「ピッチ上では年齢は関係ない」来季はFC東京でプレー、飛び級で追加招集されたMF松木玖生がU-22日本代表での意気込み語る

2021.10.22 21:52 Fri
©超ワールドサッカー
AFC U23アジアカップウズベキスタン2022予選に臨むU-22日本代表が22日からトレーニングを開始した。

2022年6月にウズベキスタンで開催が予定されている同大会。日本は、10月26日にカンボジア代表と、28日に香港代表と対戦し、本大会出場を目指す。

22日のトレーニング初日には、9名が集合。大学所属のGK杉本光希(立正大学),、DF山原怜音(筑波大学)、MF松井蓮之(法政大学)、MF佐藤恵允(明治大学)、高校所属のDFチェイス・アンリ(尚志高校)、MF松木玖生(青森山田高校)、MF中村仁郎(ガンバ大阪ユース)、MF甲田英將(名古屋グランパスU-18)のユース組に加え、DF角田涼太朗(横浜F・マリノス)が参加した。
この日は、追加招集を受けた松木がオンライン取材に応じ「今日練習してみてレベル高く感じました」と飛び級で加わったチームの印象をコメント。「いるだけでは意味がないので、日本代表という日の丸を背負うからこそは、出場機会があればしっかり結果を残せていければと思います」と、高いパフォーマンスを見せると意気込みを語った。

急遽招集を受けた松木。U-22日本代表に招集されるのは今回が初めてのこととなる。週末のJリーグもあることから、試合はぶっつけ本番に近い形となるが「自分もこのU-22日本代表は経験したことがなく、初めてやる選手が多いですが、しっかりコミュニケーションをとって、良いアピールができればと思います」とコメント。アピールをしていきたいと語った。
今回のU-22日本代表は[4-3-3]のシステムを用いると見られ、松木はインサイドハーフでのプレーとなることが予想される。その点については「今日も冨樫(剛一)監督から得点を取るところを要求されたので、結果を残すところと、[4-3-3]のポジションはどこで出てもしっかりと相手を圧倒できるプレーをしたいと思います」と意気込みを語った。

相手は日本よりも格下。守備的に戦ってくることも予想されるが「実際にプレーしてみないとわからないですが、引いた相手に対してミドルシュートや崩しのところは上回れると思うので、そこは焦れないで徹底してやれば、自ずと1、2点取れると思います」と自信をうかがわせた。

世代別の代表を経験してきた松木だが、2世代も上のチームへと合流する。その点については「自分も目指すところは日本代表なので、このように呼ばれてまずは嬉しい気持ちと、ここで結果を残さないと次のキャンプには呼ばれないと思うので、戦いの場として、そして国際大会は今回は絶対に負けられない場なので、しっかり2試合勝っていきたいと思います」と語り、先に見据えるA代表のためにも、結果を残したいと意気込んだ。

年上の選手ばかりとなるが「ピッチ上では年齢は関係ないので、要求するところは要求するし、そこは遜色なくやれると思います」と力強く語る松木。先日は来シーズンからのFC東京への加入が発表され、大きな話題となった。

FC東京の選手としても見られる松木は「来季からプロサッカー選手としてサッカーに打ち込めることができるので、今は青森山田代表ですが、次はFC東京の代表として呼ばれるように、この試合でしっかり勝っていきたいと思います」と何としても勝利したいと語り、FC東京の選手として本大会出場を果たしたいと意気込んだ。

松木の世代ではないが、2024年のパリ五輪を目指すU-20世代。松木にとってのパリ五輪は「東京五輪でもすごく良い結果を出しているので、次は優勝に向けて取り組まないといけないところですし、そのメンバーに入るためには自チームで結果を残さないといけないと思います」とし、世代別の代表、そしてFC東京でも結果を残して、出場を果たしたいと語った。

