「五輪だろうが、選考がかかっていようが…」仕事を全うしたい上田綺世「1点取れたから良かったわけでは」と課題を口に
2021.06.12 21:45 Sat
U-24日本代表のFW上田綺世(鹿島アントラーズ)が、ジャマイカ代表戦を振り返った。
U-24日本代表は12日、国際親善試合でジャマイカ代表と対戦。試合は4-0で日本が勝利した。
東京五輪のメンバー選考に向けた最後の試合となったこのゲーム。立ち上がりから積極的に攻め込む日本は、32分に酒井宏樹の素早いスローインのリスタートから久保建英が4人の股を抜くシュートを見せて先制する。
さらに42分には遠藤航がボックス付近からコースを狙ったミドルシュートを決めて追加点。前半を2-0で終える。
ハーフタイムで3名を交代させると、57分には三笘薫のスルーパスに反応した上田綺世がGKの位置をよく見たループシュートを決めて追加点。64分には久保のスルーパスに反応した相馬勇紀がボックス左から折り返し、最後は堂安律が蹴り込んで4-0。快勝を収めた。
ベンチで見ていた上田だが、自分として試合に入るイメージはしないとコメント。「サブで試合に出ることもそれなりにあるので、そういう質問をよくされるんですが、あまり自分が入ったらこうしようという考え方よりは、味方のコンディションだったり、相手のスタイルを見ているだけです」とし、「自分がこうしようと考えて入ってもできるものではないので、相手の特徴を理解したり、上手くいってない、引っかかっているなとかは試合ごとに違うので、その違う部分を見て、それを自分なりに感じて、動き出しとか変えたりしています」と、味方のプレーでいつもと違うところを確認して、ピッチに入るとした。
この試合では三笘の絶妙なスルーパスをループシュートで決めた上田。ゴールシーンについては「(三笘)薫くんとはある程度理解していて、ドリブルは理解できないことの方が多いんですけど、最後もう1枚剥がしてくることも分かっていたので、動き出しは独特というか、僕の中ではあまりしないんですが、薫くんだから出せたのかなと」と語り、三笘からのパスが良かったとコメント。「薫くんと縦に並んだ時に、縦にまっすぐ走って足元に出してもらう。パスの難易度も相当高いんですが、薫くんだからできる動き出しの1つかなと思います」と、三笘を信頼してのランニングだったと語った。
法政大学と筑波大学でプレーしていた両者。世代別代表やユニバーシアードなどでも一緒にプレーしていたが「大学の頃からやっていますし、薫くんがどういうパスを出してくれるか。基本的にあのシーンでゴールに直結する走り方をしたらそこに出してくると思っていました」と、昔からの信頼関係があるとし、「自分が繋がりやすくて点を取りやすい形を選べる選手だなと僕は思っています」と、コンビネーションも確立されていると語った。
シュートをループにした理由については「顔を上げた時にGKが出てきているのは分かっていたので、そこまで来ないと分かっていて逆を取ることができました」とGKを見たといい「逆に突っ込んできたら抜くか、ワンタッチ外にして打つイメージでしたが、中途半端なところで止まってくれたので、ループを選びました」と、しっかりと見えていたことを語った。
シュートのバリエーションが増えている上田だが「練習をしてきたというか、シュートの幅。ループがなければ、あのシーンはゴロで打つか、GKをかわすの2つに選択肢が絞られますが、ループがあるだけで守備も簡単にかいくぐれますし、川崎フロンターレ戦のゴールもそうですが、1つ違うシュートの形を作るだけでFWとしての余裕が全く違います」とし、色々な形でゴールを狙えるようになることを目指していると語った。
また「簡単なシュートは思った以上に少なくて、どのゴールも簡単に見えて難易度が高いので、だから1つの1つのゴールが重いと言っていますが、1つを取るためにより多くの選択肢があった方が良くて、それこそ伊藤翔くんとかエヴェラウドとか、同じチームでやった選手から色々なことを盗んでいますし、自分の中ではループという選択肢は今までなかったですが、選択肢をちょっとずつ増やせているのかなと思います」と周りにいるFWが持っているものを盗んで、自分が吸収していっていると語った。
オリンピック代表のメンバー選考前のラストゲームとなったが、上田はその考えはあまり持っていないという。
「僕らは選手なので、1つのチームに属して、そのチームの1ポジションを担って試合に出ていて、そのポジションを争うことはありますけど、試合に対する形は代表だろうが五輪だろうが、選考がかかっていようが、クラブだろうが、そこは変わらないです」
「そのためのプレーを僕は選んでいますし、今日であれば、あのタイミングで点を取れたのは良かったと思いますけど、もっともっとチャンスを作らないといけないですし、クロスからのシーンも決められたと思うし、当たり前の課題で、FWがゴールを目指し続けるのは当たり前なので、それができなかった」
「1点で止まったなら2点目が取れなかった。2点目を取ることが課題になるのは定石なので、そこは個人的な課題がありつつも、今日1点取れたから良かったわけでもないです」
どんな状況でも、ストライカーとしてやる仕事は1つであり、試合に出れば貪欲に得点を目指すと語った上田。五輪出場なるのか注目だ。
U-24日本代表は12日、国際親善試合でジャマイカ代表と対戦。試合は4-0で日本が勝利した。
東京五輪のメンバー選考に向けた最後の試合となったこのゲーム。立ち上がりから積極的に攻め込む日本は、32分に酒井宏樹の素早いスローインのリスタートから久保建英が4人の股を抜くシュートを見せて先制する。
ハーフタイムで3名を交代させると、57分には三笘薫のスルーパスに反応した上田綺世がGKの位置をよく見たループシュートを決めて追加点。64分には久保のスルーパスに反応した相馬勇紀がボックス左から折り返し、最後は堂安律が蹴り込んで4-0。快勝を収めた。
この試合は後半から出場となった上田。試合に臨むにあたっては「相手がA代表ということもあり、フィジカル的にも強度が高いということで、前半からアグレッシブに行こうと前向きな姿勢で試合に入りました」と、立ち上がりからしっかりしようとチームとして入ったと語った。
ベンチで見ていた上田だが、自分として試合に入るイメージはしないとコメント。「サブで試合に出ることもそれなりにあるので、そういう質問をよくされるんですが、あまり自分が入ったらこうしようという考え方よりは、味方のコンディションだったり、相手のスタイルを見ているだけです」とし、「自分がこうしようと考えて入ってもできるものではないので、相手の特徴を理解したり、上手くいってない、引っかかっているなとかは試合ごとに違うので、その違う部分を見て、それを自分なりに感じて、動き出しとか変えたりしています」と、味方のプレーでいつもと違うところを確認して、ピッチに入るとした。
