城福トーキョーの逆襲/六川亨の日本サッカーの歩み

2023.12.04 21:45 Mon
城福浩監督は名門・ヴェルディを16年ぶりのJ1に引き上げた
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城福浩監督は名門・ヴェルディを16年ぶりのJ1に引き上げた
Jリーグは12月3日に全日程を終了し、残すは9日の天皇杯決勝だけとなった。すでに各カテゴリーの優勝チームは決定し、J1リーグの得点王には大迫勇也アンデルソン・ロペスが初の栄誉に輝いた。

そんな23年シーズンでとりわけ印象深いのが、“オリジナル10"によるJ1昇格プレーオフだった。結果は東京Vが16年ぶりにJ1の舞台へ復活を果たした。監督に就任して2シーズン目での快挙に、城福浩監督の招聘は“吉"と出たわけだ。

城福監督の手腕を一言で表すなら「過去の呪縛からの解放」がふさわしい。
読売クラブ、ヴェルディ川崎と続いた伝統で、個人技主体のブラジルスタイルがクラブのアイデンティティとして守られてきた。確かに選手個々の個人技はしっかりしているし、戦術眼も高い。J2リーグで結果を残せず中位に低迷しても、試合内容で圧倒されることはなかった。高い技術があるからこそ、毎年のように主力選手は他チームに引き抜かれていた。

J元年の松木安太郎氏に始まり、小見幸隆氏、ラモス瑠偉氏、柱谷哲二氏、永井秀樹氏ら歴代監督もクラブのOBが多かったため、伝統を変えることは難しかったのだろう。過去の栄光を知っているだけに、路線の変更には抵抗があったはずだ。
そんな伝統を城福監督は2シーズン半でまったく違うチームに作り替えた。城福監督自身、2016年にFC東京の監督に再就任したときは、「人もボールも動く」ムービングフットボールを提唱した。いわゆるポゼッションスタイルである。

しかし16年はACLプレーオフで駒野友一ハ・デソンが負傷離脱すると、その後は中島翔哉も負傷するなど難しい舵取りになった。当時はJ1リーグとACLに加えて、U-23チームがJ3リーグに参戦するなど超過密日程のため、選手のフィジカルはコンディションを調整することがやっとだった。ACLはラウンド16で上海上港にアウェーゴールで敗れ、城福監督も解任された。

しかし昨シーズン、東京Vの監督に就任すると、敵の陣内ではパスをつないでペナルティエリア内への侵入を図るものの、基本は前線からのハイプレス、ハイラインでボールを奪ってのショートカウンターにチームを作り替えた。これはいまのサッカー界のトレンドに沿った、正攻法と言ってもいいだろう。なぜなら神戸や町田も同じスタイルで今シーズンは結果を残したし、昨年のカタールW杯でもアルゼンチンが3度目の世界王者に輝いている。

そんな城福監督が、プレーオフ決勝後の記者会見でヴェルディからオファーがあった際に一度は断ったエピソードを紹介した。

「冬にヴェルディから話をいただいて、断りました。自分がヴェルディに行けるわけないだろうと。おそらく結果が出なければ、あそこ(FC東京)から来たからだろうと言われるのは覚悟していました」

この言葉を聞いて不思議に思った記者もいたのではないだろうか。実は、FC東京関係者の東京Vに対するライバル意識には半端ないものがある。東京Vのクラブハウスで取材していても、FC東京に対するライバル意識はまるで感じられないが、FC東京のクラブハウスへ取材に行く際に、グリーンの持ち物(シューズやジャケットなど)はNGという暗黙の了解がある。それだけ強烈に東京Vを意識している。

城福監督は、そうした因縁も含め、自身の退路を断つ意味でも覚悟を決めて監督に就任したのではないだろうか。そして「夏にもう1度(オファーを)頂いた時には、東京ダービーを再現させれば、Jリーグがもう一度盛り上がると思いました。自分はこのクラブがJ1に上がれば必ずキラーコンテンツになる。このヴェルディがもう1度日本一を争えるチームになるというのは、こんなに素敵なストーリーはないのかなと思っています」と監督を引き受けた理由を明かした。

来シーズンは16年ぶりにJ1で東京ダービーが復活する。さらに町田も加わるので、3チームそれぞれのダービーは何というネーミングになるのか(東京Vと町田は東京クラッシック)。こちらも来シーズンの楽しみの1つと言える。

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「成長を感じられる試合」…東京Vは王者相手のダブル逃すも前回対戦以上の手応えと自信得る

J1連覇を目指す王者との約5カ月ぶりの再戦で引き分けた東京ヴェルディは、勝ち点3を得た前回対戦以上の手応えと自信。そして、さらなる成長に向けた課題を得た。 東京Vは10日、味の素スタジアムで行われた明治安田J1リーグ第36節でヴィッセル神戸と対戦し、1-1のドローに持ち込んだ。 リーグ2連勝で6位に再浮上したチームは、中17日と試合間隔が大きく空いたなか、公式戦4連勝で首位に立つ絶好調の神戸をホームで迎え撃った。 過密日程においても「相当な勢いを持ってくる」と指揮官が戦前の段階から警戒した前半の入りではFW木村勇大がキックオフ直後に見事な個人技でボックス内に侵入し、1分経たずに最初の枠内シュートを記録。機先を制して主導権を握りかけたが、直後の7分には「ああいう拙いところを逃さないのが神戸」と、よりベターな対応もできたなかでセットプレーの流れからDF山川哲史に先制点を奪われた。 それでも、開始早々の失点にも動じることなく直後にはセットプレーからDF谷口栄斗が際どいシュートを見せるなどすぐさま反発力を示すと、以降はハイプレスと中央を締める堅固なブロックの使い分けで、メリハリのある戦いを見せたアウェイチームに対して、チームとして“へそ”と重視する中盤の底でMF森田晃樹、MF齋藤功佑の2ボランチを起点にボールを動かしつつ、3バックの両脇の谷口、DF綱島悠斗の状況に応じたボールキャリー、サイドチェンジを交えながら良い形での揺さぶりをみせて主導権を掌握した。 抜群の危機察知能力を見せたMF井手口陽介、献身的なプレスバックで再三の好守でチームを救ったFW武藤嘉紀に加え、要所を締める神戸のディフェンスラインを前に決定機までは持ち込めなかったが、失点場面を除き優勢な内容で前半を終えた。 後半は引き続き主導権を握りながらも、したたかにプレーを切る王者のゲームコントロール、前半機能した2ボランチとMF見木友哉の3枚をケアされたことで攻撃の停滞を余儀なくされたが、あわよくばカウンターから追加点を奪いたい相手の攻撃は封殺。最少得点差を維持して終盤を迎えると、ウイングバックにアタッカー2枚を並べる攻撃的なメンバー変更に、[4-4-2]への布陣変更と勝負手を打ったなか、91分にはFW山見大登のクロスがゴール前でスクランブルを生み出し、相手DFのオウンゴールによって土壇場で追いつく。 完全に逃げ切りに入っていたなかでの痛恨の失点を喫した神戸に対して、残り時間の勢いの差は明白で、ホームサポーターの熱狂的な後押しを含めて逆転まで持っていく可能性も十分にあったが、右CKからのFW染野唯月のヘディングシュートは枠を外れ、ほぼ数的同数だった木村のカウンターも撥ね返されて1-1のドローに終わった。 王者相手のシーズンダブルを逃したが、指揮官・選手も一様に「なんで勝てたかわからない試合だった」と率直な言葉で振り返った約5カ月前の前回対戦から“個々の成長”、“チームとしての成熟”をテーマに掲げて臨んだ一戦において、これまでの積み重ねの正しさを証明した。 試合後の会見で城福浩監督は「勝ち点1というのは、今日の手応えから逆算したら非常に悔しい」と勝ち切れなかった悔しさを滲ませながらも、「もう一度やらせて欲しい、もう一度やれば絶対に勝ち点3が取れる。そういうふうに思える試合ができた」と、その戦いぶりへの満足感を示した。 「アウェイで1-0で勝ったときには、もう一度試合をやったときに『これ勝てるのか』と、選手も正直ですし我々もいくつかの決定機が相手にあって、我々がゴール前にくぎ付けになるようなシーンというのが、正直アウェイのときはいくつかありました。それでも、1-0で勝てたと…」 「今回は勝ち点1で終わりましたけども、もう一度やらせて欲しい、もう一度やれば絶対に勝ち点3が取れる。そういうふうに思える試合ができた。我々の成長を感じられる試合だったと思います」 「もちろん勝ち点1で終わったことは、必ず理由があるんですけれども、内容的には本当に自分たちのやりたいこと、表現したいことをある程度見せられた。守備もビルドアップのところも含めて、我々が表現したいことはやれたのではないかなと思います」 指揮官同様にキャプテンの森田は相手のストロングと警戒していた中でのセットプレーでの失点、堅守を誇る相手に先制点を与えたゲーム運びの部分での課題に言及しつつも、「前回の試合と比べると、かなり自分たちの時間でゲームを進めることができた」、「後半もぶれずにやれたことで、ああいう得点に繋がって、何とか引き分けに持ち込めた」とポジティブな言葉をミックスゾーンで語っている。 「(前回対戦から)自分たちも成長しているなと思います。メンバーはもちろん相手も変わっていますし、こっちも変わっているところはありますけど、今日みたいなゲームを神戸さん相手にできたのは、チームとしても自信になると思っていますし、収穫の多かったゲームかなと思います」 さらに、神戸の下部組織育ちで古巣相手に前線の起点として奮闘を見せた木村も、「ベースの部分で負けないというのを前提としてトレーニングから積んできた中、今日の方がしっかり同じ土俵で戦えた」と、勝利しながらも歴然とした実力の差を見せつけられた前回対戦から、確実に個人・チームとしてその差を埋められた手応えを実感している。 「神戸相手だからこそベースに目を向けて、ここをもっと高めなければ勝負にならない」と指揮官が戦前に重視した部分では、神戸サイドにFW大迫勇也、DF酒井高徳らの欠場、過密日程による消耗というエクスキューズがあったこともあり、この試合では互角以上に渡り合って見せた。 一方で、今季2度の対戦では奪ったゴールはいずれもオウンゴールで、ボール支配率やパス本数、セットプレーの数では相手を凌駕しながらもシュート数は6本で並び、枠内シュート数で下回るなど、アタッキングサードでの精度、判断の質、チャンスクリエイトの部分は明確な課題に。チームとしてより高みを目指す上で来シーズンへの宿題となった。 その点について指揮官が「あれだけボールを持てたのであれば、もっと決定機を作らなければいけないし、シュートを打たなければいけない」と語れば、森田も「どう崩すかという点で正解はないですが、なるべくチャンスを増やせるようにしたい」と、“決定力”という曖昧な言葉に逃げることなく、チームとしてより多くのチャンスクリエイトが必要だと主張。 最後の仕上げを担う攻撃陣も「ラストパスの部分やクロスに入って行く人数のところは改善していかない(山見)」、「自分たちがボールを持てていると思う時間帯こそゴールにもっと近づけるように(木村)」と改善の必要性を改めて訴えた。 今回のドローによって天皇杯の結果次第で4位までチャンスがあるACL出場権獲得は厳しくなったが、“成長”を重要なテーマに掲げてきたチームは首位チームとの対戦を通じてより高い基準を経験し、残り2試合でのさらなる成長を目指す。 MF綱島悠斗は「どこが自分たちにとってストロングなのかをもっと全員で共有し、どういうサッカーをしたらいいのかという部分はもっと高められる。残り2試合ですけど、そこを改善してより怖いチームに、より強いチームになっていければいい」と、新たな決意を示した。 2024.11.11 20:05 Mon

