パリ五輪サッカー総括/六川亨の日本サッカーの歩み

2024.08.12 21:45 Mon
Getty Images
7月24日から始まったパリ五輪サッカー競技は8月10日の女子決勝で閉幕した。女子はアメリカが3大会ぶり5度目の頂点に立ち、男子はスペインが前回東京大会の雪辱(決勝でブラジルに敗退)を果たし、自国開催だった92年バルセロナ五輪以来2度目の金メダルを獲得した。

そこで今回は簡単にパリ五輪を総括したい。

まず女子である。グループリーグを突破したベスト8(フランス、ブラジル、スペイン、コロンビア、アメリカ、日本、カナダ、ドイツ)はきわめて順当な顔ぶれであり、準決勝でW杯優勝のスペインがブラジルに2-2からのPK戦を2-4で落として姿を消したのはちょっと意外だった。とはいえ今大会が初出場のスペインに対し、ブラジルは8大会連続の出場で、過去に銀メダルを2回獲得(04年アテネ大会と08年北京大会)している実績もある。
世界王者とはいえ、W杯では頂点への過程(グループリーグ)で日本に大敗するなど、まだ盤石の地位を築いているとは言えないようだ。

そして決勝ではアメリカが手堅いサッカーでブラジルを1-0で退けて5度目の金メダルを獲得した。長身FWワンバックを中心に圧倒的な強さで五輪3連覇(04、08、12年)を達成した当時と比べると、攻守にスケールダウンした感は否めない。しかしポゼッションスタイルを採り入れつつ、“個の強さ”も生かしたチーム作りに転換している過程での戴冠はさすが“女王”と言っていいだろう。
なでしこジャパンにとっては、27年のブラジルW杯、28年のロス五輪を見据え、ベスト8の壁をいかに突破するかが今後の大きな課題となる。

男子はグループリーグから少なからぬ波乱があった。グループAとDはそれぞれ開催国のフランスとアメリカ、日本とパラグアイがベスト8進出と順当だった。しかしグループBはモロッコが1位抜けして過去2度の優勝を誇るアルゼンチンは2位通過。そしてグループCもスペインはエジプトの後塵を拝することになった。

エジプトは前回東京大会でもグループリーグを突破したが、モロッコは8度目の出場で初の決勝トーナメント進出だ。そして彼らは準々決勝でもパラグアイとアメリカを撃破して初のベスト4に勝ち上がったのである。

過去にもアフリカ勢の躍進はあった。96年アトランタ五輪と00年シドニー五輪ではナイジェリアとカメルーンが初の金メダルに輝いている。両チームともブラックアフリカン特有の驚異的な身体能力を生かしての優勝だった。しかしパリ五輪では北アフリカのアラブ勢2チームが大躍進を遂げたのである。

まあ、モロッコはカタールW杯でも決勝トーナメント1回戦でスペインをPK戦から下し、準々決勝でもポルトガルを1-0で退けて初のベスト4に進出した実績がある(準決勝でフランスに敗退)。U-23代表は別チームとはいえ、フル代表と同様にほとんどの選手がヨーロッパの5大リーグでプレーし、リーグ・アンに所属している選手も多い。このためパリ五輪は準ホームでの試合だったと言えるだろう。

そんな彼らもフランスとスペインの牙城を崩すことはできず、エジプトはフランスに1-3、モロッコはスペインに1-2で敗退したが、エジプトはフランスに先制するなどヨーロッパの伝統国を大いに苦しめた。

決勝は、誰もが予想したようにフランス対スペインの組合せとなった。フランスがMFミローの巧シュートで先制したが、すぐさまスペインも反撃して、日本戦でも活躍したMFフェルミン・ロペスが2ゴールで逆転。1-1の同点弾は味方のパスワークにトップ下からするすると攻め上がり、ゴール中央でフリーとなって決めたポゼッションスタイルのお手本のようなゴールだった。

その後もスペインが1点を加えて3-1とリードして前半を終了。ところが後半はフランスが猛攻を仕掛け、FKとPKから同点に追いつき延長戦に突入した。延長戦ではスペインのFWセルヒオ・カメージョがスルーパスに抜け出してGK1対1からループシュートで勝ち越すと、GKのロングスローを受けてドリブルで抜け出す電光石火のカウンターからダメ押しの5点目を決めて勝利を確実なものにした。

カタールW杯の決勝戦を彷彿させるゴールの応酬によるシーソーゲーム。これほど「手に汗握る」五輪の決勝戦を見るのは初めての経験だった。OA枠がいるとはいえ、レベルの高さに圧倒された。

「もしも日本がスペインに勝っていたら」と期待したくなる気持ちもあるだろう。しかし準決勝でエジプトに怒濤の攻撃を仕掛けたフランスは、大会前のテストマッチで対戦したフランスとはまったく別のチームだった。エジプトも、フランスに1-3で逆転負けしたとはいえ、延長戦に持ち込む粘りを見せた。正直、エジプトやモロッコに勝てるかと問われれば、返答に窮してしまう。それだけベスト4に勝ち残ったチームは、勝ち残るだけの底力を持っていて、なおかつそれを遺憾なく発揮した。

こうした激戦の数々を、できれば森保一監督にはパリに滞在して肌感覚で体感して欲しかった。

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レヴァンドフスキ弾を守り切ったバルセロナがウノセロ勝利! 久々のリーグ連勝でマドリード勢に圧力【ラ・リーガ】

