「ピッチの中で一番存在感あるぐらいの選手にならないといけない」磐田から覚悟を持って移籍の東京V・鈴木海音の決意

2025.01.10 21:30 Fri
東京V加入の鈴木海音
©超ワールドサッカー
東京V加入の鈴木海音
J2降格となったジュビロ磐田から強い覚悟を持って東京ヴェルディへ加入したDF鈴木海音が、新シーズンへの決意を語った。

浜松出身で磐田の下部組織で育った鈴木は、2021年にトップチームへ昇格。その後、栃木SCへの武者修行を経て2023年から復帰すると、同シーズンにディフェンスラインの準主力としてJ1昇格に貢献した。

昨シーズンはパリ・オリンピック出場とともに自身初のJ1の舞台に挑戦したなか、明治安田J1リーグ24試合に出場した。しかし、個人・チームともに厳しい戦いを強いられたなか、磐田は1年でのJ2降格に。
そんななか、鈴木は生まれ育ったクラブへの愛情、降格させた責任を強く感じながら、悩み抜いた末、同じ昇格組で昨季6位と躍進を示した東京Vへの完全移籍を決断した。

移籍時のリリースでもアカデミー時代から在籍した磐田への想いに触れてきた22歳は、新天地での新たな挑戦の日々がスタートしたなか、改めてその強い覚悟を語った。
「栃木のときは期限付き移籍でしたけど、今回は初めて完全移籍という部分で、今までずっとジュビロ磐田というクラブでプレーさせてもらって、すごく応援されているというふうに感じていましたし、その期待になかなか応えることができず。去年はオリンピック出場といった目標は達成できましたけど、出場しただけでそこまで結果は残せなかった。ジュビロもJ2降格ということで、チームとして本当に不甲斐ない結果になってしまい、個人としても全然満足がいくパフォーマンスも結果も見せられなかったです」

「すごく悔しい気持ちもありましたし、正直すごく悩みましたが、自分が今必要なことは個人のレベルをもっと上げることだと感じましたし、一度慣れ親しんだ地を離れて、自分自身大きく成長するためには、一度何もないところで、自分のことが知られていない場所でゼロから活躍し、そこから海外に挑戦していきたいという思いがありました。その覚悟を毎日の練習もそうですし、ピッチで示せたらいいなと考えています」

磐田時代は常にチーム内で年少のグループに属していたが、昨季に続いて平均年齢24歳前後のJ1最年少スカッドでは中堅と言っていい立場に変わった。

世代別代表でともにプレーしたFW染野唯月、FW木村勇大に、同じ浜松出身で明治大学から新加入となるFW熊取谷一星は小学校時代から知る旧知の仲で、「移籍したわりには顔なじみがたくさんいる」とホッとした部分もあるという。だが、いくつかの選択肢があったなかで東京Vを新天地に選んだ背景には、より責任感とリーダーシップを発揮していく必要性を感じた部分があった。

「これだけ同い年だったり、年齢が近い選手がこんなにいるというのは自分自身初めての経験で、今まではずっと自分が一番年下の選手で、後輩というのもあまりいなかったです。ここでは後輩もたくさんいますし、そういう選手に負けていられないですし、年齢に関係なく全員がリーダーだと思っていますし、自分自身もその一人だと考えています」

「これまではジュビロで活躍して海外に挑戦したいという考えが強くありましたし、ジュビロ磐田でリーダーの一人となって、そこから海外、A代表を目指すというのが自分の理想でしたが、自分自身の力不足でそれを叶えることができなかった」

「だからこそ本当に強い覚悟を持ってここに来ました。リーダーというだけでなく、ピッチの中で一番存在感あるぐらいの選手にならないといけないと思いますし、後ろから声を張り上げて体を張る。それに守れる選手というのは当たり前のことで、攻撃の起点にもなれるような選手になりたいなと思います」

「力不足」と自身が認めたように、昨季の磐田ではパリ五輪から復帰後の終盤戦はポジション争いで苦戦を強いられており、よりハイレベルとなる東京Vでのポジション争いは一筋縄ではいかない。

3バックの全ポジションでプレー可能な上、ハイラインでのアグレッシブな守備のアプローチやロングボールは使いながらも、後方からの組み立ても重視する攻撃スタイルは、鈴木のストロングポイントをより活かしやすい。

