いつの間にか、リーガ優勝争いに参加していた…/原ゆみこのマドリッド
2024.12.05 00:00 Thu
「浮かれていられるのも一時だけなのね」そんな風に私が肩すかしを喰らった気がしていたのは火曜日、今週の予定を見直していた時のことでした。いやあ、先週末のリーガ15節では上位3チームの距離が急接近。土曜には首位のバルサが3試合白星なしとなったため、その夜だけはアトレティコが勝ち点2差の2位になったのをニンマリ眺めていたんですけどね。当然ながら、日曜には再びお隣さんに抜かれ、首位と勝ち点1差となったレアル・マドリーと共に段々状態を形成しているんですが、それがあっという間にまた、差が広がってしまうかもしれないんですよ。
そう、今週のミッドウィークはコパ・デル・レイ2回戦に当たっているものの、1月8日~12日のスペイン・スーパーカップに参加するため、このラウンドもコパ免除の4チームはその日付と重なるリーガ19節を先取り開催。マジョルカvsバルサ戦が火曜に、アスレティックvsマドリー戦が水曜にあるため、1位2位チームが勝った場合、アトレティコとの差がそれぞれ、5差、4差になることに。加えてマドリーは洪水災害で延期になった12節のバレンシア戦開催が1月2日とも言われているため、たとえ、シメオネ監督のチームが12月も連勝街道を突っ走ったとしても、年明け最初のリーガ19節時には勝ち点7差になっているかもしれないって、ちょっとショックじゃない?
いえまあ、10月27日の11節ベティス戦でこの世のものとも思えないプレーを披露して敗戦。不調のドン底にあった当時はそれこそ、首位に勝ち点7とか、10とか、すでにリーガは終わったと言われる程の大差をつけられていたアトレティコでしたから、ここまで持ち直しただけでも立派なんですけどね。実際、リーガはまだ23試合もありますし、先のことはわかりませんが、物は考えよう。何より、この急上昇期のおかげで後続勢とも勝ち点6差ができ、現在、4位のアスレティックがもしマドリーに勝ったとしても、追い越される心配をしなくていいのは朗報と言っていいかもしれません。
まあ、そんなことはともかく、先週末のマドリッド勢の試合がどうだったかをお伝えしていかないと。先陣を切ったのは弟分レガネスで、土曜にメンディソローサでのアラベスと対決。それがせっかく後半22分にラバのクロスからオスカル・ロドリゲスがヘッドを決めて先制しながら、42分にはカルロス・ビセンテにエリア外からgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を撃ち込まれ、最後は1-1で引分けてしまうことに。ボルハ・ヒメネス監督のチームはそれでも15位、降格圏から勝ち点差2に留まったんですが、気の毒だったのはアラベスのルイス・ガルシア監督で、その前の節でもアトレティコに逆転負けを喰らい、ここ9試合で勝ち点4しか稼げなかったせいで、16位と順位はレガネスと1つしか違わないのに、月曜には解任となってしまいましたっけ。
ちなみにレガネスは今週、水曜にコパでエステポナ(RFEF2部/実質4部)と対戦し、日曜にはレアル・ソシエダをブタルケに迎えるんですが、15節の土曜は夜の部もあって、アトレティコがホセ・ソリージャを訪問。バジャドリーとの3年ぶりのリーガ対決となったんですが、何せこのスタジアム、2021年に最後のリーガ優勝を果たした思い出の場所ですからね。その時はコロナ禍でスタンドが無人だったの比べ、今回の試合は大勢のファンに見守られてではありますが、最下位の相手は前節、コリセウムで弟分のヘタフェにすら2-0とあっさり敗北。だったら、兄貴分のアトレティコの敵ではないはずと、かなりゆったりした気分で近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に向かったところ…。
その4分後にはシメオネ監督の三男がアシストに回り、ゴール右前からのグリーズマンのシュートはGKカール・ハインに弾かれてしまったものの、こぼれ球をフリアン・アルバレスが2点目にしてくれます。更にそれからたった2分後、ガランがエリア内左奥から折り返したボールをデ・パウルが決め、あっという間にリードが3点になっているとは凄まじい。となれば、前半ロスタイム、先日のCLスパルタ・プラハ戦でボールがゴールに入る直前に終了の笛が鳴り、得点が認められなかったヒメネスが決めたヘッドが、今度はグリーズマンのオフサイドで再びスコアに挙がらなかったとて、残念なのは当人だけだった?
