「僕のプレーをしたかった」とミャンマー戦で反省。「もっと自己中になっていい」と本拠地で奮起を期す広島の看板・川村拓夢【新しい景色へ導く期待の選手/vol.43】

2024.06.11 12:00 Tue
川村拓夢は本拠地で日本代表としてプレー機会はあるか
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川村拓夢は本拠地で日本代表としてプレー機会はあるか
6日のミャンマー戦(ヤンゴン)を5-0で圧勝した日本代表。その後、バンコク経由で帰国し、7日からは広島入り。11日の次戦・シリア戦に向けて調整を行っている。

前回の試合でベンチ外となった長友佑都(FC東京)と久保建英(レアル・ソシエダ)の試合出場は微妙な情勢だが、冨安健洋(アーセナル)の方は復帰。森保一監督が攻撃的3バックのテストを続けると見られるため、彼が最終ラインに陣取る可能性が大だ。

ボランチは遠藤航(リバプール)と田中碧(デュッセルドルフ)のコンビが濃厚だが、地元・サンフレッチェ広島所属の川村拓夢もどこかでチャンスが与えられるのではないか。
9日のYBCルヴァンカップでFC東京を下した広島のミヒャエル・スキッベ監督も「拓夢と大迫(敬介)の2人にはぜひ本拠地で試合に出てほしい。前日練習に招かれているので、森保監督に直接お願いしてみようかな」と出場を熱望する。もちろん試合展開にもよるが、前回同様、後半からの登場が有力視される。

「個人的には良いパフォーマンスができなかった。もっと出して入っていくところであったり、ポケットに入っていく回数を増やしていかないといけない。そういった回数を多くできるのが僕の良さ。今回のプレーは正直、誰でもできるというか、僕を選んでもらったからには、僕のプレーをしたかった」と川村はミャンマー戦後に反省の弁を口にした。
悔恨の念は帰国してから日に日に強まっているようだ。ボランチコンビを組んだ守田英正(スポルティングCP)が「(拓夢は)すごい自重していたというか、下がり過ぎていた。もっとシュートを打っていいし、30mくらい離れていても全然決められる。左利きで素晴らしいキックを持っているところは碧とか航、僕にはない。もっともっと見たいですよね」と要望を出したのを受け、本人も「その通り」と苦渋の表情を浮かべた。「アンパイなプレーじゃダメ。もっと自己中になってもいいので、自分の良さを出していきたい」と彼は自らを鼓舞するように語気を強めた。まだ代表キャップ数2という駆け出しだが、だからこそ、失うものは何もない。スキッベ監督が「拓夢は日本サッカーの未来を担うような選手」と太鼓判を押しているように、ワールドクラスのスケール感とポテンシャルは間違いないのだから、それを思い切って発揮すればいいのだ。

川村のマイナス面は年代別代表で国際舞台に立った経験が少ないこと。日の丸を背負った時には想像以上の重圧を感じるのかもしれない。そういうメンタル的な課題を乗り越えることが2026年W杯出場への第一歩。そろそろ弱気の虫は一層してほしい。

そのうえで、本人も語っているように、3列目からガンガン飛び出して、ゴール前に入っていく仕事を増やしたいところ。ダイナミックなアップダウンを繰り返し、攻守両面に迫力を持って絡める強みを押し出せるようになれば、遠藤、田中、守田とは異なるタイプの大型ボランチとして輝けるはず。地元での重要ゲームでその布石を打つべきだ。

「広島のサポーターの方も、サンフレッチェの選手がピッチに立ったところをすごく見たいと思っているので、その期待に応えられるようにしたい。僕自身、サンフレッチェを見て育ったし、森保監督がいて3連覇した時も今のスタジアムはできていなかったんで、あのピッチに立てていることにすごく感謝している。日本代表としてそこでプレーできるのは大きなことだと思います」と本人もエディオンピースウイング広島で初の代表戦に向けて気持ちを高めている。

とにかく川村にはゴールに直結するプレーを強く求めたい。今季はまだ2点とゴール数が伸びていないが、2023年6月の京都サンガ戦で奪った得点シーンのように、ハーフウェーライン手前でボールを奪って一気にドリブルで持ち上がり、フィニッシュを決めるだけの推進力と決定力を備えている。

