プレシーズンは着々と進んでいる…/原ゆみこのマドリッド

2024.07.23 23:10 Tue
©Atlético de Madrid
「サンティアゴ・ベルナベウなら行ったのに」そんな風に私が嘆いていたのは月曜日、この夏、レアル・マドリーとの契約延長をせず、サウジアラビアのアル・カーディシーヤに移籍することに決めたナチョのお別れセレモニーが水曜にバルデベバス(バラハス空港の近く)であると知った時のことでした。いやあ、先週は火曜に待望のエムバペ(PSGと契約終了)入団メガプレゼンがあった後、土曜からはカロルGの4夜連続コンサートで大賑わいしているベルナベウなんですけどね。今週土曜にも、21日にはいよいよ成人年齢18才のバースデーを迎え、パルメイラスからの移籍が有効に。すでにマドリッド入りして待機しているエンドリックの入団プレゼンが控えているにも関わらず、CL6回優勝の昨季キャプテンをファンの入れない練習場でお見送りとは少々、冷たいような気がしない?

といってもこれにはナチョにも多少責任があって、ええ、シーズン終了前に引退を発表したクロースなど、ベルナベウで最後の試合となったベティス戦やCL決勝ドルトムント戦でDecimoquinta(デシモキンタ/15回目のCL優勝のこと)を達成した後、更に翌日の祝賀セレモニーでも場内一周と胴上げをリピートして、去って行きましたからね。それが23年間マドリー一筋だったマルチDFの彼の場合、退団の意志を明らかにしたのが、スペイン代表のユーロ合宿が始まってからだったため、ベルナベウでファンとお別れするチャンスを失ってしまったんですが、まあ元々、選手の退団行事はマドリーではそんなに多くないのも事実。

私も思い出せるのはラウール(RMカスティージャ監督)やカシージャス、近いところで3年前のセルヒオ・ラモス(昨季限りでセビージャを退団)ぐらいで、実際、クリスチアーノ・ロナウド(アル・ナスリ)やベンゼマ(アル・イティハド)ですら、お別れの手紙だけで行ってしまいましたからね。同じユーロ優勝スペイン代表組で、昨季はエスパニョールからのレンタル移籍だったホセルなども先週、ロッカールームに挨拶に行っただけで、もうカタールのアル・ガラファに顔を出していましたし、そうなると、たとえ、バルデベバスでもナチョがセレモニーをしてもらえるのはむしろ、特別扱いになるかと。
まあ、そんなことはともかく、すでにプレシーズン2週目が始まったマドリーの近況をお伝えしていくことにすると、今のところ、猛暑のバルデベバスで淡々とセッションが続いているだけで、ええ、まだユーロやコパ・アメリカに参加していたメンバーの大半が戻ってない上、エムバペもプレゼンだけして、バケーションでマイアミに行ってしまいましたからね。チームに合流するのは8/7ですし、先週半ばにはモドリッチ、ルーカス・バスケスの1年契約延長の発表がようやくあったものの、まだ前者もバケーション中。

おそらくコパ・アメリカ準々決勝敗退組のブラジル勢、ビニシウス、ロドリゴ、ミリトンらと共に月末から始まるアメリカツアー(7/31ミラン戦、8/3バルサ戦、8/6チェルシー戦)に合わせて、戻るかと思いますが、中にはウクライナ代表でグループリーグ敗退したGKルーニンのように初日から、早出してきたメンバーも。そう、昨季のプレシーズンにGKクルトワがヒザの靭帯断裂という重傷を負った後、緊急レンタル移籍してきたケパ(チェルシー)とのレギュラー争いに勝って、彼はマドリー正GKの座をゲット。それがいよいよ大詰めのCL決勝前にインフルBにかかり、シーズン終盤に復帰してきたクルトワとウェンブリーのゴールを守る権利を争うことができず、ユーロでも初戦のルーマニア戦での3失点ミスが祟り、残り2試合はトゥルビン(ベンフィカ)の控えにされてしまったんですが、やっぱりまた、日影の身に戻るのはイヤなようでねえ。
バルデベバスでクルトワと一緒に練習しながら、出場できるクラブを探しているそうで、彼が移籍した場合、ケパに戻って来る用意があるのだとか。ちなみに似たような話はお隣さんでもあって、絶対正GKオブラクの控えとして、1月に入団したモルドバンが出場機会を1度ももらえず、ユーロのルーマニア代表でも控えになってしまったせいで、移籍希望を宣言。こればっかりは相手がUno de los mejores porteros(ウノ・デ・ロス・メホーレス・ポルテーロス/最高のGKの1人)であるだけに仕方ないとはいえ、昨季までの正GKディミトリエフスキ(バレンシアに移籍)がいなくなってしまったラージョ程の深刻な悩みではない?