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VAR判定は完璧ではない/六川亨の日本サッカー見聞録

人はみな、大人であれ子供であれ、新しいアイテム(玩具)を手に入れれば使いたくなるのは当然だ。人間の性とも言っていいだろう。それが個人的な趣味の範囲にとどまっていればいい。ところが人生を左右しかねないとなると大問題だ。 ここまで書いたら何を言いたいのか、お分かりの読者もいるかもしれない。そう、U-23アジア選手権で導入されているVAR判定だ。 U-23日本は初戦のサウジアラビア戦、第2戦のシリア戦、そして昨日のカタール戦と3試合で4回のVTR判定を経験した。そして、そのうち3回がPKを取られ、1回は田中碧の1発退場という、勝敗の行方を左右する極めて厳しいジャッジだった。 とりわけカタール戦のVAR判定は、記者席に設置されたモニターで確認しても、田中碧が一連のプレーの流れでマイボールにした際に足を着いたところ、相手の足がたまたまあったため踏んでしまったように見えた。齊藤未月のプレーも、相手はシュートモーションに入っていたが、先にボールにアプローチしたのは齊藤だった。その結果、相手は齊藤のふくらはぎを蹴って転倒したにすぎない。キッキングで日本にFKが与えられてもおかしくないシーンだった。 とはいえ、一度下った判定は覆らないことは百も承知だ。それでもあえて苦言を呈したいのは、VARは完璧ではないということだ。というのも、VARを運営するのは人間であり、人間は間違いを犯すからに他ならない。 J1リーグは今シーズンから初めてVARを導入する。本来は人材を育成するため来シーズンから導入予定だった。というのも、韓国のKリーグは一昨シーズンから導入したものの、不慣れな運用からミスジャッジが多かった。このためJリーグは慎重を期し、VARとアシスタントVARの育成に時間をかける方針だった。 しかし育成は順調に進み、1年前倒しで導入できるようになった。もちろん導入してみて、様々なトラブルが発生するかもしれない。しかし、こればかりは実践を重ねるしかない。 そして今大会のVARである。 スタートリストにはVARとして中国人の審判が、アシスタントVARとしてイランとマレーシアの審判が務めた。中国のスーパーリーグと、イランやマレーシアの国内リーグがJ1リーグより先にVARを採用していて、VARの先進国かどうかはわからない。あるいはAFC(アジアサッカー連盟)で研修を重ねたのかもしれない(昨年のアジアカップで準々決勝以降に初めて導入)。 ただ、Jリーグより進んでいるとはどうしても考えられない。そこで、カタール戦のVARによるレッドカードとPKも、素直に承服できないのだ。 それというのもシンガポール人の主審は自らVARを要求したのではなく、いずれのプレーもノーファウルだった。そこでVARからのリクエストで判定することになったが、齊藤のPKになったプレーは、本来なら主審がOFR(オンフィールドレビュー=主審による映像確認)をしてからファウルかノーファウルかジャッジを下すべきである。 ところがOFRをすることなく主審はPKを宣告した。本来なら、VARはアドバイスで主審をサポートするのが本来の役目であり、ジャッジの決定権はない。最終判断を下すのは、あくまで主審である。しかしPKのシーンは、その立場がまるで逆転しているように感じられた。 日本は2つのVAR判定に関して公式な見解を求めるべきだろう。そしてAFCは、今大会終了後、すべてのVAR判定について正確なジャッジが下されたのかどうか検証する義務がある。例え時間がかかっても、それは公表し、各国が情報を共有できるようにするべきだろう。 2020.01.18 21:30 Sat
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【パリ行きの命運を託された23選手】頭脳とテクニックに優れた万能型CB、世代を代表する柱・鈴木海音

パリ・オリンピックのアジア最終予選を兼ねるAFC U23アジアカップが15日に開幕する。出場16カ国が4組に分かれてのグループステージから始まる五輪出場もかけた戦いは約2週間ちょっとのスケジュール的にも勝ち上がれば勝ち上がるほど総力戦が必至。ここではパリ行きの命運が託されたU-23日本代表の23選手を紹介し、鈴木海音にフォーカスする。 ■鈴木海音(DF/ジュビロ磐田) 静岡県出身の鈴木は中学生の時に磐田に加入。U-15、U-18とアカデミーで育ち、2020年4月にトップチーム昇格。プロ契約を結んだ。 U-15から世代別の日本代表を経験しているこの世代のエリート。2018年のAFC U-16選手権では見事優勝に貢献。2019年のU-17ワールドカップにも出場したが、チームはベスト16で敗退となった。 鈴木のプレースタイルの特長は、そのバランス感覚。ディフェンダーとしては堅実な守備を見せ、しっかりと安定感を与えるプレーが特徴。一方で、攻撃時には積極的に参加する他、キックの精度も高く、ロングフィードも得意とする。 182cmという飛び抜けて上背があるわけではないが、空中戦を得意としており、対人守備の能力も高い。テクニックと賢さ、そして強さを持ち合わせた万能型のCBと言って良い。 特に試合を読む力、戦術理解度が高く、攻守両面でプレー選択がしっかりとできるところが特徴。また、ポジショニングに長けているため、守備時には危険なゾーンをカバーし、攻撃時にはタイミングを間違えずに前線に上がる動きに加え、足元の技術とポジショニングはビルドアップをする際にも大きな力となる。もちろん一対一の守備も得意で、ボールを奪いにいく動きや、決定機の前に潰しに行くことも得意としている。 2022年には栃木SCへ育成型期限付き移籍を経験し、リーグ戦34試合に出場するなど、多くの試合経験を積んで帰還。2023年はJ2を戦うチームで22試合に出場し初ゴールも記録。チームのJ1昇格に寄与した。 守備陣の経験値に若干の不安を抱えるパリ五輪世代。アジアの戦いも経験しており、世代別の国際経験が豊富な鈴木。対戦相手の特徴に合わせ、試合展開を読んでプレーができる鈴木が守備陣を牽引していけるのか注目が集まる。 2024.04.15 11:00 Mon
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レーティング:U-23韓国代表 2-3 U-23日本代表《AFC U-23選手権》