「自分の特長も出せる」とプレースタイルの合致を移籍の理由として認めたが、同時に海外移籍、A代表でのプレーを目指す上で自覚する課題改善のために、一切の妥協を許さない城福浩監督の下、自身と同じく海外挑戦を視野に向上心の高い若手選手が集まるクラブでのプレーが成長を加速させる触媒になるとの考えも抱いている。

「空中戦やクロス対応、シンプルな競り合いの部分は強度的に物足りない部分があるので、そこがこのクラブで一番成長したい部分」

「今までの意識ではやっぱりJ1でなかなか思うような結果を残せなかったので、その意識では全然ダメだと感じています。判断のスピードだったり、寄せるところも1段も2段も上げていく必要があります。まずはここで結果を残すために、そういった部分を意識してやっていきたい」

「開幕戦のピッチに立つために自分自身どこでもできる準備をするつもりですし、やるだけではなく自分自身の特長を最大限に出して、チームの勝利に貢献できるようなプレーを見せたい。若いチームですごく上を目指している選手が多いので、そういった部分を自分を含め全員で引き上げていきたいです」

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東京Vが清水とのTMで敗戦…城福監督は味スタ開催こぎ着けた尽力に感謝、平川怜は勝負へのこだわり口に

東京ヴェルディは9日、味の素スタジアムで清水エスパルスとのトレーニングマッチ(45分×2)を戦い、2-3で敗れた。 今月にJリーグYBCルヴァンカップのAC長野パルセイロ戦(20日)を控え、若手や控え組の底上げも図りたい東京Vは、明治安田J1リーグ開幕節ですでに対戦した清水とトレーニングマッチを実施した。 ともに前日にアルビレックス新潟、ガンバ大阪とアウェイゲームを戦っており、同試合のベンチ入りメンバーや招集外のメンバーを中心としたメンバー構成での戦いとなった。 そのなかで東京Vは前日の新潟戦に出場した山見大登、稲見哲行、鈴木海音、松橋優安に、招集外だった山本丈偉、熊取谷一星、内田陽介らが1本目からプレー。立ち上がりこそ行ったり来たりの展開となったが、時間の経過とともにアグレッシブな守備からリズムを掴んだ。 そして、ショートカウンターや山見、熊取谷の背後への飛び出しから幾つか良いシーンを作り出すと、41分には左CKの場面でキッカーの山見の正確な右足インスウィングのクロスをゴール前の深澤大輝が頭で合わせて先制点を奪った。 若干メンバーを入れ替えた2本目は開始直後にボックス内で弓場将輝に左足のグラウンダーシュートを左隅に流し込まれて早々に失点。ただ、すぐさま反発力を示すと、良い崩しから白井亮丞らに決定機が訪れたが、ここで仕留め切れない。 この間にギリギリの人数で戦っていたチームは深澤がアクシデントによってベンチへ下がると、10人でプレーを継続。数的不利を背負いながらも直後の23分に味方からのスルーパスに抜け出した白井が冷静に右足シュートを流し込む。だが、26分には左サイドを突破してゴールライン際をえぐった西原源樹に2点目を奪われた。 そんななか、城福浩監督は2023シーズンまで現役としてプレーし、コーチ就任後も現役さながら選手たちに混じって一部トレーニングに参加している奈良輪雄太コーチを急遽投入。不測の事態に備えて清水側に確認を取るも、秋葉忠宏監督は11人対11人の戦いを希望し、この申し出を快諾。異例の形で残り10数分間の戦いが行われたなか、41分にはミドルシュートをGK中村圭佑が好守ではじいたこぼれを嶋本悠大に押し込まれて3失点目を喫し、2本目は1-3のスコアで終了となった。 試合後に囲み取材に対応した城福浩監督は、「開幕前から清水さんがやりたいと言ってくれていた」と今回のトレーニングマッチの経緯を説明。 本拠地である味スタでの異例の開催については、普段の練習場での実施が不可能な状況において会場探しに奔走。使用可能な山梨県や千葉県の施設や清水の練習場に出向く選択肢も考慮したなか、最終的にクラブの運営スタッフの粘り強い交渉、味の素スタジアムの配慮によって本拠地での開催にこぎ着けたという。 そのため、指揮官は「味スタには本当に感謝したいですし、担当者が頑張ってくれたなと思います」と感謝を伝えた。 さらに、「ギリギリのスカッドの中でやっているので、ちょっとしたアクシデントでも、コーチを出さざるを得なかったのは清水さんに申し訳なかった」とスクランブルの状況を受け入れた対戦相手の配慮に改めて感謝した。 