28歳で初代表を射止めた遅咲きの点取屋。10月シリーズで上田綺世・小川航基との競争に挑む/大橋祐紀(ブラックバーン)【新しい景色へ導く期待の選手/vol.50】
2024.10.04 16:00 Fri
「若手であれ、ベテランであれ、明らかに結果を出している、そして存在感を発揮しているのであれば、誰にでもチャンスがあるということを大橋(祐紀=ブラックバーン)選手の招集を通じて、日本代表として世界の舞台で戦いたいと選手に思ってもらえると嬉しい。我々のスカウティングの目はイングランドであればプレミアリーグだけでなく、2部のチームも見ているということだ」10月3日の2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選・サウジアラビア(ジェッダ)・オーストラリア(埼玉)2連戦のメンバー発表会見。日本代表の森保一監督は28歳で初めて抜擢した遅咲きFWについてこう言及した。
確かに今の代表は指揮官自身が率いた東京五輪世代が中心で、それより若い2001年生まれ以降のパリ五輪世代を積極的にメンバー入りさせようという機運が強まっている。そういった中、28歳のストライカーを抜擢するというのは異例の出来事。それだけ大橋祐紀の最近のインパクトが大きかったということだろう。
大橋という選手は1996年生まれ、千葉県松戸市出身。柏エリアで優れた少年を数多く育てている柏イーグルスからジェフユナイテッド千葉のジュニアユースに進み、高校時代は千葉県の強豪の一角を占める八千代でプレー。そこから中央大学へ進学し、4年だった2018年には関東大学サッカーリーグ2部で21得点をマーク。チームの優勝と1部復帰に貢献している。
その活躍が湘南ベルマーレのスカウトの目に留まり、2019年からプロキャリアをスタート。だが、1年目の2019年はJ1・5試合出場1ゴール、コロナ禍の2020年は同7試合出場無得点となかなか実績を残せず苦労した。
そこで先にブレイクしたのが町野。2022年に凄まじい勢いでゴールを重ね、カタールW杯の日本代表滑り込みを果たす傍らで、大橋は2ゴールにとどまった。目覚ましい躍進を遂げた仲間の姿を目の当たりにし、「自分も結果を出せば全てが変わるかもしれない」と感じた部分は少なからずあったのではないか。
そのチャンスが巡ってきたのが、2023年後半。町野がキールに移籍するや否や、大橋は湘南のエースに君臨。8月以降に10点をマークし、一気に注目度を高めたのだ。
類まれな得点感覚と潜在能力に目を付けたのが、サンフレッチェ広島のミヒャエル・スキッベ監督だ。「点を奪い、一気に存在感を高めると、今季頭には広島へ移籍。ミヒャエル・スキッベ監督は「大橋は昨季、我々のアウェー・湘南戦で広島相手に点を取っている。ウチから点を取れば、広島に来ることができるし、伸び伸びとサッカーができるんじゃないのかな」と笑っていたが、2024年に彼を獲得し、開幕から積極起用。ゴールラッシュにつなげることに成功した。
前半戦だけで11得点というのは、なかなかできることではない。この時点で大橋が代表候補と位置付けられたのは間違いないだろう。それをさらに加速させたのが、今夏赴いたイングランド2部・ブラックバーンでの活躍だ。ここまで8試合4ゴールというのは、海外移籍1年目では特筆すべき結果。森保監督も今季からドイツ・ブンデスリーガ1部に昇格し、好発進している町野と比較し、どちらを選ぶかかなり悩んだはずだが、「今は大橋の方が必要」という判断を下したのだろう。
ただ、大橋にとって代表定着はやや高いハードルかもしれない。これまで年代別代表経験がなく、共闘したことがあるのは元同僚の大迫敬介くらい。人見知りな性格もあって、すぐさま代表に馴染めるかどうかも不安視されるところだ。
しかも、今の代表には上田綺世(フェイエノールト)と小川航基(NECナイメンヘン)という主軸FWがいる。指揮官は上田をエースと位置付けており、小川のことももともと東京世代の点取屋として高く評価していた。本来の能力が発揮されたのはオランダ移籍後だが、今は「代表で十分やれる」と前向きに見ているはずだ。
それに加えて、サイド兼任の前田大然(セルティック)がいるのだから、大橋がFW陣に割って入ろうと思うなら、よほどの強烈なインパクトを残さないといけない。「短期決戦の代表活動で力を出し切る」というのは、本当に困難なテーマなのだ。
ただ、この1年の大橋を見ていると、ここ一番の勝負強さや決定力の高さは信頼できる。それを代表の舞台で出せれば、未来への道も開けてくるだろう。28歳の代表新人が今回、チームに何をもたらすか。そこに注目しつつ、最終予選前半の山場2連戦を注視していきたい。
文・元川悦子
確かに今の代表は指揮官自身が率いた東京五輪世代が中心で、それより若い2001年生まれ以降のパリ五輪世代を積極的にメンバー入りさせようという機運が強まっている。そういった中、28歳のストライカーを抜擢するというのは異例の出来事。それだけ大橋祐紀の最近のインパクトが大きかったということだろう。
その活躍が湘南ベルマーレのスカウトの目に留まり、2019年からプロキャリアをスタート。だが、1年目の2019年はJ1・5試合出場1ゴール、コロナ禍の2020年は同7試合出場無得点となかなか実績を残せず苦労した。
浮上のきっかけをつかんだのは2021年。31試合に出場し、4ゴールとキャリアハイの数字を残したのだ。この数字は当時のチームメート・、町野修斗(ホルシュタイン・キール)と全く同じで、2人がほぼ同列だったことを示している。
そこで先にブレイクしたのが町野。2022年に凄まじい勢いでゴールを重ね、カタールW杯の日本代表滑り込みを果たす傍らで、大橋は2ゴールにとどまった。目覚ましい躍進を遂げた仲間の姿を目の当たりにし、「自分も結果を出せば全てが変わるかもしれない」と感じた部分は少なからずあったのではないか。
そのチャンスが巡ってきたのが、2023年後半。町野がキールに移籍するや否や、大橋は湘南のエースに君臨。8月以降に10点をマークし、一気に注目度を高めたのだ。
類まれな得点感覚と潜在能力に目を付けたのが、サンフレッチェ広島のミヒャエル・スキッベ監督だ。「点を奪い、一気に存在感を高めると、今季頭には広島へ移籍。ミヒャエル・スキッベ監督は「大橋は昨季、我々のアウェー・湘南戦で広島相手に点を取っている。ウチから点を取れば、広島に来ることができるし、伸び伸びとサッカーができるんじゃないのかな」と笑っていたが、2024年に彼を獲得し、開幕から積極起用。ゴールラッシュにつなげることに成功した。
前半戦だけで11得点というのは、なかなかできることではない。この時点で大橋が代表候補と位置付けられたのは間違いないだろう。それをさらに加速させたのが、今夏赴いたイングランド2部・ブラックバーンでの活躍だ。ここまで8試合4ゴールというのは、海外移籍1年目では特筆すべき結果。森保監督も今季からドイツ・ブンデスリーガ1部に昇格し、好発進している町野と比較し、どちらを選ぶかかなり悩んだはずだが、「今は大橋の方が必要」という判断を下したのだろう。
ただ、大橋にとって代表定着はやや高いハードルかもしれない。これまで年代別代表経験がなく、共闘したことがあるのは元同僚の大迫敬介くらい。人見知りな性格もあって、すぐさま代表に馴染めるかどうかも不安視されるところだ。
しかも、今の代表には上田綺世(フェイエノールト)と小川航基(NECナイメンヘン)という主軸FWがいる。指揮官は上田をエースと位置付けており、小川のことももともと東京世代の点取屋として高く評価していた。本来の能力が発揮されたのはオランダ移籍後だが、今は「代表で十分やれる」と前向きに見ているはずだ。
それに加えて、サイド兼任の前田大然(セルティック)がいるのだから、大橋がFW陣に割って入ろうと思うなら、よほどの強烈なインパクトを残さないといけない。「短期決戦の代表活動で力を出し切る」というのは、本当に困難なテーマなのだ。
ただ、この1年の大橋を見ていると、ここ一番の勝負強さや決定力の高さは信頼できる。それを代表の舞台で出せれば、未来への道も開けてくるだろう。28歳の代表新人が今回、チームに何をもたらすか。そこに注目しつつ、最終予選前半の山場2連戦を注視していきたい。
文・元川悦子
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「まだ改善すべきことが多い」2ゴールで勝利貢献の大橋祐紀、自身よりもチームを第一に「最も重要なのは3ポイント」
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日本サッカー協会(JFA)は7日、2026年の北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選に向けた日本代表メンバー27名を発表した。 2次予選を首位で通過した日本。最終予選はグループCに入り、オーストラリア代表、サウジアラビア代表、バーレーン代表、中国代表、インドネシア代表と同居した中、9月には中国代表(7-0)、バーレーン代表(0-5)と大勝での連勝スタートを切り、10月にはサウジアラビア代表(0-2)に勝利、オーストラリア代表(1-1)とドローとなったが、単独首位に立っている。 15日(金)にアウェイでインドネシア代表(3pt/5位)と、19日(火)にアウェイで中国代表(3pt/6位)と対戦する。 森保一監督の下で2度目のW杯、8大会連続8度目の出場を目指す日本。