「理想のメンバー」U-22日本代表を率いる冨樫剛一監督、残留争い中の選手派遣を感謝「感謝の一言では表せられない」

2021.10.19 21:10 Tue
©超ワールドサッカー
U-22日本代表を率いる冨樫剛一監督は、19日にAFC U23アジアカップウズベキスタン2022予選に臨むU-22日本代表メンバー23名を発表した。

2022年6月にウズベキスタンで開催が予定されている同大会。日本は、10月26日にカンボジア代表と、28日に香港代表と対戦し、本大会出場を目指す。

これまでU-20日本代表のトレーニングキャンプを数回実施し、今月はU-22日本代表のトレーニングキャンプも実施。数名の入れ替えがあったが、10月のトレーニングキャンプのメンバーが中心となった。
冨樫監督はメンバー発表後にオンライン取材に応じ、今回の23名を選んだ理由を語った。

「アジアの戦いというのは、どんな相手でも非常に難しい中で、自分たちが強いチームとして戦うためにはどうしたら良いのか。影山(雅永)監督と作り上げたU-20のベースを持っているので、そこに対してプラスになるU-22の選手というのを考えて選ばせてもらいました」
今回の試合は、Jリーグが開催されている中での大会となるものの、チームで主軸を担っている選手も招集されている。この点については「シーズン中という状態にも関わらず、私たちの活動を理解していただいて、協力していだたいたチームがたくさんありましたので、自分が思うこのポジションにこの選手がという理想通りのメンバーになりました」と語り、クラブの協力に感謝した。

リーグ戦以外に天皇杯を戦うチームがある他、残留争い、優勝争いのチームがあり、シーズン佳境のタイミングという難しい状況でも協力してくれたクラブはある。

「もちろん、このタイミングなので、色々な状況があると思います。ただ、自分はキャンプを2回経て選んでいく中で、この23名は理想のメンバーが呼べたと思います」

「本当に、感謝の一言では表せられないぐらいに思っています。より国際試合を彼らに良い状態で経験させて、チームに戻って還元してもらいたいなと思います」

今年行われた東京オリンピックは開催国のために予選がなく出場したが、2024年のパリ・オリンピックは予選を突破しなければならない。

今回の予選2試合については「どの相手もサッカーは戦ってみないとわからないので、良い入り方をしなければいけないです。対戦相手の情報もなかなか得られないので、自分たちは日本代表として強いものをピッチの上で出せればと思います」と語り、しっかりと戦わなければいけないと語った。

今週末のリーグ戦を終えて来週にいきなり試合となる中、選手たちが合わせる時間は少ない。それでも冨樫監督は「代表選手として集まってすぐ試合というのはこれから上のカテゴリーに行けば当たり前だと思います」と語り、「U-20に向けて3年間築き上げてきたもの、アンダー世代から築き上げてきたものが土台にあって、実際2回、U-20、U-22としてトレーニングキャンプができたので、自分としてはやってきたことを試合で出せるのかなと思います」と語り、これまでやってきたことをベースにしながら、戦いたいと語った。

この予選に求めるものについては「今回もポット2でこの予選に割り振られているので、言ってみれば上から戦えることも全く感じていませんし、実際に日本でこの大会を引き受けていただけたことで、これだけのメンバーが集まれたので、その辺りの緩みはなく、むしろこの国際試合を戦える喜びを選手もスタッフも感じていて、間違いなく良い試合ができると思っています」と語り、チャレンジャーとしてしっかりと戦いに挑むとした。

通常は次の五輪世代であるU-20世代が中心となるが、今回はMF郷家友太(ヴィッセル神戸)やDF山原怜音(筑波大学)など、U-22世代が入っている。上の世代の選手たちに期待することは「前回のトレーニングキャンプに入る前に彼らと話もしました。彼らは今のメンバーよりも2年も3年も経験をしているのでピッチで出して欲しいということ。ピッチ外の部分も、彼らをスカウティングしていて、普段通りの振る舞いをしてもらえればプラスになると思っています」と語り、「年上だからというということもなく、良い雰囲気の中トレーニングをしてくれました。スムーズにチームに溶け込めたと思います」とコメントした。

一方で、MF中村仁郎(ガンバ大阪ユース)、DFチェイス・アンリ(尚志高校)らU-18世代など飛び級の選手もいる。若手に関しては「我々がアンダー世代から積み上げてきたものがあるからこそ、飛び級をスムーズに行えている。U-18のトレーニングキャンプで良いプレーをしたからこそ、ここに入ってきて勝負ができている」と語り、「大人になれば年齢は関係ないので、そういった経験をしてもらえればと思います」と、A代表を見据えれば年齢で区切ることはないとした。

今回U-22世代を入れた理由については、代表活動の少なさが理由だという。

「オーバーエイジという言い方が正しいかわかりませんが、彼らを選んだ理由というのは、この大会で彼らを選ばなければ、次いつ日本代表に絡めるかが読みづらいです」

「その中で、彼らに国際経験をしてもらうには、この大会に何人かを選出することで、この先のA代表につながっていることを感じてもらうことがまず1つ。アジアのどのようなチームに対しても、日本がしっかりと強いチームであるということを示すためにも、U-22の選手が必要だったということが1つです」

また、今回の試合にはロールモデルコーチとしてU-20日本代表のトレーニングキャンプに参加していた元日本代表DF内田篤人氏が参加する。その点については冨樫監督が要望したと明かし、経験を伝えてもらいたいと語った。

「私が監督をやらせてもらうに当たって、内田コーチも是非一緒にやらせて欲しいと言ったのは、彼とU-20の活動をしてきて、非常に細かいところに気配りができるということです」

「彼が持っている経験は、国際試合、アジアの戦いに向けて、気の緩みのないようなチームが作れる役割が彼の中では非常に大きいと思います」

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東京五輪を想定した戦い、U-24日本代表の横内昭展監督「持っている力を全部吐き出して欲しい」

