4試合で掴んだ手応えと浮き彫りになった課題、擦り合わせたいフィニッシュの形/日本代表コラム

2022.06.15 13:00 Wed
©超ワールドサッカー
「毎試合選手を変える中で戦うことは選手たちにとっては難しいこと、選手たちにプレーしてもらったので、選手たちの責任でこういう結果になったわけではないと思います」

試合後にこう語ったのは日本代表の森保一監督だ。14日に行われたキリンカップサッカー2022決勝のチュニジア代表戦で優勝を目指したが、結果は0-3の惨敗に終わった。
20年前の同じ6月14日、日韓ワールドカップ(W杯)のグループステージで対戦した日本とチュニジア。当時は同じ大阪でも長居スタジアムでの椎亜だったが、0-2で日本が勝利しベスト16に進んだ。

20年の時を経ての再戦。偶然の一致とはいえ、20年ぶりの同一カードということで注目も集めた中、日本は良さを見せることなく終わった。

6月の4連戦はこれで2勝2敗で終わったわけだが、カタールW杯に向けたアジア最終予選で苦戦を強いられた日本にとっては、全くもってテストができないまま出場権をなんと確保した状況。この4試合で多くのことを試したかったというよりも、試さなければいけない状況だった。
そのことは指揮官も選手たちも重々承知。各取材でも多くの選手たちも口にしていた。

その意味では、この4試合は有意義に過ごせたと言えるだろう。まずは予選の苦境を救う形となった[4-1-4-1]のシステムにおいて、ほぼ固定のメンバーだった中で、様々な組み合わせを試すことができた。

また、離脱者、不参加者の関係もあったものの、右サイドバックで長友佑都(FC東京)を起用。さらに、左サイドバックでは初招集の伊藤洋輝(シュツットガルト/ドイツ)を3試合で起用することができた。

GKに関しても権田修一(清水エスパルス)がほぼ1人で守ってきた予選だったが、シュミット・ダニエル(シント=トロイデン/ベルギー)を2試合、川島永嗣(ストラスブール/フランス)を1試合で起用することができた。

多くのトライを行い、多くのパターンを試し、戦い方のバリエーションを増やすことや、選手の組み合わせによるパフォーマンスの変化などを見て取ることはできた。

ただ、最後のチュニジア戦では、そのツケを払うことも知らされたが、特に残念だったのは攻撃陣だったと言えるだろう。

◆頂けないミスだが起こり得ること

まずチュニジア戦で目がいくのは失点シーンだろう。1点目は伊藤が被った中で相手にボールを奪われると、スルーパスを通される。吉田麻也(サンプドリア/イタリア)がなんとか戻って対応、板倉滉(シャルケ/ドイツ)もカバーに入ったが、滑った吉田が相手と接触。PKが与えられ決められてしまった。

2点目は相手のGKから。フィードが流れ、吉田と板倉はGKシュミット・ダニエルに任せたボールだったが、シュミット・ダニエルが反応できずに前に出てこなかったために相手に奪われ、そこからゴールを許した。

この2失点に関してだが、1点目は吉田のミスといえばミスだが、起こらないとはいえないこと。相手のレベルが上がれば、あのようなシーンは起こる。対応のまずさは指摘できるが、起こり得るミスだ。

2点目に関しては、完全に意思疎通が上手くいかなかったということ。「明らかに防げる失点」とシュミット・ダニエルは振り返り、森保監督は「私自身が反省しなければいけない」と、GKをこれまで試せてこなかったことが生んだことだとした。

いずれにしても、この2失点は起こり得るものでもあり、簡単に防げたものでもある。それが出てしまったことはもちろん評価できないが、あえていうのであれば本番の前に出て良かったということだ。同じ場面があれば吉田は滑らないだろうし、シュミット・ダニエルは自分がキャッチに行くはずだ。

◆敗れた2試合の問題は攻撃陣

もう1つ上げるとすればビルドアップのミス。今回の4試合のうち、最初の3試合で喫した3失点はいずれもビルドアップのミスからだった。ここに関しても、基本的な戦い方として、ビルドアップを放棄しては目標のW杯ベスト8は叶わないだろう。

長い時間守備をするということは本来はリスクが増えるというもの。どんな形でも点が入る可能性はあり、いくら全員で引いたからといって失点がないわけではない。

その点では、後方から繋いでいくということにトライすることは重要。ただ、それがスムーズにいけたかと言えば、そうでないシーンも多かった。それは選手の組み合わせを試したことも影響がある。織り込み済みの状況で起こるミスは想定内。褒められることではないが、大きな問題ではない。

