【日本代表コラム】今見たい! EAFF E-1サッカー選手権に呼んで欲しい国内組日本代表23名を選出

2017.11.25 20:00 Sat
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▽日本代表にとって、2017年の最終戦となるEAFF E-1サッカー選手権2017。ロシア・ワールドカップに出場する日本代表にとっては、貴重なテストの場であり、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督にとっては新戦力発掘の場となる。

▽今大会は、中国、韓国、北朝鮮と東アジアの3カ国と対戦するが、日程の関係により海外組を招集することはできない。国内組で編成される今回の日本代表。29日にそのメンバーが発表されるが、その前にJリーグでのプレーを参考に23名をポジション別に選出してみた。

▽なお、浦和レッズがAFCチャンピオンズリーグで優勝した場合、同時期にUAEで開催されるクラブ・ワールドカップに出場するため、浦和の選手は選外としている。

GK
東口順昭(ガンバ大阪/31)
権田修一(サガン鳥栖/28)
中村航輔(柏レイソル/22)
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▽まずは守護神だ。東口順昭、権田修一、中村航輔の3名を選出した。日本代表にも招集され続けている東口、11月の欧州遠征からは外れたがそれまで呼ばれていた中村は順当だろう。中村に関しては、日本代表でもプレーを見たいところだ。

▽そして本来であれば、西川周作(浦和レッズ)が入ると考えられるが、前述の通り選外とし、アルベルト・ザッケローニ監督の下では日本代表に選出され続けていた権田を呼んでもらいたい。鳥栖に復帰した今シーズンは、幾度となくチームを救うプレーを見せ、ショットストップは衰えていないはずだ。

DF
松原健(横浜F・マリノス/24)
小池龍太(柏レイソル/22)
車屋紳太郎(川崎フロンターレ/25)
吉田豊(サガン鳥栖/27)
昌子源(鹿島アントラーズ/24)
植田直通(鹿島アントラーズ/23)
三浦弦太(ガンバ大阪/22)
中谷進之介(柏レイソル/21)
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▽続いてDF陣。サイドバックは左右で2名ずつを呼んでもらいたい。右サイドバックには松原健、小池龍太、左サイドバックには車屋紳太郎、そして吉田豊を推薦したい。

▽松原は今シーズンから横浜FMでプレーし、リーグ戦25試合に出場。シーズンが進むにつれて守備面での改善も見られ、スプリントも問題ない。また、今シーズンから柏でプレーする小池も気になる存在だ。ポジション取り、オーバーラップのタイミング、そしてクロスと攻撃センスは抜群。守備面でも対峙するサイドアタッカーを封じる試合も多く、初のJ1挑戦にして結果を残している。

▽また、左サイドバックには10月、11月と日本代表に招集されている車屋、そして豊富な運動量と不屈のメンタルを持つ吉田を推したい。車屋は長友佑都(インテル)の控えとして計算されており、このタイミングで国際舞台での経験値を積みたいところだ。そして吉田は、長友と同タイプのサイドバックとして計算が立つ。攻撃センスも申し分なく、鳥栖で見せているプレーを代表で見せて欲しい。

▽その他、サイドバックの候補としてはリオ五輪代表の室屋成(FC東京/23)、U-20W杯に出場した20歳の初瀬亮(ガンバ大阪)といった両サイドができる若手もいる。初瀬は両足で蹴ることができ、G大阪ではキッカーも務めるほどの精度を誇っている。室屋も一列前での起用が可能で、スプリント力とスタミナは示している。代表入りの可能性もゼロではないだろう。
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▽センターバックは、日本代表に招集されている昌子源、植田直通、三浦弦太の3枚に加え、新戦力として中谷進之介を推したい。昌子、植田、三浦の3選手は、本大会のメンバー入りをかけた大事な大会となるだろう。槙野智章(浦和レッズ)が2番手に浮上してきた中、ここでアピールをしっかりしたいところだ。

▽これまで招集歴がないところでは、中谷を推薦したい。柏で最終ラインを統率し、20歳の中山雄太をリードしている。吉田麻也(サウサンプトン)という絶対的な存在がいる現状、相棒として組めば、中谷のコントロール能力とカバー能力は日本代表でも生かされるはずだ。中山は左利きという利点もあったが、個人的に中谷を推したい。

▽その他、左足の高精度キックを持つ福森晃斗(北海道コンサドーレ札幌/24)、右サイドバックとしても計算が立ち、“デュエル”の強さを持つ高橋祥平(ジュビロ磐田/26)、そして高橋と同じ磐田で出色のパフォーマンスを見せている大井健太郎(33)も気になる存在だ。

MF
山口蛍(セレッソ大阪/27)
三竿健斗(鹿島アントラーズ/21)
井手口陽介(ガンバ大阪/21)
倉田秋(ガンバ大阪/28)
原川力(サガン鳥栖/24)
清武弘嗣(セレッソ大阪/28)
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▽続いて中盤。現状の日本代表のシステムを考え、アンカーとインサイドハーフ2枚という観点で選出した。アンカーとしては山口蛍と三竿健斗の2名を選出した。

▽山口はすでにその能力も計られており、あえて招集しないという選択肢もあるかもしれない。しかし、チームを作ることを考えれば、長谷部誠(フランクフルト)の代わりにアンカーを務める可能性もある山口は外せないだろう。チームの軸として、今大会を過ごして欲しい。

▽そして、もう1人が昨シーズンから鹿島でプレーする三竿だ。東京ヴェルディユース出身の三竿は、今シーズン途中からダブルボランチの一角としてプレー。大岩剛監督は、三竿を軸にレオ・シルバ、小笠原満男、永木亮太を使い分けている状況だ。まだ21歳と将来性も高く、“デュエル”の強さはある。攻撃面での迫力不足はあるが、アンカーとしての働きはU-23日本代表でも見せていただけに、このタイミングで招集してみるのもプラスと考えた。

▽その他、アンカー候補には堀孝史監督就任後に本領を発揮し始めている青木拓矢(浦和レッズ)なども挙げたいところ。クラブ・ワールドカップに出場しないとなれば、ぜひ呼んでもらいたい選手の1人だ。
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▽インサイドハーフには井手口陽介、倉田秋のガンバコンビに、清武弘嗣、原川力を選出した。井手口、倉田は言うまでもなく、日本代表としての経験を積ませたいところ。よりチームの中心となってプレーすることで、1ランクアップを目指したい。

▽そして、ケガで長らく日本代表から遠ざかっていた清武の復帰を希望したい。ゲームを作れ、流れを変えられる清武。C大阪での最近のプレーを見ると、本来のパフォーマンスを取り戻していることが見て取れる。元海外組として、今大会の中心となる活躍を期待したい。

▽さらに、リオ五輪代表では主力だった原川を呼んでもらいたい。今シーズンは鳥栖でプレーする原川だが、走力がついただけでなく、攻撃センス、流れの中での組み立ての参加など、試合を積むことで伸びている印象だ。さらに、プレースキックの精度も抜群。直接FKで3ゴールを挙げており、ハリルホジッチ監督が苦言を呈する「FKからのゴール」も久々に誕生する可能性は高い。

▽その他には、左利きのゲームメーカーである天野純(横浜F・マリノス)や運動量、カバーリング、攻撃参加と持ち味はハリルホジッチ監督好みの福田晃斗(サガン鳥栖)、福田よりもより攻撃面での違いが出せ、ボック・トゥ・ボックスのプレーが可能な川辺駿(ジュビロ磐田)も見てみたい選手だ。

FW
杉本健勇(セレッソ大阪/25)
都倉賢(北海道コンサドーレ札幌/31)
伊東純也(柏レイソル/24)
遠藤康(鹿島アントラーズ/29)
金崎夢生(鹿島アントラーズ/28)
江坂任(大宮アルディージャ/25)
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▽最後は前線だ。センターフォワードには杉本健勇と都倉賢を推したい。センターフォワードには強さ、高さ、ゴールに向かう意識を考え2人を選出した。

▽杉本は今シーズンのJ1で得点王を争っており、日本代表としても経験を積んでいる。今大会でよりその得点力に磨きをかけてもらいたい。そして都倉も同様だ。身体の強さはもちろんのこと、想像を超えたシュートを放つことはチームでも見せているもの。日本人離れしたスケールを感じる。同じ左利きという点では川又堅碁(ジュビロ磐田/28)も考えられるが、よりチームに入り込めそうな都倉を推したい。
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▽そして右ウイングには、快足で相手DFを翻弄する伊東純也、そして日本人らしからぬプレーが持ち味の遠藤康を推したい。伊東のスピードは言わずもがな。シュート精度も悪くなく、仕掛けのタイミングも良いものを持っている。そして遠藤。まるで南米の選手かと思わせるようなテクニック、そしてアイデアはJリーグの中でも随一。左利きという点もあり、日本代表に入ることでどのような化学反応を見せてくれるのかが気になる。南米やアフリカに弱い日本だが、遠藤のイマジネーションがあれば相手を翻弄することも可能だろう。
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▽左ウイングに推したい金崎夢生は、ゴールへの執着心、そして前線でタメを作ることができるタフさだ。センターフォワードとしても計算が可能で、泥臭くボールを追いかけ、ゴールを奪う姿勢はこのタイミングでもう1度見たいところだ。もう1人の江坂任は、卓越した運動能力の高さに期待したい。175cmと上背はないものの、跳躍力に秀でており、ヘディングで合わせる能力が高い。ラインの裏に抜ける動きもでき、サイドハーフながらもゴールが狙え、ゲームメイクも大宮では見せている。より得点を獲ることに集中できれば、大化けする可能性も秘めており、似たタイプとしては小林悠(川崎フロンターレ)か。今シーズンゴールを量産している小林も候補には入るだろう。

▽今回は23名に絞り、さらに浦和の選手は除いた中でメンバーを選考した。現時点ですでに日本代表のベースは作られており、より上の相手と対戦した時に戦える、通用する可能性がある選手を見出したいはずだ。Jリーグで気になった選手を実際に手元に置くことで、直接判断が下される今大会。選出される選手は、最後のチャンスだと考え、持っているものを全て出して欲しい。日本代表のメンバー発表は、29日に行われる。
《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》


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“和”を重んじる森保采配も、状況を打破した三笘薫の“個”、2連勝は評価も打開策のない采配の未来は/日本代表コラム

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十分戦える11人は揃っている! 緊急事態に見舞われた日本、同じ轍を踏まないための森保一監督の決断は!?/日本代表コラム

7大会連続7度目のワールドカップ(W杯)出場を目指しながらも、苦しい状況に立たされている日本代表。11月はアウェイでの2連戦となり、ベトナム代表、オマーン代表と戦う。 カタールW杯に向けたアジア最終予選では、4試合を戦い2勝2敗と苦しい状況。いつになく追い込まれている日本は、この11月のアウェイ2連戦で連勝を目指す必要がある。 ベトナムはここまで4連敗の最下位、オマーンは2勝2敗だが、総得点で日本を上回っている状況。この2連戦は落とすわけにはいかないのだ。 さらに、コロナ禍の影響、そしてクラブチームの試合日程の影響で、選手たちは3グループに分かれてベトナムへ入国。7日に5名、8日に12名が入国を済ませており、残すはヨーロッパ組の11名だったが、思わぬアクシデントに見舞われた。 ロシアからのチャーター機でベトナム入りする予定で、9日の午前中には到着する予定だった。しかし、ロシアで足止めを食らった結果、9日の夜に合流する予定に。そのためトレーニングができず、試合前日の10日の1日で調整し、ぶっつけ本番状態になることが確定してしまった。 2連勝を目指す中で、まさかの事態に。さらに主軸の多くが含まれている11名がぶっつけ本番になることは、森保一監督も想定していなかったはずだ。しかし、アウェイ2連戦に向けてしっかりと考えて選手を招集していたことが、ここで生きてくる可能性がある。 今回の2試合には、通常よりもかなり多い28名の選手を招集。GKが3名、FP(フィールドプレーヤー)が25名という内訳だ。これはコロナ禍において、選手を追加招集することが簡単ではないため、多めに選手を集めていたことだが、今回の不測の事態でも奏功することとなるかもしれない。 この28名においては、Jリーグ組も多く選出されている。そもそも、ベトナムは日本から時差が2時間であり、ヨーロッパ組よりは国内組の方が移動に負担がない状況。その点も考慮していただろう。 また、9月、10月と2連戦の初戦をどちらも落としていることから、コンディションを整えやすい状況を考えたとも言える。それが、この緊急事態でも生きる可能性が高いのだ。 チャーター機組はそもそも過酷な日程だったが、さらに過酷さが増したこともあり、コンディションが良いとは決して言えないだろう。ましてや、前日のトレーニングのみでの試合となれば、想像していないことも起こり、時差の調整やヨーロッパや日本よりも暑く、湿度の高い気候に適応する時間もない。この2カ月と同じ轍を踏む可能性も十分に考えられてしまう。 それであれば、腹を括ってすでにベトナム入りしている17名で臨むことはできないのか。実際にシミュレーションしてみた。 現時点でベトナム入りし、トレーニングを行えているメンバーは以下の通りだ。 GK:権田修一(清水エスパルス)、谷晃生(湘南ベルマーレ) DF:長友佑都(FC東京)、谷口彰悟(川崎フロンターレ)、山根視来(川崎フロンターレ)、旗手怜央(川崎フロンターレ)、酒井宏樹(浦和レッズ)、中山雄太(ズヴォレ)、室屋成(ハノーファー) MF:柴崎岳(レガネス)、田中碧(デュッセルドルフ)、遠藤航(シュツットガルト)、三笘薫(ユニオン・サン=ジロワーズ) FW:大迫勇也(ヴィッセル神戸)、前田大然(横浜F・マリノス)、上田綺世(鹿島アントラーズ)、浅野拓磨(ボーフム) コンディションがそれぞれどのような状態かはわからないが、全てを無視してスターティングメンバーを考えてみると、何も問題を感じない。 オーストラリア代表戦で一定の結果を残した[4-3-3]をベースに考えてみれば、GKは正守護神である権田がいる。さらに最終ラインも、酒井と長友のサイドバックのレギュラーがいる状況。中盤も軸となっている遠藤、そしてオーストラリア戦でデビューした田中がいる状況。十分な経験のある柴崎もいる。3トップもエースの大迫がおり、オーストラリア戦で決勝のオウンゴールを呼んだ浅野もいる状況だ。 経験値という点で言えば、センターバックと前線のサイドが不安だが、谷口はJリーグでも十分な実績があり、東京五輪を経験している中山もセンターバックは可能だ。また、酒井がセンターバックに入れば、右サイドバックには室屋も山根もいる状況だ。 前線を見ても、ベルギーで活躍している三笘、Jリーグでゴールを量産している前田も横浜FMでは左右のウイングがスタートポジションだから問題はないだろう。 ベストメンバーというものを何をもって考えるかではあるが、十分に問題ないメンバーが現時点で揃っている。もちろん、キャプテンであり経験が十分な吉田麻也(サンプドリア)や最終ラインの軸である冨安健洋(アーセナル)が居ないし、オーストラリア戦でも出色の出来を見せていた右ウイングの伊東純也(ヘンク)やセルティックでゴールを量産している古橋亨梧が居ない事は不安材料かもしれない。 しかし、長距離移動を終え、暑熱対策もままならず、前日練習のみの調整となるチャーター機組を使うことが果たしてベストなのか。選手のコンディションが大きく関わってくるが、本当の意味での“ベスト”なメンバーを森保監督には選択してもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 <span class="paragraph-title">【画像】スタメン提案! 現地入り済みの17名でも十分なメンバーは組める</span> <span data-other-div="movie"></span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2021/get20211109_29_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">©︎JFA<hr></div> 2021.11.09 20:45 Tue
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日本の強みを引き出したシステム変更、田中碧が生み出したピッチ上の流れ/日本代表コラム