「コーチと接触があって、向こうの選手がケガをしたら申し訳ないので、コーチを出してもいいかと一応断りに行きました。そしたら、僕もそうですけど、わざわざ11対10をやりに来てるわけではないので、そうしてくださいと言ってくれたので、そういう意味であの時間帯はちょっと清水さんには申し訳なかったなというふうに思っています」 肝心の試合内容に関しては、「前半はすごく良かったと思いますし、疲れのある選手もいましたが、締まったゲームができた」と1本目のパフォーマンスを評価。一方で、より経験が少ない選手で戦った2本目に関しては「後半はまだチーム内で差があるところを痛感するようなゲームになった」と、個々の成長を促す。 それでも、「彼らにも当事者意識を持たせるためのこの(ミニマムな)スカッドだと思っているので、彼らが多くの時間出られるということが、どれだけありがたいことかも含めて、我々がしっかりアプローチをもう1回し直さなければいけないなと思います」と、レベルの高い相手とのトレーニングマッチでしか養えない経験や危機感を各自が実感できたことへの手応えを語っている。 ゲームキャプテンとしてボランチ、3バックの一角でフル出場した稲見は「勝てたゲームを落としてしまって悔しい」と振り返りつつも、「自分自身も味スタで試合をやること自体久しぶりですし、初めての選手もいたのではないかなと思うので、より全員がメンバーに絡んでいくためにはポジティブなゲームになったのではないかなと思います」と、味スタでのJ1クラブ相手のトレーニングマッチがいい刺激になったと感じている。 個人としても本職のポジション、ゲームキャプテンとしてのプレーを通じて得るものはあった。 「久しぶりのボランチで潰せた部分あったので、そこの強みの部分というのは多少なりとも出せたかなという手応えはありました」 「そこ(リーダーシップ)は自分の成長できるポイントというのは感じていますし、より周りを動かして自分を活かすだったり、周りの選手とのコミュニケーションだったり、最近後ろのポジションもやっているので、試行錯誤しながらですけどリーダーシップを持ってチャレンジしていきたいです」 その稲見とボランチでコンビを組み、1本目では出足鋭い潰しや正確なラストパスでショートカウンターの起点を担い、自らもフィニッシュに絡む場面を見せた平川怜。 個人として課題を意識しつつある程度の手応えを得たというが、「その形を出して最後にシュートまで行ったところで、もうひとつ逆を突いて決め切るとか、そういうところはしないといけない」と、ポジション奪取へ自らが課すハードルは高い。 「もちろん結果を残してポジションを掴み取らないといけないですし、それがいつ来るかは自分でコントロールできないので、そこに向けて常にいいを準備していくことがチームにもプラスになっていくと思うので、いい準備をしたいと思います」 また、24歳という年齢ながらも、2017年のトップチームデビューからの8年で様々な経験をしてきただけに、「もっと勝負にこだわるところはやっていかないといけない」と指揮官も指摘した2本目のパフォーマンスに関して苦言も呈した。 「イレギュラーな時間もありましたけど、それを言い訳にしてはいけないですし、点を取ってリードした時間帯もあったので、守り切ったりとか、もっと勝負にこだわるところはやっていかないと。若い選手も多いですし、そこはこの練習試合の勝ち負けというのをもっと意識してプレーして欲しかったですし、自分もそこにもっとエネルギーを費やしたかった気持ちがあります」 「自分はキャリアもありますし、こういったチームがあまり良くない状況での練習試合という部分では、もっとやらないといけないですし、まずは勝たないと意味がないと思うので、チームとして一つ一つのプレーを大事にしていかなければいけないと思います」 開幕から1勝1分け3敗の16位と、J1復帰2年目は厳しいスタートとなった東京V。離脱者続出の苦境において早くも“総緑戦”の状況だが、今回のトレーニングマッチを通じて新たな力の台頭が待たれるところだ。 東京ヴェルディ 2-3 清水エスパルス ▽1本目 1-0 得点者 41分 深澤大輝(東京V) ▽2本目 1-3 得点者 1分 弓場将輝(清水) 23分 白井亮丞(東京V) 26分 西原源樹(清水) 41分 嶋本悠大(清水) 2025.03.10 06:55 Mon

