東京Vの城福監督、今季3度目対峙の湘南戦へ「アグレッシブな場面を多く出したい」…今節残留確定の可能性も「とにかく研ぎ澄ましていく」

2024.10.05 20:00 Sat
ホーム湘南戦に臨む城福監督
©超ワールドサッカー
ホーム湘南戦に臨む城福監督
東京ヴェルディ城福浩監督が、6日に味の素スタジアムで行われる明治安田J1リーグ第33節の湘南ベルマーレ戦に向けた会見を実施した。

東京Vは前節、ガンバ大阪とアウェイで対戦。勝ち点2差の6位と5位によるシックスポインターは前回対戦同様に堅い展開となった中、後半半ばにホームチームが先制点を奪った。それでも、最後まで諦めずにゴールを目指したアウェイチームは後半アディショナルタイムにキャプテンのMF森田晃樹が決めた値千金のJ1初ゴールによって土壇場で1-1のドローに持ち込んだ。

これで連勝が「4」でストップしたが、勝ち点1を積み上げると共に無敗試合を「6」に更新。そして、今節の結果次第ではチームの最大の目標であるJ1残留が確定することになる。
先述の4連勝もあって残留はほぼ決定的と言える状況ながらも、以前から「危機感」という言葉を繰り返し強調してきた指揮官は「数字的に決まるというのは、ある意味ひとつ大きなこと」と残り5節の段階での残留確定について触れながらも「今になってそれを意識するかといったらそうではない」と、あくまで残り試合において自分たちの戦いにフォーカス。

「自分たちはずっと勝ち点が今の18位のチームと勝ち点差がいくつでとか、上の順位のチームが勝ち点がいくつでというよりは、我々の今年目指すべき表現したいサッカーにフォーカスしている。結果としてそれが我々が今どのステージに立っているかというところだと思っているので、そこのスタンスは全く変わらないです」
「数字的な残留が決まるというのは初めて聞きましたが、この前のガンバ戦から得たものを次にどう活かして、前節よりも強いチームとして表現できるかどうかというのを毎試合積み上げてきた結果だと思うので、それがそういう数字的な事実として言えるような状況になるのであれば、それは喜ばしいことではありますけど、今になってそれを意識するかといったらそうではないです」

同じく来季もJ1での戦いが見えてきた上、ある意味で“ボーナス”と言える上位進出へのチャレンジができる状況においては、新たなアプローチを試したいという気持ちに駆られる部分もある。

城福監督もその長い指導者キャリアを通じてそういった試行錯誤を行ってきたという。

「チームによってシチュエーションが違うというか、内情も違いますし歴史も違う。もちろん選手の個性も違うので何とも言えないですけど、自分が今まで経験してきた中で言うと、何か新たなことにチャレンジしたくなる。もう一個上へ行くには、ここを改善できればいいとか、ここの課題を克服できればいいとか、代表ウィークが多くなる秋、あるいは夏も含めて、かつては自分もチャレンジしたこともありました」

「それはチームがうまくいっていようがいまいが、うまくいっていてもさらに良くなるのではないかと思ってやりますし、例えばケガ人が出たり、主力選手のコンディションが上がってこなかったりしたときに、チームとしてやってきたこと、やり方を変えるわけではないけども、プラスして強く意識させるものを加えていくということをやってきたことがありました」

「自分の経験の中では、もちろんそれが全て失敗だったわけではないけども、やっぱりそれで良くなかったことの方が多かった」

その苦い経験を土台に今後のチームマネジメントにおいては、ブレずに「研ぎ澄ましていく」ことを最優先に考えている。

「課題は認識しながらもやり方を変えずに、研ぎ澄ましていくということを、特にヴェルディに来てからは毎年いろんな顔をインサイドから見ても、選手のスカッドもそうですけども表情があって、シチュエーションもあるんですけど、取り組み続けていることよりも優先順位の高いものが新たにあるという状況というのはチームにとって良いことではない。自分は経験則的に思っているので、とにかく研ぎ澄ましていくというところにフォーカスしています」

ホーム3連勝を狙う今節は残留争いの真っただ中に身を置く16位の湘南と対戦。今シーズンはアウェイ開催のリーグ前回対戦を2-1の逆転で制し今季の初勝利を挙げた一方、直近の天皇杯の対戦では0-1で敗れており、1勝1敗で臨む3度目の対戦で勝ち越しを狙う。

現状のチーム状態を鑑みれば、ホームチーム優位という見方が強いが、城福監督は「2試合戦って内容的にトータルで見たら負けている」と、比較的スタイルも近い湘南への警戒を口にした。

「もちろんルキアンという主軸というか、中心のストライカーが不在(出場停止)であるという事実はあるにせよ、我々はルキアンがいないメンバーに天皇杯で負けていますし、2試合戦って内容的に見たら、トータルで見たら負けているなと思います。リーグ戦も前半何もできないまま耐え切れずにルキアンに点を取られて、終盤逆転できましたけど、ゲームのトータルで言えば、湘南のゲームというふうに認識しています」

「天皇杯も前半は行ったり来たりのゲームでしたが、見返してみても失点する前の15分間ぐらいは完全に湘南のゲームだった。チャンスを何回か作られて決定的なチャンスが3回目ぐらいで点を取られているので、湘南の全員がボールを触りながら、全員でパス&ムーブをしながら、ゴールに向かっていくというのにちょっと翻弄された時間が2試合ともあったので、ここはしっかり締めたり、最終的なゴール前で体を張るというところと、もうひとつは腰が引けたサッカーをやると、やはり相手に押し込まれるので、我々が押し返すような時間をもっと増やしていかないといけない。我々が相手を引かせるような場面というのも作らなければいけないなと思っています」

いずれも1点差だった2度の対戦を踏まえ、今回も拮抗した戦いを覚悟する中、前からの守備とカウンターを勝負のポイントと捉える。

「まず守備で言えば、プレッシャーに行けるチャンスを逃がさない。相手が繋いでくるから、そこを意識して中を固めることだけに注力すると、おそらく簡単に相手にゲイン(前進)することを許してしまうので、たとえその守り方で守れたとしてもボールを奪うポイントが我々のゴールに近いところなので、カウンターを発動するのはかなり難しくなると思う。できるだけ前でプレッシャーをかけるチャンスを逃がさないという守備を全員でやりたい」

「ただそうは言っても相手のポゼッションはある程度洗練されているので、辛抱する時間もあると思う。その中でカウンターをどう発動していくかと、そのカウンターをきっかけに自分たちの時間をさらにまた取り戻すというような機会を多くしたいなと思います。あまり腰が引けたサッカーをやると、カウンターを発動するような守備もできなくなってしまうので、そこはメリハリをつけてアグレッシブな場面というのを多く出したいなと思います」

対戦相手の湘南では“残留力”とも表現される残留争い常連ゆえのシーズン終盤における傑出した勝負強さが話題に挙がるが、城福体制の東京Vも夏の苦戦を乗り越えた後の終盤戦に傑出した強さを見せている。

城福監督が途中就任した2022シーズンのJ2リーグでは5連勝フィニッシュ、16年ぶりのJ1復帰を成し遂げた2023シーズンは昇格プレーオフ2試合を含め9月以降は12戦無敗。今季も直近4勝2分けと無類の強さだ。

酷暑で運動量が落ちる夏の戦いの苦戦はハイインテンシティを特長とするチームスタイルと関連付けられる部分だが、それ以外にもチームの積み上げや若手の成長が好結果に繋がっている印象だ。

その要因について指揮官は明確な相関関係はわからないとしながらも、チームとしてのコンセプトの共有や最大値を出すための試行錯誤が結実した結果をひとつの理由に挙げた。

「チームが目指しているものを共有して積み上げていくこと。その表現したいものの最大値がシステムという言い方がいいか、立ち位置的に何が一番の最大値なのかを探ること。個人の組み合わせにおいてどれが一番の最大値なのかを探ることというのは、やはりどれも短期間でできない。やり続けて目指し続ける中で、今のこのスカッドの中で、どういう役割を各々に託すことが最大値になるのかというのが、チームとして共有できてくるのがやはり終盤になってしまうというところはあると思います」

「ひとつには、このチームでは(シーズン中に)メンバーが変わることが普通で、積み上げたとしてもその主力がいなくなるというサイクルの中で言えば、やはり数カ月において積み上げる時間が必要。最大値を見つける中でどうしても時間が必要で、それが半年でできればいいですけど、7、8カ月かかる場合もある」

「去年で言えば、J1仕様にしていくのに(昇格プレーオフを終えた)12月2日以降からスタートしたという意味でも、やはりメンバーが大幅に変わるので、彼らとベースを共有して染み込ませて、競争させて最大値を見つけていくというところは日々やっている。しかも1日も早く最大値を見つけたいと思ってやっているというのが僕の立場なので、それが結果として終盤のところでそういうふうになっているのに関係しているのかはちょっとわからないです」

ここにきて主力メンバーは固まりつつあるものの、虎視眈々とポジション奪取を狙う貪欲な控えメンバーの最終盤の台頭と共に最後まで最大値を探る、未だ伸びしろ豊かなチームは残り6試合でのさらなる躍進を目指す。

