コパに波乱はなかったけど…/原ゆみこのマドリッド

2024.11.03 01:00 Sun
©Atlético de Madrid
「いきなりヒマになったのね」そんな風に私が戸惑っていたのは金曜日、コパ・デル・レイ1回戦免除のレアル・マドリーは土曜のリーガ12節、メスタジャでのバレンシア戦も順延が決定。来週火曜のCLミラン戦まで試合がないとわかった時のことでした。いやあ、このミッドウィークはスペイン南部、とりわけバレンシア州が集中ゲリラ豪雨に襲われ、そこかしこで洪水が発生。ここ数日、200人以上もの犠牲者を出すことになった、街中の道が完全に水路と化し、自動車がガンガン流れされていたり、溢れかえった河川の水で橋が完全破壊する光景ばかり、TVで見せられているんですけどね。
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もちろん、被害にあった地方で試合の開催ができる訳なく、ええ、木曜に予定されていたヘタフェのマニセス(地方リーグ/実質6部)戦は前日に延期が決まり、ボルダラス監督のチームはバレンシアに移動すらせず。それとは逆に試合開催地に移動する手段が断たれ、延期になったバレンシアやレバンテの例なども。まあ、ヘタフェはヨーロッパの大会に参加しておらず、フリーのミッドウィークが多いため、マニセス戦は来週木曜にやることが早々に決まったんですけどね。リーガ12節のセルタ戦が月曜試合のせいもあり、その後の土曜開催だった13節ジローナ戦が日曜に変更。入れ替えでレガネスが日曜予定だったセビージャ戦を前倒しで土曜にプレーという、トバッチリを喰うなんてことも。それとは対照的なのはマドリーで、やはり日曜のリーガ12節ビジャレアル戦の延期が決まったラージョなどは相手共々、ドメスティック組のため、それこそ来週中でも、11月の各国代表戦週間明けのミッドウィークになってもいいのとは大違い。ええ、来週もCL週ですし、元からして、空いているミッドウィークを探すのは至難の技ですからね。実際、延期されたバレンシア戦をプレーする日付を見つけるのも大変で、候補はクリスマス休暇を早めに切り上げて年明けの1月2日、両チームがコパ早期敗退してくれたら、1月中のミッドウィーク、マドリーがプレーオフなしでCL16強対決に進んだら、2月中のミッドウィーク、それでもダメなら、リーガ最終節直前のミッドウィークという、訳のわからないことに。
どちらにしろ、バレンシア戦の日付が決まるのはかなり先のことになるため、今は気にせずほっておくことにしても、いやあ、マドリー最後の試合は先週土曜、クラシコ(伝統の一戦)でバルサに0-4の大敗という最悪のものでしたからね。その上、月曜には当日午前中に受賞者がビニシウスでないとわかったせいでの、バロンドール表彰式集団ドタキャン事件も発生。ロドリ(マンチェスター・シティ)が史上2人目のスペイン人受賞者となったのに歓喜する国内マスコミはもとより、国外からもかなり批判を浴びていたなんてこともあったんですが、その辺も空前絶後の自然災害のせいでうやむやに。CLミラン戦が近づけば、それこそ世間もコロッと忘れているんじゃないかと思いますが、何はともあれ、ビニシウスが落ち込んでいないことを祈るばかりかと。

そんなことはともかく、無事にコパ1回戦を済ませたマドリッドの3チームの話もしておくことにすると、火曜にはまず、ラージョがビジャムリエル(地方リーグ)戦に0-5と大勝。まあ、カテゴリー差を考えれば当然なんですが、収穫だったのは、今季まだ出場がなかったRdT(ラウール・デ・トマス)が初先発、しかも前半終わり近くにはPKで、今年2月以来となるゴールを決めたことだったでしょうか。それにトレホが続いた後、後半頭にもRdTが自身2点目を入れると、セルジ・グァルディオラもラージョ出戻り初ゴール、最後は今季、カンテラ(Bチーム)に加入したサムエル・エトーの息子、22才のエティエンヌ・エトーの5点目で締めるという、イニゴ・ペレス監督のチームにしては珍しいgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)で勢いをつけられたのは良かったかと。
それだけにビジャレアル戦が延期になってしまったのは残念なんですが、続いて水曜にコパに挑んだのはレガネス。いやあ、こちらの相手はルセナ(RFEF3部/実質5部)と1つカテゴリーが上だったせいなんでしょうかね。前半はなかなか得点できず、ようやくPKをゲットしたかと思えば、オスカル・ロドリゲスは弾かれてしまう始末。更には42分、再びもらったPKをムニルも弾かれたんですが、幸いこちらは自分で押し込んで、先制点を挙げたところ…ロスタイムに同点ゴールを奪われるとはちょっと情けない。