ええ、更に後半にもアトレティコのgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)は続きましたからね。次はとうとう、スパルタ戦では控えに回ったグリーズマンの見せ場が来て、7分、フリアンとのワンツーでエリア内に入った彼はボールを受けながらクルリと1回転。正確無比なvaselina(バセリーナ/ループシュート)でカール・ハインの頭上を抜けるゴールを挙げたとなれば、「Ronaldo vete ya!/ロナウド・ベテ・ジャー(ロナウド会長、もう出て行け)」と歌うのに疲れたホームファンまで、拍手喝采してしまったとしても無理はない?
とうとう4点差になったこともあったか、24分にはシメオネ監督も恒例の一斉交代を行い、グリーズマン、フリアン、ジュリアーノが下がり、コケ、セルロート、コレアがピッチに入ったんですが、いえ、この日はCLリーグフェーズのように大量得点する必要はなかったんですけどね。やはり後出の選手たちもスポットライトを浴びたかったか、ロスタイムにはコレアのアシストでセルロートがダメ押しの5点目をゲット。先週火曜のプラハでの0-6勝利に続き、0-5のゴール祭りって、こんな景気のいいアトレティコ、未だかつて見たことありませんって。
いえ、確かにスパルタにしろ、その夜のうちにペッツェラーノ監督が解任されたバジャドリーにしろ、強敵とはとても言えないんですが、この7連勝が始まったコパ1回戦など、5つもカテゴリーが下のビック(地方リーグ/実質6部)相手に延長戦入り寸前までもつれ込む程、弱っちい彼らでしたからね。その試合のまさに救世主となったフリアンも、「アルゼンチンでは違うスタイルでプレーして、マンチェスター・シティでは完全に違うスタイルでプレーしてきたが、ahora ya sabe cómo juega el Atlético/アオラ・ジャー・サベ・コモ・フエガ・エル・アトレティコ(今ではアトレティコがどうプレーするか知っている)」(シメオネ監督)状態に進化。すでに10得点も挙げており、今回は3度目の正直で、7500億ユーロ(約120億円)の高額移籍がようやく成功してくれたみたいですからね。
加えてグリーズマン、コレア、セルロートと他のFWたちもゴールを決めているとなれば、このいきなり常勝アトレティコ、今週木曜午後7時(日本時間翌午前3時)のコパのカサレス(RFEF2部)戦、日曜メトロポリターノ開催のセビージャ戦でも8連勝、9連勝と続けていきそうですが、さて。ちなみにそのコパではいよいよ、ヘッドギア装着で用意が整ったル・ノルマンの復帰が見られそうなんですが、残る回復待ち選手がレマルだけというのも、負傷禍に苦しむ他のチームと比べて、アトレティコの有利な点かもしれませんね。
そして翌日曜にはマドリーが3週間ぶりにサンティアゴ・ベルナベウに帰還。何を勘違いしたか、午後2時試合だと思って行ってみれば、実は午後4時15分キックオフだったというのはともかく、やっぱりホームはどこのチームにとっても有難い場所なんですね。おかげで先週ミッドウィークはアンフィールドでリバプールにまったく歯が立たず。エムバペのPK失敗もあって、2-0でCLリーグフェーズ3敗目を喫し、決勝トーナメント16強対決進出プレーオフ圏ギリギリの24位になってしまった彼らながら、リーグは別物であることをしっかり証明できることに。
まあ、それには相手のヘタフェが、ベルナベウでは後にも先にも16年前に1度勝ったきりというのもあったんですけどね。おまけにこの日はジェネと共にベルトゥが出場停止とあって、先発したアルバロ・ロドリゲス以外、トップチームのFWがいないため、ボルダラス監督は右サイドをイグレシアスとニヨムのダブルSBで固め、ドゥアルテ、バロカルに加え、アルデレテを中盤に使うCB3人の超守備的な布陣を選択。おかげで開始から25分程は、ロドリゴが復帰したマドリーと拮抗を保っていられたんですが、セットプレーの時、リュディガーのマークについたニヨムが張り切りすぎてしまってねえ。
最初は主審の注意で済んだものの、2度目はイエローカード、そして27分、3度目にはとうとう、ペナルティを取られてしまうんですから、困ったもんじゃないですか。この日もビニシウスは負傷欠場で、ピッチにはキックオフ前に私服で11月のリーガMVPトロフィーをお披露目する時にしか現れなかったため、当然、場内はエムバペのリベンジPKを期待したんですが…当人はPKマークに近寄る素振りすら見せず、ベリンガムが躍るようなパラディーニャで決めて、マドリーに先制点をもたらします。