森保監督も「拓夢は守備から攻撃に移った時のダイナミックな動きから、自らペナルティボックスに入っていけるし、ミドルシュートも打てる」と絶賛していたが、伝家の宝刀を故郷でのシリア戦で抜いてくれれば、まさに理想的。川村拓夢の存在価値を確実に高めることにつながるはずだ。

昨年までは海外移籍を考えることは皆無に近かったというが、これだけ欧州組がズラリと並ぶ場所に来れば、「自分ももっと高いレベルに辿り着きたい」と感じるようになるのも当然のこと。先月には上田綺世(フェイエノールト)や鈴木唯人(ブレンビー)の代理人と契約。いよいよ世界へ踏み出す態勢を整えつつある。

もちろん、日本代表に定着しなければ、そういった野心も現実にはならない。もちろん本人も今季広島でJ1タイトル、AFCチャンピオンズリーグ制覇を目指して戦っているが、ステップアップした彼の姿も見てみたい。シリア戦で「これほどの選手なら欧州へ行くのも仕方ない」と人々を納得させる形が一番いいだろう。

いずれにせよ、見る者を驚かせるほどのインパクトを次こそは残すべき。ミャンマー戦の反省を生かすタイミングは今しかない。

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Jリーグは11日、9月度の「2022明治安田生命JリーグKONAMI月間ベストゴール」を発表した。 「明治安田生命Jリーグ KONAMI月間ベストゴール」は各月の明治安田生命Jリーグにおいて、最も優れたゴールを表彰するものとなっている。 明治安田J1は9月3日に行われた清水エスパルス戦でサンフレッチェ広島のMF川村拓夢が後半アディショナルタイム5分に決めた超ロングシュートが受賞した。 1-0でリードしていた広島は、スローインの流れから、パスを受けた川村が自陣からロングシュート。これがボックスを大きく出ていた日本代表GK権田修一の上を越え、見事にネットを揺らした。 Jリーグ選考委員会は「自陣深くのスローインのこぼれ球、相手チーム全体が前がかりでボールを奪いに来ている状況を把握し、正確で力強い左足の超ロングシュートでの得点。アディショナルタイムで2点差とした貴重なゴールとなった」(窪田慎二委員)、「角度のないところから正確なキックで決め切った。見る者を驚愕させるゴール」(宮本恒靖委員)、「GKのポジションを見てからの超ロングシュート。おそらく最長距離からのゴール。キックの正確性とパワーが素晴らしい」(柱谷幸一委員)と称賛の声を並べた。 川村はJリーグを通じてコメントしている。 「9月度の月間ベストゴールに選出いただき、ありがとうございます。ゴールシーンを振り返ると、ドウグラス・ヴィエイラ選手からパスを受けた時に前と横を見たら味方が誰もおらず、さらにゴールがガラ空きでした。距離はありましたが、左足のキック精度に自信があったので絶対に入ると思って打ちました。その試合では一人少ない苦しい状況だったので、勝利に繋がるゴールを決められて嬉しかったです」 「また、ロングシュートでのゴールと言えば、青山敏弘選手。今から10年前、青山選手が同じく60mぐらいのスーパーロングシュートを横浜FM戦で決めました。当時、中学生の僕はエディオンスタジアム広島で観戦しており、「いつかこのスタジアムで同じロングシュートを決めたい」と目標の一つにしていました。10年後にその思いが叶い、本当に嬉しく思っています」 <span class="paragraph-title">【動画】度肝を抜いた圧巻の60m超ロングシュート!</span> <span data-other-div="movie"></span> <script>var video_id ="-75D26YWfiM";var video_start = 0;</script><div style="text-align:center;"><div id="player"></div></div><script src="https://web.ultra-soccer.jp/js/youtube_autoplay.js"></script> 2022.10.11 18:50 Tue
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タイトルへの決意!? 天皇杯を逃した広島、土壇場でPK失敗のルーキー・満田誠が心機一転の“紫”ヘアにイメチェン

最も悔しい思いをしたルーキーが、1週間後の決戦に向けて心機一転を図ったようだ。 16日に行われた天皇杯決勝。サンフレッチェ広島は、J2のヴァンフォーレ甲府と対戦した。 YBCルヴァンカップとのカップ2冠を目指す広島だったが、甲府に先制される展開に。後半に入り川村拓夢の豪快なゴールで追いつくと延長戦に突入した。 その延長戦では、広島が攻め立てるも得点を奪えず。それでも最後の最後で広島がPKを獲得する。 MF満田誠がクロスを上げようとすると、DF山本英臣の手に当たりハンド。VARチェックでもハンドと判定され、土壇場で広島がPKを獲得。キッカーはハンドを誘発した満田だった。 これを決めれば、優勝が決定というタイミング。大卒ルーキーながら重要な場面を託された満田だったが、シュートはGK河田晃兵が完璧に読み切ってセーブ。まさかのビッグチャンスを逸してしまった。 なお、試合はPK戦にもつれ込むと、殊勲の同点ゴールを決めた川村のシュートを河田が再びセーブ。甲府が初優勝を果たしていた。 手がかかっていたタイトルを失った広島だが、22日にはルヴァンカップの決勝でセレッソ大阪と対戦する。重要な一戦に向けて調整を続ける広島だが、クラブが投稿したトレーニング写真が注目を集めている。 20日に広島がインスタグラムにトレーニングの写真をアップ。すると、PKを失敗してしまった満田の髪色に変化が。天皇杯決勝では明るい金髪だったが、この日の写真を見る限り、チームカラーの紫がかった色に変化していた。 ルーキーながら重要な局面のPKを任され、チームをタイトル獲得に導けない悔しい思いをした満田。ルヴァンカップでは、そのリベンジを果たせるか注目だ。 <span class="paragraph-title">【写真】髪色にチームカラーを入れて今度こそ戴冠を目指す満田誠(5枚目)</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="instagram-media" data-instgrm-captioned data-instgrm-permalink="https://www.instagram.com/p/Cj7Lf8svfZ1/?utm_source=ig_embed&amp;utm_campaign=loading" data-instgrm-version="14" style=" background:#FFF; border:0; border-radius:3px; box-shadow:0 0 1px 0 rgba(0,0,0,0.5),0 1px 10px 0 rgba(0,0,0,0.15); margin: 1px; max-width:540px; min-width:326px; padding:0; width:99.375%; width:-webkit-calc(100% - 2px); width:calc(100% - 2px);"><div style="padding:16px;"> <a href="https://www.instagram.com/p/Cj7Lf8svfZ1/?utm_source=ig_embed&amp;utm_campaign=loading" style=" background:#FFFFFF; line-height:0; padding:0 0; text-align:center; text-decoration:none; width:100%;" target="_blank"> <div style=" display: flex; flex-direction: row; align-items: center;"> <div style="background-color: #F4F4F4; border-radius: 50%; flex-grow: 0; height: 40px; margin-right: 14px; width: 40px;"></div> <div style="display: flex; flex-direction: column; flex-grow: 1; justify-content: center;"> <div style=" background-color: #F4F4F4; border-radius: 4px; flex-grow: 0; height: 14px; margin-bottom: 6px; width: 100px;"></div> <div style=" background-color: #F4F4F4; border-radius: 4px; flex-grow: 0; height: 14px; width: 60px;"></div></div></div><div style="padding: 19% 0;"></div> <div style="display:block; 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追加招集からいきなり代表デビュー。稲本潤一以来の大型ボランチにかかる期待/伊藤敦樹(浦和レッズ/MF)【新しい景色へ導く期待の選手/vol.14】

