“超野心的”な目標掲げる東京Vの今季初陣は不完全燃焼の黒星…「清水さんのストーリーのなかでゲームをやってしまった」

2025.02.17 06:30 Mon
今季開幕戦を黒星で終えた城福監督
©超ワールドサッカー
今季開幕戦を黒星で終えた城福監督
“超野心的”な目標を掲げ、2025シーズンの開幕を迎えた東京ヴェルディだが、昨シーズン同様に国立での開幕戦を敗戦で終えることになった。
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東京Vは16日、国立競技場で行われた明治安田J1リーグ開幕節で清水エスパルスと対戦し、0-1の敗戦を喫した。2023シーズンのJ1昇格プレーオフ決勝で相まみえた両雄による因縁深き一戦は、5万2541人の大観衆の前で幕を開けた。
キックオフから数分は開幕戦特有の硬さも見受けられた東京Vだったが、時間の経過とともにボールの主導権を握った。ただ、ミドルブロックで構える清水に対して、全体的な動きの量や変化に乏しく流れのなかではリズムを作れず。それでも、セットプレーからいくつか際どいシーンも作った。

昨季も前半に関しては無失点を最優先にリスクを冒す形は多くなく、リーグトップクラスの運動量と“バトンを繋ぐ”というチームスタイルを武器に、後半勝負の展開も目立った。それゆえにここまでの戦いはある意味想定内だった。
ただ、 37分にMFマテウス・ブエノの捨て気味のミドルシュートで清水にファーストシュートを許すと、少しずつ勢いづいた相手に押し返される。そして、40分には最後尾のDF蓮川壮大に制限をかけ切れず、余裕を持って蹴らせたフィードに反応したDF高木践に背後を取られてボックス右から折り返しを許すと、ゴール前で完全にフリーにしたFW北川航也にヘディングシュートを決められ、先制点を献上。戦前に城福浩監督は相手サイドバックの攻撃参加を警戒する発言をしており、よりダメージを負う失点となった。

ハーフタイムに積極的に交代カードを切ることも多い指揮官だが、後半も同じメンバーを選択。ハーフタイムの修正によって立て直しが十分と判断したが、緊張感からの解放や先制点を奪ったことによる精神的な余裕もあったか、明らかに強度を増したアウェイチームの勢いに苦戦。

守護神マテウスの好守で2失点目は回避したが、思い描いた後半の入りとはならず。これを受け、FW山見大登とMF福田湧矢の両シャドーと左のMF松橋優安を下げてFW染野唯月、MF平川怜、MF新井悠太を3枚替えで投入。染野とFW木村勇大を最前線に配した[3-5-2]に変更した。

清水の3バックへの変更による素早い対応も効いていたが、この試合ではチームの強みでもある運動量とインテンシティで優位に立てる後半半ば以降の攻防で優位性を出せず。逆に、球際の勝負やセカンドへの反応で劣勢を強いられた結果、焦りからくるイージーミスも重なって攻撃が停滞。終盤の[4-4-2]への変更も劇的な効果を生むことなく、0-1での敗戦となった。

横浜F・マリノスに後半終盤の連続失点で1-2の逆転負けを喫した昨季は、チームの志向するスタイルを全面に押し出した上で、経験不足や相手のクオリティに屈した感のある敗戦だったが、今季開幕戦での敗戦は清水のリベンジに懸ける強い想いやハードワークを褒めるべき部分はありながらも、消化不良の感は否めなかった。

勝負は水物であり、経験豊富な指揮官は結果だけを見て一喜一憂するタイプではないが、「今季のヴェルディが何を示したいのか」という所信表明をすべく臨んだ開幕戦におけるパフォーマンスは納得がいくものとはならなかった。

「この試合の特別感というものを、我々も相手に下回らないようにというか、相手を上回れる準備をしてきたつもりですけれど、局面の戦いを含めて清水さんのストーリーのなかでゲームをやってしまったというのは、我々にとって本当に悔しいことですし、僕の準備の至らなさなのかなと反省しています」

2023シーズンの2敗1分けという直接対決の戦績、相手クラブの経営規模、戦前の会見での「我々が受けて立つようなことは絶対ない」という発言。今週の準備期間での選手たちの姿勢を見る限り、チームに昨季J1での6位という驕りや、対戦相手を軽視するような雰囲気はなかったことは断言できる。

それでも、指揮官は「このカードが決まったときに、主役が清水であってはいけないと思っていました。そこは我々のホームなので。メンタル的に清水の選手たちが120%の力を出してくるであろうことは容易に想像がつくことで、我々がJ1に先に上がったから迎え撃つみたいな試合になっては、局面のところで勝てないと思っていました。今日の清水さんのサポーターの数しかり、バスが入ってくるときのオレンジの囲み方しかり。この試合の特別感をはねのけるほどの準備を自分ができなかった」と、勝つための準備が不十分だったと悔しさを滲ませた。

また、城福監督が「今日は特に真ん中の背骨のところ」と攻撃面の苦戦の一因として挙げたセンターラインの攻防の当事者となったボランチの2選手も、指揮官の指摘に同意。

キャプテンのMF森田晃樹は「相手の方が(セカンドボールに対する)準備が早かったと思いますし、そこに対する球際とか、周りの反応というのも僕たちの方が遅かった。今日に関しては守備でも攻撃でも、なかなかそういう際の場面で負けてしまって、なかなかゲームの流れに乗れていなかったという印象は、僕個人として感じています」と反省の弁を述べた。

同じくMF齋藤功佑も「自分たちが目指すところである戦うところや球際、セカンドボールだったりという局面の部分で勝ち切れない。マイボールにし切れないシーンが課題」、「今日は単調な攻撃が多かったかなと。試合の流れ的に背後を狙ってセカンドボールを拾うという時間帯は大事ですけど、“へそ”と言われている中盤の部分を使いながら相手を揺さぶったり、相手を困らせながら攻撃していくというシーンが少なかったかなと感じています」と、攻守両面での課題を口にした。

東京Vにとって今回の開幕戦は結果・内容ともに受け入れがたいものとなったことは間違いないが、昨季も厳しい開幕5戦未勝利、幾つかの屈辱的な敗戦を経験するごとに、その悔しさを新たな血肉として力に変えてきた。

齋藤も「これを本当にいい機会にするというか、僕らが去年戦ってきた強度だったり、モチベーションの部分。この舞台の厳しさというのをもう1回再確認して、気を引き締めようというところは全員で確認できた」と試合後のやり取りを明かし、チームとしてバウンスバックを誓った。

22日に控える次節は湘南ベルマーレとの開幕戦を0-1で落とした鹿島アントラーズと対戦。ホーム開幕戦で鬼木達新体制での初勝利を目指す難敵を相手に、ヴェルディらしさ全開のパフォーマンスと勝ち点3を期待したいところだ。

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東京Vで再起図るFW川﨑修平が意気込み「どん底に一回落ちたので、ここからもう一回はい上がる」

東京ヴェルディにポルティモネンセから期限付き移籍で加入したFW川﨑修平(23)が新天地での再起へ意気込む。 川﨑は大阪府出身で、ガンバ大阪の下部組織育ち。2020年にトップチームに昇格し、2021年夏にポルティモネンセへ完全移籍した。 ポルティモネンセではファーストチームでの出番はなく、2023年にヴィッセル神戸に期限付き移籍。2024年7月からはラトビア1部のヴァルミエラFCに期限付き移籍。トップチームでは公式戦12試合に出場し1アシストを記録していた。 その後、昨年末のタイミングでポルティモネンセへローンバックしたが、保有元のクラブで居場所はなく去就は不透明な状況に。 そんななか、ガンバ大阪U-23時代に指導を受け、現在は東京Vでコーチを務める森下仁志コーチの存在などもあり、今年3月初旬に東京Vに練習参加。10日に行われた清水エスパルスとのトレーニングマッチでは1アシストも記録。同試合後に一度チームを離れたものの再合流し、3月31日付けで期限付き加入が発表された。 なお、Jリーグの第1登録期間(~2025年3月26日)を過ぎての加入発表となったが、クラブ間・個人間の合意に加えて、諸々の申請手続きは期限内に完了し、Jリーグの選手登録も承認。国際移籍証明書(ITC)の問題によって発表のタイミングだけが遅れていた。 晴れて東京Vの一員となった川﨑は2日のトレーニング後に初めて囲み取材に応じ、「僕自身なかなか去年はあまりいいとは言えない環境というか立場でした。ヴェルディでチャンスをもらえるということで、今はすごく向上心というか、野心を持ってやっていきたいなという気持ちでいっぱいです」と新天地での意気込みをまずは語った。 移籍の経緯に関しては同日に行われたクラブハウスの会見にて、城福浩監督がより詳細について以下のように触れている。 「まず彼が非常に難しい立場にいるというのは、我々の人脈の中で掴んでいました。プロ選手としてサッカーに没頭できるような環境というのを探しているという言い方がいいか、そこが非常に不安定な状況だったので、これはもう海外のクラブに所属している以上、そこのルールに逸脱しないようにしっかり確認を取りながら、練習に参加してもらったというのが最初です」 「我々はあくまでも彼の力量をまず見極めたい。このチームで戦力となり得るかどうかをしっかり見極める。そういう時間が欲しかったですし、もちろんそれには彼が何年単位で90分の試合をやっていないとか、直近でどういう体の動かし方をしていたかというのは承知の上で、そのコンディションを見ながら加味しながら、彼がこのチームの戦力となり得る。その素養を持った選手かどうかというのを見極める期間がありました」 「我々の足りないピースを埋めてくれる1人になり得るというふうに判断したので、あとは海外のクラブとの交渉になるので、これは非常に難しい交渉だったと思いますが、強化部がいろいろと奔走してくれて、このチームに登録をするに至った。これはクラブ全体が努力してくれた結果だなと思っています」 また、指揮官は獲得を決断した理由について、「あくまでも大事なのは彼がこのチームの戦力となり得るかどうか。そこはフラットに我々が見たと。コンディションが上がっていくことを前提としてですけれども、十分になり得るという判断をしたということが一番大きい」と純粋にチームの戦力になり得ると判断した。 「(評価しているポイントは)技術。特にゴール前のアタッキングサードの技術は形を持っていますし、簡単にはボールを失わない。フィニッシュも枠を捉えられる力を持っている。アタッキングサードで冷静な判断ができる。そのためのジャストなコントロールができる。そういう技術を持ち合わせているという意味では、なかなか教えられないものを持っているので、早くコンディションを上げてもらって、我々が得点の必要なシチュエーションの時には、すぐにアジャストしてくれるのではないかなと思います」 「ただ、ご存知のように、このチームは交代選手がどういう状況であっても守備をしなくていいということではないので、そこをクリアさえすれば彼の良さというのはチームに活かせると思います」 それに加えて、昨季フィールドプレーヤー序列の最後尾から最終的に重要な戦力の一人となったMF松橋優安を例に挙げて、苦しい日々のなかでサッカー選手としてのハングリーさを前面に押し出す23歳の姿勢がチームにとって良い刺激になると考えている。 「おそらくは去年の松橋優安よりもはるかに難しい立場で、サッカーをやって生活をするということが、どれだけありがたいかを思い知るという言い方がいいか。それを痛感しながらピッチに立つような状況になっている選手の1人。このチームにとっては原点を思い出すのに非常にありがたいです」 「別にそれを利用するわけではないけれども、彼は本当に心底ボールを追いかけられる。それで生活ができることのありがたさを感じていると思いますし、まさにはい上がっていこうというメンタリティを持っている。スタート位置は去年の松橋優安よりも難しい状況だったと認識していますけれども、まさに彼がそういう姿勢を見せてくれることで周りが常に自分たちの原点に立ち返える。それを思い出させてくれる選手の1人になるであろうということも、我々は確信を持てたので、契約する方向でクラブにお願いしました」 初の海外移籍となったポルトガル、昨年の約半年間プレーしたラトビアでは度重なる負傷を含め多くの苦難を経験した川﨑だが、「すべて自分自身の問題。ただ、それを無駄にはしたくないですしそういうのも経験なので、これからですね」と、単なる苦労と受け取ることなく、それを糧に再起へ前を向く。 「海外に行って1年2カ月ぐらいで鎖骨を骨折してヒザもやってしまい、ポルトガルでは1年ぐらいプレーできなかったです。それでも、やるべきことをずっと折れずにやってきました。去年もなかなかいい立場ではなくても諦めずにやっていたというのは、諦めずにやっていれば何かがあるなと思っていたからです。ヴェルディでやらせてもらうチャンスもいただけましたし、そういうどん底に一回落ちたので、ここからもう一回はい上がるという気持ちはずっと持っています」 覚悟を持って加入した新天地では「僕は全然自分からいかないですね」と人見知りではあるものの、森下コーチに加え、G大阪下部組織出身の同期であるMF食野壮磨やG大阪時代の先輩であるMF福田湧矢、中学生の時代から知るFW木村勇大と旧知の存在。コミュニケーション能力に優れる若手の“ガツガツさ”にも救われ、すんなりと馴染めているという。 そして、「僕の一番の出発地点」と語る森下コーチの指導の下、本来の自分を取り戻しつつ、東京Vで自身が足りないと感じる課題を克服したい考えだ。 「そこ(G大阪時代)が僕の一番の出発地点というか、一番そこでやっていたものが、今の自分を作り上げてきたので、また初心に戻って、森下さんのもとでやれるということで、すごくワクワクしています」 「あのときはすごく練習量が多かったですし、あのときをもう一回ここで思い出すというか、ここでやれれば、僕自身また成長につながると思います」 「成長できる部分では走るところでも僕自身はまだまだ足りないと思いますし、そこを伸ばしていきたい。守備の強度であったり、球際でガツンと行くところは自分のものにできる。それも技術だと思うので、巧さや戦う部分は全然足りないなと思うので、伸ばしていけるなと思います」 最後の公式戦はヴァルミエラでプレーした昨年11月が最後。約4カ月ぶりの実戦となった清水とのトレーニングマッチでは1アシストを記録した一方、「あの時は久しぶりのサッカーだったので、あまり僕自身は全く満足いってなかった」と振り返る。 それでも、「ここ最近はやっと練習ができてコンディションも上がってきています。ヴェルディではすごく強度が高くてやれているので、いい感じになっています」と、プレーできる準備は整っている。 現状ではシャドーを主戦場に、ビハインドや同点の状況での途中投入という限定的な起用が見込まれるが、指揮官が新たな攻撃オプションとして期待するアタッカーはサッカーができることの感謝、再起への野心を胸に新天地での活躍を誓った。 「ヴェルディは戦うという基準がすごく高くあるので、そこにプラスして僕が攻撃の良さをチームに加えられたらなと思っています」 「やっぱりゴールやアシスト。結果にこだわってやりたいなと思います」 チームは5日、中2日で行われる3連戦最後の明治安田J1リーグ第9節の横浜F・マリノス戦に臨むが、再起に燃える23歳FWのデビューとなるか。 2025.04.04 18:42 Fri
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「ギリギリのところが勝ち点の分かれ目になる」優勢も3戦連続取りこぼしの東京V、城福監督は2つの課題に言及

東京ヴェルディの城福浩監督が、3戦連続ドローに終わった横浜F・マリノス戦を振り返った。 東京Vは5日、日産スタジアムで行われた明治安田J1リーグ第9節の横浜FM戦を0-0のドローで終えた。 前節、FC東京との東京ダービーでは2度のリードを守り切れずに2-2のドローに終わった15位のチーム。その一戦から中2日で臨んだアウェイゲームでは対戦相手も含め、3連戦最後の疲労感が窺える前半となった。 それでも、15分を過ぎた辺りから球際での優位性や連動性で勝ると、21分にはFW染野唯月の絶妙な右アーリークロスを、FW木村勇大がドンピシャのヘディングシュートで叩き込んだ。しかし、先制かに思われたこの場面は木村のオフサイドを取られてノ―ゴ―ルに。 最低限のゴールレスで折り返した後半は60分に投入したFW山見大登を起点に左サイドを再三攻略したが、その山見のカットインシュートはクロスバーを叩き、よりオープンとなった後半終盤もMF新井悠太の突破などでゴールに迫ったが、最後までゴールが遠かった。 リーグ5試合負けなしもその内訳は1勝4分け。とりわけ、この3連戦では3連勝でもおかしくないパフォーマンス、ゲーム展開を見せただけに、指揮官としては受け入れ難い気持ちは強い。 さらに、一朝一夕での解決は現実的ではないものの、アタッキングサードでのクオリティ、選手層の底上げという課題を改めて実感させられる試合となった。 同試合後、城福監督は「なかなか点が取れない、もどかしいなかでもサポーターが温かくというか、声援してくれたことに本当に感謝します」と、直近のダービー後には珍しくブーイングという形でチームを叱咤したが、今回は鼓舞する声援を送ったファン・サポーターへ感謝の言葉を伝えた。 ただ、試合内容に関しては「やはりペナ周辺のところでの判断」を大きな課題として挙げた。 「もちろん技術もそうですけれども、最後で足を振り切れない。自分が打った方がいいのか、真横の選手のプルアウェイを見逃さないのか。クロスに流れてきたボールを止めるのか、ボールが流れるのか、本当のギリギリのところが勝ち点0なのか、1なのか3なのかというところの分かれ目になる」 「このクオリティを上げるところは、自分たちが今苦しんでいるので、頭の中を整理させることと、技術と判断のスキルのところを上げないといけないと思います。 J1で勝ち点3を取るというのはそういうことだと。彼らの成長をもっともっと促したいと思います」 続けて直近3試合で2試合目のクリーンシートを達成した守備、ビルドアップ、最後の崩しに至るまでのアプローチに改善は見受けられる状況にも、「ここの改善をさらにしていかないと、概ね相手陣でサッカーをやった。概ね我々のやりたいことをやったなんて言いながら、ずっと得点0が続いているというのは、楽観視していない。自分たちが勝ち点3を取るために、ゴール前のクオリティというのをどう上げていくか」と、9戦7得点の攻撃の改善により危機感を示した。 一方の課題はFC東京戦後にも語っていた、育成クラブとしての宿命でもある若手を我慢強く育てながら戦力にしていくという選手層の部分。 東京Vは前々節の柏レイソル戦、FC東京戦では同じスタメンを採用し、今回の試合でもメンバー変更は山見とMF翁長聖に代えてMF福田湧矢とDF宮原和也の2選手を入れ替えたのみ。さらに、山見を60分前後に投入したが、以降の交代は85分以降に一部選手が足を攣るなどアクシデンタルな状況での交代だった。 指揮官は「中2日のなかでもナイターからのデイゲーム。しかも連戦の3試合目なので、本来で言えば、先発も含めてもっと新しいフレッシュなメンバーを出していけるような状況というのを作らなければいけない」とその選手層について再び言及。 「85分を過ぎてからの交代はベンチのなかで、2度、3度交代させるメンバーが変わりました。足をつっている選手が連戦のなかで出てきて、こちらの攻撃的な選手を入れる思惑のなかで、交代カードが2、3回変わったというのは、もともと出続けている選手をやり切らせるのか、もっとフレッシュな選手を入れられるかというのは、もっと選手の力が拮抗していれば判断が早かったと思いますが、ここは自分の力のなさ」 「まだ早い時間から攻撃バージョンで、勝ち点1の状況でも早い時間から送り出せるような状況をチームでまだ作れていないので、我々も辛抱強くやりますし、もちろん今日早く出たかった選手たちが悔しい思いをしていると思うので、彼らのピッチの上での様子というのとは、しっかり見極めたいなと思います」 16年ぶりのJ1での戦いとなった昨季も、序盤戦は1勝6分け2敗と勝ち切れない状況が続いた東京V。今季ここまでも2勝4分け3敗とほぼ同じ滑り出しだが、昨季同様にここからの成長によって状況を好転できるか。 2025.04.05 21:11 Sat

