ようやく本物のCL決勝トーナメントが始まる…/原ゆみこのマドリッド

2026.02.28 13:04 Sat
©Atlético de Madrid
「アトレティコがダメダメだったんじゃなくて、あれはホントに相手が強かったのね」そんな風に私が認識を新たにしていたのは木曜日。CLのノックアウトフェーズ進出プレーオフ勝ち抜けチームと金曜日の抽選での対戦組み合わせ可能性をチェックしていた時のことでした。リーグフェーズ最終節でメトロポリターノにCL新参者チームのボデ・グリムトを迎えたアトレティコは勝てば、16強対決直接進出の目もあったかもしれないにも関わらず、1-2で敗戦。昨季の3月から続いていたホーム無敗記録にピリオドを打つ破目になったんですけどね。

それで一番下のベンフィカの1つ上の23位でプレーオフ進出となったノルウェーのチームはイタリアの名門、昨季CL準優勝だったインテルと対戦したんですが、何と1stレグで3-1、2ndレグで1-2と連勝。総合スコア2-5で勝ち上がっていたから、呆気に取られたのはきっと、私だけではなかった?ちなみにボデは16強対決でスポルティングかマンチェスター・シティのどちらか、まさにお隣さんと同じ選択オプションとなっているんですが、彼ら、リーグフェーズ7節でグアルディオラ監督のチームにも3-1で勝利。

つまりマンCと戦って勝ち抜ける可能性もあるってことで、いえ、リヴァプールかトッテナムと当たるアトレティコが奇跡的に勝ち上がっても、ボデとは準決勝まで縁がありませんけどね。北極圏にある人口5万人の町からまた、メトロポリターノに2000人のファンが駆けつける事態にはそうそうならないと思いますが、レアル・マドリーのアルベロア監督によると、「La gente ya se ha acostumbrado a un City-Real Madrid. Seguro que nos vuelve a tocar/ラ・ヘンテ・ジャー・セ・ア・アコストゥンブラードー・ア・ウン・シティ-レアル・マドリー。セグロ・ケ・ノス・ブエルベ・ア・トカール(人々はもうマンCvsレアル・マドリー戦に慣れている。きっとまた当たるに違いない)」なのだとか。
そう、ここ4シーズン、マドリーとマンCはずっと対戦し続けていて、今季もすでに12月のリーグフェーズ6節にベルナベウで顔を合わせ、1-2の逆転負けを喰らっているんですが、昨季は16強対決進出プレーオフで倒すという、いい思い出も。よって、マドリーファンも怯えることはないんですが、私にとって、今季の決勝トーナメントで何より有難いのは、CLマドリーダービーは決勝までないってことでしょうか。

え、それでマドリッドの両雄がプレーオフ突破を決めた2ndレグのホームゲームはどんなだったのかって?いやあ、先に火曜に試合をしたのは、クラブ・ブルージュと1stレグで3-3と分けていたアトレティコだったんですが、この日はリーガ前節エスパニョール戦で2ゴールを挙げていたセルロートを先発させたのが見事に当たってねえ。そう、前半23分には、「Oblak y yo hemos hablado de ello antes del partido・オブラク・イ・ジョ・エモス・アブラードー・デ・エジョ・アンテス・デル・パルティードー(オブラクとそのことについて試合前に話した)」(セルロート)という作戦を彼らは実行したんですよ。
GKオブラクがロングボールを送り、敵DFメヘレと争いながら、「Lo ha conseguido por su fuerza・ロ・ア・コンセギードー・ポル・ス・フエルサ(自身の力でボールを手に入れた)」(オブラク)大型FWがエリア内からシュート。GKミニョレのミスもあって、それが先制点になってくれたから、まだまだメトロポリターノでCLマッチを楽しみたいファンたちも大喝采だったんですが、やっぱりブルージュは曲者だったんです。

だってえ、リードする前にもバナケンのエリア内シュートをハンツコがゴール前でヘッドクリアするというピンチもあったアトレティコだったんですが、36分にはCKから同点にされちゃったんですよ。この時はメヘレが頭で繋いだボールを何故か、フリーだったオルドニェスに決められてしまったんですが、ちょっと、ちょっと。そんなんでは嫌でも昨季のCL最後となった16強対決でお隣さんと引分けて延長戦入り、悪夢のPK戦敗退だったのを思い出しちゃうじゃないですか。

しかも同点とされてからのアトレティコは相手の攻撃に苦しみ、オブラクのparadon(パラドン/スーパーセーブ)などもあって、何とか1-1のまま、ハーフタイムに辿りつく始末。ええ、これにはシメオネ監督も「Ellos atacaban para ganar el partido y nosotros estábamos jugando a no sé qué/エジョス・アタカバン・パラ・ガナール・エル・パルティードー・イ・ノソトロス・エスタバモス・フガンドー・ア・ノー・セ・ケ(彼らは試合に勝つために攻撃していたが、ウチは何を目的にプレーしていたのかわからなかった)」と言っていましたしね。これは後半頭から、未だに器不足疑惑が払拭されていないバエナ、カルドーソ→ルックマン、グリーズマンのパターンかと思いきや…。

早まらなくて正解だったんです!そう、後半3分、CKから始まったプレーで敵DFがクリアしたボールをエリア前でカルドーソがゲット。そのシュートがゴール前の人込みを通り抜け、2点目となってくれたから。再びリードしたことで、ハーフタイムにシメオネ監督から与えられた「プレスの強度を上げて、もっとガツンと攻撃する」という課題を選手たちもこなしやすくなったか、いえまあ、13分には相変わらず、不調が続くフリアン・アルバレスをグリーズマンに、24分にはコケとバエナをモリーナとルックマンにして、ジョレンテを右SBから中盤に移したのも良かったんですけどね。

31分にはグリーズマンとの連携を経て、ルックマンがゴール左横から送ったラストパスが敵DFに当たってセルロートの真ん前に落ち、ノルウェー人FWが3点目を奪うと、42分にも彼はルッジェーリのクロスをvolea(ボレア/ボレーシュート)。とうとうハットトリックを達成してしまったとなれば、アトレティコの天敵だったブルージュだって、もう白旗を挙げるしかありませんって(最終スコア4-1、総合スコア7-4)。

いやあ、これでブルージュとの黒歴史に終止符が打てた上、理由はわかりませんが、「No es fácil jugar en el Atlético/ノー・エス・ファシル・フガール・エン・エル・アトレティコ(アトレティコでプレーするのは簡単ではない)」(コケ)というカルドーソもとうとうチームに貢献。バリオスがまだリハビリから帰っていない折、本当に助かるんですが、それはフリアンのゴール日照りを補って余りある、セルロートの今年になってもう10得点という好調ぶりも同じことで、このまま土曜午後9時(日本時間翌午前5時)のオビエド戦、来週火曜のコパ・デル・レイ準決勝バルサ戦2ndレグでも快進撃が続くといいんですが…。

といっても、リーガ最下位とのアウェイゲームは1月末に1-1で引き分けたレバンテ戦を連想させますし、またしてもシメオネ監督が大量ローテを計画しているというのは、あまり勇気づけられないような。ちなみにそのオビエドはアトレティコ戦の後、来週水曜にピッチ状態不良により延期されていたラージョ戦のためにエスタディオ・バジェカスを再訪。イニゴ・ペレス監督のチームはもう1週間程、お天気が続いているせいか、水曜にはスタジアム練習が可能となり、まずは土曜にアスレティック戦を迎えることに。

うーん、CLフリーとなった相手は8位で休養十分なため、手ごわそうですけどね。このホーム連戦でがっつり稼ぐことができれば、ラージョも現在、降格圏から勝ち点差2の15位から、かなり遠ざかって、心置きなく、3月第2週からのコンフェレンスリーグ16強対決に挑めるかと。

そして翌水曜はベルナベウに向かった私でしたが、いやもう、ビックリさせられましたよ。試合前日練習には姿を見せていながら、12月から左膝に痛みを抱えるエムバペが休養を決意。招集リストにも入らないなんて。もう1つの注目は、1stレグで退席処分を受け、ベンチに入れないベンフィカのモウリーニョ監督がどこで試合を見るのかで、マドリーがプレス用ボックスを手配していたため、キックオフした後も当人が現れるのを待って、8階のプレスエリアでは記者たちが群れなすことに。