ただ、敗れた2試合の攻撃陣に関しては大きな問題と言って良いだろう。

ブラジル戦、チュニジア戦と無得点で日本は敗れたわけだが、この2試合は枠内シュートが「0」。攻撃陣が結果を残せなかった。

ブラジル戦は守備でよく耐えていた一方で、ブラジルの守備の前に歯が立たなかった印象だ。一方で、チュニジア戦は前半に伊東純也(ヘンク/ベルギー)が何度となく右サイドを仕掛け、鎌田大地(フランクフルト/ドイツ)、南野拓実(リバプール/イングランド)が決定機を迎えたが、鎌田は空振り、南野はオフサイドとゴールとはならなかった。

数が多かったわけではないが決定機もあった日本。後半も徐々に攻撃陣が停滞した中、左ウイングに入った三笘薫(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ/ベルギー)が再三ドリブル突破。しかし、中央への折り返しはブロックされたり合わなかったりと決定機までは作れていなかった。

この試合も日本のミドルシュートは数える程。攻撃面では、苦しい戦いの時にゴールをこじ開けるという形が作れないという課題が明白となった。

◆フィニッシュのイメージを共有できるか

ポイントとなるのはチャンスメイクの形ではなく、フィニッシュの形ではないだろうか。例えば、伊東や三笘のサイドの突破は、相手も警戒するほどの脅威があり、そこからチャンスを作るというのは日本の1つの形だ。

しかし、それはチャンスを作るところまで。ゴールを奪うということには繋がっていない。

一方で、ガーナ戦の1点目の久保建英(マジョルカ/スペイン)、堂安律(PSV/オランダ)、山根視来(川崎フロンターレ)の3人が絡んだゴールの形に始まり、三笘のクロスからのゴール、三笘の仕掛けからの久保のゴール、そして伊東のクロスから前田大然(セルティック/スコットランド)のゴールと、どれもゴールにつながる形が見えた崩しだった。

今回呼ばれたメンバーは、各々がクラブで得点を重ねている状況。その中でも得意なゴールパターンはある中で、今回の活動ではそこがどれだけt出せたかだ。

突破やクロス、コンビネーションとそれぞれが良いものであっても、最後にゴールを決めるという部分と繋がらなければ意味をなさない。トレーニング時間が取れない中で、そこを突き詰めるのは至難の業。個々人がクラブで磨き続け、周りがそれを共有して理解してプレーすることができるかどうか。9月の2試合では、その点をしっかりと見せてもらいたい。
《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》

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「試合の中でミスはありながらのお互いの連係連動という部分でクオリティを上げてくれた、チャレンジしてくれたことは、選手たちのチャレンジ・トライを称えたいと思います」 デンカビッグスワンスタジアムで行われたMIZUHO BLUE DREAM MATCH 2023のカナダ代表戦後に森保一監督が記者会見で語った言葉。11月に行われる大事な公式戦を前に控えた最後の親善試合2試合での狙いがハッキリとした戦いだった。 9月のヨーロッパ遠征ではドイツ代表、トルコ代表相手にそれぞれ4ゴールを奪って連勝。6月シリーズもエルサルバドル代表相手に6ゴール、ペルー代表相手に4ゴールを奪っており、大量得点が続いての4連勝中だった。 11月には2026年の北中米ワールドカップ(W杯)に向けたアジア2次予選がスタート。カタールW杯以来の公式戦を控える中、カナダ戦では普段の活動で出番の少ない選手、経験の浅い選手たちを起用した。 スターティングメンバーのうち、レギュラー格の選手はDF冨安健洋(アーセナル)とMF遠藤航(リバプール)、MF伊藤純也(スタッド・ランス)の3名。その他は、代表2試合目のDF毎熊晟矢(セレッソ大阪)、DF町田浩樹(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)、アキレス腱断裂から1年ぶりに復活したDF中山雄太(ハダースフィールド・タウン)、カタールW杯以来の復帰となったMF南野拓実(モナコ)らが並んだ。 継続して呼ばれているものの、ポジション争い真っ只中のGK大迫敬介(サンフレッチェ広島)、FW浅野拓磨(ボーフム)、MF田中碧(デュッセルドルフ)、FW中村敬斗(スタッド・ランス)もピッチに立ち、テストの色が強い試合となった。 交代選手を見ても、9月はケガで招集外だったMF旗手怜央(セルティック)、代表歴の浅いMF伊藤敦樹(浦和レッズ)、久々に追加招集されたMF川辺駿(スタンダール・リエージュ)、ポジション争い中のFW古橋亨梧(セルティック)、DF橋岡大樹(シント=トロイデン)とやはり試していると言えるだろう。その中で、冒頭の評価。ピッチ内で、一定の対応力を見せられたと言える。 <span class="paragraph-subtitle">◆立ち位置変更でプレスの掛け方も改善</span> 開始2分に田中のミドルシュートで先制した日本だったが、そこからペースがあまり上がらなかった。相手の出方を伺っていた中で、いきなり先制されたカナダもギアを上げることに。トップに入ったサイル・ラリンへロングボールを送る戦い方を見せ、「いつもよりラインは下がっていた感覚がありました」と冨安が試合後に語っていたが、確かにあまりラインを上げることができず、受ける形が立ち上がりは多かった。 その結果、19分には間を取られてアルフォンソ・デイビスに抜け出されると、GK大迫が倒しVARチェックの結果、PKに。これは大迫が自ら防いだが、ラインを上げられなかったことで生まれたピンチだった。 また、インサイドハーフに入った田中、南野のプレスがかかりきらなかったことも難しくさせた。カナダは[3-1-4-2]のようなシステムを基本とし、3バックの前にアンカー、その前に4枚、2トップは縦関係でラリンが前、ジョナサン・デイビッドが下がった位置にいるという状況だった。 日本は当初、3バックに対して浅野と南野がプレスをかけ、伊東がアルフォンソ・デイビスを見る形としたため、カナダはアンカー1枚よりもダブルボランチのような形にしてボールを動かした。 その結果、田中が2人を見ることができず、中盤にプレスがかからないことに。ボールを局面で奪えた場合でも、今度は相手が優位に立つ配置になるため、パスがつながらない場面が増えていった。 しかし、PKをキッカケにやり方を変え、3バックに対して中村、浅野、伊東がプレスをかける立ち位置にし、南野と田中が中盤を、両ウイングにはサイドバックが目を向ける形にして改善した。 さらに、インサイドハーフとして出場した南野が攻守でポジショニングに苦慮し、機能しきれていなかった部分も解消。[4-1-4-1]を[4-2-3-1]に変えたことで、前述のプレスと攻撃面の改善を図ることになった。 その結果、浅野のチェイスから3点目の中村のゴールが生まれ、再び日本がゲームをコントロールすることに。後半には南野、伊東とボックス付近で絡み、最後は田中が蹴り込んだ。「自分が3バックの前に行くところから守備がハマり出して良い形で試合を運べた」と伊東も試合後に振り返ったが、ピッチ内での対応力が好パフォーマンスを取り戻す要因となったと言える。選手の連動性も時間を追うごとに上がり、交代選手も消えることはなかった。 <span class="paragraph-subtitle">◆まだまだ課題はあるも、実りある試合に</span> 「この結果についてはなかなか出せる結果ではないという部分で、素晴らしい結果を選手たちが出してくれている」と森保監督は5試合連続4ゴール以上での連勝という結果を評価。コーチ陣による攻守へのアプローチと指導の賜物だとスタッフも労った。 テストの要素が強く、W杯予選や来年1月のアジアカップに向けてチーム力を上げていくことが目的の日本。そのため、上手くいかないことが多くなることは想定内だ。冨安は「新しいメンバーでやっていますし、感覚的にハマっていないというのが正直ありました」と語りながらも、「最初からハマることはないというのは分かっていた」とコメント。「次に繋がる試合だったと思う」と課題が出たことも良かったという。 久々に復帰しフル出場した中山も「勝ちながら改善していければと思います。課題が見つかることは良いこと」と語り、1つずつクリアしていくことが大事だと強調。森保監督もまだまだ高いレベルを求める発言をしており、チームとして良い循環が生まれていると言って良いだろう。 この試合は出場時間が短い選手や新しい選手も多く、主軸であるMF三笘薫(ブライトン&ホーヴ・アルビオン)、MF鎌田大地(ラツィオ)、MF堂安律(フライブルク)、FW前田大然(セルティック)もいない状況だった。それでも結果は残し、ピッチ内での理解を選手たちは深めていった。 次はチュニジア戦。カナダ戦を考慮すれば、よりコンディションが上がっているレギュラーに近い選手たちが起用されることが予想されるが、彼らがどんなパフォーマンスを見せるのか。チーム全体での切磋琢磨、レベルアップがしっかりと図れていることを感じられる2試合にしていきたいところだ。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 <span class="paragraph-title">【動画】またも4ゴールで5連勝! カナダを撃破</span> <span data-other-div="movie"></span> <script>var video_id ="VQdeigrGbvg";var video_start = 0;</script><div style="text-align:center;"><div id="player"></div></div><script src="https://web.ultra-soccer.jp/js/youtube_autoplay.js"></script> 2023.10.14 15:30 Sat

欧州遠征2連勝も手放しで喜べない日本代表、トルコ戦で見えた成長の差…目標達成への道【日本代表コラム】

「選手層を上げる、チーム全体のレベルアップ、戦術の共有をするという部分は、苦しい時間帯もありながら、選手たちがまた1つ良い経験を積んでくれたと思います」 トルコ代表に4-2で勝利した日本代表。森保一監督は試合後にこう語る。新体制で今年から再スタートした森保ジャパンの初の海外遠征は共に4ゴールを奪う連勝で終わった。 9日に行われたドイツ代表戦では、現在の主軸となる選手たちがピッチに並んだ。カタール・ワールドカップ(W杯)で敗れたリベンジを果たしたいドイツと、相手のホームで戦う重要な試合。調子が上がっていないドイツではあったが、その中で日本は相手を圧倒。伊東純也(スタッド・ランス)、上田綺世(フェイエノールト)が前半にゴールを奪うと、浅野拓磨(ボーフム)、田中碧(デュッセルドルフ)とドイツでプレーする2人が終盤にダメ押し。4-1で撃破し、ハンジ・フリック監督に引導を渡すこととなった。 その試合からDF伊藤洋輝(シュツットガルト)を除く10名を変更して臨んだトルコ戦。現時点ではサブ組に属す選手や、日本代表としての経験が浅い選手たちが顔を並べた。初めて日本代表を経験するDF毎熊晟矢(セレッソ大阪)、デビュー戦となったDF町田浩樹(ユニオン・サン=ジロワーズ)、代表2試合目のMF伊藤敦樹(浦和レッズ)なども先発する。 結果としてこの試合は4-2で勝利しているが、ドイツ戦の満足感とは程遠い勝利後の心境になった人は多いのではないだろうか。相手がドイツとトルコだからと言うこともあるかもしれないが、内容に乏しかったことが大きな理由と言えるだろう。 冒頭の森保監督の言葉通り、経験値が低い選手や出番が少ない選手が経験を積めたことは大きい。それ故に、チームとしての完成度の低さが目立ってしまうことも、ある程度は織り込み済みだっただろう。 ただ、チームコンセプトである良い守備から良い攻撃や、ドイツ戦で見せたプレッシングからのボール保持という部分、ビルドアップによる相手守備を崩すという面は、物足りなさを感じざるを得なかった。 <span class="paragraph-subtitle">◆ボランチのクオリティ</span> この試合ではドイツ戦と同様に[4-2-3-1]で戦った日本。ボランチには、遠藤航(リバプール)、守田英正(スポルティングCP)に代えて、伊藤敦と田中が入った。 カタールW杯でもコンビを組み、日本を支えていた2人と比較すれば当然とも言えるが、期待感を込めて田中にはもう少し高いクオリティを見せて欲しかった。 選手としてのタイプが違うのは当然のことながら、要所を締めるという点ではキャプテンマークも巻いていたことを考えると、物足りないと言える。寄せる距離、スピード、タイミングは甘さが目立ち、プレスをかけて奪いに行くのか、ポジションを取ってパスを消すのかという判断では、後者を選択することが多かったように思う。 「守から攻」という森保監督がよく使う言葉を考えれば、守の部分では少し緩さが生まれ、攻の部分でも、効果的なビルドアップや持ち運びの回数はその差を埋めるほどのものではなかった。もちろんバランスを取り、良いポジションを取ることもあったが、田中のポテンシャルを考えればもっと要求されるべきだろう。 顕著になったのは後半。相手が主軸を入れて試合を支配し始めると、押し込まれる時間が圧倒的に長くなり、日本は前に押し出せなくなっていった。中盤から前でのプレスの甘さが押し込まれた要因の1つ。牽制しきれない部分で、相手に良いようにパスを繋がれてしまった。 その問題を解消すべく、森保監督は伊藤敦を下げて遠藤を投入。するとチームの中盤には強度と安定感がもたらされ、ラインを高くとり、ビルドアップ、サイドバックの上がりと改善された。遠藤と守田がフル稼働できることはなく、3人目のボランチとして同じクオリティを発揮できなければならない状況。田中には自分の特徴を出しながらも、よりチームのスタイルを体現できる力をつけてもらいたい。 <span class="paragraph-subtitle">◆板倉滉&冨安健洋の質が際立つ</span> そしてもう1つは最終ラインの出来だ。2失点という結果も去ることながら、チームに物足りなさを感じた要因の1つはセンターバックの2人の出来といえる。 