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東京V、バスケス・バイロンの異例の移籍経緯を説明…

J2リーグの上位2チームの間で実現したシーズン途中の異例の移籍を受け、東京ヴェルディが経緯を明かした。 FC町田ゼルビアは6日、東京ヴェルディからチリ人MFバスケス・バイロン(23)を完全移籍で獲得したことを発表。 現在、両クラブは勝ち点10差が付いているものの、町田が首位、東京Vが2位と自動昇格、優勝争いを繰り広げている。さらに、同じ東京を本拠地とするローカルライバルの間柄ということもあり、シーズン途中のライバルチームへの移籍は衝撃をもって伝えられた。 6日の移籍決定後に新天地での加入会見に臨んだバスケス・バイロンは、移籍リリース時のコメント同様に「批判されるのもわかった上での決断」と、大きな覚悟をもっての移籍だったとコメント。それでも、恩師である黒田剛監督の元でのプレーを熱望し、町田行きを決断した。 一方、ライバルに主力を引き抜かれる形となった東京Vは移籍発表翌日となった7日、江尻篤彦強化部長がクラブハウスで報道陣の囲み取材に応じ、交渉の詳細に関する言及は避けながらも移籍の経緯を説明。 クラブとしては契約延長交渉を含め、全力で慰留に努めながらも、最終的には選手自身の強い意向によって移籍を認めざるを得なかったとしている。 「我々にとって欠かせない選手でした。1カ月プラスアルファ前から彼との契約の更新というのは当然進めていました。そういった中で最終的に今回のような形となりました」 「今まで巻き直し(延長交渉)は年度末にやっていたと思いますが、この時期に巻き直しをちゃんとやって、残さなければいけないというのは、今までのヴェルディではなかったことだと思います。去年お金を作ったぶん、早い段階でそういったことをやっていくことは自分の仕事だと思っていました」 「そういった中、(自分たちが)早く動けば、(他クラブから)早く動きがくるというのはしょうがないことです」 「当然、ある程度のお金を彼が置いていってくれました。そのへんは抜かりなく自分も仕事をしているつもりです」 「(延長オファーを拒否され、他クラブからのオファーが来て違約金を払われての移籍という形か)そういう流れでした」 「彼も彼で悩み抜いた結果だと思いますし、僕らも個人的に彼と話を重ねて、最終的に彼が決めた決断でした。ただ、クラブは指をくわえて見ているような状況ではなく、クラブとしてやれることを全力でやった結果、こうなってしまったことは致し方ないというところです」 また、9日に新国立競技場で行われる『東京クラシック』を間近に控える中での移籍発表に関しては、様々な要素が絡み合った上での偶然だったという。 「1カ月前のそういったところから始めていて、町田さんのいろんな狙いがあるとは思いますが、それを含めてのJ1昇格への戦いだと捉えています。J1昇格にはクラブ力が問われる。現場だけでなくクラブの力が当然問われます。そういう戦いのステージに、万年中位のチームが上がったということは、それだけの戦いをしている。現状の上位のチームと戦うということはピッチだけではない。そこをチーム全体で認識してやっていける機会なのかなと思います。そういう舞台で戦っていることを私も監督含めた現場、クラブ側もわかってJ1昇格に向けて戦っていかないと良い形にはなりません」 「こういったタイミングになったことに関しては、彼と真剣に我々が向き合って話し合った結果がこのときになってしまったというだけで、意図してやっているわけではないです」 主力の穴埋めに関しては名古屋グランパスから育成型期限付き移籍で獲得したMF甲田英將らを含めた現有戦力の台頭を促しつつも、クラブとして新戦力補強に動くことを認めている。 「それは当然です。今年は(J1昇格の)チャンスがあると思っています。そこに向けて全力投球していきたいと思っています。(伸びしろ十分の若手選手が)補強しなくても自分たちがいるというような形が一番です。ただ、それを指をくわえて待つわけではなく、強化部としてそこに適する選手を取っていくという考えではいます」 「ただ、間違ってもバカげた補強というか、端的に言えば多くのお金が必要となる補強をするつもりは明確にありません。あくまでクラブに合った形でないと、それ以後のことに関して上がっても上がれなくても大変になりますし、そこは10年、20年とヴェルディがやっていく上で重要なことだと考えています」 また、現場を預かる城福浩監督も同日に行われた記者会見、その後の囲み取材で今回の移籍に言及。「サッカーの世界ではよくあること」、「弱肉強食の世界」と前置きしながらも、百戦錬磨の指揮官にとっても今回の移籍は前例がないものだと感じている。 「“強奪”という言い方が適切かはわかりませんが、我々の目からそのように映ることはサッカーの世界ではよくあることです」 「ただし、サッカー先進国やサッカー先進国に近づこうとしている国のリーグでシーズン途中に、このような順位でこういった移籍が実現した例がはたしてほかにあるのであれば、聞かせてほしいというふうに思っています。シーズン中にこういう2位から1位に主力が行くというのが、こういうことが成立するのか。自分が知り得る限りでは聞いたことがないです」 さらに、クラブ同様に1カ月以上の期間を通じて何度となく対話を重ねて慰留を図ったという。その中で「これ以上は話せない」と慎重に言葉を選びつつも、起用の可否を含めて難しいチーム状況の中で指揮官として繊細な対応を行っていたことを明かした。 「彼とは話しすぎるぐらい話しました。もちろん条件というのはサッカー選手にとって重要なものです。20年も30年もサッカー選手を続けていくのは難しい。あとは個人でバックボーンが異なります。その部分は無視できないです」 「ひとつは彼がそういう選択肢を得た事実があったこと。そこで条件がはね上がったとするのであれば、それは彼が勝ち取ったものです。そこを否定することはありません」 「あとは手段を選ばずにJ1昇格を考えたとき、今回のような向こうの手段が意表というものではありません。僕らはそういった部分も含めて昇格を争っています。ただ。ピッチの上で90分、戦術や選手交代がどうのという部分だけで戦っているわけではない」 「何がなんでも昇格しようとしているチームが何チームもあります。これほどインパクトがある補強がこれからあるかはわかりませんが、そのチームの戦力をもぎ取れば二乗倍の補強になるという思考があってしかるべきというほど、みんなが是が非でも昇格したい。そういう世界だと思います」 「この1カ月はこの騒動にチームが巻き込まれないようにすることにかなり努力しました。おそらく選手は僕らが言わなくても、どんな混沌とした状況かというのは、この1カ月感じながらやっていました」 「僕らは起用するしないの判断も含めて考えていました。それはなぜかと言えば、行くか残るのかわからなかったからです。行くか残るかわからない状況でどういう準備をしてという部分は、少なくともチームに影響がないという部分で自分が努力する。今はその努力をしなくていいという部分でスッキリしていますし、個人的には間違いなくプラスです」 「(残留の可能性に賭けていた部分は?)僕らが賭けていたというか、(選手本人が)ファイナルアンサーしたら僕らはどうしようもないです。それにものすごい差があろうがなかろうかというところです」 「誰よりも1人いなくなったことで、チームが沈んだと言われたくないのは我々当事者です。それをプラスにできると確信しています」 2023.07.07 17:10 Fri
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東京V、ユース所属の4選手が来季トップ昇格内定! いずれも世代別代表歴のある“緑の新たなスター候補”

