プロABC契約の撤廃を歓迎/六川亨の日本サッカー見聞録

2024.09.27 22:00 Fri
Jリーグを改革している野々村芳和チェアマンがWEリーグのトップに
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Jリーグを改革している野々村芳和チェアマンがWEリーグのトップに
今週はうれしいニュースと残念なニュースが交錯した。

まず、うれしいニュースは24日のJリーグ理事会でプロ選手の「ABC契約」が26年2月から撤廃されることだ。正直、時代に即しているとは言い難い契約がずいぶん長く踏襲されてきた。それがやっと撤廃されることが決まった。

この「プロ選手のABC契約」、導入されたのは1999年のことだった。高卒、大卒にかかわらず、日本人選手はまずプロC契約からスタートする。その際の年俸は460万円で(新卒サラリーマンの月給38万円は当時の物価からすればそれなりの高給だったが、プロとして誇れる数字ではないだろう)、出場試合数に応じてB契約、A契約と更新することができた。
この「プロABC契約」を導入したのは川淵三郎チェアマンだった。当時のJリーグには年俸の上限がなく、それこそJリーグ開幕前は選手の引き抜きを防ぐため、ラモス瑠偉三浦知良都並敏史柱谷哲二北澤豪、武田修宏ら元&現代表を擁するヴェルディ川崎(現東京V)などは“億”という年俸を選手に用意したと言われている。

当然、高卒や大卒の有望選手にも高額のオファーが提示されるようになる。いきなりヨーロッパのクラブに行っても契約できる時代ではない。まずは「Jリーグでプロになる」のがサッカー選手にとって“憧れ”の時代であり、高額な年俸はきわめて魅力的だった。
ただ、そうした栄華も長くは続かない。95年を境にJリーグブームは下り坂を迎え、日本経済のバブルも弾けた。そして97年、Jリーグバブルの頃は「会社の利益が税金で取られるくらいなら選手に還元する」という方針だった清水が経営難に陥り、運営母体だったテレビ静岡が経営から撤退。その後、関係者の努力により地元企業の新スポンサーが短期の約束だったが今日まで支援を続け、いま現在も清水をサポートしている。

清水に限らず、佐藤工業(フリューゲルスのスポンサー)やフジタ工業(ベルマーレ平塚のスポンサー)などゼネコンは業績不振に直面し、V川崎やジェフ市原(現ジェフ千葉)も観客動員に苦しんだ。そして98年10月、横浜フリューゲルスがJリーグから消滅し、窮余の策として横浜マリノスと合併することが電撃的に決まった。さらに11月にはJリーグの隆盛の一翼に担ってきたV川崎から、親会社である読売新聞とグループ企業が撤退することが正式に決まった。日本が初めてW杯に出場したにもかかわらず、だ。

翌99年、危機に直面したJリーグは「身の丈にあった経営」(川淵チェアマン)を提唱していたが、さらに選手の初年度の年俸に「ABC契約」という制限を加えたのに加え、1チームのプロ保有選手を25人に絞り、各クラブには経営状況を開示・報告するよう求めた。これは現在も受け継がれていて、クラブの健全経営の礎ともなっている。

ただし「ABC契約」は施行から四半世紀が過ぎている。その間に多くの選手が海外へ流出し、高卒や大卒で直接海外のリーグへチャレンジする選手も増えてきた。もはや“形骸化”したルールと言っていいだろう。撤廃は自然の流れであり、JFAでの選手登録は「プロ」か「アマチュア」の2種類、プロ選手の最低基本年俸は1200万円、新天地での生活のための支度金(引っ越しなどの費用)は500万円(独身、妻帯者を問わず)で一律化された。

やっと「時代が追いついてきたな」というのが正直な感想でもある。これには長年に渡る日本プロサッカー選手会(JPFA)の働きかけも大きかったのだろう。ただ、導入が26年からというのが気になるところ。会見で野々村芳和チェアマンは「J60クラブのヒアリングは終わっている」としてJ3クラブにとっても負担にならない金額であることを強調していた。たぶんJFLや大学・高校などJFAとの調整もあるのだろう。こちらは一日も早い導入を実現してほしいと願わずにはいられない。

そして残念なニュースは、WEリーグの新理事から女性理事が大幅に減少したことだ。こちらについては機会を改めて私見を述べたいと思っている。

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野々村芳和チェアマンが次期チェアマン、小野伸二氏が新たな特任理事に内定…2期目へ「成果を得ていく大事な2年間に」

