「ヴェルディのために何ができるのか…」、J1デビュー飾った東京Vの松橋優安がさらなる飛躍へ決意
2024.03.15 22:04 Fri
待望のJ1デビューを飾った東京ヴェルディのMF松橋優安が、さらなる飛躍への決意を語った。
東京ヴェルディジュニアから緑の名門のアカデミーでプレーする松橋は、同期にいずれもシント=トロイデンVVでプレーするMF山本理仁、MF藤田譲瑠チマ、北海道コンサドーレ札幌のDF馬場晴也、愛媛FCのMF石浦大雅らを擁するタレント揃いのチームでユース時代には背番号10を背負った逸材。U-17~U-20のカテゴリーまでは日本の世代別代表にも招集されたアタッカーだ。
2020年にトップチーム昇格を果たすと、昇格1年目には途中出場がメインもJ2リーグで18試合に出場。だが、以降はポジション争いで苦戦を強いられると、2021年8月にSC相模原に期限付き。その翌年は期限付き移籍期間延長の形でJ3に降格した相模原で引き続きプレーし、昨季はレノファ山口FCへ期限付き移籍していた。
しかし、いずれのクラブでもレギュラーポジションを掴めず。今季は16年ぶりのJ1昇格を果たした東京Vにレンタルバックしたが、プレシーズンの段階での序列は低く、日々のトレーニングやトレーニングマッチでは本職のウイングではなく、サイドバックなど手薄な複数のポジションでのプレーを余儀なくされた。
そのため、今後もプレー機会を得るのは困難かに思われたが、9日に行われた明治安田J1リーグ第3節のセレッソ大阪でJ1デビューを果たすことになった。
そして、退場者を出して数的不利の1-1の後半終盤の83分にFW染野唯月に代わって投入された松橋は右サイドハーフでプレー。最終的にチームは土壇場で与えたPKによって1-2の敗戦を喫したが、個人としては身体を張ったボールキープや持ち味の推進力をみせ、悪くないJ1デビュー戦となった。
その松橋に関して城福監督は「彼が18人の中に毎回必ず入ってくる実力になったかどうかというのは別の話」、「守備はまだまだ」とパフォーマンスへの課題を口にしたが、プレシーズンからここまでのひたむきな取り組みを高く評価している。
「自分たちは日本一のトレーニングをしないと、J1では戦えないと考えています。その中で僕らがよく言う、目を三角にして頭から湯気を出しながら毎日取り組む。それを僕らは経験の中でわかるので、みんな汗をかいてプレーはしてますけど、本当に頭から湯気を出してやっているかどうか。それを毎日やっているかどうか。僕らはそれを大事にしたいと思っています。ここまでの取り組みという意味で彼は少なくとも、湯気を出し続けてきた選手だと認識しています。そういう選手を大事にしたいと思いますし、そういう選手を育てていかなければいけない」
「J1で初めてピッチに立って、今自分がやれること全てを出し切ろうとしたという部分で、常日頃の練習場のピッチと同じだと思いますし、それは等身大の彼が出せたと思います」
一方、松橋はプロ5年目で訪れたJ1デビューを改めて振り返る。
「最初はJ1デビューとかは意識していなかったですが、またヴェルディのエンブレムと共にピッチに立つという部分でワクワクした気持ちや楽しさを感じてプレーできました。試合が終わってからはSNSでファン・サポーターの方々、家族や友人からメッセージをもらって、改めて自分がJ1のピッチに立てたということを実感しました。ただ、ここがスタートですし、全くゴールではないので、ここからさらにパフォーマンスを上げてJ1の舞台で結果を出していきたいです」
そのC大阪戦後には「求められるものは結果」と、強豪相手に得た手応えよりも悔しさを滲ませた発言の背景には、プロデビュー戦となった松本山雅FC戦でのほろ苦い経験が影響しているかもしれない。
松橋はそのデビュー戦の開始直後に得意の形からゴールに迫ったが、そのシュートはポストを掠めてデビュー戦ゴールとはならず。そして、以降も東京Vではゴールを挙げることができなかった。
その過去の出来事に触れると、「あのプレーは惜しかったという印象が残っていると思いますが、今考えるとあそこで決めていれば、もっと違った未来があったかもしれません」と、素直な思いを語る。一方で、「それを経験したからこその今があるとも言えるので、プラスに捉えて練習からより結果という部分にこだわってやっていけば、必ず試合でも結果が付いてくる」とポジティブな切り替えを見せた。
前回の在籍時は若さ故にがむしゃらさが空回りしている印象もあったものの、相模原、山口でのさまざまな経験を経た22歳は、精神面の成長やたくましさを感じさせる。
「プロ1年目とかは自分のプレーができた感覚は全くなかったです。途中から出ても効果的なプレーもできなかった印象です。ただ、相模原、山口でプレーさせてもらってサッカー以外での経験が今の自分の成長に繋がったと感じています」
「ここに戻ってきたときには以前から自分のことを知っているスタッフの方にも『落ち着いたね』とか、『変わったね』と言われました。それは相模原、山口に行った経験が本当に大きくて、そこで出会った先輩やいろんな人の背中を見てきました。引退した人も見てきましたし、残りの自分のサッカー人生で何ができるのかを考えて、そこから逆算して生活ができています」
「今は試合に関われないメンバーを中心にプラスアルファで練習させてもらっていますが、それは本当にありがたいですし、改めて恵まれた環境でやらせてもらっています。その中でやり続けた結果、こうやってJ1のピッチに立てたのかなと思います」
また、アカデミー生え抜きの選手であり、これまでのJ2での厳しい時期を支えてきた偉大な先輩の背中を見てきた松橋は、より一層の責任感と共にJ1残留への覚悟を示す。
「ここでの1年目とかは本当に先輩たちについていくので精いっぱいでしたが、そういった先輩たちが残してくれたもの、導いてくれたことによって今のヴェルディがJ1でプレーできていると思います。そういった中、自分はここに戻ってきてJ1のピッチに立てました。これから活躍する姿を見せることで、そういったお世話になった先輩への恩返しになると思うので、そこも意識してやっていきたい」
「ここまで恩返しできていない中、クラブをJ1に残すことがまず自分たちアカデミーの選手の役目だと思うので、そこは責任を持ってやっていき、ヴェルディのために何ができるのかを常に考えながら過ごしていきたいです」
最後に、味の素スタジアムでの今シーズン開幕戦となる明治安田J1リーグ第4節、アルビレックス新潟戦(16日)に向けては、「今はこうしてJ1の味スタのピッチに立つチャンスがある。そのチャンスを掴みたいと思いますし、ピッチに立てば、たくさんのサポーターが背中を押してくれると思うので、ゴールを決めてサポーターと喜び合いたいです」と、自身久々の味スタでの初勝利への意気込んだ。