東京ヴェルディは18日、東京ヴェルディユースに所属するDF馬場晴也(17)、MF松橋優安(17)、MF石浦大雅(17)、MF藤田譲瑠チマ(17)の4選手の2020シーズンからのトップチーム昇格内定を発表した。 千葉県出身でジュニアユースから東京Vの下部組織でプレーする馬場(写真中央左)は、U-16~U-18の日本代表で主力を担ってきた181cmの守備センスに長けたセンターバック。すでにトップチームのトレーニングやトレーニングマッチに絡んでいた。 一方、近年トップチームに昇格してきた先達が背負ってきたヴェルディユース伝統の背番号10を背負っている神奈川県出身の松橋(写真中央右)は、東京Vジュニアから8年間同クラブに在籍する攻撃センスと個の打開力に長けた気鋭のアタッカー。馬場と同様にU-17日本代表、U-18日本代表にも選出されている。 松橋と同じく東京Vジュニアから在籍する神奈川県出身の石浦(写真左)は、今年に入ってU-18日本代表にも選出された技術とパスセンスに長けたインサイドハーフを主戦場とするレフティだ。 最後にジュニアユースから在籍する東京都出身の藤田(写真右)は、高い身体能力を生かした対人守備、守備的MFを主戦場に両サイドバックやセンターバックもこなすユーティリティー性、視野の広さや展開力にも長けた守備のマルチロールだ。今年に入ってU-17日本代表にも招集されている。 すでに飛び級でトップチーム登録となり、主力を担うMF山本理仁と同期である4選手は、今シーズン途中からトップチームの監督に就任した永井秀樹監督の指導を受けてきた“永井チルドレン”だ。近年、サムライブルーに多くの代表選手を輩出しているJリーグ屈指の育成出身の4選手のトップでの活躍に期待が集まる。 なお、トップチーム昇格が内定した4選手のコメントは以下の通り。 ◆DF馬場晴也選手コメント 「ユースから昇格が決まりました馬場晴也です。6年間お世話になったこのクラブでキャリアを始められることを嬉しく思います。ヴェルディの力になれように頑張ります。応援よろしくお願いします」 ◆MF松橋優安選手コメント 「ユースから昇格しました松橋優安です。まずは8年間お世話になったヴェルディという伝統あるクラブでプロになれたことを嬉しく思います。1年目から試合に出て、このクラブをJ1に戻せるように頑張ります。応援よろしくお願いします」 ◆MF石浦大雅選手コメント 「ユースから昇格しました、石浦大雅です。小さいころからお世話になったこのクラブでプロになれたことを嬉しく思います。このクラブの力になれるよう頑張ります。応援よろしくお願いします」 ◆MF藤田譲瑠チマ 「来シーズンからトップチーム昇格が決まりました、藤田譲瑠チマです。ヴェルディの戻るべき場所にいち早く戻るために全力で戦っていきたいと思います。応援よろしくお願いします」 2019.08.18 14:50 Sun
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新天地で早くも存在感示すMF福田湧矢…「間違いなくヴェルディのプラスになる」G大阪時代からの恩師も期待

