Jリーグ参入見据えるJFL高知が開幕6連勝で首位…遅攻速攻セットプレー&スーパーサブで14得点、対戦相手を悩ます精鋭集団に
2024.04.15 18:20 Mon
左:東家聡樹(©kochi united sc) 中:佐々木敦河 右:小林心(©S.Tadokoro)
Jリーグ参入を見据える高知ユナイテッドSCが破竹の開幕6連勝。JFL16チーム中屈指の完成度がそこにはある。13日、日本フットボールリーグ(JFL)第6節のソニー仙台FCvs高知ユナイテッドSCが行われ、敵地に乗り込んだ高知が0-2と勝利した。
高知はこれで開幕6連勝。その間、「14」得点「2」失点と攻守両面で際立つ数字を残し、2位沖縄SVとはすでに勝ち点「6」差まで広がっている。盤石の首位キープだ。
昨季断片的ながらも高知の試合を眺めていた印象から、今季の戦いぶりを簡潔にあらわすと、「選手個々の鋭さが増している」といったところか。
◆豊富な得点パターン
“ジャイキリ”達成の天皇杯ガンバ大阪戦、横浜FC戦などで披露した堅守速攻は普段のJFLと同じスタイル。セットプレーも得意とし、2023シーズンのリーグ戦30得点(28試合)中、12得点をCK・FK・PKから挙げている。
では、就任3年目の吉本岳史監督が基本システムを[4-2-3-1]へ移行した今季はどうか。
14得点の内訳は、ポゼッションから相手の守備網を崩して「3」得点、鋭い速攻で「5」得点、ロングボールから「1」得点、CKとFKから「3」得点、PKで「2」得点と、遅攻速攻セットプレー、比較的バランスよくゴールを奪えている印象だ。
◆際立つ個性
前線の個々に目を向けると、昨季シャドーを主戦場としたMF樋口は2列目左が定位置となり、ここまで全6試合先発で2得点2アシスト。システム変更に伴い守備タスクが変わっても、持ち味のドリブルやアジリティが損なわれた感じはしない。
背番号10を背負う2列目中央のMF佐々木敦河はオールラウンダー的存在。ここまで得点こそないが、視野の広さとキック精度でゴールへ直結するプレーを披露でき、サイドに流れてのプレーやスペースメイキングも苦にしない高知の生命線だ。
2列目右のFW東家聡樹はアンタッチャブルな存在。本職ストライカーの26歳は186cmと長身ながらもずば抜けて足が速く、最終ライン背後に広大なスペースがある場合、後追いする相手DFはノーチャンスだ。第5節アトレチコ鈴鹿戦もこの形でネットを揺らし、今季3得点としている。
また、ストライカーのFW小林心は昨季チームトップの7得点ながらも今季は全6試合途中出場。にもかかわらず今季「4」得点は、JFL得点ランキング首位タイの数字であり、まさにジョーカー。
第1節ヴィアティン三重戦(3◯0)は90+3分にPKを沈めてダメ押し。第3節横河武蔵野FC戦(3◯0)は84分のスルーパスに抜け出し、東家に引けを取らぬスピードを見せつけ、やはりダメ押し。ソニー戦は投入直後の50分にPKで先制点、そして83分に切れ味鋭いドリブルから追加点。PK2つはいずれも自ら倒されて得たものであり、4得点中3得点は80分以降なのだ。
ここでは前線の選手数名だけにフォーカスしたが、攻守両面で気が利く両サイドバックのDF吉田知樹&MF上月翔聖、21歳DF田辺陽太&23歳DF福田玲央の若きセンターバックコンビなど、GKとボランチも含めて各ポジションの選手が際立ち、競争力が向上しているのが現高知。
6試合2失点の堅守を含め、今のところチーム全体の完成度はJFL16チームで群を抜く、と言ってよいだろう。
次節は昨季王者Honda FCとのホームゲーム。JFL昇格初年度の2020シーズン以来勝てていない相手であり、この一戦は高知にとって試金石となるはずだ。
◆JFL第7節
4月28日(日) 13:00キックオフ
高知ユナイテッドSC vs Honda FC
高知県立春野総合運動公園陸上競技場
LIVE配信:JFL Official Channel(ユーチューブ)
◆過去のハイライト
