【2022年カタールへ期待の選手vol.87】長友とのJリーグ初対決ゴールを弾みに、10月決戦では日本を勝利へ導く堅守を!/酒井宏樹(浦和レッズ/DF)

2021.09.27 22:00 Mon
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今年5月までフランスの名門・マルセイユでチームメイトだった日本代表の長友佑都酒井宏樹。25日のFC東京vs浦和は2人のJ1初対決ということで大きな注目を集めた。

試合は開始37秒に、酒井宏樹の背後に飛び出した田川亨介が電光石火の先制弾を挙げるという驚くべき幕開けとなった。

「1失点目はあってはいけないこと。完全に自分の責任。チームのプランニングを崩してしまった」と酒井は反省の弁を口にしたが、こんなミスは滅多にないこと。本人が一番ショックだったに違いない。

それを取り戻すべく、気持ちを切り替えて攻守両面で奮闘。徐々に流れを引き戻す。そして前半終了間際、彼の積極果敢な攻め上がりが同点弾を引き寄せる。柴戸海から平野祐一を経て、ゴール前に渡ったラストパスを酒井宏樹は右足一閃。いったんはオフサイド判定を受けたものの、VARでゴールが認められ、本人も安堵感をにじませた。

「平野からいいボールが来て、GKしか見ていなかった。判定が判定だったんですぐ喜べなかったですけど、前半のうちに1-1にできてよかった。仲間に感謝したい」と背番号2は嬉しそうにコメントした。

後半は長友が右に移動してマッチアップの機会はなくなったが、元マルセイユ同士の激突に彼はほとんど負けなかった。そして最後には江坂任の決勝弾が飛び出し、浦和が2-1で完勝。中2日でゲームに挑んでいたFC東京都はコンディションの差があったが、重要な決戦を制したことで、酒井宏樹も自信を深めたに違いない。

終盤、タンカで退場したため、足の状態が不安視されるものの、本人は「問題ないとは思います」と冷静だ。そうでなければ、森保一監督も日本代表チームも困る。ご存じの通り、10月のサウジアラビア(7日=ジェッダ)・オーストラリア(12日=埼玉)2連戦は2022年カタールW杯アジア最終予選の天王山。絶対的右サイドバック(SB)の参戦は必要不可欠と言っていい。

この2連戦で1つでも勝ち点を落とすようだと、本大会切符獲得の2位以内確保に暗雲が立ち込める。グループ3位だと過酷なプレーオフに回ることになるが、日本は98年フランス大会のアジア第3代表決定戦以外、プレーオフ経験は皆無。そこまでもつれたら、カタール行きが絶望的になる可能性が高い。だからこそ、この山場は絶対に失敗できないのだ。

とりわけ、敵地でのサウジ戦は困難な材料が目白押しだ。決戦の地・ジェッダは高温多湿の難しい気候。白装束の男たちが異様なムードを醸し出す完全アウェイの状況下での戦いになる。同じ場所で挑んだ2017年9月の前回最終予選ラストマッチを振り返っても、日本がW杯切符を手にした直後だったにせよ、本田圭佑(スドゥーヴァ)や岡崎慎司(カルタヘナ)、長友らベテラン勢が揃って先発しながら、0-1で不覚を取っている。

この試合に出ていた酒井宏樹は貴重な生き証人の1人だ。移動や時差を考えると室屋成(ハノーファー)ら欧州組メインで戦う方がベターだろうが、やはり森保一監督は酒井に頼るはず。9月の中国戦(ドーハ)に参戦していない分、、10月シリーズへの期待も大きい。それを本人もしっかりと感じながら、代表に向かうつもりだ。

「緊張感だったり、責任感が2次予選とは比較にならないくらい上がるので、そこに対してのメンタルのコントロールだったり、チームとしての持って行き方は大事になると思います」

酒井自身も9月シリーズ直前にも話していたが、いかにしてチーム全体をベストな状態に引き上げ、日本らしい運びを見せられるかが、6ポイントを手にするカギと言っていい。国内組になって初めて日本~中東間を往復しながら最終予選に挑む酒井宏樹には感覚的な戸惑いや難しさもあるかもしれないが、2012年ロンドン五輪予選を戦っていた10年前を思い出しながら、対処していくしかない。

「僕はJリーグで成長できると思って日本に帰ってきた。本当にそうなるかは1年後になって、W杯が近づいてこないと分からない。見てくれている人たちの評価が本当の自分の評価なので『レベルアップしたな』と思ってもらえるように頑張るしかない」

浦和加入時にこう語気を強めていたが、「国内組になっても飛躍を遂げられる」という事実を彼は実証しなければいけない。そのためにも、カタールW杯の大舞台に立ち、2018年ロシアW杯のベルギー戦(ロストフ)で逆転負けを喫した悔しさを晴らすことが肝要だ。高いハードルを越えてこそ、「欧州に残っていた方がよかった」という批判やネガティブな声を完全に払拭できる。自身の選択が間違っていなかったことを証明できるのは、酒井本人しかいないのだ。

疲労困憊でコンディション不良が顕著だった9月のオマーン戦(吹田)は、らしからぬミスを連発し、精彩を欠いたが、もはや同じ轍を踏むことは許されない。10月シリーズでは、久保建英(マジョルカ)に「外国人助っ人」と評された世界トップレベルの強度と激しさ、1対1の強さ、迫力ある攻撃参加を示し、アジアのライバルを叩くしかない。

冒頭のFC東京戦のように、自らのゴールで勝利を引き寄せることができれば、最高のシナリオだろう。「あくまでDFは守備が第一」と考える謙虚な男はそこまで望んではいないだろうが、もっともっと欲を出していい。今こそ、酒井宏樹という日本歴代トップレベルの右SBの存在価値を再認識させるべき時だ。

【文・元川悦子】
長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。



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【2022年カタールへ期待の選手vol.91】ベトナム戦は左サイドバックでチャンス?酒井高徳も認める才能を遺憾なく発揮せよ!/旗手怜央(川崎フロンターレ/DF)

2022年カタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の行方を大きく左右する11月アウェー2連戦の初戦・ベトナム戦(ハノイ)が11日に迫ってきた。日本代表は長友佑都(FC東京)ら国内組第1陣の5人が8日に現地入りし、トレーニングを開始。9日には第2陣の12人が合流した。が、同日到着予定だった吉田麻也(サンプドリア)ら欧州組11人がオランダ発チャーター便の遅れによって十分なトレーニングができず、ほぼぶっつけ本番で大一番に挑むことになった。 9月のオマーン戦(吹田)、10月のサウジアラビア戦(ジェッダ)と前回・前々回の2連戦の初戦を落としている日本にしてみれば、今回こそは万全の準備をして一発目のゲームに挑みたかったはず。だが、またしても森保一監督のアテが外れた格好だ。 となれば、コンディションを重視したメンバーを組むか、あくまで主力級にこだわるかは指揮官の判断となる。ハノイが想定よりも気温が低く、爽やかな気象条件という追い風はあるものの、できるだけ前者を採った方がよさそうだ。 となれば、3日にJ1連覇を達成した川崎フロンターレ勢にもチャンスが巡ってきそうだ。とりわけ、マルチ型の旗手怜央などは非常に有効なピースになり得る。左サイドバック(SB)としても使えるし、左MFやインサイドハーフ、場合によってはFWとしても起用できるからだ。高いレベルで1人何役もこなしてくれる人材がいれば、さまざまな事態に対応できる。予期せぬアクシデントに見舞われている今回のような試合の場合、旗手は貴重な戦力になるだろう。 メンバー発表時にDF登録だったため、森保監督は左SBを第一に考えていると見られる。ここには代表キャップ数129試合の長友がいるが、直近のJ1の試合で横浜F・マリノスに0-8で大敗し、彼自身も失点に絡むなど、必ずしも絶好調というわけではない。長友のバックアップ役には中山雄太(ズウォレ)もいるが、ベトナム到着遅れの便に搭乗しているうえ、日本が主導権を握る展開を考えると、旗手の方がベターなチョイスと言っていい。酒井高徳(神戸)も「旗手君は非常にいい選手」と絶賛していた。それだけのポテンシャルを秘めているのは間違いないのだ。 「ベトナムはブロックを作って中を締めてくるけど、外は勝負できるなという印象がある。中もそこまで大きい選手がいないので、クロスも質のいいボールを上げられれば、必ず点にはつながると思う」と長友も攻略法を語っていたが、やはり今回はサイドアタックが1つの肝。そこでアグレッシブな攻守のできる人材は必須だ。 旗手ならそのイメージにピタリと合うし、状態も悪くない。東京五輪の時は1・5軍のような扱いだったが、その後、川崎で目に見える成長を遂げ、決定的な仕事をする回数も増えた。三笘薫(ユニオン・サン=ジロワーズ)と田中碧(デュッセルドルフ)という2人の主力が海外移籍した後、彼が主力の自覚をもってチームをけん引したからこそ、9月のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)直後のリーグ5連戦も乗り切れた。傍目から見ると、チーム得点王のレアンドロ・ダミアンやベテラン・家長昭博らの活躍が目立つかもしれないが、旗手の成長なくして、川崎の早期優勝決定はなかったといっても過言ではない。 その経験値を今こそA代表に還元すべき時だ。本人も長い間、この舞台に立つことを夢見ていた。静岡学園の卒業式の時には日本代表になりたいと目標を掲げていたという。 「僕がこういうふうになると思っている人は誰もいなかったと思います。ただ、僕だけは自分に期待しているというか、信じていたし、なれると思っていました」と東京五輪メンバー発表時にこう語ったが、U-24日本代表を経て、A代表に飛躍したのだから、自身のビジョン通りに階段を駆け上がっているということだ。 ただ、A代表というのは、選出されるだけで終わりではない。高校と川崎の先輩でもある大島僚太もたびたび日の丸を背負い、2018年ロシアW杯に参戦したが、大会直前のケガが響いて出番なしに終わっている。川崎の偉大なレジェンド・中村憲剛(JFAロールモデルコーチ)にしても、2010年南アフリカW杯ではパラグアイ戦の後半36分からしかピッチに立てなかった。A代表で出場機会を得て、結果を残し、主力へ上り詰めていくのがいかに難しいことかを旗手はひしひしと感じているはずだ。 それでも、静学時代の恩師・川口修監督から「UEFAチャンピオンズリーグ(UCL)決勝トーナメントに出られるような選手になれ」とハッパをかけられたことを本人は忘れてはいないはず。間もなく24歳になる旗手が成功街道を歩もうと思うなら、ここから一気にA代表での地位を固め、主力として日本をカタールへと導き、活躍するのが近道だ。 もしかするとその前にアンジェ・ポステコグルー監督率いるセルティックへの移籍話が決まる可能性もあるが、スコットランドへ行けたとしてもUCL上位のビッグクラブへのステップアップには強烈なインパクトが必要になる。カタールW杯は絶好の舞台。それを貪欲に取りに行くことが肝心なのだ。 さしあたって、フォーカスすべきは直近のベトナム戦だ。スタメンかサブかは分からないが、与えられた時間でキッチリ結果を残すことから全てが始まる。旗手怜央のA代表デビューが華々しいものになることを願ってやまない。 <hr>【文・元川悦子】<br/><div id="cws_ad">長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。</div> 2021.11.11 11:45 Thu
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