8発快勝のなでしこジャパン「暑さに対してしっかり準備できるように」、高倉麻子監督「選考では頭が痛い」

2021.06.10 22:35 Thu
©超ワールドサッカー
なでしこジャパンの高倉麻子監督がウクライナ女子代表戦を振り返った。

なでしこジャパンは10日、ウクライナと国際親善試合で対戦。気温33,1度のなか、15時15分にキックオフするという厳しい条件での試合の中、5分に塩越柚歩が初ゴールを記録し日本が先制。その後も岩渕真奈宝田沙織のゴールなどで前半で4-0とする。
後半に入っても攻撃の手を緩めなかったなでしこジャパンは、岩渕や途中出場の杉田妃和田中美南籾木結花とゴールを重ね、8-0で快勝を収めた。

試合後、高倉監督は対戦相手と試合を実現させてくれた関係者に感謝。また、試合を総括した。

「このような状況でゲームができたこと、関わってくださった方に感謝しています。ウクライナも遠くから来ていただき、ファイトしてくれたと思います」
「序盤、大きさや間合いの違いというところで、自分たちのエンジンのかかり具合も少し遅く、何回かピンチを招きましたが、選手たちが修正をかけて、点を重ねてくれました。うまくゲームをコントロールして試合を進められたと思います」

「相手が引いてくることで、どう点を取るか。選手同士がコミュニケーションをとって、色々な選手たちが得点に絡んでくれたことは収穫です」

「選手がしっかり自覚を持って修正してくれたので、ゲーム全体として攻守にわたって、ゲームをコントロールできたことが非常に収穫でした」

以下、質疑応答。

ー歯ごたえのある相手が良かったのではないか

「世界一を決める戦いに我々は進むことになるので、FIFAランキングも上位のチームと戦いたいというのはありますが、このような状況で試合ができるだけでもありがたいと本当に思っています」

「矢印は全て自分たちに向けて、プレーの質にこだわって、自分たちのサッカーのレベルを大事に一分一秒と考えています」

ー厳しい環境下での試合となった。オリンピックでは味方になると思うが

「季節の変わり目で3時15分キックオフで、私もグランドに立っているだけで非常に暑かったですし、選手たちもエンジンがかかるのが遅かったなと思います」

「ウクライナの選手たちも非常に良いファイトをしてくれましたが、暑さはこたえたかなと思います」

「オリンピックが東京でやるということで、暑さや湿気は味方につけないといけないなと。ボールを動かして、選手たちも賢いサッカーで繰り広げていきたいと思いますが、その中で走り切ることが求められます」

「(オリンピックは)6試合やるわけで、自分たちも暑さの戦いがあるので、自分たちが暑さに対してしっかり準備できるようにしっかり対応したいと思います」

ー後半選手を交代させ、システムを[4-1-4-1]に変えたが

「形を変えてトライとなりましたが、あくまでも選手の特徴が生かせること、相手の布陣との噛み合わせで何か優位に持っていきたいなということもありました」

「守備の追い込み方など細かい部分ですが、やり込んでいない部分もあって、選手とも試合後に話しました。オプションがあれば良いと思いますが、形にとらわれず、流動性のある戦いができればと思います」

ー左サイドのコンビネーションについては

「左サイドの北村(菜々美)は攻撃のところでスピードもありますし、上がった時のクロス精度、つなぎのアイデアも豊富に持っているので、その辺を生かしながらと考えています」

「サイドハーフがサイドから切り込んでいくタイプなのか、中に入って場所を空けるタイプなのかで頭を切り替える必要があると思います」

「前半は左サイドの深いところまで取りきれなかったのかなと。そこは飲水タイムやハーフタイムに話しました。深いところまで行くのか、中に入るのかは柔軟に変えていければと思います」

ー久々に代表に合流した熊谷紗希のパフォーマンスについて

「欧州の選手といつもマッチアップしているので、球際であったり、ボールへの寄せ方というのは、もちろん慣れているので、その辺を自分のプレーでしっかり示してくれました」

「彼女の成長という意味では、ボールを持った時の組み立てのところも成長を感じますし、メンタル的な部分でも明るい雰囲気とみんなの話を聞く耳も持っているので、楽しみだなと感じました」

-守備の部分の手応えは

「サイドに追い込んで取りにかかっても、人数かけても抜けられるというシーンが最初何シーンかありました。そこでゴール前まで運ばれるということがありました」

「行けていないというより、行っているのにやられるということがあったので、意識があっても強度や間合いでミスがあったかなと思います」

「相手のスピード感も国内とは違うと思いますし、歩幅、コントロールの深さ、一歩の出す深さに慣れるまで時間がかかったかなと思います。そこでゴール前に運ばれてしまったなと思います」

ー海外でプレーする選手たちが前線から守備に行ったことがゴールにつながったが

「海外組だけではなく、チームとして切り替えの場面は非常に大事にしている守備のスタートなので、彼女たちだけでなく、全員がその場面に関しては高い意識を持って、切り替えの場面で奪うことをやってくれたと思います」

「スピードや連続性、試合の始まりではちょっと物足りないところがありました」

「暑さや試合をそんなに多くやっていないということの様子を見ながら入ってしまったことに原因があったと思います」

「ボールを奪い返してゴールを取ってくれたことは、点を取ったことも評価できますが、チーム全体も守備を体現してくれました。前線の守備は非常に良かったと思います」

ーこの試合で初スタメン、初ゴールを含む2ゴールを決めた塩越柚歩の評価は

「去年から成長を見せていて、国内リーグではミドルシュートを含め、中盤の関わりも含めて良いものがあり、インターナショナルtマッチでどうかというところがありました」

「積極的にプレーすること、貪欲にシュートを狙ってほしいということも言っていました。緊張感もあったと思いますが、得点という結果を出してくれたので、彼女自身も良かったと思っていると思います」

「積極性という部分では物足りなさがありますし、自分から発信するという部分が足りていないと代表の舞台では戦えないので、まだまだ要求していきたいと思います」

ー多くの選手がゴールに絡み、選手選考は悩ましくなったのでは

「日々の練習でもそうですし、こういうゲームの中では選手の評価は、インターナショナルマッチで戦えるかどうか、効果的なプレーができるかどうかが全てなので、能力を持っているとか、もっとできるはずというままでは18人には入ってくのは難しいです」

「そこはチャレンジしてもらっていますし、今日の試合でも新たな発見、思ったよりできたなという選手もいれば、思ったより元気のない選手もいました」

「もう1試合あるので、その中でも選手にチャンスを与えて、限られた時間でも結果を残してほしいなと思います。みんなが良いチャレンジをしているなと感じるので、選考では頭が痛いなという感じです」

ー望んでいたシチュエーションにはならなかった気がするが

「厳しい試合の中でどんなプレーをするか、厳しい試合でなければ出てこない要素はあるので、そこは見にくい部分はあると思いますが、インターナショナルマッチで戦っているという部分で見れば、その選手が持っているもの、やろうとしたことの質、プレーで表現した質は見えてきます」

「マッチメイクは自分たちで動かせるものではないですし、こういった状況の中では自分たちのサッカー、世界に通じるサッカーという両方の部分で、地に足をつけてしっかり判断していきたいと思います」
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