むしろマドリーが現在、補強の必要性を感じているのはCBで、いえ、ナチョと入れ替わりで、カンテラーノ(下部組織出身の選手)のバジェホがグラナダ(昨季2部に降格)へのレンタルから、戻ってはいるんですけどね。それとは別にクラブがずっと狙っていたリールの18才の逸材、レニー・ヨロが、大枚5000万ユーロ(約86億円)をはたいたマンチェスター・ユナイテッドに持っていかれてしまったのが大誤算。オーストリア代表のアドバイザーとして、ユーロに同行していたアラバもまだヒザの靭帯断裂のリハビリ中とあって、CB本職がリュディガーとミリトンしかいないとなれば、チュアメニはともかく、緊急中の緊急、CL優勝とユーロ優勝でとうとう、バロンドール候補の声も聞こえ始めたカルバハルにまで頼ることになるのは、アンチェロッティ監督も避けたいと思っているはずですが、さて。

その一方ですでにプレシーズンマッチも始まっているマドリッドの弟分チームたちの様子もお話ししておくと、ラージョはすでに2度もポルトガルに遠征。先週水曜にスポルティング・ブラガと対戦して、2-2で引き分けたのを知った時はなかなかやるなと思ったものの、土曜のビトリア戦では2-0で負けてしまうことに。うーん、初戦のゴールも先制点はバルサ・アスレティック(RFEF1部/実質3部)から来たCBペラジョ、2点目もカンテラーノのマルコ・デ・ラ・シラスのものでしたからね。要は相変わらず、RdT(ラウール・デ・トマス)を筆頭にエヌテカ、アルバロ・ガルシアやイシらのゴール日照りが続いているってことで、現在はカメージョもオリンピックのスペイン代表に帯同中。

今のところ、その他の補強はグンバウ(グラナダから移籍)ぐらいで、2020年にラージョからエスパニョールに河岸を変えたカンテラーノ、昨季はアルメリアで2部降格したエンバルバの復帰が近いと言われているんですが、彼もFWではありませんからね。昨季はフランシスコ監督から、2月にチームを引き継いで、何とか1部残留を達成したイニゴ・ペレス監督ももっと、チームにゴールをもたらしてくれるストライカーが欲しいところでしょうが、当面、今週金曜のヘーレンフェーン戦、来週水曜のコルドバ(2部)戦辺りは手持ちの駒でやりくりするしかないかと。

その傍らで先週、バレンシアのオリバ・ゴルフリゾートにキャンプに行っていたヘタフェは金曜に現地でコベントリー・シティ(イギリス2部)と対戦したんですが、いや午後7時からのピッチの暑そうなことと言ったらもう。このプレシーズンも彼らの試合はクラブのYouTubeチャンネルで生中継してくれるんですが、開始16分には早くも1回目のお水休憩に入っているんですから、何とも恐ろしい。ちなみにヘタフェもエースのボルハ・マジョラルがまだ3月に負ったヒザの半月板損傷からのリハビリ中で、マタ(今季はラス・パルマス)は契約終了、ラタサ(マドリー)もレンタル終了。アンヘル・トーレス会長がレンタルリピートを匂わせていたグリーンウッドも正式にマンチェスター・ユナイテッドからオリンピック・マルセイユへ移籍金3000万ユーロ(約52億円)で加入とFWの欠員が半端ないんですよ。

おかげで所有権を一部保有していたヘタフェに600万ユーロ(約11億円)入るのは有難いですが、そのコベントリー戦ではCFがカンテラーノのリスコだったというのはちょっとねえ。結局、最後の最後まで、ゴールが入ることなく、同様に暑さバテしていた相手も、いえ、日本人の坂元達裕選手を見られたのは収穫でしたけどね。スコアレスドローで終わったため、やっぱりボルダラス監督のチームも前線の補強がマストなんですが、今のところ、買取オプションを行使したディエゴ・リコに加え、新戦力はRFEF1部のセウタから来たウチェ、ペテル(マドリーからレンタル、昨季はバレンシアでプレー)、GKレテエク(バリク・オストラバから移籍)、アレックス・ソラ(同レアル・ソシエダ)だけ。

今週、ラス・ロサス(マドリッド近郊)のスペイン・サッカー協会本部のグラウンドで予定されている水曜のオビエド戦、土曜のアルバセテ戦でも、2部チーム相手に点が取れないなんてことになると、もっとフロントも本腰を入れて、ストライカー探しをしてくれるのでは?来週は再びアルゴルファ(アリカンテ)にキャンプに行くヘタフェですが、せっかく昨季は余裕で1部残留を達成した流れを途切らせないよう、上手く補強してもらいたものです。