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「戦犯かヒーローかだった」圧巻のハットトリックで勝利に貢献した川崎Fの山田新、エースとしての責任もある中での3点を自画自賛「カッコ良いと思う」

東京ヴェルディ戦で圧巻のハットトリックを決めた川崎フロンターレのFW山田新が、自身の活躍を振り返った。 30日、明治安田J1リーグ第30節で川崎Fはアウェイで東京Vと対戦した。 今シーズンは苦しいシーズンとなった中、なんとか1桁順位も見える位置まで浮上してきた川崎F。鬼木達監督も今シーズン限りで退任することが決まっており、残り試合もわずかとなっている。 味の素スタジアムでの一戦は壮絶な展開に。主役はキャプテンマークを巻いた山田だった。16分、PKを獲得した川崎Fは山田がしっかりと決めて先制すると、22分にはボックス右からのクロスをファーサイドで待っていた山田がヘッド。相手DFとの駆け引きでマークを外して決め切った。 川崎Fが2点を先行した試合だったが、東京ヴェルディが反撃。前半に1点を返すと、後半はさらに点の取り合いに。東京Vは谷口栄斗が1点を返し追いつくも、川崎Fはファンウェルメスケルケン際、マルシーニョのゴールで勝ち越し。山田はこの2ゴールにも絡む活躍を見せる。 しかし、東京Vの谷口が躍動。セットプレーからハットトリックを達成し追いつくことに。ただ、主役はやはり山田。後半アディショナルタイム4分にロングボールをエリソンが競り勝つと、こぼれ球を左足で強烈に振り抜きゴール。ハットトリックと共に、4-5での乱打戦を制した。 ハットトリックで勝利に導いた山田は試合を振り返り、「自分が失点に絡んだ部分もあったので、戦犯かヒーローかだったので、(点が)取れて良かったです」と、しっかりとヒーローになれたことを喜んだ。 3ゴール共に簡単なゴールではなかったなか、山田はそれぞれのゴールを振り返った。 「(1点目の)PKはマルシーニョとお見合いになってしまって難しくした形でしたが、あそこで焦らずに前を向けたことは良かったと思います。上手くPKをもらえたと思います」 「(2点目の)ヘディングはボールが良かったので、うまくミートできました」 「3点目はエリソンがあそこで競り勝ってくれることを信じて、狙い通りのところにボールを落としてくれて、前を向いた瞬間コースが見えたので、振り抜きました」 圧巻の活躍を見せた山田。実は試合前にエリソンから声をかけられていたとし、2点目以降はハットトリックを狙っていたとした。 「試合前からエリソンに『3点取れ』と言われていましたし、もちろん意識はしていました。2点取っていた時点で3点取らないといけないなと思っていましたが、3点取らなくても勝てる試合ができたと思いますが、自分たちで難しくしてしまって、その中でも自分が勝たせられて良かったです」 このハットトリックで今シーズンのリーグ戦のゴール数を「19」とした山田。20ゴールを目前となった中「ここで固め取りできたことは大きいですし、残り1試合。ACLもありますけど、チームが今一体感あって良い状況なので、自分が得点して勝っていければ良いかなと思います」と、残り試合でもゴールを奪うことを目標だとした。 リーグ戦終盤でありながら、AFCチャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)も並行して行われている状況。「自分はそこまで試合に出ていなかったんですが、それでもかなりトランジットがあったりして大変で、時差もあって、夜中に帰ってきてとか、結構難しい部分もありましたが、勝って帰ってこれたので、チームとして良い雰囲気でやれていて、みんなで1つになれてやっているので、良かったかなと思います」と、結果が出ていることが良い状況に繋がっているとした。 エリソンの言葉については「よく分からないんですけど試合前に3点取れよと。試合に出る前のロッカーで言ってきました。その通りになりました」と、謎の予言を受けていたが、実現できたとした。 また、5点全てに絡んでいる山田。「(ファンウェルメスケルケン際のゴールでは)ああいったところでボールを受けたら、自分がゴールに迎えるのが1番の特徴で、相手にとっても嫌で、自分も怖さを出せると思っているので、あそこでマイナスに入れて、誰かが入ってきてくれれば良いなと思っていました。上手く際君が決めてくれたのが良かったと思います」とコメント。マルシーニョのゴールは「シュートのこぼれもマルちゃんが決めてくれました。自分が枠に飛ばせたことが繋がったと思います。しっかり抑えて打てたことが良かったかなと思います」と、しっかりパフォーマンスが出せたことが良かったとした。 今シーズンは控えのスタートから始まった中、ここまでリーグ戦全試合に出場。シーズン途中からはスタメン出場が増え、3試合連続複数得点などゴールを積み上げてきた。 山田は「フィジカル的な成長ももちろんありますし、メンタルのところでシーズンの戦い方、1試合にフォーカスした戦い方も、これだけ得点が動く中で、自分がしっかり得点を意識して90分間やれたことは、色々今年経験したことでの成長かなと思います」とコメント。自身でも成長を感じるとした中、決定力が上がっていることについても「プロ入ってよりフィニッシュのところは数は多くトレーニングできているので、そこの精度のところは自信がついてきていますし、難しいことよりかは、シュート、フィニッシュのベースができている感覚があります」と、基本的な技術の向上が結果に繋がっていると語った。 今回のハットトリックも右足、頭、左足とそれぞれ違うところでゴールを記録している。「バランスよく取れているシーズンだと思いますし、色々な形から得点が取れるようにトレーニングしてきて、その結果が数字に表れているかなと思います」と、どの形からでもゴールを奪えることに自信を窺わせた。 今日はゴールを取れる予感もあったとし、「ゴールが取れそうな感覚が試合を通してあって、チームがそこまで運んでくれていますし、そこでゴール前に居られれば決められそうだと思って試合を進めていたので、そこで上手く決め切れたと思います」とコメント。川崎Fのエースとしての自覚についても「本当に自分が得点しないと勝てないですし、得点だけじゃなく、自分が良いパフォーマンスを出さないと良い試合ができないです。自分の責任は、去年よりも重くなってきていると思うので、しっかりそれに答え続けられるようにしたいです」と、責任感を持ってプレーを続けているとした。 もちろん、周りの選手のサポートがあってこそ。「立ち位置が違いますし、自分は思い切ってやるだけで、今は自分が引っ張っていかないと思っています」と語り、「ただ、みんなが自分を伸び伸びやらせてくれていますけど、責任も感じています」と語った。 キャプテンマークをつけてハットトリックでの劇的勝利に貢献。山田は「カッコ良いと思います」と自画自賛。「負けてハットトリックにならずに良かったです」と、チームとしても結果が出て良かったとした。 <span class="paragraph-title">【動画】劇的結末!山田新がハットトリックで乱打戦勝利に貢献!</span> <span data-other-div="movie"></span> <script>var video_id ="ABr_b_D3650";var video_start = 0;</script><div style="text-align:center;"><div id="player"></div></div><script src="https://web.ultra-soccer.jp/js/youtube_autoplay.js"></script> 2024.11.30 19:55 Sat
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「勝っていい形で終えたい」東京Vの木村勇大が一足早く迎える今季最終戦へ意気込み「自分の成長した姿をファン・サポーターに見てもらえるように」

東京ヴェルディのFW木村勇大が、一足早く迎える今シーズン最終戦への意気込みを語った。 6位の東京Vは30日、味の素スタジアムで行われる明治安田J1リーグ第37節で13位の川崎フロンターレと対戦する。 この試合はチームにとってホーム最終戦となるが、MF山田楓喜とともに京都サンガF.C.から期限付き移籍で加入中の木村は、12月8日に行われる最終節の対戦相手が保有元の京都となるため、川崎F戦が今季の最終戦となる。 プロ1年目となった昨シーズンは京都、育成型期限付き移籍でプレーしたツエーゲン金沢で思うようなプレーができなかった木村だが、アカデミー時代を過ごした古巣でその才能を完全に開花。 城福浩監督、森下仁志コーチらの厳しくも熱心な指導を受け、開幕から前線の主軸を担うと、第2節の浦和レッズ戦でJ1初ゴール。以降もコンスタントにゴールを重ねると、前半戦だけで9ゴールを記録した。 その後、10試合ノーゴールにスタメン落ちも経験したが、第29節の柏レイソル戦で2桁ゴールを達成。現在は7試合ゴールなしの状況だが、強靭なフィジカルを活かしたボールキープに献身的な守備で好調のチームの前線において抜群の存在感を示している。 この最終戦を前に、木村は35試合10ゴールといずれもキャリアハイを記録した飛躍の1年を回想。 プレシーズンから奈良輪雄太コーチや能城裕哉コンディショニングコーチ、トレーナー陣のサポートもあって元来丈夫だった自慢のフィジカルに磨きをかけ、被ファウル数でリーグ上位、攻守にハイインテンシティを要求されるチームスタイルながら、契約上プレーできない京都戦を除くフル稼働には自身としても手応えを感じている。 「高校のときはケガが多かったですけど、それ以降は少ないタイプではありますけど、これだけ出ることはやっぱりなかったので、不安な部分もありました。うまく自分の体と相談しながらここまでやれていると思います」 「こうやって出続けるシーズンは初めてで、そのなかで連戦とか、いまのように間が空いたりとか、いろんな状況がありましたけど、そのなかでもしっかり試合に向けて心も体も持っていくというサイクルはある程度できてきたと思います。実際ここまでケガなくやれていますし、この次の試合に向けてもいい状態を保てています」 インターナショナルマッチウィークの中断に加え、先週末は天皇杯決勝の開催に伴いリーグ戦がなく、前節のヴィッセル神戸戦から約20日を経て臨む一戦に向けては「強度の高い練習をして、オフを挟んでというところをしっかり繰り返せているので、チームとしても個人としてもコンディションは悪くない」と、調整面では大きな問題はないと語る。 一方で、「チャンスもピンチもあった試合」と振り返った前回対戦(0-0△)、直近では浦和との“45分試合”、ACLのブリーラム戦の連戦を1勝1分けで終えている川崎Fに対して「相手はすごく攻撃的なチームなので、どういう流れになるかわからないですけど、相手も連戦を戦っているという部分でコンディションもいいと思うので、最初の勢いとか入りの部分というところが、勝負を分けると思うので、いい入りができるようにしたい」と、立ち上がりの重要性を説いている。 また、有終の美を飾るべく狙う8試合ぶりのゴールに向けては「ゴール前の入りの部分」をポイントに挙げる。 「意外と最近の試合ではボールが持ててクロスを上げられてという展開があるなかで、なかなかそこに絡めないので、入るのもそうですけど自分の頭を越えた後の折り返しとか、ゴール前の混戦のところ。そこでいかにおいしいポイントに自分が入れるかというのが大事。そういうゴール前の入りとか、ゴールが決められる場所に自分が入れるように、そういうゴール前への入りをこだわりたいです」 「もちろん試合に出ている以上はずっと狙っていますし、そのなかでここ数試合は取れていないので、最後に決めて、個人としてもそれが一番いい形だと思うので、そういう感じで終われるようにゴールにこだわってやりたいです」 最後に、木村は「この1年ですごく成長させてもらいましたし、次の試合が今年緑のユニフォームを着て戦う最後の試合になるので、いい試合にしたいですし、自分の成長した姿をしっかりとファン・サポーターの皆さんに見てもらえるように。あとは勝ってなんぼだと思うので、勝っていい形で終えたいです」と、ホーム最終戦での勝利へ意気込んだ。 2024.11.29 20:42 Fri
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「あの試合から出始めていろいろな成長ができた」東京Vの千田海人が川崎Fとの再戦に臨む

東京ヴェルディのDF千田海人が、J1デビューを果たした川崎フロンターレとの再戦に臨む。 2023年にブラウブリッツ秋田から東京Vに加入した千田は、加入1年目となった昨シーズンにセンターバックのバックアッパーとして16年ぶりのJ1昇格に貢献。 加入2年目となった今シーズンは明治安田J1リーグ第2節の浦和レッズ戦でベンチ入りを果たして以降はベンチ外が続いていたが、4月20日にアウェイで行われた第9節の川崎F戦(0-0△)で、29歳でのJ1デビューを果たした。 その一戦ではJ1屈指のクオリティを誇る攻撃陣を相手に出色のパフォーマンスを披露し、デビュー戦での勝利はならずも今季リーグ戦で初のクリーンシートをもたらした。 この活躍をきっかけにレギュラーを掴むと、夏場に一時ポジションを失ったものの、ここまでリーグ戦25試合に出場。[3-4-2-1]のディフェンスラインの中央で、DF谷口栄斗とともに守備の統率者として安定したパフォーマンスを見せている。 そして、30日に味の素スタジアムで行われる第37節ではキャリアのターニングポイントとなった相手との再戦に臨む。 強靭なフィジカルを生かした地対空の対人戦を最大の特長としながらも、ディフェンスリーダーらしい冷静さを併せ持ち、一喜一憂しない落ち着いた性格の186cmのDFは、J1デビューから7カ月を経ての再戦に向けて「目の前の一試合として戦います」と、あくまで普段通りの意識で臨む構えだ。 とはいえ、3バック変更後初めて対戦し、今季のチームのターニングポイントになったヴィッセル神戸との対戦を引き合いに出しつつ、「個人の話をするのであれば、あの試合から出始めて僕自身も今年の試合のなかでいろいろな成長ができた部分もある」、「個人的な部分も含め結果に結び付けられれば、チームも良くなっていくと思いますし、そこの部分をしっかりとピッチで見せられれば」と、あくまで主語は“チーム”であるものの、川崎Fを相手に個人としても成長を実感できるような試合を見せたいと語った。 その前回対戦からは東京Vが布陣を変更した一方、対戦相手もメンバーの入れ替えに加え、プレースタイルの部分でマイナーチェンジが図られている。 その対戦相手の印象について千田は「低いところでも繋ぐ感じを見せながら、意外とシンプルに前線を使ってくるところは使ってくる」と若干の変化を感じながらも、「フロンターレの良さというところをずっと選手が意識しながらやっているイメージ。ボランチも自由に動いていますし、サイドにもいい選手がいる。そこで自分たちも苦しめられると思うので、しっかり分析しながら相手の良さを消したい。あとはずっと相手のペースにさせず、自分たちがボールを握れる時間帯をたくさん作れればと思います」と、根本的な部分では大きな変化はないとみている。 前回対戦で見応え十分のマッチアップを見せたFWエリソン、後半戦に入って完全にゴールスコアラーとして覚醒し、得点ランキング4位の16ゴールを挙げるFW山田新ら多士済々の相手攻撃陣に対しては「キープ力があり、周りとの関係性もいい。2人とも個人でシュートまで持っていける選手」とその能力の高さを改めて警戒。その上で「しっかりと後ろでコミュニケーションを取りながら対応したい」としている。 一方、攻撃面ではシステム上のミスマッチでの優位性の作り方、攻撃的なサイドバックの背後、切り替えの攻防といった部分がキーになるとみている。 「あまり長いボールを蹴ってこないので、そこのところでの切り替えを高い意識でやらせるのと、しっかりリスクマネジメントをしながら、そこを前の選手にやってもらうというところにこだわっていきたいと思います。あとはサイドバックの裏のスペースをどう使っていくか」 また、直近のホームゲーム3試合では前半の比較的早い時間帯の失点が続いており、チームとしては大きな改善点だ。 その点について千田も「一番大事な時間帯で失点してしまうと、やっぱり試合は難しく進んでしまう。前回も相手のストロングのところでやられているので、ちゃんと全員が危機感を持って対応していくというところを、より一層引き締める必要があります」と、毎試合のことながら入りの改善を訴えた。 最後に、千田はホーム最終戦に向けて「J1に上がって初めての年でどういうふうに終わっていくかということはヴェルディの来年にも繋がると思いますし、そういう部分でこの2試合は大事。サポーターの方にとっては今年の締めくくりだと思いますし、やっぱりいい形で『今年ヴェルディを応援してきてよかったな』、『見ていておもしろいな』とか、何か感じてもらえるような試合やプレーを見せられたらいいなと思うので、最後は勝って終わりたいです」と、ファン・サポーターに勝利を誓った。 2024.11.29 20:00 Fri
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「魂の入ったゲームを」川崎Fとのホーム最終戦に臨む東京Vの城福監督、「このチームの財産」サブ組への思い語る

東京ヴェルディの城福浩監督が、30日に味の素スタジアムで行われる明治安田J1リーグ第37節の川崎フロンターレ戦に向けた会見を実施した。 東京Vは前節、ヴィッセル神戸とのホームゲームを1-1のドローで終えた。昨シーズンの王者相手のシーズンダブル達成はならずも、熾烈な優勝争いの主役を演じる首位チーム相手に堂々たるパフォーマンスをみせ、小さくない手応えを得た。 インターナショナルマッチウィークの中断に加え、先週末は天皇杯決勝の開催に伴いリーグ戦がなく、その前節から約20日と、中17日での開催となった神戸戦に続き長い間隔が空いたなか、今節は13位の川崎Fとのホーム最終戦に臨む。 その中断期間ではサブ組が松本山雅FCとのトレーニングマッチを戦った一方、主力組はトレーニングマッチを行わず、より強度の高いトレーニングとオフを繰り返す形でのコンディション調整となった。 そういった影響もあり、今週行われた紅白戦では残り2試合でのリーグ戦出場を貪欲に狙うサブ組が主力組を圧倒するパフォーマンスを見せたが、それはチームにとっても常日頃からチーム内でのハイレベルの競争を促す指揮官にとっても歓迎すべきものになったという。 「自分たちはちょっとゲームから離れていたので、昨日も紅白戦は本当に久しぶりにやったというか、リーグ戦に出ているメンバーは本当に久しぶりにゲームサイズでプレーをしたので、いろんなものがちょっと見えたというか、しっかりと自分たちが戦える準備という意味ではサブが相当優勢だったので、いい紅白戦の振り返りができました」 16年ぶりのJ1での戦いながら、当初の目標だった残留を早々に成し遂げるなど、終盤戦においてチームとして安定したパフォーマンスを見せた上、負傷による離脱者が極端に少ないこともあり、終盤戦では18人のベンチ入りメンバーも固まりつつある。 通常であれば、控え組のモチベーションやコンディションの維持は難しいが、「日本一のトレーニング」を標榜し、主力組も「このトレーニングをやっていれば成長できる」と口々に語る“エクストラ”と呼ばれる基礎技術の向上や、個々の課題克服を目的としたトレーニングに励む選手たちはブレることなく自身の成長だけに矢印を向け、紅白戦でのパフォーマンスを含めチームに良い刺激を与えている。 その点について指揮官は「今年のチームのストロングのひとつ」と語り、一人のサッカー人としてリスペクトする。 「サッカーというのは、11人しか選手をピッチに送り出せなくて、ベンチには18人しか入れられない。そこに立てない選手が質も量も追い求めて、一生懸命やればやるほど、また入れなかったときの悔しさというのは、僕らが想像できないものがあると思います。もちろんチームには勝ってほしいと思っているし、自分の出番が回ってきてほしいと思っていると思いますけど、いろんなものと戦いながら歯を食いしばってやる。それこそが成長に繋がるというふうに自分で思わないとあれだけできないなと思います」 「もちろんコーチ陣がそこはサポートしながらオーガナイズしていますけど、取り組む姿勢に関しては、このチームのひとつのストロング。彼らを見ていて、先発で試合に出ている選手たちが力を抜けるはずがない。それぐらいの刺激あるいは精神的な緊張感というのをチームにもたらしてくれている存在だと思います」 「できれば、そういう選手たちをピッチに送り込みたいと思いますし、そこはフェアに見てあげたいと思いますけども、少なくともそのチャンスがなかなか巡ってこなくてもやり続けている選手がいるということ。それがあと何節とかに関係なくやり続けられるチームの雰囲気を保てていることというのは、本当に今年のチームのストロングのひとつかなと思います」 そういった日頃からの姿勢、城福監督の就任以降クラブ伝統の巧さ、遊び心のあるプレーに加え、ハードワークや闘う姿勢、泥臭さによって成功を収めているトップチームのスタイルは、下部組織にも影響を及ぼしている印象だ。 とりわけ、先日に行われた『2024Jユースカップ 第30回Jリーグユース選手権大会』で、28年ぶり3度目の優勝を果たした東京ヴェルディユースがサンフレッチェ広島F.Cユース相手の決勝で見せたプレーは、現トップチームの戦いぶりを彷彿とさせるものだった。 城福監督は「自分たちが影響を及ぼしているというような上から目線で言うような立場ではない」としながらも、常にアカデミーの指導者・スタッフに惜しみなくトップチームのノウハウをオープンに公開しているなかで、そういった影響がアカデミー全体にポジティブなものをもたらしているのであれば、一人の指導者としてうれしいことだと、あくまで控えめに語ってくれた。 「自分たちは全部をオープンにしているので、アカデミーのスタッフは練習をいつ見に来てもらってもいいし、ミーティングもいつ出てもらってもいいというふうにしているので、来られるときにはそれこそユースのスタッフやジュニアユースのスタッフもミーティングに参加しています」 「特にフィードバックのときというのは、勝とうが負けようが我々が何を大事にしているかというのはずっと言い続けてきていると。それを聞いてくれているスタッフがいて、(アカデミーの)選手にうまく伝えてくれている部分がひょっとしたらあるのかなと思います」 「我々の戦い方を見て、J2も含めてJ2から上がってきたときの最初の苦戦の仕方とか、そこからアジャストしていくプロセスを見て、アカデミーの選手たちも各々に感じるものがあってくれたらうれしいなと思いますし、彼らが自分で考えて、あるいはスタッフといろんな相談をしながら、個やチームの成長に取り組んでいってくれていると、その部分で我々が刺激のひとつになってくれているということであれば、すごくうれしいことだなと思います」 そういったアカデミーの成功にも刺激を受けつつ、残り2試合では他力本願は承知のことながら「自分たちに矢印を向けてやり続ければ、何かが起こる可能性もあるというのは、みんなわかっている」と、4位フィニッシュで出場権を得られるAFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)も視野に入れながら、勝ち点6獲得を目指す。 順位は自分たちより下位ながらも、クラブ規模、スカッドにおいて格上と言える川崎Fとの対戦に向けては、「個のスキルのレベルは本当に高い」と警戒。 「日本人も外国籍の選手も個のスキルと、特徴というのが明確ななかで、特徴が違うということは出る選手によって、見せる表情が違うというか、サッカーの多く出るシーンというのがちょっと変わってくる。それに合わせられる、そういう選手のストロングを周りが出してあげられるスキルがあるので、ここは本当に注意しないと、フロンターレはどういうふうにポジションを取って、こういうふうにボールを回してくるというふうな決め付けができない。それがフロンターレの強みかなと思います」 会見実施時点でホームゴール裏が完売するなど、ファン・サポーターの大きな期待のなかで戦うホーム最終戦では、ある意味で今季の集大成を披露する戦いとなるが、指揮官は「こういうふうなサッカーができたから、どうぞ見てくださいなんて心境ではない」と、前述の紅白戦や控え組に改めて触れながら、見栄えのいいプレーではなく、あくまで泥臭いプレーで愚直に結果を求めたいと語った。 「紅白戦で言えば、試合の先発で出る可能性の高い選手たちよりも、そうではない色のビブスの方が断然いい。これは2つの見方があって、何かを勝ち取ったとか、もう自分はレギュラーだろうとか、J1で通用するようになったとか。そういう思いでピッチに立てば、それはそういう思いではない選手たちにコテンパンにやられる」 「だから我々はそれぐらいギリギリのなかで試合をしてきているということ。格段に個のレベルが上がって、チーム力が格段に上がったかというと、それはいつも言うように牛歩のごとく前には進んでいますけど、何かをきっかけに何かが緩むと、それはもう途端に落ちる。それぐらいギリギリのところで自分たちがやってきているということを思い出させてくれるのが、サブ組なんですよ。個人的にそれはこのチームの財産だと思います」 「実際に試合が始まって、『そうだったな』と痛い目にあって思い出すのではなくて、その準備のプロセスのなかで我々の練習場のなかで思い出せる。本来それも含めてサポーターに見せたいぐらいですけど、実際にはそこから選ばれた11人や18人しか、我々の意思を見せることはできないわけで、選手たちがそういう思いも汲んで、魂の入ったゲームをしてもらうというところだと思います」 「ホーム最終戦が素晴らしい空気感で終われば、これはまた来年にも繋がることだと思うので、勝って終わるのが一番いい終わり方なので、とにかく勝ち点3を目指したいです」 2024.11.29 18:45 Fri
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2度の2点差追いつくもホーム最終戦飾れず…東京Vの城福監督「相手に火をつけられたところは悔やむところ」