でも結局、現れなかったんですよ。どうやらチームバスの中で観戦することにしたらしく、試合前後の記者会見も第2監督に任せた彼の姿が見られたのは前日、ベルナベウでのスタジアム練習の指揮を執った時と宿泊先ホテルの出入りぐらいだったんですが、まあ実際、プレーするのは選手たちですからね。

この日はfondo sur/フォンド・スール(ゴール裏南側席)に陣取る応援団も「No al racism/ノー・アル・ラシスモ(人種差別主義反対)」と書かれた横断幕を出して、ダ・ルスでプレスティアーニに「mono(モノ/猿)」と言われたと訴えたビニシウスに連帯を示しただけで、お馴染みの大弾幕やモザイクもなかったんですが、試合の方は早くも開始14分に動くことに。それも嫌な方向で、パブリディスのシュートをクリアしようとしたアセンシオのボールが自軍ゴールに向かったのはGKクルトワが必死で弾いたものの、こぼれ球をラファ・シウバにゴール前から押し込まれてしまってねえ。

あっという間に総合スコア1-1にされていたんですが、大丈夫。その2分後にはバルベルデが折り返したボールをチュアメニが弾丸シュートで撃ち込んで、再びリードを奪ってくれたから。おかげで序盤から、ビニシウスに向かってなのか、ベンフィカの選手たちに向かってなのか、よくわからないpito(ピト/ブーイング)が飛び交っていた場内もそれ程、ザワつかずには済んだんですが、そこからはなかなか追加点が入らず。32分にギュレルがこぼれ球を押し込んだゴールもVAR(ビデオ審判)に、その日CFを務めたゴンサロがオフサイドだったとされてしまったため、1-1のまま、後半35分まで進んだところ…。

いやあ、丁度、アセンシオがカマビンガと空中衝突して、担架退場した直後のことでした。センターでボールを取り戻したバルベルデが抜け出したビニシウスにスルーパス。エリアまでドリブルで到着した彼がGKトゥルビンを破ってくれたため、コーナーフラッグ前でのダンスの再演と共に試合は2-1となり、マドリーは2連勝の総合スコア3-1で16強対決進出を掴んだんですが、いやあ。うーん、アルベロア監督は「A todos los equipos se nos complica el bloque bajo. No solo nos pasa a nosotros/ア・トードス・ロス・エキポス・セ・ノス・コンプリカ・エル・ブロケ・バホ。ノー・ソロ・ノス・パサ・ア・ノソトロス(どのチームも低い配置を保って、プレーを難しくしてくる。ウチだけに起こることじゃない)」と言っていたんですけどね。

そこはお隣さんと違って、世界一のクラブの至高のサッカー力で解決してもらいたいところですが、これまではエムバペ頼り、これからしばらくはここ4試合連続得点中のビニシウス頼りとなるのは、ちょっと不安もなきにしろあらず。それでもリーガ次節、月曜午後9時にベルナベウにヘタフェを迎える兄弟分ダービーには、出場停止でベンフィカ戦に出られなかったロドリゴも戻ってきますし、CL16強手対決1stレグにはベリンガム、エムバペもおそらく復帰しているかと。

先週末のオサスナ戦で躓き、たった1週間で首位をバルサに奪還されてしまったマドリーには何より、「Creo que no estamos jugando genial, pero ganar ahora es lo que importa/クレオ・ケ・ノー・エスタモス・フガンドー・ヘニアル、ペロ・ガナール・アオラ・エス・ロ・ケ・インポルタ(今のボクたちは素晴らしいプレーをしているとは思わないけど、今、大事なのは勝つこと)」(クルトワ)ですからね。せっかくの2連勝がセビージャ戦で途切れてしまった弟分のヘタフェにも降格圏との勝ち点差5を広げるため、負けてもらいたくはないんですが、折しもこの26節、バルサは土曜に3位のビジャレアルと対戦。勝ち点3差で4位にいるアトレティコとの絡みもありますし、兄弟分ダービーでどっちを応援するかは、その結果を見て決めることになりそうです。

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