そして4年ぶりに1部での戦いに挑むレガネスも先週木曜には国外遠征。ニースと手合わせして、2-2の引分けに持ち込んだのは立派だったかと。他2つの弟分と違って、ボルハ・ヒメネス監督のチームは2部優勝の殊勲者、ディエゴ・ガルシアとミゲール・デ・ラ・フエンテの両エースが健在で、初親善試合の得点者もこの2人だったんですが、実は補強の面でも彼らはソツのなさを発揮。ええ、私も昨季の正GKディエゴ・コンデがビジャレアルに行ったと聞いた時には心配したものの、すでに先日、出戻りとなるファン・ソリーアノ(テネリフェから移籍)を獲得していた上、他にもMFロベルト・ロペス(同レアル・ソシエダ)、右SBバリエンテ・ロシア(同ベシクタシュ)らが加入しているんですよ。

実際、昨季の主力はミゲールを筆頭にファン・クルス、フランケサ、ブラサナツと、昇格による強制買取オプション行使で残留していますしね。もちろん、まだまだ補強は必要なんですが、こちらもシュダッド・デポルティボ・ブタルケでの今週水曜午前9時半からの早起き親善試合、残念ながら、昨季はレガネスと真逆の道を辿り、今季はRFEF1部でプレーするお隣さん、アルコルコンとの一戦や、8月になってからのイギリス遠征、シェフィールド・ウェンズデー(2部)戦での様子を見ながら、足りない選手を補っていくことになるかと。

そんな中、マドリッド勢で一番動きが鈍いのがアトレティコで、いえ、先週のロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)でのキャンプは土曜に無事に終わったんですけどね。ユーロ、コパ・アメリカ参加勢がいないだけでなく、お隣さんのように入団が決まっている新顔も1人もいないため、日々の練習でスポットが当たるのは未だに6月に手術したヒザのせいで松葉杖が離せないシメオネ監督と、13年務めたプロフェ・オルテガ(現ティグレ)の退団で、アトレティコBからトップチームに昇格したフィジカルコーチ、ルイス・ピニェードの新メニューばかりって、あまりファンとしては心躍らなかったかと。

何せ、先週火曜にモラタがミラン移籍を告げた後も、チームは木曜にホセ・マリア・デ・セゴビアで恒例のコチニージョ(子豚の丸焼き)ディナーに駆けつけて、だってえ、今年も地獄のキャンプは1週間しかやらないんですよ。たった4日練習しただけで、コチニージョなんて贅沢だと思ったのはともかく、例年は新顔がやる皿を使った子豚の切り分け行事だって、ユーロのベルギー代表で出場機会がなく、練習合流を早めた1月入団のフェアメーレン(アントワープから移籍)と昨季、ジローナのレンタルから帰って来たリケルメという始末。それ以上に丁度、現地にヒル・マリン筆頭株主を始め、セレソ会長、ベルタ・スポーツディレクターが集まったのをいいことに、食後にはシメオネ監督も交えた「Cumbre de Cochinillo/クンブレ・デ・コチニージョ(子豚の丸焼きサミット)」が開かれたなんてニュースを読むだけで、減なりしたのは私だけではなかった?

いやまあ、カンテラ時代からモラタと仲が良く、ユーロ期間中も毎日のように連絡を取り合って、優勝するように励ましていたというコケも「Necesitamos gente que quiera estar en el Atleti/ネセシタモス・ヘンテ・ケ・キエレ・エスタル・エン・エル・アトレティ(アトレティコにいたいと思う人が必要だ)。競って勝つために100%、このクラブに集中している選手がね」と言っていたように、アトレティコに見切りをつけたスペインのエースをいつまでも惜しんでいても仕方ないんですけどね。問題はなかなか、代わりが来ないことで、そう、メンフィス・デパイもいなくなったため、今のトップチームにFWと名のつくのはコレアと、フランス代表に何故かMFとして招集されていたグリーズマンだけ。

一応、昨季はミランデス(2部)でレンタル修行していたカルロス・マルティン、現在はオリンピック代表参加中、水曜に初戦のウズベキスタン戦を迎えるスペイン組のサム、そしてアルゼンチン組のジュリアーノ・シメオネらはいるんですが、これだけではとてもとても、かろうじてCL出場圏の4位を守った昨季から、大きな前進を望むべくもないと落ち込んでいたところ…月曜になって、朗報が2件到着。1つは今週末にはマハダオンダ(マドリッド近郊)での練習に合流しないといけなかったジョアン・フェリックスにエメリ監督率いるアストン・ビラが関心を持っていることで、ええ、昨季のプレシーズンのような、居心地の悪い状況をリピートするのは、当人もチームメートも望んでいませんからね。