「昨日の試合より、なんか今日の練習の方がちょっと緊張しましたね…」 6月15日のエルサルバドル戦から一夜明けた日本代表の豊田市内での練習後、前日初キャップを飾ったばかりの国内組ボランチ・伊藤敦樹(浦和)が戸惑い半分でこう言った。 それもそのはずだ。彼は普段通り、14日の浦和レッズのトレーニングに参加。自宅に戻った途端、代表追加招集の報を受け、一目散に試合会場へと向かったのだ。 年代別代表歴が皆無に近い彼にとって、面識があったのは、流通経済大学の先輩・守田英正(スポルティング・リスボン)くらい。それも1・4年と学年が離れているため、そこまで密な間柄ではない。慣れない集団に合流し、翌日のエルサルバドル戦前のアップで初練習し、後半31分に偉大な先輩と交代してアンカーのポジションに入るとは、本人も想像だにしなかっただろう。 「準備はしてましたし、(大きくリードしている)展開もあったので、チャンスあるかなと思ってたんですけど。アンカーでの出場で、少し難しさもありましたけど、まずはデビューできたことがよかったです」と彼は嬉しそうにコメントしていた。 2021年に中学・高校時代を過ごした古巣・浦和入りし、プロキャリアをスタートさせた伊藤敦樹。1年目からリカルド・ロドリゲス監督に重用され、存在感を発揮した。 185センチ・78キロという恵まれた体躯を備えたボランチというのは、日本にはそうそういない。「2002年日韓ワールドカップ(W杯)で一世を風靡した稲本潤一(南葛SC)と重なる」という声もあちこちで聞かれた。 「自分のことを知っている人は分かってると思いますけど、高校生の時は本当に線が細かった。足元とか技術の部分はあったかもしれないですけど、フィジカル的にかなり劣っていて、全然、プロのレベルではなかった。大学に行ってから自分なりに努力していって、今では持ち味になっていると思いますね」と本人も晩熟だった10〜20代にかけての軌跡を改めて明かしていた。 今の伊藤敦樹の魅力はスケールの大きさだ。が、昨季あたりまでは、かつての稲本同様、終盤になるとペースダウンしてしまうのが課題だった。ボックス・トゥ・ボックスの走りができなくなり、交代を余儀なくされるのがつね。本人も走力・運動量の向上に躍起になっていた。 迎えたプロ3年目の今季。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝アル・ヒラル戦でのタフな戦いを経験し、アジア王者の一員になったこともプラスに働き、伊藤敦樹は「頭を使った走りと駆け引き」ができる選手になった。コンスタントに90分フル出場が続いているのが、大きな成長の証である。 日本代表の森保一監督も目に見える進化を認めていたが、特にインパクトが大きかったのが、5月31日のサンフレッチェ広島戦だろう。すでに6月代表シリーズに初招集されていた川村拓夢とのマッチアップを制し、決勝弾を叩き出したアグレッシブなパフォーマンスはまさに圧巻。「伊藤敦樹はラージグループに入っている」と指揮官も認め、川村が体調不良で離脱した瞬間、この男の追加招集を決意したはず。そしてエルサルバドル戦でいきなりピッチに送り出したのも、大きな期待の表れに他ならない。 「自分みたいに身長があって、体格があってっていうボランチはなかなかないですし、そこに自分の存在価値があるし、チャンスはあるかなと。推進力だったり、前に行くプレーはどんどん出していきたい。自分らしさをどんどんアピールしていきたいなと思います」と遅咲きの男はギラギラと野心を前面に押し出した。 今の代表ボランチ陣は、ドイツ屈指のデュエル王・遠藤航(シュツットガルト)と守田が2枚看板で、負傷離脱中の田中碧(デュッセルドルフ)、欧州で実績を積み上げた川辺駿(グラスホッパー)、2列目を含めて幅広い役割をこなせる鎌田大地(フランクフルト)、旗手怜央(セルティック)とさまざまな人材がひしめいている。伊藤敦樹は熾烈なサバイバルを強いられるが、自身が強調する通り、恵まれたフィジカルとダイナミックな攻撃、迫力ある攻め上がりといったストロングを前面に押し出せれば、十分戦っていけるはずだ。 国際経験値という意味では海外組の面々に劣る部分もあるが、それはここから埋めていけばいい。まずは現有戦力の主力である三笘薫(ブライトン)や堂安律(フライブルク)、久保建英(レアル・ソシエダ)らとしっかりとコミュニケーションを取り、彼らの特徴を把握し、息の合った連係を見せられるように務めること。そこから全てが始まる。 すでにある程度出来上がっているユニットに入り込むのは大変かもしれないが、20代半ばから代表入りした伊東純也も少しずつ自分の地位を固め、エース級にのしあがった。そんな大卒組の成功例を参考に、希少価値の大型ボランチには一気に高いレベルへ駆け抜けてほしいものである。 2023.06.17 13:00 Sat

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日本代表、26年W杯でオランダ、チュニジア、欧州PO勝者と対戦!史上最多48カ国の組み合わせ抽選が決定