城福浩の関連記事

東京ヴェルディの関連記事

J1の関連記事

Jリーグは7日、最新の出場停止選手情報を発表した。 J1ではFC東京のDF木本恭生が次節のヴィッセル神戸戦で出場停止。また、川崎フロンターレのDF高井幸大は延期分の浦和レッズ戦が出場停止となる。 J2では2選手、J3では9選手が次節出場停止。FC岐阜のDF岡崎慎は、6日に行われた明治安田J3リーグ第31節の 2024.10.07 20:49 Mon
今シーズンも驚異的な残留力を示す湘南ベルマーレの若武者が、痺れる戦いが続く終盤戦でチームを牽引する活躍を続けている。 湘南は6日、味の素スタジアムで行われた明治安田J1リーグ第33節で東京ヴェルディと対戦し、2-0の勝利を収めた。 前節、鹿島アントラーズ相手に2点差を引っくり返す大逆転勝利で連敗をストップし 2024.10.07 20:20 Mon
東京ヴェルディがホームで行われた湘南ベルマーレ戦で7試合ぶりの敗戦を喫した。 直近4勝2分けの6戦無敗と好調を維持していた東京Vは6日、味の素スタジアムで行われた明治安田J1リーグ第33節で湘南と対戦。この試合で勝利すればチーム最大の目標であるJ1残留を確定することができたが、0-2の完敗となった。 前節、 2024.10.07 19:00 Mon
湘南ベルマーレは7日、FWルキアンの負傷を発表した。 ルキアンは、4日のトレーニング中に負傷したとのこと。検査の結果、左足遠位前脛腓靭帯断裂(えんいけいひじんたいねんざ)と診断されたとのことだ。 遠位脛腓靭帯捻挫とは、「ハイアンクルスプレイン」とも呼ばれ、下腿(膝から足首)を構成している脛骨と腓骨を繋げてい 2024.10.07 18:25 Mon
ジュビロ磐田は6日、J1残留争いに向け「ジュビロ磐田を応援してくださる皆様へ」と題して声明を発表した。 J2から昇格し、今シーズンはJ1を戦っている磐田。しかし、開幕当初から苦しい戦いが続いており、残留争いの真っ只中の状況だ。 降格圏に位置している中、6日には明治安田J1リーグ第33節でサンフレッチェ広島と 2024.10.06 22:10 Sun

記事をさがす

城福浩の人気記事ランキング

1

待望のJ1初ゴールは敗戦から救う劇的一発に…東京V主将の森田晃樹「チャレンジして結果に繋がって良かった」

東京ヴェルディでキャプテンを務めるMF森田晃樹が待望のJ1初ゴールを挙げた。 東京Vは28日、パナソニックスタジアム吹田で行われた明治安田J1リーグ第32節のガンバ大阪戦を1-1のドローで終えた。 4連勝中で6位の東京Vと7戦勝利がない5位のG大阪が2ポイント差で迎えたシックスポインターは、ゴールレスドローに終わった前回対戦同様にクローズな展開で後半に突入。 よりオープンな展開の中でMFダワンに先制点を奪われたアウェイチームは両ウイングバックにMF松橋優安、MF松村優太とアタッカータイプの選手を入れて前がかるも、守備的な交代策を含めて逃げ切り態勢に入ったホームチームの堅守に苦戦。1点ビハインドのまま後半アディショナルタイムを迎えたが、この土壇場で頼れる主将が執念を見せた。 94分、相手陣内右サイドで得たFKの場面でキッカーのMF見木友哉の高速クロスがボックス内でDFに撥ね返されるも、ペナルティアーク付近でこぼれ球に反応した緑の背番号7が右足を一閃。ゴール前の密集を抜けたグラウンダーシュートはGK一森純がしっかりと反応していたが、その手前でクリアを試みたDF福岡将太が触ったことでコースが変わり、ゴール中央に突き刺さった。 シュート直後に足が攣ってしまうなど、満身創痍の状況で24歳の執念が生んだ値千金の同点ゴールによって敗戦を免れた東京Vは、連勝がストップしたものの難敵相手のアウェイゲームで貴重な勝ち点1を持ち帰ることになった。 J1デビューから27試合目にして待望の初ゴールを挙げた森田は「いいところにこぼれてきたので、足を振れる距離でしたし、迷わず打てたと思います。まずは枠に打てたというのが良かったのと、ふかさずに打てたというところで、相手のそういう当たって入るという感じのハプニングを起こせたのかなと思います」と、劇的な形での殊勲の一発を普段通り飄々とした口調で振り返った。 プロ1年目の水戸ホーリーホック戦では鮮烈なミドルシュートでプロ初ゴールを決めていたものの、以降のプロキャリアでは“天才”とも評される傑出したテクニックと攻撃センスでチャンスメークで存在感を示す一方、ミドルシュートを含めシュート、フィニッシュは課題となっていた。 とりわけ、城福浩監督の下では2ボランチの一角で“へそ”と呼ばれるビルドアップの起点としてアンカーに近い役割を担い、より相手ゴールから遠ざかる形となっていた。 そんな中でも日々のトレーニングにプラスしてシュート練習にも励んでいた効果がようやくこの試合で実を結んだ。それだけに形はどうであれ、チャレンジした末の待望の結果を素直に喜んでいる。 「ミドルシュートはどのタイミングのどの試合でも狙っているつもりでしたけど、なかなか自分の中でのタイミングがつかめなかった中で、今日はいい形で打てるチャンスがあったので、そういうふうにチャレンジして、結果につながったというのが良かったです」 「得点という結果だけは出てなかったので、どの試合でもそうですけど、得点は本当にほしかったので良かったです」 また、攻守両面で全幅の信頼を寄せながらも、以前から決定的な仕事を求め続けてきた指揮官も、若き主将のブレークスルーを歓迎しつつ、さらなる活躍を促している。 「ボランチというポジションはチームをハンドリングする非常に重要なポジションの中で、絶対譲れないのは守備。あそこが緩ければ、本当にクオリティの高いチームだと、我々の失点シーンなんていうのもそうでしたけど、バイタルエリアで相手に仕事をさせない。そこのハードワークと気迫というのはすごく重要で、それを遂行すれば、攻撃の彼の良さはふんだんに出るというふうに思っていますし、J1でも高いレベルのものを示せる選手だと思っています」 「ただボランチというのは攻守が一体なので、必ずそこをしっかり遂行した後でという言い方がいいか、それをしながらアンカーたる、彼のボールの受け方と配球、ゴール前に入っていくというところを、さらに一個上のレベルを突き詰めてほしいです」 待望のJ1初ゴールはチームを25年ぶりの5連勝に導くものとはならなかったが、「自分たちのボールにしながら相手を押し込んで揺さぶりをかけて、ああいうシーンを作れていると思うので、今日は自分たちがやることをしっかり貫いた結果。勝つことが一番ですけど、ビハインドを負っている中でギリギリで追いついて、アウェイで勝ち点1を得られたことはポジティブに考えています」と、頼もしさ増す主将はチームとしても確かな手応えを得た一戦をポジティブに振り返り、残り6試合へこの勝ち点1を良い形で繋げていきたいとした。 <span class="paragraph-title">【動画】東京Vキャプテンが起死回生の同点弾</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet"><p lang="ja" dir="ltr">/<br>これが東京Vの底力<br>\<br><br>後半ATに値千金の一撃!<a href="https://twitter.com/hashtag/%E6%A3%AE%E7%94%B0%E6%99%83%E6%A8%B9?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#森田晃樹</a> のミドルシュートが<br>相手DFに当たりゴールネットへ<br><br>明治安田J1第32節<br>G大阪×東京V<br><a href="https://twitter.com/hashtag/DAZN?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#DAZN</a> でライブ配信中<a href="https://twitter.com/hashtag/G%E5%A4%A7%E9%98%AA%E6%9D%B1%E4%BA%ACV?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#G大阪東京V</a> <a href="https://t.co/1ryDlL0LmE">pic.twitter.com/1ryDlL0LmE</a></p>&mdash; DAZN Japan (@DAZN_JPN) <a href="https://twitter.com/DAZN_JPN/status/1839968377021792508?ref_src=twsrc%5Etfw">September 28, 2024</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2024.09.29 07:15 Sun
2

「残り試合に向け背中を押してくれる」…東京V・城福監督は連勝ストップも土壇場ドローに持ち込んだプロセスを評価

東京ヴェルディの城福浩監督が、劇的ドローに持ち込んだ一戦を振り返った。 東京Vは28日、パナソニックスタジアム吹田で行われた明治安田J1リーグ第32節のガンバ大阪戦を1-1のドローで終えた。 勝ち点2差で5位に位置するホームチーム相手に1999年以来、25年ぶりとなるJ1での5連勝を目指した6位チーム。ゴールレスドローに終わった前回対戦同様に睨み合いの展開が続いた中、前半は大きな見せ場を作れず。後半はよりオープンな展開となり、FW木村勇大や途中出場のMF見木友哉に決定機が訪れたが、DF中谷進之介のゴールカバーやGK一森純の好守に阻まれた。 すると、74分には一瞬の隙を突かれて中央を完璧に崩されると、FW宇佐美貴史の絶妙なラストパスに3列目からの飛び出しで反応したMFダワンに左足シュートを決められて3試合ぶりの失点。 以降は守備的な交代策を含め逃げ切り態勢に入ったG大阪の堅守攻略に手を焼いたが、後半アディショナルタイムの94分にセットプレーの二次攻撃からMF森田晃樹が放ったミドルシュートが相手DFにディフレクトする形でゴールネットを揺らし、土壇場で追いついて1-1のドローに持ち込んだ。 リーグ連勝が「4」でストップし、5位浮上のチャンスを逃す形となったが、指揮官は概ねプラン通りに進め、手応えを感じた中で勝ち点1を持ち帰った一戦をポジティブに受け止めた。 「前半はちょっと我々が急いだというのもあって、相手ボールの時間がちょっと長かったですけれども、ただ絶対にやらせてはいけないバイタルエリアのところの意識は非常に高かったので、ほとんど足を振らせるシーンはなかったと思います」 「ボールは持たれていたけれども、バイタルエリアで仕事をさせない。そうなれば、後半オープンになってきて我々の時間が増えるだろうというふうに思っていたので、そこはある意味でプラン通りでした。一瞬の隙を突かれて点を決められて、ガンバさんのキープ力をベースとした時間をしっかり使っていくというところに苦しめられましたけど、最後に諦めずによく押し込んだなというふうに思います」 ただ、試合内容に関してはエアポケットのような形で喫した失点場面の対応に加え、準備してきた崩しの形の徹底の部分で、構えた際には攻略が困難なリーグ2位の堅守を誇る相手に対して“一発”を狙いすぎた点を課題として挙げている。 「オープンになってきてボールが繋げそうというか、決定的なシーンまで一本のパスで行けそうな感覚があったと思います。そこで『我々は急ぎすぎるな』と、『もっと動かした方が相手は嫌がる』と、そのスピードアップするタイミングというのはもっとペナの付近でいいというところは何回も言いました」 「ボールホルダーが結構フリーになったので、スピードアップするのが早くて、ペナに行く前に勝負のパスだったり、勝負のドリブルというのが始まってしまって、相手を揺さぶる前にボールを奪われるという、もったいないシーンがいくつかありました。辛抱強く回して回してもっとペナの周辺で、見木友哉の決定的なシーンというのも、かなり辛抱強く回した最後のところで顔を出したシーンだったので、ああいうシーンをもっと多く後半最初から作りたかったなと」 それでも、最終的にチームはセットプレー流れでツキにも恵まれる形ではあったものの、自分たちのやり方を貫いた末にゴールをこじ開け、しぶとく敵地から勝ち点1を持ち帰った。 城福監督は引き分けという結果以上に、同点に持ち込んだプロセスを評価し、この経験が残り試合において選手たちの背中を押すものになると考えている。 「自分たちが手応えのある内容の中で点を取られて、今までであればズルズルこのまま時間が過ぎていったような試合になったことは多かったと思います。この連勝になる前の数試合というのは手応えがありながらも点を決め切れないで、最後に点を取られて勝ち点0で終わる試合というのがありました」 「やり続けるということが大事だというのは、連敗をして引き分けてその後に連勝が始まったときに自分たちは痛感しているので、焦れないでやり続けると。我々が目指しているボールの運び方と展開をやり続けることで、チャンスが出てくるんだというのは、みんなが感じていたと思います」 「我々が一番大事にするのは自分たちのサッカーを信じてやり続けることなので、それで同点にできたというのは残り試合において自分たちのやっていることを信じてやり続けるということに対して、背中を押してくれるものがあったと思います」 これで連勝はストップしたものの、無敗試合を「6」に更新した東京Vは残り6試合でのさらなる躍進を目指し、次節はホームで16位の湘南ベルマーレを迎え撃つ。 2024.09.29 07:45 Sun
3

残留近づく好調の東京Vで虎視眈々とチャンス窺う…清水とのTMで結果残した山田剛綺らが意気込む

シーズン終盤を迎えて最大の目標達成に近づく東京ヴェルディだが、チーム内では依然としてハイレベルのポジション争いが繰り広げられている。そして、虎視眈々とチャンスを窺う選手たちが残り試合への意気込みを語った。 東京Vは前節、ガンバ大阪とアウェイゲームを1-1のドローで終えた。2003年以来の5連勝と共に5位浮上のチャンスは逃したが、勝ち点1を積み上げると共に無敗試合を「6」に更新。 そして、6日に味の素スタジアムで行われる明治安田J1リーグ第33節の湘南ベルマーレ戦や他クラブの結果次第では最大の目標であるJ1残留が確定することになる。 ここにきてチームでは主力メンバーが固定されつつあるものの、城福浩監督は「歯を食いしばってやり続けている選手は必ずどこかでチャンスをあげたい」と日々のトレーニングやチームの最大値を見極めながら、虎視眈々とチャンスを窺う控えメンバーの起用のタイミングを図る。 そんな中で、G大阪戦翌日には昨シーズンの昇格プレーオフ決勝で激闘を演じ、今シーズンのJ2リーグ首位でJ1昇格に王手をかける清水エスパルスとのトレーニングマッチを実施。互いに控えメンバーや若手中心での対戦となったが、東京Vは45分×2の一戦を3-1で勝利した。 そのトレーニングマッチに関して指揮官は「厳しいスケジュールの中、翌日の練習試合に臨んでいくというのはこのチームらしいと思いますし、そこで高いモチベーションでやってくれた選手たちがいる。心強かったというか、『いつでも取って代わるぞ』というファイティングポーズを見せてくれた選手が何人かいた」と、チームの姿勢を評価していた。 その一戦で1ゴール1アシストと大きなアピールを見せたのはFW山田剛綺。加入1年目でJ1昇格に貢献したストライカーは、今季ここまで途中出場を中心にリーグ戦20試合に出場もノーゴール。南米のストライカーを彷彿とさせるゴムまりのような高い身体能力を武器に、攻守両面で才能の片りんを垣間見せるが、初のJ1で苦戦が試行錯誤の日々が続く。 それでも、右シャドーでフル出場した清水戦では「ボールを引き出すところであったり、自分の特長である背後というところは右のシャドーながら、結構できたのかなと。守備のところでの強度であったり、そういう違いは見せられたのかなと思います」と、手応えを口に。 ここ最近はリード時の試合終盤にクローザー役としての出場が多く、ストライカーとしては一番に求められるチームプレーを最優先にこなした上で少ないチャンスを結果に繋げるという部分で難しい部分もある。 ただ、山田はそういったエクスキューズに甘えることなく、チームの勝利を最優先とした上でポジション奪取に繋がる結果を残したいと高い志を示す。 「チームが勝つためにというところで、途中から出るときはそこに全てを懸けてやっていますし、チームを勝たすために出させてもらっているので、自分のやりたいことよりもチームがやるべきこと、自分がやらないといけないことを最優先に考えてやっています」 「点を取りに行くにしても守るにしても自分のできること、求められていることを与えられた時間の中で、全て出し尽くして終わるということしか考えていないです」 「日々の練習や練習試合から結果を残すというところは常に意識していますし、そこで結果を出せなかったら、やっぱり使ってもらえない。自分がもし監督でも使わないと思うので、とにかくやり続けるというところは1年通して意識しています」 DF深澤大輝は清水戦でウイングバック、3バックの右の2つのポジションでプレー。持ち味の攻撃参加から1ゴールを記録。山田と共に目に見える結果でアピールした選手の一人だ。 左右のウイングバックに3バックのサイドでプレー可能な守備のマルチロールは開幕直後こそ9試合連続でスタメン出場したが、ケガによる離脱や序列の低下もあって後半戦は第28節鹿島アントラーズ戦の途中出場の1試合のみ。より激化するウイングバックのポジション争いにおいてベンチメンバーを外れる試合も少なくない。 それでも、久々の練習試合は日本一のトレーニングを志すチームの取り組みの正しさ、試合から遠ざかりながらも自身の成長を実感できるものになったという。 「個人的にも久々の練習試合というのもあって、相手も清水という部分で気持ちも入っていましたし、チームとしても最初は入りが悪い中でセットプレーで失点してしまいましたが、それがなかったらすごくいい試合だったなというのも、やっていたみんなも思っていましたし、仁志さん(森下コーチ)なんかも言ってくださっていました。もっとできたなというところもありましたが、充実した練習試合でした」 「(自身のゴールを通じて)上下動でゴール前に入っていくところというのはもう一度自分のストロングだなというのを再確認できましたし、そこの運動量のところは夏の毎日の積み重ね、2部練とかもしていましたし、そういうので走れるようになっている感覚はあります」 「夏場にすごくハードな練習ができたので、最近涼しくなってきて走れるなという自信に繋がるゲームでもありましたし、数値とかを見てもスプリントの回数とかも個人的には増えていたので、そこら辺は日々の積み重ねが大事だなというふうに改めて思いましたし、あとはJリーグの試合に出るために日々やっていくだけという感じです」 ここまで途中出場がメインながらリーグ戦24試合1ゴールの数字を残し、左右のウイングバックに2シャドー、攻撃的サイドバックのオプションにもなれるMF松橋優安は高い確率で18人のメンバーに入りつつ、より多くのプレータイム確保を狙う選手の一人。 前節のG大阪戦ではここ最近目立つクローザー役ではなくビハインドの状況で攻撃面を期待されての投入に。また、清水戦では本職のサイドに加え、チーム事情でボランチのポジションでもプレーした。 ここ最近では攻撃面で少しずつ手応えを感じつつ、清水戦でのボランチ起用に対しても自身の成長に繋がるとポジティブに振り返る。 「徐々にシーズン中盤から攻撃の部分でも自分の良さを出せるようになってきたので、ピッチに出たときに、まず良い守備からというのは忘れずにしっかり意識しながら、ビハインドのときは自分のところで違いを出せるように、ゴールに向かったプレーができるようにというのはベンチでいつも意識しています」 「(清水戦では)3つのポジションをやらせてもらって、本当にいい経験になりましたし、今回はボランチでプレーする時間が長かったですけど、また違った景色も見られて自分に足りない部分、逆にボランチでも通用する部分というのを感じられたので、そこは今後のサッカー人生にも繋がると思います」 今回の湘南戦に向けては保有元との対戦で前節を欠場したFW山見大登の復帰が確実となり、3選手共に18名のメンバー入りに向けては当落線上と言わざるを得ない。 それでも、天皇杯の前回対戦において攻撃面で見せ場を作っていた松橋は「天皇杯では自分の攻撃が通用するという部分で、少し意識が変わった試合でもあったので、印象はいいですし、やれる自信もある。出るとなれば自分のプレーを出せるように準備しています」と、出場への意欲を示す。 同じく天皇杯ではチャンスに絡みながらも決定機を逃す形となっていた山田は「点を取らなければいけないシーンで点を取れなかったので、そこはリベンジしたい。前からの圧をかけるところであったり、自分の特長で言うと、背後のところを狙っていきたい」と意気込んだ。 2024.10.05 20:30 Sat
4

東京Vの城福監督、今季3度目対峙の湘南戦へ「アグレッシブな場面を多く出したい」…今節残留確定の可能性も「とにかく研ぎ澄ましていく」

東京ヴェルディの城福浩監督が、6日に味の素スタジアムで行われる明治安田J1リーグ第33節の湘南ベルマーレ戦に向けた会見を実施した。 東京Vは前節、ガンバ大阪とアウェイで対戦。勝ち点2差の6位と5位によるシックスポインターは前回対戦同様に堅い展開となった中、後半半ばにホームチームが先制点を奪った。それでも、最後まで諦めずにゴールを目指したアウェイチームは後半アディショナルタイムにキャプテンのMF森田晃樹が決めた値千金のJ1初ゴールによって土壇場で1-1のドローに持ち込んだ。 これで連勝が「4」でストップしたが、勝ち点1を積み上げると共に無敗試合を「6」に更新。そして、今節の結果次第ではチームの最大の目標であるJ1残留が確定することになる。 先述の4連勝もあって残留はほぼ決定的と言える状況ながらも、以前から「危機感」という言葉を繰り返し強調してきた指揮官は「数字的に決まるというのは、ある意味ひとつ大きなこと」と残り5節の段階での残留確定について触れながらも「今になってそれを意識するかといったらそうではない」と、あくまで残り試合において自分たちの戦いにフォーカス。 「自分たちはずっと勝ち点が今の18位のチームと勝ち点差がいくつでとか、上の順位のチームが勝ち点がいくつでというよりは、我々の今年目指すべき表現したいサッカーにフォーカスしている。結果としてそれが我々が今どのステージに立っているかというところだと思っているので、そこのスタンスは全く変わらないです」 「数字的な残留が決まるというのは初めて聞きましたが、この前のガンバ戦から得たものを次にどう活かして、前節よりも強いチームとして表現できるかどうかというのを毎試合積み上げてきた結果だと思うので、それがそういう数字的な事実として言えるような状況になるのであれば、それは喜ばしいことではありますけど、今になってそれを意識するかといったらそうではないです」 同じく来季もJ1での戦いが見えてきた上、ある意味で“ボーナス”と言える上位進出へのチャレンジができる状況においては、新たなアプローチを試したいという気持ちに駆られる部分もある。 城福監督もその長い指導者キャリアを通じてそういった試行錯誤を行ってきたという。 「チームによってシチュエーションが違うというか、内情も違いますし歴史も違う。もちろん選手の個性も違うので何とも言えないですけど、自分が今まで経験してきた中で言うと、何か新たなことにチャレンジしたくなる。もう一個上へ行くには、ここを改善できればいいとか、ここの課題を克服できればいいとか、代表ウィークが多くなる秋、あるいは夏も含めて、かつては自分もチャレンジしたこともありました」 「それはチームがうまくいっていようがいまいが、うまくいっていてもさらに良くなるのではないかと思ってやりますし、例えばケガ人が出たり、主力選手のコンディションが上がってこなかったりしたときに、チームとしてやってきたこと、やり方を変えるわけではないけども、プラスして強く意識させるものを加えていくということをやってきたことがありました」 「自分の経験の中では、もちろんそれが全て失敗だったわけではないけども、やっぱりそれで良くなかったことの方が多かった」 その苦い経験を土台に今後のチームマネジメントにおいては、ブレずに「研ぎ澄ましていく」ことを最優先に考えている。 「課題は認識しながらもやり方を変えずに、研ぎ澄ましていくということを、特にヴェルディに来てからは毎年いろんな顔をインサイドから見ても、選手のスカッドもそうですけども表情があって、シチュエーションもあるんですけど、取り組み続けていることよりも優先順位の高いものが新たにあるという状況というのはチームにとって良いことではない。自分は経験則的に思っているので、とにかく研ぎ澄ましていくというところにフォーカスしています」 ホーム3連勝を狙う今節は残留争いの真っただ中に身を置く16位の湘南と対戦。今シーズンはアウェイ開催のリーグ前回対戦を2-1の逆転で制し今季の初勝利を挙げた一方、直近の天皇杯の対戦では0-1で敗れており、1勝1敗で臨む3度目の対戦で勝ち越しを狙う。 現状のチーム状態を鑑みれば、ホームチーム優位という見方が強いが、城福監督は「2試合戦って内容的にトータルで見たら負けている」と、比較的スタイルも近い湘南への警戒を口にした。 「もちろんルキアンという主軸というか、中心のストライカーが不在(出場停止)であるという事実はあるにせよ、我々はルキアンがいないメンバーに天皇杯で負けていますし、2試合戦って内容的に見たら、トータルで見たら負けているなと思います。リーグ戦も前半何もできないまま耐え切れずにルキアンに点を取られて、終盤逆転できましたけど、ゲームのトータルで言えば、湘南のゲームというふうに認識しています」 「天皇杯も前半は行ったり来たりのゲームでしたが、見返してみても失点する前の15分間ぐらいは完全に湘南のゲームだった。チャンスを何回か作られて決定的なチャンスが3回目ぐらいで点を取られているので、湘南の全員がボールを触りながら、全員でパス&ムーブをしながら、ゴールに向かっていくというのにちょっと翻弄された時間が2試合ともあったので、ここはしっかり締めたり、最終的なゴール前で体を張るというところと、もうひとつは腰が引けたサッカーをやると、やはり相手に押し込まれるので、我々が押し返すような時間をもっと増やしていかないといけない。我々が相手を引かせるような場面というのも作らなければいけないなと思っています」 いずれも1点差だった2度の対戦を踏まえ、今回も拮抗した戦いを覚悟する中、前からの守備とカウンターを勝負のポイントと捉える。 「まず守備で言えば、プレッシャーに行けるチャンスを逃がさない。相手が繋いでくるから、そこを意識して中を固めることだけに注力すると、おそらく簡単に相手にゲイン(前進)することを許してしまうので、たとえその守り方で守れたとしてもボールを奪うポイントが我々のゴールに近いところなので、カウンターを発動するのはかなり難しくなると思う。できるだけ前でプレッシャーをかけるチャンスを逃がさないという守備を全員でやりたい」 「ただそうは言っても相手のポゼッションはある程度洗練されているので、辛抱する時間もあると思う。その中でカウンターをどう発動していくかと、そのカウンターをきっかけに自分たちの時間をさらにまた取り戻すというような機会を多くしたいなと思います。あまり腰が引けたサッカーをやると、カウンターを発動するような守備もできなくなってしまうので、そこはメリハリをつけてアグレッシブな場面というのを多く出したいなと思います」 対戦相手の湘南では“残留力”とも表現される残留争い常連ゆえのシーズン終盤における傑出した勝負強さが話題に挙がるが、城福体制の東京Vも夏の苦戦を乗り越えた後の終盤戦に傑出した強さを見せている。 城福監督が途中就任した2022シーズンのJ2リーグでは5連勝フィニッシュ、16年ぶりのJ1復帰を成し遂げた2023シーズンは昇格プレーオフ2試合を含め9月以降は12戦無敗。今季も直近4勝2分けと無類の強さだ。 酷暑で運動量が落ちる夏の戦いの苦戦はハイインテンシティを特長とするチームスタイルと関連付けられる部分だが、それ以外にもチームの積み上げや若手の成長が好結果に繋がっている印象だ。 その要因について指揮官は明確な相関関係はわからないとしながらも、チームとしてのコンセプトの共有や最大値を出すための試行錯誤が結実した結果をひとつの理由に挙げた。 「チームが目指しているものを共有して積み上げていくこと。その表現したいものの最大値がシステムという言い方がいいか、立ち位置的に何が一番の最大値なのかを探ること。個人の組み合わせにおいてどれが一番の最大値なのかを探ることというのは、やはりどれも短期間でできない。やり続けて目指し続ける中で、今のこのスカッドの中で、どういう役割を各々に託すことが最大値になるのかというのが、チームとして共有できてくるのがやはり終盤になってしまうというところはあると思います」 「ひとつには、このチームでは(シーズン中に)メンバーが変わることが普通で、積み上げたとしてもその主力がいなくなるというサイクルの中で言えば、やはり数カ月において積み上げる時間が必要。最大値を見つける中でどうしても時間が必要で、それが半年でできればいいですけど、7、8カ月かかる場合もある」 「去年で言えば、J1仕様にしていくのに(昇格プレーオフを終えた)12月2日以降からスタートしたという意味でも、やはりメンバーが大幅に変わるので、彼らとベースを共有して染み込ませて、競争させて最大値を見つけていくというところは日々やっている。しかも1日も早く最大値を見つけたいと思ってやっているというのが僕の立場なので、それが結果として終盤のところでそういうふうになっているのに関係しているのかはちょっとわからないです」 ここにきて主力メンバーは固まりつつあるものの、虎視眈々とポジション奪取を狙う貪欲な控えメンバーの最終盤の台頭と共に最後まで最大値を探る、未だ伸びしろ豊かなチームは残り6試合でのさらなる躍進を目指す。 2024.10.05 20:00 Sat
5

飛躍続ける緑の名門支える強靭な翼…右WBで存在感示す東京Vの宮原和也「いまは少しずつできている部分がある」

好調を継続する昇格組の右ウイングバックが存在感を示している。 東京ヴェルディは前節、サガン鳥栖とのホームゲームを2-0で勝利し、今シーズン初の4連勝を達成。開幕前は残留争いのメインキャストを担うと見られていた中、残り7試合の時点で勝ち点47の6位と大躍進を見せている。 直近の4連勝では全試合で複数得点を記録するなど、一時の3試合連続無得点の苦境を乗り越えた攻撃陣の活躍がフォーカスされるが、左サイドのMF翁長聖と共に、90分を通じ攻守両面でハイクオリティのパフォーマンスを継続するDF宮原和也の安定感が際立っている。 昨シーズン、名古屋グランパスを離れて長らくJ2の沼にはまっていた緑の名門に加入した28歳は、右サイドバックの絶対的な主力に君臨。傑出した対人守備や優れたサッカーIQを活かした的確な判断能力でサイドに蓋をすると、攻撃でもボランチでのプレー経験を活かした安定した繋ぎ、機を見た攻撃参加からの正確なクロスでチャンスを演出。J2ベストイレブンに選出される、見事な活躍によって16年ぶりのJ1昇格の立役者の一人となった。 チームとして16年ぶりのJ1挑戦となった今シーズンはJ1未経験組や通算出場数が「50」に満たない経験不足のチームにおいて、牽引車としての活躍も期待されたが、プレシーズンとシーズン序盤に負った2度のケガの影響で本来のパフォーマンス発揮には至らず。一時はボランチやウイングバックでのクローザー役も経験した。 それでも、[3-4-2-1]のセンターバックでのプレーや中断期間の集中的なコンディション調整を経て状態を上げると、直近は4試合連続で右ウイングバックとしてフル出場。持ち味の安定した守備に加え、相手ボックス内に侵入していくアグレッシブな攻撃参加も増えている。 ここまでコンディション面に関して途上にあると語ってきた宮原だが、より運動量やハードワークが求められるウイングバックでの継続起用の効果も含め、ここにきて自身のフィジカルコンディションの向上を実感しているという。 「ウイングバックをすることによって上下動するシーンはたくさんあると思いますし、自分はしっかり攻撃の部分ではクロスのシーンに入っていくというのも意識しています。守備の部分でもしっかりチャレンジ&カバーというか、そういうのも含めて意識している部分はあるので、それに関して体がついてきています」 キャリアを通じてもちろん経験はあるものの、ここにきて本格的にプレーし始めたウイングバックでのプレーについては試行錯誤の部分はありながらも徐々に手応えを感じている。 「基本的に最初のプレッシャーの部分で、相手との距離が近い部分はウイングバックだとあるので、そこの間合いというのは少し近づける部分が4バックのときよりありますし、絞りの部分だったりは、自分の予測だったりそういう部分。いまは少しずつできている部分があるので、しっかり続けられるようにという感じです」 「(攻撃面に関して)次は相手が4バックなので、相手のサイドハーフがどこにプレッシャーに行くのかで、自分の立ち位置とかも決まってくると思いますし、サイドハーフが自分たちの3センターバックの方に食いつくのであれば、しっかりサイドバックを引き出す動きというか、そこは見せながらフォワードかシャドーに当てさせるというイメージもしなければいけないと思うので、しっかり相手を見ながら動き出せるようにしたいです」 その新境地を開きつつある宮原に関して、城福浩監督は右サイドバックがジャストなポジションであることを認めながらも、[4-4-2]から[3-4-2-1]への布陣変更後に、今後のキャリアも見据えた上で「自分の可能性を追い求めるチャンス」と捉えて新たな役割にチャレンジしてほしいと腹を割って話し合ったことを明かしている。 「彼は以前所属していたチームでも4バックでやっているときにサイドバックとしてやっていましたし、3バックでやったときにはおそらくウイングバックあるいはセンターバックで可能性を試されていたと思います。4バックでやることが、おそらく彼のサッカー人生の中でも多かったと思いますし、その中でこのチームでもJ2であったときに存在を示してきた」 「その中で3バックになったときに、本来のジャストなポジションというのがなくなったと感じるのか、そういう思考になるのか。これで3バックのセンターバックか、あのシステムのウイングバックがやれるようになれば、選手の幅が広がるようになるのか。おそらく彼はあと数年トップレベルでやれる選手だと思いますけど、さらにもう5年トップレベルでやるためにここがチャンスと思うのか。自分のジャストなポジションがなくなったと思うか。これは考え方次第だということを復帰したときに彼と話していました」 「『これをどう捉えるかだぞ』、『自分の可能性を追い求めるチャンスだと思ってやってくれ』と、ただそれにはセンターバックもウイングバックも両方ある。そこをやらされているのではなくて、『そこでもできる宮原和也を示してくれ』ということは話しました」 その指揮官の要求に真摯に応えた結果が直近の好パフォーマンスに繋がっていることは明白だ。そして、城福監督も「彼は非常にポジティブに取り組んでくれたと思っていますし、最近のあの運動量とかスプリントの回数というのは僕もちょっと驚いています」と、ベテランに差し掛かりつつある28歳の活躍に目を細めている。 逆サイドの翁長と共に飛躍を続ける緑の名門を支える強靭な翼は、28日にパナソニックスタジアム吹田で行われる明治安田J1第32節のガンバ大阪戦でも攻守にカギを握る存在となる。 勝ち点2差で臨む5位チームとのシックスポインターに向け、宮原は前節の反省や元同僚DF中谷進之介、FW宇佐美貴史ら相手の攻守のキーマンを警戒しつつ、チームとしてしっかりとした戦いをみせ、勝ち点3を持ち帰りたいと意気込んだ。 「前の鳥栖戦では結構危ないシーンはたくさんありましたし、決められてもおかしくないシーンというのはたくさんあったので、そこへの修正というのは絶対大事になってくる。正直点を決められて、勝敗がわからなくなってもおかしくないシーンというのがあったので、本当に紙一重だと思うので、そういうのは本当に90分通して、そういうチャンスを作らせないようにすることが大事です」 「(中谷は)対角へのフィードとかはうまいと思うので、そこはしっかりと見ながらという感じ。前回対戦でも守備は堅くてブロックをしっかり組んでいる感じなので、しっかり左右に揺さぶりながらというのは大事」 「(宇佐美は)少しの時間や余裕を与えると足を振ってきますし、右も左も蹴れると思うので、そこに対しては本当に厳しくいかなければいけないと思います」 2024.09.27 20:00 Fri

東京ヴェルディの人気記事ランキング

1

残留近づく好調の東京Vで虎視眈々とチャンス窺う…清水とのTMで結果残した山田剛綺らが意気込む

シーズン終盤を迎えて最大の目標達成に近づく東京ヴェルディだが、チーム内では依然としてハイレベルのポジション争いが繰り広げられている。そして、虎視眈々とチャンスを窺う選手たちが残り試合への意気込みを語った。 東京Vは前節、ガンバ大阪とアウェイゲームを1-1のドローで終えた。2003年以来の5連勝と共に5位浮上のチャンスは逃したが、勝ち点1を積み上げると共に無敗試合を「6」に更新。 そして、6日に味の素スタジアムで行われる明治安田J1リーグ第33節の湘南ベルマーレ戦や他クラブの結果次第では最大の目標であるJ1残留が確定することになる。 ここにきてチームでは主力メンバーが固定されつつあるものの、城福浩監督は「歯を食いしばってやり続けている選手は必ずどこかでチャンスをあげたい」と日々のトレーニングやチームの最大値を見極めながら、虎視眈々とチャンスを窺う控えメンバーの起用のタイミングを図る。 そんな中で、G大阪戦翌日には昨シーズンの昇格プレーオフ決勝で激闘を演じ、今シーズンのJ2リーグ首位でJ1昇格に王手をかける清水エスパルスとのトレーニングマッチを実施。互いに控えメンバーや若手中心での対戦となったが、東京Vは45分×2の一戦を3-1で勝利した。 そのトレーニングマッチに関して指揮官は「厳しいスケジュールの中、翌日の練習試合に臨んでいくというのはこのチームらしいと思いますし、そこで高いモチベーションでやってくれた選手たちがいる。心強かったというか、『いつでも取って代わるぞ』というファイティングポーズを見せてくれた選手が何人かいた」と、チームの姿勢を評価していた。 その一戦で1ゴール1アシストと大きなアピールを見せたのはFW山田剛綺。加入1年目でJ1昇格に貢献したストライカーは、今季ここまで途中出場を中心にリーグ戦20試合に出場もノーゴール。南米のストライカーを彷彿とさせるゴムまりのような高い身体能力を武器に、攻守両面で才能の片りんを垣間見せるが、初のJ1で苦戦が試行錯誤の日々が続く。 それでも、右シャドーでフル出場した清水戦では「ボールを引き出すところであったり、自分の特長である背後というところは右のシャドーながら、結構できたのかなと。守備のところでの強度であったり、そういう違いは見せられたのかなと思います」と、手応えを口に。 ここ最近はリード時の試合終盤にクローザー役としての出場が多く、ストライカーとしては一番に求められるチームプレーを最優先にこなした上で少ないチャンスを結果に繋げるという部分で難しい部分もある。 ただ、山田はそういったエクスキューズに甘えることなく、チームの勝利を最優先とした上でポジション奪取に繋がる結果を残したいと高い志を示す。 「チームが勝つためにというところで、途中から出るときはそこに全てを懸けてやっていますし、チームを勝たすために出させてもらっているので、自分のやりたいことよりもチームがやるべきこと、自分がやらないといけないことを最優先に考えてやっています」 「点を取りに行くにしても守るにしても自分のできること、求められていることを与えられた時間の中で、全て出し尽くして終わるということしか考えていないです」 「日々の練習や練習試合から結果を残すというところは常に意識していますし、そこで結果を出せなかったら、やっぱり使ってもらえない。自分がもし監督でも使わないと思うので、とにかくやり続けるというところは1年通して意識しています」 DF深澤大輝は清水戦でウイングバック、3バックの右の2つのポジションでプレー。持ち味の攻撃参加から1ゴールを記録。山田と共に目に見える結果でアピールした選手の一人だ。 左右のウイングバックに3バックのサイドでプレー可能な守備のマルチロールは開幕直後こそ9試合連続でスタメン出場したが、ケガによる離脱や序列の低下もあって後半戦は第28節鹿島アントラーズ戦の途中出場の1試合のみ。より激化するウイングバックのポジション争いにおいてベンチメンバーを外れる試合も少なくない。 それでも、久々の練習試合は日本一のトレーニングを志すチームの取り組みの正しさ、試合から遠ざかりながらも自身の成長を実感できるものになったという。 「個人的にも久々の練習試合というのもあって、相手も清水という部分で気持ちも入っていましたし、チームとしても最初は入りが悪い中でセットプレーで失点してしまいましたが、それがなかったらすごくいい試合だったなというのも、やっていたみんなも思っていましたし、仁志さん(森下コーチ)なんかも言ってくださっていました。もっとできたなというところもありましたが、充実した練習試合でした」 「(自身のゴールを通じて)上下動でゴール前に入っていくところというのはもう一度自分のストロングだなというのを再確認できましたし、そこの運動量のところは夏の毎日の積み重ね、2部練とかもしていましたし、そういうので走れるようになっている感覚はあります」 「夏場にすごくハードな練習ができたので、最近涼しくなってきて走れるなという自信に繋がるゲームでもありましたし、数値とかを見てもスプリントの回数とかも個人的には増えていたので、そこら辺は日々の積み重ねが大事だなというふうに改めて思いましたし、あとはJリーグの試合に出るために日々やっていくだけという感じです」 ここまで途中出場がメインながらリーグ戦24試合1ゴールの数字を残し、左右のウイングバックに2シャドー、攻撃的サイドバックのオプションにもなれるMF松橋優安は高い確率で18人のメンバーに入りつつ、より多くのプレータイム確保を狙う選手の一人。 前節のG大阪戦ではここ最近目立つクローザー役ではなくビハインドの状況で攻撃面を期待されての投入に。また、清水戦では本職のサイドに加え、チーム事情でボランチのポジションでもプレーした。 ここ最近では攻撃面で少しずつ手応えを感じつつ、清水戦でのボランチ起用に対しても自身の成長に繋がるとポジティブに振り返る。 「徐々にシーズン中盤から攻撃の部分でも自分の良さを出せるようになってきたので、ピッチに出たときに、まず良い守備からというのは忘れずにしっかり意識しながら、ビハインドのときは自分のところで違いを出せるように、ゴールに向かったプレーができるようにというのはベンチでいつも意識しています」 「(清水戦では)3つのポジションをやらせてもらって、本当にいい経験になりましたし、今回はボランチでプレーする時間が長かったですけど、また違った景色も見られて自分に足りない部分、逆にボランチでも通用する部分というのを感じられたので、そこは今後のサッカー人生にも繋がると思います」 今回の湘南戦に向けては保有元との対戦で前節を欠場したFW山見大登の復帰が確実となり、3選手共に18名のメンバー入りに向けては当落線上と言わざるを得ない。 それでも、天皇杯の前回対戦において攻撃面で見せ場を作っていた松橋は「天皇杯では自分の攻撃が通用するという部分で、少し意識が変わった試合でもあったので、印象はいいですし、やれる自信もある。出るとなれば自分のプレーを出せるように準備しています」と、出場への意欲を示す。 同じく天皇杯ではチャンスに絡みながらも決定機を逃す形となっていた山田は「点を取らなければいけないシーンで点を取れなかったので、そこはリベンジしたい。前からの圧をかけるところであったり、自分の特長で言うと、背後のところを狙っていきたい」と意気込んだ。 2024.10.05 20:30 Sat
2

東京Vの城福監督、今季3度目対峙の湘南戦へ「アグレッシブな場面を多く出したい」…今節残留確定の可能性も「とにかく研ぎ澄ましていく」

東京ヴェルディの城福浩監督が、6日に味の素スタジアムで行われる明治安田J1リーグ第33節の湘南ベルマーレ戦に向けた会見を実施した。 東京Vは前節、ガンバ大阪とアウェイで対戦。勝ち点2差の6位と5位によるシックスポインターは前回対戦同様に堅い展開となった中、後半半ばにホームチームが先制点を奪った。それでも、最後まで諦めずにゴールを目指したアウェイチームは後半アディショナルタイムにキャプテンのMF森田晃樹が決めた値千金のJ1初ゴールによって土壇場で1-1のドローに持ち込んだ。 これで連勝が「4」でストップしたが、勝ち点1を積み上げると共に無敗試合を「6」に更新。そして、今節の結果次第ではチームの最大の目標であるJ1残留が確定することになる。 先述の4連勝もあって残留はほぼ決定的と言える状況ながらも、以前から「危機感」という言葉を繰り返し強調してきた指揮官は「数字的に決まるというのは、ある意味ひとつ大きなこと」と残り5節の段階での残留確定について触れながらも「今になってそれを意識するかといったらそうではない」と、あくまで残り試合において自分たちの戦いにフォーカス。 「自分たちはずっと勝ち点が今の18位のチームと勝ち点差がいくつでとか、上の順位のチームが勝ち点がいくつでというよりは、我々の今年目指すべき表現したいサッカーにフォーカスしている。結果としてそれが我々が今どのステージに立っているかというところだと思っているので、そこのスタンスは全く変わらないです」 「数字的な残留が決まるというのは初めて聞きましたが、この前のガンバ戦から得たものを次にどう活かして、前節よりも強いチームとして表現できるかどうかというのを毎試合積み上げてきた結果だと思うので、それがそういう数字的な事実として言えるような状況になるのであれば、それは喜ばしいことではありますけど、今になってそれを意識するかといったらそうではないです」 同じく来季もJ1での戦いが見えてきた上、ある意味で“ボーナス”と言える上位進出へのチャレンジができる状況においては、新たなアプローチを試したいという気持ちに駆られる部分もある。 城福監督もその長い指導者キャリアを通じてそういった試行錯誤を行ってきたという。 「チームによってシチュエーションが違うというか、内情も違いますし歴史も違う。もちろん選手の個性も違うので何とも言えないですけど、自分が今まで経験してきた中で言うと、何か新たなことにチャレンジしたくなる。もう一個上へ行くには、ここを改善できればいいとか、ここの課題を克服できればいいとか、代表ウィークが多くなる秋、あるいは夏も含めて、かつては自分もチャレンジしたこともありました」 「それはチームがうまくいっていようがいまいが、うまくいっていてもさらに良くなるのではないかと思ってやりますし、例えばケガ人が出たり、主力選手のコンディションが上がってこなかったりしたときに、チームとしてやってきたこと、やり方を変えるわけではないけども、プラスして強く意識させるものを加えていくということをやってきたことがありました」 「自分の経験の中では、もちろんそれが全て失敗だったわけではないけども、やっぱりそれで良くなかったことの方が多かった」 その苦い経験を土台に今後のチームマネジメントにおいては、ブレずに「研ぎ澄ましていく」ことを最優先に考えている。 「課題は認識しながらもやり方を変えずに、研ぎ澄ましていくということを、特にヴェルディに来てからは毎年いろんな顔をインサイドから見ても、選手のスカッドもそうですけども表情があって、シチュエーションもあるんですけど、取り組み続けていることよりも優先順位の高いものが新たにあるという状況というのはチームにとって良いことではない。自分は経験則的に思っているので、とにかく研ぎ澄ましていくというところにフォーカスしています」 ホーム3連勝を狙う今節は残留争いの真っただ中に身を置く16位の湘南と対戦。今シーズンはアウェイ開催のリーグ前回対戦を2-1の逆転で制し今季の初勝利を挙げた一方、直近の天皇杯の対戦では0-1で敗れており、1勝1敗で臨む3度目の対戦で勝ち越しを狙う。 現状のチーム状態を鑑みれば、ホームチーム優位という見方が強いが、城福監督は「2試合戦って内容的にトータルで見たら負けている」と、比較的スタイルも近い湘南への警戒を口にした。 「もちろんルキアンという主軸というか、中心のストライカーが不在(出場停止)であるという事実はあるにせよ、我々はルキアンがいないメンバーに天皇杯で負けていますし、2試合戦って内容的に見たら、トータルで見たら負けているなと思います。リーグ戦も前半何もできないまま耐え切れずにルキアンに点を取られて、終盤逆転できましたけど、ゲームのトータルで言えば、湘南のゲームというふうに認識しています」 「天皇杯も前半は行ったり来たりのゲームでしたが、見返してみても失点する前の15分間ぐらいは完全に湘南のゲームだった。チャンスを何回か作られて決定的なチャンスが3回目ぐらいで点を取られているので、湘南の全員がボールを触りながら、全員でパス&ムーブをしながら、ゴールに向かっていくというのにちょっと翻弄された時間が2試合ともあったので、ここはしっかり締めたり、最終的なゴール前で体を張るというところと、もうひとつは腰が引けたサッカーをやると、やはり相手に押し込まれるので、我々が押し返すような時間をもっと増やしていかないといけない。我々が相手を引かせるような場面というのも作らなければいけないなと思っています」 いずれも1点差だった2度の対戦を踏まえ、今回も拮抗した戦いを覚悟する中、前からの守備とカウンターを勝負のポイントと捉える。 「まず守備で言えば、プレッシャーに行けるチャンスを逃がさない。相手が繋いでくるから、そこを意識して中を固めることだけに注力すると、おそらく簡単に相手にゲイン(前進)することを許してしまうので、たとえその守り方で守れたとしてもボールを奪うポイントが我々のゴールに近いところなので、カウンターを発動するのはかなり難しくなると思う。できるだけ前でプレッシャーをかけるチャンスを逃がさないという守備を全員でやりたい」 「ただそうは言っても相手のポゼッションはある程度洗練されているので、辛抱する時間もあると思う。その中でカウンターをどう発動していくかと、そのカウンターをきっかけに自分たちの時間をさらにまた取り戻すというような機会を多くしたいなと思います。あまり腰が引けたサッカーをやると、カウンターを発動するような守備もできなくなってしまうので、そこはメリハリをつけてアグレッシブな場面というのを多く出したいなと思います」 対戦相手の湘南では“残留力”とも表現される残留争い常連ゆえのシーズン終盤における傑出した勝負強さが話題に挙がるが、城福体制の東京Vも夏の苦戦を乗り越えた後の終盤戦に傑出した強さを見せている。 城福監督が途中就任した2022シーズンのJ2リーグでは5連勝フィニッシュ、16年ぶりのJ1復帰を成し遂げた2023シーズンは昇格プレーオフ2試合を含め9月以降は12戦無敗。今季も直近4勝2分けと無類の強さだ。 酷暑で運動量が落ちる夏の戦いの苦戦はハイインテンシティを特長とするチームスタイルと関連付けられる部分だが、それ以外にもチームの積み上げや若手の成長が好結果に繋がっている印象だ。 その要因について指揮官は明確な相関関係はわからないとしながらも、チームとしてのコンセプトの共有や最大値を出すための試行錯誤が結実した結果をひとつの理由に挙げた。 「チームが目指しているものを共有して積み上げていくこと。その表現したいものの最大値がシステムという言い方がいいか、立ち位置的に何が一番の最大値なのかを探ること。個人の組み合わせにおいてどれが一番の最大値なのかを探ることというのは、やはりどれも短期間でできない。やり続けて目指し続ける中で、今のこのスカッドの中で、どういう役割を各々に託すことが最大値になるのかというのが、チームとして共有できてくるのがやはり終盤になってしまうというところはあると思います」 「ひとつには、このチームでは(シーズン中に)メンバーが変わることが普通で、積み上げたとしてもその主力がいなくなるというサイクルの中で言えば、やはり数カ月において積み上げる時間が必要。最大値を見つける中でどうしても時間が必要で、それが半年でできればいいですけど、7、8カ月かかる場合もある」 「去年で言えば、J1仕様にしていくのに(昇格プレーオフを終えた)12月2日以降からスタートしたという意味でも、やはりメンバーが大幅に変わるので、彼らとベースを共有して染み込ませて、競争させて最大値を見つけていくというところは日々やっている。しかも1日も早く最大値を見つけたいと思ってやっているというのが僕の立場なので、それが結果として終盤のところでそういうふうになっているのに関係しているのかはちょっとわからないです」 ここにきて主力メンバーは固まりつつあるものの、虎視眈々とポジション奪取を狙う貪欲な控えメンバーの最終盤の台頭と共に最後まで最大値を探る、未だ伸びしろ豊かなチームは残り6試合でのさらなる躍進を目指す。 2024.10.05 20:00 Sat
3

「残り試合に向け背中を押してくれる」…東京V・城福監督は連勝ストップも土壇場ドローに持ち込んだプロセスを評価

東京ヴェルディの城福浩監督が、劇的ドローに持ち込んだ一戦を振り返った。 東京Vは28日、パナソニックスタジアム吹田で行われた明治安田J1リーグ第32節のガンバ大阪戦を1-1のドローで終えた。 勝ち点2差で5位に位置するホームチーム相手に1999年以来、25年ぶりとなるJ1での5連勝を目指した6位チーム。ゴールレスドローに終わった前回対戦同様に睨み合いの展開が続いた中、前半は大きな見せ場を作れず。後半はよりオープンな展開となり、FW木村勇大や途中出場のMF見木友哉に決定機が訪れたが、DF中谷進之介のゴールカバーやGK一森純の好守に阻まれた。 すると、74分には一瞬の隙を突かれて中央を完璧に崩されると、FW宇佐美貴史の絶妙なラストパスに3列目からの飛び出しで反応したMFダワンに左足シュートを決められて3試合ぶりの失点。 以降は守備的な交代策を含め逃げ切り態勢に入ったG大阪の堅守攻略に手を焼いたが、後半アディショナルタイムの94分にセットプレーの二次攻撃からMF森田晃樹が放ったミドルシュートが相手DFにディフレクトする形でゴールネットを揺らし、土壇場で追いついて1-1のドローに持ち込んだ。 リーグ連勝が「4」でストップし、5位浮上のチャンスを逃す形となったが、指揮官は概ねプラン通りに進め、手応えを感じた中で勝ち点1を持ち帰った一戦をポジティブに受け止めた。 「前半はちょっと我々が急いだというのもあって、相手ボールの時間がちょっと長かったですけれども、ただ絶対にやらせてはいけないバイタルエリアのところの意識は非常に高かったので、ほとんど足を振らせるシーンはなかったと思います」 「ボールは持たれていたけれども、バイタルエリアで仕事をさせない。そうなれば、後半オープンになってきて我々の時間が増えるだろうというふうに思っていたので、そこはある意味でプラン通りでした。一瞬の隙を突かれて点を決められて、ガンバさんのキープ力をベースとした時間をしっかり使っていくというところに苦しめられましたけど、最後に諦めずによく押し込んだなというふうに思います」 ただ、試合内容に関してはエアポケットのような形で喫した失点場面の対応に加え、準備してきた崩しの形の徹底の部分で、構えた際には攻略が困難なリーグ2位の堅守を誇る相手に対して“一発”を狙いすぎた点を課題として挙げている。 「オープンになってきてボールが繋げそうというか、決定的なシーンまで一本のパスで行けそうな感覚があったと思います。そこで『我々は急ぎすぎるな』と、『もっと動かした方が相手は嫌がる』と、そのスピードアップするタイミングというのはもっとペナの付近でいいというところは何回も言いました」 「ボールホルダーが結構フリーになったので、スピードアップするのが早くて、ペナに行く前に勝負のパスだったり、勝負のドリブルというのが始まってしまって、相手を揺さぶる前にボールを奪われるという、もったいないシーンがいくつかありました。辛抱強く回して回してもっとペナの周辺で、見木友哉の決定的なシーンというのも、かなり辛抱強く回した最後のところで顔を出したシーンだったので、ああいうシーンをもっと多く後半最初から作りたかったなと」 それでも、最終的にチームはセットプレー流れでツキにも恵まれる形ではあったものの、自分たちのやり方を貫いた末にゴールをこじ開け、しぶとく敵地から勝ち点1を持ち帰った。 城福監督は引き分けという結果以上に、同点に持ち込んだプロセスを評価し、この経験が残り試合において選手たちの背中を押すものになると考えている。 「自分たちが手応えのある内容の中で点を取られて、今までであればズルズルこのまま時間が過ぎていったような試合になったことは多かったと思います。この連勝になる前の数試合というのは手応えがありながらも点を決め切れないで、最後に点を取られて勝ち点0で終わる試合というのがありました」 「やり続けるということが大事だというのは、連敗をして引き分けてその後に連勝が始まったときに自分たちは痛感しているので、焦れないでやり続けると。我々が目指しているボールの運び方と展開をやり続けることで、チャンスが出てくるんだというのは、みんなが感じていたと思います」 「我々が一番大事にするのは自分たちのサッカーを信じてやり続けることなので、それで同点にできたというのは残り試合において自分たちのやっていることを信じてやり続けるということに対して、背中を押してくれるものがあったと思います」 これで連勝はストップしたものの、無敗試合を「6」に更新した東京Vは残り6試合でのさらなる躍進を目指し、次節はホームで16位の湘南ベルマーレを迎え撃つ。 2024.09.29 07:45 Sun
4