東京ヴェルディに今シーズンから加入したMF福田湧矢が、新天地で順調なスタートを切っている。 生まれは福岡県北九州市ながら幼少期からガンバ大阪のファンだった福田は、東福岡高校で背番号10を背負った高体連屈指のアタッカーとして、2018年に憧れのクラブでプロキャリアをスタート。 同シーズンのリーグ開幕節でいきなりスタメンデビューとなる華々しいスタートを切ったが、以降は度重なるケガの影響でメインキャストを担うまでには至らず。2024シーズンはJ1第35節の名古屋グランパス戦で復活のゴールを記録したが、リーグ戦7試合1得点、天皇杯2試合の出場にとどまった。 そんななか、今冬の移籍市場では7年間を過ごしたG大阪を離れる大きな決断を下し、「ヴェルディのために自分のサッカー人生の全てをかけて戦います」という強い覚悟とともに自身初の移籍を果たした。 初の移籍とはなったものの、同い年でG大阪のチームメイトだったFW山見大登、短期間ながらガンバ大阪U-23でともにプレーしたMF食野壮磨の旧知の2人に加え、同世代や若手の多いチームへ馴染むのに時間はかからず。 沖縄キャンプでは日々のトレーニング、トレーニングマッチでも城福浩監督が志向するスタイルにすぐさま順応し、新加入選手のなかではアピールに成功している選手の筆頭だ。 左のウイングバックを主戦場に、1月28日に行われた名古屋グランパスとのトレーニングマッチでは2シャドーの一角でもプレー。最大の持ち味である推進力や切れ味鋭いドリブル突破でチャンスに絡みつつ、守備においても素早い切り替え、イーブンボールに対するアグレッシブなチャレンジと城福監督が志向するスタイルを体現した。 その名古屋戦について福田は「シャドーでのプレーはいつぶりかわからないぐらい久々で、感覚を思い出しながらのプレーでした」と個人として試行錯誤の一戦だったと振り返る。 「元々、ガンバのときにウイングバックもサイドバックをやっている時期もありましたし、その辺では困るようなことはないですね。逆に、シャドーの方がちょっと考えることが多い印象です」。 「昨日は芝の影響も多少ありましたが、まだ合わせるというところでは、もうちょっと時間がかかるかなとは思います」と、アタッキングサードでの連携面を課題として語った。 一方、ここまで新チームへの順応に関しては手応えを感じている。とりわけ、ガンバ大阪U-23でプロのイロハを叩きこまれ、東京V移籍に際しても決断の大きな要因のひとつにもなった森下仁志コーチ仕込みの守備面やハードワークへの自信を語る。 「守備のところはガンバ時代に仁志さん(森下コーチ)にかなりしごかれたので、めちゃめちゃできるようになって、逆にそれが強みになったという感じです。だからこそ、そこまでヴェルディに入ったから何かを変えることもなく、今までの自分のレベルを上げていったらすぐ馴染めるなと思っていました。ただ、それにプラスして意識は上がっているので、それがより速くなっている印象です」 その福田と東京Vで再会することになった森下コーチは、改めて教え子の人となりについて語ってくれた。 出会った当時はプロとして自身の特徴を出すことに苦労していたものの、高い向上心と物おじしないメンタリティによって、一人の指導者としても必ず伸びるタイプの選手だと感じていたという。 「僕が湧矢と出会ったときは、彼がプロに入って2年目。そのときに湧矢は1年目の開幕戦で高卒デビューして、その後はチームも彼もうまくいかずになかなか試合にも出られず。僕とは2年目の最初に出会って、そのときは自分の特徴というか、自分がどうやってこの世界で生きていくかで迷っている状況でした」 「その頃(のガンバ大阪U-23)はみんなが生きるか死ぬか。当時、僕が見させてもらっていた選手はそういう状況の選手たちだったので、やっぱりこの世界でいかに生きていけるか、生き抜いていくかというところで、それに何が必要かを常に練習から問いかけていました。彼は一番そういう部分(前述のハードワーク)が得意なところだった。すごく純粋で素直で、なんでも一生懸命にやる子なので、飲み込みというか、そういうのはすごく早かったです」 「ここ1、2年はケガが続いて心配して見ていた」と語るようにG大阪で不完全燃焼の日々が続いていたが、森下コーチは強い覚悟を持って東京Vへの移籍を決断した愛弟子の復活、さらなる躍進を確信している。 「(昨季終盤戦で)ケガから回復してだんだん状態も上がってきているなと。それでヴェルディから話があるということでした。彼もプロでの経験を積んできただけに、すごく覚悟を決めて、ここが勝負だと考えて来たと思います。昨日の試合(名古屋戦)を見ても、だいぶ僕が以前から知っている最高の湧矢に近づいている。やればやるほど良くなっていくと思います」 「元々とてもサッカーが上手な子ですし、ボールを持てるというか、ドリブルが得意な選手なので、ましてやメンタル的にもプレーを怖がらないですし、本当に体の状態だけ。間違いなくヴェルディのプラスになってくれると思いますし、だんだん習慣が上がっていけば、もう一回盛り返すというか、もう一度インパクトを残せる選手になると思います」 恩師の期待を受けながら捲土重来を期す新シーズンに向け福田は「一番はケガなく」とシーズンを通してのフル稼働を目標に掲げつつ、「一度去年のことは忘れて、また新しい1年と捉えて、去年以上の結果を出せるように、みんなで努力していきたい」と意気込む。 また、個人としては「ドリブルや局面を打開するところだったり、相手を剥がすところだったりで違う色を出していけたらなと思います」と、昨季J1リーグ6位に躍進したチームに新たな武器をもたらしたいとの決意を示した。 2025.02.02 16:00 Sun
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引退試合を終えた永井秀樹、「自分なりに最高のサッカー人生を送ることができた」《永井秀樹 引退試合》

