「困難を極めた」OAや海外組招集について山本昌邦NTDが言及、ポジティブな変化「そういう時代になったという日本サッカーの明るさ」

2024.07.03 16:05 Wed
選手招集の難しさを語る山本昌邦NTD
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選手招集の難しさを語る山本昌邦NTD
3日、日本サッカー協会(JFA)はパリ・オリンピックに臨むU-23日本代表メンバー18名とバックアップメンバー4名を発表した。

8大会連続12回目の五輪出場となった日本。出場権を懸けて戦ったAFC U23アジアカップでは、見事に優勝を果たし、アジア王者としてオリンピックに参加する。

18名のメンバーには、北京オリンピック以来となるオーバーエイジ枠を使わなかった他、これまでチームのメンバーとして招集され続けていたGK鈴木彩艶(シント=トロイデン)やMF松木玖生(FC東京)らが招集外に。また、MF久保建英(レアル・ソシエダ)やMF鈴木唯人(ブレンビー)など、海外でプレーする五輪世代の選手も招集されなかった。
これまでの招集に拘束力がない状況で、海外クラブとの交渉に苦しんでいた日本。ナショナルチーム・ダイレクター(NTD)の山本昌邦氏は、これまでの苦労を語り、日本サッカーの世界の中での立ち位置の変化の賜物だと語った。

「いよいよメキシコ・オリンピック以来28年間、オリンピックにすら出られなかったオリンピック代表が、28年連続で出場することとなりました。そして、節目の大会になると思います」
「海外でプレーする選手もこれだけ増えました。そんな中で、18人のメンバー、バックアップの4人、このメンバーでオリンピックのメダルに挑むことになります。ぜひ皆さんのお力をお借りして、目標がしっかり達成できるようにできればと思います」

「招集の面で様々な苦労がありましたが、これは日本サッカーの進化であり、成長であり、躍進の賜物だと思っております。選ばれたメンバーで、限りなく高いところを、大岩監督を中心に挑んでくれると思いますので、ご支援・ご協力いただければと思います。この大会で日本サッカーの進化を世界に証明したいと思います」

招集された18名のうち、海外組は6名。オーバーエイジ(OA)も候補として名前が挙がっていた選手は海外でプレーしており、交渉が難航したこととなる。

山本氏はOAの選手がいないことについても状況を説明。「非常に未来に向かって重要なご質問だと思います。OAに関して、現場からの希望は当然ありました。1年以上かけて海外組の調整というのは進めてまいりました」と、招集の意思はあったとコメント。「選手の意志、そしてクラブの了承も得られなければいけない。移籍が関わってくると、現クラブと、移籍先のクラブの確認を取らなければいけない。様々な要因が絡まって、日々この時期ヨーロッパのマーケットが動いていますので、選手の移籍先、状況、移籍先が決まらなければ交渉すらできない状況です」と、クラブが新シーズンに向けて始動する中で、それぞれの選手の立ち位置、そして移籍の可能性がある選手の招集の難しさを語った。

また、「(所属クラブの)監督が代われば、選手の立ち位置も変わっていく中で、オリンピックの期間の了承、登録が7月のこのタイミングということで、先を予測してその交渉をするということは困難を極めました」と、およそ1カ月程度前にメンバーを決める難しさもあったとした。

加えて、五輪世代ながらも海外でプレーする選手として招集できなかったメンバーについても言及。「OAに関わらず、A代表で活躍する久保建英、鈴木唯人、鈴木彩艶の海外組の選手たちも招集が叶いませんでした」と語り、「ヨーロッパオフィスを抱えており、日々クラブと連絡を取りながら、関係者を含めて昨日まで努力したつもりですが、そういう選手たちがチームにおいてとてつもなく大きな存在で、必要とされているからこそ、こういう困難な状況になっているのだろうと思います」と、新シーズンを戦うクラブが選手をチームに留めておきたいと考えていることが、これまでとの大きな変化だとした。

「選手たちの成長、躍進。こういったものがなくても勝てるという底上げを考えていきたいですし、このメンバーでメダルをどう狙うのか、そういうお話がしかりとできれば、この後のワールドカップ予選に何人上がって行ってもらえるのか。それが日本の未来ですし、パリ五輪での6試合の経験値があった人が、素晴らしい成長を遂げてくれることを期待しております」