高知ユナイテッドSCチャンネル(ユーチューブ)
高知はこれで開幕6連勝。その間、「14」得点「2」失点と攻守両面で際立つ数字を残し、2位沖縄SVとはすでに勝ち点「6」差まで広がっている。盤石の首位キープだ。
◆豊富な得点パターン
今季の選手個々を振り返る前に、昨季の高知をざっとおさらい。基本システムは[3-4-2-1]で、守備時はもちろん[5-4-1]。奪ってからの速攻は鋭く、スピード豊かなMF樋口叶やFW小林心、身体能力が高いターゲットマンのFW西村勇太(昨季限りで引退)はとりわけ危険な存在だった。
“ジャイキリ”達成の天皇杯ガンバ大阪戦、横浜FC戦などで披露した堅守速攻は普段のJFLと同じスタイル。セットプレーも得意とし、2023シーズンのリーグ戦30得点(28試合)中、12得点をCK・FK・PKから挙げている。
では、就任3年目の吉本岳史監督が基本システムを[4-2-3-1]へ移行した今季はどうか。
14得点の内訳は、ポゼッションから相手の守備網を崩して「3」得点、鋭い速攻で「5」得点、ロングボールから「1」得点、CKとFKから「3」得点、PKで「2」得点と、遅攻速攻セットプレー、比較的バランスよくゴールを奪えている印象だ。
◆際立つ個性
前線の個々に目を向けると、昨季シャドーを主戦場としたMF樋口は2列目左が定位置となり、ここまで全6試合先発で2得点2アシスト。システム変更に伴い守備タスクが変わっても、持ち味のドリブルやアジリティが損なわれた感じはしない。
背番号10を背負う2列目中央のMF佐々木敦河はオールラウンダー的存在。ここまで得点こそないが、視野の広さとキック精度でゴールへ直結するプレーを披露でき、サイドに流れてのプレーやスペースメイキングも苦にしない高知の生命線だ。
2列目右のFW東家聡樹はアンタッチャブルな存在。本職ストライカーの26歳は186cmと長身ながらもずば抜けて足が速く、最終ライン背後に広大なスペースがある場合、後追いする相手DFはノーチャンスだ。第5節アトレチコ鈴鹿戦もこの形でネットを揺らし、今季3得点としている。
また、ストライカーのFW小林心は昨季チームトップの7得点ながらも今季は全6試合途中出場。にもかかわらず今季「4」得点は、JFL得点ランキング首位タイの数字であり、まさにジョーカー。
第1節ヴィアティン三重戦(3◯0)は90+3分にPKを沈めてダメ押し。第3節横河武蔵野FC戦(3◯0)は84分のスルーパスに抜け出し、東家に引けを取らぬスピードを見せつけ、やはりダメ押し。ソニー戦は投入直後の50分にPKで先制点、そして83分に切れ味鋭いドリブルから追加点。PK2つはいずれも自ら倒されて得たものであり、4得点中3得点は80分以降なのだ。
ここでは前線の選手数名だけにフォーカスしたが、攻守両面で気が利く両サイドバックのDF吉田知樹&MF上月翔聖、21歳DF田辺陽太&23歳DF福田玲央の若きセンターバックコンビなど、GKとボランチも含めて各ポジションの選手が際立ち、競争力が向上しているのが現高知。
6試合2失点の堅守を含め、今のところチーム全体の完成度はJFL16チームで群を抜く、と言ってよいだろう。
次節は昨季王者Honda FCとのホームゲーム。JFL昇格初年度の2020シーズン以来勝てていない相手であり、この一戦は高知にとって試金石となるはずだ。
◆JFL第7節
4月28日(日) 13:00キックオフ
高知ユナイテッドSC vs Honda FC
高知県立春野総合運動公園陸上競技場
LIVE配信:JFL Official Channel(ユーチューブ)
◆過去のハイライト
高知ユナイテッドSCチャンネル(ユーチューブ)
樋口叶の関連記事
JFLの関連記事
記事をさがす
|
樋口叶の人気記事ランキング
1
J3参入へ“継続審議”も…JFL高知が本拠地2156人の前で希望繋ぐ勝ち点「1」、地元出身MF佐々木敦河「残り4試合戦い抜きます」