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「次のステップに行くため」ブレイクスルー期す東京VのFW木村勇大、神戸戦へ「ここでひとつ自分が変わるためにも頑張りたい」

東京ヴェルディの背番号10が古巣対戦でのブレイクスルーを期す。 東京Vは前節、3連戦の最終戦となった明治安田J1リーグ第9節の横浜F・マリノス戦を0-0のドローで終えた。 この3連戦では2試合でクリーンシートと開幕からの課題だった守備に関して改善が見受けられ、いずれの試合でも勝ち点3を得てもおかしくない内容ではあった。だがしかし、3試合2得点と攻撃面ではアタッキングサードでの精度・判断の質に課題を残した。 そんななか、1勝4分けで5戦無敗の13位のチームは4試合ぶりの白星を目指し、12日に味の素スタジアムで行われるJ1第10節では1試合未消化ながら16位に低迷するヴィッセル神戸と激突する。 京都サンガF.C.から期限付き移籍で加入した昨季はJ1初ゴールを含めキャリアハイの10得点を記録し、東京Vの6位フィニッシュに貢献したFW木村勇大。 今季はチームとともに序盤戦で悔しい思いをしたが、第5節のアルビレックス新潟戦で待望の初ゴールを記録すると、以降はゴールこそ奪えていないものの、攻守両面で徐々に昨季の躍動感を見せ始めている。 ゴールレスドローに終わった横浜FM戦でも最終的に際どいオフサイドで“幻”にはなったが、会心のヘディングシュートでゴールネットを揺らす見せ場も作っていた。 「次はゴールになってほしい」と語った木村だが、「ちょうどライン間で自分が浮いていたので、そういう状況をいかに作れるか。次の試合も相手に捕まらないように浮きながら狙い続ける。クロスへの入り方というのも意識し続けて狙っていきたい」と、プレシーズンから取り組む形のフィニッシュに少なからず手応えを感じている。 3連戦ではほぼフル稼働ながら、関西学院大学の同期で長期離脱中のFW山田剛綺の想いも背負って、より意識を高めるハードワーク、守備面の貢献は試合ごとに高まっている。 「きつい部分もありますけど、自分はあまり休み過ぎると体が重くなるので、連戦の方がいいですね。最後にかけてコンディションも上がっていった」と今後の連戦に向けても頼もしいコメントを残した185cmのストライカーは、「もちろん好きではないですけど…」と偽らざる本音を口にしながらも最前線で攻守にチームを牽引する覚悟も芽生えている印象だ。 「一回スタメンを外れて、(山田)剛綺が頑張る姿を見て、自分は点を決めることに力を注ぎたいという考えがやっぱりありましたけど、このチームでサッカーをやる限り、まず守備でというところ。チームのためにやるしかないので、そこの意識はすごく上がっています」 「走行距離とかを見てもすごく(数値が)上がっていて、チームのために戦い続けるなかでチャンスが来ると思うので、それを信じてハードワークしたい。戦う姿勢を見せるというのは、後ろに勇気を与えることにもなると思いますし、そういう姿勢がどこかでボールをゴール前で呼び込むと思うので、それを信じてやり続けます」 良い守備から良い攻撃というチームコンセプトをより深く理解し、ひとつ殻を破った感のある緑の背番号10は、指揮官がチームとして課題に挙げる得点力不足解消に向けてもブレイクスルーを期す。 昨季のブレイクによって開幕から相手の徹底マークを受けており、相手を背負っての鋭いターンからの推進力あるプレーはここまで鳴りを潜める。加えて、今季のレフェリング基準の変更の影響もあってか、不可解なオフェンスファウルや明らかなファウルを見逃されるケースも散見され、木村自身も「結構フラストレーションは溜まっています」と思うところはあるという。 それでも、「次のステップに行くため」と改善を示す守備同様に、攻撃に関しても意識の部分でポジティブな切り替えが意識できている。 「もちろん対策されていますし、相手もそれをさせないような距離感で守ってきたりとか、入れ替われる瞬間にファウルで止められたりとかという部分が多い。対策されるのは去年の自分の活躍が認められているということだと思うので、そこを上回れるように、ファウルでも止められないぐらいの馬力を身につけたい。そういう対策を上回れるというのが、次のステップに行くためだと思っています」 「去年だったら浮いていたポジションでも、今年は絶対にDFが1人ずっと付いてきていたりとか、自分に入ったときのカバーとプレスバックとかもすごく速いですし、明らかにそういう部分は感じますけど、そこを超えてこそ。そこに対する打開策も考えつつ、自分の良さを失わないようにしつつ、すごく難しいですけど、ここでひとつ自分が変わるためにも頑張りたいです」 得点を奪う上では個人としての改善だけでなく、チームとしての共通認識、連携の精度を高めていくことも重要。 「絶大な信頼を持っています」と今季初ゴールに横浜FM戦の決定機を演出したFW染野唯月とのホットラインに加え、ここに来てボランチで存在感を示すMF平川怜、中学時代に関西のトレセンで共演経験もある新加入のFW川﨑修平とのより良い関係性の構築も図っている。 「(平川は)ボールを持てる選手なので、彼がフリーで前を向いたときには必ず動き出せるようにしたいですし、それが彼に選択肢を与えることにもなる」 「彼(川﨑)もパスを出せる選手で、感覚的にも近い部分がある。一緒に出た際には彼の良さを引き出せるように、自分も引き出してもらえるように、そこはやっていきたいなと思います」 決意新たに今季2点目、チーム4戦ぶりの白星を目指す神戸とのホームゲーム。 ヴィッセル神戸U-12、U-15とアカデミー時代を過ごした古巣対戦に向けて木村は「もちろんクオリティがあるチームなので、チャンスは余計に減ると思いますけど、どうにかして決められるチャンスを、自分としてもチームとしても作っていければと思います。守備のところは引き続きしっかりハードワークして失点をなくせるようにしていければ。ワンチャンスが来たらモノにできるように準備したいです」と、恩返しの一発を狙う。 2025.04.11 17:05 Fri
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【明治安田J1第9節まとめ】町田が首位浮上、広島は勝ち点で並び2位に! 岡山はホームで無敗継続の4勝目、鹿島は「27」でホーム無敗がストップし首位陥落