▽リオ五輪の出場権を手にしたU-23日本代表は30日、AFC U-23選手権2016カタール大会の決勝で“宿敵”U-23韓国代表と対戦。2点のリードを許した日本がFW浅野の2ゴールなどで3-2の勝利を収め、アジア王者の称号を手にした。超WSの選手採点結果と寸評は以下の通り。 ▽U-23韓国代表採点 GK 1 キム・ドンジュン 5.5 3失点も責任は問えない内容 DF 3 イ・スルチャン 5.5 終始日本の攻撃を抑えていたが最後に息切れ 5 ヨン・ジェミン 5.0 キャプテンとしてチームをけん引したが最後は裏をとられて逆転を許す (→15 チョン・スンヒョン -) 4 ソン・ジュフン 6.0 タイトな守備とクレバーな読みで久保を抑え続けた 2 シム・サンミン 5.5 時おり見せる鋭い攻撃参加は脅威だった MF 22 クォン・チャンフン 5.5 神出鬼没の動きを見せてゴールを記録も終盤は失速 7 ムン・チャンジン 6.5 抜群のキープ力と展開力で攻撃をけん引 6 パク・ヨンウ 6.0 バイタルエリアを広範囲にカバーし、的確なつなぎも見せた 8 イ・チャンミン 6.0 中盤でバランスをとりつつ攻守にわたってチームに貢献 (→11 キム・スンジュン -) 10 ユ・ソンウ 6.0 豊富な運動量でピッチを奔走し、数多くの攻撃に絡んだ FW 18 チン・ソンウ 6.0 フィジカルの強さを活かして起点となり、1得点1アシストを記録 (→9 キム・ヒュン -) 監督 シン・テヨン 5.5 後半途中までは完ぺきな試合運びを見せていたが…… ▽U-23日本代表採点 GK 1 櫛引政敏 6.0 同点に追いついた直後の難しいシュートを上手く処理し、チームを救う DF 12 室屋成 6.0 試合を通して安定したパフォーマンスを披露 4 岩波拓也 6.0 失点にも関与したが試合を通して安定した守備を見せて正確なフィードも見せていた 5 植田直通 6.5 最後まで制空権を譲らず、タイトな守備を見せ続けた 6 山中亮輔 6.0 動き自体はそれほど良くなかったが、値千金の同点弾をアシスト MF 21 矢島慎也 6.0 後半途中から徐々に存在感を示し、1得点1アシストを記録した (→14 豊川雄太 -) 3 遠藤航 5.5 守備面では奮闘したが引っ張られ過ぎる場面も。攻撃面では判断の遅れが目についた 8 大島僚太 5.0 韓国のプレッシングに苦しみに期待された攻撃面ではほぼ何もできず、守備に追われた (→16 浅野拓磨 7.0) 持ち前のスピードを活かして2得点を記録。期待された役割をまっとうした 10 中島翔哉 5.5 韓国のタイトな守備に苦しんだが最後まで運動量を落とすことなく奮闘した FW 11 久保裕也 6.0 幅広い範囲を動いてボールを引き出そうと奔走し、最後まで闘い続けた 20 オナイウ阿道 5.0 韓国のセンターバック陣にボールを収めさせてもらえなかった (→7 原川力 5.5) 何度か良い形で攻撃に絡む 監督 手倉森誠 6.5 成す術のない65分間から一転、浅野の投入で流れを変えて一気に勝負を決めた ★超WS選定マン・オブ・ザ・マッチ! FW浅野拓磨(日本/広島) ▽虎視眈々とスペースを狙い続けた浅野が持ち前のスプリント力を活かして2得点。敗色濃厚となっていたチームを見事に生き返らせた。 U-23韓国 2-3 U-23日本 【韓国】 クォン・チャンフン(20分) チン・ソンウ(47分) 【日本】 浅野拓磨(67分、81分) 矢島慎也(68分) 2016.01.31 02:04 Sun

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