「日本サッカーの進退がかかっていた試合でもあるので、本当にこの試合が終わって引退してもいいやと思えるぐらい、後悔のない試合をしたいと思っていた」 試合後にこう語ったのは、崖っぷちの日本代表を窮地から救うパフォーマンスを見せたMF田中碧(デュッセルドルフ)だった。 23歳の新鋭、日本代表として3試合目の出場は、自身初となるワールドカップ(W杯)アジア最終予選だった。しかも、チームが置かれている状況はかつてないほどの追い込まれた状況。その大一番であるオーストラリア代表戦に、若武者は決死の覚悟で臨んでいた。 <span class="paragraph-title">◆変化が見られた采配</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2021/japan20211013_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> この試合、スターティングメンバーの発表を待つまでの間は、不思議な緊張感があった。ここまでの最終予選3試合で1勝2敗、相手のオーストラリアは最終予選3連勝、そして2次予選からは世界記録となる11連勝を記録している状況だった。 日本の3試合はいずれも苦戦し、3試合で1ゴールと攻撃が機能せず、どっちに転ぶか分からない試合で敗れてきた。7日のサウジアラビア戦でもミスが絡んでの敗戦。この3試合は、ケガなどの理由以外で外れたメンバー以外は、ほぼ同じメンバーで臨んできた。 その結果、サウジアラビア戦後には森保一監督の采配にも大きな疑問が投げかけられ、マンネリ化しつつある状況にファン・サポーターからの批判は高まるばかり。結果も伴わないことから、進退問題も大きく騒がれることとなった。 そんな中、オーストラリア戦のメンバーシートに変化が。ボランチでプレーする選手が、MF遠藤航(デュッセルドルフ)、MF守田英正(サンタ・クララ)、そして田中と3名並んだ。このオーストラリア戦でも変化がない可能性も頭をよぎっていたが、メンバーだけでなく、システムを変えて臨むことまで決断し、森保監督はピッチへと選手を送り出した。 この決断について試合後に森保監督は「形としては我々の良さを出すこと、2人を出すことでどういう形で力が出るかを考え、オーストラリアとのマッチアップを考えて、我々のストロングポイントがしっかり出せるように、相手の良さを消せるようにと考えました」とコメント。日本の良さを生かすことに加え、オーストラリアを封じるための決断だったとした。 実際にその狙いは的中。頑なにこだわってきた[4-2-3-1]ではなく、[4-3-3]を選択し中盤を3枚で構成したことで、日本が持っていたアグレッシブなプレーと躍動感、そして生命線とも言える選手間の良い距離を取り戻すことができた。 もちろんそれはシステムを変えたからだけではない。遠藤、守田、田中という3人を並べたことに、大きな意味があった。 そして試合中の采配も積極さが見えた。ケガにより大迫勇也(ヴィッセル神戸)を下げ、古橋亨梧(セルティック)を投入したが、前線で収まらなくなったこともあり、停滞して1-1の同点に追いつかれてしまう。ここではオナイウ阿道(トゥールーズ)という選択肢もあったはずだが、古橋を入れていた森保監督。そして78分に南野拓実(リバプール)を下げて、浅野拓磨(ボーフム)を投入した。これにより、伊東純也(ヘンク)と前線3枚がスピードを持つ選手となり、オーストラリアの後方にあるスペースをどこからでも突ける陣容にした。 森保監督は試合後「我々の突ける部分は、サイドバックはビルドアップ時に高い位置を取るので、ボールを奪ってからそのスペースは突けるのではないかと分析して試合に臨みました」とコメント。最初からサイドバックの裏を狙っていたといい、それは前半から果敢に伊東が右サイドを仕掛けていたことからも伺える。また、途中投入された古橋、そして浅野も、そのスペースを突いてチャンスを作っていた。この試合では、最終的にゴールへと結実したということだろう。前に向かうという姿勢が見えた結果だった。 <span class="paragraph-title">◆中盤3枚の補完性の高さ</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2021/japan20211013_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> この試合の勝因は中盤の3選手のパフォーマンスがカギとなっていた。遠藤、守田、田中は、いずれもアンカーやダブルボランチ、そしてインサイドハーフとどのポジションでもプレーできる選手。所属チームでもどちらでもプレーしており、それぞれのポジションでやるべきことは頭に入っていた。 さらに、それぞれの特徴が違い、それぞれの特徴がピッチで出せたことが大きくチームを支えた。遠藤は昨シーズンのブンデスリーガでNo.1となったデュエルでの強さを見せ、守田は優れたポジショニングと攻撃へとつなげる運び出し、そして田中はポジショニング、飛び出し、タメを作って状況を変化させるという能力を発揮した。 遠藤は試合後「誰がどのポジションにいても対応できるというのが強みだったと思うし、3人が互いのポジションを見ながら立ち位置を変えることを意識しながらやっていました」とコメント。守田は「自分たちがやりたいサッカーは表現できたし、見ていてワクワクしてもらえるようなサッカーはできたんじゃないかなと思います」と語り、手応えを口にしていた。 実際にこれまでのダブルボランチでは、CBからのビルドアップを受けるために1人が降りて、もう1人は間にポジションを取る形となっていたが、サイドバックが高い位置を取るとCBの脇を簡単に使われるシーンが増えていた。相手もそこを狙い所にして、CBからパスが入った際に猛然とプレスをかけにくるシーンが多かった。 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2021/japan20211013_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> しかし、この試合では3人ともに状況を見てボールを受けに下がり、残りの2人はそれに呼応してポジションを取ることに。サイドバックが高い位置を取れるように、スペースのケアもできていた。また、プレスに関しても、しっかりとチームでデザインした形をとり、両サイドの南野と伊東が最終ラインへとプレスをかけ、大迫がボランチをマーク。