ドイツ戦は板倉滉(ボルシアMG)と冨安健洋(アーセナル)のコンビが入ったが、常にハイラインを保ち、守備でも後ろのスペースをカバー。対人能力も高い上に、相手の崩しも読み切るなど、ハイパフォーマンスを見せていた。 日本代表の守備陣では、大きく抜け出している2人。1つ1つのプレー、守備だけでなく、攻撃に関与する部分、ポジショニングを取っても、2人の能力はかなり高いところにある。ただ、この2人はW杯以降に大きな成長を見せている。 一方で、トルコ戦はベテランの谷口彰悟(アル・ラーヤン)とデビュー戦の町田がコンビを組んだ。バランスを取るタイプの谷口と初めてピッチに立つ町田を組ませたことは理解できるが、彼らはラインを高く保つことができなかった。その結果、日本はコンパクトさを失い、中盤で好きなようにボールを持たれることになってしまった。 最前線の古橋亨梧(セルティック)がプレスをかけ、2列目の久保建英(レアル・ソシエダ)、堂安律(フライブルク)、中村敬斗(スタッド・ランス)はチームのコンセプトである前からのプレスをかけてショートカウンターを狙ったが、後ろが押し上げられなかったことで、そのプレスも弱まっていった。 トルコは立ち上がりからボールを持てる状況であり、日本も奪いにあまり行けない状況が続いてしまった。ビルドアップを見ても、板倉と冨安はスペースがあれば自分がドリブルで運ぶが、トルコ戦の2人はその機会も少なかった。これも選手の特性というのはあるが、チームとしての戦い方を考えると、ドイツ戦の2人に追いつく選手が出てくる必要があるだろう。 <span class="paragraph-subtitle">◆違いを見せた交代組</span> それは試合の終盤でハッキリとする。森保監督はハーフタイムにも選手を変えた中、後半半ばに遠藤を、終盤に冨安を投入した。 遠藤の交代は前述の通り。その前に失点をし、緩さが目立ったところで締める役割を遠藤に求めた。冨安の場合は町田が痛みを訴えたことでのようだが、10分程度の出場時間で冨安は明らかな違いを見せた。 1つはコーチング。ラインを高く保つために、周りに声をかけていき、その結果日本は厚みのある攻撃を終盤に取り戻すことになる。加えて、トルコもサイドチェンジなどを使って攻め込むが、右サイドでプレーしたジェンギズ・ウンデルに良いようにやられていたが、冨安が完璧に対応。チャルハノールを遠藤が潰し、冨安が最後の砦となり、緊急出場したGKシュミット・ダニエルも好セーブで呼応した。 後半頭から出た伊東純也(スタッド・ランス)も、試合を決定づけるPKを獲得。何度もスペースに顔を出しながら、あまりボールが入らない試合だったが、自ら長い距離をドリブルで運んで追加点につなげた。判断力も去ることながら、局面を変えられる力をそれぞれが見せ、周りがついていける空気を作っていったことは大きなものだった。 これで4連勝となり、ヨーロッパでの戦いもしっかりと結果を残した日本。ただ、まだまだ発展途上であることは明白。コアメンバーを作りながらも、それが多くの選手で実践できなければ、目指しているW杯優勝は夢物語。アジア予選、アジアカップなど戦いは多く、この幅を広げるのは森保監督の仕事だが、それに応える選手が出てこないことには、日本が目指すものに手は届かないだろう。ただ、歩んでいる道は正しいと思える手応えはある。その点では、監督を悩ませるほどの各選手の更なる成長が、楽しみになる2試合だった。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 <span class="paragraph-title">【動画】2試合連続4ゴール!日本vsトルコ、ハイライト</span> <span data-other-div="movie"></span> <script>var video_id ="xeqa1gFJFDQ";var video_start = 0;</script><div style="text-align:center;"><div id="player"></div></div><script src="https://web.ultra-soccer.jp/js/youtube_autoplay.js"></script> 2023.09.13 12:45 Wed
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