8大会連続五輪出場決定、大岩監督のメッセージを感じる采配/六川亨の日本サッカーの歩み
2024.04.30 20:00 Tue
五輪出場を喜ぶU-23日本代表の選手たち
大岩ジャパンは昨夜29日、ドーハでのU-23アジアカップ準決勝で難敵イラクを2-0で下し、今夏パリで開催される五輪の出場権を獲得した。これで日本は96年のアトランタ五輪以来8大会連続のオリンピック出場を決めた。28年ぶりの五輪だったアトランタ大会にしても、その後のシドニー、アテネ、北京、ロンドン、リオも「出場して当然」と思われながらアジア最終予選では苦労した。理由は年齢制限があるからだ。ここがW杯予選との大きな違いである。加えて近年は本大会も含めて“海外組”が増えたことで、選手の招集に強制力がないことも日本のネックになっていた。
そうした意味で今回の予選では、MF藤田譲瑠チマをシント=トロイデンが招集に前向きだったことが予選突破に大きく貢献した。守備では、激しくないもののサラリと相手ボールを突っつくようにしてカットしては味方にパスを送る。そして攻撃では絶妙のポジショニングでフリーとなってDFラインからパスを引き出し、前線に好パスを配球する。まさに“攻守の要”であり、遠藤航の後継者、あるいは彼を凌ぐタレントの持ち主ではないか。
藤田のパスから2ゴールが生まれたシーンは改めて説明する必要はないだろう。1点目はFW細谷真大の好トラップと、その後の反転とダブルタッチが絶妙だった。カタール戦で決めた股抜きシュートはイラクGKに防がれていたため、コースを狙った一撃も彼にしては珍しいが、余裕があった証拠だろう。
2点目のコンビネーションも日本らしいゴールで、藤田のワンタッチパスに抜け出た荒木遼太郎が外すとは思わなかった。藤田と荒木、そして今シーズンはFC東京で荒木と絶妙のコンビを組む松木玖生をなぜ同時起用しないのか、大岩剛監督には疑問を感じていた。
この試合に備えて選手をターンオーバーしつつ、藤田、松木、荒木の3選手を同時起用するまで『隠していた』としたら、大岩監督の采配には敬服するしかない。準々決勝のカタール戦の前半で松木が警告を受けたため、後半にFW藤尾翔太と交代させたのも準決勝を想定しての選手起用だとしたら、“策士”としか言いようがない。
過去の五輪予選がそうであったように、「終わってみれば」日本は五輪予選を通過してきた。アンダー世代での継続した強化の賜物だろう。とはいえ、それが五輪でのメダルを約束してくれるわけではない。そして近年の五輪やW杯では空中戦に強いFWの存在が重要視されている。劣勢の際はハイクロスが武器になることは変わらないからだ。
そうした意味でCB高井幸大は重要な選手だし、後半アディショナルタイムに内野航太郎をピッチに送り出したのも大岩監督の日本サッカーに対するメッセージと感じた。
まだ今大会は無失点のカザフスタンとの決勝が控えているが、DF陣を含めて選手の成長を感じた5試合でもある。パリ五輪でOA枠を使うかどうか、これはこれで議論を呼ぶかもしれない。
そうした意味で今回の予選では、MF藤田譲瑠チマをシント=トロイデンが招集に前向きだったことが予選突破に大きく貢献した。守備では、激しくないもののサラリと相手ボールを突っつくようにしてカットしては味方にパスを送る。そして攻撃では絶妙のポジショニングでフリーとなってDFラインからパスを引き出し、前線に好パスを配球する。まさに“攻守の要”であり、遠藤航の後継者、あるいは彼を凌ぐタレントの持ち主ではないか。
2点目のコンビネーションも日本らしいゴールで、藤田のワンタッチパスに抜け出た荒木遼太郎が外すとは思わなかった。藤田と荒木、そして今シーズンはFC東京で荒木と絶妙のコンビを組む松木玖生をなぜ同時起用しないのか、大岩剛監督には疑問を感じていた。
今大会に限らずW杯でも、グループリーグの初戦は絶対に負けてはならない。そしてグループリーグを突破してからは必勝が義務づけられる。いわゆる「絶対に負けられない」戦いが続く。そして今大会では“一番のキモ”が五輪の出場権のかかった準決勝のイラク戦となる。
この試合に備えて選手をターンオーバーしつつ、藤田、松木、荒木の3選手を同時起用するまで『隠していた』としたら、大岩監督の采配には敬服するしかない。準々決勝のカタール戦の前半で松木が警告を受けたため、後半にFW藤尾翔太と交代させたのも準決勝を想定しての選手起用だとしたら、“策士”としか言いようがない。
過去の五輪予選がそうであったように、「終わってみれば」日本は五輪予選を通過してきた。アンダー世代での継続した強化の賜物だろう。とはいえ、それが五輪でのメダルを約束してくれるわけではない。そして近年の五輪やW杯では空中戦に強いFWの存在が重要視されている。劣勢の際はハイクロスが武器になることは変わらないからだ。
そうした意味でCB高井幸大は重要な選手だし、後半アディショナルタイムに内野航太郎をピッチに送り出したのも大岩監督の日本サッカーに対するメッセージと感じた。
まだ今大会は無失点のカザフスタンとの決勝が控えているが、DF陣を含めて選手の成長を感じた5試合でもある。パリ五輪でOA枠を使うかどうか、これはこれで議論を呼ぶかもしれない。
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3日、日本代表vsU-24日本代表の一戦が札幌ドームで行われる。 キリンチャレンジカップ2021のジャマイカ代表戦が、ジャマイカ代表が来日できなかったことを受けて急遽中止に。その後、対戦相手にU-24日本代表を指名し、異例の日本代表対決が実現した。 カタール・ワールドカップ(W杯)アジア2次予選を戦う日本代表と、東京オリンピック出場に向けてメンバー選考を続けるU-24日本代表の一戦。互いに主力選手を起用して臨む。 日本代表はDF長友佑都(マルセイユ)、MF鎌田大地(フランクフルト)、MF南野拓実(サウサンプトン)、FW大迫勇也(ブレーメン)と日本代表の主軸を先発起用した。 一方のU-24日本代表はオーバーエイジの3名はベンチスタート。MF久保建英(ヘタフェ)、MF中山雄太(ズヴォレ)、MF板倉滉(フローニンヘン)らが起用された。 今回の試合は、フィールドプレーヤーが7名、GK1名が交代可能なレギュレーション。後半の交代枠は3回までとなるが、負傷交代の場合は含まれない。 ★日本代表スタメン[4-2-3-1] ※並びは予想 GK:シュミット・ダニエル DF:室屋成、植田直通、谷口彰悟、長友佑都 MF:橋本拳人、守田英正 MF:原口元気、鎌田大地、南野拓実 FW:大迫勇也 監督:森保一 ★U-24日本代表スタメン[4-2-3-1] ※並びは予想 GK:大迫敬介 DF:菅原由勢、橋岡大樹、町田浩樹、旗手怜央 MF:中山雄太、板倉滉 MF:三好康児、久保建英、遠藤渓太 FW:田川亨介 監督:横内昭展 2021.06.03 18:42 Thu3
「本当に悔しい」CBとしてフル出場のDF橋岡大樹、終盤出場のOA枠のMF遠藤航は「物凄くやりやすかった」
U-24日本代表は3日、日本代表との試合を行い、0-3で敗れた。 ジャマイカ代表選手が来日できなかったことを受け日本代表が行う予定だった予定されていたキリンチャレンジカップ2021が中止に。急遽、試合相手に選ばれていた。 スケジュールにない試合を組まれたU-24日本代表。中1日でU-24ガーナ代表と対戦する中、試合は開始1分過ぎにCKから橋本拳人に決められA代表が先制。さらに41分には鎌田大地、52分には浅野拓磨にゴールを許し、0-3で敗れた。 試合後、DF橋岡大樹(シント=トロイデン)がオンラインでのメディア取材に応対した。 まずA代表との試合の率直な感想については「0-3という結果で、僕たちも最初のやる前から気合が入っていて、絶対に勝ってやるという気持ちだったんですけど、結果は0-3で負けたことが本当に悔しいです」と悔しさをあらわにした。 強さを感じた点については「決定力の高さだったり、そこは物凄いなと思いました」と語り、3点を奪った決定力を賞賛。「僕たちは0点で終わってしまったということで、後ろがしっかり土台を作る部分で0点に抑えることができなくて、それプラス得点が取ることができなかったことは課題かなと思います」と語り、攻守にわたって課題が残ったと語った。 クラブではウイングバックやサイドバックでプレーしていた橋岡。この試合ではCBとしてフル出場を果たしたが意識した点については「安定感を出すということで、ボールを繋ぐところはシンプルに。出せるところは縦につけてということでした」と攻撃面ではリスクを冒しすぎないようにしたとコメント。「守備の部分では一対一で絶対に負けない、ロングボールを跳ね返してしっかり自分たちのボールにすることを意識してやっていました」と、守備では特徴でもある競り合いと一対一の強さを出したかったとした。 3失点は喫したが、その中でも手応えについては「球際の部分だったりは負けてなかったです」とコメント。「でも、もっともっと突き詰めていかなければいけない部分もたくさんありました」と課題を口にした。その課題については「球際、競り合い、足りないところはゴール前の最後の最後でボールを当てて体を張って守るというところに関しては、まだまだなのかなと思います」と、ディテールの部分でもしっかりしなければいけないと感じたようだ。 この試合では前半と後半の立ち上がりに1点ずつ失点している。その点については「入りの部分は集中して入っていこうとみんなで言っていましたが、結果的に失点をしてしまっているというところは改善点だと思いますし、早い時間帯で先制されるとサッカーも変わるので、そこは気を引き締めてやらないといけないなと思いました」と、気をつけていながらも失点を喫したとコメント。本大会に向けては大きな改善ポイントとなった。 特に試合開始2分で失点した点については「橋本選手がフリーになっていて、あそこはチームでもっともっと話をしなければいけないです。まずはニアで触られてしまったことに関して、立ち上がりということもあったので、練習から突き詰めて行きたいと思います」と語り、守備陣でしっかりと話し合うと語った。 CBでの出場となった橋岡だが、前半はFW大迫勇也(ブレーメン)、後半はFW浅野拓磨とタイプが違う相手との対峙となったが「大迫選手に関しては、収める技術やターンの部分は物凄い技術があることはわかっていたので、そこの部分でまずは早めに予測して縦に入ってくるところを早めに潰しに行って、好きにやらせないということを意識していました」とコメント。一方で「浅野選手に関しては斜めに走って縦にくるというのは、足が速いので分かっていたので、そこは気をつけていましたが、一度浅野選手が縦に流れた時に上手く対応しようと思って行きましたが、股を抜かれました。そこはもっと突き詰めていかなければいけないと思います」と語り、相手の特徴を警戒して対応したと語った。 中1日でU-24ガーナ代表選を控えている状況。メンバー選考もある中で、6月は残り2試合となる。 チームとして高めるポイントについては「オリンピック本大会では中2日での試合は当たり前なので、こういった過密日程になることは承知の上ですし、そこでチーム力が本当に生かされると思うので、誰が出ても良い結果が残せるようにチーム力を上げることです」とチーム力を上げる必要があるとコメント。「今回に関しては最終選考前ということで、本当にみんなが切磋琢磨しあっている中での合宿だと思っているので、1人1人が良いプレーをして1人1人が個人の良いところを出しつつ、チームのことを考えてプレーしていければと思います」と語り、個々のパフォーマンスを最大限に出すことでチーム力を上げていきたいと語った。 試合終盤にはオーバーエイジのMF遠藤航(シュツットガルト)が入ってリズムが良くなったU-24日本代表。遠藤については「遠藤選手はデュエルの部分で、相手のボランチが起点になりそうな時にしっかりと潰してくれて、相手の攻撃の芽をしっかり潰してくれるので、自分たちの攻撃の時間が増えたのかなと思います」とコメント。「奪った後もしっかりつないでくれるので、ああいったところは遠藤選手の良いところで、物凄くやりやすかったです」と、遠藤投入の効果を語った。 2021.06.04 06:15 Fri4
【パリ行きの命運を託された23選手】頭脳とテクニックに優れた万能型CB、世代を代表する柱・鈴木海音
パリ・オリンピックのアジア最終予選を兼ねるAFC U23アジアカップが15日に開幕する。出場16カ国が4組に分かれてのグループステージから始まる五輪出場もかけた戦いは約2週間ちょっとのスケジュール的にも勝ち上がれば勝ち上がるほど総力戦が必至。ここではパリ行きの命運が託されたU-23日本代表の23選手を紹介し、鈴木海音にフォーカスする。 ■鈴木海音(DF/ジュビロ磐田) 静岡県出身の鈴木は中学生の時に磐田に加入。U-15、U-18とアカデミーで育ち、2020年4月にトップチーム昇格。プロ契約を結んだ。 U-15から世代別の日本代表を経験しているこの世代のエリート。2018年のAFC U-16選手権では見事優勝に貢献。2019年のU-17ワールドカップにも出場したが、チームはベスト16で敗退となった。 鈴木のプレースタイルの特長は、そのバランス感覚。ディフェンダーとしては堅実な守備を見せ、しっかりと安定感を与えるプレーが特徴。一方で、攻撃時には積極的に参加する他、キックの精度も高く、ロングフィードも得意とする。 182cmという飛び抜けて上背があるわけではないが、空中戦を得意としており、対人守備の能力も高い。テクニックと賢さ、そして強さを持ち合わせた万能型のCBと言って良い。 特に試合を読む力、戦術理解度が高く、攻守両面でプレー選択がしっかりとできるところが特徴。また、ポジショニングに長けているため、守備時には危険なゾーンをカバーし、攻撃時にはタイミングを間違えずに前線に上がる動きに加え、足元の技術とポジショニングはビルドアップをする際にも大きな力となる。もちろん一対一の守備も得意で、ボールを奪いにいく動きや、決定機の前に潰しに行くことも得意としている。 2022年には栃木SCへ育成型期限付き移籍を経験し、リーグ戦34試合に出場するなど、多くの試合経験を積んで帰還。2023年はJ2を戦うチームで22試合に出場し初ゴールも記録。チームのJ1昇格に寄与した。 守備陣の経験値に若干の不安を抱えるパリ五輪世代。アジアの戦いも経験しており、世代別の国際経験が豊富な鈴木。対戦相手の特徴に合わせ、試合展開を読んでプレーができる鈴木が守備陣を牽引していけるのか注目が集まる。 2024.04.15 11:00 Mon5