東京ヴェルディジュニアから緑の名門のアカデミーでプレーする松橋は、同期にいずれもシント=トロイデンVVでプレーするMF山本理仁、MF藤田譲瑠チマ、北海道コンサドーレ札幌のDF馬場晴也、愛媛FCのMF石浦大雅らを擁するタレント揃いのチームでユース時代には背番号10を背負った逸材。U-17~U-20のカテゴリーまでは日本の世代別代表にも招集されたアタッカーだ。
2020年にトップチーム昇格を果たすと、昇格1年目には途中出場がメインもJ2リーグで18試合に出場。だが、以降はポジション争いで苦戦を強いられると、2021年8月にSC相模原に期限付き。その翌年は期限付き移籍期間延長の形でJ3に降格した相模原で引き続きプレーし、昨季はレノファ山口FCへ期限付き移籍していた。
そのため、今後もプレー機会を得るのは困難かに思われたが、9日に行われた明治安田J1リーグ第3節のセレッソ大阪でJ1デビューを果たすことになった。
東京Vは、開幕から横浜F・マリノス、浦和レッズと強豪クラブと対戦。いずれも善戦したものの、その2試合を1分け1敗で終えた中、攻守両面で流れを変えるゲームチェンジャーの台頭を求めた城福浩監督は、C大阪戦でベンチメンバーにテコ入れを図ると、松橋は大卒ルーキーのMF食野壮磨と共に初のベンチ入り。
そして、退場者を出して数的不利の1-1の後半終盤の83分にFW染野唯月に代わって投入された松橋は右サイドハーフでプレー。最終的にチームは土壇場で与えたPKによって1-2の敗戦を喫したが、個人としては身体を張ったボールキープや持ち味の推進力をみせ、悪くないJ1デビュー戦となった。
その松橋に関して城福監督は「彼が18人の中に毎回必ず入ってくる実力になったかどうかというのは別の話」、「守備はまだまだ」とパフォーマンスへの課題を口にしたが、プレシーズンからここまでのひたむきな取り組みを高く評価している。
「自分たちは日本一のトレーニングをしないと、J1では戦えないと考えています。その中で僕らがよく言う、目を三角にして頭から湯気を出しながら毎日取り組む。それを僕らは経験の中でわかるので、みんな汗をかいてプレーはしてますけど、本当に頭から湯気を出してやっているかどうか。それを毎日やっているかどうか。僕らはそれを大事にしたいと思っています。ここまでの取り組みという意味で彼は少なくとも、湯気を出し続けてきた選手だと認識しています。そういう選手を大事にしたいと思いますし、そういう選手を育てていかなければいけない」
「J1で初めてピッチに立って、今自分がやれること全てを出し切ろうとしたという部分で、常日頃の練習場のピッチと同じだと思いますし、それは等身大の彼が出せたと思います」
一方、松橋はプロ5年目で訪れたJ1デビューを改めて振り返る。
「最初はJ1デビューとかは意識していなかったですが、またヴェルディのエンブレムと共にピッチに立つという部分でワクワクした気持ちや楽しさを感じてプレーできました。試合が終わってからはSNSでファン・サポーターの方々、家族や友人からメッセージをもらって、改めて自分がJ1のピッチに立てたということを実感しました。ただ、ここがスタートですし、全くゴールではないので、ここからさらにパフォーマンスを上げてJ1の舞台で結果を出していきたいです」
そのC大阪戦後には「求められるものは結果」と、強豪相手に得た手応えよりも悔しさを滲ませた発言の背景には、プロデビュー戦となった松本山雅FC戦でのほろ苦い経験が影響しているかもしれない。
松橋はそのデビュー戦の開始直後に得意の形からゴールに迫ったが、そのシュートはポストを掠めてデビュー戦ゴールとはならず。そして、以降も東京Vではゴールを挙げることができなかった。
その過去の出来事に触れると、「あのプレーは惜しかったという印象が残っていると思いますが、今考えるとあそこで決めていれば、もっと違った未来があったかもしれません」と、素直な思いを語る。一方で、「それを経験したからこその今があるとも言えるので、プラスに捉えて練習からより結果という部分にこだわってやっていけば、必ず試合でも結果が付いてくる」とポジティブな切り替えを見せた。
前回の在籍時は若さ故にがむしゃらさが空回りしている印象もあったものの、相模原、山口でのさまざまな経験を経た22歳は、精神面の成長やたくましさを感じさせる。
「プロ1年目とかは自分のプレーができた感覚は全くなかったです。途中から出ても効果的なプレーもできなかった印象です。ただ、相模原、山口でプレーさせてもらってサッカー以外での経験が今の自分の成長に繋がったと感じています」
「ここに戻ってきたときには以前から自分のことを知っているスタッフの方にも『落ち着いたね』とか、『変わったね』と言われました。それは相模原、山口に行った経験が本当に大きくて、そこで出会った先輩やいろんな人の背中を見てきました。引退した人も見てきましたし、残りの自分のサッカー人生で何ができるのかを考えて、そこから逆算して生活ができています」
「今は試合に関われないメンバーを中心にプラスアルファで練習させてもらっていますが、それは本当にありがたいですし、改めて恵まれた環境でやらせてもらっています。その中でやり続けた結果、こうやってJ1のピッチに立てたのかなと思います」
また、アカデミー生え抜きの選手であり、これまでのJ2での厳しい時期を支えてきた偉大な先輩の背中を見てきた松橋は、より一層の責任感と共にJ1残留への覚悟を示す。
「ここでの1年目とかは本当に先輩たちについていくので精いっぱいでしたが、そういった先輩たちが残してくれたもの、導いてくれたことによって今のヴェルディがJ1でプレーできていると思います。そういった中、自分はここに戻ってきてJ1のピッチに立てました。これから活躍する姿を見せることで、そういったお世話になった先輩への恩返しになると思うので、そこも意識してやっていきたい」
「ここまで恩返しできていない中、クラブをJ1に残すことがまず自分たちアカデミーの選手の役目だと思うので、そこは責任を持ってやっていき、ヴェルディのために何ができるのかを常に考えながら過ごしていきたいです」
最後に、味の素スタジアムでの今シーズン開幕戦となる明治安田J1リーグ第4節、アルビレックス新潟戦(16日)に向けては、「今はこうしてJ1の味スタのピッチに立つチャンスがある。そのチャンスを掴みたいと思いますし、ピッチに立てば、たくさんのサポーターが背中を押してくれると思うので、ゴールを決めてサポーターと喜び合いたいです」と、自身久々の味スタでの初勝利への意気込んだ。
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東京V、ユース所属の4選手が来季トップ昇格内定! いずれも世代別代表歴のある“緑の新たなスター候補”
東京ヴェルディは18日、東京ヴェルディユースに所属するDF馬場晴也(17)、MF松橋優安(17)、MF石浦大雅(17)、MF藤田譲瑠チマ(17)の4選手の2020シーズンからのトップチーム昇格内定を発表した。 千葉県出身でジュニアユースから東京Vの下部組織でプレーする馬場(写真中央左)は、U-16~U-18の日本代表で主力を担ってきた181cmの守備センスに長けたセンターバック。すでにトップチームのトレーニングやトレーニングマッチに絡んでいた。 一方、近年トップチームに昇格してきた先達が背負ってきたヴェルディユース伝統の背番号10を背負っている神奈川県出身の松橋(写真中央右)は、東京Vジュニアから8年間同クラブに在籍する攻撃センスと個の打開力に長けた気鋭のアタッカー。馬場と同様にU-17日本代表、U-18日本代表にも選出されている。 松橋と同じく東京Vジュニアから在籍する神奈川県出身の石浦(写真左)は、今年に入ってU-18日本代表にも選出された技術とパスセンスに長けたインサイドハーフを主戦場とするレフティだ。 最後にジュニアユースから在籍する東京都出身の藤田(写真右)は、高い身体能力を生かした対人守備、守備的MFを主戦場に両サイドバックやセンターバックもこなすユーティリティー性、視野の広さや展開力にも長けた守備のマルチロールだ。今年に入ってU-17日本代表にも招集されている。 すでに飛び級でトップチーム登録となり、主力を担うMF山本理仁と同期である4選手は、今シーズン途中からトップチームの監督に就任した永井秀樹監督の指導を受けてきた“永井チルドレン”だ。近年、サムライブルーに多くの代表選手を輩出しているJリーグ屈指の育成出身の4選手のトップでの活躍に期待が集まる。 なお、トップチーム昇格が内定した4選手のコメントは以下の通り。 ◆DF馬場晴也選手コメント 「ユースから昇格が決まりました馬場晴也です。6年間お世話になったこのクラブでキャリアを始められることを嬉しく思います。ヴェルディの力になれように頑張ります。応援よろしくお願いします」 ◆MF松橋優安選手コメント 「ユースから昇格しました松橋優安です。まずは8年間お世話になったヴェルディという伝統あるクラブでプロになれたことを嬉しく思います。1年目から試合に出て、このクラブをJ1に戻せるように頑張ります。応援よろしくお願いします」 ◆MF石浦大雅選手コメント 「ユースから昇格しました、石浦大雅です。小さいころからお世話になったこのクラブでプロになれたことを嬉しく思います。このクラブの力になれるよう頑張ります。応援よろしくお願いします」 ◆MF藤田譲瑠チマ 「来シーズンからトップチーム昇格が決まりました、藤田譲瑠チマです。ヴェルディの戻るべき場所にいち早く戻るために全力で戦っていきたいと思います。応援よろしくお願いします」 2019.08.18 14:50 Sun4
「今日得た収穫は大きい」、東京Vにとって神戸戦勝利は勝ち点3以上の価値となるか…
東京ヴェルディにとってヴィッセル神戸戦の勝利は、単なる勝ち点3以上の価値を持つものになるかもしれない。 東京Vは26日、ノエビアスタジアム神戸で行われた明治安田J1リーグ第16節で神戸と対戦し、後半の65分にMF翁長聖が誘発したオウンゴールを守り抜いて1-0の勝利を収めた。 前節、FC町田ゼルビアとの東京クラシックで0-5の惨敗を喫し、城福浩監督は「今日変われないと、たぶん今シーズンは変われない」と強い口調で、チームに対してここからの再起を促した。 その大敗を「ターニングポイント」にすべく臨んだ今回の一戦だったが、直近のルヴァンカップのサンフレッチェ広島戦(2-3●)で退場したDF林尚輝をサスペンションで、DF谷口栄斗、DF山田裕翔がいずれも負傷と、主力クラスのセンターバック3枚が不在に。そういった中、FW大迫勇也、FW武藤嘉紀らリーグ屈指の攻撃陣を擁する昨季J1王者とのアウェイゲームに臨んだ。 その苦しい台所事情において城福監督は開幕からメインシステムとして採用した[4-4-2]から[3-5-2]へのシステム変更を選択。ただ、ウォームアップ中は4バックでロングボールを撥ね返すトレーニングを行い、前半の入りの部分も一見すると、[4-4-2]に見える形で少し“煙幕”を張るような形となった。 普段はJリーグチーム同士のトレーニングマッチやトレーニングの公開に積極的で、手の内を明かすことを厭わないオープンマインドな指揮官だが、「基本的に自分たちはそういった駆け引きをすることはないですが、今回に関しては3バックというのが初めてなので、わざわざそれを見せる必要はないかなという考えでした」と、負傷者の状況を含めてルヴァンカップ後に急遽システム変更を決断した中、少しでも自分たちに有利に働くように普段と異なるアプローチを行ったことを認めた。 また、DF千田海人も試合後のミックスゾーンで「3バック、ばれてました(笑)」と、入りの部分はぼかしながら戦っていたことを仄めかした。 ただ、「ほとんど映像でしか3バックの準備ができなかった」と指揮官が明かしたように、相手の虚を突くことも期待した前半の序盤は攻守両面で急造ゆえの不具合が見受けられ、神戸にハーフコートゲームを許す展開に。 城福監督は「前半押し込まれることは想定していた」と織り込み済みの展開であったとしながらも、ディフェンスラインを統率した千田は「前半はマッチアップの部分でうまくいかないとか、急造で試合ではやっていないので、難しかったところはありました」、「マークのところが曖昧だった部分とか、セカンドが全然拾えていなかった」と、その想定以上に難しい戦いを強いられたと振り返る。 そうなると、直近の公式戦2試合同様に前半の失点も不可避かに思われたが、「前半さえ耐えれば、必ず後半我々の時間になる」と語る指揮官を含め、「前半はしっかりとゼロで終える」と意思統一が図られていたチームは、町田戦を教訓に、最後の局面ではしっかりと身体を張って失点を許さず。 さらに、流血と脳震とうによるMF松橋優安の治療、交代となった前後では[3-5-2]から[5-4-1]への布陣変更、守備時のミスマッチとビルドアップの改善のため、3バックの綱島悠斗、宮原和也のサイドの入れ替えといった修正策が見事に機能。前半終盤から盛り返すと、後半は神戸の攻撃をシュート2本に抑え込んだ。 前半の劣勢や攻撃面を含め、当然のことながら課題も多く出たが、百戦錬磨の指揮官は「ずっと4バックでやってきたチームが初めて3バックをやったわりには、よく機能したなと。全員が意識高くやってくれたなと思います。(翁長)聖のクロスを含めてみんなが魂のこもったプレーを、ひとつひとつやってくれて、最後は本当に危なげなくクローズできたと思います」と、昨年の段階から温めてきた上で、王者相手にぶっつけ本番で機能させた3バックでの勝利への手応えを口にした。 千田も「うまくコミュニケーションを取りながら、ミスマッチのところを徐々に合わせていけるようになって、今日はみんな集中して最後まで守り切れました。本当に今日の試合で得た収穫は勝ち点3以上に大きいかなと思います。負けたところからしっかり自分たちで学び、今日はこういうゲームをできたことが本当によかった」と、指揮官同様にシステム変更、課題の前半途中での修正も含めたプラス材料も多い勝利をポジティブに受け止めた。 最前線で攻守に奮闘したFW木村勇大も、「2連敗で終わるのか、アウェイですけど勝ち点3を取って、もう1回盛り返すのかというのは、チームとして問われる場面だった。この勝ち点3がこれからに繋がるという意味では勝ち点だけでなく、チームの自信にもなってくる」と、ターニングポイントでの勝利に大きな価値を見いだす。 さらに、「3バックになって立ち位置が変わるところでは自分に求められる守備の役割も変わってくるところもあるので、これからまたその戦術をチームとしても、ひとつのオプションになったと思うので、そこの精度は自分のところもそうですけど高めていきたい」と、新たなオプションの成熟へ前向きな姿勢も示している。 「今回の3バックで勝てたことというのは、前回の0-5の大敗を打ち消してくれるものではないので、しっかりと積み上げて、ここから先は我々の目指すものにもっと邁進していきたい」と、勝って兜の緒を締めた城福監督だが、限られたリソースの中で多くの選手が複数のポジションにチャレンジし、プレーの幅を広げる中、現行の[4-4-2]に加えて3バックを確固たるオプションにできれば、今後対戦相手の対策が進む2巡目の戦いに向けてチームとして大きな武器にできるはずだ。 2024.05.27 06:30 Mon5
残留近づく好調の東京Vで虎視眈々とチャンス窺う…清水とのTMで結果残した山田剛綺らが意気込む
シーズン終盤を迎えて最大の目標達成に近づく東京ヴェルディだが、チーム内では依然としてハイレベルのポジション争いが繰り広げられている。そして、虎視眈々とチャンスを窺う選手たちが残り試合への意気込みを語った。 東京Vは前節、ガンバ大阪とアウェイゲームを1-1のドローで終えた。2003年以来の5連勝と共に5位浮上のチャンスは逃したが、勝ち点1を積み上げると共に無敗試合を「6」に更新。 そして、6日に味の素スタジアムで行われる明治安田J1リーグ第33節の湘南ベルマーレ戦や他クラブの結果次第では最大の目標であるJ1残留が確定することになる。 ここにきてチームでは主力メンバーが固定されつつあるものの、城福浩監督は「歯を食いしばってやり続けている選手は必ずどこかでチャンスをあげたい」と日々のトレーニングやチームの最大値を見極めながら、虎視眈々とチャンスを窺う控えメンバーの起用のタイミングを図る。 そんな中で、G大阪戦翌日には昨シーズンの昇格プレーオフ決勝で激闘を演じ、今シーズンのJ2リーグ首位でJ1昇格に王手をかける清水エスパルスとのトレーニングマッチを実施。互いに控えメンバーや若手中心での対戦となったが、東京Vは45分×2の一戦を3-1で勝利した。 そのトレーニングマッチに関して指揮官は「厳しいスケジュールの中、翌日の練習試合に臨んでいくというのはこのチームらしいと思いますし、そこで高いモチベーションでやってくれた選手たちがいる。心強かったというか、『いつでも取って代わるぞ』というファイティングポーズを見せてくれた選手が何人かいた」と、チームの姿勢を評価していた。 その一戦で1ゴール1アシストと大きなアピールを見せたのはFW山田剛綺。加入1年目でJ1昇格に貢献したストライカーは、今季ここまで途中出場を中心にリーグ戦20試合に出場もノーゴール。南米のストライカーを彷彿とさせるゴムまりのような高い身体能力を武器に、攻守両面で才能の片りんを垣間見せるが、初のJ1で苦戦が試行錯誤の日々が続く。 それでも、右シャドーでフル出場した清水戦では「ボールを引き出すところであったり、自分の特長である背後というところは右のシャドーながら、結構できたのかなと。守備のところでの強度であったり、そういう違いは見せられたのかなと思います」と、手応えを口に。 ここ最近はリード時の試合終盤にクローザー役としての出場が多く、ストライカーとしては一番に求められるチームプレーを最優先にこなした上で少ないチャンスを結果に繋げるという部分で難しい部分もある。 ただ、山田はそういったエクスキューズに甘えることなく、チームの勝利を最優先とした上でポジション奪取に繋がる結果を残したいと高い志を示す。 「チームが勝つためにというところで、途中から出るときはそこに全てを懸けてやっていますし、チームを勝たすために出させてもらっているので、自分のやりたいことよりもチームがやるべきこと、自分がやらないといけないことを最優先に考えてやっています」 「点を取りに行くにしても守るにしても自分のできること、求められていることを与えられた時間の中で、全て出し尽くして終わるということしか考えていないです」 「日々の練習や練習試合から結果を残すというところは常に意識していますし、そこで結果を出せなかったら、やっぱり使ってもらえない。自分がもし監督でも使わないと思うので、とにかくやり続けるというところは1年通して意識しています」 DF深澤大輝は清水戦でウイングバック、3バックの右の2つのポジションでプレー。持ち味の攻撃参加から1ゴールを記録。山田と共に目に見える結果でアピールした選手の一人だ。 左右のウイングバックに3バックのサイドでプレー可能な守備のマルチロールは開幕直後こそ9試合連続でスタメン出場したが、ケガによる離脱や序列の低下もあって後半戦は第28節鹿島アントラーズ戦の途中出場の1試合のみ。より激化するウイングバックのポジション争いにおいてベンチメンバーを外れる試合も少なくない。 それでも、久々の練習試合は日本一のトレーニングを志すチームの取り組みの正しさ、試合から遠ざかりながらも自身の成長を実感できるものになったという。 「個人的にも久々の練習試合というのもあって、相手も清水という部分で気持ちも入っていましたし、チームとしても最初は入りが悪い中でセットプレーで失点してしまいましたが、それがなかったらすごくいい試合だったなというのも、やっていたみんなも思っていましたし、仁志さん(森下コーチ)なんかも言ってくださっていました。もっとできたなというところもありましたが、充実した練習試合でした」 「(自身のゴールを通じて)上下動でゴール前に入っていくところというのはもう一度自分のストロングだなというのを再確認できましたし、そこの運動量のところは夏の毎日の積み重ね、2部練とかもしていましたし、そういうので走れるようになっている感覚はあります」 「夏場にすごくハードな練習ができたので、最近涼しくなってきて走れるなという自信に繋がるゲームでもありましたし、数値とかを見てもスプリントの回数とかも個人的には増えていたので、そこら辺は日々の積み重ねが大事だなというふうに改めて思いましたし、あとはJリーグの試合に出るために日々やっていくだけという感じです」 ここまで途中出場がメインながらリーグ戦24試合1ゴールの数字を残し、左右のウイングバックに2シャドー、攻撃的サイドバックのオプションにもなれるMF松橋優安は高い確率で18人のメンバーに入りつつ、より多くのプレータイム確保を狙う選手の一人。 前節のG大阪戦ではここ最近目立つクローザー役ではなくビハインドの状況で攻撃面を期待されての投入に。また、清水戦では本職のサイドに加え、チーム事情でボランチのポジションでもプレーした。 ここ最近では攻撃面で少しずつ手応えを感じつつ、清水戦でのボランチ起用に対しても自身の成長に繋がるとポジティブに振り返る。 「徐々にシーズン中盤から攻撃の部分でも自分の良さを出せるようになってきたので、ピッチに出たときに、まず良い守備からというのは忘れずにしっかり意識しながら、ビハインドのときは自分のところで違いを出せるように、ゴールに向かったプレーができるようにというのはベンチでいつも意識しています」 「(清水戦では)3つのポジションをやらせてもらって、本当にいい経験になりましたし、今回はボランチでプレーする時間が長かったですけど、また違った景色も見られて自分に足りない部分、逆にボランチでも通用する部分というのを感じられたので、そこは今後のサッカー人生にも繋がると思います」 今回の湘南戦に向けては保有元との対戦で前節を欠場したFW山見大登の復帰が確実となり、3選手共に18名のメンバー入りに向けては当落線上と言わざるを得ない。 それでも、天皇杯の前回対戦において攻撃面で見せ場を作っていた松橋は「天皇杯では自分の攻撃が通用するという部分で、少し意識が変わった試合でもあったので、印象はいいですし、やれる自信もある。出るとなれば自分のプレーを出せるように準備しています」と、出場への意欲を示す。 同じく天皇杯ではチャンスに絡みながらも決定機を逃す形となっていた山田は「点を取らなければいけないシーンで点を取れなかったので、そこはリベンジしたい。前からの圧をかけるところであったり、自分の特長で言うと、背後のところを狙っていきたい」と意気込んだ。 2024.10.05 20:30 Sat東京ヴェルディの人気記事ランキング
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「戦犯かヒーローかだった」圧巻のハットトリックで勝利に貢献した川崎Fの山田新、エースとしての責任もある中での3点を自画自賛「カッコ良いと思う」
東京ヴェルディ戦で圧巻のハットトリックを決めた川崎フロンターレのFW山田新が、自身の活躍を振り返った。 30日、明治安田J1リーグ第30節で川崎Fはアウェイで東京Vと対戦した。 今シーズンは苦しいシーズンとなった中、なんとか1桁順位も見える位置まで浮上してきた川崎F。鬼木達監督も今シーズン限りで退任することが決まっており、残り試合もわずかとなっている。 味の素スタジアムでの一戦は壮絶な展開に。主役はキャプテンマークを巻いた山田だった。16分、PKを獲得した川崎Fは山田がしっかりと決めて先制すると、22分にはボックス右からのクロスをファーサイドで待っていた山田がヘッド。相手DFとの駆け引きでマークを外して決め切った。 川崎Fが2点を先行した試合だったが、東京ヴェルディが反撃。前半に1点を返すと、後半はさらに点の取り合いに。東京Vは谷口栄斗が1点を返し追いつくも、川崎Fはファンウェルメスケルケン際、マルシーニョのゴールで勝ち越し。山田はこの2ゴールにも絡む活躍を見せる。 しかし、東京Vの谷口が躍動。セットプレーからハットトリックを達成し追いつくことに。ただ、主役はやはり山田。後半アディショナルタイム4分にロングボールをエリソンが競り勝つと、こぼれ球を左足で強烈に振り抜きゴール。ハットトリックと共に、4-5での乱打戦を制した。 ハットトリックで勝利に導いた山田は試合を振り返り、「自分が失点に絡んだ部分もあったので、戦犯かヒーローかだったので、(点が)取れて良かったです」と、しっかりとヒーローになれたことを喜んだ。 3ゴール共に簡単なゴールではなかったなか、山田はそれぞれのゴールを振り返った。 「(1点目の)PKはマルシーニョとお見合いになってしまって難しくした形でしたが、あそこで焦らずに前を向けたことは良かったと思います。上手くPKをもらえたと思います」 「(2点目の)ヘディングはボールが良かったので、うまくミートできました」 「3点目はエリソンがあそこで競り勝ってくれることを信じて、狙い通りのところにボールを落としてくれて、前を向いた瞬間コースが見えたので、振り抜きました」 圧巻の活躍を見せた山田。実は試合前にエリソンから声をかけられていたとし、2点目以降はハットトリックを狙っていたとした。 「試合前からエリソンに『3点取れ』と言われていましたし、もちろん意識はしていました。2点取っていた時点で3点取らないといけないなと思っていましたが、3点取らなくても勝てる試合ができたと思いますが、自分たちで難しくしてしまって、その中でも自分が勝たせられて良かったです」 このハットトリックで今シーズンのリーグ戦のゴール数を「19」とした山田。20ゴールを目前となった中「ここで固め取りできたことは大きいですし、残り1試合。ACLもありますけど、チームが今一体感あって良い状況なので、自分が得点して勝っていければ良いかなと思います」と、残り試合でもゴールを奪うことを目標だとした。 リーグ戦終盤でありながら、AFCチャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)も並行して行われている状況。「自分はそこまで試合に出ていなかったんですが、それでもかなりトランジットがあったりして大変で、時差もあって、夜中に帰ってきてとか、結構難しい部分もありましたが、勝って帰ってこれたので、チームとして良い雰囲気でやれていて、みんなで1つになれてやっているので、良かったかなと思います」と、結果が出ていることが良い状況に繋がっているとした。 エリソンの言葉については「よく分からないんですけど試合前に3点取れよと。試合に出る前のロッカーで言ってきました。その通りになりました」と、謎の予言を受けていたが、実現できたとした。 また、5点全てに絡んでいる山田。「(ファンウェルメスケルケン際のゴールでは)ああいったところでボールを受けたら、自分がゴールに迎えるのが1番の特徴で、相手にとっても嫌で、自分も怖さを出せると思っているので、あそこでマイナスに入れて、誰かが入ってきてくれれば良いなと思っていました。上手く際君が決めてくれたのが良かったと思います」とコメント。マルシーニョのゴールは「シュートのこぼれもマルちゃんが決めてくれました。自分が枠に飛ばせたことが繋がったと思います。しっかり抑えて打てたことが良かったかなと思います」と、しっかりパフォーマンスが出せたことが良かったとした。 今シーズンは控えのスタートから始まった中、ここまでリーグ戦全試合に出場。シーズン途中からはスタメン出場が増え、3試合連続複数得点などゴールを積み上げてきた。 山田は「フィジカル的な成長ももちろんありますし、メンタルのところでシーズンの戦い方、1試合にフォーカスした戦い方も、これだけ得点が動く中で、自分がしっかり得点を意識して90分間やれたことは、色々今年経験したことでの成長かなと思います」とコメント。自身でも成長を感じるとした中、決定力が上がっていることについても「プロ入ってよりフィニッシュのところは数は多くトレーニングできているので、そこの精度のところは自信がついてきていますし、難しいことよりかは、シュート、フィニッシュのベースができている感覚があります」と、基本的な技術の向上が結果に繋がっていると語った。 今回のハットトリックも右足、頭、左足とそれぞれ違うところでゴールを記録している。「バランスよく取れているシーズンだと思いますし、色々な形から得点が取れるようにトレーニングしてきて、その結果が数字に表れているかなと思います」と、どの形からでもゴールを奪えることに自信を窺わせた。 今日はゴールを取れる予感もあったとし、「ゴールが取れそうな感覚が試合を通してあって、チームがそこまで運んでくれていますし、そこでゴール前に居られれば決められそうだと思って試合を進めていたので、そこで上手く決め切れたと思います」とコメント。川崎Fのエースとしての自覚についても「本当に自分が得点しないと勝てないですし、得点だけじゃなく、自分が良いパフォーマンスを出さないと良い試合ができないです。自分の責任は、去年よりも重くなってきていると思うので、しっかりそれに答え続けられるようにしたいです」と、責任感を持ってプレーを続けているとした。 もちろん、周りの選手のサポートがあってこそ。「立ち位置が違いますし、自分は思い切ってやるだけで、今は自分が引っ張っていかないと思っています」と語り、「ただ、みんなが自分を伸び伸びやらせてくれていますけど、責任も感じています」と語った。 キャプテンマークをつけてハットトリックでの劇的勝利に貢献。山田は「カッコ良いと思います」と自画自賛。「負けてハットトリックにならずに良かったです」と、チームとしても結果が出て良かったとした。 <span class="paragraph-title">【動画】劇的結末!山田新がハットトリックで乱打戦勝利に貢献!</span> <span data-other-div="movie"></span> <script>var video_id ="ABr_b_D3650";var video_start = 0;</script><div style="text-align:center;"><div id="player"></div></div><script src="https://web.ultra-soccer.jp/js/youtube_autoplay.js"></script> 2024.11.30 19:55 Sat2
「勝っていい形で終えたい」東京Vの木村勇大が一足早く迎える今季最終戦へ意気込み「自分の成長した姿をファン・サポーターに見てもらえるように」
東京ヴェルディのFW木村勇大が、一足早く迎える今シーズン最終戦への意気込みを語った。 6位の東京Vは30日、味の素スタジアムで行われる明治安田J1リーグ第37節で13位の川崎フロンターレと対戦する。 この試合はチームにとってホーム最終戦となるが、MF山田楓喜とともに京都サンガF.C.から期限付き移籍で加入中の木村は、12月8日に行われる最終節の対戦相手が保有元の京都となるため、川崎F戦が今季の最終戦となる。 プロ1年目となった昨シーズンは京都、育成型期限付き移籍でプレーしたツエーゲン金沢で思うようなプレーができなかった木村だが、アカデミー時代を過ごした古巣でその才能を完全に開花。 城福浩監督、森下仁志コーチらの厳しくも熱心な指導を受け、開幕から前線の主軸を担うと、第2節の浦和レッズ戦でJ1初ゴール。以降もコンスタントにゴールを重ねると、前半戦だけで9ゴールを記録した。 その後、10試合ノーゴールにスタメン落ちも経験したが、第29節の柏レイソル戦で2桁ゴールを達成。現在は7試合ゴールなしの状況だが、強靭なフィジカルを活かしたボールキープに献身的な守備で好調のチームの前線において抜群の存在感を示している。 この最終戦を前に、木村は35試合10ゴールといずれもキャリアハイを記録した飛躍の1年を回想。 プレシーズンから奈良輪雄太コーチや能城裕哉コンディショニングコーチ、トレーナー陣のサポートもあって元来丈夫だった自慢のフィジカルに磨きをかけ、被ファウル数でリーグ上位、攻守にハイインテンシティを要求されるチームスタイルながら、契約上プレーできない京都戦を除くフル稼働には自身としても手応えを感じている。 「高校のときはケガが多かったですけど、それ以降は少ないタイプではありますけど、これだけ出ることはやっぱりなかったので、不安な部分もありました。うまく自分の体と相談しながらここまでやれていると思います」 「こうやって出続けるシーズンは初めてで、そのなかで連戦とか、いまのように間が空いたりとか、いろんな状況がありましたけど、そのなかでもしっかり試合に向けて心も体も持っていくというサイクルはある程度できてきたと思います。実際ここまでケガなくやれていますし、この次の試合に向けてもいい状態を保てています」 インターナショナルマッチウィークの中断に加え、先週末は天皇杯決勝の開催に伴いリーグ戦がなく、前節のヴィッセル神戸戦から約20日を経て臨む一戦に向けては「強度の高い練習をして、オフを挟んでというところをしっかり繰り返せているので、チームとしても個人としてもコンディションは悪くない」と、調整面では大きな問題はないと語る。 一方で、「チャンスもピンチもあった試合」と振り返った前回対戦(0-0△)、直近では浦和との“45分試合”、ACLのブリーラム戦の連戦を1勝1分けで終えている川崎Fに対して「相手はすごく攻撃的なチームなので、どういう流れになるかわからないですけど、相手も連戦を戦っているという部分でコンディションもいいと思うので、最初の勢いとか入りの部分というところが、勝負を分けると思うので、いい入りができるようにしたい」と、立ち上がりの重要性を説いている。 また、有終の美を飾るべく狙う8試合ぶりのゴールに向けては「ゴール前の入りの部分」をポイントに挙げる。 「意外と最近の試合ではボールが持ててクロスを上げられてという展開があるなかで、なかなかそこに絡めないので、入るのもそうですけど自分の頭を越えた後の折り返しとか、ゴール前の混戦のところ。そこでいかにおいしいポイントに自分が入れるかというのが大事。そういうゴール前の入りとか、ゴールが決められる場所に自分が入れるように、そういうゴール前への入りをこだわりたいです」 「もちろん試合に出ている以上はずっと狙っていますし、そのなかでここ数試合は取れていないので、最後に決めて、個人としてもそれが一番いい形だと思うので、そういう感じで終われるようにゴールにこだわってやりたいです」 最後に、木村は「この1年ですごく成長させてもらいましたし、次の試合が今年緑のユニフォームを着て戦う最後の試合になるので、いい試合にしたいですし、自分の成長した姿をしっかりとファン・サポーターの皆さんに見てもらえるように。あとは勝ってなんぼだと思うので、勝っていい形で終えたいです」と、ホーム最終戦での勝利へ意気込んだ。 2024.11.29 20:42 Fri3
「あの試合から出始めていろいろな成長ができた」東京Vの千田海人が川崎Fとの再戦に臨む
東京ヴェルディのDF千田海人が、J1デビューを果たした川崎フロンターレとの再戦に臨む。 2023年にブラウブリッツ秋田から東京Vに加入した千田は、加入1年目となった昨シーズンにセンターバックのバックアッパーとして16年ぶりのJ1昇格に貢献。 加入2年目となった今シーズンは明治安田J1リーグ第2節の浦和レッズ戦でベンチ入りを果たして以降はベンチ外が続いていたが、4月20日にアウェイで行われた第9節の川崎F戦(0-0△)で、29歳でのJ1デビューを果たした。 その一戦ではJ1屈指のクオリティを誇る攻撃陣を相手に出色のパフォーマンスを披露し、デビュー戦での勝利はならずも今季リーグ戦で初のクリーンシートをもたらした。 この活躍をきっかけにレギュラーを掴むと、夏場に一時ポジションを失ったものの、ここまでリーグ戦25試合に出場。[3-4-2-1]のディフェンスラインの中央で、DF谷口栄斗とともに守備の統率者として安定したパフォーマンスを見せている。 そして、30日に味の素スタジアムで行われる第37節ではキャリアのターニングポイントとなった相手との再戦に臨む。 強靭なフィジカルを生かした地対空の対人戦を最大の特長としながらも、ディフェンスリーダーらしい冷静さを併せ持ち、一喜一憂しない落ち着いた性格の186cmのDFは、J1デビューから7カ月を経ての再戦に向けて「目の前の一試合として戦います」と、あくまで普段通りの意識で臨む構えだ。 とはいえ、3バック変更後初めて対戦し、今季のチームのターニングポイントになったヴィッセル神戸との対戦を引き合いに出しつつ、「個人の話をするのであれば、あの試合から出始めて僕自身も今年の試合のなかでいろいろな成長ができた部分もある」、「個人的な部分も含め結果に結び付けられれば、チームも良くなっていくと思いますし、そこの部分をしっかりとピッチで見せられれば」と、あくまで主語は“チーム”であるものの、川崎Fを相手に個人としても成長を実感できるような試合を見せたいと語った。 その前回対戦からは東京Vが布陣を変更した一方、対戦相手もメンバーの入れ替えに加え、プレースタイルの部分でマイナーチェンジが図られている。 その対戦相手の印象について千田は「低いところでも繋ぐ感じを見せながら、意外とシンプルに前線を使ってくるところは使ってくる」と若干の変化を感じながらも、「フロンターレの良さというところをずっと選手が意識しながらやっているイメージ。ボランチも自由に動いていますし、サイドにもいい選手がいる。そこで自分たちも苦しめられると思うので、しっかり分析しながら相手の良さを消したい。あとはずっと相手のペースにさせず、自分たちがボールを握れる時間帯をたくさん作れればと思います」と、根本的な部分では大きな変化はないとみている。 前回対戦で見応え十分のマッチアップを見せたFWエリソン、後半戦に入って完全にゴールスコアラーとして覚醒し、得点ランキング4位の16ゴールを挙げるFW山田新ら多士済々の相手攻撃陣に対しては「キープ力があり、周りとの関係性もいい。2人とも個人でシュートまで持っていける選手」とその能力の高さを改めて警戒。その上で「しっかりと後ろでコミュニケーションを取りながら対応したい」としている。 一方、攻撃面ではシステム上のミスマッチでの優位性の作り方、攻撃的なサイドバックの背後、切り替えの攻防といった部分がキーになるとみている。 「あまり長いボールを蹴ってこないので、そこのところでの切り替えを高い意識でやらせるのと、しっかりリスクマネジメントをしながら、そこを前の選手にやってもらうというところにこだわっていきたいと思います。あとはサイドバックの裏のスペースをどう使っていくか」 また、直近のホームゲーム3試合では前半の比較的早い時間帯の失点が続いており、チームとしては大きな改善点だ。 その点について千田も「一番大事な時間帯で失点してしまうと、やっぱり試合は難しく進んでしまう。前回も相手のストロングのところでやられているので、ちゃんと全員が危機感を持って対応していくというところを、より一層引き締める必要があります」と、毎試合のことながら入りの改善を訴えた。 最後に、千田はホーム最終戦に向けて「J1に上がって初めての年でどういうふうに終わっていくかということはヴェルディの来年にも繋がると思いますし、そういう部分でこの2試合は大事。サポーターの方にとっては今年の締めくくりだと思いますし、やっぱりいい形で『今年ヴェルディを応援してきてよかったな』、『見ていておもしろいな』とか、何か感じてもらえるような試合やプレーを見せられたらいいなと思うので、最後は勝って終わりたいです」と、ファン・サポーターに勝利を誓った。 2024.11.29 20:00 Fri4
「魂の入ったゲームを」川崎Fとのホーム最終戦に臨む東京Vの城福監督、「このチームの財産」サブ組への思い語る
東京ヴェルディの城福浩監督が、30日に味の素スタジアムで行われる明治安田J1リーグ第37節の川崎フロンターレ戦に向けた会見を実施した。 東京Vは前節、ヴィッセル神戸とのホームゲームを1-1のドローで終えた。昨シーズンの王者相手のシーズンダブル達成はならずも、熾烈な優勝争いの主役を演じる首位チーム相手に堂々たるパフォーマンスをみせ、小さくない手応えを得た。 インターナショナルマッチウィークの中断に加え、先週末は天皇杯決勝の開催に伴いリーグ戦がなく、その前節から約20日と、中17日での開催となった神戸戦に続き長い間隔が空いたなか、今節は13位の川崎Fとのホーム最終戦に臨む。 その中断期間ではサブ組が松本山雅FCとのトレーニングマッチを戦った一方、主力組はトレーニングマッチを行わず、より強度の高いトレーニングとオフを繰り返す形でのコンディション調整となった。 そういった影響もあり、今週行われた紅白戦では残り2試合でのリーグ戦出場を貪欲に狙うサブ組が主力組を圧倒するパフォーマンスを見せたが、それはチームにとっても常日頃からチーム内でのハイレベルの競争を促す指揮官にとっても歓迎すべきものになったという。 「自分たちはちょっとゲームから離れていたので、昨日も紅白戦は本当に久しぶりにやったというか、リーグ戦に出ているメンバーは本当に久しぶりにゲームサイズでプレーをしたので、いろんなものがちょっと見えたというか、しっかりと自分たちが戦える準備という意味ではサブが相当優勢だったので、いい紅白戦の振り返りができました」 16年ぶりのJ1での戦いながら、当初の目標だった残留を早々に成し遂げるなど、終盤戦においてチームとして安定したパフォーマンスを見せた上、負傷による離脱者が極端に少ないこともあり、終盤戦では18人のベンチ入りメンバーも固まりつつある。 