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W杯本大会の理想的なグループは?/六川亨の日本サッカー見聞録

日本代表は9月から始まった26年北中米W杯のアジア3次予選でも快調に白星を重ね、6試合を終えて5勝1分の勝点16で首位を独走。来年3月20日に再開されるホームのバーレーン戦に勝てば、3試合を残して8大会連続のW杯出場が決まる。 これほど楽な、緊張感のないW杯最終予選は初めてだ。日本は“海外組”が所属チームで出場機会を増やして着実に経験値を高めたことと、ライバルと目されたオーストラリアとサウジアラビアのスケールダウンも快進撃の一因だろう。 こうなると気になるのが25年の年末に予定されている本大会の組分け抽選会だ。大陸間プレーオフが終わるまで抽選会を実施できないのはもどかしいが、これも致し方ないところ。そこで気になる抽選会を展望してみた。 すでに本大会の開催都市と地域のグループ分けは発表されている。史上初の3か国による共催ということで、万が一にもカナダ、アメリカ、メキシコと転戦するようなことになれば移動の負担は計り知れないと思われたが、さすがに組織委員会もそんな無謀なことは強いないことがわかった。 グループリーグは参加48チームを4チームずつ12グループに分けて行われ、各グループの上位2チームと、成績上位の8チームの32チームが決勝トーナメントに進む。 そしてこの12グループは地理的にグループ分けをされ、西部地区(バンクーバー、シアトル、サンフランシスコ、ロサンゼルス)、中部地区(グアダラハラ、メキシコシティ、モンテレイ、ヒューストン、ダラス、カンザスシティ)、東部地区(アトランタ、マイアミ、トロント、ボストン、フィラデルフィア、ニューヨーク/ニュージャージー)の3つの地域に分割された。 これはアメリカだけで国内には4つのタイムゾーンがあり、西海岸と東海岸では3時間の時差があるため、グループ分けを横割りではなく縦割りにして、移動による時差の負担を少しでも軽減しようという狙いがある。 とはいえ各地区をまたがないで試合をできるのは7グループで、残りの5グループは時差のある移動を強いられる。こうしたグループ分けで、できるだけ避けたいのは開幕戦でメキシコが登場するグループAと、同じくメキシコでの試合があるグループFとグループKだ。その理由は、メキシコシティが標高2,230メートルと世界でも指折りの高地に位置していることにある。 あらかじめ標高の高い地域で活動して高地順化しておかないと高山病になる可能性があるし、86年のメキシコW杯を取材した際は、最初の1週間は地下鉄の階段を上るだけで息切れした記憶がある。 グループAはメキシコでの3会場に加えてアトランタへの移動があるし、グループFはモンテレイの他にダラス、ヒューストン、カンザスシティで、グループKはメキシコシティとグアダラハラ、ヒューストン、マイアミ、アトランタで試合がある。移動のストレスは時差以上にあるかもしれないのだ。 カナダがシードされたグループBもトロントからバンクーバーまで同じ国内とはいえ時差3時間の大陸横断移動がある。ただしそれを強いられるのはカナダだけで(しかも中5日の試合間隔)、それ以外の試合はサンフランシスコ、シアトル、ロスと西海岸に集中している。開催国と同居するとはいえ、グループBは悪くないかもしれない。 理想的なのはグループGではないだろうか。東海岸より西海岸の方が在留邦人も多いだろうし、大谷翔平の活躍もあり日本人にも馴染みが深い。ロサンゼルス、シアトル、バンクーバーの3会場と移動エリアも少なく、縦移動のため時差の影響もないからだ。 まだ来年末の話ではあるが、こうして調べてみるのも楽しいもので、これも日本が本大会出場に王手をかけているからできることである。 文・六川亨 2024.11.29 18:30 Fri
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なぜ18歳・佐藤龍之介はファジアーノ岡山でブレイクできたのか? E-1選手権で“内田篤人超え”が期待される若き才能の適応力とブレないメンタリティ

