例年になく守備の強度が高い高校選手権/六川亨の日本サッカーの歩み

2025.01.06 16:00 Mon
東福岡vs静岡学園の名門校対決はPK戦で決着
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東福岡vs静岡学園の名門校対決はPK戦で決着
第103回全国高校サッカー選手権も1月4日で準々決勝が終了。ベスト4は優勝経験のある東福岡前橋育英、流経大柏と初出場の東海大相模という顔ぶれとなった。

激戦区となったAブロックは、初戦で前年覇者の青森山田が高川学園に1-2で敗れる波乱の幕開け。そんななか、東福岡は1回戦で尚志を0-0からのPK戦で、2回戦で正智深谷を2-0と難敵を退け、準々決勝でも優勝候補の一角である静岡学園を0-0からのPK戦で下して激戦区を勝ち上がった。4試合で失点ゼロが示すように、堅守を武器にしての快進撃だ。

その東福岡に敗れた静岡学園だが、シュート数では8対1と圧倒しながらPK戦4-5で涙を飲んだ。静岡学園といえば、選手権初出場からドリブルを主体にした攻撃サッカーで観衆を魅了したのはご存知の通り。しかし今大会で驚かされたのは、ボールをロスト後の切り替えの速さ、複数人で囲い込んで素早くボールを奪還しては波状攻撃につなげていたことだった。
この静学だけでなく、前述した東福岡、前橋育英、それに準々決勝で東海相模に敗れた明秀日立など、組織的な守備はもちろんのことと、フィジカル・インテンシティの高い攻守を当り前のように実践しているチームが増えたような気がしてならない。

そして主審も少々の接触プレーでは笛を吹かずに流していた。ほとんどJリーグと同じ基準のホイッスルではないかと思ったほどだ。
ボールをロストしたら自己責任で回収すること、WBで起用されたら攻撃はもちろん守備でも貢献することが求められること。久保建英や堂安律(けして守備は上手くないが)、三笘薫らが日常のリーグ戦や日本代表で実践していることを、同時代の高校生が当り前のようにやっている。こうした積み重ねが日本のレベルアップにつながるのだと実感したものだ。

新国立競技場となって選手権の優勝チームは青森山田と岡山学芸館の2校のみ。果たして強豪校が新旧国立で覇者となるのか、それとも初出場で初優勝という偉業を東海大相模が達成するのか(過去には86年の東海第一と09年の山梨学院の2校のみ)。

まずは11日の準決勝、東福岡vs前橋育英、流経大柏vs東海大相模の激突に注目したい。

そして昨年末から年始にかけてJクラブからは、それこそ元旦も移籍に関するメールが連日のように届いた。すでにJ1連覇の神戸・山口蛍がJ2長崎へと移籍。柏のコントロールタワーであるマテウス・サヴィオが浦和に加入することが発表された。さらにFC東京へレンタル中だった荒木遼太郎は鹿島にレンタルバックが決まっているが、海外移籍の噂もある。

例年になく活発な移籍市場であるが、はやりJの開幕が例年より1週間早いこととACLEなども2月上旬に再開されること、そして春秋開催のリーグ戦としては最後になることなどが影響しているのか。各チームとも例年にない早い始動で新シーズンに備えている。

多くのチームで陣容が一新されそうなので、選手名鑑の発売が待ち遠しく感じられる25年シーズンの幕開けでもある。

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ドリブルの仕掛けで3万人の観客を沸かす「歓声を力にして」、後半投入で流れを変えた前橋育英の2年生MF白井誠也「思い切っていこうとできた」

前橋育英(群馬)のMF白井誠也が、準決勝の東福岡(福岡)戦を振り返った。 11日、第103回全国高校サッカー選手権大会の準決勝が国立競技場で行われた。 1回戦から勝ち上がってきた前橋育英は、同じく1回戦から勝ち上がってきた東福岡と対戦。これまで国立競技場では勝利したことがなかった前橋育英が、初勝利をかけて臨んだ。 試合は11分に伊波樹生のゴールで東福岡が先制。ここまで無失点の東福岡の堅守をなかなか打ち破れなかった前橋育英だったが、後半に入り佐藤耕太が同点ゴールを奪うと、オノノジュ慶吏のアシストから佐藤が逆転ゴールを記録。さらに白井も58分にダメ押しゴールを奪い、1-3で勝利を収めた。 後半頭から入り、チームを活性化した白井。2年生のドリブラーは、今大会ではスーパーサブ的な起用をされ、5試合に途中出場し得意の仕掛けで流れを変えていった。 この試合も前半苦しんだチームを活性化。「攻撃面でチームに貢献できたら良いなと思っていたので、得点を取るという結果を出せたことは良かったと思います」と、しっかりと結果を残せたことを喜んだ。 国立競技場でのプレーについては「人が多くて緊張する部分もあったんですが、入る時もしっかり笑って、楽しもうと思ってやったのが良かったと思います」とコメント。ドリブルの仕掛けには、3万人を超えるスタンドからも大歓声が送られた。 「自分のプレーで歓声が湧くというのは嬉しいことなので、力に変えてやろうと思っていました。歓声を力にしてやりたいなと思いました」と、プレッシャーではなく、喜びに変えたという。 また、多くの観客の前だからこそできたこともあると言い「得意なプレーを色々な人に見てもらってサッカーを好きになってもらったり、自分もドリブルを練習しようと思ってもらったりしたいので、思い切っていこうとできたと思います」と、仕掛けについてコメント。「迷いがあると相手のカバーが来てしまうので、行こうと思ったらしっかりやり切ることは普段から意識しています」と、果敢に仕掛ける姿勢を見せることを意識していたという。 決勝に駒を進めた前橋育英。2度目の優勝を目指す戦いとなるが、「今日もそうでしたが、立ち上がりで失点してしまったり、守備の面はもっともっとチームで突き詰めないといけないなと思ったので、みんなでしっかり声をかけあわないといけないなと思います」と課題について言及。「個人では、守備の面でチームに貢献できるようにしたり、攻撃ではアシストや得点ができるようにしたいと思います」と、再び結果を残していきたいと意気込んだ。 伝統の黒と黄色の縦縞ジャージを身に纏って頂点を目指す白井。「歴史ある中で、恥ずかしいプレーはできないので、しっかり誇りを持って、責任感あるプレーをしたいと思います」と強い気持ちを語る。 来年もチャンスがある中で、この2年間での成長については「1年を通して上手くいかない時期があっても、どこが課題なのかをしっかり考えながら一戦一戦成長できているので、とても良い経験ができています」とコメント。自身の課題についても「自分より大きい相手に対してどうやってボールをキープするか。守備の面では、1人で行かないで、後ろの声をしっかり聞いて、プレスをかけることは課題だったので、そこはしっかり工夫してできたと思います」と、しっかりと課題を克服して、東福岡戦でもプレーできたとのこと。「大きい相手でもしっかり体を入れてドリブルし切ったり、守備でも相手との距離感を声を聞いてしっかりプレスできたと思います」と、一定の手応えを感じたという。 2025.01.11 22:35 Sat

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