でも大丈夫、後半7分には更生したオスカルがファン・クルスにラストパスを送り、そのゴールでレガネスは1-2と勝ち越し。そのまま最後までリードを保ち、2回戦進出を決めたんですが、この週末土曜にはアウェイのジローナ戦を控える彼らには悪いニュースもあってねえ。その日、ハラーが遠征に参加していなかったのは単なるローテーションだと思っていたところ、実はケガをしていたからだそうで、ええ、先週末のセルタ戦ではディエゴ・ガルシアも負傷交代していましたからね。

モンテリビで当てにできるCFがミゲール・デ・ラ・フエンテだけとなるのは少々、心もとない気もしますが、総勢12名以上の負傷禍に陥っているミチェル監督のチーム程ではない?それでも同じ水曜にエクストレマドゥラ(RFEF3部)に0-4と勝利しているとはいえ、ジローナには来週、CLのPSV戦もありますしね。せっかく先週末の勝利で14位と降格圏から離れたレガネスにとっては、もっと安全な順位まで上昇する好機なんですが、さて、どうなることやら。

一方、先週はCLリール戦、ベティス戦と2連敗して、ドツボに嵌っているアトレティコは木曜にビック(地方リーグ)戦に挑んだんですが、たとえ、ピッチが人工芝だったとはいえ、アウェイ弱者なのは相手構わずだったよう。だってえ、スタメンに入ったカンテラーノはコスティスとハビ・セラーノの2人だけ、あとはトップチームのメンバーだったにも関わらず、コレアもセルロートもゴールからは程遠い状態なんですよ。それどころか、格下のビックの方が何度もGKムッサを煩わせていたとなれば、一体、どうしたらいい?

幸い、この日はオウンゴールで相手のシュート精度のなさを助けてあげるヒメネスのようなお人よしはいなかったため、前半は0-0で終わったんですけどね。後半頭から、シメオネ監督は得意の3人一斉交代を発動。コスティス、セラーノ、セルロートを下げ、ガラン、コケ、レマルが入ったんですが、それでも大勢は変わりません。そこで13分にはとうとうリケルメに代えて、フリアン・アルバレスの出動となったものの、うーん、22分にはレマルがケガして、グリーズマンまで動員って、いや、もうこれ、ガチのリーガ用メンバーですって。

それでも一向にアトレティコのゴールは決まらないまま、いよいよ後半30分も過ぎたため、コパ1回戦から延長戦なんて完全に体力のムダ。というか、あまりに恥ずかしいから、何とかしてよと祈るような気持ちに私もなっていたんですが、34分、根性を見せた選手が約1名。それはシメオネ監督の三男ジュリアーノで、ええ、この日は先発に抜擢され、右サイドを担当していたんですけどね。ドリブルで鬼のように上がると、エリアに入ったところで、ベルトラナに吹っ飛ばされ、主審がペナルティを宣告してくれたから、有難かったの何のって。

うーん、リプレーを見るとこちら、敵の足が当たるのをジュリアーノはジャンプしてよけてから、転がったみたいなんですけどね。コパのこのフェーズではVAR(ビデオ審判)もないため、あっさりPKをもらったアトレティコはフリアン・アルバレスがしっかり決めて先制。それでもこの1点だけとなると、1回戦で一番、ショボい勝ち方をした1部チームになりそうと心配していたところ、45分には敵のFKをクリアしてからのカウンターがはまり、最後はコレアのアシストで再び、フリアン・アルバレスが2点目を決めてくれたとなれば、それこそマンチェスター・シティに7500万ユーロ(約125億円)の高額移籍金を払った甲斐があるというもの?