突出した適応力だ。今シーズンにFC東京からファジアーノ岡山に育成型期限付き移籍で加入した佐藤龍之介は、新たな環境に素早く順応し、自身の力を遺憾なく発揮している。 久保建英と同じ16歳でFC東京とプロ契約を結んだMFは、高卒1年目となるシーズンに武者修行を決断。約18年を過ごした東京を飛び出し、約660km離れた岡山に移り住んだ。 未到の地で単身生活をしながら、プロサッカー選手として結果を出すことを目指す。私生活をはじめ不慣れなことも多く、決して簡単ではない。さらに、主に起用されるのは、サッカーキャリアで「初めて」のウイングバックである。まさに、初めて尽くしだ。しかし、ピッチ上では圧倒的なパフォーマンスを発揮している。 第23節終了時点では、17試合に出場してチーム最多の4ゴールを記録。第19節・湘南ベルマーレ戦では、先制点を奪うだけでなく、両チームトップの走行距離12.1kmとスプリント18回を叩き出した。右WBで攻守にハードワークしながら、74分からはシャドーに移り、タイムアップまでプレー。試合後に木山隆之監督は「1番ゴールを取る可能性がある人をピッチに残すのは、勝つのであれば当然かなと思います」とフル出場の意図を明かしており、その信頼は絶大だ。 地元の西東京市と岡山の雰囲気が「似ていた」ことも佐藤の背中を押したが、適応を可能にしている大きな要素は、素直さと向上心のように思う。 開幕前のキャンプ時にWBで起用された時は、「(WBは)オプションになればいいかな。メインはシャドーになると思う」と受け止めていた。だが、監督からのオーダーに応えながら、パスやドリブルで密集地を打開したりラストパスでチャンスを作ったりといった自分の良さを発揮することを両立させ、“WB・佐藤龍之介”は、完全に板についた。その結果、「18歳の今は自分のポジションを『ここだ』と決める段階でもないと思う。『トップ下やシャドーをやれていない』というネガティブな考えは、本当にゼロなんです。『WBで使ってみたい』と思わせるような特徴を自分は少なからず持っていると思うので、実際に使ってくれている今はその証明にもなっています」と、岡山で発見した自身の新たな可能性と向き合い、意識を変化させている。 第21節・横浜Fマリノス戦では初めて左WBで先発した。負傷によるイレギュラーな起用だったが、「練習で『左、やれるか?』と言われて、『うん、行けます』と言ってやりました」と、逆サイドでプレーすることによって発生する身体の向きやボールの置き所の変化も物ともせず。第22節・鹿島アントラーズ戦では鋭いカットインで左サイドを切り裂き、逆転ゴールを呼び込んだ。 “置かれた場所で咲きなさい”を体現している18歳の姿を、木山監督は「輝いている」と表現し、「『自分は絶対に上に行くんだ』って疑わないメンタリティを持っている。『とにかく上に行きたい』という意欲が、輝いている。ある意味、与えられた才能というか。誰かに教えられるものではないと思う。自分を疑っていないところが素晴らしい」と称賛する。 環境やチーム戦術、監督からのリクエストは、自分がコントロールできない部分だ。時には自分のイメージと違うこともある。それでも、全てのことを素直に受け止め、受け入れ、自分の成長を促す肥料に変えていく。 「将来的には世界のトップリーグでプレーしたり、日本代表としてワールドカップに出て活躍したりすることが目標です」。そう宣言する佐藤は、7月3日に発表される東アジアE-1選手権のメンバーに選出されれば、2008年大会での内田篤人の20歳という同大会の日本代表における最年少記録を更新することになる。 E-1選手権は、過去に柿谷曜一朗や森重真人、相馬勇紀や町野修斗らが1年後のW杯のメンバー入りを勝ち取っており、言わばサバイバルの場だ。チームとして戦いながらも、個人として強みを発揮するなどのアピールが是が非でも必要になる。もしかしたらチームメイトは仲間よりもライバルという側面の方が強いかもしれない。しかし、きっと佐藤なら特有のチーム状況下でも、自分の力を最大限に発揮できるのではないか。そう期待したくなる適応力を、岡山で十二分に見せている。 取材・文 難波拓未 2025.07.02 18:00 Wed
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J3から日本代表へ 苦労人・安藤智哉、突きつけられた“現実”から手にした日本代表に生き残るための“クローザー”起用

J3からJ2、そしてJ1へ。段階を踏むように成長してきたDF安藤智哉は、2025年の日本代表活動でついに日の丸を背負った。だが、そこでは手応えと同じだけ、国際基準の厳しさも突きつけられた。残念ながら出番を与えられなかった11月18日のボリビア代表戦後、ミックスゾーンを通った安藤に声をかけると「もっと日常を変えないとこの先はない」と課題を口にする。 それでも怪我人が続出する最終ラインにおいて、190cmの高さ、3バックのどこでも対応できる柔軟性は確かな武器。ワールドカップを見据えて重要なオプションになり得るだろう。そんな遅咲きのセンターバックは、日の丸を背負って改めて何を感じたのか。 ■国際基準の前で実感した“成長の必然性”と向き合う課題 年内の代表活動を終えた安藤の最初の言葉は、喜びではなく厳しい自己評価だった。 「もっと日常を変えていかないとこの先はない。自分との戦いですし、これまで以上にもっと成長が必要。アビスパでの活躍が大事になってくる」 国内組で構成されたメンバーで臨んだ7月のEAFF E-1サッカー選手権2025で、日本代表デビューを飾り、2試合に出場して2大会連続3度目となる優勝に貢献した。怪我による辞退となったが、海外組も交えた9月のアメリカ遠征のメンバーにも選出されるなど一気に評価を高めた。 その後も継続してメンバー入りすると、11月14日のガーナ代表戦、75分からピッチに立つ。限られた出場時間の中で手応えもあった。「高さでは負けない」。これは安藤が国内外の相手に通用する確信として得たものだ。一方で、同時に浮き彫りになったのは“1対1の局面”における国際水準とのギャップだった。 「剥がされないこと、中を切ること、奪った後のパスを前につけるところ。ついていく、一歩寄せる、寄せた後のドリブルへの対応……まだまだ挙げればキリがない」 言葉のひとつひとつに、試合に出られなかったもどかしさと、より高い基準に近づく必要性が滲む。 「試合に出られないからというのもあるけど、一番はもっとレベルアップしたいという思い。海外組とは差がある」 E-1でのデビュー、そしてフル代表での招集。階段は確かに上った。しかし、その先を望むなら、日常の基準ごと変えなくてはいけない。そう気づかせた1年だった。 「自分次第で変われる、自分次第で掴めるというのをこの1年で感じた。まだまだ上に行きたい思いが強くなった」 国際舞台で痛感した課題は、安藤の中で確かな危機感へと変わっている。 ■求められた役割を“こなしてきた”強み──代表に必要な高さと柔軟性 では、課題がある中でなぜ安藤は代表で呼ばれ続けるのか──。それは、彼がキャリアを通して示してきた“適応力”に理由がある。 J3今治ではフィジカルと空中戦の強さを磨き、J2大分では守備構造の理解と3バックの経験を積んだ。福岡ではJ1の強度に適応しつつ、3バックの左だけでなく中央でもプレー。求められるタスクを遂行し、役割が変わっても結果を出してきた。 「アビスパでは3バックのどこでも使ってもらっていますが、それは代表でも生きている。どこがやりやすいとかはない。出られればどこでも。その立場ではない」 この柔軟性は、今の代表にとって大きな価値を持つ。 森保ジャパンはDF冨安健洋(無所属)、DF伊藤洋輝(バイエルン/ドイツ)、DF町田浩樹(ホッフェンハイム/ドイツ)、DF高井幸大(トッテナム/イングランド)ら、コアメンバーに負傷者が続き、試合ごとに構造や最終ラインの組み合わせが変わる状況が続いた。ワールドカップを見据えても、彼らが万全の状態で臨めるかは未知数だ。そこで、190cmの高さを持ちながら、右・中央・左のすべてをこなせるCBは希少だ。 さらに、安藤自身も日本代表での役割を「クローザー」として自覚している。 「スタメンの機会はなかったが、逆にクローズの部分でチョイスされるように。安藤が入ったら守り切る安心感を持たせたい」 リードを守り切る終盤、セットプレーの局面、相手のロングボールが増える時間帯。日本代表の“最終ライン”を支えるピースとして、安藤の役割は明確だ。 そして、本人はその立場に甘んじるつもりはない。 「これからの自分の取り組み次第。福岡に帰ってアピールしていくだけ」 高さ、適応力、実直な成長曲線。代表で求められる要素と、安藤が積み上げてきたキャリアは確かに接続している。 取材・文=川嶋正隆 2025.11.28 19:00 Fri
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大怪我から復活した“最終ラインの司令塔”。33歳・谷口彰悟が示したDFリーダーの価値