5日、6日にかけて明治安田J1リーグ第9節の10試合が各地で行われた。 <h3>【鹿島vs京都】壮絶撃ち合いは最後にドラマ</h3> 首位の鹿島アントラーズ(勝ち点16)はホームに7位の京都サンガF.C.(勝ち点12)を迎えた。ホームで26戦無敗の鹿島は前半にレオ・セアラが2ゴールを決めてリードを奪う。 しかし、後半に入ると京都が反撃。61分に奥川雅也にゴールが生まれるとエースのラファエル・エリアスが2ゴールを決め逆転に成功。鹿島の無敗が止まるかと思われたが、後半アディショナルタイムに師岡柊生がネットを揺らし同点。引き分けに終わるかと思われたが、京都がカウンターからラファエル・エリアスのハットトリックとなるゴールで勝ち越し。3-4で京都が勝利し、鹿島はホーム無敗が「27」で止まると共に首位から陥落した。 <h3>【岡山vsFC東京】岡山のホーム無敗継続!ゴラッソで4勝目</h3> 9位のファジアーノ岡山(勝ち点11)は16位のFC東京(勝ち点8)をホームに迎えた。昨シーズンからホームでの負けなしが続く岡山。今季は3勝2分けでJ1での勝利は全てホームという状況だ。 試合はこう着状態が続きゴールレスで後半へ。すると47分、松本昌也が右サイドから崩してネットを揺らすが、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が介入。長時間のチェックとなる際どいシーンだったが松本がオフサイドと判定され、ゴールは認められない。 落胆してもおかしくない岡山だったが、61分に相手の最終ラインでのもたつきを見逃さないと、田部井涼がボックス外から浮き球を胸トラップし左足でダイレクトシュート。これがGKの頭を越えてネットを揺らすJ1初ゴール。このゴールで1-0で岡山が勝利を収めた。 <h3>【柏vsG大阪】小泉佳穂のゴールを守り抜きウノゼロ勝利</h3> 5位の柏レイソル(勝ち点13)はホームに12位のガンバ大阪(勝ち点10)を迎えた一戦。勝ち点差3の中での対決となった中、柏が試合のペースを握る。 ゴールレスで試合は進んでいく中で、それでもホームの柏が主導権を握ると65分に待望のゴール。左サイドから崩すと、熊坂光希の縦パスが相手に当たりこぼれ球になるも、垣田裕暉が相手DFを背中で押さえると、福岡将太が突いたボールを小泉佳穂がダイレクトシュート。これが決まり柏が先制し、そのまま1-0で勝利を収めた。 <h3>【横浜FCvs清水】昨季のJ2優勝争い対決は横浜FCに軍配</h3> 18位と苦しむ横浜FC(勝ち点7)と8位と上位を追いかける清水エスパルス(勝ち点11)の対決。昨シーズンはJ1昇格を争った両者のJ1での戦いは、固い展開となる。 前半は強風の影響もあり、互いになかなか良い形を作れない展開に。清水は32分、ボックス手前でパスを受けた乾貴士がミドルシュートを放つが左ポスをに嫌われる。 ゴールレスで迎えた後半、50分に浮き球のパスに抜けたルキアンから繋ぐと、福森晃斗のクロスを山田康太がニアでヘッドで合わせて横浜FCが先制。清水は同点を目指すがなかなかゴールが遠い展開に。1-0で終わるかと思われたが、後半アディショナルタイム7分に左からのクロスを櫻川ソロモンがヘッドで決めて勝負あり。横浜FCが2-0で勝利を収めて降格圏を脱した。 その他、サンフレッチェ広島はセレッソ大阪に2-1で勝利し、2位に浮上。川崎フロンターレとの対戦で引き分けたFC町田ゼルビアは首位に浮上した。一方で、降格圏の横浜F・マリノスは東京ヴェルディと引き分け脱出ならず。湘南ベルマーレに敗れた名古屋グランパスも再び降格圏に転落することに。未勝利で最下位だったアルビレックス新潟がヴィッセル神戸に勝利したものの最下位脱出ならず。それでも勝ち点差がグッと縮まり、下位も上位も混戦状態となっている。 <h3>◆明治安田J1リーグ第9節</h3> ▽4/5(土) 横浜F・マリノス 0-0 東京ヴェルディ ▽4/6(日) ファジアーノ岡山 1-0 FC東京 【岡山】 田部井涼(後16) FC町田ゼルビア 2-2 川崎フロンターレ 【町田】 岡村大八(前34) 西村拓真(後8) 【川崎F】 エリソン(前16) 河原創(後28) 横浜FC 2-0 清水エスパルス 【横浜FC】 山田康太(後5) 櫻川ソロモン(後45+7) ヴィッセル神戸 0-1 アルビレックス新潟 【新潟】 長谷川元希(前12) アビスパ福岡 1-0 浦和レッズ 【福岡】 岩崎悠人(後23) 鹿島アントラーズ 3-4 京都サンガF.C. 【鹿島】 レオ・セアラ(前18、前30) 師岡柊生(後45+2) 【京都】 奥川雅也(後16) ラファエル・エリアス(後35、後37、後45+5) 柏レイソル 1-0 ガンバ大阪 【柏】 小泉佳穂(後20) 湘南ベルマーレ 2-1 名古屋グランパス 【湘南】 福田翔生(前10) 鈴木雄斗(前45) 【名古屋】 稲垣祥(前45+5) サンフレッチェ広島 2-1 セレッソ大阪 【広島】 新井直人(前18) 荒木隼人(後41) 【C大阪】 ルーカス・フェルナンデス(前15) <span class="paragraph-title">【動画】田部井涼の衝撃ゴラッソがJ1初ゴール</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet" data-media-max-width="560"><p lang="ja" dir="ltr"></a> <a href="https://t.co/vxLmEC5DXS">pic.twitter.com/vxLmEC5DXS</a></p>&mdash; DAZN Japan (@DAZN_JPN) <a href="https://twitter.com/DAZN_JPN/status/1908752526528168406?ref_src=twsrc%5Etfw">April 6, 2025</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> <span class="paragraph-title">【動画】小泉佳穂がダイレクトで右足一閃</span> <span data-other-div="movie2"></span> <blockquote class="twitter-tweet" data-media-max-width="560"><p lang="ja" dir="ltr"><a href="https://twitter.com/hashtag/DAZN?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#DAZN</a> LIVE配信中<a href="https://twitter.com/hashtag/J%E3%81%BF%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%9C?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#Jみようぜ</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/J%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B0?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#Jリーグ</a><a href="https://twitter.com/hashtag/%E6%9F%8FG%E5%A4%A7%E9%98%AA?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#柏G大阪</a> <a href="https://t.co/snPXMWuH4o">pic.twitter.com/snPXMWuH4o</a></p>&mdash; DAZN Japan (@DAZN_JPN) <a href="https://twitter.com/DAZN_JPN/status/1908786061284958466?ref_src=twsrc%5Etfw">April 6, 2025</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> <span class="paragraph-title">【動画】仕上げはラファエル・エリアス、首位・鹿島のホーム無敗を「27」で止める</span> <span data-other-div="movie3"></span> <blockquote class="twitter-tweet" data-media-max-width="560"><p lang="ja" dir="ltr">エリアス、エリアス、エリアス!<br><br><a href="https://twitter.com/hashtag/J%E3%81%BF%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%9C?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#Jみようぜ</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/J%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B0?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#Jリーグ</a><a href="https://twitter.com/hashtag/%E9%B9%BF%E5%B3%B6%E4%BA%AC%E9%83%BD?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#鹿島京都</a> <a href="https://t.co/svL6VOq2rO">pic.twitter.com/svL6VOq2rO</a></p>&mdash; DAZN Japan (@DAZN_JPN) <a href="https://twitter.com/DAZN_JPN/status/1908795009476026793?ref_src=twsrc%5Etfw">April 6, 2025</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2025.04.06 18:15 Sun
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「エリキに恩返しできてホッとしました」名誉挽回の決勝点に安堵の神戸MF汰木康也、「ここからゴールやアシストでチームを助けたい」