「海外組というところでいうと、前回の東京五輪では、U-23日本代表で7人の海外組がおりました。今回は6人の海外組がいます。この後オリンピックまでに何人かが海外に移籍するかもしれません。大岩監督が選んだ選手たちは伸び代はあると思いますし、日本の未来の成長に必ず力になってもらえると確信しています」と、今後選手の招集に関してはより一層難しくなるものの、選手たちにはさらに成長し、羽ばたいて行ってもらいたいと期待を口にした。

JFAとしての立場としては「今後世界のクラブとどうコミュニケーションをとって選手を招集できるのか。これは五輪だけでなく、U-20の世代でも同じことが起きています。そういう時代になったという日本サッカーの明るさだ捉えております」と、日本がより重要な存在になっていくために必要なことだとも語った。

バックアップメンバーの4名に関しては、18名の中で体調不良やケガなどがあった場合に入れ替えるとのこと。ただ、そのルールも二転三転し、候補になる選手は100名以上いるとした。

「基本的にはこの4人の中から18人にケガ、体調不良があった時に差し替えることができます。初戦の24時間前までには、4人のバックメンバーに何かがあった場合、ラージのグループから入ります」

「ラージリストが50人という情報が出ていましたが、50人ではありません。ルールが変わりまして、元々5月下旬に50人のラージリストを出す予定にされていましたが、5月21日にFIFA(国際サッカー連盟)から100人にしますということが来て、我々としては増えるので歓迎しますが、さらにその後に100人も撤廃され、事実上100人以上の2月に登録した膨大な量の選手全員に可能性があります」

「ただ、選ばれた18名は、ケガや体調不良など以外は、差し替えは認められないため、18人で戦うことになります」と、移籍などの理由での18名のメンバーの変更は認められていないと語った。




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久保建英「すごくおしゃれ」、長谷川唯「すごく新鮮」…「FIRE(炎)」がテーマの日本代表の新ユニフォーム、選手たちの感想は?