ガーナ代表戦、ボリビア代表戦と続いた11月シリーズを、日本代表は2試合連続の無失点で締めくくった。その中心にいたのが、フィールドプレーヤーで唯一2試合フル出場を果たした33歳――谷口彰悟だ。2024年11月にアキレス腱を断裂。大怪我から戻ってきた男は、再び日本代表の最終ラインで存在感を放っている。2026年北中米ワールドカップ、その真ん中を任されるのは彼なのかもしれない。 ■1年ぶりの復帰で見せた安定感 ボリビア戦後、ミックスゾーンに姿を見せたDF谷口彰悟は、どこか晴れやかな表情だった。 チームは11月シリーズを2試合連続の完封で終え、自身はフィールドプレーヤーで唯一の2試合フル出場。数字だけを見れば、十分すぎる結果だ。 「まずはゼロで終われたこと。苦しい時間もありましたけど、こういう難しいゲームを勝ち切るのは本大会でもあり得る。勝って終われたのは非常に良かったと思います」 言葉の端々からは「代表に帰ってこられた」という安堵よりも、すでに次を見据えている姿勢のほうが強く伝わってくる。 10月のブラジル戦で約1年ぶりに復帰し、歴史的勝利に貢献した。そこからクラブでコンスタントに試合に出続け、11月の代表活動を迎えると、再び最終ラインの中心に収まった。 「3枚の真ん中はめちゃくちゃ大事なポジション。簡単には譲りたくないですし、リーダーシップを取っていかないといけない」 両脇の選手が変わっても、谷口を中心としたDFラインの安定感は変わらない。そこには、ベテランらしい“気遣い”がある。 「気遣い、してなさそうに見えて結構してるんですよ(笑)。特徴は理解してますし、いい形で受けてもらうためのパスのタイミングとか、右か左かの判断は真ん中だからこそ見える。できるだけ“ハメパス”にならないようにというのはこだわってます」 周りの選手が思い切って前に出られるように、背後のカバーは責任を持って引き受ける。 「広範囲は僕がカバーして、目の前の選手にはバトルしてもらう。後ろに保障があると前に行きやすいので」 谷口がいると、両サイドのDFが伸び伸びとプレーできる――。それこそがクリーンシートでの2連勝につながったのは間違いない。 ■33歳はアップデートし続ける ただし、全てがよかったわけではない。むしろ、完封だからこそ課題が際立つと語る。 「相手のプレッシャーもあって、打開しきれないところや、ショートカウンターを食らったり、イージーなミスもあった。次のレベルでは致命的になるので減らしていかないといけない」 象徴的だったのが、MF鎌田大地との縦パスのリターンが相手に狙われて、シュートを放たれた場面だ。 「日本の選手が(最終ラインに)落ちてきた時に、そのまま食いついてくる相手だったので、そこをもっと利用しながらスペースを見つけられれば。できた時は前に運べていたので、意図的にやれたら良かった」 ボランチの組み合わせが変わる中で、ラインのスライドや立ち位置の整理にも改善点はある。 「ワタル(遠藤航)が落ちるのか、自分たちで4枚っぽく回すのかはやりながらのところが多かった。前半の中で修正できればもっとスムーズにやれた。こういうゲームはワールドカップでもあり得るので、焦れずにゼロで進めることは大事」 自身の年齢について問われると、照れ笑いを浮かべながらも自信は揺らがない。 「年取ったのに(笑)。でも、フィジカルが衰えてても感じさせないメンタリティでやれている。まだまだ伸びている自信はあります。おじさん、まだまだ頑張ります」 アキレス腱断裂という選手生命を揺るがす大怪我から1年。本来ならキャリアの下降線に入っていても不思議ではない33歳が今、代表で一段階上の存在感を放っている。 「自分が出るからにはゼロで終わらせてチームを勝たせる。それは毎試合こだわってます」 2026年――日本代表の最終ラインを束ねるのは誰か。「谷口彰悟」という答えは、確かに現実味を帯び始めている。 取材・文=北健一郎 2025.11.19 01:35 Wed

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