ただ、エムバペにもすぐに活躍の場は巡ってきて、そう、38分にはベリンガムからスルーパスをもらうと、イグレシアスを振り切って、エリア前からシュート。これがまた、GKダビド・ソリアにも制止不能の弾丸シュートで、あっという間にヘタフェは2点差にされてしまったんですが、いやあ。何せ、「Nos falta gol desde el inicio del campeonato/ノス・ファルタ・ゴル・デスデ・エル・イニシオ・デル・カンペオナートー(ウチにはシーズン島当初からゴールが欠けていた)」(ボルダラス監督)ヘタフェですからね。最善の結果だったスコアレスドローの夢が消えて、ハーフタイム前にもう勝負あった状態になってしまったのは辛いところだったかと。
それでも後半頭からはアランバリとニヨムをプレシーズンから本職ボランチながら、CFとして使われているウチェ、そしてカンテラーノ(ヘタフェBの選手)のFWコバを入れて、一矢を報おうとしたヘタフェだったんですけどね。幸い、序盤にバロカルのハンドで再びPKを献上しそうになったのは、VAR注進のおかげで逃れることができたんですが、実はこの時も誰がマドリーのPKを蹴るのかが注目に。おかげで丁度、前半にソリアと頭をぶつけたプレーで気分が悪くなっていたベリンガムがギュレルと交代になっていたこともあり、一旦はルーカス・バスケスからボールを受け取ったエムバペがロドリゴにキッカー役を押し付けているシーンがTVカメラに目撃されちゃったんですよ。
まあ、これを当人の自信のなさと見るか、自信のない時はムリをせず、チームメートに託す実直な性格と見るかは人それぞれですが、むしろどうにかした方がいいのはシュート精度の悪さで、後半のエムバペは3度も絶好のチャンスがありながら、ゴール数を増やせず。いえ、せっかく1度はバーに当たるシュートを撃ちながら、その後、ヒザを痛め、21分にはウチェが交代することになったヘタフェにしてみれば、傷口が広がらなくて、助かったんですけどね。結局、試合はそのまま2-0で終わり、ボルダラス監督のチームは再び18位のエスパニョールと同じ勝ち点の17位となって、来週月曜にガチンコの降格圏外キープの戦いに挑むことに。
その前にはもちろん、木曜にコパのオリウエラ(RFEF2部)戦があるんですが、成績が振るわないのは日曜の続く時間帯にエスタディオ・バジェカスでアスレティック戦を迎えた弟分仲間のラージョも同様で、いえ、さすがにこの日は私も梯子観戦はできなかったんですけどね。せっかく前半14分にはエヌテカのゴールで先制しながら、後半にはサンセットに2発決められて、1-2で逆転負け。とうとう3連敗となってしまい、順位こそ13位のままだったものの、降格圏まで勝ち点3差に近づいてしまったとなれば、とてもじゃないけど、火曜のコパ、オリウエラ(RFEF2部)戦などにかまけている場合じゃない?
ちなみにそのラージョに勝ったばかりのアスレティックに水曜午後9時(日本時間翌午前4時)から挑むのがマドリーなんですが、週明けの朗報はとうとう、チュアメニがチーム練習に復帰したことで、アンチェロッティ監督によると、もう実戦参加できるのだとか。今はリバプール戦で負傷したカマビンガおらず、カンテラーノのアセンシオもここ3試合でしっかりトップチームのCBが務まることがわかったため、おそらくボランチでの起用となりそうですが、ヘタフェ戦前半で交代したベリンガムも頭を打った後遺症がなかったのは良かったかと。
何せ、気がついてみれば、火曜の夜にはバルサがいきなり目覚めて、マジョルカ相手に1-5の大勝をしていましたからねえ。一時的にまた、2位との差が勝ち点4に広がってしまったため、ここはマドリーも勝って、1差に戻しておきたいところですが…サン・マメスでのアスレティックって、マドリッドの弟分たちのようには優しくないんですよね。
そう、今週のミッドウィークはコパ・デル・レイ2回戦に当たっているものの、1月8日~12日のスペイン・スーパーカップに参加するため、このラウンドもコパ免除の4チームはその日付と重なるリーガ19節を先取り開催。マジョルカvsバルサ戦が火曜に、アスレティックvsマドリー戦が水曜にあるため、1位2位チームが勝った場合、アトレティコとの差がそれぞれ、5差、4差になることに。加えてマドリーは洪水災害で延期になった12節のバレンシア戦開催が1月2日とも言われているため、たとえ、シメオネ監督のチームが12月も連勝街道を突っ走ったとしても、年明け最初のリーガ19節時には勝ち点7差になっているかもしれないって、ちょっとショックじゃない?
