【2021-22ラ・リーガ前半戦総括】超WS選出の最優秀選手はベンゼマ
2022.01.05 18:16 Wed
◆レアル・マドリーが首位快走!
開幕前は攻撃陣を中心に積極補強を敢行した昨季王者アトレティコ・マドリーが本命、対抗にレアル・マドリー、セビージャといった昨季上位チームの名前が挙がっていたが、蓋を開けてみれば、カルロ・アンチェロッティ率いる新生エルブランコが首位を快走している。
ジダン前監督の退任に伴い、紆余曲折の末にイタリア人指揮官を6年ぶりに復帰させたレアル・マドリー(勝ち点46)。DFセルヒオ・ラモス、DFヴァランという長らくチームの屋台骨を支えたバックラインの主力2選手が退団した一方、目立った補強はDFアラバ、MFカマヴィンガら2選手の獲得に留まった。“黄金の中盤”に守護神クルトワ、エースFWベンゼマが健在なこともあり、間違いなく優勝争いを牽引する存在になると思われたが、百戦錬磨のディフェンスリーダーが抜けた守備面の不安は拭えなかった。
だが、守備が崩壊した第2節レバンテ戦(3-3)、唯一の黒星となった第8節エスパニョール戦(1-2)を除き、複数失点を喫したゲームはなく、昨季後半戦から急成長のDFミリトン、バイエルンから新加入のアラバ、GKクルトワを中心とする守備陣が抜群の安定感を披露。攻撃陣では絶対的エースのベンゼマと、今季に入って決定力に著しい改善を見せたFWヴィニシウスがいずれも2桁ゴールを挙げる2大エースとして躍動。3トップの残り1枠を巡るFWロドリゴやFWアセンシオ、FWアザールといった選手たちも徐々にコンディションを上げており、攻守両面で隙がないスカッドが出来上がっている。
リーグ連覇に向け、主力の流出を最低限に留めた上、MFデ・パウル、FWマテウス・クーニャ、FWグリーズマンと補強が必要なポジションにピンポイント補強を敢行し、下馬評では本命と目されたアトレティコ(勝ち点32)だが、首位と14ポイント差の4位で前半戦を終えることになった。開幕2連勝スタートと、シーズン出だしは悪くなかったが、以降は格下相手に勝ち切れない試合が目立ち始めると、第16節マジョルカ戦からシメオネ体制ワーストの4連敗を経験。ここまでの失点数が「22」と昨季シーズン全体の「25」に迫るなど、持ち味の堅守が崩壊。より攻撃的なスタイルに舵を切ったものの、得点数が「32」では割に合わないと言わざるを得ない。
その昨季王者以上に深刻な状態にいるのが、昨季3位のバルセロナ(勝ち点31)だ。前経営陣の放漫経営のツケを払う形で、エースFWメッシの流出に始まり、サラリーキャップの制限で多くの主力に大幅な減俸を吞んでもらい、辛くもトップチーム25名の登録にこぎ着けたブラウグラナは、前線を中心に多くの負傷者に悩まされた上、コミュニケーション、戦術面で問題を抱えたクーマン前監督を解任。暫定指揮官セルジを経てチャビ・エルナンデス監督を新指揮官に招へいした。
不甲斐ない強豪2クラブに代わってレアル・マドリーと覇権争いの主役を担うのが、セビージャ(勝ち点41)とベティス(勝ち点33)のアンダルシア勢。
昨季、早々にチャンピオンズリーグ(CL)出場権を確保したことで、辣腕SDモンチの下で早い段階から夏の補強に動けたセビージャはDFクンデら昨季の主力の残留に加え、MFラメラ、DFモンティエル、FWラファ・ミルと手薄なポジションに実力者を補強。昨季チーム得点王のFWエン=ネシリやDFヘスス・ナバスらチーム全体の負傷者の多さは気がかりも、リーグ最少失点(13点)の堅守を武器に首位チームに食らいつく。
一方、ペジェグリーニ就任1年目の昨季を6位で終えたベティスは、ここまで3位と大健闘。GKルイ・シウバやDFベジェリン、FWウィリアン・ジョゼと新戦力がすぐにフィットしたことも大きいが、それ以上に司令塔フェキルやMFカナレス、FWフアンミと昨季以前からの主力のハイパフォーマンスが光る。
トップ4、ヨーロッパのコンペティション争いでは、開幕好スタートのレアル・ソシエダ(勝ち点30)の失速、序盤戦で苦しんだビジャレアル(勝ち点28)の復調と、バレンシア(勝ち点28)やアスレティック・ビルバオ(勝ち点27)を含め名門クラブが順当にトップハーフを占めている。その中で6位ラージョ・バジェカーノ(勝ち点30)、9位エスパニョール(勝ち点26)とセグンダからの昇格組が見事な躍進を見せている。
残留争いでは最下位レバンテ(勝ち点8)がここまで唯一未勝利と大苦戦。加えて、昨季も残留争いに身を置いたアラベス(勝ち点16)やカディス(勝ち点14)、エルチェ(勝ち点16)、監督交代でやや復調したヘタフェ(勝ち点18)も苦しい前半戦を過ごした。
最後に、日本人選手では開幕前にアラベスのFW原大智が初参戦となったものの、シーズン開幕直後にシント=トロイデン(ベルギー)にレンタル移籍したため、マジョルカMF久保建英が唯一プレーしている。
その久保は15位に位置するチームの中で、ここまで10試合に出場し1ゴールを記録。9月下旬に負ったヒザのケガによって2カ月の戦線離脱を経験したこともあり、なかなか目に見える結果を残せずにいたが、第16節アトレティコ戦では試合終了間際に昨季王者を敵地で粉砕するゴールを挙げ、巻き返しの後半戦に向けて大きな弾みを付けている。
【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆FWカリム・ベンゼマ(レアル・マドリー)

メッシなきラ・リーガで最高のアタッカー。前半戦首位チームでは完全覚醒のヴィニシウス、ハイパフォーマンスでゴールに鍵をかけたクルトワの活躍も光ったが、リーグトップの15ゴール、アシストランキング2位の7アシストを記録した絶対的なエースをMVPに選出。昨シーズンは攻撃の起点づくり、チャンスメーク、フィニッシャーとよりマルチタスクを担ってきたが、今季はヴィニシウスの急成長や盤石の中盤のハイパフォーマンスもあって、よりボックス付近での仕事に集中できている。そして、難度の高いフィニッシュをいとも簡単にゴールに結びつけ、自身初のピチーチ(得点王)獲得にまい進中だ。ポジショニング、戦術眼、プレー精度、いずれを見ても現プリメーラ最高のアタッカーだ。
★最優秀監督
◆アンドニ・イラオラ(ラージョ・バジェカーノ)

“スーペル・ラージョ”を率いる青年指揮官。新生マドリーを首位に導くアンチェロッティ監督の仕事も見事だが、昨季セグンダ2位チームを6位に躍進させているイラオラ監督のインパクトはそれ以上だ。
現役時代にはフットボールIQの高さを武器に、アスレティック・ビルバオの右サイドでいぶし銀の活躍を見せたイラオラ監督は、AEKラルナカ(キプロス)、ミランデスでの指揮を経て、昨季ラージョの指揮官に就任。高いボール支配率、即時奪回という攻撃的なスタイルを植え付け、就任1年目でプリメーラ昇格に導いた。
自身初のプリメーラではセビージャ、レアル・ソシエダ相手に開幕連敗スタートと厳しい船出となったが、以降はレアル・マドリー、ベティスといった上位陣に惜敗したものの、前半戦で9勝を挙げる見事な戦いぶりを見せている。昨季に比べてボールを握る時間は減っているが、積極果敢なプレスは健在で司令塔MFオスカル・トレホ、FWファルカオという個の力を生かして着実にゴールを奪い、組織的な守備でしっかりと耐え抜く安定感が際立つ。また、第11節ではバルセロナを1-0で破るジャイアントキリングも達成。39歳指揮官の評判はうなぎ上りだ。
【期待以上】
★チーム
◆ベティス

ペジェグリーニ体制2年目で本領発揮。インパクトではラージョに劣るものの、前半戦の主役を担ったチームの一つが昨季6位から3位に躍進したベティスだ。近年はアンダルシアの宿敵セビージャの後塵を拝し続けてきたが、今季は8ポイント差はあるものの一つ下の3位と肉薄。
3連勝で臨んだアトレティコ、セビージャとのダービーでの連戦では不甲斐ないパフォーマンスに終始し、連敗を喫したが、以降はバルセロナとソシエダを連破するなど4連勝でバウンスバック。昨季に比べてチームとしてのタフさが出てきた印象だ。ペジェグリーニ2年目はこれまで同様にボール支配に主眼を置きながらも、守備の局面で果敢にプレッシングを敢行するなど、よりアグレッシブな姿勢を打ち出している。並行して戦うヨーロッパリーグ(EL)での積極的なターンオーバーもあり、チーム内の競争力も激しく後半戦に向けて新たな選手の台頭が期待されるところだ。