中盤の3枚はパスコースを切ることで、オーストラリアのビルドアップを封じていた。 チームとしてこれまで積み上げてきたサッカーを捨てるのではなく、しっかりとその延長線上でより力を発揮するという下で選ばれた[4-3-3]のシステム、そして田中と守田を起用するという策が的中し、日本は本来持っていたパフォーマンスを取り戻すことができた。田中と守田が川崎フロンターレで積み上げたもの、そして田中と遠藤が東京五輪を通じて積み上げた信頼関係が、プレーへの安定感をもたらせていた。 これまでは2列目のタレントが豊富だったということもあり、よりそこを生かすために選ばれていた[4-2-3-1]のシステムだったが、久保建英(マジョルカ)、堂安律(PSV)がケガで不在、鎌田大地(フランクフルト)のパフォーマンスが上がらないというマイナスポイントを逆手にとり、より安定した強度を求めることとポジショニングに優れた選手を配置したという選択肢は、この先の日本をまた1つ上のレベルに上げる可能性もあるだろう。 <span class="paragraph-title">◆目立った田中碧の存在感</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2021/japan20211013_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> その中でも出色の出来と言っていいのは、やはり田中だ。「内容には全然満足していないですし、もっとやれると感じたのもあります」と試合後に語り、最終予選の初出場でゴールを決めても、まだまだ満足はできないという。 田中は「もっともっとボールを持ちたいというのが本音」と語り、まだまだ日本がポゼッションできるとコメント。自身ももっとボールを受けられると感じていたようだ。 その田中が目立っていたのは周囲への声掛けだ。「緊張がないわけないです。この舞台で、日本サッカーの大一番で自分が初招集でやっていない選手がいる中で初先発ですから」と緊張をしていたと語る中で、ポジショニングやパスの出し先を積極的に指示していた。 田中は「緊張はしましたけど、やることは変わらないし、結果論として勝って良かったですが、悪くても良くても、自分の力を出すということが大事でした」と、その中でも通常通りプレーし、自分が持っているものを全て出そうとしたと語った。それは“声”にも表れた。 「初めての選手とやるときはハッキリしたポジションをとって、なるべくリスクを取らないプレーを心がけていました。そこを意識しながら、あとは喋ることが一番大事なので、そこを心掛けながら90分やっていました」 トレーニングで合わせる時間が少ない代表チーム、そしてこのチームでの経験が少ない田中だからこそ、ピッチ上でもコミュニケーションをとること、そして自身の立ち位置でメッセージを送ることを選択した。 「自分がいることの意味をピッチで出さなければいけない。自分がボールを触っても触らなくても、ボールがしっかり動いて、チームが上手くいくようなプレーをしなければと思っていました」とも語ったが、この言葉に全てが集約されているだろう。田中はボールに関与せずとも、チームを動かせる能力を持っているのだ。 ただ「僕は全然手応えはないというか、もっと田中碧がいるメリットというのを存分に出していかなければいけないと思ってやっていました」と語り、もっとできると感じているとのこと。さらに驚かせるプレー、チームを好転させるプレーを見せてもらいたいものだ。 <span class="paragraph-title">◆課題を解決しW杯に向けリスタート</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2021/japan20211013_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> 「試合に勝ててワールドカップへの道は繋がり、素晴らしい勝利となりました」と森保監督は語った。崖っぷちに立ち、強敵のオーストラリアに勝利したのだから、この結果は素晴らしいものと言える。今回の最終予選で初めてスタンドに日本のファンが入ったことも、大きな後押しになったはずだ。試合後、森保監督はその感謝を伝えるためにスタンドに出向き、大声で感謝の言葉を叫んだ。 采配を含め、様々な外野からの声に晒されることは、結果が出なければ致し方のないこと。森保監督は日々その覚悟を背負って戦っている。「進退に関しては特に今日の試合だけ懸かっているとは思っていません。代表監督に就任してから、毎試合後、監督としての道が続くのか岐路に立っている」と試合後に語った。 そう言った意味では、今まで採用しなかったシステムを選び、起用に消極的だった経験の少ない若い選手を送り込むという決断が、事態を好転させていると言える。実際、9月の中国代表戦でも、オマーン代表戦で敗れた結果、久保をトップ下で起用するという大胆な策に出て勝利を掴んでいた。 「自信を持って」と多くの選手が試合前に語っていたが、自身が抱える選手にもっと自信を持つべきだったのは森保監督だったのかもしれない。選手間の調和、選手とスタッフの調和を求める森保監督が、口だけでなく行動で示せば、選手が応えてくれることは分かっただろう。コンディション、相手との噛み合わせもあるが、経験のない選手を起用することで生まれる効果も間違いなくある。そういうチームを作ってきたはずだ。 その中でも日本の課題はまだまだある。1つ挙げるとすれば、後半の最終ラインのコントロールだろう。後半オーストラリアがロングボールを使い、サイドをより仕掛けてきたことで、中盤と最終ラインが間延びしてしまった。その結果、左サイドバックの裏を簡単に使われ、さらにマイナスのクロスへの対応が遅れてFKを与えてしまった。あの時間帯前後は、どうしても最終ラインを押し下げられてしまい、コンパクトに保てていなかった。 これまでの最終予選でも、後半に間延びしてしまう時間帯が訪れ、そして失点をしていた。失点に繋がるパターン、ピンチを迎えるパターンは似ている。今一度チームとして必要なこと、ピンチのシーンに起きていることを分析し、11月のアウェイでの2試合は連勝を収めてもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2021.10.13 12:40 Wed
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1チーム2カテゴリーを生かせない決断の一歩、田中碧は投入できなかったのか/日本代表コラム