苦境のチームに今季3勝目をもたらす決勝点を挙げたヴィッセル神戸のMF汰木康也だが、歓喜よりも安堵の想いが強かった。 神戸は12日、味の素スタジアムで行われた明治安田J1リーグ第10節で東京ヴェルディと対戦し、1-0で勝利した。 前節、開幕から唯一の未勝利で最下位に沈むアルビレックス新潟に0-1で競り負け、波に乗れない序盤戦の戦いが続いた2連覇中の王者。昨季の対戦ではいずれもオウンゴールによって1分け1敗の未勝利だった難敵相手に2戦ぶりの白星を目指した。 試合は開始早々の2分にビッグチャンス。右サイドを完璧に崩してポケットを取ったFWエリキからの折り返しは中央のFW大迫勇也には合わずも、ファーでドフリーの汰木に繋がる。だが、ゴールへ流し込むだけでいい右足のイージーフィニッシュを枠の左に外し、痛恨の決定機逸となった背番号14は思わずピッチに突っ伏した。 先制を逃したものの、球際の勝負で優位性を手にした神戸は決定機には至らずも押し込む展開を続けたが、この試合でも最後の崩しの問題を露呈。前半終盤にかけて押し返されると、MF福田湧矢とDF綱島悠斗に2度の決定機を許したが、DF山川哲史のゴールカバー、オンフィールド・レビューの末のオフェンスファウルでのゴール取り消しによって事なきを得た。 すると、0-0のイーブンで折り返した後半立ち上がりの51分に再びのビッグチャンス。中盤で続けて球際を制してMF宮代大聖が中央突破。一気に局面を変えると、左に流れてスルーパスを受けたエリキが冷静に中へ折り返すと、これに反応した汰木が右足ダイレクトシュートを今度はきっちりゴールネットに突き刺し、名誉挽回の今季初ゴールとした。 その後、チームはしたたかにウノゼロでの逃げ切りを図ったなか、相手をゴールから遠ざけながら時計を進めて数的優位を手にした後半終盤も見せ場を作らせることなく敵地で1-0の勝利を収めた。 同試合後、ミックスゾーンで取材に応じた汰木はチームを勝利に導いた喜びよりも、試合序盤の決定機逸を猛省。さらに、ポジション相手のライバルではあるものの、自身の2度の決定機を演出したブラジル人FWへの感謝の言葉を並べた。 件の開始直後の決定機逸について「ショックすぎて思い出したくないなと。当てるだけだったんですけど、めっちゃ力んでいました」と苦々しい表情で一言。試合序盤で挽回のチャンスは十二分にあったものの、「周りの選手も結構ポジティブな声をかけてくれたんですけど、ちょっと引きずっていました。切り替えようとはしていたんですけど…」と、正直にその後のメンタル面にも影響があったことも認めた。 それでも、ハーフタイムには前半のプレーを冷静に振り返りつつ、「みんながちょっと受け身になっていたので、気持ちを入れ直すというか、自分たちが今までやってきた球際だったりゴール前の堅さとか迫力を、もう一回みんなで確認し合いました」と気持ちを切り替えられた点が殊勲の一撃に繋がった。 そのゴールシーンに関しても「落ちついてはいないですね」と余裕がなかったことを明かした左ウイングだったが、チームとしても個人としても理想的な形で奪えたと手応えも口にした。 「自分も(宮代)大聖もたぶん本来のポジションではないローテーションをして、あのシーンは(右ウイングの)エリキが左にいて自分たちが中にいた。でも、本当にうちの強みというのは誰がどこにいても前に出ていく推進力だったり、ゴールに向かっていく迫力。みんなが湧いて前に出ていくようなシーンだったと思います」 「自分が最終的にあの真ん中でフィニッシュという、サイドに開いているだけではなくあそこにいるということも意識しているので、そういう前に出ていく迫力というのは、ゴールに繋がったと思います。本当にどうにかエリキに恩返しというか、なんとかして返さないとなという気持ちはあったので、よかったです。ホッとしました」 今季は開幕直後に負ったケガの影響で1カ月半近くの離脱を経験したものの、先月末の鹿島アントラーズ戦で戦列復帰を果たすと、直近3試合ではいずれも先発出場。 「ケガがどうしても長くて自分のフィーリングで言うと、まだ100%ではないような気もしています」と自身の現状にも触れたが、自身を含めて多くの負傷者が続出した厳しい序盤戦を総力戦で乗り越えたチームに報いるべく、ここからの巻き返しを誓う。 「離脱期間も長くて、僕だけではなくて、チーム全体でケガ人がすごく多い時期もありましたが、なんとかチーム全員で乗り越えて、耐えてくれていたので、ここからは自分がゴールやアシストだったり、攻撃の部分でチームを助けられればなと思います」 「数字というのはここ数年こだわってと言っていますけど、厳しく言えば、今日の1点目みたいなシーンは余裕を持って決められないといけないし、ゴール前の迫力と最後のところの余裕というか、自然体でというか、そういうところもゴールを重ねていければ、自然にできるように自信を持てる。ああいうシーンを外しちゃうと、消極的になりがちなんですけど、あれを外しているので、『もう外してもいいや』ぐらいの怖いものがないぐらいの形で、ゴール前にどんどん入っていければと思います」 これで今季3勝目を手にした神戸。29歳MFは「まだまだ」と自身を含めチームが昨季の水準を取り戻せていないことを認めるが、原点回帰も窺わせる内容での今回の勝利が今後の浮上のきっかけになると感じている。 「勝利で本当にチームは変わるので、これをきっかけにもっとヴィッセルらしい相手が何もできずに、自分たちが走ってボールを拾って前に出ていくというプレーをもっとできると思います」 「毎試合、みんなモチベーション高く試合に入っていますし、負けた試合がみんなモチベーションが低かったわけでもないし、本当に細かいところで運が相手に傾いたりとか、ゴールに入っちゃったりとか、そういう部分で流れは変わる」 「ただ、そういうところをなるべく自分たちに手繰り寄せるには細かい球際のところだったり、相手よりも少し一歩走るところだったり、そういうのをやってきたからヴィッセルは去年も一昨年もタイトルを獲得できて、今の立ち位置にいる。そこをもう一回思い出そうという確認はみんなでしていました。ここから自信を持ってチーム全体でいい方に乗っていけばいいのではないかなと思います」 なお、「前線の全員でゴールとアシストを伸ばしていけるような関係が一番理想」と前線のポジション争いを歓迎する汰木は、「エリキにはしっかりとアシストで返せればなと思います」と今後の試合での恩返しアシストも誓っている。 <span class="paragraph-title">【動画】名誉挽回となった汰木康也の今季初ゴール!</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet" data-media-max-width="560"><p lang="ja" dir="ltr">ゴール前での完璧なパスワークからの得点!<br><br>カウンター攻撃からパスを受けたエリキの<br>折り返しを <a href="https://twitter.com/hashtag/%E6%B1%B0%E6%9C%A8%E5%BA%B7%E4%B9%9F?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#汰木康也</a> が冷静にゴールへ流し込み<br>神戸が先制点を獲得!<br><br>明治安田J1第10節<br>東京V×神戸<br><a href="https://twitter.com/hashtag/DAZN?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#DAZN</a> 無料ライブ配信<br><a href="https://t.co/z6JQ8Fhk4t">https://t.co/z6JQ8Fhk4t</a><a href="https://twitter.com/hashtag/J%E3%81%BF%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%9C?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#Jみようぜ</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/J%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B0?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#Jリーグ</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/%E7%84%A1%E6%96%99%E3%81%A0%E3%81%9E%E3%83%BC%E3%82%93?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#無料だぞーん</a><a href="https://twitter.com/hashtag/%E6%9D%B1%E4%BA%ACV%E7%A5%9E%E6%88%B8?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#東京V神戸</a> <a href="https://t.co/HYL0cGbFhJ">pic.twitter.com/HYL0cGbFhJ</a></p>&mdash; DAZN Japan (@DAZN_JPN) <a href="https://twitter.com/DAZN_JPN/status/1910956545535258835?ref_src=twsrc%5Etfw">April 12, 2025</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2025.04.13 13:37 Sun
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新たな課題も出て6戦ぶり敗戦の東京V…危機感は抱きながらも前向きに反攻誓う