▽永井秀樹 引退試合premium dream last match『OBRIGADO NAGAI』が14日に味の素フィールド西が丘で行われた。VERDY LEGENDS(東京ヴェルディOB主体)vsJ LEGENDS(永井の古巣クラブOBや仲間たち)は、VERDY LEGENDSが3-2で勝利した。 ▽今回の引退試合を終え、改めてスパイクを脱ぐことになった東京ヴェルディユース監督兼、GM補佐の永井秀樹が、試合後の挨拶で自身のキャリアを振り返ると共に、周囲への感謝を語った。 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/cws20170814_nagai2_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(C)CWS Brains,LTD.<hr></div><span style="font-weight:700;">◆永井秀樹</span> 「本日は、お盆休みのさなか、私の引退試合にお集まり頂き本当にありがとうございました。もう正直、何も言うことはありません。僕の引退試合云々ではなく、これほどのメンバーが揃って頂き、幸せ者だと思っています。釜本、松木両監督を始め、日本サッカー、Jリーグを作ってきたレジェンドの皆様、本当に今日はありがとうございました」 「40年前、大分でサッカーと出会い、まさにキャプテン翼を地で行くような幼少期を過ごしました。プロサッカー選手になるという、夢を叶えることができましたが、まさか自分のラストピッチでこのような素晴らしい引退試合ができるとは夢にも思っていませんでした。本当にありがとうございました」 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/cws20170814_nagai2_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(C)CWS Brains,LTD.<hr></div>「そして、天国で見守ってくれた戦友、松田直樹。子供の時に泥だらけのソックスを母と一緒に洗ってくれた、大好きだったお祖母ちゃん。そして、どんな時も自分の意見を尊重してくれて、最大限のサポートをしてくれた最愛なる父にも、この場を借りて感謝を伝えたいです」 「ワールドカップ出場、海外でプレーするという夢を叶えることはできませんでしたが、素晴らしい指導者や恩師、最高のチーム、チームメート、こんな自分を支えてくれた家族、友人、仲間、本当に素晴らしい人に支えてもらい、本当に自分なりに最高のサッカー人生を送ることができました。本当にありがとうございました」 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/cws20170814_nagai2_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(C)CWS Brains,LTD.<hr></div>「最後になりますが、今日の素晴らしい引退試合を開催して頂いた、日本サッカー協会、Jリーグ、村井チェアマン、東京ヴェルディ羽生社長、並びに関係者の皆様。スポンサーの皆様、そして自分の自慢であり、最大の誇りである日本のレジェンドの皆様。そして、今日お集まり頂きました、この素晴らしいサッカーファミリーの皆様、本当にありがとうございました」 「今日をもちまして、サッカー選手としての永井秀樹は卒業しますが、これからはサッカー人として、大変微力ではありますが、日本サッカー界のために貢献できるよう、精進してまいります。長きに渡り支えて頂きまして本当にありがとうございました。最高に幸せなサッカー人生でした。ありがとうございました」 2017.08.15 01:30 Tue
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「彼は残る決断をした」移籍の話もあったキャプテンMF森田晃樹と掴んだ16年ぶりのJ1切符、東京V・城福浩監督は「言葉では説明できない」