いえまあ、10月27日の11節ベティス戦でこの世のものとも思えないプレーを披露して敗戦。不調のドン底にあった当時はそれこそ、首位に勝ち点7とか、10とか、すでにリーガは終わったと言われる程の大差をつけられていたアトレティコでしたから、ここまで持ち直しただけでも立派なんですけどね。実際、リーガはまだ23試合もありますし、先のことはわかりませんが、物は考えよう。何より、この急上昇期のおかげで後続勢とも勝ち点6差ができ、現在、4位のアスレティックがもしマドリーに勝ったとしても、追い越される心配をしなくていいのは朗報と言っていいかもしれません。
ちなみにレガネスは今週、水曜にコパでエステポナ(RFEF2部/実質4部)と対戦し、日曜にはレアル・ソシエダをブタルケに迎えるんですが、15節の土曜は夜の部もあって、アトレティコがホセ・ソリージャを訪問。バジャドリーとの3年ぶりのリーガ対決となったんですが、何せこのスタジアム、2021年に最後のリーガ優勝を果たした思い出の場所ですからね。その時はコロナ禍でスタンドが無人だったの比べ、今回の試合は大勢のファンに見守られてではありますが、最下位の相手は前節、コリセウムで弟分のヘタフェにすら2-0とあっさり敗北。だったら、兄貴分のアトレティコの敵ではないはずと、かなりゆったりした気分で近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に向かったところ…。
序盤からラポールとシラが頭をぶつけ合って倒れ込んだ時は、9月のマドリーダービーで頭蓋骨骨折をしたル・ノルマンの例もあったため、ドキリとさせられたんですが、幸い2人もプレー続行に支障は出ず。バジャドリーの方には12分にアマラーが負傷して、ユリッチと交代というアクシデントもあったんですが、いよいよ26分にはアトレティコの銃口が火を噴きます。そう、まずはジョレンテのラストパスをレングレがゴール前で押し込み、移籍後初ゴールを挙げると、いえ、31分のジュリアーノのゴールはオフサイドで認められなかったんですけどね。
その4分後にはシメオネ監督の三男がアシストに回り、ゴール右前からのグリーズマンのシュートはGKカール・ハインに弾かれてしまったものの、こぼれ球をフリアン・アルバレスが2点目にしてくれます。更にそれからたった2分後、ガランがエリア内左奥から折り返したボールをデ・パウルが決め、あっという間にリードが3点になっているとは凄まじい。となれば、前半ロスタイム、先日のCLスパルタ・プラハ戦でボールがゴールに入る直前に終了の笛が鳴り、得点が認められなかったヒメネスが決めたヘッドが、今度はグリーズマンのオフサイドで再びスコアに挙がらなかったとて、残念なのは当人だけだった?
ええ、更に後半にもアトレティコのgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)は続きましたからね。次はとうとう、スパルタ戦では控えに回ったグリーズマンの見せ場が来て、7分、フリアンとのワンツーでエリア内に入った彼はボールを受けながらクルリと1回転。正確無比なvaselina(バセリーナ/ループシュート)でカール・ハインの頭上を抜けるゴールを挙げたとなれば、「Ronaldo vete ya!/ロナウド・ベテ・ジャー(ロナウド会長、もう出て行け)」と歌うのに疲れたホームファンまで、拍手喝采してしまったとしても無理はない?