★選手
◆MFガビ(バルセロナ)

今季大ブレイクを果たした神童MF。暗い話題ばかりのバルセロナにあって、唯一クレの慰めとなっているのが、デビューシーズンでハツラツとプレーする逸材カンテラーノたち。その筆頭が“ガビ”こと、17歳MFパブロ・パエスだ。
2015年にベティスからラ・マシア入りした神童は、チャビやMFイニエスタら偉大なる先達を彷彿とさせる、卓越したボールコントロール、ポジショニング、パスセンスを披露。加えて、173cmと小柄ながらもその強気なメンタルを含め、デュエルの局面でもバチバチと戦える。
ここまでインテリオール、左右のウイングを主戦場に16試合1ゴール3アシストを記録し、ここ最近ではプリメーラの水にも慣れ、より決定的な仕事にも絡んでいる。今後はペドリやアンス・ファティらの戦列復帰によってポジション争いが激化するため、更なる成長を見せたいところだ。
【期待外れ】
★チーム
◆レバンテ

唯一の未勝利で6シーズンぶりのセグンダ降格の危機。2017-18シーズンの昇格後、4シーズン連続で残留を決めてきたレバンテだが、今季は0勝8分け11敗の最下位に低迷。開幕5試合では未勝利とはいえ、レアル・マドリーに引き分けるなど、4分け1敗とそこまで悪くない戦績だったが、以降は2度の3連敗など、勝ち切れないだけでなくあっさりと敗れる試合が目立った。パコ・ロペス、ハビエル・ペレイラとすでに2人の指揮官を解任し、現在はリザーブから昇格させたイタリア人指揮官リスチの下で立て直しを図る最中だ。
ここまで迫力不足の攻撃面ではFWホセ・モラエス、MFバルディ、FWソルダードら実力者を擁しており今後の改善は期待できるが、4バック、3バックのいずれでも安定感をリーグワーストの守備の改善は急務。とりわけ、直近のバレンシア・ダービーなど、リードした展開から勝ち点を取りこぼす悪癖をどうにかしたい。
★選手
◆FWルーク・デ・ヨング(バルセロナ)

わずか半年で構想外に。今夏の移籍市場最終日にFWグリーズマンの後釜として電撃加入も、全くチームのスタイルに馴染めずに今冬の退団が決定的な状況だ。188cmの長身と屈強なフィジカルを特長とするターゲットマンタイプのプレースタイルは、加入当初からバルセロナのスタイルに合致しないと思われたが、その予想通りに思うような結果を残せず。
10試合2ゴールという数字もさることながら、前線に多くの負傷者が出ている上、個人として目立ったコンディション不良がなかったにも関わらず、試合終了間際にDFピケやDFアラウホと共にパワープレー要員としてしか起用されていない事実がチームから信頼を得られていないことを如実に示している。打開力のなさやチームスタイルへの適応という部分に関してはしょうがない部分があったが、決定力やポストワーク、ゴール前の競り合いといった勝負できるポイントでも精彩を欠き、失望の前半戦となった。
【後半戦展望】
◆独走気配のレアル・マドリーを止められるか
前半戦の戦い方を見れば、後半戦も優勝争いをリードするのは、レアル・マドリーだ。攻守両面で目立ったウィークポイントがなくベンゼマやヴィニシウス、クルトワといった替えが利かない主力の長期離脱などのアクシデントに見舞われない限り、大崩れする可能性は非常に低いはずだ。そのため、ラ・リーガの覇権争いへの関心を繋ぐためにはリーグ全体で“ストップ・ザ・マドリー”の姿勢を打ち出していく必要がある。
現時点で5ポイント差(1試合未消化)と、唯一対抗馬となっているセビージャは、多くの負傷者とアフリカ・ネーションズカップにエン=ネシリ、FWムニルを派遣する1月、2月の戦いが重要となる。モンチSDがマンチェスター・ユナイテッドFWマルシャルの獲得に動くなど、前線の補強を目指している一方、クンデにプレミアリーグ行きの噂が再燃しており、今冬の移籍市場での動き方が重要になりそうだ。
3位のベティス以下ではアトレティコ、バルセロナ、ビジャレアル、ソシエダら地力のあるチームの意地に期待。攻守両面で課題が少なくないアトレティコは、闘将の下で堅守復活と共に今一度局面での戦う姿勢を強調したい。バルセロナではマンチェスター・シティFWフェラン・トーレスの獲得が決定し、ファティやペドリらの復帰によって巻き返しへの準備は整いつつある。その中でチャビ監督の下、失いかけた黄金期のスタイルをどこまで取り戻せるか。
ソシエダやビジャレアルでは負傷によって離脱が続いていたFWオヤルサバルやFWジェラール・モレノの完全復活を、巻き返しに繋げていきたいところだ。
例年通り、熾烈を極める残留争いではカディスを除き下位クラブがいずれも指揮官交代を図っており、今冬の緊急補強と共に新スタイルの浸透が今後の浮沈を大きく左右することになるはずだ。
開幕前は攻撃陣を中心に積極補強を敢行した昨季王者アトレティコ・マドリーが本命、対抗にレアル・マドリー、セビージャといった昨季上位チームの名前が挙がっていたが、蓋を開けてみれば、カルロ・アンチェロッティ率いる新生エルブランコが首位を快走している。
ジダン前監督の退任に伴い、紆余曲折の末にイタリア人指揮官を6年ぶりに復帰させたレアル・マドリー(勝ち点46)。DFセルヒオ・ラモス、DFヴァランという長らくチームの屋台骨を支えたバックラインの主力2選手が退団した一方、目立った補強はDFアラバ、MFカマヴィンガら2選手の獲得に留まった。“黄金の中盤”に守護神クルトワ、エースFWベンゼマが健在なこともあり、間違いなく優勝争いを牽引する存在になると思われたが、百戦錬磨のディフェンスリーダーが抜けた守備面の不安は拭えなかった。
だが、守備が崩壊した第2節レバンテ戦(3-3)、唯一の黒星となった第8節エスパニョール戦(1-2)を除き、複数失点を喫したゲームはなく、昨季後半戦から急成長のDFミリトン、バイエルンから新加入のアラバ、GKクルトワを中心とする守備陣が抜群の安定感を披露。攻撃陣では絶対的エースのベンゼマと、今季に入って決定力に著しい改善を見せたFWヴィニシウスがいずれも2桁ゴールを挙げる2大エースとして躍動。3トップの残り1枠を巡るFWロドリゴやFWアセンシオ、FWアザールといった選手たちも徐々にコンディションを上げており、攻守両面で隙がないスカッドが出来上がっている。
その昨季王者以上に深刻な状態にいるのが、昨季3位のバルセロナ(勝ち点31)だ。前経営陣の放漫経営のツケを払う形で、エースFWメッシの流出に始まり、サラリーキャップの制限で多くの主力に大幅な減俸を吞んでもらい、辛くもトップチーム25名の登録にこぎ着けたブラウグラナは、前線を中心に多くの負傷者に悩まされた上、コミュニケーション、戦術面で問題を抱えたクーマン前監督を解任。暫定指揮官セルジを経てチャビ・エルナンデス監督を新指揮官に招へいした。
クラブの黄金期を知るレジェンドの帰還によってV字回復が期待されたが、フットボールの世界はそこまで甘くなく、頼れるカンテラーノを中心にチーム全体で躍動感や覇気を取り戻したものの、フィニッシュの精度、ゲームコントロール、脆弱な守備という前体制からの課題を克服し切れぬままトップ4圏外の5位で前半戦を終えることになった。
不甲斐ない強豪2クラブに代わってレアル・マドリーと覇権争いの主役を担うのが、セビージャ(勝ち点41)とベティス(勝ち点33)のアンダルシア勢。
昨季、早々にチャンピオンズリーグ(CL)出場権を確保したことで、辣腕SDモンチの下で早い段階から夏の補強に動けたセビージャはDFクンデら昨季の主力の残留に加え、MFラメラ、DFモンティエル、FWラファ・ミルと手薄なポジションに実力者を補強。昨季チーム得点王のFWエン=ネシリやDFヘスス・ナバスらチーム全体の負傷者の多さは気がかりも、リーグ最少失点(13点)の堅守を武器に首位チームに食らいつく。
一方、ペジェグリーニ就任1年目の昨季を6位で終えたベティスは、ここまで3位と大健闘。GKルイ・シウバやDFベジェリン、FWウィリアン・ジョゼと新戦力がすぐにフィットしたことも大きいが、それ以上に司令塔フェキルやMFカナレス、FWフアンミと昨季以前からの主力のハイパフォーマンスが光る。
トップ4、ヨーロッパのコンペティション争いでは、開幕好スタートのレアル・ソシエダ(勝ち点30)の失速、序盤戦で苦しんだビジャレアル(勝ち点28)の復調と、バレンシア(勝ち点28)やアスレティック・ビルバオ(勝ち点27)を含め名門クラブが順当にトップハーフを占めている。その中で6位ラージョ・バジェカーノ(勝ち点30)、9位エスパニョール(勝ち点26)とセグンダからの昇格組が見事な躍進を見せている。
残留争いでは最下位レバンテ(勝ち点8)がここまで唯一未勝利と大苦戦。加えて、昨季も残留争いに身を置いたアラベス(勝ち点16)やカディス(勝ち点14)、エルチェ(勝ち点16)、監督交代でやや復調したヘタフェ(勝ち点18)も苦しい前半戦を過ごした。
最後に、日本人選手では開幕前にアラベスのFW原大智が初参戦となったものの、シーズン開幕直後にシント=トロイデン(ベルギー)にレンタル移籍したため、マジョルカMF久保建英が唯一プレーしている。
その久保は15位に位置するチームの中で、ここまで10試合に出場し1ゴールを記録。9月下旬に負ったヒザのケガによって2カ月の戦線離脱を経験したこともあり、なかなか目に見える結果を残せずにいたが、第16節アトレティコ戦では試合終了間際に昨季王者を敵地で粉砕するゴールを挙げ、巻き返しの後半戦に向けて大きな弾みを付けている。
【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆FWカリム・ベンゼマ(レアル・マドリー)

Getty Images
メッシなきラ・リーガで最高のアタッカー。前半戦首位チームでは完全覚醒のヴィニシウス、ハイパフォーマンスでゴールに鍵をかけたクルトワの活躍も光ったが、リーグトップの15ゴール、アシストランキング2位の7アシストを記録した絶対的なエースをMVPに選出。昨シーズンは攻撃の起点づくり、チャンスメーク、フィニッシャーとよりマルチタスクを担ってきたが、今季はヴィニシウスの急成長や盤石の中盤のハイパフォーマンスもあって、よりボックス付近での仕事に集中できている。そして、難度の高いフィニッシュをいとも簡単にゴールに結びつけ、自身初のピチーチ(得点王)獲得にまい進中だ。ポジショニング、戦術眼、プレー精度、いずれを見ても現プリメーラ最高のアタッカーだ。
★最優秀監督
◆アンドニ・イラオラ(ラージョ・バジェカーノ)

Getty Images
“スーペル・ラージョ”を率いる青年指揮官。新生マドリーを首位に導くアンチェロッティ監督の仕事も見事だが、昨季セグンダ2位チームを6位に躍進させているイラオラ監督のインパクトはそれ以上だ。
現役時代にはフットボールIQの高さを武器に、アスレティック・ビルバオの右サイドでいぶし銀の活躍を見せたイラオラ監督は、AEKラルナカ(キプロス)、ミランデスでの指揮を経て、昨季ラージョの指揮官に就任。高いボール支配率、即時奪回という攻撃的なスタイルを植え付け、就任1年目でプリメーラ昇格に導いた。
自身初のプリメーラではセビージャ、レアル・ソシエダ相手に開幕連敗スタートと厳しい船出となったが、以降はレアル・マドリー、ベティスといった上位陣に惜敗したものの、前半戦で9勝を挙げる見事な戦いぶりを見せている。昨季に比べてボールを握る時間は減っているが、積極果敢なプレスは健在で司令塔MFオスカル・トレホ、FWファルカオという個の力を生かして着実にゴールを奪い、組織的な守備でしっかりと耐え抜く安定感が際立つ。また、第11節ではバルセロナを1-0で破るジャイアントキリングも達成。39歳指揮官の評判はうなぎ上りだ。
【期待以上】
★チーム
◆ベティス

Getty Images
ペジェグリーニ体制2年目で本領発揮。インパクトではラージョに劣るものの、前半戦の主役を担ったチームの一つが昨季6位から3位に躍進したベティスだ。近年はアンダルシアの宿敵セビージャの後塵を拝し続けてきたが、今季は8ポイント差はあるものの一つ下の3位と肉薄。
3連勝で臨んだアトレティコ、セビージャとのダービーでの連戦では不甲斐ないパフォーマンスに終始し、連敗を喫したが、以降はバルセロナとソシエダを連破するなど4連勝でバウンスバック。昨季に比べてチームとしてのタフさが出てきた印象だ。ペジェグリーニ2年目はこれまで同様にボール支配に主眼を置きながらも、守備の局面で果敢にプレッシングを敢行するなど、よりアグレッシブな姿勢を打ち出している。並行して戦うヨーロッパリーグ(EL)での積極的なターンオーバーもあり、チーム内の競争力も激しく後半戦に向けて新たな選手の台頭が期待されるところだ。
★選手
◆MFガビ(バルセロナ)

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今季大ブレイクを果たした神童MF。暗い話題ばかりのバルセロナにあって、唯一クレの慰めとなっているのが、デビューシーズンでハツラツとプレーする逸材カンテラーノたち。その筆頭が“ガビ”こと、17歳MFパブロ・パエスだ。
2015年にベティスからラ・マシア入りした神童は、チャビやMFイニエスタら偉大なる先達を彷彿とさせる、卓越したボールコントロール、ポジショニング、パスセンスを披露。加えて、173cmと小柄ながらもその強気なメンタルを含め、デュエルの局面でもバチバチと戦える。
ここまでインテリオール、左右のウイングを主戦場に16試合1ゴール3アシストを記録し、ここ最近ではプリメーラの水にも慣れ、より決定的な仕事にも絡んでいる。今後はペドリやアンス・ファティらの戦列復帰によってポジション争いが激化するため、更なる成長を見せたいところだ。
【期待外れ】
★チーム
◆レバンテ

Getty Images
唯一の未勝利で6シーズンぶりのセグンダ降格の危機。2017-18シーズンの昇格後、4シーズン連続で残留を決めてきたレバンテだが、今季は0勝8分け11敗の最下位に低迷。開幕5試合では未勝利とはいえ、レアル・マドリーに引き分けるなど、4分け1敗とそこまで悪くない戦績だったが、以降は2度の3連敗など、勝ち切れないだけでなくあっさりと敗れる試合が目立った。パコ・ロペス、ハビエル・ペレイラとすでに2人の指揮官を解任し、現在はリザーブから昇格させたイタリア人指揮官リスチの下で立て直しを図る最中だ。
ここまで迫力不足の攻撃面ではFWホセ・モラエス、MFバルディ、FWソルダードら実力者を擁しており今後の改善は期待できるが、4バック、3バックのいずれでも安定感をリーグワーストの守備の改善は急務。とりわけ、直近のバレンシア・ダービーなど、リードした展開から勝ち点を取りこぼす悪癖をどうにかしたい。
★選手
◆FWルーク・デ・ヨング(バルセロナ)

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わずか半年で構想外に。今夏の移籍市場最終日にFWグリーズマンの後釜として電撃加入も、全くチームのスタイルに馴染めずに今冬の退団が決定的な状況だ。188cmの長身と屈強なフィジカルを特長とするターゲットマンタイプのプレースタイルは、加入当初からバルセロナのスタイルに合致しないと思われたが、その予想通りに思うような結果を残せず。
10試合2ゴールという数字もさることながら、前線に多くの負傷者が出ている上、個人として目立ったコンディション不良がなかったにも関わらず、試合終了間際にDFピケやDFアラウホと共にパワープレー要員としてしか起用されていない事実がチームから信頼を得られていないことを如実に示している。打開力のなさやチームスタイルへの適応という部分に関してはしょうがない部分があったが、決定力やポストワーク、ゴール前の競り合いといった勝負できるポイントでも精彩を欠き、失望の前半戦となった。
【後半戦展望】
◆独走気配のレアル・マドリーを止められるか
前半戦の戦い方を見れば、後半戦も優勝争いをリードするのは、レアル・マドリーだ。攻守両面で目立ったウィークポイントがなくベンゼマやヴィニシウス、クルトワといった替えが利かない主力の長期離脱などのアクシデントに見舞われない限り、大崩れする可能性は非常に低いはずだ。そのため、ラ・リーガの覇権争いへの関心を繋ぐためにはリーグ全体で“ストップ・ザ・マドリー”の姿勢を打ち出していく必要がある。
現時点で5ポイント差(1試合未消化)と、唯一対抗馬となっているセビージャは、多くの負傷者とアフリカ・ネーションズカップにエン=ネシリ、FWムニルを派遣する1月、2月の戦いが重要となる。モンチSDがマンチェスター・ユナイテッドFWマルシャルの獲得に動くなど、前線の補強を目指している一方、クンデにプレミアリーグ行きの噂が再燃しており、今冬の移籍市場での動き方が重要になりそうだ。
3位のベティス以下ではアトレティコ、バルセロナ、ビジャレアル、ソシエダら地力のあるチームの意地に期待。攻守両面で課題が少なくないアトレティコは、闘将の下で堅守復活と共に今一度局面での戦う姿勢を強調したい。バルセロナではマンチェスター・シティFWフェラン・トーレスの獲得が決定し、ファティやペドリらの復帰によって巻き返しへの準備は整いつつある。その中でチャビ監督の下、失いかけた黄金期のスタイルをどこまで取り戻せるか。
ソシエダやビジャレアルでは負傷によって離脱が続いていたFWオヤルサバルやFWジェラール・モレノの完全復活を、巻き返しに繋げていきたいところだ。
例年通り、熾烈を極める残留争いではカディスを除き下位クラブがいずれも指揮官交代を図っており、今冬の緊急補強と共に新スタイルの浸透が今後の浮沈を大きく左右することになるはずだ。
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レアル・マドリーに、ミランからスペイン人DFアレックス・ヒメネス(19)を一時的に呼び戻すプランが存在か。イタリア『カルチョメルカート』が伝えている。 ヒメネスはスペイン出身で、マドリーの下部組織育ち。23年夏にレンタル移籍でミランU-19へ加わり、1年後の昨夏、ミランへの完全移籍と共にトップチーム昇格となった。 すなわち現在は完全にミランの一員なわけで、迎えた今シーズンはセリエA5試合、スーペルコッパ・イタリアーナ2試合などに出場。ただ、主戦場はセリエCのフトゥーロ(U-23)である。 そんななか、最終ラインが手薄なマドリーが、半年レンタルでのヒメネス呼び戻しを画策か。 現段階ではいちプランに過ぎずも、ドライローンでの獲得に興味を持っているとのこと。マドリーには2025年夏なら900万ユーロ(約14.4億円)、26年夏なら1200万ユーロ(約19.2億円)という、買い戻し条項があるとされている。 2025.01.16 15:40 Thu3
ヴィニシウスにトラブル…クラブ買収巡る問題で2年間の出場停止求める訴え起こされる
レアル・マドリーのブラジル代表FWヴィニシウス・ジュニオールが、国際サッカー連盟(FIFA)の倫理規定違反で2年間の出場停止処分を科される可能性が浮上している。 昨年はバロンドールこそ逃したもののFIFAザ・ベストを受賞し、チャンピオンズリーグとラ・リーガの2冠に貢献したヴィニシウス。今シーズンは昨シーズンほどのインパクトこそ残せていないが、公式戦20ゴール14アシストと十分なスタッツを残し、マドリーの主軸として活躍。直近では2030年までの新契約締結で合意に至ったとの報道も出ていた。 そんななか、イタリア『ジャンルカ・ディ・マルツィオ』などの報道によれば、現在フットボール界屈指のスーパースターには父親と代理人とともに経営する『ALL Agenciamento Esportivo』社のサッカークラブ買収に関する問題で、FIFAから調査を受けているという。 『ALL』はポルトガルのFCアルベルカと、カンピオナート・ブラジレイロ・セリエB(ブラジル2部)のアスレティック・クラブを買収した。 後者のアスレティック・クラブに関しては16.5%の株式を保有するブラジル企業『ティベリス・ホールディング・ド・ブラジル』が、クラブのセリエB昇格を受けて、株式過半数を取得する優先購入権を行使する計画を立てていた。 しかし、実際に株式はヴィニシウスと関係のある『ALL』に直接売却され、サンパウロ商事裁判所は調査のため取引を停止。 だが、捜査が行われている間に『ALL』がクラブの運営権を握ったことに激怒した『ティベリス』は4月7日、FIFA倫理委員会の調査委員会に申し立てを行い、ヴィニシウスに対して2年間の出場停止処分を要求した。 『ティベリス』の訴えによると、これはFIFA倫理規定第20条およびスペインサッカー連盟(RFEF)スポーツ正義規定第22条に違反するとして国際訴訟を起こすことを決定。これらの規定はいずれも、利益相反の明らかなリスクがある場合に、現役サッカー選手がプロサッカークラブを直接的または間接的に所有することを禁じている。 懸念されるのは、選手オーナーにとって有利な個人契約、スポーツの試合結果への影響。さらに、異例の形で他の選手を引きつける可能性、税務上の不正行為に至るまで、多岐にわたるという。実際、アスレティック・クラブとアルベルカの間ではここにきて選手移籍の動きもある。 この訴えはFIFAに審査される予定であり、出場停止処分に至らない可能性もあるが、『ティベリス』は2年間の出場停止処分を求めており、この訴えが全面的に認められた場合、ヴィニシウスの選手生命に関わる事態となる。 ただ、現状の見立てでは両者間での和解を目指しつつ、ヴィニシウス側に処分が下ったとしても、罰金といったより軽微な処分にとどまる可能性が高いようだ。 2025.04.23 20:51 Wed4
2001年から続いたレアル・マドリーの“ジダン王朝”、三男テオがカスティージャ退団でとうとう終焉へ
レアル・マドリーから“ジダン”がいなくなる見通しに。スペイン『Relevo』が伝える。 2001年7月9日、レアル・マドリーで前年から第一次政権を発足させたフロレンティーノ・ペレス会長が、21世紀到来を控えてスタートした“銀河系軍団”構築の第2弾として、ユベントスから2000年のFIFA世界最優秀選手賞、ジネディーヌ・ジダン氏を当時史上最高額の9000万ユーロで獲得。全世界が仰天した。 その後、ジダン氏は2006年の現役引退までマドリーでプレーし、引退後は2度にわたって監督を歴任。その間の功績等は説明不要だろう。 一方、ジダン氏には4人の息子が。長男エンツォ・ジダン(1995年生まれ)、次男ルカ・ジダン(98年生まれ)、三男テオ・ジダン(02年生まれ)、四男エリアス・ジダン(05年生まれ)。エンツォとルカは父の現役時代からマドリー下部組織に所属し、テオとエリアスも兄2人を追うようにマドリーの一員となった。 現在もマドリーに残るはリザーブチーム「カスティージャ」でプレーする三男テオのみだが、一家の父が2001年7月にマドリー入りして以来、エル・ブランコには絶えず、”ジダン”が所属しているのだ。 しかし、2024年夏をもって、四半世紀近く続いてきた「マドリーにジダンあり」が終わる見通しに。テオの契約が6月末までとなっており、本人に延長の意志なし。トップチーム昇格を待たずして、キャリアで初めてマドリーを離れる決断を25日に下したとのことだ。 22歳テオは、父の盟友ラウール・ゴンサレスが率いるカスティージャで主力選手。今季のスペイン3部でセントラルハーフとして優れたパフォーマンスを披露し、他クラブのトップチームに羽ばたく目処が立ったとみられている。 なお、マドリートップチーム通算“1試合1得点”という29歳の長男エンツォは、現役引退を宣言せずとも現在サッカーから離れ、不動産業に従事。1月にマドリーからレアル・ベティスへ移籍した18歳の四男エリアスは、来季のトップチーム昇格が決定し、U-19フランス代表でも主力級という194cmの左利きセンターバックだ。 2024.05.27 15:00 Mon5