待望のJ1初ゴールは敗戦から救う劇的一発に…東京V主将の森田晃樹「チャレンジして結果に繋がって良かった」

東京ヴェルディでキャプテンを務めるMF森田晃樹が待望のJ1初ゴールを挙げた。 東京Vは28日、パナソニックスタジアム吹田で行われた明治安田J1リーグ第32節のガンバ大阪戦を1-1のドローで終えた。 4連勝中で6位の東京Vと7戦勝利がない5位のG大阪が2ポイント差で迎えたシックスポインターは、ゴールレスドローに終わった前回対戦同様にクローズな展開で後半に突入。 よりオープンな展開の中でMFダワンに先制点を奪われたアウェイチームは両ウイングバックにMF松橋優安、MF松村優太とアタッカータイプの選手を入れて前がかるも、守備的な交代策を含めて逃げ切り態勢に入ったホームチームの堅守に苦戦。1点ビハインドのまま後半アディショナルタイムを迎えたが、この土壇場で頼れる主将が執念を見せた。 94分、相手陣内右サイドで得たFKの場面でキッカーのMF見木友哉の高速クロスがボックス内でDFに撥ね返されるも、ペナルティアーク付近でこぼれ球に反応した緑の背番号7が右足を一閃。ゴール前の密集を抜けたグラウンダーシュートはGK一森純がしっかりと反応していたが、その手前でクリアを試みたDF福岡将太が触ったことでコースが変わり、ゴール中央に突き刺さった。 シュート直後に足が攣ってしまうなど、満身創痍の状況で24歳の執念が生んだ値千金の同点ゴールによって敗戦を免れた東京Vは、連勝がストップしたものの難敵相手のアウェイゲームで貴重な勝ち点1を持ち帰ることになった。 J1デビューから27試合目にして待望の初ゴールを挙げた森田は「いいところにこぼれてきたので、足を振れる距離でしたし、迷わず打てたと思います。まずは枠に打てたというのが良かったのと、ふかさずに打てたというところで、相手のそういう当たって入るという感じのハプニングを起こせたのかなと思います」と、劇的な形での殊勲の一発を普段通り飄々とした口調で振り返った。 プロ1年目の水戸ホーリーホック戦では鮮烈なミドルシュートでプロ初ゴールを決めていたものの、以降のプロキャリアでは“天才”とも評される傑出したテクニックと攻撃センスでチャンスメークで存在感を示す一方、ミドルシュートを含めシュート、フィニッシュは課題となっていた。 とりわけ、城福浩監督の下では2ボランチの一角で“へそ”と呼ばれるビルドアップの起点としてアンカーに近い役割を担い、より相手ゴールから遠ざかる形となっていた。 そんな中でも日々のトレーニングにプラスしてシュート練習にも励んでいた効果がようやくこの試合で実を結んだ。それだけに形はどうであれ、チャレンジした末の待望の結果を素直に喜んでいる。 「ミドルシュートはどのタイミングのどの試合でも狙っているつもりでしたけど、なかなか自分の中でのタイミングがつかめなかった中で、今日はいい形で打てるチャンスがあったので、そういうふうにチャレンジして、結果につながったというのが良かったです」 「得点という結果だけは出てなかったので、どの試合でもそうですけど、得点は本当にほしかったので良かったです」 また、攻守両面で全幅の信頼を寄せながらも、以前から決定的な仕事を求め続けてきた指揮官も、若き主将のブレークスルーを歓迎しつつ、さらなる活躍を促している。 「ボランチというポジションはチームをハンドリングする非常に重要なポジションの中で、絶対譲れないのは守備。あそこが緩ければ、本当にクオリティの高いチームだと、我々の失点シーンなんていうのもそうでしたけど、バイタルエリアで相手に仕事をさせない。そこのハードワークと気迫というのはすごく重要で、それを遂行すれば、攻撃の彼の良さはふんだんに出るというふうに思っていますし、J1でも高いレベルのものを示せる選手だと思っています」 「ただボランチというのは攻守が一体なので、必ずそこをしっかり遂行した後でという言い方がいいか、それをしながらアンカーたる、彼のボールの受け方と配球、ゴール前に入っていくというところを、さらに一個上のレベルを突き詰めてほしいです」 待望のJ1初ゴールはチームを25年ぶりの5連勝に導くものとはならなかったが、「自分たちのボールにしながら相手を押し込んで揺さぶりをかけて、ああいうシーンを作れていると思うので、今日は自分たちがやることをしっかり貫いた結果。勝つことが一番ですけど、ビハインドを負っている中でギリギリで追いついて、アウェイで勝ち点1を得られたことはポジティブに考えています」と、頼もしさ増す主将はチームとしても確かな手応えを得た一戦をポジティブに振り返り、残り6試合へこの勝ち点1を良い形で繋げていきたいとした。 <span class="paragraph-title">【動画】東京Vキャプテンが起死回生の同点弾</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet"><p lang="ja" dir="ltr">/<br>これが東京Vの底力<br>\<br><br>後半ATに値千金の一撃!<a href="https://twitter.com/hashtag/%E6%A3%AE%E7%94%B0%E6%99%83%E6%A8%B9?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#森田晃樹</a> のミドルシュートが<br>相手DFに当たりゴールネットへ<br><br>明治安田J1第32節<br>G大阪×東京V<br><a href="https://twitter.com/hashtag/DAZN?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#DAZN</a> でライブ配信中<a href="https://twitter.com/hashtag/G%E5%A4%A7%E9%98%AA%E6%9D%B1%E4%BA%ACV?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#G大阪東京V</a> <a href="https://t.co/1ryDlL0LmE">pic.twitter.com/1ryDlL0LmE</a></p>&mdash; DAZN Japan (@DAZN_JPN) <a href="https://twitter.com/DAZN_JPN/status/1839968377021792508?ref_src=twsrc%5Etfw">September 28, 2024</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2024.09.29 07:15 Sun
5

G大阪が8戦勝ちなしとブレーキ…指揮官「最後は締めたかったが、運がなかったのかなと」 半田陸復帰にも「本当にすごく重要な選手」

ガンバ大阪の足踏みが続く。 今季序盤戦から残留争いを意識する必要がないほど順調にきたG大阪だが、この終盤戦に入ってブレーキ。天皇杯でこそベスト4に勝ち進むが、明治安田1リーグでの白星は7月14日にアウェイで行われた第23節のサガン鳥栖戦が最後だ。 この嫌な流れを早く断ち切りたいが、28日の第32節では東京ヴェルディとのホーム戦を1-1。目下4連勝で勢いに乗り、勝ち点差も「2」と接近する相手との直接対決で74分にダワンのゴールで先制したが、後半アディショナルタイムに同点弾を浴びた。 順位こそ5位のままだが、これで6分け2敗の8戦未勝利となり、2014年以来の優勝がさらに遠のいたダニエル・ポヤトス監督はこう振り返る。 「こういった形の試合になるかなと自分自身は思っていた。東京Vさんはいい調子で乗り込んできたなか、タフに走って5枚でしっかりと重心が後ろにあり、簡単な前半ではなかったと思う。あとはG大阪の正確性というところが前半になかったかなと。後半はポジショニングを少し修正して、正確性の部分でしっかりとやるんだよというのを選手に伝えた」 「あとはしっかりとそこから自分たちのリズムと決定機を作り出し、試合をコントロールできたと思う。そういった流れでダワンのゴールも生まれた。最後のところはしっかりと締めたかったが、運がなかったのかなと感じる。京都線も含め、運が少し足りないのかなと。結果についてはすごく悔しい気持ちでいっぱいだが、本当に勝つに値した試合だった」 そんなG大阪だが、パリ・オリンピック直前の紅白戦で左腓骨を負傷し、離脱が続いた半田陸が復帰。56分から右サイドバックでプレーし、今後も戦いが続くチームにとって収穫といえる。 スペイン人指揮官は8戦ぶり復帰を果たした半田について、改めて信頼を口にした。 「半田陸は我々にとって、本当にすごく重要な選手。不運なケガがあったが、しっかりと回復して戻ってきた。試合に対しての少しリズムがまだまだ足りなかったり、パチっとスイッチが入るような火花が少し足りないのかなと思うが、しっかりと戦える選手だし、我々には本当に重要な選手だといつも感じている」 G大阪の次節は10月2日。台風の影響でこの日まで持ち越しとなったアウェイでのセレッソ大阪戦となる。 <span class="paragraph-title">【動画】G大阪またも勝ち切れず…先制成功も終盤被弾</span> <span data-other-div="movie"></span> <script>var video_id ="AJ27lW1Ys3M";var video_start = 0;</script><div style="text-align:center;"><div id="player"></div></div><script src="https://web.ultra-soccer.jp/js/youtube_autoplay.js"></script> 2024.09.29 14:12 Sun

NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly