇格には[2点差以上での勝利]が求められるという厳しい状況だ。 そんななか、立ち上がりから試合が動いていく。勝つしかない栃木Cは15分、崩しの切り札であるFW田中パウロ淳一が足を痛めていきなり途中交代。それでも18分、敵陣でのボール奪取からショートカウンターを仕掛け、最後はMF表原玄太が右足ミドルを叩き込んで先制する。 押し返したいのはつくばだが、自陣でのミスも多く、もう1点がほしい栃木Cに押し込まれる展開。攻撃に転じる場面がないわけではないが、セカンドボールを拾えず単発に終わることが多い。まずは同点といきたいが、前半終盤にかけて相次いで得たCKはいずれもゴールに繋がらなかった。 すると、後半開始35秒で栃木Cが待望の追加点。46分、敵陣深くで表原がDFからボールを奪うと、ゴール前に入れたラストパスはつくばGK阿久津大輝がまさかの後逸…待ち構えた栃木CのFW山村佑樹が冷静に流し込んだ。 さらに55分、またしても敵陣でのボール奪取から速攻に転じると、最後はボックス手前から表原が右足ミドルを選択。丁寧かつ強烈な一撃がゴール右上を突き刺し、“ホーム”栃木Cのリードは3点となった。 結局、大声援に後押しされた栃木Cは終了間際にも1点を追加し、4-0とつくばを撃破。昨年の地域CL決勝ラウンド最終節ではブリオベッカ浦安に敗れて敗退した彼らだが、1年後に見事、逆転で地域CL優勝を成し遂げ、JFL昇格の権利を掴むこととなった。 なお、これにより、入替戦にはVONDS市原FCが進むこととなった。 栃木シティFCは“栃木ウーヴァFC”時代以来、7年ぶりのJFL復帰ということに。サポーターの皆様、おめでとうございます! 2023.11.26 15:36 Sun4
JFLの7クラブがJ3ライセンス申請を発表…高知、栃木C、V三重、滋賀、V大分、青森、新宿の戦況まとめ
6月30日〜7月1日にかけ、日本フットボールリーグ(JFL)の7クラブが「J3クラブライセンス」取得に向けた申請を行ったと発表した。ここでは7クラブの戦いぶりをまとめる。 ★首位・高知ユナイテッドSC 2位と勝ち点「10」差で首位を独走する高知。開幕7連勝から2連敗を喫すも、そこから5連勝と再び勢いが加速し、高知県勢初のJリーグ参入へ一歩一歩近づいている。 “ホームゲーム平均観客動員2000人”をクリアできるかどうかが重要となりそうだが、今回は各クラブの戦いぶりにフォーカス。高知は昨年ガンバ大阪をも沈めた「爆速カウンター」に磨きがかかり、一方では遅攻も苦にしない。 また、途中出場選手の活躍が顕著。チーム最多6得点を叩き出すFW小林心はうち5得点が途中投入後のゴールで、全「26」得点中「8」得点が途中出場選手のゴールとなっている。 直近3試合の決勝点は、いずれも途中出場選手がお膳立て。第12節・第13節・第14節と、途中出場したMF金原朝陽の左足クロスから試合を決める1点が生まれている。 高知は14試合でリーグ2位の「26」得点と、リーグ最少の「8」失点。2連勝さえ難しい他クラブを尻目に、7連勝・5連勝と順調に勝ち点を稼いでいる。2位と勝ち点10差は必然か。 ★2位・栃木シティ 栃木Cは昨季関東サッカーリーグ1部2位、全国社会人サッカー選手権大会1回戦敗退。しかし、辛うじて残していた“百年構想枠”で地域CLに出場し、同大会優勝そしてJFL昇格だ。 迎えた今季は、昇格組ながらも8勝2分け4敗の2位。リーグ最多の「27」得点を叩き出し、今季ヴィアティン三重から復帰したエース、FW吉田篤志は9得点をマークする。 ミッドウィークに天皇杯2回戦を挟んだ第12節・アトレチコ鈴鹿戦(6月15日)で1-5の大敗があったが、”事故”だった感があり、そこからソニー仙台、Honda FC相手に2連勝中だ。 攻守にタレントを揃えるなか、スピード豊かなFW田中パウロ淳一、FW藤原拓海が相手守備陣の脅威となり、最前線には9得点吉田。このトリデンテ“TYF”(仮)は観ていてワクワクする。 ★4位・ヴィアティン三重 三重県勢初のJリーグ参入へ、県内クラブで最も近い位置にいると言ってよいであろうV三重。