とうとう4点差になったこともあったか、24分にはシメオネ監督も恒例の一斉交代を行い、グリーズマン、フリアン、ジュリアーノが下がり、コケ、セルロート、コレアがピッチに入ったんですが、いえ、この日はCLリーグフェーズのように大量得点する必要はなかったんですけどね。やはり後出の選手たちもスポットライトを浴びたかったか、ロスタイムにはコレアのアシストでセルロートがダメ押しの5点目をゲット。先週火曜のプラハでの0-6勝利に続き、0-5のゴール祭りって、こんな景気のいいアトレティコ、未だかつて見たことありませんって。
いえ、確かにスパルタにしろ、その夜のうちにペッツェラーノ監督が解任されたバジャドリーにしろ、強敵とはとても言えないんですが、この7連勝が始まったコパ1回戦など、5つもカテゴリーが下のビック(地方リーグ/実質6部)相手に延長戦入り寸前までもつれ込む程、弱っちい彼らでしたからね。その試合のまさに救世主となったフリアンも、「アルゼンチンでは違うスタイルでプレーして、マンチェスター・シティでは完全に違うスタイルでプレーしてきたが、ahora ya sabe cómo juega el Atlético/アオラ・ジャー・サベ・コモ・フエガ・エル・アトレティコ(今ではアトレティコがどうプレーするか知っている)」(シメオネ監督)状態に進化。すでに10得点も挙げており、今回は3度目の正直で、7500億ユーロ(約120億円)の高額移籍がようやく成功してくれたみたいですからね。
加えてグリーズマン、コレア、セルロートと他のFWたちもゴールを決めているとなれば、このいきなり常勝アトレティコ、今週木曜午後7時(日本時間翌午前3時)のコパのカサレス(RFEF2部)戦、日曜メトロポリターノ開催のセビージャ戦でも8連勝、9連勝と続けていきそうですが、さて。ちなみにそのコパではいよいよ、ヘッドギア装着で用意が整ったル・ノルマンの復帰が見られそうなんですが、残る回復待ち選手がレマルだけというのも、負傷禍に苦しむ他のチームと比べて、アトレティコの有利な点かもしれませんね。
そして翌日曜にはマドリーが3週間ぶりにサンティアゴ・ベルナベウに帰還。何を勘違いしたか、午後2時試合だと思って行ってみれば、実は午後4時15分キックオフだったというのはともかく、やっぱりホームはどこのチームにとっても有難い場所なんですね。おかげで先週ミッドウィークはアンフィールドでリバプールにまったく歯が立たず。エムバペのPK失敗もあって、2-0でCLリーグフェーズ3敗目を喫し、決勝トーナメント16強対決進出プレーオフ圏ギリギリの24位になってしまった彼らながら、リーグは別物であることをしっかり証明できることに。
まあ、それには相手のヘタフェが、ベルナベウでは後にも先にも16年前に1度勝ったきりというのもあったんですけどね。おまけにこの日はジェネと共にベルトゥが出場停止とあって、先発したアルバロ・ロドリゲス以外、トップチームのFWがいないため、ボルダラス監督は右サイドをイグレシアスとニヨムのダブルSBで固め、ドゥアルテ、バロカルに加え、アルデレテを中盤に使うCB3人の超守備的な布陣を選択。おかげで開始から25分程は、ロドリゴが復帰したマドリーと拮抗を保っていられたんですが、セットプレーの時、リュディガーのマークについたニヨムが張り切りすぎてしまってねえ。
最初は主審の注意で済んだものの、2度目はイエローカード、そして27分、3度目にはとうとう、ペナルティを取られてしまうんですから、困ったもんじゃないですか。この日もビニシウスは負傷欠場で、ピッチにはキックオフ前に私服で11月のリーガMVPトロフィーをお披露目する時にしか現れなかったため、当然、場内はエムバペのリベンジPKを期待したんですが…当人はPKマークに近寄る素振りすら見せず、ベリンガムが躍るようなパラディーニャで決めて、マドリーに先制点をもたらします。
ただ、エムバペにもすぐに活躍の場は巡ってきて、そう、38分にはベリンガムからスルーパスをもらうと、イグレシアスを振り切って、エリア前からシュート。これがまた、GKダビド・ソリアにも制止不能の弾丸シュートで、あっという間にヘタフェは2点差にされてしまったんですが、いやあ。何せ、「Nos falta gol desde el inicio del campeonato/ノス・ファルタ・ゴル・デスデ・エル・イニシオ・デル・カンペオナートー(ウチにはシーズン島当初からゴールが欠けていた)」(ボルダラス監督)ヘタフェですからね。最善の結果だったスコアレスドローの夢が消えて、ハーフタイム前にもう勝負あった状態になってしまったのは辛いところだったかと。