いや、違います。絶対、違います!本来なら、CLやコパの準々決勝や準決勝、リーガの天王山などで勝利のゴールを挙げてもらうために彼は来たはずで、基本的にこのレベルの試合なら、控えのFWたちのアピールで楽勝しているのが常道。ただ、アキレス腱断裂で昨季をほぼ丸々棒に振り、ようやく最近復帰しながら、また負傷してしまったレマルにもアトレティコは7000万ユーロ(約117億円)をモナコに払っていて、移籍金1憶2700万ユーロ(約211億円)のジョアン・フェリックス(現チェルシー)など言わずもがなですからね。どうにもお隣さんのように彼らが奮発すると、ロクな結果が出ていないのがこれまでの例となれば…。

せめて3度目の正直で、フリアン・アルバレスでは当たりが出てほしいものですが、まったく。ちなみに試合後のシメオネ監督は、「Me encantó como jugó. Con pasión, compromiso, con intensidad cada pelota/メ・エンカントー・コモ・フゴ。コン・パシオン、コンプロミソ、コン・インテンシダッド・カーダ・ペロータ(彼らのプレーに感激した。情熱、献身、1つ1つのボールへの激しさにね)」とビックを持ち上げていたんですが、これって全て、アトレティコのアウェイ戦に足りないところばかり。もしや、選手たちへの皮肉だったかもと思ってしまうのは私だけではなかった?

まあ、そんな感じで何とか、コパをクリアしたアトレティコは今週末、日曜午後2時(日本時間午後10時)から、リーガ12節でラス・パルマスと対戦。この試合はメトロポリターノ開催なため、まだ気が楽なんですが、何せ相手はカリオン監督から、ディエゴ・マルティネス監督に代わって以来、バレンシア、ジローナに2連勝、更にはコパのオンティニェラ(地方リーグ)戦でも昨季までヘタフェにいたマタがpoker(ポケル/1試合4得点のこと)を達成し、0-7で大勝していますからね。

加えて懸念なのはメトロポリターノの雰囲気で、マドリーダービーでのGKクルトワへの物投げ込み騒動によるフレンテ・アトレティコ(ウルトラのグループ)の犯人メンバーのスタジアム追放もとうとう、9人までになったとあって、先週のCLリール戦で応援ストをしていた彼らが心を改めてくれるとも思えず。またしてもスタンド分断状態になりそうなのは困りもんですが、金曜にはチーム練習にバリオスとレングレが合流したという朗報も。何せ前節ベティス戦での黒星で、首位のバルサと勝ち点10差がついてしまっただけでなく、4位の座も勝ち点2差でアスレティックとベティスに脅かされているアトレティコですからね。来週水曜のCL4節PSG戦に関してはアウェイでもありますし、もう考えるだけで空しくなるため、せめてリーガでは最低限マスト、来季CL出場圏を維持できるといいのですが…。

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【ラ・リーガ第11節プレビュー】今季最初のエル・クラシコ! 今季初連勝狙うソシエダはオサスナ戦

