【日本代表プレビュー】再び3バックにトライ、大幅にメンバーを入れ替えてもブラッシュアップを/vsシリア代表【2026W杯アジア2次予選】

2024.06.11 13:05 Tue
日本代表予想フォーメーション
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アウェイでのミャンマー代表戦も0-5で勝利した日本。不戦勝を含めて5連勝、無失点とほぼパーフェクトな結果を残して最終戦を迎える。

2026年北中米ワールドカップ(W杯)2次予選の最後の試合はシリア代表が相手。アウェイで0-5と勝利した相手だが、そこから半年以上が経過。アジアカップで中東勢に苦しんだ記憶がある中で、どんな戦いを見せるか注目だ。

舞台はエディオンピースウイング広島。今シーズンから開業した新スタジアムでの初の代表戦。森保一監督にとっても慣れ親しんだ土地での戦いとなる。
◆3バックをブラッシュアップ
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9月に迎える最終予選を前に最後の試合となるのがこのシリア戦。すでに突破を決めている日本は、オプションのブラッシュアップに時間を割いている。
勝利を目指すことは当然のこと、この先の戦いを見据えての選択肢をいかに増やせるかが目標であるW杯優勝に近づくためには必要だ。

森保監督は前日会見で3バックについて「戦術の浸透度を上げていけるようにトライしたい」と明言。ミャンマー戦同様に3バックでの戦いを行うという。

これまでの3バックは、5バックにして守りを固めるという形だったが、今回はより攻撃的に行くというための3バック。ウイングバックには本来であればウイングの選手を配置し、守備での貢献度も求めつつ、より攻撃面での迫力を出したいところだろう。

選手たちもその点は理解しており、相手によって、局面によってのフレキシブルな対応も必要になってくる。ピッチ上でn対応力を見せるためにも、このチャンスでトライする必要がある。

◆負ければ2次予選敗退も
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対するシリアはグループで2位につけている。エクトル・クーペル監督が指揮するチームの2次予選突破は堅いと思われていたが、前節の北朝鮮代表戦では後半アディショナルタイムの失点で1-0と敗戦。最終節での敗退の可能性を残してしまった。

ホームでの日本戦は0-5で惨敗。ミスも目立った中で、新たに3人の帰化選手を招集。GKエステバン・グレレル、DFエミリアーノ・アモール、FWトビアス・セルベラとアルゼンチンの3名が帰化した。

日本との前回対戦にはいなかった選手。いずれも北朝鮮戦ではベンチで過ごして終わったが、日本戦では出番もある可能性が。未知の選手にしっかりと対応できるのか注目だ。

クーペル監督は前回の日本との対戦を踏まえ「我々はできるだけコンパクトに戦いたい」とコメント。勝利を目指して日本に全力でぶつかってくることになるだろう。

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「超いいね」「絶対買う」日本代表のLINEスタンプ第2弾が発売! W杯参加の全26選手や森保一監督のデザインが話題「ブラボースタンプいい」

日本サッカー協会(JFA)は14日、SAMURAI BLUE(日本代表)の公式LINEスタンプの第2弾を発表した。 今回が第2弾となるLINEスタンプには、カタール・ワールドカップ(W杯)に参加した日本代表の全26選手に加え、日本代表の公式マスコットのカラッペ・カララ、さらに森保一監督も登場する32種類となる。 選手と共に日常で使えるフレーズが用意されており、長友佑都(FC東京)の「ブラボー!」や、久保建英(レアル・ソシエダ)の「おはよう」、吉田麻也(シャルケ)の「いいね」、冨安健洋(アーセナル)の「おつかれ」、伊東純也(スタッド・ランス)の「ありがとう」などが収録されている。 W杯でも活躍した堂安律(フライブルク)は「それな」、三笘薫(ブライトン&ホーヴ・アルビオン)は「よっしゃー!」という言葉が使われている。 このスタンプは3月14日(火)に発売開始となり、税込250円、または100コインで購入が可能となる。 ファンは今回のスタンプに「ブラボースタンプいい」、「即購入します」、「ナイス!」、「超いいね」、「ぽいちさん可愛すぎやん」、「絶対買う」と反響を呼んでいる。 それぞれの選手がどんな言葉が割り当てられているのかを楽しんでいるファンも。日常に代表選手たちが溢れることになりそうだ。 <span class="paragraph-title">【写真】気になる選手はいつ使える!? 反響呼ぶ日本代表LINEスタンプ</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="instagram-media" data-instgrm-captioned data-instgrm-permalink="https://www.instagram.com/p/Cpwm3D0JCKc/?utm_source=ig_embed&amp;utm_campaign=loading" data-instgrm-version="14" style=" background:#FFF; border:0; border-radius:3px; box-shadow:0 0 1px 0 rgba(0,0,0,0.5),0 1px 10px 0 rgba(0,0,0,0.15); margin: 1px; max-width:540px; min-width:326px; padding:0; width:99.375%; width:-webkit-calc(100% - 2px); width:calc(100% - 2px);"><div style="padding:16px;"> <a href="https://www.instagram.com/p/Cpwm3D0JCKc/?utm_source=ig_embed&amp;utm_campaign=loading" style=" background:#FFFFFF; line-height:0; padding:0 0; text-align:center; text-decoration:none; width:100%;" target="_blank"> <div style=" display: flex; flex-direction: row; align-items: center;"> <div style="background-color: #F4F4F4; border-radius: 50%; flex-grow: 0; height: 40px; margin-right: 14px; width: 40px;"></div> <div style="display: flex; flex-direction: column; flex-grow: 1; justify-content: center;"> <div style=" background-color: #F4F4F4; border-radius: 4px; flex-grow: 0; height: 14px; margin-bottom: 6px; width: 100px;"></div> <div style=" background-color: #F4F4F4; border-radius: 4px; flex-grow: 0; height: 14px; width: 60px;"></div></div></div><div style="padding: 19% 0;"></div> <div style="display:block; height:50px; margin:0 auto 12px; width:50px;"><svg width="50px" height="50px" viewBox="0 0 60 60" version="1.1" xmlns="https://www.w3.org/2000/svg" xmlns:xlink="https://www.w3.org/1999/xlink"><g stroke="none" stroke-width="1" fill="none" fill-rule="evenodd"><g transform="translate(-511.000000, -20.000000)" fill="#000000"><g><path d="M556.869,30.41 C554.814,30.41 553.148,32.076 553.148,34.131 C553.148,36.186 554.814,37.852 556.869,37.852 C558.924,37.852 560.59,36.186 560.59,34.131 C560.59,32.076 558.924,30.41 556.869,30.41 M541,60.657 C535.114,60.657 530.342,55.887 530.342,50 C530.342,44.114 535.114,39.342 541,39.342 C546.887,39.342 551.658,44.114 551.658,50 C551.658,55.887 546.887,60.657 541,60.657 M541,33.886 C532.1,33.886 524.886,41.1 524.886,50 C524.886,58.899 532.1,66.113 541,66.113 C549.9,66.113 557.115,58.899 557.115,50 C557.115,41.1 549.9,33.886 541,33.886 M565.378,62.101 C565.244,65.022 564.756,66.606 564.346,67.663 C563.803,69.06 563.154,70.057 562.106,71.106 C561.058,72.155 560.06,72.803 558.662,73.347 C557.607,73.757 556.021,74.244 553.102,74.378 C549.944,74.521 548.997,74.552 541,74.552 C533.003,74.552 532.056,74.521 528.898,74.378 C525.979,74.244 524.393,73.757 523.338,73.347 C521.94,72.803 520.942,72.155 519.894,71.106 C518.846,70.057 518.197,69.06 517.654,67.663 C517.244,66.606 516.755,65.022 516.623,62.101 C516.479,58.943 516.448,57.996 516.448,50 C516.448,42.003 516.479,41.056 516.623,37.899 C516.755,34.978 517.244,33.391 517.654,32.338 C518.197,30.938 518.846,29.942 519.894,28.894 C520.942,27.846 521.94,27.196 523.338,26.654 C524.393,26.244 525.979,25.756 528.898,25.623 C532.057,25.479 533.004,25.448 541,25.448 C548.997,25.448 549.943,25.479 553.102,25.623 C556.021,25.756 557.607,26.244 558.662,26.654 C560.06,27.196 561.058,27.846 562.106,28.894 C563.154,29.942 563.803,30.938 564.346,32.338 C564.756,33.391 565.244,34.978 565.378,37.899 C565.522,41.056 565.552,42.003 565.552,50 C565.552,57.996 565.522,58.943 565.378,62.101 M570.82,37.631 C570.674,34.438 570.167,32.258 569.425,30.349 C568.659,28.377 567.633,26.702 565.965,25.035 C564.297,23.368 562.623,22.342 560.652,21.575 C558.743,20.834 556.562,20.326 553.369,20.18 C550.169,20.033 549.148,20 541,20 C532.853,20 531.831,20.033 528.631,20.18 C525.438,20.326 523.257,20.834 521.349,21.575 C519.376,22.342 517.703,23.368 516.035,25.035 C514.368,26.702 513.342,28.377 512.574,30.349 C511.834,32.258 511.326,34.438 511.181,37.631 C511.035,40.831 511,41.851 511,50 C511,58.147 511.035,59.17 511.181,62.369 C511.326,65.562 511.834,67.743 512.574,69.651 C513.342,71.625 514.368,73.296 516.035,74.965 C517.703,76.634 519.376,77.658 521.349,78.425 C523.257,79.167 525.438,79.673 528.631,79.82 C531.831,79.965 532.853,80.001 541,80.001 C549.148,80.001 550.169,79.965 553.369,79.82 C556.562,79.673 558.743,79.167 560.652,78.425 C562.623,77.658 564.297,76.634 565.965,74.965 C567.633,73.296 568.659,71.625 569.425,69.651 C570.167,67.743 570.674,65.562 570.82,62.369 C570.966,59.17 571,58.147 571,50 C571,41.851 570.966,40.831 570.82,37.631"></path></g></g></g></svg></div><div style="padding-top: 8px;"> <div style=" color:#3897f0; 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overflow:hidden; padding:8px 0 7px; text-align:center; text-overflow:ellipsis; white-space:nowrap;"><a href="https://www.instagram.com/p/Cpwm3D0JCKc/?utm_source=ig_embed&amp;utm_campaign=loading" style=" color:#c9c8cd; font-family:Arial,sans-serif; font-size:14px; font-style:normal; font-weight:normal; line-height:17px; text-decoration:none;" target="_blank">日本サッカー協会(JFA)/日本代表/なでしこジャパン(@japanfootballassociation)がシェアした投稿</a></p></div></blockquote> <script async src="//www.instagram.com/embed.js"></script> 2023.03.14 17:25 Tue

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6番+8番+10番。鎌田大地がボリビア戦で示した“シン・ボランチ像”

ゴール前で輝く決定力と、中盤を支える戦術眼。その両方を併せ持つ“新しいボランチ像”を、日本代表のMF鎌田大地がボリビア代表戦で体現した。開始4分、MF久保建英のクロスを胸で収め、左足で冷静に流し込んだ先制点。ボランチでありながらペナルティエリアへ侵入し、フィニッシュまで持ち込む――。クリスタルパレスと日本代表では求められる役割は異なる。それでも鎌田は、6番・8番・10番をひとつに束ねた“自分だけのポジション”を研ぎ澄ませている。 ■“6番”の位置から、ペナルティエリアへ ボリビア戦の開始4分。試合は、MF鎌田大地が切り拓いた。 MF久保建英が右サイドで深くえぐる。相手がゴール前へ引き寄せられる一瞬の隙を、鎌田は逃さなかった。ペナルティーエリアにスッと入っていき、浮き球のクロスを胸でコントロールすると、左足で逆サイドネットへ流し込んだ。 「チームとして、あそこが空くっていうのは分析でもやっていた。ボランチですけど、ああいうところに何回か入っていくことが大事だと思っていたので。ボールが来てシュートチャンスができたのは良かったかなと」 クリスタルパレスではリスク管理が徹底され、センターラインより前に踏み込む回数は限られる。しかし日本代表では、森保一監督の戦術が鎌田に自由度を与えている。 「自分がある程度自由に前に行けるような、6番だけじゃなくて8番や10番くらいの役割までできる方が、やっていて躍動感はある。そっちの方が自分には合っていると思いますし」 相手の守備ラインが一歩下がった瞬間、鎌田は3列目の位置からスッと前へ出ていき、いつの間にか最前線に顔を出す。ボランチでありながらフィニッシュまで関与できる稀有な才能が、日本の攻撃に奥行きをもたらす。先制点は、その象徴だった。 ■自由と責任の狭間で描く“シン・ボランチ像” 鎌田のプレーは、単なる攻撃的ボランチではない。試合の状況に応じて6番(ボランチ)にも8番(インサイドハーフ)にも10番(トップ下)にもなる。 「パレスはボランチがリスク管理で、余ってる選手を捕まえたり、後ろ5枚で守る形。こっち(日本代表)はもっと攻撃に関われる。やり方の違いが大きいと思います」 その言葉通り、ボリビア戦では攻撃でも守備でも表情を変えた。後半、相手のカウンターを鎌田がつぶした場面は象徴的だった。厳しいプレスを受け続けた前半の疲労が残る中でも、最後のところで身体を投げ出し、相手の芽を摘んだ。 ガーナ戦をコンディション不良で欠場したものの、ボリビア戦で本来の実力を示した。 「しっかりプレーできるレベルには戻ってきているので、そこは問題なかったと思います」 守備強度とゲームメイク、そして得点力。これらを同時に要求されるのは酷にも思えるが、鎌田はその領域に自ら踏み込んでいる。 この日のミックスゾーンでは、鎌田らしい“脱力感”ある一幕も。 「ゴールの後に森保さんのところに行こうとチームで話していたそうですが?」という質問を受けた時のこと。 それまで淡々と話していた鎌田の表情がゆるむ。 「僕は聞いてなかったんで。集中していたので、全然頭になくて。(森保監督に)申し訳ないというか……(笑)」 周囲に笑いが起きる。プレッシャーの中にあっても自然体でいられること。それもまた、鎌田の強みだろう。 チーム内のポジション争いは激しい。MF佐野海舟をはじめ、鎌田の主戦場にもライバルが台頭し、代表チームは新しいフェーズへと進んでいる。ただ、鎌田には慢心も不安もない。 「日本人選手は頭が良くて、どのポジションでもある程度できる選手が育っている。監督にとっても理想的じゃないですかね」 6番+8番+10番。ボランチの概念を超えた鎌田が、森保ジャパンをさらなる高みへ導いていく。 取材・文=北健一郎 2025.11.19 00:45 Wed
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完封勝利の裏に「もっとやれた」。早川友基、“第3GK”からW杯へのロードマップ

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大怪我から復活した“最終ラインの司令塔”。33歳・谷口彰悟が示したDFリーダーの価値

ガーナ代表戦、ボリビア代表戦と続いた11月シリーズを、日本代表は2試合連続の無失点で締めくくった。その中心にいたのが、フィールドプレーヤーで唯一2試合フル出場を果たした33歳――谷口彰悟だ。2024年11月にアキレス腱を断裂。大怪我から戻ってきた男は、再び日本代表の最終ラインで存在感を放っている。2026年北中米ワールドカップ、その真ん中を任されるのは彼なのかもしれない。 ■1年ぶりの復帰で見せた安定感 ボリビア戦後、ミックスゾーンに姿を見せたDF谷口彰悟は、どこか晴れやかな表情だった。 チームは11月シリーズを2試合連続の完封で終え、自身はフィールドプレーヤーで唯一の2試合フル出場。数字だけを見れば、十分すぎる結果だ。 「まずはゼロで終われたこと。苦しい時間もありましたけど、こういう難しいゲームを勝ち切るのは本大会でもあり得る。勝って終われたのは非常に良かったと思います」 言葉の端々からは「代表に帰ってこられた」という安堵よりも、すでに次を見据えている姿勢のほうが強く伝わってくる。 10月のブラジル戦で約1年ぶりに復帰し、歴史的勝利に貢献した。そこからクラブでコンスタントに試合に出続け、11月の代表活動を迎えると、再び最終ラインの中心に収まった。 「3枚の真ん中はめちゃくちゃ大事なポジション。簡単には譲りたくないですし、リーダーシップを取っていかないといけない」 両脇の選手が変わっても、谷口を中心としたDFラインの安定感は変わらない。そこには、ベテランらしい“気遣い”がある。 「気遣い、してなさそうに見えて結構してるんですよ(笑)。特徴は理解してますし、いい形で受けてもらうためのパスのタイミングとか、右か左かの判断は真ん中だからこそ見える。できるだけ“ハメパス”にならないようにというのはこだわってます」 周りの選手が思い切って前に出られるように、背後のカバーは責任を持って引き受ける。 「広範囲は僕がカバーして、目の前の選手にはバトルしてもらう。後ろに保障があると前に行きやすいので」 谷口がいると、両サイドのDFが伸び伸びとプレーできる――。それこそがクリーンシートでの2連勝につながったのは間違いない。 ■33歳はアップデートし続ける ただし、全てがよかったわけではない。むしろ、完封だからこそ課題が際立つと語る。 「相手のプレッシャーもあって、打開しきれないところや、ショートカウンターを食らったり、イージーなミスもあった。次のレベルでは致命的になるので減らしていかないといけない」 象徴的だったのが、MF鎌田大地との縦パスのリターンが相手に狙われて、シュートを放たれた場面だ。 「日本の選手が(最終ラインに)落ちてきた時に、そのまま食いついてくる相手だったので、そこをもっと利用しながらスペースを見つけられれば。できた時は前に運べていたので、意図的にやれたら良かった」 ボランチの組み合わせが変わる中で、ラインのスライドや立ち位置の整理にも改善点はある。 「ワタル(遠藤航)が落ちるのか、自分たちで4枚っぽく回すのかはやりながらのところが多かった。前半の中で修正できればもっとスムーズにやれた。こういうゲームはワールドカップでもあり得るので、焦れずにゼロで進めることは大事」 自身の年齢について問われると、照れ笑いを浮かべながらも自信は揺らがない。 「年取ったのに(笑)。でも、フィジカルが衰えてても感じさせないメンタリティでやれている。まだまだ伸びている自信はあります。おじさん、まだまだ頑張ります」 アキレス腱断裂という選手生命を揺るがす大怪我から1年。本来ならキャリアの下降線に入っていても不思議ではない33歳が今、代表で一段階上の存在感を放っている。 「自分が出るからにはゼロで終わらせてチームを勝たせる。それは毎試合こだわってます」 2026年――日本代表の最終ラインを束ねるのは誰か。「谷口彰悟」という答えは、確かに現実味を帯び始めている。 取材・文=北健一郎 2025.11.19 01:35 Wed
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菅原由勢はアピールに“失敗”したのか?右のスペシャリストが45分で表現したもの

キックオフ直後から、気合という燃料を積んでいることは明らかだった。このチャンスを、モノにしてやるんだ。攻守両面でのアグレッシブなプレーから、この試合に懸ける思いは全身から溢れ出ていた。タフに右サイドを守りながら、同学年のMF久保建英と一緒に決定機も演出した。サイドバックを本職とする選手が生み出すハーモニーが顔を覗かせていたからこそ、後半開始のピッチに背番号2の姿がなかったことに驚き、ガッカリしてしまった。 誰よりも落胆していたのは本人だろう。もっとプレーしたかった。まだまだアピールしたかった。あの時、ああいう選択をしていれば──。後悔に似た気持ちは、自分の中を隅々まで探せばキリがないかもしれない。 それでも、試合後のミックスゾーンで悔しさに引っ張られている様子はあまり感じられなかった。下を向いて言葉を探す場面も少なくはなかったが、要所要所で顔を上げ、成長や向上を誓っていた。その瞳は真っ直ぐで、力強いものだった。 DF菅原由勢が日本代表の先発に名を連ねたのは、約8カ月ぶりのことだった。前回は2025年3月25日に行われたW杯アジア最終予選の第8節サウジアラビア代表戦まで遡る。その後は代表の常連とは言えない時期を過ごした。9月の北米遠征では招集されるも、プレータイムはアメリカ代表戦で後半から途中出場した18分のみ。ブラジル代表を撃破した10月シリーズでは招集されなかった。今回の11月シリーズでは、初戦のガーナ代表戦で出場機会を得るも、68分からのプレーであり、すでに2-0と勝負が決まっている状況だった。 失意のベスト8に終わったAFCアジアカップ2024以降、システムが4バックから3バックに変更した影響もあり、明らかに出場機会を減らしていた。カタールW杯後の第二次森保ジャパン発足時、右サイドバックという本職のポジション自体がなくなることを想像していただろうか。敵地でのドイツ代表撃破にもアシストで貢献していただけに、、まさか「当落線上」という言葉が付き纏うことになるとは……。 生き物のように変化が目まぐるしい代表チームで、もう一度、自分の居場所を確保するために──。5万人以上が駆けつけた国立競技場でのボリビア代表戦、キックオフの笛がピッチ内にいる自身の心臓を震わせた。 ■先制点を生んだ堅守 開始直後に左サイドでボールの奪い合いが発生する中、右サイドのタッチライン沿いに立ち、両手を広げてボールを呼び込む。GK早川友基からのハイボールに対し、フルパワーで落下地点に向かって走る。目の前の相手に構うことなくジャンピングヘッドを狙う。わずかにボールに当たらなかったが、最後尾に向かって親指を立てた。 意気軒昂と右サイドを走ると、開始早々の4分のことだった。 FW小川航基からのパスを目の前で相手選手にカットされたが、すぐさま右足を踏ん張り、一気に寄せた。持ち上がりを阻むだけでなく、左半身側からの密着マークで中央へ誘導。その先にいたMF遠藤航がボールを回収した。そしてMF久保建英に縦パスが入り、MF鎌田大地の先制点が生まれた。 「相手がけっこう縦に蹴ってくるという分析があったので、縦の選択肢を切った。そうなった時、中にもドリブルするという癖もあったので。誘いながら、うまく来てくれて、(遠藤)航くんとの距離感も良かったので、良い形で守備はできたのかなと思います」 電光石火の先制点を生み出す舞台を整えた狙い通りの守備は、横のスライドを駆使し味方と連携して守るサイドバック本職の選手らしいプレーでもあった。 「まずは個人で勝っていくところが大前提ですけど、ハメに行く中では素晴らしい相手だった。組織で守ることも同時にやっていかなきゃいけない中では、良い距離感でやれたと思います」 5バック時のウイングバックは、縦スライドを駆使して目の前の相手の突破を阻むという個人での守備力を求められる場面が多い。しかし、4バック時のサイドバック経験が豊富な菅原だからこそ、攻撃に出ようとしたところからの守備対応にもかかわらず、臨機応変に賢く守ることができた。 ■クロス光るも、前半45分で無念の交代 幸先よくチームに貢献した後も、積極的なプレーを続けた。切磋琢磨し共闘してきた同世代の久保と一緒に、プレッシャーを掛けていく。苦し紛れのロングボールを蹴らせた時には、テクニカルエリアの森保監督も拍手を送っていた。15分には縦パスを受ける相手選手のトラップ際にガツンとアプローチ。ファウルと判定されたが、指揮官の目の前でファイトした。 「サイドバックの選手なので、そこでやられていたら、自分の存在価値はないと思っていたので。そこはしっかりやろうとは思ってました」 そして、23分には真骨頂を発揮する。同学年のDF瀬古歩夢からのサイドチェンジに反応すると、久保の落としを収め、右サイドのスペースに抜け出す久保へ絶妙なスルーパスを出す。そのまま久保を猛然と追いかけ、外側から追い越してリターンパスを受け、ワンタッチでクロス。ニアに飛び込んだ小川の頭にピタリと届けた。惜しくもシュートはクロスバーを叩いたが、座席から身体が浮くような決定機を作り出した。 しかし、その2分後には後ろから相手選手を倒してイエローカードを提示された。「ヨーロッパの試合でもそうだし、ああいう部分でカウンターを防ぐとか、前に運ばれて相手が勢いづくというのを考えたら、止める判断をして、僕は今良かったと思っています」と口にしていたが、その直前のプレスを掻い潜られた場面では背中と正面に相手選手が1人ずついる中で後ろのサイドハーフを捨てて前に出る選択をしていた。一瞬の迷いやプレスのオーガナイズの部分で後手に周り、ワンタッチで剥がされ、ボールは一度捨てたサイドハーフの選手のもとへ。プレスバックして追いかけたのは集中していたが、自分のけつを自分で拭くことは回避できたかもしれない。 警告が理由だったかどうかは断言できないものの、前半45分のみで交代となった理由に結びつけることもできてしまう。本大会では勝利のために汚れ仕事を請け負わなければならない状況があるかもしれないが、少しでも多くアピールしたい現状において適切だったとは言い切れない。 「(交代の理由は)監督に聞いてみないとわからない。もちろん試合に勝つためにオーガナイズしていかなきゃいけないというところで、いろいろな理由はあると思いますけど、自分がもっと良いパフォーマンスをしていたらもう少し出れたなというのはあるので、まずはしっかりと試合を見て振り返って反省したいなと思います」と冷静に自分を見つめていた。 「クロスまで行けてるシーンもありましたし、あんまりネガティブじゃないかなと思っています」と45分を振り返ったように、自分のプレーを出せていた感覚はあったはず。その中で、ハーフタイムに唯一の交代。不完全燃焼という言葉がよぎるし、後半にもっとギアを上げてアピールしたかったに違いない。立場を想像すれば、唇を噛みちぎりたくなってしまう。 ■自問自答の連続で、本大会へ しかし、菅原はヤワではない。試合後は同ポジションのライバルであるMF堂安律と抱擁し、健闘を称えていた。その姿に負の感情はないように見えた。W杯本大会まで残すところ5カ月。弱音を吐き、後ろを振り返る時間はない。自分のすべきことは明確だから。 「最終予選からチームとしての形を試してやってきて、素晴らしい結果を手にしているし、その中で自分の立ち位置はわかっている部分もある。ナーバスにならずに、自分の良さを見失わずに、しっかりとチームでやることが大事。自分を良くするために毎日、謙虚に、小さいことも積み重ねながらやっていくことが大事だと思います。代表が、代表がという見方じゃなくて、チームがあっての代表というのは間違いない。今は僕自身もチームで信頼して使ってもらっている部分があるし、自分がやれている部分も課題の部分も試合に出ながら学べている。チームで試合に出ること、出た時にしっかりと自分の存在価値をチームでも見せていくことが代表につながってくると思います。とにかく、自分自身が成長して良い選手になれば、自ずと代表での立ち位置もチームでの立ち位置も変わってくるので、毎日毎日自分と向き合って、自分に負けずにやっていくことが大事だなと思います」 強みのクロスで決定機を作ったという事実に驕るつもりもない。求めているのは、ハッキリとした結果だから。 「入る時もあれば入らない時もあるし、あれを続けていくことが大事だと思う。紙一重のところを合わせていく作業は、自分自身、チームでもやらなきゃいけないし、もっともっとプレーの精度や質は上げられる部分があると思うので。ただ、結果が出る出ないというのは、その時の運もあるんでね。しっかりと日頃から自分を見つめ直して続けていくことが大事だと思います」 右ウイングバックは堂安、伊東純也に加え、望月ヘンリー海輝も成長中で、鈴木淳之介もプレー可能だろう。ライバルとのメンバー争いは熾烈を極めている。もう一度チャンスを得るためには、自問自答を繰り返しながらブンデスリーガの舞台を戦っていくしかない。その先にW杯本大会のピッチがあると信じて。茨の道であっても、菅原由勢は力強く歩み続ける。 取材・文=難波拓未 2025.11.20 21:00 Thu
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「奪って、つないで、また走る」。佐野海舟がガーナ戦で見せた超回収力と新中盤像

ガーナ代表との一戦で、ピッチを支配したのはMF佐野海舟だった。MF南野拓実の先制ゴールを導いたボール奪取とラストパス。MF久保建英が真っ先に駆け寄ったのは、決めた南野ではなく、その起点となった背番号21のもとだった。日本代表復帰から約半年。彼はいま、ボランチ争いで一歩抜け出そうとしている。 ■奪って、前へ。南野の先制点を生んだ“縦への意識” 前半26分。相手陣内の高い位置で、MF佐野海舟は迷いなく飛び込んだ。 相手のパスを読み切り、身体を滑り込ませてボールを奪うと、そのまま前方へ持ち上がる。ペナルティーエリア手前の右から放った横パスはMF南野拓実の足元へ。冷静にゴール右隅へ流し込んだ南野の背後で、MF久保建英が真っ先に走り寄った先は──佐野だった。 「ボールを奪ってから、前にスペースがあったので、うまく運べました。拓実くんがいい動き出しをしてくれたので、迷わずパスを出しました」 その言葉にあるのは、攻撃意識の変化だ。ブラジル代表戦、パラグアイ代表戦ではボールを奪っても後方に下げる場面が多かった。だが、この試合は、縦へのスイッチを入れる瞬間を逃さなかった。 「前半は簡単なミスもあったけど、そこを修正する方が先」と冷静に振り返る姿勢に、地に足の着いた成長がにじむ。 この日、森保ジャパンはマンツーマンを軸にした守備戦術を採用。誰が誰を見るのか、責任を明確にするスタイルだ。佐野のタスクは、ガーナの司令塔MFクワシ・シボを封じること。「奪って、前へ」のリズムを作るには、まず相手の呼吸を止める必要があった。 「ファウルに見えないように、ならないように、もう一歩早く行くことを意識していました」 その言葉どおり、予測とタイミングで勝負する。相手が前を向く瞬間にはすでに足を差し込み、ボールを刈り取る。久保や南野の輝きを支えていたのは、ボールハンター・佐野だった。 ■日本代表での「地位が上がったとは思っていない」 2024年7月、佐野は一度、代表から姿を消した。世間の視線は厳しかった。だが約1年後、森保ジャパンに戻ってきたとき、佐野のプレーには凄みが増していた。ブラジル戦で歴史的な勝利に貢献し、アフリカの強豪ガーナ戦ではMOMとも呼べる働きを見せた。 W杯を半年後に控えて、日本代表のボランチは再編期を迎えている。 第二次森保ジャパンでは、キャプテンのMF遠藤航とMF守田英正のダブルボランチが“不動”だった。しかし、遠藤はリバプールでクローザーとしての起用が増え、守田は怪我の影響で出場機会が限られている。 そんな中、クリスタル・パレスを牽引するMF鎌田大地の相棒候補として、佐野海舟の名前が浮上した。運動量、対人の強さ、そして前への意識。佐野の存在は、遠藤・守田の時代から次のフェーズへ移るチームの象徴でもある。 ただし、チーム内での立ち位置について問われると、首を横に振った。 「地位が上がったとも思っていません。自分のやるべきことを続けていくしかない。毎回の活動で課題が出て、それをチームに帰って修正して、また次へ。うまくいかないときにどう立て直せるかが大事だと思います」 ボランチの“一番手”を争う位置に立った今も、慢心とは無縁なのだ。 ボールを回収する力はもちろん、失われた信頼を一つずつ取り戻していく姿勢が、チームにエネルギーを与えている。奪って、つないで、また走る。その地道な積み重ねの先に、森保ジャパンの新しい中盤像が見えてくる。 取材・文=北健一郎 2025.11.15 13:30 Sat

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