J1昇格を果たした東京ヴェルディの城福浩監督が、チームを支えてきたキャプテンMF森田晃樹について語った。 2日、2023J1昇格プレーオフ決勝で東京Vは清水エスパルスと対戦した。 今シーズンのJ2で3位に終わった東京Vと4位の清水の対戦。国立競技場で行われた試合には、5万3264人の大観衆が詰めかけた。 16年ぶりのJ1昇格を目指す東京Vは、1年での復帰を目指す清水と“オリジナル10”同士の意地を懸けた戦いとなった。 試合は前半から清水が攻撃を仕掛けていく展開もゴールレスで折り返すと、63分に東京Vの森田晃樹がハンドを取られてPKを与えてしまうと、チアゴ・サンタナがしっかりと決めて清水が先制する。 1点を追う東京Vはボールこそ握るもフィニッシュまでなかなかいけず。敗退かと思われたが、94分に抜け出した染野唯月に対して高橋祐治がタックル。これがファウルとなりPKを獲得すると、これを染野がしっかりと決めて同点に。そのまま試合は終わり、1-1で終了。年間順位で上位にいたため、16年ぶりのJ1昇格を果たすこととなった。 試合後の記者会見で城福監督は、キャプテンの森田について言及。この試合では清水のPKにつながるハンドをしてしまった中、チームのためにしっかりと1年間戦ってくれたことを称えた。 「このチームは毎年主力が流出しています。去年も私が就任してから夏に2人、冬に4人のレギュラーがいなくなりました」 「もちろん彼も大きな選択を迫られていた冬でした。なぜならばこのチームはそれが当たり前だから。シーズンが終われば主力が居なくなるのが当たり前です。ただ、彼は残る決断をした。彼のキャラクターからしたら、キャプテンに任命されるなんて到底考えらなかったし、発想もできなかった」 「その中でこの1年一緒に格闘してきて、もがいてきて、辛抱強く積み重ねてきて、最後彼と一緒に昇格できたというのは、ちょっと言葉では説明できないです」 シーズン前には移籍の噂もある中で、「ヴェルディをJ1に上げた男になりたい」と残留を決断。アカデミー時代から育ったチームのJ1時代は知らない男だが、ヴェルディファミリーの想いを胸に戦い続け、悲願のJ1昇格を果たし、試合後に涙を流した。 2023.12.02 21:45 Sat

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