先週末に行われた第10節はバルセロナ、レアル・マドリー、アトレティコ・マドリーの3強が揃って勝利。また、唯一未勝利だったラス・パルマスがバレンシアとの下位対決を制して初勝利を挙げている。 10月最終週に開催される今節は2位のレアル・マドリーと、首位のバルセロナが勝ち点3差で激突する、今シーズン最初のエル・クラシコが開催される。 マドリーは前節、難敵セルタとのアウェイゲームをFWムバッペ、FWヴィニシウス・ジュニオールの両エースによるゴールで2-1の勝利。セルタの決定力次第では取りこぼしの可能性もあったが、持ち味の勝負強さを発揮した。 続くチャンピオンズリーグ(CL)では昨季決勝のリターンマッチとなったドルトムント戦で圧巻のレモンターダを達成。前半を2点ビハインドで終えたが、後半に一気にギアを上げると、ヴィニシウスの圧巻のトリプレーテにDFルーカス・バスケスの決勝点などで5-2の逆転勝利。まさにベルナベウ劇場というど派手な内容で、ホーム開催の伝統の一戦に弾みを付けた。ただ、同試合では守護神クルトワ、FWロドリゴが負傷し、長期離脱中のDFカルバハルに続く離脱者を出して大一番に臨む形となった。 一方、バルセロナは前節、ホームでセビージャと対戦し、FWレヴァンドフスキとMFパブロ・トーレのドブレーテ共演によって5-1のマニータの圧勝。続くCLでは直近6戦全敗だった天敵バイエルン相手にフリック新体制初のビッグマッチで、その真価を示した。 FWハフィーニャの開始1分の電光石火弾の後は押し込まれて同点ゴールを奪われたが、前半終盤にレヴァンドフスキの恩返しゴールで勝ち越し。さらに、前半終了間際と後半序盤にハフィーニャがゴールを重ねてトリプレーテを達成。以降は危なげないゲームクローズでブンデスリーガ首位チーム相手に4-1で完勝した。対戦相手と異なり、こちらは負傷明けのMFダニ・オルモ、MFガビ、MFフレンキー・デ・ヨングが状態を上げており、敵地での大一番へ準備万端だ。 前節、レガネス相手の3-1の快勝で公式戦4試合ぶりの白星を挙げたアトレティコ。しかし、直近のCLリール戦ではマドリーに今季初黒星を与えた曲者に1-3で敗戦。CLではベンフィカ戦に続く連敗となった。相手のミスを突いた前半序盤のFWアルバレスのゴールで先制に成功したが、後半序盤に同点ゴールを奪われると、MFコケのかなり微妙なボックス内のハンドで与えたPK、不運なディフレクトによってFWデイビッドに2ゴールを叩き込まれて逆転負けした。物議を醸すPK献上が大きく響いた一方、主力を欠くディフェンスラインや最適解を見いだせない中盤や前線に問題を抱えていることは事実で、難敵ベティスのホームに乗り込む今回の一戦では攻守両面で改善を示したい。 MF久保建英を擁するレアル・ソシエダは、今季初のリーグ戦連勝を懸けて曲者オサスナとのホームゲームに臨む。ジローナとの強豪対決となった前節はFWオヤルサバルの今季初ゴールを守り切ってウノセロ勝利。さらに、ヨーロッパリーグ(EL)では今季EL初先発となった久保を左ウイング、オヤルサバルを右ウイングに配置する新たな形からマッカビ・テルアビブにDFパチェコ、DFセルヒオ・ゴメスのゴールによって2-1の勝利。新たなオプションもまずまず機能し、EL初勝利を手にした。75分間のプレータイムとなった久保に関しては中2日のホームゲームで引き続きスタメン起用が見込まれる。イマノル監督の起用法次第ではあるが、チャンスメイクとフィニッシャーの双方での活躍を期待したい。 FW浅野拓磨が負傷離脱中の6位マジョルカは、マンデーナイトの一戦で5位アスレティック・ビルバオとの同勝ち点対決に挑む。前節はラージョ相手にウノセロ勝利を収めて連敗ストップ後の一戦でしっかり白星を取り戻した。昨季コパ・デル・レイ決勝で苦杯をなめた因縁の相手に対して、コンディション面のアドバンテージを活かしてリベンジしたい。 その他では4位のビジャレアル、クラブ史上初のCL勝利で勢いづくジローナ、ラス・パルマスに初白星を献上して最下位に転落したバレンシアといったチームの戦いにも注目だ。 《ラ・リーガ第11節》 ▽10/25(金) 《28:00》 エスパニョール vs セビージャ ▽10/26(土) 《21:00》 バジャドリー vs ビジャレアル 《23:15》 ラージョ vs アラベス 《25:30》 ラス・パルマス vs ジローナ 《28:00》 レアル・マドリー vs バルセロナ ▽10/27(日) 《22:00》 レガネス vs セルタ 《24:15》 ヘタフェ vs バレンシア 《26:30》 ベティス vs アトレティコ・マドリー 《29:00》 レアル・ソシエダ vs オサスナ ▽10/28(月) 《29:00》 マジョルカ vs アスレティック・ビルバオ 2024.10.25 19:00 Fri

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