Jリーグは26日、臨時理事会を開催。次期チェアマン候補に野々村芳和チェアマン(51)が内定したことを発表した。 今回の臨時理事会では、2023年1月理事会にて発足した役員指名報酬委員会からの答申に基づき、次期チェアマン候補者を含む理事、監事を内定者として2024年度定時社員総会および臨時理事会の議案に含めることを承認。また、チェアマン候補者が承認されることを条件に、2024年度定時社員総会および臨時理事会以降の特任理事、執行役員についても内定者として承認された。 野々村チェアマンは、ジェフユナイテッド市原(現:ジェフユナイテッド千葉)、コンサドーレ札幌(現:北海道コンサドーレ札幌)で選手としてプレー。その後、札幌で社長を務めると、会長にも就任。2022年3月にJリーグのチェアマンに就任した。 その他、理事の候補者としてクラブではいわきFCの大倉智氏、鹿島アントラーズの小泉文明に加え、新任として名古屋グランパスエイトの小西工己氏が内定した。 また、社外有識者としては新たな理事に秋山有子氏(株式会社サンリオ常務執行役員)、藤原弘治氏(株式会社みずほフィナンシャルグループ 特別顧問)、政井貴子氏(SBI 金融経済研究所株式会社 取締役理事長)が内定。監事には、新たに大金直樹氏(東京フットボールクラブ株式会社 取締役会長)が内定した。 さらに、2023シーズン限りで現役を引退した小野伸二氏が特任理事に内定。特任理事には、元日本代表の内田篤人氏、中村憲剛氏らも引き続き内定している。 なお、現職の馬場渉氏、平野拓也氏、森島寛晃氏、榎徹氏は、2024年3月19日(火)に開催予定の定時社員総会終結をもって退任する。 野々村チェアマンは2期目に向け意気込みを語っている。 「Jリーグやサッカーがより良くなるために改革をしてきましたが、ここからは多くの皆さんと改革を共有できている中で、しっかりと成果を得ていく大事な2年間になると思います」 「ただ、簡単に結果が出るわけでもないです。2年間良かったことは、ここだと思ったところに積極的に投資をしたこと。その感覚を持ちながら、投資するための原資をどう持つのかということが大事になってくると思います」 「2つの成長戦略をこれまで以上にしっかり進めながら、クラブ、日本のサッカーが良くなっていると実感できるような2シーズンになればと思っています」 今回の内定者は、3月19日(火)開催予定の定時社員総会および同日の臨時理事会決議をもって正式に決定する。 ◆理事・監事・特任理事 一覧(敬称略) チェアマン:野々村芳和 (公益社団法人日本プロサッカーリーグチェアマン) 理事:大倉智 (株式会社いわきスポーツクラブ代表取締役社長) 理事:小泉文明 (株式会社鹿島アントラーズ・エフ・シー代表取締役社長、株式会社メルカリ取締役会長) ※理事:小西工己 (株式会社名古屋グランパスエイト代表取締役社長) 理事:杉本勇次 (ベインキャピタル・プライベート・エクイティ・ジャパンLLC日本代表) 理事:元榮太一郎 (弁護士ドットコム株式会社代表取締役社長、弁護士法人Authense法律事務所代表弁護士CEO) ※理事:秋山有子 (株式会社サンリオ常務執行役員、グローバルデジタルマーケテイング本部本部長) ※理事:藤原弘治 (株式会社みずほフィナンシャルグループ特別顧問) ※理事:政井貴子 (SBI金融経済研究所株式会社取締役理事長) 監事:鈴木秀和 (公益社団法人日本プロサッカーリーグ常勤監事) 監事:小林久美 (TokyoAthletesOffice株式会社代表取締役、株式会社スポカチ取締役、小林公認会計士事務所代表) ※監事:大金直樹 (東京フットボールクラブ株式会社取締役会長) 特任理事:内田篤人 (公益財団法人日本サッカー協会ロールモデルコーチ、シャルケ4チームアンバサダー) 特任理事:髙田春奈 (公益社団法人日本女子プロサッカーリーグチェア) 特任理事:中村憲剛 (FrontaleRelationsOrganizer) 特任理事:夫馬賢治 (株式会社ニューラル代表取締役CEO) ※特任理事:小野伸二 (OneHokkaidoNexusOrganizer) 2024.01.26 18:40 Fri
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WEリーグチェアを退任する高田春奈氏がメッセージ、女子サッカーの未来へ「素晴らしい夢がある」

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