【六川亨の日本サッカー見聞録】10月の代表メンバー発表は少しのサプライズ。国内組のサバイバルのスタート

2017.09.29 12:00 Fri
©超ワールドサッカー
▽来月6日のニュージーランド戦(豊田スタジアム)と10日のハイチ戦(日産スタジアム)の2試合に臨む日本代表のメンバーが発表された。ほぼ予想通りで、サプライズがあるとすれば左SBに車屋(川崎F)が初招集されたことと、ボランチに遠藤航(浦和)が復帰したことだろうか。

▽わざわざ時差のある日本に、これまで実績があり、現在好調な岡崎(レスター)と、ケガをした長谷部(フランクフルト)、そして新天地を求めながら負傷し、なおかつ大地震に見舞われてコンディションに不安を抱える本田(パチューカ)を呼ばなかったのは当然だろう。

▽現在の日本代表で選手層が薄いのはCBと両SBだ。森重(FC東京)は負傷で長期離脱し、丸山(FC東京)もチームの不振によりプレーに精彩を欠いている。やっと彼らの代わりに吉田(サウサンプトン)の相棒として昌子(鹿島)が台頭してきた。そのバックアッパーとして植田(鹿島)と三浦(G大阪)が呼ばれてきたが、今回の招集で植田が一歩リードしたかもしれない。
▽そして車屋である。長友(インテル)の控えとして酒井高(ハンブルガーSV)がいるものの、ハリルホジッチ監督の求める純粋なレフティーではない。長友の後継者探しは急務であり、問題はそれを「誰にするか」だった。

▽今回は車屋に白羽の矢が立ったが、練習でアピールして「チャンスをつかんで欲しい」というハリルホジッチ監督の期待に応えられるかどうか。まだスタートラインに立ったに過ぎないため、プレーはもちろんのこと、コミュニケーション能力や連日のミーティングに適応できるかどうかが注目される。
▽遠藤航について指揮官は「ボランチにパワーをつけてもらいたいので遠藤を入れた」と説明した。彼は湘南時代から将来を嘱望された選手だ。しかし、浦和に移籍してからは、ボランチでもCBでも、運動量とスプリント回数の少なさが気になっていた。これは遠藤航個人の責任ではなく、ボールポゼッションで相手を凌駕する浦和のプレースタイルにも原因がある。

▽個人的に、遠藤航の将来を考えるなら、阿部のポジションで起用し、同じ役割を担わせて欲しいと思っていた。果たしてハリルホジッチ監督の下で、「パワー」を発揮できるのかどうか、こちらも見物である。

▽日本代表のテストマッチは10月に国内で行う2試合と11月に海外で行う2試合、そして12月に国内組で臨むEAFF E-1サッカー選手権(どうも馴染みがない。東アジア杯でいいのではないだろうか)、そして来年3月の国際マッチデーとなっている(もちろんW杯直前にも試合はあるはず)。

▽そこから逆算して推測すると、11月上旬の海外遠征は、Jリーグは佳境を迎えるだけに国内組よりも海外組を優先することが濃厚だろう。今回はケガで招集を見送った柴崎(ヘタフェ)を筆頭に、森岡(メフェレン)や中島(ポルティモネンセ)らがコンスタントに活躍していれば招集される可能性もある。

▽それだけに、10月の試合は国内組の攻撃陣にとって、アピールの重要性は増してくる。その筆頭が杉本(C大阪)ということになるだろう。大迫のバックアッパーとして存在感を残せるか。例えゴールという結果を出せなくても、国内組の最終選考の場となる12月の東アジア杯で再び「もう一度見たい」と指揮官に再招集を思わせるプレーをできるのか。

▽攻撃陣は「狭き門」であるだけに、今回招集された武藤(マインツ)も含め、出番が与えられたらニュージーランドやハイチ相手にどんなプレーをするのか楽しみでもある。

▽最後に、スポーツ紙の報道によると、2020年の東京五輪の監督は元広島の森保一氏でほぼ決まりだそうだ。早ければ10月の理事会で承認されるという。もしもそれが事実なら、すぐにでも日本代表のコーチ兼任にして、12月の東アジア杯のキャンプはA代表と五輪候補であるU-20日本代表の合同で実施してはいかがだろうか。