東京ヴェルディがリーグ戦6試合ぶりの敗戦を喫した。 12日、東京Vは味の素スタジアムで行われた明治安田J1リーグ第10節でヴィッセル神戸と対戦し0-1で敗れた。 手応えと明確な課題を自覚した3連戦での3試合連続ドローを4試合ぶりの白星に繋げるべく臨んだ2連覇中の王者とのホームゲーム。 MF汰木康也のシュートミスに救われたものの、開始直後に左サイドを完璧に崩されていきなりピンチに晒されると、以降は要所を締める守備で失点こそ回避したが、自陣からなかなか出られない守勢の時間帯が続いた。 それでも、FW染野唯月の鋭いミドルシュートなど徐々に反撃態勢に入ると、32分にはDF綱島悠斗のフィードでうまくハイラインの背後へ抜け出したFW木村勇大のボックス内での粘りからボックス中央のMF福田湧矢にビッグチャンスが舞い込んだが、福田の右足シュートはゴールカバーに入ったDF山川哲史の圧巻のブロックに阻まれ、痛恨の決定機逸に。 さらに、前半終盤には左CKから綱島がゴールネットを揺らしたが、オンフィールド・レビューの末にGK前川黛也へのオフェンスファウルでノーゴール。前半アディショナルタイムに綱島が放った強烈なミドルシュートも好守に阻まれ、先制点には至らず。 すると、前半同様に後半立ち上がりの51分には中盤でのデュエルに続けて負けて局面を打開されると、FWエリキの丁寧な折り返しを中央に走り込んだ汰木に右足で蹴り込まれて先制を許した。 以降はFW山見大登、新天地デビューのFW川﨑修平らの投入で攻勢を強め、裏抜けした山見が決定機にも絡んだが、老獪な試合運びを見せた王者相手に徐々にトーンダウン。86分には綱島が2枚目のイエローカードで退場となり、2試合連続無得点でリーグ6戦ぶりの黒星を喫することになった。 ボール支配率やデュエルの勝利数では勝者に分があった一方、決定機の数ではほぼイーブン。決して悲観すべき内容ではなかったが、この敗戦によって直近の3試合連続ドローが4試合未勝利というネガティブな捉え方に変わってしまった感もある。 同試合後の会見で城福浩監督は「最初の入り以外は悪い試合ではなかった」、「すべてで神戸が上回っているかと言えば、そうは思わない」と冷静に分析しつつも、戦前から警戒していた神戸が突き詰めるベーシックな部分で上回られたと悔しさを滲ませた。 「球際の体を入れる反応の速さとか強さで神戸さんに上回られた。そんな印象を持ったゲームでした。最初の入り以外は悪い試合ではなかったと思いますし、我々にも決定的なチャンスがいくつかありました」 「後半立ち上がり6分で点を取られた後は、もっともっと押し返したかったですけど、そこの球際のところで、サッカーはどうしてもルーズボールがあるので、そこの強さで神戸さんとの差を埋めていかなければいけないなと改めて思いました」 「ボールを持てたときに我々が狙いとする攻撃というのができそうな予感がありましたが、やはり局面のところが多いサッカーのなかで、そこが負ける割合が多いと、なかなか難しい試合になる。ここは自分たちが埋めていかなければいけない差なのかなと思います」 さらに、指揮官は最後の精度、選手層の底上げに加え、新たな課題として球際・切り替えといったファンダメンタルの向上を挙げ、日常のところからさらなる成長を求めた。 「やはりイーブンボールを、最低五分五分で我々のボールにしなければ、そこはリーグのなかでもおそらく(神戸は)一番強いチームなので、そこが追いつけるようにはしなければいけない。サッカーの志向が違うので、すべてをというよりもあの局面に関しては、我々が追いついていくような鍛錬をしなければいけない」 「(球際の勝負で勝っていくには)ひとつは日常の強度のところを、さらに上げていかなければいけない。筋力的な能力の差を埋めるというよりは、そこは高めていきながらも、予測の部分や自分たちのボールを保持しながら、失った瞬間にどういうふうにその五分五分のボールをマイボールにしていくか」 失点場面での綱島の対応に関して「アグレッシブに行くところとマークを受け渡して自分のポジションに戻るところの判断は、もう一度見返してみないとわかりませんけど、非常にもったいないシーンだった」と言及したものの、今後の再戦を考慮して細かい部分の言及を避けた城福監督。 一方で、DF林尚輝は指揮官同様に球際での劣勢を認めながらも、今季ここまでは比較的足元で繋ぐチームやモビリティ型の前線で背後を狙うチームとの対戦が続いたなか、ロングボールとセカンドを強調する相手に対して、チームとしてうまくアジャストし切れなかったと感じている。 「ラインを高くすることも求められながら、それを実行していくなかで、個々のマッチアップとか、そういったところで勝っていかないと、セカンドボールを含めて厳しい。相手の良さを引き出してしまったなという感覚があります」 ディフェンスラインとしてはマッチアップが明確な状況において良い守備ができた感触があったものの、FW大迫勇也やファジーな立ち位置を取ったエリキらの対応に手を焼いたところが大きかったという。 「最初の立ち位置の関係性もあって、自分の視野外から対応しないといけないシーンが多かったですし、特にロングボールに関してはサイドに流れていくので、自分が競りに行くというか、カバーリングがメインになっていて、そのマッチアップのところではあまり自分の良さを発揮できなかったです」 「ロングボールを主体に攻めてくる相手に対して、まず競るところもそうですし、その競ったあとに拾われるというシーンは数多くあったので、そこで相手のペースになってしまった。球際のところとかの質はもっと上げていかないとダメですし、そこでの勝負というのが今後も試合のキーになると思っているので、次の試合に向けて自分たちがもう一回取り組まないといけないところかなと思っています」 攻撃陣では個人として前線で奮闘した木村は「前半は特に決定機やゴールが入ったシーンも含めてかなりあった。そこで決め切れないと、神戸のような相手には負けるよなという感じを表したゲームだと思います」と、自身を含め改めて自分たちの時間帯に決め切る重要性を訴えた。 続けて後半の失点後になかなか押し返すことができなかったゲーム運びに関しても「ああいうふうに先制点を奪われて相手に押し込まれた時間帯でどうするかというのは、チームとしてもっとやらないと。退場したなかでどういうゲーム運びに持っていくかというのもピッチのなかで話し合ってやらないとダメだと思うので、そういうところはまだ甘さが出たかなとは思います」と、より突き詰めていく必要があると語っている。 この敗戦によって開幕10試合の戦績は2勝4分け4敗の勝ち点10と、勝ち点では昨季の10ポイントと並んだ。 現状では豊かな伸びしろを持つ若きスカッドの成長が、相手の研究・分析を上回ることができていない。 それでも、開幕を迎える前から厳しい2年目を覚悟していたチームは現状の苦戦を真摯に受け止めつつ、ここからの巻き返しへ魂を燃えす。 林は「今日勝てば負けずに勝ち越せたというゲームになりますし、今日負けてしまったので、勝てなかった4試合というふうに評価されると思っています。ただ、自分たちは次に向けてやるしかない。負けはもう負けなので、 はっきり切り替えるというのは、自分たちがまた反発していくのに重要なこと」と、リバウンドメンタリティを強調。 木村も「去年より対策されて難しいゲームのなかで、勝ち点をもっと取れたはずのところを落としたりというゲームが、ここ最近は非常に多い。そういうところで取れないとズルズルと下にいってしまうと思いますし、逆にそこをちゃんと拾えるようになれば、去年みたいにまた上を向いていける」、「1試合1試合を大事に、そういうところは意識するだけで変わらないと思うので、ピッチのなかでもっとすり合わせてやっていきたい」と、危機感は抱きながらも前向きに反攻を誓った。 2025.04.13 17:07 Sun
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【J1注目プレビュー|第10節:東京Vvs神戸】ともに気になる不発の攻撃陣、フィニッシュのクオリティがカギ