この試合では三笘の絶妙なスルーパスをループシュートで決めた上田。ゴールシーンについては「(三笘)薫くんとはある程度理解していて、ドリブルは理解できないことの方が多いんですけど、最後もう1枚剥がしてくることも分かっていたので、動き出しは独特というか、僕の中ではあまりしないんですが、薫くんだから出せたのかなと」と語り、三笘からのパスが良かったとコメント。「薫くんと縦に並んだ時に、縦にまっすぐ走って足元に出してもらう。パスの難易度も相当高いんですが、薫くんだからできる動き出しの1つかなと思います」と、三笘を信頼してのランニングだったと語った。
法政大学と筑波大学でプレーしていた両者。世代別代表やユニバーシアードなどでも一緒にプレーしていたが「大学の頃からやっていますし、薫くんがどういうパスを出してくれるか。基本的にあのシーンでゴールに直結する走り方をしたらそこに出してくると思っていました」と、昔からの信頼関係があるとし、「自分が繋がりやすくて点を取りやすい形を選べる選手だなと僕は思っています」と、コンビネーションも確立されていると語った。
シュートをループにした理由については「顔を上げた時にGKが出てきているのは分かっていたので、そこまで来ないと分かっていて逆を取ることができました」とGKを見たといい「逆に突っ込んできたら抜くか、ワンタッチ外にして打つイメージでしたが、中途半端なところで止まってくれたので、ループを選びました」と、しっかりと見えていたことを語った。
シュートのバリエーションが増えている上田だが「練習をしてきたというか、シュートの幅。ループがなければ、あのシーンはゴロで打つか、GKをかわすの2つに選択肢が絞られますが、ループがあるだけで守備も簡単にかいくぐれますし、川崎フロンターレ戦のゴールもそうですが、1つ違うシュートの形を作るだけでFWとしての余裕が全く違います」とし、色々な形でゴールを狙えるようになることを目指していると語った。
また「簡単なシュートは思った以上に少なくて、どのゴールも簡単に見えて難易度が高いので、だから1つの1つのゴールが重いと言っていますが、1つを取るためにより多くの選択肢があった方が良くて、それこそ伊藤翔くんとかエヴェラウドとか、同じチームでやった選手から色々なことを盗んでいますし、自分の中ではループという選択肢は今までなかったですが、選択肢をちょっとずつ増やせているのかなと思います」と周りにいるFWが持っているものを盗んで、自分が吸収していっていると語った。
オリンピック代表のメンバー選考前のラストゲームとなったが、上田はその考えはあまり持っていないという。
「僕らは選手なので、1つのチームに属して、そのチームの1ポジションを担って試合に出ていて、そのポジションを争うことはありますけど、試合に対する形は代表だろうが五輪だろうが、選考がかかっていようが、クラブだろうが、そこは変わらないです」
「そのためのプレーを僕は選んでいますし、今日であれば、あのタイミングで点を取れたのは良かったと思いますけど、もっともっとチャンスを作らないといけないですし、クロスからのシーンも決められたと思うし、当たり前の課題で、FWがゴールを目指し続けるのは当たり前なので、それができなかった」
「1点で止まったなら2点目が取れなかった。2点目を取ることが課題になるのは定石なので、そこは個人的な課題がありつつも、今日1点取れたから良かったわけでもないです」
どんな状況でも、ストライカーとしてやる仕事は1つであり、試合に出れば貪欲に得点を目指すと語った上田。五輪出場なるのか注目だ。
上田綺世の関連記事
U-23日本代表の関連記事
オリンピックの関連記事
記事をさがす
|
上田綺世の人気記事ランキング
1
「OBを黙らさせる一撃」上田綺世、まるで“ファン・ペルシー”な豪快ヘッドで2戦連発「らしいゴール」「小川航基で得点王争いして欲しい」
フェイエノールトの日本代表FW上田綺世が、開幕2試合連続ゴールを決めた。こぼれ球を押し込む豪快ヘッドにファンたちが衝撃を受けている。 <blockquote class="twitter-tweet" data-media-max-width="560"><p lang="ja" dir="ltr"><a href="https://twitter.com/hashtag/%E4%B8%8A%E7%94%B0%E7%B6%BA%E4%B8%96?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#上田綺世</a> がリーグ戦2試合連続ゴール!<a href="https://twitter.com/hashtag/%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%BC?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#ティンバー</a> のシュートのこぼれ球に<br>素早く反応!<a href="https://twitter.com/hashtag/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%88?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#フェイエノールト</a> が同点に追いつく!<br><br>エールディヴィジ 第2節<a href="https://twitter.com/hashtag/%E3%82%A8%E3%82%AF%E3%82%BB%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%AB?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#エクセルシオール</a> v <a href="https://twitter.com/hashtag/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%88?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#フェイエノールト</a><br>スタディオン・ウーデステイン<br><br><a href="https://t.co/ByuBdkVQSk">https://t.co/ByuBdkVQSk</a> <a href="https://t.co/qH3LNnOoeZ">pic.twitter.com/qH3LNnOoeZ</a></p>— U-NEXTフットボール (@UNEXT_football) <a href="https://twitter.com/UNEXT_football/status/1956766615909122200?ref_src=twsrc%5Etfw">August 16, 2025</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 日本時間16日、フェイエノールトはエールディビジ第2節でエクセルシオールと対戦。上田はセンターフォワード、日本代表DF渡辺剛はセンターバックとして先発出場した。 0ー1のビハインドで迎えた22分、左サイドからボックス内へとカットインしたMFクインテン・ティンバーが右足を一閃。GKが弾いたボールにいち早く反応したのが上田だった。跳ね返ったボールを頭で合わせると、豪快なシュートがゴールネットを揺らしている。 開幕から2試合連続となるゴールにファンたちもSNSで反応。「まるでファンペルシーの様な突撃ヘッド」「ゴール前までしっかり詰めてる上田綺世らしいゴール」「上田綺世と小川航基で得点王争いして欲しいね」「こういうゴール好きやな 執念」など称賛のコメントが多く見られた。 上田は、エールディビジの開幕戦でもゴールを決めていた。しかし、チームはスパルタク・モスクワのFWマンフレド・ウガルデに関心を示しているようで、上田の去就は流動的なものだとの声が上がる。 『Voetbalpraat』では、フェイエノールトOBであるカリム・エル・アフマディ氏のコメントを紹介。「ウガルデはファン・ペルシーに少し似ている。彼らが本当に必要としている選手だ。ウエダはシーズンを通してフェイエノールトのファーストストライカーを務める選手ではないと思うで、彼らは別のストライカーを求めるだろう」と厳しいコメントを残していた。 そんな声を黙らせるかのような2戦連発のゴールについて、ファンたちも「OBを黙らさせる一撃」「こうやって結果を残すのはさすが」「数字が全てだからね。アヤセは結果で批判を黙らせてほしい」「色々言われてるけど、素晴らしいストライカーだよ」と上田を応援するコメントを残している。 なお試合は、フェイエノールトが逆転し2ー1で勝利して開幕2連勝。上田と渡辺は揃ってフル出場となっている。 2025.08.18 06:47 Mon2
「日本のエースFWが好調だ」フェイエノールトの上田綺世が開幕戦でゴール「反射とミート凄い」「威力がおかしい」こぼれ球を押し込む点取り屋の一撃にファン大興奮
森保ジャパンのエースストライカーが、上々の滑り出しを見せた。フェイエノールトに所属する日本代表FW上田綺世が、エールディビジ(オランダリーグ1部)の開幕戦でゴール。ボックス内にこぼれたボールを超人的な反応で押し込むという点取り屋らしい一撃に、ファンがSNS上で興奮している。 フェイエノールトはエールディビジ第1節でNACブレダと対戦。在籍3年目の上田、新加入の渡辺剛がそろって先発した。 昨シーズンを3位で終えてロビン・ファン・ペルシー監督のもと3年ぶりのリーグ制覇を目指すフェイエノールトは、開始早々の3分にFKから先制点を奪うと、55分には日本人ストライカーがゴール前で抜群の嗅覚を発揮する。 右サイドからカットインしたMFアニス・ハジ・ムサがボックス内の中央にパスを流し入れると、MFセム・スタインが左足でシュート。これは相手DFにブロックされるも、ボールはボックス内の左に陣取っていた上田のもとへ。背番号9は身体を倒しながら右足でバウンドをうまく合わせ、強烈なシュートをゴールの右隅に突き刺した。 <blockquote class="twitter-tweet" data-media-max-width="560"><p lang="ja" dir="ltr"><a href="https://twitter.com/hashtag/%E4%B8%8A%E7%94%B0%E7%B6%BA%E4%B8%96?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#上田綺世</a> が開幕戦からゴール!<br><br>ボックス内で跳ね返ってきた<br>ボールに見事に反応!<br><br>エールディヴィジ 第1節<a href="https://twitter.com/hashtag/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%88?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#フェイエノールト</a> v <a href="https://twitter.com/hashtag/NAC%E3%83%96%E3%83%AC%E3%83%80?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#NACブレダ</a><br>☞<a href="https://t.co/ByuBdkVQSk">https://t.co/ByuBdkVQSk</a> <a href="https://t.co/mISeMy05Iv">pic.twitter.com/mISeMy05Iv</a></p>— U-NEXTフットボール (@UNEXT_football) <a href="https://twitter.com/UNEXT_football/status/1954246139894792318?ref_src=twsrc%5Etfw">August 9, 2025</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 常人離れしたこぼれ球への反応の速さとワンタッチシュートのうまさを発揮し、幸先よく今シーズン初ゴールを奪った上田は、目を瞑りながら顔の前で祈るように手のひらを合わせるお馴染みのバフォーマンスを披露。その後、チームメイトと抱擁をかわし、喜びを噛み締めた。 解説・兵藤慎剛氏は「スタイン選手に(相手DFが)引っ張られたところで、上田選手が常にゴールを狙っているところに(いれるし)、こぼれてくる。そこにスタイン選手は届けてくれると思うので。ここでしっかりと結果を出すことで他の選手もより見てくれると思うので、今年は量産しそうですね」と期待を込めてコメントした。 ファンもSNS上で反応。「よく合わせたな、あのディフレクション。プレから開幕にかけて日本のエースFWが好調だな」「反射とミート凄い」「シュートの跳ね返りが来る前後の反応速度がえげつない。あんな速さで足動かない、普通」「今年は大活躍して欲しい!」「明らかにボールが集まるようになってきた。信頼を掴みつつある。この調子!」「よほど意識して準備していなければ、ダイレクトでシュートできないでしょ」「やっぱシュートが上手い、上手いのもそうだけど威力がおかしい、バグってる」と興奮している。 今シーズンの上田はプレシーズンを合わせて全試合で先発出場し、4ゴール1アシストを記録。ワールドカップを控えた中、最高のスタートダッシュとなった。 なお、試合はフェイエノールトが2ー0で勝利。82分に交代した上田は1ゴールで、フル出場した渡辺は無失点で開幕戦での白星に貢献している。 2025.08.10 12:30 Sun3
「非常に重要な存在」ファン・ペルシ監督が上田綺世を称える、特に評価するのはフィジカル面「本当に高い能力を持っている」
フェイエノールトのロビン・ファン・ペルシ監督が、日本代表FW上田綺世を改めて評価した。 フェイエノールトで2シーズン目を過ごしている上田。今シーズンはエールディビジで15試合に出場し5ゴール1アシスト。チャンピオンズリーグ(CL)では8試合で2ゴールを記録している。 エースであったメキシコ代表FWサンティアゴ・ヒメネスが冬にミランへと移籍したことで、期待が寄せられている上田。今シーズンはケガで離脱する期間も長かったが、徐々にパフォーマンスを取り戻している。 2月から指揮を執るファン・ペルシ監督は、かつてオランダ代表としても活躍し、フェイエノールトやアーセナル、マンチェスター・ユナイテッドでも点取り屋としてプレーしていた。 現在はリバプールで指揮を執るアルネ・スロット監督は、昨シーズン上田を指導した中で、その能力を高く評価していたが、ファン・ペルシ監督もその意見に賛同。優れた能力を持っているとした。 「私もそう思う。身体能力の面では彼は本当に高い能力を持っている。彼の太ももやお尻を見れば、彼は良い体格をしていることがわかるだろう」 「彼は守備面でも我々にとって非常に重要だが、ボール保持においても重要な存在であることは間違いない。彼はボールを保持するのが非常に上手で、それは我々のプレースタイルにとって非常に重要なことだ」 まだまだ満足いく結果を残しているは言えないが、指揮官の期待に応えることができるだろうか。 2025.04.06 22:15 Sun4
日本代表を離脱していたFW上田綺世が復帰へ、ファン・ペルシ監督が明かす「良いニュース」
フェイエノールトの日本代表FW上田綺世が戦列復帰を果たすようだ。 日本代表として2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選に臨んでいた上田。しかし、ケガのためにバーレーン代表戦を終えてチームを早期離脱していた。 3月30日に行われたエールディビジ第27節のゴー・アヘッド・イーグルス戦は欠場していた上田だが、2日に予定されている第25節延期分のフローニンヘン戦には復帰するようだ。 クラブのインタビューに応じたロビン・ファン・ペルシ監督はUedaについて言及。「トレーニングでは好調だった。彼が戻ってくるという事実は、良いニュースだ」とコメント。起用できることを示唆していた。 上田は今シーズンはケガもあり、エールディビジで13試合に出場し5ゴール1アシスト。ただ、16日のトゥベンテセンでは実に9カ月ぶりとなる2ゴールの活躍を見せていた。 フェイエノールトは現在4位に位置。フローニンヘン戦で未消化分がなくなるが、勝てば3位に浮上する。 2025.04.01 23:05 Tue5
またも越えられなかった世界の壁、得点前に日本代表に仕掛けられたオヤルサバルの“ワナ”と判断/日本代表コラム
あと一歩だが、その一歩が遠いということを今回も味わうこととなってしまった日本。それが世界との間にある、まだ埋められない差なのだろう。 3日、東京オリンピック男子サッカー準決勝。53年ぶりのメダル獲得を目指すU-24日本代表は、金メダル候補筆頭のU-24スペイン代表との一戦に臨んだ。 下馬評は完全にスペイン有利。ユーロ2020にも出場した6選手や、ヨーロッパの高いレベルでレギュラーを張る選手ばかり。市場価値で見ても7倍もの差がある相手だった。 正直なところ、日本に関係する人以外は、スペインが勝利するものだと思っていただろう。日本が善戦するとすら思われていなかったかもしれない。延長戦に行ったことすら予想外と思う人も多いだろう。 共に準々決勝は120分間の戦いを強いられた。スペインはスコアこそ5-2となったが、90分の戦いではほぼ負けていた。そこから奇跡を起こし延長戦へ持ち込み、相手のミスに乗じて得点を重ねた。 一方の日本は、U-24ニュージーランド代表の堅い守備の前にゴールを奪えず。しっかりと相手の攻撃に対応して戦ったが、延長戦ではあわやというシーンを作られるなど、なんとか凌ぎ、PK戦で準決勝に駒を進めた。この時点で両者には差があったとも言え、そこが決勝への道を逃した差とも言えるだろう。 <span class="paragraph-title">◆スペインを苦しめたという事実</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2021/jpn20210804_1_tw.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> 準決勝の日本の戦いぶりは世界を驚かせたと言えるだろう。試合は終始スペインがボールを握り、主導権を掴んだまま推移した。日本は基本的に自陣でのプレーが続き、スペインの攻撃を耐え忍んだという状況だ。 この日は、DF吉田麻也、DF板倉滉、GK谷晃生と中央を守る3名が集中したプレーを継続。その他の選手たちも、ボールを奪いに行くチャレンジとカバーリングを的確にこなし、スペインに決定機をほとんど作らせない試合運びを見せた。 攻撃と守備。両者の構図がこうなることは予想でき、それが今の実力。いかに耐えて、少ないチャンスをモノにできるかしか、日本の勝機がなかったのは織り込み済みだった。 そういった点では、失点した115分まで守り抜いたことは評価すべきだろう。一度はPKの判定となった吉田のファウルも、正当なタックルだったが、VARがなければPKだった。ミスからFWラファ・ミルが決定機を数回迎えたが、GK谷の素晴らしい判断でゴールを許さなかった。 一方で、攻撃面ではゴールが生まれそうなチャンスは120分を通して数える程。特に後半と、延長戦でカウンターから何度かチャンスを作りかけたが、簡単には割らせてくれなかった。ゴールを決められるかどうかという部分では、やはりスペインが一枚手。そこが埋め切れない差となったことは紛れも無い事実となった。 <span class="paragraph-title">◆思い出される3年前</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2021/jpn20210804_2_tw.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> あと少しでPK戦に突入するかと思われたタイミングでのFWマルコ・アセンシオのゴール。あのシーンを見て思い出されるのは、2018年のロシア・ワールドカップ、ラウンド16のベルギー代表戦だろう。 原口元気、乾貴士のゴールで2点を先行した日本だったが、高さを生かしたプレーに切り替えたベルギーの前に2失点。それでも粘り強く戦い、3点目を許さずに戦っていた。 誰もが延長戦にもつれ込むと思った中、試合の最後に悲劇が。日本のCKを相手GKティボー・クルトワにキャッチされると、そこからベルギーはカウンターを発動。そのままナセル・シャドゥリが決め、3-2でベルギーが逆転勝利した。まさに、似たような展開が、東京五輪の準決勝でも起こってしまった。 あの悔しさを3年越しにまた経験してしまった日本。決して成長していないということを言いたい訳ではない。しかし、それが世界との差であり、3年が経過して90分ではやらせなかったが、120分ではやられてしまったというのが事実だ。 ただ、この試合の審判はあまりプレーを流さないというジャッジングだった。吉田が一度はPKを取られたシーンも、こぼれ球をラファ・ミルが拾っており、そのまま流されていたらゴールだった可能性はある。 一方で日本もやり返すチャンスがあり、後半終了前のラストプレーではMF堂安律がドリブルで中央突破。完全に相手のMFマルティン・スビメンディが後ろから両手で掴んで止めたシーンがあった。 このシーン、堂安が倒された場合でも、MF久保建英、FW上田綺世がおり、日本の人数は足りていた。プレーが流されれば、もしかしたら日本がカウンターを完結させられていたかもしれない。タラレバにはなるが、ジャッジを流そうというプレーを選択できていればというシーンだった。スビメンディの必死な止め方を見れば、スペインも追い込まれたという感覚を持ったプレーだっただろう。 <span class="paragraph-title">◆一瞬の隙を仕留めるスペインの真の力</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2021/jpn20210804_3_tw.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> 「全て出し切った」と試合後に久保はコメントした。それは本心だろう。互角に渡りあえたというよりは、なんとかスペインについていったという形。日本は無理をしなければ、同等レベルでは戦えないということだろう。 もちろん、スペインの選手に余裕があったとは思わない。ただ、攻め続ける側と守り続ける側では、やはりかかる負荷は異なる。そこから日本が押し出して、攻撃に転じられなかったというところもまだまだ力の差があるということだ。 では、あの失点はなぜ起こったのか。ゴールを決めたアセンシオのシュートも褒められるべきだが、ポイントはその前のプレー。FWミケル・オヤルサバルの仕掛けだろう。 失点シーンを振り返ると、スローインを受けたオヤルサバルが縦に仕掛けると、DF中山雄太とMF田中碧が寄せに行く。その中山がマークしていたアセンシオは中山が前に出ようとしたことを受けて後ろに下がると、オヤルサバルが間を通してパス。アセンシオはターンしたまま左足を振り抜いた。 これにはMF遠藤航も慌てて寄せに行くが間に合わず、DF板倉滉もアセンシオに寄せに行けなかった結果がゴールとなった。 このゴール。集中していた日本のDFが気を抜いたのかと言われればそういうわけではないだろう。カバーリングが遅れたが、それには布石があった。 ゴールが決まる1つ前のプレーでオヤルサバルが右サイドを突破したことがカギだと考えられる。 スローインになる前、オヤルサバルが右サイドを突破した。中央へ折り返したが、これは通らず。日本がクリアした。このシーンが印象づいた結果、得点シーンではオヤルサバルがスローインを受けた後、縦への突破からのクロスを警戒したはずだ。 その結果、アセンシオについていた中山がオヤルサバルの縦を切りに行こうとしたが、その間を通されてアセンシオにパスを通されたのだ。 もちろん、中山の判断が間違ったとは言えない。オヤルサバルについていってもパスは出されていただろう。田中がついていっ多としても、間に合った可能性は低い。オヤルサバルがボールを持った時にアセンシオがマークを外し、自身がシュートを打てるポジションを取った。それを見たオヤルサバルが冷静にパスを通した。個人の技量もあるが、チームとしてオートマチックに動け、それを共有したプレー判断の結果だと言える。 日本はチームとして戦い抜いて、粘りを見せて115分間は耐えた。しかし、それを上回るチームプレーを見せ続けたのはスペイン。さらに、局面での個の能力でも上回った。まだまだ世界との差はあるというのが事実だろう。 オリンピックはあくまでも世代別の戦い。メダルを目指して戦うことは当然だが、サッカー界で言えばワールドカップこそ頂点。1年半後の戦いで日本は何を見せられるのか。2018年、2021年と世界との差を土壇場で味わった選手たちのここからの奮起に期待するとともに、9年前のロンドン・オリンピックのようにならず、しっかりと銅メダル獲得を果たしてくれることを願うばかりだ。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2021.08.04 18:15 WedU-23日本代表の人気記事ランキング
1
またも越えられなかった世界の壁、得点前に日本代表に仕掛けられたオヤルサバルの“ワナ”と判断/日本代表コラム
あと一歩だが、その一歩が遠いということを今回も味わうこととなってしまった日本。それが世界との間にある、まだ埋められない差なのだろう。 3日、東京オリンピック男子サッカー準決勝。53年ぶりのメダル獲得を目指すU-24日本代表は、金メダル候補筆頭のU-24スペイン代表との一戦に臨んだ。 下馬評は完全にスペイン有利。ユーロ2020にも出場した6選手や、ヨーロッパの高いレベルでレギュラーを張る選手ばかり。市場価値で見ても7倍もの差がある相手だった。 正直なところ、日本に関係する人以外は、スペインが勝利するものだと思っていただろう。日本が善戦するとすら思われていなかったかもしれない。延長戦に行ったことすら予想外と思う人も多いだろう。 共に準々決勝は120分間の戦いを強いられた。スペインはスコアこそ5-2となったが、90分の戦いではほぼ負けていた。そこから奇跡を起こし延長戦へ持ち込み、相手のミスに乗じて得点を重ねた。 一方の日本は、U-24ニュージーランド代表の堅い守備の前にゴールを奪えず。しっかりと相手の攻撃に対応して戦ったが、延長戦ではあわやというシーンを作られるなど、なんとか凌ぎ、PK戦で準決勝に駒を進めた。この時点で両者には差があったとも言え、そこが決勝への道を逃した差とも言えるだろう。 <span class="paragraph-title">◆スペインを苦しめたという事実</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2021/jpn20210804_1_tw.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> 準決勝の日本の戦いぶりは世界を驚かせたと言えるだろう。試合は終始スペインがボールを握り、主導権を掴んだまま推移した。日本は基本的に自陣でのプレーが続き、スペインの攻撃を耐え忍んだという状況だ。 この日は、DF吉田麻也、DF板倉滉、GK谷晃生と中央を守る3名が集中したプレーを継続。その他の選手たちも、ボールを奪いに行くチャレンジとカバーリングを的確にこなし、スペインに決定機をほとんど作らせない試合運びを見せた。 攻撃と守備。両者の構図がこうなることは予想でき、それが今の実力。いかに耐えて、少ないチャンスをモノにできるかしか、日本の勝機がなかったのは織り込み済みだった。 そういった点では、失点した115分まで守り抜いたことは評価すべきだろう。一度はPKの判定となった吉田のファウルも、正当なタックルだったが、VARがなければPKだった。ミスからFWラファ・ミルが決定機を数回迎えたが、GK谷の素晴らしい判断でゴールを許さなかった。 一方で、攻撃面ではゴールが生まれそうなチャンスは120分を通して数える程。特に後半と、延長戦でカウンターから何度かチャンスを作りかけたが、簡単には割らせてくれなかった。ゴールを決められるかどうかという部分では、やはりスペインが一枚手。そこが埋め切れない差となったことは紛れも無い事実となった。 <span class="paragraph-title">◆思い出される3年前</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2021/jpn20210804_2_tw.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> あと少しでPK戦に突入するかと思われたタイミングでのFWマルコ・アセンシオのゴール。あのシーンを見て思い出されるのは、2018年のロシア・ワールドカップ、ラウンド16のベルギー代表戦だろう。 原口元気、乾貴士のゴールで2点を先行した日本だったが、高さを生かしたプレーに切り替えたベルギーの前に2失点。それでも粘り強く戦い、3点目を許さずに戦っていた。 誰もが延長戦にもつれ込むと思った中、試合の最後に悲劇が。日本のCKを相手GKティボー・クルトワにキャッチされると、そこからベルギーはカウンターを発動。そのままナセル・シャドゥリが決め、3-2でベルギーが逆転勝利した。まさに、似たような展開が、東京五輪の準決勝でも起こってしまった。 あの悔しさを3年越しにまた経験してしまった日本。決して成長していないということを言いたい訳ではない。しかし、それが世界との差であり、3年が経過して90分ではやらせなかったが、120分ではやられてしまったというのが事実だ。 ただ、この試合の審判はあまりプレーを流さないというジャッジングだった。吉田が一度はPKを取られたシーンも、こぼれ球をラファ・ミルが拾っており、そのまま流されていたらゴールだった可能性はある。 一方で日本もやり返すチャンスがあり、後半終了前のラストプレーではMF堂安律がドリブルで中央突破。完全に相手のMFマルティン・スビメンディが後ろから両手で掴んで止めたシーンがあった。 このシーン、堂安が倒された場合でも、MF久保建英、FW上田綺世がおり、日本の人数は足りていた。プレーが流されれば、もしかしたら日本がカウンターを完結させられていたかもしれない。タラレバにはなるが、ジャッジを流そうというプレーを選択できていればというシーンだった。スビメンディの必死な止め方を見れば、スペインも追い込まれたという感覚を持ったプレーだっただろう。 <span class="paragraph-title">◆一瞬の隙を仕留めるスペインの真の力</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2021/jpn20210804_3_tw.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> 「全て出し切った」と試合後に久保はコメントした。それは本心だろう。互角に渡りあえたというよりは、なんとかスペインについていったという形。日本は無理をしなければ、同等レベルでは戦えないということだろう。 もちろん、スペインの選手に余裕があったとは思わない。ただ、攻め続ける側と守り続ける側では、やはりかかる負荷は異なる。そこから日本が押し出して、攻撃に転じられなかったというところもまだまだ力の差があるということだ。 では、あの失点はなぜ起こったのか。ゴールを決めたアセンシオのシュートも褒められるべきだが、ポイントはその前のプレー。FWミケル・オヤルサバルの仕掛けだろう。 失点シーンを振り返ると、スローインを受けたオヤルサバルが縦に仕掛けると、DF中山雄太とMF田中碧が寄せに行く。その中山がマークしていたアセンシオは中山が前に出ようとしたことを受けて後ろに下がると、オヤルサバルが間を通してパス。アセンシオはターンしたまま左足を振り抜いた。 これにはMF遠藤航も慌てて寄せに行くが間に合わず、DF板倉滉もアセンシオに寄せに行けなかった結果がゴールとなった。 このゴール。集中していた日本のDFが気を抜いたのかと言われればそういうわけではないだろう。カバーリングが遅れたが、それには布石があった。 ゴールが決まる1つ前のプレーでオヤルサバルが右サイドを突破したことがカギだと考えられる。 スローインになる前、オヤルサバルが右サイドを突破した。中央へ折り返したが、これは通らず。日本がクリアした。このシーンが印象づいた結果、得点シーンではオヤルサバルがスローインを受けた後、縦への突破からのクロスを警戒したはずだ。 その結果、アセンシオについていた中山がオヤルサバルの縦を切りに行こうとしたが、その間を通されてアセンシオにパスを通されたのだ。 もちろん、中山の判断が間違ったとは言えない。オヤルサバルについていってもパスは出されていただろう。田中がついていっ多としても、間に合った可能性は低い。オヤルサバルがボールを持った時にアセンシオがマークを外し、自身がシュートを打てるポジションを取った。それを見たオヤルサバルが冷静にパスを通した。個人の技量もあるが、チームとしてオートマチックに動け、それを共有したプレー判断の結果だと言える。 日本はチームとして戦い抜いて、粘りを見せて115分間は耐えた。しかし、それを上回るチームプレーを見せ続けたのはスペイン。さらに、局面での個の能力でも上回った。まだまだ世界との差はあるというのが事実だろう。 オリンピックはあくまでも世代別の戦い。メダルを目指して戦うことは当然だが、サッカー界で言えばワールドカップこそ頂点。1年半後の戦いで日本は何を見せられるのか。2018年、2021年と世界との差を土壇場で味わった選手たちのここからの奮起に期待するとともに、9年前のロンドン・オリンピックのようにならず、しっかりと銅メダル獲得を果たしてくれることを願うばかりだ。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2021.08.04 18:15 Wed2
「中村俊輔2世よりも“山田楓喜”を見て」輝く左足で日本を頂点に立たせたレフティー、“喜”を背負う山田家の長男が見据えるものは「最高の“山田楓喜”」
日本人の約9割だと言われているのが右利き。かつては左利きを矯正する動きもあったほど、日常生活における様式も右利き仕様が多い。 一方で、残りの1割に属する左利きは、スポーツ界では特に稀有な存在でありながら、偉大な記録の持ち主は左利きが多い。日本代表の歴史において、これまでも記憶に残る数々の左利きの選手がいる。かつて背番号10を背負った名波浩、中村俊輔。現在の10番を背負う堂安律も左利きだ。若くして大きな注目を集め、世界にその名を知らしめる久保建英も左利き。強烈なキャラクターで人々を今も魅了し続ける本田圭佑も左利き。攻撃のキーマンにはどの時代も“左利き”の選手がいた。 パリ五輪出場を決め、8大会連続12回目のオリンピックの舞台に立つU-23日本代表。AFC U23アジアカップで見事にチームを優勝に導いた男もまた“左利き”。東京ヴェルディの山田楓喜だ。 パリ五輪世代として、U-21日本代表時代から招集を受けていた山田。左利きながら、右サイドのアタッカーとして起用されてきたが、所属していた京都サンガF.C.ではレギュラーではなく、代表でも出番は限られていた。 その山田は心機一転、今シーズンは東京ヴェルディに移籍。すると、開幕戦の横浜F・マリノス戦では強烈なFKを直接叩き込みインパクトを残すと、ここまで3ゴール。今大会では5試合に出場すると、2ゴール1アシストと数字を残した。 山田が決めたゴールは準々決勝のU-23カタール代表戦での開始早々の強烈ミドルと、決勝のU-23ウズベキスタン代表戦での値千金のミドル。いずれもその左足から繰り出されたシュートがチームの勝利に貢献した。 「今まで自分は準備してきましたし、こういう大舞台で決めるために苦しい時も腐らずに常に準備してきたので、当然かなとも思いますし、大舞台で日本代表という大きなチームを優勝に導けたことは凄く嬉しいなと思います」 決勝の翌日に帰国した山田はそう語り、自身が重ねてきたモノが、結果になって現れただけ。「今までちゃんと準備してきたので、昂ることなく、いつも通り臨めました」と、決勝の終盤に出場しても、普段通りにプレーできたという。 自信を持っているものは強い。プロの世界では特にそれを感じることが多い。常に自身の100%を出すためには、安定したメンタルが重要であり、そのメンタルの支えになるのは、しっかりとした準備と積み上げてきたことによる自信だろう。山田にはそれが備わっている。 東京Vでの好調ぶりももちろん後押しになったはず。ただ、山田は「今までずっと変化し続けてきて、成長し続けてきているので、自分がちゃんと活躍できる場を選んだ道で結果を出せています。いつでもどのタイミングでも結果を出せる自信もありましたし、移籍して自分が輝ける場所を選んで、代表にもつながってきているので、決断というのは良かったと思います」とコメント。京都で燻っていた中で、移籍を決断した結果として、今の活躍がある。それも自信からくる決断のおかげだ。 取材の受け答えを見ていても、淡々と思っていることを語る山田。ただ、そこには確固たる自身の考えと、ブレることのない意志を感じる。それは、パリ五輪に向けての18名のメンバー争いを聞かれた山田の答えからも窺えた。 「とりあえずはこのアジアカップで代表期間が終わったので、オリンピックのことを考えず、ヴェルディの選手として戦わないといけないので、代表のことは忘れて、ヴェルディのために戦いたいなと思います」 「その先のことは何も考えず、ヴェルディのために結果を出し続けるだけです」 アジアで優勝を果たした。パリ五輪の切符も掴んだ。目標としていたものに対し、やれることをやって結果を残した。ただ、次はパリ五輪ではなく、東京V。所属クラブのためにプレーすることが、やるべきこと。その積み上げを続けているからこそ、今の山田がある。 また、強烈な左足のキックについても同様だ。「才能はある程度あったと思いますけど、プロになっている選手であれば誰でもあると思うので、努力は才能を勝らないと思います。努力というのは自分で努力していたという気持ちはないんですけど、それが良かったかなと思います。どんどん上積みしていった日々の練習というのを大事にしてきましたし、これからも必要だと思うので、それは忘れずにずっとやっていきたいです」とコメント。必要なことを積み上げたことだけが重要ということだ。 FKの精度、キック精度を持って、中村俊輔氏と比較される山田。ただ本人は全くそう思っていない。そのメンタリティも、活躍の要因と言える。 「(中村氏とは)全く別の選手ですし、素晴らしいフリーキッカーで左足の選手と比べられることは嬉しいですけど、全く別の選手で、全く違う特徴を持っているので、中村俊輔2世というよりは、山田楓喜というのを、誰かの後釜ではなく山田楓喜というものを見てもらいたいです」 誰もが似たような選手を真似しそうなものだが、「誰もないですね。自分のスタイルを貫き通してきたという感じです」と、山田は昔から誰かを手本にはしていないという。自分は“山田楓喜”。これを大事にしている。 「今年の目標としては、自分の価値を高めて名を売っていくということを移籍した時から決めていました。その途中ですし、まだまだこれからどんどん山田楓喜というものを世界に知らしめていかなければいけないと思います。まだ途中ですし、全然満足していないので、これからという感じです」 今回の大会の活躍で、間違いなく“山田楓喜”の価値は高まり、その名は今まで以上に知られることとなっただろう。その名前にも特徴が。人々に“喜”を与える存在になるべくして、体現している。 「『喜』が先祖代々長男についていて、それが自分も長男なので、『喜』を第一に考えた名前となっています」と、「楓喜」という名前の由来について語ってくれた。そして「自分が喜んでいる姿を出しながら、周りの人にも喜んでもらうという感じです」と、自身が楽しく、喜んでプレーすることで、喜びを与えていく。代表選手にとって、最も大事な要素を、名前として背負っている。 そんな山田の目標は、最高の“山田楓喜”になること。 「最終目的はないですが、自分がどれだけ成長できるか。日々成長したいなという思いがあったから、今までも成長できたと思うので、それを忘れず、変な目標とか高みを見せずに、日々成長することにフォーカスしたいです」 間違いなく注目を集めるその左足。多くの“喜び”をこれからも多くの人々に与えて行ってもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 <span class="paragraph-title">【動画】歓“喜”をもたらした山田楓喜の後半AT弾! 日本を優勝へ導く左足ミドル!!</span> <span data-other-div="movie"></span> <script>var video_id ="QYyvg_78ZLE";var video_start = 0;</script><div style="text-align:center;"><div id="player"></div></div><script src="https://web.ultra-soccer.jp/js/youtube_autoplay.js"></script> 2024.05.06 09:00 Mon3
VAR判定は完璧ではない/六川亨の日本サッカー見聞録
人はみな、大人であれ子供であれ、新しいアイテム(玩具)を手に入れれば使いたくなるのは当然だ。人間の性とも言っていいだろう。それが個人的な趣味の範囲にとどまっていればいい。ところが人生を左右しかねないとなると大問題だ。 ここまで書いたら何を言いたいのか、お分かりの読者もいるかもしれない。そう、U-23アジア選手権で導入されているVAR判定だ。 U-23日本は初戦のサウジアラビア戦、第2戦のシリア戦、そして昨日のカタール戦と3試合で4回のVTR判定を経験した。そして、そのうち3回がPKを取られ、1回は田中碧の1発退場という、勝敗の行方を左右する極めて厳しいジャッジだった。 とりわけカタール戦のVAR判定は、記者席に設置されたモニターで確認しても、田中碧が一連のプレーの流れでマイボールにした際に足を着いたところ、相手の足がたまたまあったため踏んでしまったように見えた。齊藤未月のプレーも、相手はシュートモーションに入っていたが、先にボールにアプローチしたのは齊藤だった。その結果、相手は齊藤のふくらはぎを蹴って転倒したにすぎない。キッキングで日本にFKが与えられてもおかしくないシーンだった。 とはいえ、一度下った判定は覆らないことは百も承知だ。それでもあえて苦言を呈したいのは、VARは完璧ではないということだ。というのも、VARを運営するのは人間であり、人間は間違いを犯すからに他ならない。 J1リーグは今シーズンから初めてVARを導入する。本来は人材を育成するため来シーズンから導入予定だった。というのも、韓国のKリーグは一昨シーズンから導入したものの、不慣れな運用からミスジャッジが多かった。このためJリーグは慎重を期し、VARとアシスタントVARの育成に時間をかける方針だった。 しかし育成は順調に進み、1年前倒しで導入できるようになった。もちろん導入してみて、様々なトラブルが発生するかもしれない。しかし、こればかりは実践を重ねるしかない。 そして今大会のVARである。 スタートリストにはVARとして中国人の審判が、アシスタントVARとしてイランとマレーシアの審判が務めた。中国のスーパーリーグと、イランやマレーシアの国内リーグがJ1リーグより先にVARを採用していて、VARの先進国かどうかはわからない。あるいはAFC(アジアサッカー連盟)で研修を重ねたのかもしれない(昨年のアジアカップで準々決勝以降に初めて導入)。 ただ、Jリーグより進んでいるとはどうしても考えられない。そこで、カタール戦のVARによるレッドカードとPKも、素直に承服できないのだ。 それというのもシンガポール人の主審は自らVARを要求したのではなく、いずれのプレーもノーファウルだった。そこでVARからのリクエストで判定することになったが、齊藤のPKになったプレーは、本来なら主審がOFR(オンフィールドレビュー=主審による映像確認)をしてからファウルかノーファウルかジャッジを下すべきである。 ところがOFRをすることなく主審はPKを宣告した。本来なら、VARはアドバイスで主審をサポートするのが本来の役目であり、ジャッジの決定権はない。最終判断を下すのは、あくまで主審である。しかしPKのシーンは、その立場がまるで逆転しているように感じられた。 日本は2つのVAR判定に関して公式な見解を求めるべきだろう。そしてAFCは、今大会終了後、すべてのVAR判定について正確なジャッジが下されたのかどうか検証する義務がある。例え時間がかかっても、それは公表し、各国が情報を共有できるようにするべきだろう。 2020.01.18 21:30 Sat4
【パリ行きの命運を託された23選手】頭脳とテクニックに優れた万能型CB、世代を代表する柱・鈴木海音
パリ・オリンピックのアジア最終予選を兼ねるAFC U23アジアカップが15日に開幕する。出場16カ国が4組に分かれてのグループステージから始まる五輪出場もかけた戦いは約2週間ちょっとのスケジュール的にも勝ち上がれば勝ち上がるほど総力戦が必至。ここではパリ行きの命運が託されたU-23日本代表の23選手を紹介し、鈴木海音にフォーカスする。 ■鈴木海音(DF/ジュビロ磐田) 静岡県出身の鈴木は中学生の時に磐田に加入。U-15、U-18とアカデミーで育ち、2020年4月にトップチーム昇格。プロ契約を結んだ。 U-15から世代別の日本代表を経験しているこの世代のエリート。2018年のAFC U-16選手権では見事優勝に貢献。2019年のU-17ワールドカップにも出場したが、チームはベスト16で敗退となった。 鈴木のプレースタイルの特長は、そのバランス感覚。ディフェンダーとしては堅実な守備を見せ、しっかりと安定感を与えるプレーが特徴。一方で、攻撃時には積極的に参加する他、キックの精度も高く、ロングフィードも得意とする。 182cmという飛び抜けて上背があるわけではないが、空中戦を得意としており、対人守備の能力も高い。テクニックと賢さ、そして強さを持ち合わせた万能型のCBと言って良い。 特に試合を読む力、戦術理解度が高く、攻守両面でプレー選択がしっかりとできるところが特徴。また、ポジショニングに長けているため、守備時には危険なゾーンをカバーし、攻撃時にはタイミングを間違えずに前線に上がる動きに加え、足元の技術とポジショニングはビルドアップをする際にも大きな力となる。もちろん一対一の守備も得意で、ボールを奪いにいく動きや、決定機の前に潰しに行くことも得意としている。 2022年には栃木SCへ育成型期限付き移籍を経験し、リーグ戦34試合に出場するなど、多くの試合経験を積んで帰還。2023年はJ2を戦うチームで22試合に出場し初ゴールも記録。チームのJ1昇格に寄与した。 守備陣の経験値に若干の不安を抱えるパリ五輪世代。アジアの戦いも経験しており、世代別の国際経験が豊富な鈴木。対戦相手の特徴に合わせ、試合展開を読んでプレーができる鈴木が守備陣を牽引していけるのか注目が集まる。 2024.04.15 11:00 Mon5