ユーロでも準々決勝フランス戦でのPK戦で1人外し、ポルトガル敗退の戦犯となってしまった彼ですが、フロントの目論見通り、6000万ユーロ(約103億円)で売却することができれば、月曜夜になって入ってきた、いよいよドブビク(ジローナ)獲得が秒読みに入ったというニュースも信じていい?といっても、ユーロでは実力を示せなかったウクライナのエースも値切って3500万ユーロ(約60億円)と、モラタの契約破棄金額1300万ユーロ(約23億円)では全然、足りませんしね。

たとえ、実績はあってもジャクソン・マルティネスやマンジュッキチら、失敗例もあるCF補強だけに吉と出るか、凶と出るかはわからないため、今は何とも言えないんですが、とにかくアトレティコだって、マドリッドの兄貴分の片割れ。プレシーズンマッチ初戦も今週土曜のヌマンシア(RFEF2部/実質4部)戦までありませんし、いつまでもお隣さんにエムバペ入団で話題を独占されている訳にはいかないですよね。

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CL決勝での因縁があるサラーとラモスがカタールで再会!握手&ハグに驚きの声「仲直りしたのかな」

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根に持つクロップ、S・ラモスを再口撃! 「冷酷で残忍」、「レスラー」

▽リバプールを率いるユルゲン・クロップ監督は今もレアル・マドリーのスペイン代表DFセルヒオ・ラモスを許していないようだ。イギリス『スカイ・スポーツ』がドイツ人指揮官のコメントを伝えている。 ▽リバプールは昨季のチャンピオンズリーグ(CL)決勝でマドリーに1-3で敗戦し、悲願のビッグイヤーを逃した。そして、この試合ではセルヒオ・ラモスのFWモハメド・サラーへの“肩固め”、GKロリス・カリウスへの“エルボー”という2人のラフプレーが物議を醸した。 ▽同試合後にセルヒオ・ラモスの振る舞いに激怒していたクロップ監督は、その決勝から2カ月ほど経った現在も同選手への怒りが収まらないようだ。現在、プレシーズンツアー中のアメリカでインタビューを受けた同監督は再びエル・ブランコのキャプテンを“口撃”している。 「仮に、あの試合を見返してその人がレアル・マドリーを応援する立場でなければ、あれらの行為は冷酷で残忍な振る舞いに見えるはずだ」 「私は5歳のころからフットボールを見続けているが、仮にラモスに関するすべての状況をまとめると、彼に関する多くの状況が見えてくるはずだ」 「サラーに対する接触プレーに関しては“素晴らしいチャレンジだった”とは絶対に思わないはずだ。私はワールドカップで多くのビッグマッチを裁いたレフェリーたちを見てきたが、彼らのうちで誰もその判断を下すことはないと思っている」 「したがって、あのような状況を誰かがより良い形でジャッジしていくことが必要だと思う。仮に、VARが導入されれば、ああいった場面はもう一度確認されることになる。レッドカードが掲示されるか、確認したときに“何だ今のプレーは”ってことになると思う」 「あれは冷酷な行為だった。もちろん、モー(サラー)が常にあの状況で負傷するとは思わないが、あのときは不運だった。ただ、ああいった危険なプレーを経験することは普通ないものだ」 「我々が再び同じ経験をするかどうかはわからないが、相手のゴールキーパーにエルボーを見舞い、相手のゴールスコアラーを中盤でレスラーのようなプレーで止める。そうすれば、そのチームは試合に勝利できる」 ▽さらにクロップ監督はセルヒオ・ラモスの試合後のリアクションに関しても憤りを見せている。 「ラモスは私が好まないような発言を繰り返していた。彼のリアクションは好きではなかった」 「この世界では試合に勝利するため幾つかの“武器”を使うことを受け入れる人もいると思う。そういった人たちは我々にも同様のことをすることを求めるかもしれないが、私はそれをやらない」 「我々はフェアプレーの順位において2度勝者となった。もちろん、我々はシーズン当初にその目標を掲げていたわけではない。我々は“美しく勝利しろ”とは言ってこなかった」 「我々は攻撃的なチームだが、常にルールに則ってプレーしている。本来であれば、汚いプレーは処分されるべきだ。誰かがそれを確認し、4~5週間の処分を与えるべきだ。しかし、現状でそういった例は一度としてない」 2018.07.28 16:18 Sat

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