▽東アジア杯をU-20日本代表で臨むことはハリルホジッチ監督も拒絶するだろう。その代わり、キャンプを合同で実施することで、小野や稲本が早い段階でA代表に引き上げられたような“トルシエ効果”も見込めるかもしれない。JFA(日本サッカー協会)には一考して欲しいプランだし、取材する記者はもちろん、ファンもワクワクする合宿になるはずだ。

車屋紳太郎の関連記事

thumb 明治安田J1リーグ第9節のFC町田ゼルビアvs川崎フロンターレが6日に町田GIONスタジアムで行われ、2-2の引き分けに終わった。 ミッドウィークに行われたガンバ大阪戦を今季3度目のウノゼロで勝利した2位町田(勝ち点16)は、その試合で負傷交代した前寛之を仙頭啓矢に変更した以外は同じスタメンを採用。最前線にオ・セ 2025.04.06 16:16 Sun
川崎フロンターレは19日、DF車屋紳太郎の負傷を報告した。 車屋は12日に行われたAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)2024/25 ノックアウトステージ ラウンド16第2戦の上海申花戦で負傷。検査の結果、左長内転筋肉離れと診断されたとのことだ。なお、離脱期間については明らかにされていない。 車屋 2025.03.19 12:20 Wed
1日、明治安田J1リーグ第4節、川崎フロンターレvs京都サンガF.C.がUvanceとどろきスタジアム by Fujitsuで行われ、アウェイの京都が0-1で勝利した。 前節、アビスパ福岡に2-1と競り勝って開幕2勝1分けの無敗継続の川崎F。週明けの5日にACLEラウンド初戦、上海申花とのアウェイゲームを控えるな 2025.03.01 17:07 Sat
川崎フロンターレは6日、2025シーズンの契約合意選手および、新体制と背番号を発表した。 来る新シーズンから鬼木達前監督から長谷部茂利新監督にバトンタッチの川崎F。ユベントス行きの報道も浮かぶDF高井幸大をはじめ、25選手が契約合意に至り、ブラジルのレッドブル・ブラガンチーノから期限付き移籍加入のDFセサル・アイ 2025.01.06 11:56 Mon

記事をさがす

車屋紳太郎の人気記事ランキング

1

【選手評】ハリルホジッチ監督、招集メンバー26名へ期待と要求…初招集FW中島翔哉は「日本になかなかいない選手」《キリンチャレンジカップ》

▽日本サッカー協会(JFA)は15日、国際親善試合及びキリンチャレンジカップ 2018 in EUROPEに臨む同国代表メンバー26名を発表した。 ▽メンバー発表会見に出席した日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、今回の選考基準を説明。代表復帰となったDF森重真人(FC東京)やFW本田圭佑(パチューカ/メキシコ)への期待や初選出となったFW中島翔哉(ポルティモネンセ/ポルトガル)の招集理由についても明かした。 GK 川島永嗣(メス/フランス) 中村航輔(柏レイソル) 東口順昭(ガンバ大阪) 「GKは3人。ただ、現段階のパフォーマンスに満足している訳ではない。もっともっと向上して欲しい。」 DF 酒井宏樹(マルセイユ/フランス) 遠藤航(浦和レッズ) 「酒井は日本人選手の中では、定期的に高いパフォーマンスを継続している。ここ最近調子も良い。遠藤は昨日のルヴァンカップで少し問題が出た。今検査をしている段階と聞いている。ただ、バックアップはすでに用意している。何が起きても問題はない」 DF 長友佑都(ガラタサライ/トルコ) 車屋紳太郎(川崎フロンターレ) 宇賀神友弥(浦和レッズ) 「次に左サイド。長友はクラブを変えたにも関わらず、定期的に試合に出場していて嬉しい。彼の存在は日本代表に必要不可欠だ。車屋と宇賀神の戦いは、これから始まる。合宿を多くこなしている訳ではないが、右サイドでもいけるのかというのも見極めなくてはいけない。どこまでついて行けるかをこれから見ていく」 DF 昌子源(鹿島アントラーズ) 植田直通(鹿島アントラーズ) 槙野智章(浦和レッズ) 森重真人(FC東京) 「それから真ん中。最初の3人(昌子、植田、槙野)はもっとできると思っている。そして、森重をなぜ呼んだか。まだ彼は準備できている段階ではない。すぐに使う訳でもない。ただ、彼がどのような状況になっているかを知りたい。励ますためにも呼んでいる。彼が以前のレベルに戻るかどうか。もちろん(吉田)麻也がいないということもある。彼の経験が我々にとってどこまで使えるかというのもある。ただ、まだまだトップパフォーマンスには程遠い。モチベーションを上げる努力をしていかなくてはいけない。早くレベルを戻してほしい」 MF 長谷部誠(フランクフルト/ドイツ) 三竿健斗(鹿島アントラーズ) 山口蛍(セレッソ大阪) 「長谷部は真ん中もできれば後ろもできる。本会までにケガなくいってほしい。三竿は、良いパフォーマンスを続けている。(山口)蛍は、常に呼んでいる選手だが、守備だけで終わるのではなく攻撃のところでもっと野心を持ってほしい。代表では良いパフォーマンスを見せている。イラク戦では我々を助けてくれた選手の1人だ」 MF 大島僚太(川崎フロンターレ) 柴崎岳(ヘタフェ/スペイン) 森岡亮太(アンデルレヒト/ベルギー) 「大島は国内でも優秀な選手の1人。彼もよくケガをするが、我々もしっかりとコンタクトをとって、そこを脱して良い状況が続いていると思う。(柴崎)岳と森岡は、(香川)真司と清武が居ないこともあり、10番や8番のタイプとして期待している。柴崎は、クラブで毎回先発という訳ではないが、レベルが上がってきていると思う。森岡はすでに2、3回観ているが、フィジカル的なところやデュエルの部分でまだ伸びると思う。ゴール数やアシスト数はリーグでも断トツ。ただ、ゲームのアクションの中でまだまだ伸びる部分はあると思う」 FW 久保裕也(ヘント/ベルギー) 本田圭佑(パチューカ/メキシコ) 「久保もまだまだ私の満足いくパフォーマンスではない。それから(本田)圭佑は、このチャンスを是非とも掴んでほしい」 FW 原口元気(デュッセルドルフ/ドイツ) 宇佐美貴史(デュッセルドルフ/ドイツ) 中島翔哉(ポルティモネンセ/ポルトガル) 「原口と宇佐美は、同じクラブでプレーしている。ここ直近の数試合で宇佐美は、しっかりと伸びている状況。ある時期はチームで干されるかもしれない状況だったが、今は出ている。原口も同じだ」 「それから長い間追跡している中島。本当にたくさん試合に出場していて、得点やアシストもしている。ドリブラーでここまで俊敏で爆発的なものを持っている選手は日本になかなかいない。前回のオリンピック代表の監督であったテグ(手倉森誠)さんともしっかりと話をして、オフェンス面で何かもたらせるのではないかという判断。ただ、守備面では代表で私が求めるレベルではない。様子を見たい」 FW 小林悠(川崎フロンターレ) 杉本健勇(セレッソ大阪) 大迫勇也(ケルン/ドイツ) 「最初の2人はここ最近で本当に伸びてきている。オフェンス面で日本で素晴らしい結果を出している。彼も自分たちのプレーの仕方を変えて伸びてきている。真ん中の選手として、アグレッシブに背後、そしてペナルティエリア内で存在感を出している。それから相手の最終ラインからの組み立てを最初に防ぐ仕事もしている。我々が観たここ数試合でも良いパフォーマンスだった。これを続けてくれと言いたい」 「大迫は、クラブで真ん中でなく、横や後ろでもプレーしているが、良くなってきている。代表ではクラブとは全く違うアクションをしてほしい。常に背負った状態でプレーするのではなく、ゴールに向いてプレーして欲しい。この3人は素晴らしいヘディングを持っている。W杯本大会でもこれが重要になってくる。もちろんFKを貰えればの話。守備でもしっかりと守らなくてはいけない。大事になってくる。W杯ではFKが決定的な状況を作ることもある」 ▽なお、日本代表は、3月のベルギー遠征で2試合の国際親善試合を予定。ロシアW杯に向けた選手見極めとチーム強化のため、マリ代表(23日/ベルギー)、ウクライナ代表(27日/同)と対戦する。 2018.03.15 19:50 Thu

NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly