「サッカーに近道なし」東南アジアでも増える“国籍取得”に元タイ代表選手が嫌気「若いプレーヤーを育てる意識を」

2025.02.05 15:05 Wed
『他国のサッカー界で育まれた選手をA代表に引き入れる』ということ
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『他国のサッカー界で育まれた選手をA代表に引き入れる』ということ
タイ代表選手が「サッカーに近道なし」と語る。インドネシア『kompas.com』が伝えた。

自国にルーツを持つ選手、もしくは全く関係ない他国出身選手に国籍とパスポートを与えるという、サッカーA代表の強化戦略。近年は東南アジアでもこれが増加傾向にある。

元U-18日本代表MF仲村京雅は2019年からのシンガポール定住および帰化を経てA代表入りし、元ベガルタ仙台のブラジル人FWラファエルソン(グエン・スアン・ソン)も、20年からのベトナム定住および国籍取得を経てA代表入り。
移民の子孫を自国に“呼び戻す”パターンも。

インドネシアでいえば、かつて旧宗主国オランダへと去っていった移民の子孫にフォーカス。大半が祖父母や両親の代からオランダに定住し、インドネシア国籍を保有していなかったなか、政府のスピーディな承認を経て、現在の2026年W杯アジア最終予選を戦う。
タイもインドネシアに似た路線として、世界各国に散らばっていた移民の子孫が現A代表に。現在はイギリス出身、ノルウェー出身、スウェーデン出身のタイ系選手がおり、最近はタイ系オーストラリア人の元豪代表MFケネス・ドゥガール(31)を勧誘へ?とも報じられる。

つまり、全て「帰化」でまとめてしまうと解釈を誤るわけだが、ともかく共通しているのは、『他国のサッカー界で育まれた選手をA代表に引き入れている』ということ。今そこにあるチームは強化されるだろうが、中・長期的な視野も含まれるかどうかは怪しいところである。

2000年代初頭にタイ代表として活躍、U-23タイ代表のコーチも務めたニルット・スラシアン氏は、他国出身選手に国籍を与える手法が当たり前となっている現状を、シンプルに憂う。

「サッカーに近道なんかない」

「ベトナム国籍を得たラファエルソンは、おそらくベトナム代表に成功をもたらすだろう。言うまでもなく『一時的な成功』をだ。今のベトナムサッカー界が自分たちでラファエルソンを作ることはできないのだから」

「タイサッカー連盟にも『若いプレーヤーを育てる』という意識を持ってほしいね。誰かに国籍を与える必要はない」

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