通常であれば、控え組のモチベーションやコンディションの維持は難しいが、「日本一のトレーニング」を標榜し、主力組も「このトレーニングをやっていれば成長できる」と口々に語る“エクストラ”と呼ばれる基礎技術の向上や、個々の課題克服を目的としたトレーニングに励む選手たちはブレることなく自身の成長だけに矢印を向け、紅白戦でのパフォーマンスを含めチームに良い刺激を与えている。 その点について指揮官は「今年のチームのストロングのひとつ」と語り、一人のサッカー人としてリスペクトする。 「サッカーというのは、11人しか選手をピッチに送り出せなくて、ベンチには18人しか入れられない。そこに立てない選手が質も量も追い求めて、一生懸命やればやるほど、また入れなかったときの悔しさというのは、僕らが想像できないものがあると思います。もちろんチームには勝ってほしいと思っているし、自分の出番が回ってきてほしいと思っていると思いますけど、いろんなものと戦いながら歯を食いしばってやる。それこそが成長に繋がるというふうに自分で思わないとあれだけできないなと思います」 「もちろんコーチ陣がそこはサポートしながらオーガナイズしていますけど、取り組む姿勢に関しては、このチームのひとつのストロング。彼らを見ていて、先発で試合に出ている選手たちが力を抜けるはずがない。それぐらいの刺激あるいは精神的な緊張感というのをチームにもたらしてくれている存在だと思います」 「できれば、そういう選手たちをピッチに送り込みたいと思いますし、そこはフェアに見てあげたいと思いますけども、少なくともそのチャンスがなかなか巡ってこなくてもやり続けている選手がいるということ。それがあと何節とかに関係なくやり続けられるチームの雰囲気を保てていることというのは、本当に今年のチームのストロングのひとつかなと思います」 そういった日頃からの姿勢、城福監督の就任以降クラブ伝統の巧さ、遊び心のあるプレーに加え、ハードワークや闘う姿勢、泥臭さによって成功を収めているトップチームのスタイルは、下部組織にも影響を及ぼしている印象だ。 とりわけ、先日に行われた『2024Jユースカップ 第30回Jリーグユース選手権大会』で、28年ぶり3度目の優勝を果たした東京ヴェルディユースがサンフレッチェ広島F.Cユース相手の決勝で見せたプレーは、現トップチームの戦いぶりを彷彿とさせるものだった。 城福監督は「自分たちが影響を及ぼしているというような上から目線で言うような立場ではない」としながらも、常にアカデミーの指導者・スタッフに惜しみなくトップチームのノウハウをオープンに公開しているなかで、そういった影響がアカデミー全体にポジティブなものをもたらしているのであれば、一人の指導者としてうれしいことだと、あくまで控えめに語ってくれた。 「自分たちは全部をオープンにしているので、アカデミーのスタッフは練習をいつ見に来てもらってもいいし、ミーティングもいつ出てもらってもいいというふうにしているので、来られるときにはそれこそユースのスタッフやジュニアユースのスタッフもミーティングに参加しています」 「特にフィードバックのときというのは、勝とうが負けようが我々が何を大事にしているかというのはずっと言い続けてきていると。それを聞いてくれているスタッフがいて、(アカデミーの)選手にうまく伝えてくれている部分がひょっとしたらあるのかなと思います」 「我々の戦い方を見て、J2も含めてJ2から上がってきたときの最初の苦戦の仕方とか、そこからアジャストしていくプロセスを見て、アカデミーの選手たちも各々に感じるものがあってくれたらうれしいなと思いますし、彼らが自分で考えて、あるいはスタッフといろんな相談をしながら、個やチームの成長に取り組んでいってくれていると、その部分で我々が刺激のひとつになってくれているということであれば、すごくうれしいことだなと思います」 そういったアカデミーの成功にも刺激を受けつつ、残り2試合では他力本願は承知のことながら「自分たちに矢印を向けてやり続ければ、何かが起こる可能性もあるというのは、みんなわかっている」と、4位フィニッシュで出場権を得られるAFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)も視野に入れながら、勝ち点6獲得を目指す。 順位は自分たちより下位ながらも、クラブ規模、スカッドにおいて格上と言える川崎Fとの対戦に向けては、「個のスキルのレベルは本当に高い」と警戒。 「日本人も外国籍の選手も個のスキルと、特徴というのが明確ななかで、特徴が違うということは出る選手によって、見せる表情が違うというか、サッカーの多く出るシーンというのがちょっと変わってくる。それに合わせられる、そういう選手のストロングを周りが出してあげられるスキルがあるので、ここは本当に注意しないと、フロンターレはどういうふうにポジションを取って、こういうふうにボールを回してくるというふうな決め付けができない。それがフロンターレの強みかなと思います」 会見実施時点でホームゴール裏が完売するなど、ファン・サポーターの大きな期待のなかで戦うホーム最終戦では、ある意味で今季の集大成を披露する戦いとなるが、指揮官は「こういうふうなサッカーができたから、どうぞ見てくださいなんて心境ではない」と、前述の紅白戦や控え組に改めて触れながら、見栄えのいいプレーではなく、あくまで泥臭いプレーで愚直に結果を求めたいと語った。 「紅白戦で言えば、試合の先発で出る可能性の高い選手たちよりも、そうではない色のビブスの方が断然いい。これは2つの見方があって、何かを勝ち取ったとか、もう自分はレギュラーだろうとか、J1で通用するようになったとか。そういう思いでピッチに立てば、それはそういう思いではない選手たちにコテンパンにやられる」 「だから我々はそれぐらいギリギリのなかで試合をしてきているということ。格段に個のレベルが上がって、チーム力が格段に上がったかというと、それはいつも言うように牛歩のごとく前には進んでいますけど、何かをきっかけに何かが緩むと、それはもう途端に落ちる。それぐらいギリギリのところで自分たちがやってきているということを思い出させてくれるのが、サブ組なんですよ。個人的にそれはこのチームの財産だと思います」 「実際に試合が始まって、『そうだったな』と痛い目にあって思い出すのではなくて、その準備のプロセスのなかで我々の練習場のなかで思い出せる。本来それも含めてサポーターに見せたいぐらいですけど、実際にはそこから選ばれた11人や18人しか、我々の意思を見せることはできないわけで、選手たちがそういう思いも汲んで、魂の入ったゲームをしてもらうというところだと思います」 「ホーム最終戦が素晴らしい空気感で終われば、これはまた来年にも繋がることだと思うので、勝って終わるのが一番いい終わり方なので、とにかく勝ち点3を目指したいです」 2024.11.29 18:45 Fri5