「勝つしかない」そう試合前に語っていた選手たちだが、試合後にはその口調はより強まり、同じ言葉を口にした。 3試合を終えて1勝2敗。カタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選のライバルであるサウジアラビアに、1-0で敗れてしまった。 初戦のオマーン代表戦で敗れ、2戦目の中国代表戦でなんとか勝利を収めた日本。連勝スタートとなっているサウジアラビア代表、オーストラリア代表との連戦となる10月は、勝たなければいけない、それ以上に負けてはいけない2試合だった。 オマーン戦での失敗を経験した選手たちが集まった今回の日本。誰もがこの2試合の大切さ、重要度を理解していることは伝わってきた。危機感、そして覚悟をもって臨んでいたことは間違いない。 2019年のアジアカップのラウンド16では、80%近いポゼッションを許し、防戦一方となった中で、1-0で勝利をした相手。5年前のロシアW杯アジア最終予選では、消化試合となった試合で1-0で敗れていた。 難しい試合になることが多いだけに、より警戒心が高まっていた日本。それもあってか、試合の入りは良いものとなった。 <span class="paragraph-title">◆守備は安定も、攻撃でミスが散見</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/japan20211008_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">©JFA<hr></div> 12分にFKから完璧にヘディングで合わされるという大ピンチを凌いだ日本。アジアカップほど、ポゼッションをされ続けて押し込まれるという展開にはならず、互いに高い強度を保った試合展開となった。 それでもパスを繋ぐこと、ポゼッションをしてゴールに迫るというサウジアラビアの戦い方は健在。推進力と確かなテクニックを駆使して日本ゴールを目指してきた。しかし、中央は吉田麻也(サンプドリア)と冨安健洋(アーセナル)のCBコンビがしっかりと対応。クロスを何度も上げられたが、跳ね返し、相手の起点になりそうな時には、前に出てデュエルで勝負に行った。さらに、冨安はそこから攻撃に転じるパスの正確さを披露。クリアではなく、パスをすることで、局面を打開するシーンを何度か見せていた。 また、相手のサイドバックが高い位置を取ることから、対応が難しかった酒井宏樹(浦和レッズ)と長友佑都(FC東京)も食らいついて良い状態でクロスを上げさせないなど、守備は安定感を見せていたが、攻撃面ではサウジアラビアの切り替えの早さに苦しめられることとなる。良い形で守備をし、パスを使ってビルドアップを図るが、狙いどころを決めていたサウジアラビアのプレスに引っかかるシーンが散見された。 特にボランチのところが空くため、遠藤航(シュツットガルト)と柴崎岳(レガネス)がボールに触れる機会はあったが、前を向けばすぐに寄せられ、パスコースを切られるが故に攻撃が上手くいかない。また、パスを通しても、受ける前線で奪いどころを決めていたため、なかなか効果的にパスが通らなかった。 さらに、右サイドに入った浅野拓磨(ボーフム)を裏のスペースに走らせようという狙いがあったが、厚みを持った攻撃ができず、上手く使い切れなかった課題も残る。ドリブルで剥がすことも難しく、インテンシティ高く臨んできたサウジアラビアの前に、攻撃陣は沈黙した。 <span class="paragraph-title">◆決めるべきだった決定機</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/japan20211008_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">©JFA<hr></div> その中でも前半は3つのチャンスがあった。1つ目は柴崎が放ったブレ球ミドルだ。ボールを運びながらも前に出すところがなく、そのままミドルシュート。直近の試合で自身が決めたゴールを連想させるものだったが、GKモハメド・アル=オワイスが何とか掻き出してセーブした。 決まりはしなかったが、相手の虚を突いた非常に鋭いミドルシュートだが、この柴崎の1本以外は見られなかったに等しい。スペースがなかった訳ではなく、もう少し攻撃の手として使う必要性はあっただろう。慎重に行きすぎた感は否めない。 そして初めて狙っていた浅野の裏のスペースを使った攻撃から、南野拓実(リバプール)がクロスをヘディングで合わせた。狙っていた形はハマれば決定機になることを示したが、これ以外にはほとんど形は作れなかった。 そして最大のチャンスは大迫勇也(ヴィッセル神戸)のもの。相手のパスを長友佑都(FC東京)が体に当てて防ぐと、こぼれ球を鎌田大地(フランクフルト)がダイレクトでロングスルーパス。これが中央を抜け出た大迫に届き、GKと1対1の局面を迎えるが、シュートは完璧に読まれて防がれた。相手DFに寄せられる中、大迫にはしっかりと決め切ってもらいたかったというのが本音だ。 前半で3つのチャンスを迎えた中で、1点も奪えなかった日本。タラレバは存在しないが、どれか1つでも決まっていれば、展開は大きく変わっていたはずだ。そして、そのツケを後半に払うこととなる。 <span class="paragraph-title">◆目に見えて落ちた精度、カードを切れなかった判断</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/japan20211008_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">©JFA<hr></div> 迎えた後半も互いに拮抗した展開となっていったが、サウジアラビアのギアは1つ上がっていた。ホームに駆けつけた大観衆のテンションが上がっているのも影響したのか、球際の強度が上がり、より勢いを持って日本のビルドアップを封じに動いていた。 対して日本はサイドで押し込まれる展開が続き、なかなか押し出せない状況に。時折、長友や酒井が攻撃参加しても完結せず、徐々に押し込まれていく。 徐々にブロックを敷いて守る形に変えた日本だが、前半からインテンシティの高いプレーを続けたこともあり、疲労が溜まっている姿が所々で見受けられ、前線との距離が間延びしていくことになる。 ビルドアップ時もパスを入れることはできるものの、そこでサウジアラビアのプレスを受けてボールをロストするシーンが増加。最終的に失点に繋がったバックパスのミスも、パスの出しどころを見つけられなくなった結果、柴崎が苦肉の策で下げたところに人が居なかったという状況だった。 試合前には鎌田が「中に入ったときにはワンタッチでサポートできるところにいないといけないので、選手間の距離を短くしなければいけない」と語っていたが、この日の日本はサポートの距離が徐々に遠くなっていっていた。そのツケを払う形となってしまったのが柴崎。結果としてプレーの判断が敗戦に繋がったわけだが、柴崎1人が敗戦の責任を負うというのは違うだろう。問題はその戦況を見極め切れなかった森保一監督にある。 「ミスに関してはピッチに立たなければ、あのミスは起きていなかったので、ピッチに立たせたのは監督である私なので、そのミスを含めてすべて私の責任だと思います」と試合後に語ったが、柴崎の所が狙われていたのは前半からであり、後半に入ってさらに狙い所となり、何度もカウンターの起点になってしまっていたことは見えていたはずだ。 試合後の会見では「もっと早ければという部分については、タイミングは間違っていなかったと思います」と語っていた森保監督。しかし、決断するだけの材料は十分にあったと言える。 <span class="paragraph-title">◆1チーム2カテゴリーを生かすべきでは</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/japan20211008_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">©JFA<hr></div> もちろん、前述の前半の決定機を決めていれば、この結末はなかったかもしれない。あのシーンで柴崎が繋ぐことを諦めていれば、失点はなかったかもしれない。試合が終わってしまえば、全てがタラレバになり、結果を変えることはできない。 どうなるかは誰にもわからないが、気になるのは選手交代の決断だ。 9月の2試合、オマーン代表戦、中国代表戦では、森保監督は3人ずつしか交代させていない。邪推でしかないが、レギュレーションを勘違いしているのかな?とも思ってしまったほどだ。 通常の3人ではなく、5人交代できるということは、局面を大きく変えられる可能性を秘めている。もちろん、その交代で悪化することもあるわけだが、オマーン戦にしても、全体的に動きが悪かった試合であり、積極的にカードを切っても良かったはずだ。 もちろん、余裕のある試合運びができていれば、カードを切る決断も簡単にできたのだろう。ただ、2試合を3枚の交代で終えた。 そしてサウジアラビア戦。結果として5人交代をさせるわけだが、起用された5人のうち2カテゴリー目の東京五輪世代から起用されたのは中山雄太(ズヴォレ)の1人のみだ。 個人的な意見でしかないが、柴崎が狙われ続けていたこと、そして展開やパスの精度が相手に狙われ続け、疲弊したことで下がってきた段階で、ベンチに最適な交代要員がいたはずだ。それがMF田中碧(デュッセルドルフ)だ。 柴崎と全く同じではないが、ゲームの流れを作り、ハードな守備をこなせ、相手の隙を突く選択ができる選手だ。日本代表歴は2試合しかなく、ほぼ初招集のような状態ではあるが、森保監督は良く知っているはず。東京五輪では全試合で起用するほどの信頼を寄せた選手だ。 さらに言えば、コンビを組む遠藤とは東京五輪で5試合プレーし、スペインやメキシコといった強豪との経験もある。ドイツに渡り、逞しさも増したことを考えれば、彼を起用するという決断はそこまで難しくはなかったように思う。 1チーム2カテゴリーを率いていた指揮官の最大の利点は、A代表の経験が少ない選手を見ていることで、積極的に起用できる面だろう。 かつてのフィリップ・トルシエ監督は、A代表からアンダー世代まで指揮した結果、力のある若手を積極的に起用し、チームの底上げを図った。 しかし、残念なことに森保監督のこの3試合で先発起用した選手は17人。そのうち東京五輪世代は、中国代表戦で先発したMF久保建英(マジョルカ)だけだ。途中出場を含めても、堂安律(PSV)と中山の3名。若手を起用すれば良いと言うことではないが、固定し過ぎたメンバーで結果が出ていない状況。必勝で臨まなければいけない、12日のホーム・オーストラリア代表戦では、何か変化をもたらせ、2カテゴリーを指揮した意味を見せる必要があるのではないだろうか。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2021.10.08 12:30 Fri
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初戦で出た“柔軟性”という課題、予想以上のオマーンに対する打開策は/日本代表コラム