アディダスジャパンは21日、「サッカー日本代表 2024 ユニフォーム」発表した。 今夏行われる世界的なスポーツイベントを前に、日本代表の戦闘服が装いも新たに。新ユニフォームは、「ヨウジヤマモト」のデザイナーでもある日本が誇るファッションデザイナーの山本耀司氏がデザイン。アディダスとヨウジヤマモトのコラボレーションブランドである「Y-3」が日本代表と史上初のコラボレーションを果たした。 この新ユニフォームは、21日に行われたパリ・ファッションウィークにて発表。「ヨウジヤマモト」のコレクションの1つとして発表され、コレクションにはU-23日本代表のMF藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン)、なでしこジャパンのMF長野風花(リバプール)がランウェイを歩く特別な演出でお披露目された。 今回のユニフォームのテーマは「FIRE(炎)」。「サッカー日本代表2024ユニフォーム」の全体を通して一貫したモチーフとして登場するヨウジヤマモトによるデザインの炎のグラフィックは、サッカー日本代表が持つ揺るぎない力強さ、そして日本という国が持つ神秘的な力を象徴している。 ホームはダークネイビー、アウェイはホワイトとなり、ホームは青い炎、アウェイは赤い炎がデザインされている。 今回の新ユニフォームに関して、日本代表のMF久保建英、U-23日本代表のMF藤田譲瑠チマ、FW細谷真大、なでしこジャパンのMF長谷川唯、MF長野風花、FW宮澤ひなたがコメントしている。 <span class="paragraph-subtitle">◆久保建英</span><div style="text-align:center;"><img class="lazyload" data-src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2024/adidas20240622_kubo_tw.jpg" style="max-width:100%; min-height:200px;"></div> 「今回のユニフォームはすごくおしゃれだな、というのが第一印象です。ユニフォームをファッションに取り入れるスタイルは海外ではよく見かけますが、日本でもこのサッカー日本代表ユニフォームをきっかけに、そのトレンドが広がることを願っています。僕自身も、新たなユニフォームとともに気持ちを新たに切り替えて、青い炎のように熱い気持ちで次のステージに向かっていきたいと思います」 <span class="paragraph-subtitle">◆藤田譲瑠チマ</span><div style="text-align:center;"><img class="lazyload" data-src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2024/adidas20240622_fujita_tw.jpg" style="max-width:100%; min-height:200px;"></div> 「ホームもアウェイも、どちらもとてもスタイリッシュで、それぞれ異なる意味を持つ炎をモチーフにしているところがすごく気に入っています。自分たちの世代が、新たな想いが込められたユニフォームとともに大きな舞台へと向かえることをとても嬉しく思います。このユニフォームを着てピッチで活躍する姿を皆さんに見ていただけるよう、頑張りたいと思います」 <span class="paragraph-subtitle">◆細谷真大</span><div style="text-align:center;"><img class="lazyload" data-src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2024/adidas20240622_hosoya_tw.jpg" style="max-width:100%; min-height:200px;"></div> 「今回、サッカー日本代表史上初の「Y-3」とのコラボレーションになると聞いて、とてもびっくりしました。色合いやデザイン、ロゴの位置など、とても新鮮で、これをきっかけにサッカー日本代表に興味を持っていただける方や、応援していただける方が増えると嬉しいです。このユニフォームに描かれた炎のように、僕たちもそれぞれの力を一つにして、完全燃焼で世界と戦っていきたいと思います」 <span class="paragraph-subtitle">◆長谷川唯</span><div style="text-align:center;"><img class="lazyload" data-src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2024/adidas20240622_hasegawa_tw2.jpg" style="max-width:100%; min-height:200px;"></div> 「ホームユニフォームの濃い紺色は、最近の日本代表ユニフォームにはあまりなかった色合いなので、とても良いと思いました。またアウェイの白と赤の組み合わせも、すごく新鮮です。今回は燃え盛る炎がデザインのテーマですが、私にとっては、スタジアムに入場するときが、一番気持ちが燃え上がる瞬間です。常に世界一を目指してサッカーをやってきたからこそ、この新しいユニフォームで、この夏世界一を目指したいと思います」 <span class="paragraph-subtitle">◆長野風花</span><div style="text-align:center;"><img class="lazyload" data-src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2024/adidas20240622_nagano_tw2.jpg" style="max-width:100%; min-height:200px;"></div> 「今までのサッカー日本代表ユニフォームと雰囲気が違って、すごくスタイリッシュで驚きました。チームで着たときにも格好良いと思いますし、ファッションとして着ても素敵なデザインだと思います。ユニフォームに描かれた炎のように、燃え盛る力強いプレーでまた世界に衝撃を与えたいという想いを新たにしました」 <span class="paragraph-subtitle">◆宮澤ひなた</span><div style="text-align:center;"><img class="lazyload" data-src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2024/adidas20240622_miyazawa_tw2.jpg" style="max-width:100%; min-height:200px;"></div> 「一見して、今までのサッカー日本代表ユニフォームよりもシンプルで、すごく格好良いと思います。雰囲気がガラッと変わった印象です。街中でユニフォームを着ている方を見かけると、サッカーへの愛を感じてすごく嬉しくなります。日本でもそういう風にこのユニフォームを着てくれる人が増えることを楽しみにしています。応援してくれる方の気持ちを力に、この夏はチームとして優勝を目指して一戦一戦大切に戦っていきたいと思います」 <span class="paragraph-title">【写真】久保建英や長谷川唯も着用!日本代表の新ユニフォーム、テーマは「FIRE(炎)」</span> <span data-other-div="movie"></span> <script>var video_id ="j82B9AIMKvA";var video_start = 0;</script><div style="text-align:center;"><div id="player"></div></div><script src="https://web.ultra-soccer.jp/js/youtube_autoplay.js"></script> <div style="text-align:center;"><img class="lazyload" data-src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2024/adidas20240621_tw11.jpg" style="max-width:100%; min-height:200px;"></div> <div style="text-align:center;"><img class="lazyload" data-src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2024/adidas20240621_tw2.jpg" style="max-width:100%; min-height:200px;"></div> <div style="text-align:center;"><img class="lazyload" data-src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2024/adidas20240621_tw3.jpg" style="max-width:100%; min-height:200px;"></div> <div style="text-align:center;"><img class="lazyload" data-src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2024/adidas20240621_tw4.jpg" style="max-width:100%; min-height:200px;"></div> <div style="text-align:center;"><img class="lazyload" data-src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2024/adidas20240621_tw15.jpg" style="max-width:100%; min-height:200px;"></div> <div style="text-align:center;"><img class="lazyload" data-src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2024/adidas20240621_tw6.jpg" style="max-width:100%; min-height:200px;"></div> 写真:adidas is the official supplier of the Japan National Team 2024.06.22 05:45 Sat
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「大きな2年半だった」パリ五輪でベスト8、大岩剛監督が世界と戦って感じたポイント「我々がサッカーをするというマインドが必要」…選手たちも称える「物凄く成長した」

U-23日本代表を率いてパリ・オリンピックを戦った大岩剛監督が、ベスト8に終わった大会を振り返った。 2022年からパリ五輪世代のU-21日本代表監督に就任した大岩監督。そこから2年半チームを指揮し、AFC U23アジアカップでは見事に優勝しパリ五輪の切符を掴むと、グループステージ3試合で無失点の3連勝を収めるなど、チームは結果を残した。 迎えた準々決勝では、優勝候補のU-23スペイン代表と対戦。スペインを相手に堂々と戦ったものの、結果は0-3の敗戦。ゴールを奪う力の差を見せつけられ、ベスト8での敗退となった。 金メダルを目指して戦ってきたパリ五輪。帰国した大岩監督は、敗退決定後からの過ごし方について「いつも通りですね。試合を振り返りながら、大会を振り返りながら、スタッフと色々な話をしました」と、すでに振り返りを始めていたという。 世代別の代表ということもあり、選手を成長させるという側面もある世代。2年半指揮した中、「我々のこのオリンピック世代というのは、僕の個人的見解では、今後益々難しくなると思います。その中で、必ず選手ファースト、選手の成長が第一でなければいけないので、滞ってはいけない年代で、U-19もU-20もそうです。彼らが目指すべき年代なので、そこを明確にするには我々の経験を活かして欲しいです。どうフィードバックされるかは分からないですが、そういった気持ちはあります」とコメント。今回は選手招集などを含めて難しい部分も増えた中、今後にもしっかりと繋げたいとした。 この2年半を振り返っては「個人的には色々あった感情は置いておいて、選手たちがこの2年半で物凄く成長したと思います」とコメント。「彼らが20、21ぐらいから23になって、レベルも上がり、自分の環境も変わって、そうした成長が(U23)アジアカップの優勝にも繋がったと思いますし、我々がやってきたことを出そうという基準に達していたと思います」と、しっかりと成長を感じた期間だとした。 また「勝とうが負けようが、力がないから腰の引けた戦いをするのか、攻撃的な守備と攻撃をぶつけられるレベルに達していたと思うので、試合をして結果として表れたので、もっと日本サッカーとしては上げていかなければいけないと思いますし、彼らたちもそれぞれ欲なのか、向上心なのかわからないですし、目指すべき基準が上がったのか分からないですが、ターニングポイントになったんだろうと期待したいです」と、この半年でも大きな成長を見せ、しっかりと自分たちが台頭に戦うというマインドも出てきたと振り返った。 実際に大会前に行われた最後のテストマッチでは、U-23フランス代表相手に堂々と渡り合いドロー。そして、準々決勝のスペイン戦も、引いて守りを固めるというサッカーではなく、アグレッシブさを出して、しっかりとビルドアップを行い、対抗する戦いを見せた。 大岩監督は「U-23のこのパリ・オリンピックに向かうチームとしては、そこにフォーカスしてきたので、やった部分ではあります」と語り、「日本がワールドカップ優勝を目指す上で、どういう立ち位置にいなければいけないのか。世界のサッカーシーンでも、アジアでも。アジアにおける日本サッカーの立ち位置はリスペクトを受けているが、世界に出ていけば、南米とやり、アフリカとやり、ヨーロッパとやってきた中で、レベルが違おうが当たり前の世界に入ってきているので、何かに対応していくレベルのサッカーではない。むしろ、相手に恐れられる、警戒される立ち位置に向かっていかなければいけないと思います」と、世界と渡り合うことを基準に、しっかりと上回るつもりでやる必要があると語った。 相手が格上という考えで行けば、相手の出方に合わせて対応したり、対策を練ったりするもの。ただ、そうではなく、自分たちの戦い方にどうハメていくかを考えた戦いを見せた。 「スペイン相手だからとかではなく、我々の戦術的な噛み合いによって、どういうことが起こって、どういう部分で自分たちが支配できるかというのをずっとやってきたので、スペインに対して、たまたまああいう風に出てきたことで、強みが活きたと思います」 「違う形で来れば、我々はオプションを持っていたり、選手がスムーズに可変していくということも持っていたので、どういう大会であれ、自信を持って相手がどこであろうとも、相手を対策、対応するのではなく、我々がサッカーをするというマインドになることがまずは必要じゃないかなと思って、2年半やってきました」 しっかりと対等に戦っていくという姿勢を見せたことは事実。相手を苦しめたことも事実だが、また3-0で負けたということも事実だ。 スペインとの差はゴールを決める力の差。フェルミン・ロペスのミドルシュート2発はどちらも素晴らしいシュートだったが、しっかりとゴールを奪うということにはフォーカスする必要があると語った。 「VAR、ポストに当たるというのはそれがサッカーなので、そこに対して考えはないです。ただ、決定力ということを言われますが、何が決定力なのか。個人が決め切ることが決定力なのか、グループとしてゴールに向かっていくことが決定力なのか。色々な意味で方法論だと思います」 「僕自身は答えは持っていないですが、我々のグループはチームとして決定力を上げるためにチャンスの数を増やすことが、得点を増やすということでやってきました。レベルの高い相手に得点できなかったことをみんなも、私も感じて、それぞれが活かしていくしかないです」 収穫もあり課題もあったパリ五輪。ただ、選手たちの大きな成長を感じることもあった一方で、招集の難しさ、選手の環境の変化の難しさも感じた戦いとなった。 この世代の中心と見做されていたMF久保建英(レアル・ソシエダ)やMF鈴木唯人(ブレンビー)、GK鈴木彩艶(パルマ)、MF松木玖生(ギョズテペ)らはチーム事情により招集できず、オーバーエイジの選手も同様にクラブ都合で招集は叶わなかった。 2024年に入ってから大会前までの激動について「選手が色々な環境、試合に出ている出ていないを含めてですね。ただ、今年に入って選手たちが何かを掴んだのか、グッと上がっているのを1回目の活動で感じられました」とコメント。「チームとしてということもそうですが、選手はガラっと変わった2024年だったと思います」と、選手の目の色も変わったという。 「アクシデントという言い方ですが、我々はそうは感じていません。毎回毎回同じメンバーを選べるわけじゃないので、多少今回のオリンピックという大会だったが故の注目度、選手のこのタイミングでの決断は尊重しなければいけないので、最後の最後で色々なことが起きたのはそれが一番でした」 「それはアクシデントではないので、今回選ばれた選手が常に同じような力を発揮できるような状態を作ってきたつもりです。それでやるしかないと思っていましたし、チームとして一体感が出たのであれば、一体感を作ろうとしていたわけではないので、目標、基準を求めていくという姿勢が、一体感を自然と生んだのかなと思います。下馬評が低い中で、選手の中で燃えるものがあったと聞いています。そういうものを含めて、一体感が大きくなる要因がたくさんあったと思います」 国を背負って戦う大事な五輪である一方で、その先の長い選手としてのキャリアを考えた場合に、五輪に出ることが最善かと言われれば、ノーと言える。クラブでのキャリアがあってこそ、代表選手としてのキャリアが築けるため、“選手ファースト”と考えれば、何が最も選手にとってプラスなのかを考えることが重要であり、その判断基準は常に変化し続けているとも言える。 他国を見ても10代の選手が何人も入るチームもあれば、世界に目を向ければA代表で10代の選手が主力になっている国も多い。U-23という世代は、決して若い世代とは言えなくなってきている。 今回のメンバーには、2028年のロサンゼルス・オリンピックの世代は1人も入っていない。今回の五輪から何かを引き継げる選手はオーバーエイジ以外いないこととなる。 大岩監督は「ロス五輪の選手たちをなかなか呼べなかったというのは、出場機会がなかったり、多少基準に達していないというのは厳しい言い方ではあります」とコメント。クラブのキャリアにおいて、10代の選手が主軸になっているチームはほとんどない。それが不在だった要因の1つだ。 ただ、「後藤啓介(アンデルレヒト)、佐藤龍之介(FC東京)はリストの中に入っていたので、彼たち、今18、19の世代がもっともっと我々世代だけじゃなく、フル代表に入っているのが世界なので、もっともっと基準を上げていく必要があるし、今回の準々決勝のスペインに0-3という結果と現状を表しているのかなとも思います」と語り、「色々な要因をしっかりとみんなで考えて、それが次のロス・オリンピックなのか、その前のワールドカップなのか、目指すところは分からないですけども…」と、日本サッカーとして、今後の世代別の選手の育て方、扱い方も考える必要が出てくる世界になっていると振り返った。 パリ五輪が終了したことで、大岩監督の任期も終了。自身の今後については「サッカー界に携わっていきたいことはずっと思っています」とコメント。「監督、指導者という大きな括りで言えば、あまりない経験をさせてもらっている立場もあるので、当然次に活かさなければいけないと思います」と、再び監督をやりたいと語った。 ただ「僕自身もわかりません。オファーがないとこの仕事はできないので、その準備をしておきたいと思います」と語り、「今回のオリンピックだけじゃなく、アジアカップでも親善試合でも色々なところに行って、色々な監督と話をして奥深さとか、幅広さとか、色々なものを感じられましたし、人種によっても国によっても違うので、その経験ができたことは大きいですし、学びがすごく多かった2年半だったと思います」と、監督としても成長できた部分は多かったと振り返った。 また、「我々は44試合を2年半でやりましたが、それなりの成果が出て、負けた試合も色々な分析の中でアップデートしていく材料になりました。そういう部分では、物凄く自分の中で大きい2年半だったなと思います」とコメント。この先どのチームをどういう形で率いるのか、大岩監督の次の舞台にも注目が集まる。 2024.08.05 06:45 Mon
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希少価値の左利きの左SB大畑歩夢はパリ五輪から何を学び、この先をどう進むのか?【新しい景色へ導く期待の選手/vol.46】

8月2日(日本時間3日)のパリ五輪準々決勝・スペイン戦(リヨン)の激闘から5日。U-23日本代表の国内組は気持ちを切り替え、7日再開のJ1に向かった。 浦和レッズの左サイドバック(SB)大畑歩夢は柏レイソル戦でベンチ入りしたが、雷雨の影響で突如として試合がキャンセルになってしまった。だが、本人にしてみれば、少しゲーム間隔が空いて、ホッとしたところがあったかもしれない。 中断期間にサガン鳥栖から長沼洋一が加わり、関根貴大の左SB起用もあって、定位置争いはこれまで以上に激化しそうだが、「ポジション争い? 気にせずですね」と帰国時のメディア対応でも発言。彼は自分らしく成長への道を模索していく構えだ。 ご存じの通り、今回のパリ五輪の日本は開幕直前に両SB要員と位置づけられた半田陸(G大阪)が負傷離脱。代わってドイツにいた内野貴史(デュッセルドルフ)が急遽招集されたが、直前合宿をこなしていない分、大畑の負担はより重くなった。 それでも、7月24日(同25日)の初戦・パラグアイ戦(ボルドー)、27日(同28日)のマリ戦に連続先発。彼はタフさをアピールし、チームの勝利に貢献する。30日(同31日)のイスラエル戦(ナント)は休養を与えられたが、大一番のスペイン戦も満を持してスタメン出場。VAR判定で取り消された細谷真大(柏)の同点弾をお膳立てするパスを藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン)に出すなど、光るプレーを随所に見せた。 「あのシーンは攻撃に人数をかけた分、ボランチのチマが前に出ていくことができた。攻撃の厚みが出せて、あそこが空いて、うまく決まったシーンかなと。決まった瞬間、『これはイケるな』と思ったので、取り消しになってちょっと落ちた印象はありますね」と大畑はこのシーンが勝敗を大きく左右したと考えている様子だった。 とはいえ、それだけで0-3という悔しい結果になったわけではない。ユーロ2024に出場し、頂点に立っているフェルミン・ロペス(バルセロナ)らと対峙して、個の力の差を改めて痛感したと大畑は言う。 「個人個人が1人(敵が)来ても絶対に剥がせるところだったり、スペースを簡単に使えるスペインのサッカーというのは本当に自分たちも嫌だった。相手のフィジカルもボールを扱う技術もかなりレベルが高かった。チーム全体として見たら、そんなに大きな差はないと思いますけど、個人として見るとやっぱり差はあるのかなと感じました」 「自分はAFC(AFCチャンピオンズリーグ)もやってきたし、その経験からできた部分もありますけど、フランスやスペインといった強豪にはできたという感覚はない。トップトップの国に比べたら、全然まだまだだなと思う。彼らと肩を並べるところまでは行きたいですね」と本人もしみじみと語っていた。 その穴を埋めるためには一体、何をすべきなのか…。1つの解決策はやはり海外に出ることだろう。 「海外に行けば、やっぱりJリーグでは味わえない強度だったりがある。ただ、いろいろと考えも変わってくるので、今は難しいところです」と大畑は苦渋の表情を浮かべた。2025年夏にFIFAクラブW杯を控える浦和でプレーし続けることの重要性も感じているだけに、複雑な思いはあるはずだ。 ただ、今回のU-23日本代表を見ても、藤田や山本理仁や小久保玲央ブライアン(ともにシント=トロイデン)、斉藤光毅(ロンメル)のように海外でプレーしている選手たちには多少なりとも余裕のようなものが感じられた。特にMVP級の働きを見せた藤田はこの1年間の経験値が非常に大きかったと言っていい。 さらに、今夏の移籍市場で平河悠(ブリストル・シティ)が欧州挑戦に踏み切ったことも、同じ国内組の大畑には思うところがあるだろう。もちろんサッカー選手はオファーが届かなければ何も始まらないが、より高いレベルを追い求めるならば、近い将来、そういった決断をする日が訪れるのかもしれない。 大畑がどういう道を選択するにしても、人材難と言われる左SBが成長することは日本サッカー界にとっても大きなプラスになるのは間違いない。しかも彼は貴重なレフティだ。今のA代表をを見ると、バイエルン・ミュンヘンにステップアップした伊藤洋輝が左利きではあるが、それ以外の長友佑都(FC東京)にしても、両SB要員の橋岡大樹(ルートン・タウン)にしても右利きだ。 パリ世代のバングーナガンデ佳史扶(FC東京)は左利きだが、現時点では大畑の方が序列的に上だろう。パリ五輪を経験したアドバンテージを最大限生かして、彼には森保ジャパン昇格への強い意欲を前面に示してほしいところだ。 「五輪では本当に優勝したいという気持ちしかなかったので、悔しさしかないです」と語った大畑はその気持ちを絶対に忘れてはいけない。スペイン戦で起きたことの全てを脳裏に焼き付け、ここから歩んでいくべきだ。それが高みを追い求める大きな原動力になるはず。希少な左SBの今後の動向を注視していきたいものである。 文・元川悦子 2024.08.09 12:20 Fri
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パリ五輪世代のGKが玉突き移籍か? 鈴木彩艶がパルマ行きなら、小久保玲央ブライアンがシント=トロイデン移籍か

パリ・オリンピックに臨むU-23日本代表。その守護神を争っている2人が玉突き人事になる可能性があるという。 それはベンフィカのGK小久保玲央ブライアン(23)とシント=トロイデンのGK鈴木彩艶(21)の2人。ベルギー『Voetbal Belgie』が伝えた。 ともにU-23日本代表でプレーし、パリ・オリンピック行きも期待されている中、移籍の噂がつきまとう。 すでに日本代表デビューも果たし、2024年1月のアジアカップでもプレーした鈴木は、2023年8月に浦和レッズからシント=トロイデンにレンタル移籍。当時はマンチェスター・ユナイテッドも関心を寄せるなど、高く評価されていた。 一方で、小久保は柏レイソルの下部組織から2019年1月にベンフィカのU19チームに加入。4年半も早く海外に出たが、ポジション柄出番が限られており、ファーストチームではデビューできていない。 しかし、その小久保はパリ・オリンピックの出場権を懸けて戦ったAFC U23アジアカップでハイパフォーマンスを見せており、日本代表入りも期待されるほどの実力を持つ。 そんな中、今夏の移籍市場では鈴木がセリエAに昇格したパルマからの関心を持たれている。 海外挑戦1年目でジュピラー・プロ・リーグで32試合に出場し正守護神に君臨。その才能にパルマが目をつけ、シント=トロイデンは1500万ユーロ(約26億円)の値札をつけているという。 『Voetbal Belgie』によれば、鈴木が移籍した場合の代役として小久保を狙っているとのこと。ベンフィカとの契約は残り1年だが、ウクライナ代表GKアナトリー・トルビンが正守護神として君臨しており、出番を掴むことは非常に難しい状況だ。 具体的な動きはまだないものの、小久保はクラブでの出番がそろそろほしいところ。パリ・オリンピックで評価を上げるという可能性もある中で、どういった動きが待っているだろうか。 2024.07.03 12:35 Wed
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五輪に国立にサッカー三昧の週末でした/六川亨の日本サッカーの歩み