ラ・リーガ第22節、バルセロナvsアラベスが2日にエスタディ・オリンピック・リュイス・コンパニスで行われ、ホームのバルセロナが1-0で勝利した。 3位のバルセロナは前節、バレンシア相手に7-1の圧勝。ラ・リーガ5戦ぶりの白星を挙げた。フレンキー・デ・ヨングの開始早々のゴールを皮切りに、前半だけでマニータを達成。ターンオーバーにも成功し、最高の形で久々の白星を手にした。直近に行われたチャンピオンズリーグ(CL)のアタランタ戦では2度のリードを守り切れず、ホームで2-2のドローも2位フィニッシュでラウンド16ストレートインを決めている。 降格圏手前の17位に位置するアラベスをホームで迎え撃った今回の一戦では先発2人を変更。エリック・ガルシアとデ・ヨングに代えてクバルシ、カサドを復帰させた。 開始直後にはラミン・ヤマルが異次元の個人技で複数のDFをドリブルでかわしてボックス左のハフィーニャに絶妙なラストパスを供給。だが、左足シュートはわずかに枠の右へ外れる。 この直後には空中戦の競り合いでガビとコネクニーが激しく交錯。ともに頭部へのダメージを考慮された結果、ベンチに下がることになり、バルセロナはフェルミン・ロペス、アラベスはマルティンを14分にピッチへ送り出した。 数分間の中断を経て仕切り直しとなった試合はバルセロナが70%を超えるボール支配率を記録するが、ミドルブロックとともに球際でタイトなアラベスの守備に苦戦。さらに、ハイラインを執拗に狙うアウェイチームにリズムを乱される。 前半終盤にかけてもなかなか決定機まで持ち込めない焦れる状況が続くなか、レヴァンドフスキやペドリのシュートで散発的にゴールへ迫ったバルセロナだったが、前半の内に攻め手を見いだすまでには至らなかった。 迎えた後半、フリック監督はアラウホとカサドを下げてエリック・ガルシア、デ・ヨングをハーフタイム明けに投入。作りの部分で変化を加えてきた。 前半からの流れを踏襲する形で進むなか、56分にはボックス右に飛び出したヤマルのワンタッチの折り返しをゴール前でフリーのレヴァンドフスキがヘディングシュート。しかし、左隅を狙ったシュートは枠の左に外れて後半最初の決定機を逃した。 それでも、直後の61分には左CKの二次攻撃からボックス右でヤマルがボレーで折り返したボールがDFの背中に当たってゴール前に流れると、これに反応したレヴァンドフスキが左足ワンタッチで合わせ、2度目のチャンスはきっちりモノにした。 エースのリーグ2試合連続ゴールで先手を奪ったバルセロナは、ここからよりリズム良くプレー。67分にはハフィーニャを下げてフェラン・トーレスをピッチに送り出す。 攻撃には出られないものの、アラベスの守備面での粘りに遭い追加点が遠いバルセロナ。後半終盤にはバルデを下げてジェラール・マルティンを投入し、ウノセロでの逃げ切りも意識し始める。 後半アディショナルタイムには連係ミスでピンチを招く場面もあったが、GKシュチェスニーの好対応もあって事なきを得た。そして、格下相手に苦戦もウノセロで勝ち切ったバルセロナが久々のリーグ連勝で次節マドリード・ダービーを控えるライバルに圧力をかけた。 バルセロナ 1-0 アラベス 【バルセロナ】 ロベルト・レヴァンドフスキ(後16) <span class="paragraph-title">【動画】レヴァンドフスキ先制弾にヤマルの驚愕ドリブル突破!</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet" data-media-max-width="560"><p lang="ja" dir="ltr">ペドリ→ラミン・ヤマル<br>→レヴァンドフスキ<br>ダイナミックな展開から<br>ようやくバルサが扉をこじ開ける<br><br>ラ・リーガ 第22節 <a href="https://twitter.com/hashtag/%E3%83%90%E3%83%AB%E3%82%BB%E3%83%AD%E3%83%8A?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#バルセロナ</a> v <a href="https://twitter.com/hashtag/%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%83%99%E3%82%B9?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#アラベス</a><br><br><a href="https://t.co/RQUF2JreQA">https://t.co/RQUF2JreQA</a> <a href="https://t.co/bpOA1glaWD">pic.twitter.com/bpOA1glaWD</a></p>&mdash; U-NEXTフットボール (@UNEXT_football) <a href="https://twitter.com/UNEXT_football/status/1886060110868623595?ref_src=twsrc%5Etfw">February 2, 2025</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> <blockquote class="twitter-tweet" data-media-max-width="560"><p lang="ja" dir="ltr">「何回でも見たくなる」<br>ラミン・ヤマルの<br>切れ味鋭いドリブルから<br>バルセロナが最初の決定機!<br><br>ラ・リーガ 第22節 <a href="https://twitter.com/hashtag/%E3%83%90%E3%83%AB%E3%82%BB%E3%83%AD%E3%83%8A?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#バルセロナ</a> v <a href="https://twitter.com/hashtag/%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%83%99%E3%82%B9?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#アラベス</a><br><br><a href="https://t.co/RQUF2JreQA">https://t.co/RQUF2JreQA</a> <a href="https://t.co/KBfzqkMhjN">pic.twitter.com/KBfzqkMhjN</a></p>&mdash; U-NEXTフットボール (@UNEXT_football) <a href="https://twitter.com/UNEXT_football/status/1886040017887437011?ref_src=twsrc%5Etfw">February 2, 2025</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2025.02.02 23:59 Sun

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