3月15日で退任、Jリーグを8年率いた村井満チェアマンが託したメッセージ「スポーツを楽しむことができる日常の有難さに感謝」
2022.02.28 20:25 Mon
3月15日に8年の任期を満了するJリーグの村井満チェアマンが、今後に託す自身の想いを明かした。
Jリーグは28日、第2回理事会を開催。その後、メディアへの記者会見を行った。
今回の理事会では、「Jリーグ百年構想クラブ」の認定や、上場も考慮した資本流動性の研究_株式異動に関わるルール・規則の改定、実行委員の選任などが行われた。
そんな中、村井チェアマンや原博実副理事長、木村正明 専務理事、佐伯夕利子 理事らは今回の理事会が最後となった。
村井チェアマンは、早稲田大学からリクルートに入社。その後、2014年1月31日に大東和美の後を受けて第5代日本プロサッカーリーグ理事長(チェアマン)に就任した。
一方で、熊本地震などの自然災害、さらには2020年に発生した新型コロナウイルス(COVID-19)など、リーグ運営が妨げられる事案が多数発生。しかし、毅然とした対応と、機動性を持った対応力で組織を動かし、4期8年という任期を全う。さらに、指名制だったチェアマン専任も、選考プロセスを設けて決定するなど、大きな変化をもたらした。
その村井チェアマンは、今回の理事会が最後に。新たにチェアマンに就任することが内定している野々村芳和氏や、その他理事に向けて会議では感謝の気持ちと、今後に託す思いとしてメッセージを残し、それを公開した。
「安心・安全な地域があって、そして安寧な社会があって、はじめて私たちはスポーツを楽しむことができます。
東日本大震災や熊本地震の影響下では試合を開催することは困難なことでした。
また集中豪雨や台風の影響のたびに試合の中止を判断してきました。
さらに新型コロナウイルスの状況を見極め、対策を講じるには4カ月にわたる中断を要しました。
今日現在でも、世界では紛争や戦争状態の地域がありますが、とてもスポーツを行える状況にありません。
スポーツを楽しむことができる日常の有難さに感謝し、世界の平安を願うものです。
また、スポーツが行える日常の中でも、暴力や暴言、差別などは許されるものではありません。
そうした非人道的な行為は個人、組織、国家を問わずJリーグはこれからも断固として反対していく所存です」
様々な困難を乗り越えてきた8年間。村井チェアマンのJリーグへの想いは、現在の世界情勢にも通づるものがある。退任されても、Jリーグに関わる人間が守っていくべきものだろう。
Jリーグは28日、第2回理事会を開催。その後、メディアへの記者会見を行った。
今回の理事会では、「Jリーグ百年構想クラブ」の認定や、上場も考慮した資本流動性の研究_株式異動に関わるルール・規則の改定、実行委員の選任などが行われた。
村井チェアマンは、早稲田大学からリクルートに入社。その後、2014年1月31日に大東和美の後を受けて第5代日本プロサッカーリーグ理事長(チェアマン)に就任した。
就任直後の2014年3月8日には、浦和レッズvsサガン鳥栖の試合で差別的な横断幕が掲出されたことを受け、浦和にJリーグで初となる無観客試合の制裁を決定するというスタートに。その後は、明治安田生命保険とタイトルパートナー契約を結ぶと、「DAZN」との放映権契約など、様々な変革を起こしてきた。
一方で、熊本地震などの自然災害、さらには2020年に発生した新型コロナウイルス(COVID-19)など、リーグ運営が妨げられる事案が多数発生。しかし、毅然とした対応と、機動性を持った対応力で組織を動かし、4期8年という任期を全う。さらに、指名制だったチェアマン専任も、選考プロセスを設けて決定するなど、大きな変化をもたらした。
その村井チェアマンは、今回の理事会が最後に。新たにチェアマンに就任することが内定している野々村芳和氏や、その他理事に向けて会議では感謝の気持ちと、今後に託す思いとしてメッセージを残し、それを公開した。
「安心・安全な地域があって、そして安寧な社会があって、はじめて私たちはスポーツを楽しむことができます。
東日本大震災や熊本地震の影響下では試合を開催することは困難なことでした。
また集中豪雨や台風の影響のたびに試合の中止を判断してきました。
さらに新型コロナウイルスの状況を見極め、対策を講じるには4カ月にわたる中断を要しました。
今日現在でも、世界では紛争や戦争状態の地域がありますが、とてもスポーツを行える状況にありません。
スポーツを楽しむことができる日常の有難さに感謝し、世界の平安を願うものです。
また、スポーツが行える日常の中でも、暴力や暴言、差別などは許されるものではありません。
そうした非人道的な行為は個人、組織、国家を問わずJリーグはこれからも断固として反対していく所存です」
様々な困難を乗り越えてきた8年間。村井チェアマンのJリーグへの想いは、現在の世界情勢にも通づるものがある。退任されても、Jリーグに関わる人間が守っていくべきものだろう。
原博実の関連記事
J1の関連記事
記事をさがす
|
原博実の人気記事ランキング
1
ICUで治療中の工藤壮人にサッカー界から多くのエール、古巣クラブや元同僚らが回復願う
ICU(集中治療室)での治療に専念していると発表されたテゲバジャーロ宮崎の元日本代表FW工藤壮人に多くのエールが届いている。 宮崎は18日、工藤の体調について報告。クラブによれば、工藤は2日の練習時間外に体調不良を訴え、翌3日に医療機関の検査で水頭症の診断を受けて入院。11日に手術を受けて療養中だったが、容態が悪化。17日からICUにて治療に専念しているとのことだ。 水頭症とは、「脳室に髄液が過剰に溜まってしまったために脳を圧迫し、さまざまな症状を引き起こしてしまう疾患」とされており、くも膜下出血や脳出血、頭部外傷、髄膜炎などの頭蓋内疾患に引き続いて起こってしまうものもあるという。 ショッキングな報告には、宮崎やこれまで所属した柏レイソル、サンフレッチェ広島、レノファ山口FCのファンのファンや、その他のファンも心配の声を寄せている。 また、古巣の3クラブもツイッターを通じて激励のメッセージを送っている。 ・柏レイソル 「柏からクドーの回復を心から祈っています。」 ・サンフレッチェ広島 「現在テゲバジャーロ宮崎に所属している工藤壮人選手が体調を崩し入院されているそうです。クラブ一同、工藤選手の一日も早い回復を心より願っています」 ・レノファ山口FC 「クラブ一同、工藤選手の回復を心から願っています。」 その他、選手たちからもメッセージ。柏時代の先輩や同僚、その他の関係者からも多くのコメントが寄せられている。 ・大谷秀和(柏レイソル) 「心から回復を願っています。」 ・南雄太(大宮アルディージャ/柏時代の同僚) 「工藤頑張れ!回復を心から願ってる!!」 ・茨田陽生(湘南ベルマーレ/柏時代の同僚) 「お願いします」 ・近藤直也(元柏レイソル) 「状況がわからないけど、工藤の回復を心から願っています。」 ・秋野央樹(V・ファーレン長崎/柏時代の同僚) 「工藤くん、待ってます。」 ・北嶋秀朗(大宮アルディージャ コーチ/柏時代の同僚) 「心の底から回復を祈る」 ・水野晃樹(柏時代の同僚) 「頼む!サッカーの神様がいるのなら救ってくれ!」 ・福西崇史 「えっ、1日も早く回復する事を願ってます」 ・畑尾大翔(ザスパクサツ群馬) 「アカデミー時代からマッチアップでバチバチやってきた工藤。回復を心から祈っております。」 ・浮田健誠(SC相模原/柏下部組織出身) 「ずっと憧れのヒーロー。早く良くなられることを祈ります!」 ・原博実(大宮アルディージャ フットボール本部長) 「えっ。壮人の回復を心から信じています」 ・齋藤学(水原三星ブルーウィングス/日本代表で同僚) 「工藤。頑張れ.頑張れ.元気になって、また会える日楽しみにしてるぞ。みんな待ってるぞ.」 2022.10.18 20:50 Tue2
かつてはストイコビッチが注意…欧州では黙認された試合中の戦争反対のメッセージ、Jリーグの見解は「政治的なメッセージは行ってはならない」
Jリーグが、選手による試合中のメッセージ表示への見解を明かした。 24日早朝、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナへの軍事侵攻を決断。多くの犠牲者を出しているこの攻撃は、今もなお続いている。 世界各国がロシアへの制裁を発表し、サッカー界でも戦争反対の運動が広がっており、ウクライナ出身の選手たちを支える活動が目立っている。 そんな中、ヨーロッパでは戦争反対を訴えるため、選手たちが試合中にメッセージを表示することに。アタランタのウクライナ代表MFルスラン・マリノフスキーは、24日に行われたヨーロッパリーグ(EL)決勝トーナメント プレーオフ2ndレグのオリンピアコス戦でゴールを決めた後、ユニフォームを捲り上げてアンダーシャツに書かれたメッセージをアピール。本来このような行為にはイエローカードが提示されるが、主審は黙認した。 その他にも同様の行為が見られる中、28日に行われたJリーグの理事会後の会見では、同様の行為が起きた場合のJリーグの対応について質問が飛んだ。 Jリーグでは過去に似たような事例が。1999年、3月24日に北大西洋条約機構(NATO)による母国ユーゴスラビアへの空爆が開始。当時名古屋グランパスでプレーしていたドラガン・ストイコビッチは、3月27日のヴィッセル神戸戦後に「NATO STOP STRIKES」という抗議のメッセージをアンダーシャツに書いてアピール。これはJリーグから注意を受けていた。 村井満チェアマンは自身の声明を出しているが、この件には「理由は問わず暴力はダメ。個人間、国家間であっても認めることはない」と改めてスタンスを表明。ルール上は禁止されているとし、「政治的なメッセージは行ってはならないということで競技会を運営している」とした。 また「境界線は難しいところだが、特定の政治家を非難、政策を非難することのメッセージはいけないということで運用していく」と、Jリーグのスタンスを示し、「暴力はいけない、戦争は反対するんだというスタンスはあるが、個別の判断になる」と、それぞれの事象で判断していくことになるとした。 1999年には浦和レッズにモンテネグロ代表のゼリコ・ペトロヴィッチが在籍。原博実副理事が当時指揮していたが、ペトロヴィッチもメッセージを出して警告を受けていたようだ。 原副理事は「僕は浦和の監督をやっていて、ペトロヴィッチが点を決めて、メッセージを出してイエローカードをもらった」と当時を回想。「選手が色々考えがあって、試合前とかにやることは良いが、試合中はノーとなっている」とあくまでもルールがあるとし、「ヨーロッパではそういう対応があったが、基本的には試合中にそういうメッセージを出さないということになっている」と、禁じられていることは処分になる可能性があるとした。 現在のJリーグには、ロシアにルーツを持つMFイッペイ・シノヅカがアルビレックス新潟に在籍。ウクライナにルーツを持つ選手はいない状況ではあるが、サンフレッチェ広島は世界初の被爆地として、戦争反対のメッセージを出していた。 2022.02.28 22:40 Mon3
RB大宮株式会社の役員体制が発表! 佐野秀彦社長&原博実フットボール本部長は留任、本部から2人が役員に就任
大宮アルディージャは1日、「RB(アールビー)大宮株式会社」の役員体制について発表した。 大宮は8月6日、大宮アルディージャおよび大宮アルディージャVENTUSを運営するエヌ・ティ・ティ・スポーツコミュニティ株式会社が発行する全株式(100%)を、オーストリアのレッドブル・ゲーエムベーハーと東日本電信電話株式会社が株式譲渡契約を締結したことを発表した。 9月24日には、株式譲渡の目処が立ち、新会社は「RB大宮株式会社」となることが発表されていた中、10月1日を迎え、新体制がスタートした。 代表取締役社長はエヌ・ティ・ティ・スポーツコミュニティ株式会社の社長を務めていた、佐野秀彦氏が留任。代表取締役 兼 フットボール本部長に原博実氏が就任した。 また、非常勤の代表取締役には、ミヒャエル・バッヒンガー氏が就任。バッヒンガー氏は、『レッドブル』のCFO(最高財務責任者)を務めている人物で、財務戦略の立案、執行を行う責任者でもある。 監査役には非常勤でマルクス・トゥルネル氏が就任した。 レッドブルは株式譲渡にあたりコミットメントを発表。「ホームタウン・さいたま市で引き続き活動を継続する」こと。さらに、「これまでクラブがステークホルダーと育んできたチーム名やクラブカラーなどをリスペクトし、クラブが積み重ねてきた26年の歴史をベースに積極的に新たな挑戦を行っていくことで「継続と発展」を示し、クラブ理念の実現と成長循環型クラブとしての取り組みをより加速させて行く」としていた。 2024.10.01 17:10 Tue4
殿堂掲額者にザッケローニ氏選出も投票による掲額者は今年も該当/六川亨の日本サッカーの歩み
第20回を迎えた日本サッカー殿堂の掲額式典が9月29日にJFAサッカー文化創造拠点のblue-ing! で開催された。今年の掲額者はセリエAのユベントスやACミラン、インテル・ミラノなどの監督を歴任し、2010年に日本代表の監督に就任したアルベルト・ザッケローニ氏が「特別選考」で殿堂入りを果たした。 ザッケローニ氏は監督就任早々の10年10月8日には初めてアルゼンチンを倒すなど順風満帆のスタートを切った。そして年が明けた11年は苦しみながらもアジアカップカタール2011で優勝を遂げた。13年6月のコンフェデ杯はブラジル、イタリア、メキシコに3連敗を喫したものの、7月に韓国で開催された東アジアカップでは敵地で韓国を2-1で破って初優勝を果たした。 しかし期待された14年のブラジルW杯では初戦でコートジボワールに1-2で敗れると、続くギリシャ戦は0-0で引分けたが最終戦のコロンビアには1-4と大敗し、グループリーグでの敗退を余儀なくされた。 当時を振り返り、やはりやり直したいのは「コートジボワール戦」というのは偽らざる本音だろう。グループリーグ敗退の原因を、「チーム全員が優勝するという同じ熱量を持っていなかった」と振り返ったが、当時としてはそれも仕方のないことだったと思う。 第20回を迎え、殿堂掲額者は投票と特別選考での選出を合わせて92人と3チームになった(1936年ベルリン五輪と1968年メキシコ五輪銅メダルの日本代表と、2011年ドイツW杯優勝のなでしこジャパン)。代表監督はプロ契約がスタートした92年のハンス・オフト氏以来、短命で終わったロベルト・ファルカン氏とハビエル・アギーレ氏、JFAと仲違いしたヴァイッド・ハリルホジッチ氏以外の8人が選出されている。 その一方で寂しかったのが、「日本サッカーに永年にわたって顕著な貢献をした選手」、「満60歳以上の者(物故者は含まれない)」という二つの資格要件に従い殿堂・表彰委員会にてリストアップし、サッカーの取材経験が豊富なメディア関係者や歴代殿堂掲額者、JFA理事らによる投票で選出されるOBが、今年も得票率を満たすことができずに選出が見送られたことだ。 20年に選出された木村和司以来、4年連続しての“該当者なし”であり、その間に金田喜稔氏は資格を失った。今年度の候補者は原博実氏(第16回から継続)、森下申一氏、松永成立氏、都並敏史氏、柱谷幸一氏、柱谷哲二氏(いずれも第18回から継続)だったが、各氏とも掲額に値すると思うものの、基準を満たすことはできなかった。メディア関係者には3票の投票権が与えられているが、票が割れてしまったのだろうか。 受賞資格としては「日本代表50試合以上の出場」か「JSL1部およびJ1リーグ通算210試合以上出場」という規定がある。しかしながら代表戦とJ1リーグの試合数がJSL時代とは比較にならないほど増えているだけに、今後は候補者の増加が予想される。 このため殿堂掲額者の投票による選考方法も再考する時期に来ているのではないか。そんな思いを強くした、第20回を迎えた殿堂掲額式典でもあった。 2024.09.30 22:30 Mon5