それでも後半頭からはアランバリとニヨムをプレシーズンから本職ボランチながら、CFとして使われているウチェ、そしてカンテラーノ(ヘタフェBの選手)のFWコバを入れて、一矢を報おうとしたヘタフェだったんですけどね。幸い、序盤にバロカルのハンドで再びPKを献上しそうになったのは、VAR注進のおかげで逃れることができたんですが、実はこの時も誰がマドリーのPKを蹴るのかが注目に。おかげで丁度、前半にソリアと頭をぶつけたプレーで気分が悪くなっていたベリンガムがギュレルと交代になっていたこともあり、一旦はルーカス・バスケスからボールを受け取ったエムバペがロドリゴにキッカー役を押し付けているシーンがTVカメラに目撃されちゃったんですよ。
まあ、これを当人の自信のなさと見るか、自信のない時はムリをせず、チームメートに託す実直な性格と見るかは人それぞれですが、むしろどうにかした方がいいのはシュート精度の悪さで、後半のエムバペは3度も絶好のチャンスがありながら、ゴール数を増やせず。いえ、せっかく1度はバーに当たるシュートを撃ちながら、その後、ヒザを痛め、21分にはウチェが交代することになったヘタフェにしてみれば、傷口が広がらなくて、助かったんですけどね。結局、試合はそのまま2-0で終わり、ボルダラス監督のチームは再び18位のエスパニョールと同じ勝ち点の17位となって、来週月曜にガチンコの降格圏外キープの戦いに挑むことに。
その前にはもちろん、木曜にコパのオリウエラ(RFEF2部)戦があるんですが、成績が振るわないのは日曜の続く時間帯にエスタディオ・バジェカスでアスレティック戦を迎えた弟分仲間のラージョも同様で、いえ、さすがにこの日は私も梯子観戦はできなかったんですけどね。せっかく前半14分にはエヌテカのゴールで先制しながら、後半にはサンセットに2発決められて、1-2で逆転負け。とうとう3連敗となってしまい、順位こそ13位のままだったものの、降格圏まで勝ち点3差に近づいてしまったとなれば、とてもじゃないけど、火曜のコパ、オリウエラ(RFEF2部)戦などにかまけている場合じゃない?
ちなみにそのラージョに勝ったばかりのアスレティックに水曜午後9時(日本時間翌午前4時)から挑むのがマドリーなんですが、週明けの朗報はとうとう、チュアメニがチーム練習に復帰したことで、アンチェロッティ監督によると、もう実戦参加できるのだとか。今はリバプール戦で負傷したカマビンガおらず、カンテラーノのアセンシオもここ3試合でしっかりトップチームのCBが務まることがわかったため、おそらくボランチでの起用となりそうですが、ヘタフェ戦前半で交代したベリンガムも頭を打った後遺症がなかったのは良かったかと。
何せ、気がついてみれば、火曜の夜にはバルサがいきなり目覚めて、マジョルカ相手に1-5の大勝をしていましたからねえ。一時的にまた、2位との差が勝ち点4に広がってしまったため、ここはマドリーも勝って、1差に戻しておきたいところですが…サン・マメスでのアスレティックって、マドリッドの弟分たちのようには優しくないんですよね。
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コパに波乱はなかったけど…/原ゆみこのマドリッド
「いきなりヒマになったのね」そんな風に私が戸惑っていたのは金曜日、コパ・デル・レイ1回戦免除のレアル・マドリーは土曜のリーガ12節、メスタジャでのバレンシア戦も順延が決定。来週火曜のCLミラン戦まで試合がないとわかった時のことでした。いやあ、このミッドウィークはスペイン南部、とりわけバレンシア州が集中ゲリラ豪雨に襲われ、そこかしこで洪水が発生。ここ数日、200人以上もの犠牲者を出すことになった、街中の道が完全に水路と化し、自動車がガンガン流れされていたり、溢れかえった河川の水で橋が完全破壊する光景ばかり、TVで見せられているんですけどね。 もちろん、被害にあった地方で試合の開催ができる訳なく、ええ、木曜に予定されていたヘタフェのマニセス(地方リーグ/実質6部)戦は前日に延期が決まり、ボルダラス監督のチームはバレンシアに移動すらせず。それとは逆に試合開催地に移動する手段が断たれ、延期になったバレンシアやレバンテの例なども。まあ、ヘタフェはヨーロッパの大会に参加しておらず、フリーのミッドウィークが多いため、マニセス戦は来週木曜にやることが早々に決まったんですけどね。リーガ12節のセルタ戦が月曜試合のせいもあり、その後の土曜開催だった13節ジローナ戦が日曜に変更。入れ替えでレガネスが日曜予定だったセビージャ戦を前倒しで土曜にプレーという、トバッチリを喰うなんてことも。 それとは対照的なのはマドリーで、やはり日曜のリーガ12節ビジャレアル戦の延期が決まったラージョなどは相手共々、ドメスティック組のため、それこそ来週中でも、11月の各国代表戦週間明けのミッドウィークになってもいいのとは大違い。