昨日というか29日は、サッカー三昧の一日だった。 まず、なでしこジャパンである。前半からブラジルに試合を支配されたが、それでもチャンスがなかったわけではない。19分にはカウンターから右サイドを突破して、ゴール前で田中美南がフリーでシュートを打った。普通なら右サイドからのクロスに、迎え撃つように右下を狙うだろう。その方がボールの勢いを利用して強いシュートを打てるからだ。 しかし田中は左下への難しいコースを選択。結果はゴール枠を捕らえることができず、絶好の先制機を逃してしまった。さらに田中は、その後に守屋都弥のシュートから獲得したPKも失敗してしまう。右下へのコースは甘く、シュートに勢いもなかった。ストライカーとして自信を失っているとしか思えない消極的なキックであり、短期決戦である次のナイジェリア戦ではスタメンから外した方がいいと思える不甲斐ない出来だった。 試合はブラジルが圧倒的なポゼッションで日本に襲いかかった。まあ、男女ともブラジル相手にボールポゼッションで勝てる国はないだけに、日本が耐えてカウンターという構図は当然といえば当然と言える。そして先制されたわけだが、そんなブラジルも残り10分となると守勢に回り、日本が攻勢に出る。そして終了間際、PKを獲得した日本はキャプテンの熊谷紗希がこれを冷静に右下に決めて同点に追いついた。 田中に名誉挽回のチャンスを与えるのではなく、確実に同点に追いつくための選択は当然と言えば当然だった。そしてアディショナルタイム90分+7分、パスカットした谷川萌々子が意表を突いたワンタッチのロングシュート。これがゴール左スミに決まる劇的な一撃で日本がブラジルを下した。 このブラジル戦を前に国立競技場での東京V対ブライトン戦を取材した。ブライトンは鹿島にも5-1で大勝したが、東京V戦も前後半でGK以外の10人を入れ替えるメンバーながら4-2で圧勝した。三笘薫は前半だけで退き、その他のメンバーも新たに加わった選手もいてチーム作りの最中とはいえ、ていねいにパスをつなぎつつ、チャンスがあればロングパスでDF陣の背後を狙うなど「そつのない試合運び」はさすがと感じた。 前日の古豪スパーズ対神戸の試合には、日本にもスパーズ・ファンが多いのか5万人超えの観客が国立競技場を訪れた。スパーズと比べては失礼ながら、ブライトン戦にも2万5千人を超える観客が詰めかけたのは“三笘効果”と言うしかないだろう。それでも終始試合の主導権を握り、しっかり結果を出したのは、さすがプレミアリーグの上位チームと言うしかない。 そして、その数時間前にはパリ五輪で日本がマリに1-0の勝利を収めてグループリーグ突破を決めた。まさに“サッカー三昧”の週末であり、同じように堪能したサッカーファンも多かったのではないだろうか。 2024.07.30 20:30 Tue

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