セルティックで今季6ゴールを記録している古橋亨梧が2023年11月以来1年ぶりの復帰に。また、橋岡大樹(ルートン・タウン)が6月以来の復帰となった。前回はケガで不参加となったDF高井幸大(川崎フロンターレ)も復帰している。 その他は10月のメンバーと同様。DF望月ヘンリー海輝(FC町田ゼルビア)、DF関根大輝(柏レイソル)、負傷離脱したFW上田綺世(フェイエノールト)が外れている。 今回発表された日本代表メンバーは以下の通り。 <h3>◆日本代表メンバー27名</h3> GK 大迫敬介(サンフレッチェ広島) 谷晃生(FC町田ゼルビア) 鈴木彩艶(パルマ/イタリア) DF 長友佑都(FC東京) 谷口彰悟(シント=トロイデン/ベルギー) 板倉滉(ボルシアMG/ドイツ) 町田浩樹(ユニオン・サン=ジロワーズ/ベルギー) 橋岡大樹(ルートン・タウン/イングランド) 瀬古歩夢(グラスホッパー/スイス) 菅原由勢(サウサンプトン/イングランド) 高井幸大(川崎フロンターレ) MF/FW 遠藤航(リバプール/イングランド) 伊東純也(スタッド・ランス/フランス) 南野拓実(モナコ/フランス) 古橋亨梧(セルティック/スコットランド) 守田英正(スポルティングCP/ポルトガル) 大橋祐紀(ブラックバーン・ローバーズ/イングランド) 鎌田大地(クリスタル・パレス/イングランド) 三笘薫(ブライトン&ホーヴ・アルビオン/イングランド) 小川航基(NECナイメヘン/オランダ) 前田大然(セルティック/スコットランド) 旗手怜央(セルティック/スコットランド) 堂安律(フライブルク/ドイツ) 田中碧(リーズ・ユナイテッド/イングランド) 中村敬斗(スタッド・ランス/フランス) 久保建英(レアル・ソシエダ/スペイン) 藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン/ベルギー) 2024.11.07 14:08 Thu4
「ザックさんは元気でした」岡崎慎司氏が元日本代表指揮官とブラジルW杯以来の再会! 再結集も呼びかけ「いつかザックジャパン集ろう」
元日本代表FW岡崎慎司氏がかつての指揮官アルベルト・ザッケローニ氏と久々の対面を果たした。 清水エスパルスでプロ入りし、ドイツやイングランド、スペインと海外のトップリーグでもプレーした岡崎氏。日本代表でも歴代3位の50ゴールを記録したが、身体が限界を迎えたことから2023-24シーズン限りで現役を引退した。 そんな元ストライカーは、7日に自身のSNSを更新。2010年8月から2014年のブラジル・ワールドカップ(W杯)まで日本を率いたザッケローニ氏との再会を報告した。 2023年2月には自宅で転倒し、意識不明の重体となったザッケローニ氏だが、「皆さん、ザックさんは元気でした」と健在を伝えた岡崎氏。当時通訳を務めた矢野大輔氏の助けを借りながら、イタリア・チェゼナーティコで食事をともにしたようだ。 ザッケローニ氏とはブラジルW杯以来の再会となり、「正直選手の時にちゃんと話をした記憶がなくて、ただとにかく色んなポジションで使ってもらいました」「色んな話を聞かせてもらいました」とのこと。「ブラジルワールドカップが本当に悔しかったんだと感じました」「本気で日本代表の監督をしてくれていたんだなと嬉しくなりました」と感想も伝えている。 さらに、「いつかイタリアでも日本でもいいのでザックジャパン集ろう」と発信。「当時のメンバーが引退するまでもう少し待たなきゃいけないかな?」とも付け加えたが、ブラジル行きを叶え、グループステージで散った仲間たちの集結を望んでいる。 この投稿には「懐かしい」「お元気そうでよかった」「ザックジャパンは特別」「たくさんの夢をもらった」とザッケローニ氏や当時を懐かしむ声が。また、「ザックジャパン同窓会お願いします!」「ぜひ見たいです!」「写真楽しみにしています」と再結集にも期待が寄せられている。 <span class="paragraph-title">【写真】10年の時を経て岡崎氏とザッケローニ氏が2ショット</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="instagram-media" data-instgrm-captioned data-instgrm-permalink="https://www.instagram.com/p/DCD-NzZMeSA/?utm_source=ig_embed&utm_campaign=loading" data-instgrm-version="14" style=" background:#FFF; 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