ええ、来週もCL週ですし、元からして、空いているミッドウィークを探すのは至難の技ですからね。実際、延期されたバレンシア戦をプレーする日付を見つけるのも大変で、候補はクリスマス休暇を早めに切り上げて年明けの1月2日、両チームがコパ早期敗退してくれたら、1月中のミッドウィーク、マドリーがプレーオフなしでCL16強対決に進んだら、2月中のミッドウィーク、それでもダメなら、リーガ最終節直前のミッドウィークという、訳のわからないことに。 どちらにしろ、バレンシア戦の日付が決まるのはかなり先のことになるため、今は気にせずほっておくことにしても、いやあ、マドリー最後の試合は先週土曜、クラシコ(伝統の一戦)でバルサに0-4の大敗という最悪のものでしたからね。その上、月曜には当日午前中に受賞者がビニシウスでないとわかったせいでの、バロンドール表彰式集団ドタキャン事件も発生。ロドリ(マンチェスター・シティ)が史上2人目のスペイン人受賞者となったのに歓喜する国内マスコミはもとより、国外からもかなり批判を浴びていたなんてこともあったんですが、その辺も空前絶後の自然災害のせいでうやむやに。CLミラン戦が近づけば、それこそ世間もコロッと忘れているんじゃないかと思いますが、何はともあれ、ビニシウスが落ち込んでいないことを祈るばかりかと。 そんなことはともかく、無事にコパ1回戦を済ませたマドリッドの3チームの話もしておくことにすると、火曜にはまず、ラージョがビジャムリエル(地方リーグ)戦に0-5と大勝。まあ、カテゴリー差を考えれば当然なんですが、収穫だったのは、今季まだ出場がなかったRdT(ラウール・デ・トマス)が初先発、しかも前半終わり近くにはPKで、今年2月以来となるゴールを決めたことだったでしょうか。それにトレホが続いた後、後半頭にもRdTが自身2点目を入れると、セルジ・グァルディオラもラージョ出戻り初ゴール、最後は今季、カンテラ(Bチーム)に加入したサムエル・エトーの息子、22才のエティエンヌ・エトーの5点目で締めるという、イニゴ・ペレス監督のチームにしては珍しいgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)で勢いをつけられたのは良かったかと。 それだけにビジャレアル戦が延期になってしまったのは残念なんですが、続いて水曜にコパに挑んだのはレガネス。いやあ、こちらの相手はルセナ(RFEF3部/実質5部)と1つカテゴリーが上だったせいなんでしょうかね。前半はなかなか得点できず、ようやくPKをゲットしたかと思えば、オスカル・ロドリゲスは弾かれてしまう始末。更には42分、再びもらったPKをムニルも弾かれたんですが、幸いこちらは自分で押し込んで、先制点を挙げたところ…ロスタイムに同点ゴールを奪われるとはちょっと情けない。 でも大丈夫、後半7分には更生したオスカルがファン・クルスにラストパスを送り、そのゴールでレガネスは1-2と勝ち越し。そのまま最後までリードを保ち、2回戦進出を決めたんですが、この週末土曜にはアウェイのジローナ戦を控える彼らには悪いニュースもあってねえ。その日、ハラーが遠征に参加していなかったのは単なるローテーションだと思っていたところ、実はケガをしていたからだそうで、ええ、先週末のセルタ戦ではディエゴ・ガルシアも負傷交代していましたからね。 モンテリビで当てにできるCFがミゲール・デ・ラ・フエンテだけとなるのは少々、心もとない気もしますが、総勢12名以上の負傷禍に陥っているミチェル監督のチーム程ではない?それでも同じ水曜にエクストレマドゥラ(RFEF3部)に0-4と勝利しているとはいえ、ジローナには来週、CLのPSV戦もありますしね。せっかく先週末の勝利で14位と降格圏から離れたレガネスにとっては、もっと安全な順位まで上昇する好機なんですが、さて、どうなることやら。 一方、先週はCLリール戦、ベティス戦と2連敗して、ドツボに嵌っているアトレティコは木曜にビック(地方リーグ)戦に挑んだんですが、たとえ、ピッチが人工芝だったとはいえ、アウェイ弱者なのは相手構わずだったよう。だってえ、スタメンに入ったカンテラーノはコスティスとハビ・セラーノの2人だけ、あとはトップチームのメンバーだったにも関わらず、コレアもセルロートもゴールからは程遠い状態なんですよ。それどころか、格下のビックの方が何度もGKムッサを煩わせていたとなれば、一体、どうしたらいい? 幸い、この日はオウンゴールで相手のシュート精度のなさを助けてあげるヒメネスのようなお人よしはいなかったため、前半は0-0で終わったんですけどね。