大岩ジャパン国内最後のテストマッチが終了/六川亨の日本サッカーの歩み
2024.03.26 10:00 Tue
大岩ジャパンの集大成となる国内最後のテストマッチが終わった。あとは来月カタールへ乗り込んで、まずはグループリーグを突破。そして上位3カ国に入ればパリへのキップを手にすることができる。とはいえそれが、簡単な道のりではないことを再認識させられたテストマッチ2試合だった。
U-23ウクライナ戦こそ2-0の勝利を収めた。しかし対戦相手は全員が“国内組”。ルスラン・ロタン監督自身「本来は海外組を招集したかったが、それは難しかった」と、五輪チームへの選手の招集には強制力がないことを指摘した。これは世界共通の悩みのタネだけに仕方がないだろう。ましてヨーロッパ勢は五輪にさほど価値を見いだしていない。
このため今回来日したウクライナも、スペシャルなストライカーやパサー、ドリブラーのいない平凡なチーム。国内は戦争状態に陥っているだけに、強化が思うように進まないのも仕方のないところ。それでも真面目に、フェアに闘う姿勢は清々しさすら感じた。
そんなウクライナに対し、日本は久々に代表へ復帰したFW荒木遼太郎が“違い”を見せた。前線に張るのではなく、バイタルエリアにちょっと下がってプレーを開始することでプレッシャーを避け、得意の右足シュートでウクライナ・ゴールを脅かした。もう一人の代表復帰組であるFW染野唯月は前線で張ることが多かったため、東京Vで見せているようなゴールへの嗅覚を発揮することはできなかったのは残念だった。
攻撃陣はそれなりにJリーグでポジションをつかんだ選手が増えて層の厚みが増した印象を受けた。MF小見洋太は後半33分からの出場にとどまったが、もう少し長く見たい選手。その一方で、五輪のエースストライカーと期待される細谷真大はアジアカップ以降、ちょっと精彩を欠いているというか、自信を失っているように感じられてならない。持ち味である強引な突破が陰を潜めている印象だ。
思い起こせば96年アトランタ五輪と2008年北京五輪はOA枠を使わなかったが、12年ロンドン五輪(吉田麻也、徳永悠平とGK林彰洋)以降、16年リオ五輪(塩谷司、藤春廣輝とFW興梠慎三)、そして21年東京五輪(吉田麻也、酒井宏樹、遠藤航)と五輪代表はOA枠で守備的な選手をいつも起用してきた。
これも日本サッカーの新たな問題点として検証しつつ、JFAとJリーグは解決策を探す努力をすべきではないだろうか。そしてパリ五輪予選で手遅れにならないといいのだが……。
U-23ウクライナ戦こそ2-0の勝利を収めた。しかし対戦相手は全員が“国内組”。ルスラン・ロタン監督自身「本来は海外組を招集したかったが、それは難しかった」と、五輪チームへの選手の招集には強制力がないことを指摘した。これは世界共通の悩みのタネだけに仕方がないだろう。ましてヨーロッパ勢は五輪にさほど価値を見いだしていない。
このため今回来日したウクライナも、スペシャルなストライカーやパサー、ドリブラーのいない平凡なチーム。国内は戦争状態に陥っているだけに、強化が思うように進まないのも仕方のないところ。それでも真面目に、フェアに闘う姿勢は清々しさすら感じた。
攻撃陣はそれなりにJリーグでポジションをつかんだ選手が増えて層の厚みが増した印象を受けた。MF小見洋太は後半33分からの出場にとどまったが、もう少し長く見たい選手。その一方で、五輪のエースストライカーと期待される細谷真大はアジアカップ以降、ちょっと精彩を欠いているというか、自信を失っているように感じられてならない。持ち味である強引な突破が陰を潜めている印象だ。
それでも充実しつつある攻撃陣に比べ、ダブル・ボランチ(藤田譲瑠チマと松木玖生)と両SBはともかく、CB陣の人材不足、というか経験不足は明らかだ。これは大岩ジャパンだけでなく森保ジャパンにも共通した悩みのタネでもある。
思い起こせば96年アトランタ五輪と2008年北京五輪はOA枠を使わなかったが、12年ロンドン五輪(吉田麻也、徳永悠平とGK林彰洋)以降、16年リオ五輪(塩谷司、藤春廣輝とFW興梠慎三)、そして21年東京五輪(吉田麻也、酒井宏樹、遠藤航)と五輪代表はOA枠で守備的な選手をいつも起用してきた。
これも日本サッカーの新たな問題点として検証しつつ、JFAとJリーグは解決策を探す努力をすべきではないだろうか。そしてパリ五輪予選で手遅れにならないといいのだが……。