過去7年のJFLで上位フィニッシュが一度もないが、今季ここまでは4位につける。 16チーム中4位につけても、なかなか連勝街道を作れないのが現JFLの厳しさであり、V三重も第2〜3節以外に連勝なし。首位高知を除いた2位以下は団子状態が続いている。 それでもV三重は、直近の第14節で2位・FCティアモ枚方とのアウェイゲームに勝利。次節は最下位・ミネベアミツミFCとのホームゲームであり、ここで今季2度目の2連勝がマストだ。 また、ミネベア戦の次は首位高知とのホームゲーム。まさにここが2024年夏の正念場であり、ここで3連勝を達成なら、クラブ関係者もファンも自信を深めるはずだ。 ★6位・レイラック滋賀 こちらは滋賀県勢初のJリーグ参入へ、J経験者を中心に空前の大型補強を敢行し、今季を迎えた滋賀。しかし、6勝3分け5敗の6位と、今のところ順調とは言えない状況だ。 前述の通り2位以下は団子状態で、悲観するべき点は何もないわけだが、滋賀については決め手を欠く戦いが長引いていると言うべきか。 リーグで3番目に少ない「12」失点の一方、得点も「19」。こちらも2連勝は今季1度しかなく、アウェイ戦6試合は1勝2分け3敗。唯一のアウェイ戦勝利が首位高知戦となっている。 J参入を目指すどのクラブにも当てはまるが、やはりそろそろギアを上げて連勝街道を作り、2位以内確保へ足場を固めたいところ。「下位相手の取りこぼし」を許されない時期が近づいている。滋賀の戦力はJFL随一なのだから。 ★7位・ヴェルスパ大分 新型コロナ流行に伴う半期開催のJFL2020で王者となったV大分。翌21年も3位と上位に進出したが、22年は8位、23年は6位と、近年はもうひとつ上位へ食い込めずにいる。 今季は開幕4試合未勝利に始まり、第5節で滋賀、第8節で首位高知に勝利。滋賀戦以降、派手な戦い方はしないが、堅実に勝ち点を稼いできた印象があり、試合終盤の同点ゴールで「1」を拾う試合も複数ある。 それだけに筆者は、第13節・ラインメール青森戦の0-4大敗に驚いた。セットプレーから3発を喰らったこともあるが、こと今季については「大崩れしない」と感じていたためだ。 ともあれ、第14節・横河武蔵野FC戦で勝利し、敗戦の払拭に成功。6日の第15節は2位・栃木シティとのアウェイゲーム…V大分にとって今節はビッグマッチとなるはずだ。 ★8位・ラインメール青森 ヴァンラーレ八戸に続く青森県勢2番目のJリーグ参入を目指す青森。柴田峡監督が率い、ソリッドな[4-4-2]をベースとする堅守軍団だ。 その堅守は昨季から不変も、序盤戦ではなかなかゴールが奪えず、下位に低迷。連勝街道はおろか、目の前の勝ち点「3」を掴めぬ試合が続き、開幕9試合で1勝にとどまった。 それでも継続は力なりと言うべきか、ドローも多いとはいえ、第6節から8戦無敗に。「負けないこと」を持ち味に順位もみるみる上昇し、第13節でV大分に4-0と大勝した。 ただし、直近の第14節は滋賀に敗れ、4月以来となる黒星に。第15節・枚方戦からは3試合連続ホームゲームであり、ここで勝ち点「9」、最低でも「6」もしくは「7」が欲しいところだ。 ★15位・クリアソン新宿 こちらはJ3ライセンスを申請も厳しい戦いが続く新宿。このまま15位でフィニッシュなら、待っているのは地域リーグ側との入替戦(※1)だ。 (※1)詳細はJFL公式サイトを参照 北嶋秀朗新監督のもと、まず第1節で昨季最下位の沖縄SVに0-4大敗。面食らったチームは第2節もV三重に0-4で敗れ、開幕4戦未勝利&無得点という痛恨のスタートダッシュだった。 直近の第14節・FCマルヤス岡崎戦(1△1)は、今季ここまでの戦いぶりが凝縮された90分間。執念の90分同点弾で辛うじてドローも、攻撃の“型”がなく、前がかりになったときのリスク管理も脆弱さを垣間見せた。 リーグ最少の「9」得点と、リーグで2番目に多い「24」失点。第14節では最下位ミネベアが勝ち点「3」を積んだなか、目下4戦未勝利の新宿は、今週末の最下位転落もあり得る状況だ。 2024.07.03 17:00 Wed5