16年ぶりのJ1の舞台で躍進を見せてきた東京ヴェルディだが、ホーム最終戦での敗戦によってわずかに残されていたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権獲得の望みが絶たれた。 東京Vは30日、味の素スタジアムで行われた明治安田J1リーグ第37節で川崎フロンターレと対戦。互いにハットトリック達成者が生まれ、9ゴールが生まれる壮絶な打ち合いに4-5で敗れた。 これで4試合ぶりの黒星となり、今節勝利した4位のガンバ大阪(勝ち点63)、5位の鹿島アントラーズ(勝ち点62)との勝ち点差が広がり、6位以下でのフィニッシュが確定した。 首位のヴィッセル神戸相手に互角の内容で1-1のドローに持ち込み、小さくない手応えを得た前節から約20日の中断期間を経て臨んだ試合。強度の高いトレーニングを継続し各選手のコンディションは決して悪くなかったが、今週の紅白戦でサブ組に圧倒されるなど、戦前から唯一の懸念材料だった試合勘や緊張感という部分が露呈する入りとなった。 今週ミッドウィークにACLエリートでタイのブリーラムとアウェイゲームを戦い、その試合から中3日の過密日程で臨んだ川崎Fが立ち上がりからテンポよくボールを動かすなか、前線からのプレスが嵌らずに押し込まれると、16分にはDF綱島悠斗の不用意なヘディングでのバックパスを奪われた流れからPKを献上。これをFW山田新に決められて、ホームでは4試合連続で前半に先制点を奪われた。 さらに、22分にはDFファンウェルメスケルケン際の右クロスを山田新に今度はヘディングで叩き込まれて2失点目を喫した。 この連続失点を受け、城福浩監督は30分過ぎに綱島を下げてFW染野唯月を投入。[4-4-2]の布陣に変更すると、前半終了間際にはその染野を起点とした攻撃からMF見木友哉のゴールが生まれ、1点ビハインドで試合を折り返した。 良い形で後半に入ったホームチームは立ち上がりにDF谷口栄斗がセットプレーの流れからゴールを奪い、2-2の振り出しに戻す。追いついた勢いを活かして前がかるも、川崎Fの鋭いカウンターから際どい場面も作られると、57分にはファンウェルメスケルケン際、65分には見木へのアフターチャージが流される微妙な判定もあったなか、FWマルシーニョに続けてゴールを許した。 それでも、ホーム最終戦で意地を見せる東京Vは、71分と83分にいずれもセットプレーから谷口が連続ゴール。キャリア初のハットトリックで再び2点のビハインドを追いついたが、どちらがゴールを奪ってもおかしくなかった最終盤の攻防においてGKからのロングボールに競り勝ったFWエリソンのヘディングパスに抜け出した山田新にパーフェクトハットトリックとなる左足シュートを突き刺され、最後は力尽きた。 2度のビハインドを追いつき、後半のパフォーマンスだけを見れば、勝ち点3を獲得してもおかしくない内容ではあったが、やはり入りの部分が悔やまれた。 同試合後の会見で城福監督は「選手は自分たちの持てるものを今日は出してくれた」と選手たちの奮闘を評価した一方、「それが2点取られてからというところが、今日の大きな反省点。自分たちで火をつけてスタートできる。自分たちで火をつけてトレーニングから取り組めるというところを、目指し続けてきているので、相手に火をつけられたというところは悔やむところ」と、受け身となった前半の戦いを悔やんだ。 キャプテンのMF森田晃樹は「最初の2失点は僕たち選手の緩さが出た失点」。見木も「プレスもちょっと甘かったですし、寄せ切るところだったりというのが足りなくて、早い時間に2点ビハインドという本当に苦しい状況を作ってしまった」と、口々に反省の弁を述べた。 一方、前半途中からの投入で気迫のこもった守備からチームに喝を入れ、ビハインドを追いつく牽引車の一人となった染野は「レギュラーの人たちが、もう(自分たちが出ることが)決まっているような感じで練習でもやっていたので、そこは先発組というか、スタメン組は肝に銘じて練習からしっかりやっていかないと、こういう試合になる。そこは危機感を持ったほうがいいと感じていました」と、あえて厳しい表現で戒めた。 2度の2点差を追いつく反発力は不屈のチームメンタリティを示す東京Vの良い部分ではあるが、同じく2点差を追いついた京都サンガF.Cとのホームゲーム(2-2)、3点差を追いついた鹿島アントラーズとのアウェイゲーム(3-3)を含め勝ち点3という結果を得られておらず、来シーズンに上位陣との差を詰めていく上での宿題となった。 また、[4-4-2]へのシステム変更によって流れを変えたが、百戦錬磨の指揮官はそれが質の高い攻撃を誇る川崎Fに対して“諸刃の剣”となることも理解していたという。 同点後も勝ち点3奪取へ攻撃な姿勢を貫いた自身のゲームプランに関して「悔いはない」と明言した城福監督だったが、「(布陣変更は)本意ではなかったですし、3バックで反撃したかった。やはり3バックから4バックに変えると、最後のギリギリのところで、絞り方とか、カバーの仕方というのは数メーター変わる。やはり変えざるを得なかったという状況が、我々の大きな反省点かなと。変えたことで点は取れたとは言えますけど、あの早い時間に変えざるを得なかったというのは大いに反省しなければいけない」と、当初のプラン通りに戦えなかった悔しさを滲ませた。 これで「彼らをアジアに連れていく」という指揮官の「超野心的」な目標は達成できなかったが、城福監督にとっては今回の痛い黒星も来季以降のさらなる躍進への糧になると捉えている。 敗戦後に行われたホーム最終戦セレモニーの締めくくりで指揮官は、「今日は負けてしまい、超野心的な、可能性としては数パーセントしかなかった、彼らをアジアに連れていくというのは、今年は成し得なかった。ただその可能性が今日の試合まであったということは、我々は自信を持っていいと思いますし、今年の成長の曲線を見たら、彼らはもっとやれる。あと1試合、成長の証を見せたいと思います。みなさん、一緒に戦いましょう」と、力強い言葉で新たな決意を示した。 12月8日にアウェイで行われる京都との今季最終節ではこの1年の研鑽の集大成とともに、来季に向けた決意表明となるような城福ヴェルディらしい戦いを期待したいところだ。 2024.11.30 23:00 Sat

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