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「高校生相手にはぶっちぎりたい」卒業後はサウサンプトン行きの高岡伶颯、良きライバルでG大阪内定のFW名和田我空に言及「刺激を与えていきたい」
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またも越えられなかった世界の壁、得点前に日本代表に仕掛けられたオヤルサバルの“ワナ”と判断/日本代表コラム
あと一歩だが、その一歩が遠いということを今回も味わうこととなってしまった日本。それが世界との間にある、まだ埋められない差なのだろう。 3日、東京オリンピック男子サッカー準決勝。53年ぶりのメダル獲得を目指すU-24日本代表は、金メダル候補筆頭のU-24スペイン代表との一戦に臨んだ。 下馬評は完全にスペイン有利。ユーロ2020にも出場した6選手や、ヨーロッパの高いレベルでレギュラーを張る選手ばかり。市場価値で見ても7倍もの差がある相手だった。 正直なところ、日本に関係する人以外は、スペインが勝利するものだと思っていただろう。日本が善戦するとすら思われていなかったかもしれない。延長戦に行ったことすら予想外と思う人も多いだろう。 共に準々決勝は120分間の戦いを強いられた。スペインはスコアこそ5-2となったが、90分の戦いではほぼ負けていた。そこから奇跡を起こし延長戦へ持ち込み、相手のミスに乗じて得点を重ねた。 一方の日本は、U-24ニュージーランド代表の堅い守備の前にゴールを奪えず。しっかりと相手の攻撃に対応して戦ったが、延長戦ではあわやというシーンを作られるなど、なんとか凌ぎ、PK戦で準決勝に駒を進めた。この時点で両者には差があったとも言え、そこが決勝への道を逃した差とも言えるだろう。 <span class="paragraph-title">◆スペインを苦しめたという事実</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2021/jpn20210804_1_tw.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> 準決勝の日本の戦いぶりは世界を驚かせたと言えるだろう。試合は終始スペインがボールを握り、主導権を掴んだまま推移した。日本は基本的に自陣でのプレーが続き、スペインの攻撃を耐え忍んだという状況だ。 この日は、DF吉田麻也、DF板倉滉、GK谷晃生と中央を守る3名が集中したプレーを継続。その他の選手たちも、ボールを奪いに行くチャレンジとカバーリングを的確にこなし、スペインに決定機をほとんど作らせない試合運びを見せた。 攻撃と守備。両者の構図がこうなることは予想でき、それが今の実力。いかに耐えて、少ないチャンスをモノにできるかしか、日本の勝機がなかったのは織り込み済みだった。 そういった点では、失点した115分まで守り抜いたことは評価すべきだろう。一度はPKの判定となった吉田のファウルも、正当なタックルだったが、VARがなければPKだった。ミスからFWラファ・ミルが決定機を数回迎えたが、GK谷の素晴らしい判断でゴールを許さなかった。 一方で、攻撃面ではゴールが生まれそうなチャンスは120分を通して数える程。特に後半と、延長戦でカウンターから何度かチャンスを作りかけたが、簡単には割らせてくれなかった。ゴールを決められるかどうかという部分では、やはりスペインが一枚手。そこが埋め切れない差となったことは紛れも無い事実となった。 <span class="paragraph-title">◆思い出される3年前</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2021/jpn20210804_2_tw.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> あと少しでPK戦に突入するかと思われたタイミングでのFWマルコ・アセンシオのゴール。あのシーンを見て思い出されるのは、2018年のロシア・ワールドカップ、ラウンド16のベルギー代表戦だろう。 原口元気、乾貴士のゴールで2点を先行した日本だったが、高さを生かしたプレーに切り替えたベルギーの前に2失点。それでも粘り強く戦い、3点目を許さずに戦っていた。 誰もが延長戦にもつれ込むと思った中、試合の最後に悲劇が。日本のCKを相手GKティボー・クルトワにキャッチされると、そこからベルギーはカウンターを発動。そのままナセル・シャドゥリが決め、3-2でベルギーが逆転勝利した。まさに、似たような展開が、東京五輪の準決勝でも起こってしまった。 あの悔しさを3年越しにまた経験してしまった日本。決して成長していないということを言いたい訳ではない。しかし、それが世界との差であり、3年が経過して90分ではやらせなかったが、120分ではやられてしまったというのが事実だ。 ただ、この試合の審判はあまりプレーを流さないというジャッジングだった。吉田が一度はPKを取られたシーンも、こぼれ球をラファ・ミルが拾っており、そのまま流されていたらゴールだった可能性はある。 一方で日本もやり返すチャンスがあり、後半終了前のラストプレーではMF堂安律がドリブルで中央突破。完全に相手のMFマルティン・スビメンディが後ろから両手で掴んで止めたシーンがあった。 このシーン、堂安が倒された場合でも、MF久保建英、FW上田綺世がおり、日本の人数は足りていた。プレーが流されれば、もしかしたら日本がカウンターを完結させられていたかもしれない。タラレバにはなるが、ジャッジを流そうというプレーを選択できていればというシーンだった。スビメンディの必死な止め方を見れば、スペインも追い込まれたという感覚を持ったプレーだっただろう。 <span class="paragraph-title">◆一瞬の隙を仕留めるスペインの真の力</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2021/jpn20210804_3_tw.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> 「全て出し切った」と試合後に久保はコメントした。それは本心だろう。互角に渡りあえたというよりは、なんとかスペインについていったという形。日本は無理をしなければ、同等レベルでは戦えないということだろう。 もちろん、スペインの選手に余裕があったとは思わない。ただ、攻め続ける側と守り続ける側では、やはりかかる負荷は異なる。そこから日本が押し出して、攻撃に転じられなかったというところもまだまだ力の差があるということだ。 では、あの失点はなぜ起こったのか。ゴールを決めたアセンシオのシュートも褒められるべきだが、ポイントはその前のプレー。FWミケル・オヤルサバルの仕掛けだろう。 失点シーンを振り返ると、スローインを受けたオヤルサバルが縦に仕掛けると、DF中山雄太とMF田中碧が寄せに行く。その中山がマークしていたアセンシオは中山が前に出ようとしたことを受けて後ろに下がると、オヤルサバルが間を通してパス。アセンシオはターンしたまま左足を振り抜いた。 これにはMF遠藤航も慌てて寄せに行くが間に合わず、DF板倉滉もアセンシオに寄せに行けなかった結果がゴールとなった。 このゴール。集中していた日本のDFが気を抜いたのかと言われればそういうわけではないだろう。カバーリングが遅れたが、それには布石があった。 ゴールが決まる1つ前のプレーでオヤルサバルが右サイドを突破したことがカギだと考えられる。 スローインになる前、オヤルサバルが右サイドを突破した。中央へ折り返したが、これは通らず。日本がクリアした。このシーンが印象づいた結果、得点シーンではオヤルサバルがスローインを受けた後、縦への突破からのクロスを警戒したはずだ。 その結果、アセンシオについていた中山がオヤルサバルの縦を切りに行こうとしたが、その間を通されてアセンシオにパスを通されたのだ。 もちろん、中山の判断が間違ったとは言えない。オヤルサバルについていってもパスは出されていただろう。田中がついていっ多としても、間に合った可能性は低い。オヤルサバルがボールを持った時にアセンシオがマークを外し、自身がシュートを打てるポジションを取った。それを見たオヤルサバルが冷静にパスを通した。個人の技量もあるが、チームとしてオートマチックに動け、それを共有したプレー判断の結果だと言える。 日本はチームとして戦い抜いて、粘りを見せて115分間は耐えた。しかし、それを上回るチームプレーを見せ続けたのはスペイン。さらに、局面での個の能力でも上回った。まだまだ世界との差はあるというのが事実だろう。 オリンピックはあくまでも世代別の戦い。メダルを目指して戦うことは当然だが、サッカー界で言えばワールドカップこそ頂点。1年半後の戦いで日本は何を見せられるのか。2018年、2021年と世界との差を土壇場で味わった選手たちのここからの奮起に期待するとともに、9年前のロンドン・オリンピックのようにならず、しっかりと銅メダル獲得を果たしてくれることを願うばかりだ。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2021.08.04 18:15 Wed2
20歳の誕生日を迎えた久保建英がFC東京・長谷川健太監督に感謝、20歳の意気込みは「大人のサッカー」
U-24日本代表は、5日に控えるU-24ガーナ代表戦に向けた前日練習に臨んだ。 3日、ジャマイカ代表の来日が遅れたことで、日本代表と急遽試合を行うこととなったU-24日本代表。中1日で福岡に移動し、ガーナ戦に備える中、北海道・東北地方での暴風雨により福岡への移動に支障が起きた。 U-24日本代表は急遽、札幌ドームのウォーミングアップ場でトレニングを実施。時間を遅らせてのフライトとなり、明日のガーナ戦の地である福岡へと向かった。 メディアのオンライン取材に応対したMF久保建英(ヘタフェ)は4日が20歳の誕生日。代表合宿ではチームメイトから手荒い祝福をされることが多いが「今のところ大丈夫です」とまだ被害を受けていないとコメントした。 今回は急な試合に始まり、この日は移動が予定通りにいかないこととなった。この状況については「ポジティブに捉えていると思います」と語り、「こういう状況に本番じゃなく、本番前に想定できることは自分たちにはポジティブに働くかなと。明日が大事なので、明日に向けて逆算していかに戦えるかが試されていると思います」と語り、不測の事態にどう対応できるかが測れる良い機会だとした。 改めて昨日のA代表との試合については「チームとしては急遽試合が決まって、明日も試合があるので、思ったようなスケジュールではないというか、過密日程のなかで1つ組み込まれてしまったという感じです」とコメント。それでも「自分たちもできる限りのコンディションで臨もうとしましたが、その中でやっぱり急遽決まった試合で、メンバーもあまり決められずにというか、5日をイメージした中でコンディションが良かったメンバーが試合に出たと思います」と語り、コンディションが優先されたと語った。 ただ、良い機会だったために悔しさも露わにし「その中では折角の対決だったので、しっかり準備して100%で臨みたかったという思いはあります」とコメント。自身のパフォーマンスについては「個人的には手応えもありましたし、全然やれていないということもなく、なんならいつも練習している人たちが相手だったので、自分が壁を感じることなくやれたと思いますけど、結果で3-0で負けたことは個人的には悔しかったです」と、個人のパフォーマンスには満足感を示すも、結果として負けたことを悔しがった。 明日はU-24ガーナ代表との試合。アフリカ勢との試合となるが「初戦の相手が南アフリカで、仮想ということで組んでもらっているので、しっかり自分たちがアフリカ勢にどう対応するかを含めて、本番が近づいているのでそれを想定しているのではないかなと思います」とコメント。アフリカ勢に対してのポイントは「最近はアフリカの選手も万能で、僕たちの上位互換のような選手が何人もいますが、全体的には飛び込んでくる選手が多いなと経験から感じています」と語り、「敢えてボールを晒したり、ワンフェイント多めに入れようかなと意識しています」と、攻略法も明かした。 また、メンバーにはヘタフェで共にプレーしたMFサビト・アブドゥライが招集されている。アブドゥライについては「さっきも連絡を取りました」と語り、「個人的に仲が良くて、彼が免許なくて僕が車で迎えに行ったりする仲です。来るなら連絡くれよと言っていて、連絡をもらいました」と、互いに意識する仲のようだ。 スタイルについては「謙遜していましたが、何試合か一緒にやって、メッシ選手を潰したり臆することなく、球際もすごく強いです、練習からもバチバチやっていました」と強度の高いプレーをする選手だとし、「ヘタフェを象徴するような選手です。臆することなく自分たちも正面からぶつかることが大事だと思います」と、しっかりと向き合わないと痛い目に遭う可能性が高い相手のようだ。 この日20歳になった久保。改めて20歳になったことについては「まだあまり実感ないですけど、明日の試合から20歳で1つギアを上げて。19歳ではないので、20歳なので大人な自分をピッチ内で見せられればと思います」と、20歳になってすぐの試合に意気込みを語った。 久保の言う大人のサッカーとは「簡単にいうと、経験だったりとか、昨日の試合を途中から見ていて遠藤選手が入って落ち着いたとか、自分ならここに1人入って欲しいなというところにスッと入って前を向いてくれて、つけてくれたり、しっかり試合でどういうプレーするのかを頭に入っていると思います」とオーバーエイジとしてプレーしたMF遠藤航のプレーを挙げ、「時間帯を考えたりチーム全体を俯瞰してゲームを見るとか、余裕を持ってプレーすると言っていますが、個人だけでなく、チームの流れや時間帯を考えた余裕が大人だと思いました」と、より俯瞰で試合に絡めるようになりたいと語った。 また、FC東京の長谷川健太監督が20歳を迎えた久保にエールを送っていたが、久保にとっての長谷川監督は「自分は健太さんに選手として大きくしてもらいました。辛いことも意見が食い違うことも、健太さんの要求に自分が応えられないこともありました」と、想いを語った。 さらに「自分は18歳の誕生日でヨーロッパに行きたいという考えがあって、そのためには18歳の年に出られなかった諦めようと考えていた中で、監督がプレシーズンでチャンスをくれて、プレシーズンで結果を出せば今シーズンは使ってやると言われて、それに自分が応える事ができて、そこから東京で成長できました」とFC東京時代を回想。「結果として東京のチームを離れることになりましたけど、感謝しかないですし、健太監督に自分は大きくしてもらったと思っています」と感謝の気持ちを述べ、「監督が喜んでくれるような選手になることが恩返しだと思います」と世界で活躍する事が恩返しになるとし、改めて意気込みを語った。 2021.06.04 21:35 Fri3
VAR判定は完璧ではない/六川亨の日本サッカー見聞録
人はみな、大人であれ子供であれ、新しいアイテム(玩具)を手に入れれば使いたくなるのは当然だ。人間の性とも言っていいだろう。それが個人的な趣味の範囲にとどまっていればいい。ところが人生を左右しかねないとなると大問題だ。 ここまで書いたら何を言いたいのか、お分かりの読者もいるかもしれない。そう、U-23アジア選手権で導入されているVAR判定だ。 U-23日本は初戦のサウジアラビア戦、第2戦のシリア戦、そして昨日のカタール戦と3試合で4回のVTR判定を経験した。そして、そのうち3回がPKを取られ、1回は田中碧の1発退場という、勝敗の行方を左右する極めて厳しいジャッジだった。 とりわけカタール戦のVAR判定は、記者席に設置されたモニターで確認しても、田中碧が一連のプレーの流れでマイボールにした際に足を着いたところ、相手の足がたまたまあったため踏んでしまったように見えた。齊藤未月のプレーも、相手はシュートモーションに入っていたが、先にボールにアプローチしたのは齊藤だった。その結果、相手は齊藤のふくらはぎを蹴って転倒したにすぎない。キッキングで日本にFKが与えられてもおかしくないシーンだった。 とはいえ、一度下った判定は覆らないことは百も承知だ。それでもあえて苦言を呈したいのは、VARは完璧ではないということだ。というのも、VARを運営するのは人間であり、人間は間違いを犯すからに他ならない。 J1リーグは今シーズンから初めてVARを導入する。本来は人材を育成するため来シーズンから導入予定だった。というのも、韓国のKリーグは一昨シーズンから導入したものの、不慣れな運用からミスジャッジが多かった。このためJリーグは慎重を期し、VARとアシスタントVARの育成に時間をかける方針だった。 しかし育成は順調に進み、1年前倒しで導入できるようになった。もちろん導入してみて、様々なトラブルが発生するかもしれない。しかし、こればかりは実践を重ねるしかない。 そして今大会のVARである。 スタートリストにはVARとして中国人の審判が、アシスタントVARとしてイランとマレーシアの審判が務めた。中国のスーパーリーグと、イランやマレーシアの国内リーグがJ1リーグより先にVARを採用していて、VARの先進国かどうかはわからない。あるいはAFC(アジアサッカー連盟)で研修を重ねたのかもしれない(昨年のアジアカップで準々決勝以降に初めて導入)。 ただ、Jリーグより進んでいるとはどうしても考えられない。そこで、カタール戦のVARによるレッドカードとPKも、素直に承服できないのだ。 それというのもシンガポール人の主審は自らVARを要求したのではなく、いずれのプレーもノーファウルだった。そこでVARからのリクエストで判定することになったが、齊藤のPKになったプレーは、本来なら主審がOFR(オンフィールドレビュー=主審による映像確認)をしてからファウルかノーファウルかジャッジを下すべきである。 ところがOFRをすることなく主審はPKを宣告した。本来なら、VARはアドバイスで主審をサポートするのが本来の役目であり、ジャッジの決定権はない。最終判断を下すのは、あくまで主審である。しかしPKのシーンは、その立場がまるで逆転しているように感じられた。 日本は2つのVAR判定に関して公式な見解を求めるべきだろう。そしてAFCは、今大会終了後、すべてのVAR判定について正確なジャッジが下されたのかどうか検証する義務がある。例え時間がかかっても、それは公表し、各国が情報を共有できるようにするべきだろう。 2020.01.18 21:30 Sat4
松木玖生の最適なポジションは?/六川亨の日本サッカーの歩み
今月16日、AFC U-23アジアカップ カタールの初戦、中国戦からパリ五輪出場権獲得のチャレンジが始まる。前回のコラムでも、DF陣の経験不足は否めないものの攻撃陣のタレントはバリエーションに富んでいて期待できるという原稿を書いた。そして先週と今週のJリーグを取材して、FC東京の松木玖生の新しい一面を見ることができて、その期待はさらに高まった。 松木といえば、青森山田高時代から、強靱なフィジカルと体幹の強さを生かした球際での勝負強さ、豊富な運動量と労を惜しまない献身的なプレーでチームに貢献してきたし、それはFC東京でも変わらない。そしてボランチのポジションから、時には意外性のある攻撃参加でゴールを決めたり、左足のロング、ミドルシュートで相手ゴールを脅かしたりしてきた。 そんな松木が、4月3日のJ1リーグ第6節の浦和戦では、荒木遼太郎と2トップに近い形で前線に起用された。すると、トップに張るのではなく変幻自在に左右に流れたり、落ちてきたりする荒木との絶妙のコンビネーションで攻撃陣をコントロール。とりわけ左サイドのFW俵積田晃太とSBバングーナガンデ佳史扶との相性は抜群で、意外性のあるパスで彼らの攻撃参加を引き出していた。 アウトサイドにかけたスペースへの絶妙なパスには「こんな技巧的なパスが出せるんだ」と感嘆してしまった。 試合は0-1とリードされた後半、左サイドで俵積田、佳史扶とつないだパスから荒木が同点弾。さらに松木のサイドチェンジを受けた俵積田のクロスをゴール前に走り込んだ松木がボレーで決めて逆転勝利を収めた。 そして4月7日の鹿島戦では、荒木がレンタル移籍のため起用できないものの、1トップに入った仲川輝人とトップ下の松木は好連係から難敵・鹿島に2-0の完勝を収めた。絶えずボールに触るわけではないが、効果的なサイドチェンジやスルーパスで味方を使う。これまでは、どちらかというと『使われる選手』と思っていたが、そのイメージは一新した。 先制点は左サイドからのふわりと浮かしたニアへのパスで仲川の今シーズン初ゴールを演出。そして後半アディショナルタイムにはMF原川力のヘッドによるインターセプトからのタテパスを簡単にさばいて2点目をお膳立てした。いずれも「肩の力の抜けた」ようなアシストに、松木の“変化"を感じずにはいられなかった。 彼をボランチからトップ下にコンバートし、前線には荒木を起用して松木の飛び出しを演出したピーター・クラモフスキー監督の采配は賞賛に値する。やっと1トップのドリブル突破任せのパターン化された攻撃スタイルから脱却できそうだ。 そんな松木を大岩剛監督はどのポジションで使うのか。攻守に効果的な選手だけに、使い出もあるだろうが、できれば攻撃的なポジションで使って欲しいところである。 2024.04.08 22:25 Mon5