恐れていたことが起きてしまったという表現が正しいだろうか。来年11月に行われるカタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選が2日からスタートした。 W杯本大会への切符は各グループ2枚。上位2カ国に与えられ、3位チームは4次予選と大陸間プレーオフを勝ち抜かなければ本大会には出場できない。 2016年9月1日。日本代表はロシアW杯アジア最終予選の初戦で、UAE代表に埼玉スタジアム2002で1-2で敗れた。 この悪夢を忘れた者はいなかったはずだが、5年後に再び同じ事態に。心のどこか片隅で恐れていた結果となってしまった。 <span class="paragraph-title">◆明らかなコンディションの差</span> 日本が敗れた要因は多くあるだろう。森保一監督、キャプテンの吉田麻也も試合後に口にした通り、「言い訳にはしない」と語ったが、事実としてコンディションには大きな差があったことは否めない。 オマーンはこの日本戦に向けて1カ月に渡り、セルビアで合宿を敢行。チームとしての成熟度、コンビネーション、そして日本への対策は万全だった。 ブランコ・イバンコビッチ監督が就任し、今までとは違うオマーン代表を作り上げていく中で、日本に対してどのような戦いをしようかということは考えていたはずだ。 もちろんコンディション調整もバッチリだ。最終的に日本へ移動するということはあっても、チームとして1カ月活動していれば、良い状態なのは明らかだ。 一方で、日本は8月30日に始動。試合までは3日しかなく、大半の選手が長距離の移動後すぐの試合となった。 しかし「海外組が多くなる中、選手たちが覚悟を持って、短い準備期間の中でも、1戦1戦勝利に向けて準備してくれ、前進してきていた」と森保監督は語り、その点を言い訳にはしないと語った。 吉田も「相手のコンディションがむちゃくちゃ良かったのがある」と相手の状態が良かったことを認めたが「それは言い訳にできない」と語った。 オマーンは、暑熱対策もしていただろうが、試合日はまさかの雨。気温も上がらない中で、オマーン人にとって馴染みのない大雨の試合。しかし、イバンコビッチ監督は「大問題だった」としながらも、「雨に合わせて戦術を微調整して日本のゴールを狙おうとした」とチームの戦い方に微調整を行ったことを明かした。 <span class="paragraph-title">◆大きな課題となる柔軟性のなさ</span> 試合展開を見ても、日本が劣っていたことは間違いない。もちろん、コンディション面の差も影響し、ピッチ状態の悪さも影響しただろう。しかし、何よりも柔軟性とクリエイティビティが欠けていたように思えてならない。 オマーンの印象として中央を固めて守備をしてくるというスカウティングはあったはずだ。そしてその通り、オマーンは中央をかなり手厚く固め、FW大迫勇也、MF鎌田大地の中央の縦のラインを完全に潰しに行っていた。 2次予選の生命線とも言えた部分が使えなくなった日本。鎌田も大迫もポジションを変えてボールを受けに動いたが、オマーンはポジションを離れた2人に対しては、マークの強度はそこまで高めないものの、しっかりとボールを奪いにいくという約束事は守っていた。 そのオマーンに対し、日本はサイドから崩しにかかる。森保監督は「相手の守備網を崩せるように横から楔を入れていく、縦パスを入れていくということは、これまでやって来たことを出しながら試合を進めて行こうと戦いました」と語っていたが、あまり効果的にプレーしたようには見えなかった。 1つは右サイドの縦の関係だ。これまでは酒井宏樹と伊東純也で良いコンビネーションを見せていたが、この試合ではなかなか酒井が高い位置を取り続けるということができなかった。また、鎌田が受けに近づいたときにも、連動性が低く、仮に抜け出した場合でも、中央に大迫が1人で待っているだけの状態が続き、簡単にクロスを上げる選択ができなかったはずだ。 中央を固められ、サイドからもそこまで効果的に崩せていなかった日本。その中で唯一と言っても良い決定機は、吉田のロングフィードに伊東が抜け出してパスを受けたシーンだった。 ボールを繋いでくるという予想のもとに守っていたオマーンにとって、一瞬の隙をついたロングボールに対しては対応しきれなかった。伊東のシュートは結果としてGKの正面を突いたが、オマーンとしては一番ヒヤリとした場面だったのではないだろうか。 しかし、そのような動きを見せたのはこの時ぐらい。殆どはサイドに展開してクロスというシーンに終始した。 試合前には「行き詰まったときに打開策を見つけたりすることは課題」と吉田が語っていたが、まさにその課題が初戦から出てしまった。 <span class="paragraph-title">◆打開策はいくらでもあった</span> では具体的な策は何ができたのか。まず第一に、日本はグループで1番警戒される相手ということ。さらに、日本の情報は収集しやすいということだ。 選手個々の特徴はもちろんのこと、チームとしての戦い方も東京五輪を含め、親善試合を見ていればある程度ポイントを掴むことは簡単だ。それが中央を徹底的に使わせないという判断に至ったとも言えるだろう。 その中で、日本はこれまで通りの戦い方を行おうとした。警戒されることを予測しながらも、手を打つことはなく、いつも通りの入りを見せ、いつも通りの戦い方を選んだ。 もちろん、自分たちのスタイルを通すということも強者になる上では必要なこと。その選択は間違っていたとは思わない。しかし、日本は柔軟性も持ち合わせているメンバーがいるにも関わらず、それを後半の手として打てなかったことは課題だろう。 森保監督は最初の手として2列目の左に古橋亨梧を入れ、原口元気を下げた。右サイドに比べて停滞感のあった左サイドに手を打ちたかったのかもしれないが、それでは何も変わらない。選手の特徴は違えど、戦い方は結局中央とのコンビネーションで崩すということ。オマーンとしては警戒する部分に変化は生まれないのだ。 また古橋も得意のスピードを生かせるシーンが少なく、スペースを使ったプレーは少なかった。チームとして特徴を生かすという点でも、古橋が自ら要求するという点でも、物足りなさはあった。 例えば、前半の戦い方を受けてシステム変更という手も打てただろう。オマーンは攻撃時には3トップ気味になる[4-4-2]のシステムだったが、鎌田と大迫に対してCBとボランチの4枚でケアしにきた。その点では、[4-2-3-1]のシステムにこだわる必要はなかったと言えるる。 試合後に遠藤航も「シンプルにシステムを変えてみても良い」と口にしていたが、例えば[4-3-3]や[3-1-4-2]のシステムでも良いだろう。今の日本代表ならば、メンバーを交代せずともシステムは変えられる。 [4-3-3]であれば、遠藤をアンカーに柴崎岳と鎌田がインサイドに入っても良い。[3-1-4-2]というシステムも酒井宏樹を3バックの一角として起用し、遠藤がアンカーに。長友佑都と伊東がワイドに入り、柴崎と鎌田がインサイドに、大迫と原口の2トップでも良いし、古橋を入れて2トップでも良かっただろう。選手を入れ替えずとも、システム変更で戦い方を変えられたが、最後までシステムは変えなかった。 その他にも後半には東京五輪で良いコンビネーションを見せていた堂安律と久保建英を起用。2人は何度か東京五輪でも見せたコンビネーションで狭い局面を崩し、ボックス内に侵入していた。短い時間で何度か良いシーンを作っていたところを見れば、もう少し長く見たかったというのもある。また、ファウルを得ることもできていただけに、近い距離でプレーできる選手を並べる手もあったはずだ。 この試合では距離感もイマイチで割と分断されるケースが多く、日本が得意とする細かいパス交換で局面を打開することは難しかった。かといって、裏を積極的に摂るということもなく、ケアをされ続ける大迫に当てるという戦い方しかチョイスできなかった。 ピッチ上の判断も重要だが、指揮官としてのメッセージも足りなかったとも言える。南野拓実が起用できない状況で、攻撃のカードが少なかったこともあるかもしれないが、招集時に後ろの選手が多いことも気になる部分ではあった。攻撃のカードを手札として持てていないことも含め、最終予選というものを初めて戦う森保監督にとっては越えなければいけない壁とも言える。 東京五輪ではスペイン、メキシコと実力のある国を前に勝つことができなかった。その悔しさを選手が最も痛感しており、東京五輪世代の選手の奮起も期待したいところだが、監督としても上のレベルに通用できなかったことをこの最終予選にいかしてもらいたいところ。次の中国戦でどう対応力を見せるのかに注目だ。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2021.09.03 06:30 Fri
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