後半頭から、シメオネ監督は得意の3人一斉交代を発動。コスティス、セラーノ、セルロートを下げ、ガラン、コケ、レマルが入ったんですが、それでも大勢は変わりません。そこで13分にはとうとうリケルメに代えて、フリアン・アルバレスの出動となったものの、うーん、22分にはレマルがケガして、グリーズマンまで動員って、いや、もうこれ、ガチのリーガ用メンバーですって。 それでも一向にアトレティコのゴールは決まらないまま、いよいよ後半30分も過ぎたため、コパ1回戦から延長戦なんて完全に体力のムダ。というか、あまりに恥ずかしいから、何とかしてよと祈るような気持ちに私もなっていたんですが、34分、根性を見せた選手が約1名。それはシメオネ監督の三男ジュリアーノで、ええ、この日は先発に抜擢され、右サイドを担当していたんですけどね。ドリブルで鬼のように上がると、エリアに入ったところで、ベルトラナに吹っ飛ばされ、主審がペナルティを宣告してくれたから、有難かったの何のって。 うーん、リプレーを見るとこちら、敵の足が当たるのをジュリアーノはジャンプしてよけてから、転がったみたいなんですけどね。コパのこのフェーズではVAR(ビデオ審判)もないため、あっさりPKをもらったアトレティコはフリアン・アルバレスがしっかり決めて先制。それでもこの1点だけとなると、1回戦で一番、ショボい勝ち方をした1部チームになりそうと心配していたところ、45分には敵のFKをクリアしてからのカウンターがはまり、最後はコレアのアシストで再び、フリアン・アルバレスが2点目を決めてくれたとなれば、それこそマンチェスター・シティに7500万ユーロ(約125億円)の高額移籍金を払った甲斐があるというもの? いや、違います。絶対、違います!本来なら、CLやコパの準々決勝や準決勝、リーガの天王山などで勝利のゴールを挙げてもらうために彼は来たはずで、基本的にこのレベルの試合なら、控えのFWたちのアピールで楽勝しているのが常道。ただ、アキレス腱断裂で昨季をほぼ丸々棒に振り、ようやく最近復帰しながら、また負傷してしまったレマルにもアトレティコは7000万ユーロ(約117億円)をモナコに払っていて、移籍金1憶2700万ユーロ(約211億円)のジョアン・フェリックス(現チェルシー)など言わずもがなですからね。どうにもお隣さんのように彼らが奮発すると、ロクな結果が出ていないのがこれまでの例となれば…。 せめて3度目の正直で、フリアン・アルバレスでは当たりが出てほしいものですが、まったく。ちなみに試合後のシメオネ監督は、「Me encantó como jugó. Con pasión, compromiso, con intensidad cada pelota/メ・エンカントー・コモ・フゴ。コン・パシオン、コンプロミソ、コン・インテンシダッド・カーダ・ペロータ(彼らのプレーに感激した。情熱、献身、1つ1つのボールへの激しさにね)」とビックを持ち上げていたんですが、これって全て、アトレティコのアウェイ戦に足りないところばかり。もしや、選手たちへの皮肉だったかもと思ってしまうのは私だけではなかった? まあ、そんな感じで何とか、コパをクリアしたアトレティコは今週末、日曜午後2時(日本時間午後10時)から、リーガ12節でラス・パルマスと対戦。この試合はメトロポリターノ開催なため、まだ気が楽なんですが、何せ相手はカリオン監督から、ディエゴ・マルティネス監督に代わって以来、バレンシア、ジローナに2連勝、更にはコパのオンティニェラ(地方リーグ)戦でも昨季までヘタフェにいたマタがpoker(ポケル/1試合4得点のこと)を達成し、0-7で大勝していますからね。 加えて懸念なのはメトロポリターノの雰囲気で、マドリーダービーでのGKクルトワへの物投げ込み騒動によるフレンテ・アトレティコ(ウルトラのグループ)の犯人メンバーのスタジアム追放もとうとう、9人までになったとあって、先週のCLリール戦で応援ストをしていた彼らが心を改めてくれるとも思えず。またしてもスタンド分断状態になりそうなのは困りもんですが、金曜にはチーム練習にバリオスとレングレが合流したという朗報も。何せ前節ベティス戦での黒星で、首位のバルサと勝ち点10差がついてしまっただけでなく、4位の座も勝ち点2差でアスレティックとベティスに脅かされているアトレティコですからね。来週水曜のCL4節PSG戦に関してはアウェイでもありますし、もう考えるだけで空しくなるため、せめてリーガでは最低限マスト、来季CL出場圏を維持できるといいのですが…。 2024.11.03 01:00 Sunレアル・マドリーの人気記事ランキング
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