29日、日本フットボールリーグ(JFL)第26節の高知ユナイテッドSC vs Honda FCが高知県立春野総合運動公園陸上競技場で行われ、1-1のドロー決着となった。 高知県出身の元Jリーガー・吉本岳史監督が率いる高知ユナイテッド。JFL4年目の今季は天皇杯でガンバ大阪、横浜FCとJ1クラブを立て続けに倒す“ジャイアントキリング”を達成した一方で、リーグ戦は第25節終了時点で6位と健闘も、Jリーグ入会申請が「継続審議」とされている。 何はともあれ、成績面で「JFL2位以内(※Jリーグ入会申請が承認されているクラブは優勝ならJ3自動昇格、2位ならJ3・19位との入替戦へ進む)」を確保することが来季のJ3参入への最低ライン。残り5試合で6位から2位まで順位を上げる必要があるなか、今節は”Jへの門番”として名高い首位Hondaとのホームゲームだ。 スタメンはGK上田樹(ツエーゲン金沢から期限付き移籍で加入中)、DF今村直也、DF小林大智、DF今井那生、MF宮本優(東京ヴェルディ)、MF佐々木敦河、MF高野裕維、MF吉田知樹(いわきFC)、FW樋口叶、FW西村勇太、FW東家聡樹という[3-4-2-1]だ。 高知県の夏の風物詩“よさこい”に欠かせぬ鳴子がスタンドから鳴り響くなかでキックオフ。堅守速攻を標榜する高知は奪ってからが素早く、ひとたび奪えば1トップの東家、2シャドーの樋口と西村が前線へとスプリントしていく。 しかし、地力で勝る”盟主”Hondaは[4-2-4]もしくは[2-4-4]で人数をかけて押し込み、高知はコンパクトな陣形を崩さずなんとか応戦していたが、とうとう65分に失点。HondaのDF川浪龍平に右足ミドルを叩き込まれた。 高知は追いかける展開となってようやく攻撃のギアが上がり、試合も終盤に差し掛かる77分に同点に。後方からのロングボールをボックス内の樋口が頭で繋ぐと、最後は途中出場のFW新谷聖基がDFと競り合いながら押し込んだ。投入からわずか1分の新谷が大仕事だ。 同点とし、俄然勢いが出てきた選手たちと、一段と熱を帯びたスタンド。同点からまもなく入場者数が今シーズン最多の「2156人」と場内アナウンスされ、試合も終盤へと突入するなか、さらにボルテージが上がる。 しかし、待望の逆転弾は奪えず、1-1で試合終了。吉本監督は試合後、「Hondaさん相手に難しい試合となるのは想定内でしたが、とくに前半は何もさせてもらえませんでした。攻撃に関してはカウンターしか糸口がなく、ここは次への課題です」と振り返る。 それでも「我々の武器であるカウンターを何度か発動できたことは評価できます。J3昇格の可能性がまだあるなか、負けずに終われたことも、選手たちが勝利に向かって最後まで走ってくれたから。決して勝ち点1を“もぎ取った”とは思いません。勝ち点1を“積み上げ”ました」と選手を労う。 また、大学サッカーとソニー仙台FCを経て、今季から地元・高知に帰ってきたMF佐々木も「自分が高校生の時、高知県のクラブがこのレベル(JFL)で戦うチャンスはありませんでした。今この舞台にいることは素晴らしいことですし、ここからまた高知県にJリーグをという想いも強いです」と胸を張る。 今季最多の入場者数については「多くの方のご協力があって、これほどまでの方たちに来ていただけたと思います。でも本当は、自分たちの魅力的なサッカーで同じくらいの方を集められるようにしたい。そのためにも今年でJ3に上がって、全国の方たちに『高知県にもJクラブがあるんだな』って知ってもらいたい。残りの4試合、頑張って戦い抜きます」とモチベーションに変えて見せた。 高知はHondaとのドローで6位をキープし、2位ソニーとは勝ち点「7」差。残り4試合で佐々木の古巣でもあるソニーに追いつくことは難しいかもしれないが、それでも諦めることなく最後まで戦う。次節は11月5日、ミネベアミツミFCとのアウェイゲームだ。 高知ユナイテッドSC 1-1 Honda FC 【高知】 新谷聖基(後32) 【Honda】 川浪龍平(後20) 2023.10.29 18:33 Sun2