【明治安田J1リーグ第10節】 2025年4月12日(土) 15:00キックオフ 東京ヴェルディ(13位/10pt) vs ヴィッセル神戸(16位/9pt) [味の素スタジアム] <h3>◆目指せ4試合ぶりの勝利【東京ヴェルディ】</h3> 現在3試合連続ドロー。今季はまだ2勝しか挙げられていない状況だ。 2年目のJ1で苦しみも味わっている東京V。失点の多さも数字上は気になるが、第2節の鹿島アントラーズ戦の4失点を除けば2失点が2試合という状況で、崩れているとは言えない。 課題は攻撃面。ここまで9試合7得点という状況で、無得点が4試合。ゴール前のクオリティと精度を上げなければいけない状況だ。 ポゼッションを上げている中で、フィニッシュワークをどう結果に繋げるか。強力な神戸の攻撃陣をどう抑えていくのかも気になるところだ。 ★予想スタメン[3-4-2-1] GK:マテウス DF:綱島悠斗、林尚輝、谷口栄斗 MF:宮原和也、齋藤功佑、平川怜、新井悠太 FW:染野唯月、山見大登 FW:木村勇大 監督:城福浩 <h3>◆攻撃陣の停滞をどう解消する?【ヴィッセル神戸】</h3> 前節は国立競技場でアルビレックス新潟と対戦した中で0-1で敗戦。相手にシーズン初白星を献上してしまう手痛いゲームとなった。 連覇中の王者としては不甲斐ないシーズンとなっている今季。16位と低迷し、降格圏との勝ち点差は「1」。試合数が少ないとはいえ、らしくない戦いとなっている。 守備に関しては複数失点は8試合中1試合。ただ、無得点は4試合、複数得点は2試合と攻撃陣が不発に終わっている。 引いて堅く守る相手を崩しきれていない状況。東京Vがいつも通りハイプレスをかけてくるならば背後を、引いてくるならばどうこじ開けるのか注目だ。 ★予想スタメン[4-3-3] GK:前川黛也 DF:広瀬陸斗、山川哲史、マテウス・トゥーレル、酒井高徳 MF:井手口陽介、扇原貴宏、宮代大聖 FW:武藤嘉紀、大迫勇也、汰木康也 監督:吉田孝行 2025.04.12 12:35 Sat

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