U-24日本代表の横内昭展監督が、26日に控えるU-24アルゼンチン代表との国際親善試合に向けて前日会見に出席した。 東京オリンピック世代でもあるU-24日本代表は、久々の国際試合となり、活動自体は昨年12月の国内合宿以来となる。 今回のメンバーには、海外組やA代表組も招集され、東京オリンピックに向けて改めてスタートする重要な2試合となる。 コロナ禍の中での活動となり、今回の試合実現に向けては多くの調整がなされた中、横内監督は冒頭「この親善試合を行えることに対して、色々な方にご尽力をいただき、開催できることに感謝いたします」とコメント。「U-24日本代表は親善試合を久しぶりに行います。東京オリンピックに向けて貴重な2試合を戦うので、精一杯、アルゼンチンに対して良いゲームができればと思います」と語り、感謝の気持ちを述べるとともに、重要な準備の2試合にしたいと語った。 南米予選を1位で通過し、東京オリンピックに出場するアルゼンチンと戦うが、試合で試したいことについては「久しぶりの活動の選手もいますし、もう一度みんな集合して、昨日初めて全員が揃ってトレーニングができました」とコメント。「アルゼンチンに向けて自分が持っている力を全部吐き出して欲しいと思っています。それによって色々なことが見えてくると思います」と語り、約4カ月後に控える本大会前に確認作業を行いたいと語った。 その日本代表だが、南米勢との対戦となると2019年11月のU-23コロンビア代表戦が最後となる。当時は完敗を喫したが「あの試合以来の選手もいますし、今回来た選手たちは活動は少なかったですが、各クラブでしっかりポジションを取った選手がほとんどです」とコメント。「コロンビア戦の時よりも個々が成長していると思うので、チームとしてどう活かせるか。選手組み合わせも考えながら、痛い敗戦だったので、そこを思い出しながら、その痛みをチームで共有して臨みたいです」と語り、当時のことを反省しながらも、1年経過した選手たちの成長を楽しみにしていると語った。 さらに今回は、2試合を中2日で移動も伴って行われ、本大会を想定したスケジュールとなっている。2試合については「もちろん中2日で移動もある2試合なので、東京オリンピックを見据えたスケジュールではありますが、まず明日の試合をやってみて、それから2戦目のことを考えたいと思います」とコメント。「まずは明日の一戦に集中してやりたいです」と、初戦に集中すると語った。 また、リカバリーなどについては「夢フィールドから東京スタジアムまで移動だったりとかは結構かかります。本戦の時もその可能性はあるので、食事やミーティングをいつにするとか、普段の形とは時間の差が出てくるので、それに対して選手には体感してもらってみたいと思います」とスケジュールとして普段の活動とは違うアプローチをしているとのこと。「試合が終わって中2日で北九州はちょっと遠いですが、移動でのストレス、疲労を見られるのは良い機会かなと思います」とし、全てをテストしたいと語った。 このチームは3バックをベースに[3-4-2-1]で戦ってきた中、12月の合宿では[4-2-3-1]をトライ。今回の合宿でも4バックを試すことが増えている。 システムについては「ずっとこのチームは3バックを長くやってきて、12月では4バックをやりました。今回はどちらとも考えていますが、選手を見て、一番力を発揮できるのかをどちらか考えて決めたいと思います」とコメント。「あまり3や4という形よりも、選手がどう生きるかです。活動が少なかったので、今出ているクラブで光っている選手を選んでいるので、その特徴が出せればと思っています」とし、選手が力を発揮するシステムを選びたいと語った。 今回注目されるのはMF三笘薫(川崎フロンターレ)となる。Jリーグでも突出したパフォーマンスを見せている三笘だが「三笘に関しては、川崎でやっているプレーをそのまま代表チームで出して欲しいと思います」と横内監督も期待。「Jリーグの対戦相手とは違ったタイプの選手と対峙すると思うので、そういった選手にどれだけ自分のプレーを出せるかが楽しみです」とし、アルゼンチン相手にどこまで通用するかが見たいと語った。 また、今季はケガ人の影響もあり、左サイドバックという新境地を開拓したFW旗手怜央(川崎フロンターレ)については「クラブでは今までそういうポジションをやっていませんでしたが、今シーズンはチームに貢献度の高いプレーをしています」と評価。「今まで視察して、彼の運動量であったり、アタッキングゾーンでのクオリティは高いです。守備もフィジカルもここ最近非常に上がってきていて、両面でやれると思うので、非常に期待しています」とし、代表でも力を発揮してもらいたいと語った。 一方で、海外組として参加しているMF久保建英(ヘタフェ)、MF三好康児(アントワープ)、FW食野亮太郎(リオ・アヴェ)の攻撃的な3選手はチームで出番が少ない状況だ。 その3選手については「その3人は、自分のクラブでは非常に難しい状況に置かれていて、試合でのプレー数が少ない状況になっています」とコメント。「今回招集した選手、彼ら以外はクラブ内でポジションを確立した選手ですが、彼らには今までの活動の実績、もう一回呼んでコンディションやプレーを確認したいということで来てもらっています」と語り、「彼らは本当にハングリーな状態、プレーしたいという状態できているので期待しています」と、出場機会がない中でどのような状態か手元で確認したいと明かした。 2021.03.25 17:05 Thu
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【日本代表プレビュー】歴史に残る“兄弟対決”、本気の一戦を/vsU-24日本代表

日本サッカー協会(JFA)から突然の発表があったのは試合の2日前、6月1日のことだった。 キリンチャレンジカップ2021でジャマイカ代表と3日に日本代表が対戦する予定だったが、突如中止に。原因は新型コロナウイルス(COVID-19)のPCR検査に関して、陰性証明書に不備があったことでジャマイカ代表の10選手がオランダのアムステルダムで足止め。試合の3日前までの来日が叶わなくなった。 ジャマイカの選手たちはオランダ経由とアメリカ経由の2ルートで来日を目指したが、アメリカルートの10名は来日したものの、ヨーロッパルートの10名が来日できず。10名では試合が行えないということから、JFAの田嶋幸三会長は「キリンチャレンジカップにふさわしくない」という理由で中止を決断していた。 思わぬ事態に見舞われた日本代表だったが、JFAが1つの決断を下し、東京オリンピックに向けて活動中だったU-24日本代表を急遽対戦相手とすることを決定。まさかの“兄弟対決”が実現することとなった。 ◆「プレッシャーはある」 日本代表は、当初の予定通りのスケジュールで試合に臨めるが、対戦相手がジャマイカからU-24日本代表に急遽変更されることに。思ってもない相手と対戦することとなった。 しかし、選手たちはポジティブに捉えており、FW大迫勇也(ブレーメン)は「面白そう」、DF長友佑都(マルセイユ)は「日本代表同士のガチンコ対決になる」、MF南野拓実(サウサンプトン)は「楽しみだなという気持ちが一番」と語った。 兼任でありながら、今回は日本代表を指揮する森保一監督も「非常にポジティブ」とコメント。一方で、「A代表の方にプレッシャーはある」と、勝って当たり前と思われること、そして代表チームであることから、プレッシャーがあるだろうと予想した。 今までにない対決には世間も注目。正直なところ、ジャマイカ代表との試合以上に注目を集めることは間違いない。その中で、モンゴル代表(14-0)、ミャンマー代表(10-0)と大勝を収めていることも相まって、この試合で下手なプレーを見せられないというプレッシャーはあるだろう。 とはいえ、今回はU-24日本代表にDF吉田麻也(サンプドリア)、DF酒井宏樹(マルセイユ)、MF遠藤航(シュツットガルト)と守備の要の3選手がオーバーエイジ枠として参加。日本代表としては、普段試合に出ない選手たちが守備を担うことになる。 また、好調を維持する攻撃陣としては、普段のチームメイトと対峙することに。大迫は「イメージがわかない」とコメント。南野は「お互いにやりにくさはある」と語り、簡単にはいかないと気を引き締めていた。 今回はJリーグ組が加わったチーム編成。どのような組み合わせになるかは分からないが、「A代表として負けられない試合だなと感じていますし、本気の試合になる」と南野が語るように、やるべきことをしっかりとピッチで表現し、さらに勝ちに行くことになるだろう。 森保監督も「勝つために戦ってもらいます」と語っており、ここ2試合の相手よりは強化として価値がありそうだ。 <span class="paragraph-title">★予想スタメン[4-2-3-1]</span> GK:権田修一 DF:室屋成、植田直通、昌子源、長友佑都 MF:橋本拳人、守田英正 MF:伊東純也、鎌田大地、南野拓実 FW:大迫勇也 監督:森保一 オーバーエイジの3名は抜けたが、主力をぶつけてくると予想する。GKは今回の試合から合流したGK権田修一(清水エスパルス)と予想する。日程の関係でミャンマー戦には招集されなかったが、カタール・ワールドカップ(W杯)アジア2次予選では5試合でゴールを守り無失点。この真剣勝負でも正守護神としての価値を見せる。 ディフェンスラインは右サイドバックにDF室屋成(ハノーファー)、左サイドバックにDF長友佑都(マルセイユ)、センターバックはかつて鹿島アントラーズでコンビを組んだDF植田直通(ニーム)とDF昌子源(ガンバ大阪)と予想する。普段と違う組み合わせになるが、序列を変えるためにはしっかりとパフォーマンスを見せたい。 ボランチはMF守田英正(サンタ・クララ)とMF橋本拳人(FCロストフ)と予想する。MF遠藤航の牙城を崩すことを狙っている両者もしっかりとアピールしておきたいところだろう。 2列目もいつものトリオ。右からMF伊東純也(ヘンク)、MF鎌田大地(フランクフルト)、MF南野拓実(サウサンプトン)が入ると予想。1トップもFW大迫勇也(ブレーメン)だろう。A代表のディフェンスラインが相手にどのような攻撃を見せるのか。ここ2試合の相手よりは確実に実力がある相手に、パフォーマンスを出せるのかは大きな注目が集まる。 何れにしても1チーム2カテゴリであり、同じコンセプトを持つ両チームが対峙する一戦。どちらが相手の強みを消すのか、弱みを突くのか、注目すべき点が多くある試合となる。 日本代表vsU-24日本代表の“兄弟対決”は3日の19時30分より札幌ドームで無観客にて行われる。 2021.06.03 15:25 Thu

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