高地での戦いに挑むヤングなでしこ、現地ファンの声援も受けU-20女子W杯制覇へ! 狩野倫久監督「攻撃力をどう出していくかがポイント」

2024.09.12 11:30 Thu
オンライン取材に応じたU-20日本女子代表の狩野倫久監督
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オンライン取材に応じたU-20日本女子代表の狩野倫久監督
U-20女子ワールドカップ(W杯)でベスト16に勝ち残っているU-20日本女子代表狩野倫久監督が、現地からのオンライン取材に応じた。

ヤングなでしこの愛称でも知られるU-20日本女子代表。2018年のU-20女子W杯では初優勝を果たすと、2022年の前回大会ではU-20スペイン女子代表に敗れたものの、準優勝の成績を残していた。

狩野監督が指揮を執るチームは、2022年のU-17女子W杯を経験した世代。ただ、この大会でもU-17スペイン女子代表に準々決勝で敗れ、ベスト8で敗退していた。
今大会はグループステージ3連勝、13得点1失点とその強さを見せつけている中、ノックアウトステージがスタート。日本は13日10時から(現地時間12日)にU-20ナイジェリア女子代表とラウンド16で対戦する。

狩野監督は大会を進める中でポジティブな点について「この年代の選手で、U-20日本女子代表のチームの特徴は笑顔あふれる選手たちが多く、他の海外遠征もそうですが、色々な環境、状況で常にポジティブで、順応すべく普段の生活から明るく元気な姿というのがポジティブな日常生活、前向きにピッチに向かう姿が印象的でした」と語り、難しい戦いの中でも選手たちの姿勢について評価した。
13ゴールを記録する攻撃面は非常に手応えも感じるところ。「立ち上げ当初から常に取り組んできて、誰が出ても色々なコンビネーションやパスワークから得点が取れるというところは、今までも多くありました」と振り返り、「それをW杯という世界の舞台でいかに発揮させることができるか。予選リーグでは多く見られたというのが良さとして挙げられます」と、グループステージでは一定の手応えを感じているとした。

狩野監督は3試合を通じて、選手を入れ替え、さらにはポジションも入れ替えながら結果を残してきた。マネジメントの部分については「戦い方の部分においては、意図的に回したというところというより、しっかりとマイボールを保持して、相手がブロックを固めてきた中で、効果的にどう崩していくか、1点を取られると相手を勢いに乗せてしまうので、高地というところだけではなく、1試合1試合戦う中で見えてきたことです」とピッチ上での戦い方に言及。「その中で、多くの選手がピッチに立ったなか、しっかりと準備した成果を出してくれたと思います」と、全ての選手の準備ができていたと振り返った。

優勝までは残り4試合を戦うことに。ここからは負ければ終わりのノックアウトステージとなる。勝ち上がっていくイメージについては「この予選リーグからいかにパワーアップして、ギアを上げてさらに4戦を戦っていくかというところで、7試合と考えるとまだ半分も終わっていない。準備してきたことを出すには、これからだろうと。対戦国がどこも強いことはわかっているので、テクニカルスタッフ、選手とも準備をしていきたい」と、これまで以上のパフォーマンスを出せるようにしていくと意気込んだ。

今大会はコロンビアで開催。日本はグループステージ3試合を首都・ボゴタで行ったが、標高は2640mで富士山の五合目から六合目でのプレーとなった。

日常生活からかけ離れている環境下での戦いとなった中、狩野監督は万全の準備をして来たと明かした。

「全てが終了した後に細かく説明させていただきますが、選手個々の体調のモニタリング。細かいところからピッチにおける走行距離だけではなく、心拍数を含めてどう変動しているか。選手は個々に体調の変化が違うので、選手個々をメディカルスタッフ、フィジカルスタッフ、テクニカルスタッフと見ていって、個別に対応したというのが初戦に入るまでの流れです」

「前例がない中で難しさがありながらも、本当にスタッフが色々と準備して対応して、選手もそこに焦ることなく、個人差が順応するまでにあるので、フィードバックしながら着実に個人が試合を行えるコンディションを整えて行ったというのがあります」

高地に順化することを目的に、準備を整えて来た日本。その甲斐もあり、グループステージで圧倒的な結果を残せたとも言えるだろう。

実際に試合を行っての難しさについては「単純に高地に来るということで、酸素飽和度が下がる。それによって酸素を取り入れるというところで通常でも心拍数が上がり、運動すればすぐに心拍数が上がり、回復までに時間がかかる」と説明。「例えば1分やって1分レストという通常の流れでやっても心拍数が下がらないというのがあります。順化するまでに10日から2週間かかり、個人差もあるので、個々にモニタリングして、心拍数が上がることが悪いのではなく、いつどれぐらいで心拍数が落ちるのかというところでトレーニングをやってきました」と、心拍数の上がり方ではなく、下がり方に注目して調整して来たとした。

また、今大会は国際サッカー連盟(FIFA)が試験的に「フットボール・ビデオ・サポート(FVS)」を導入。これはビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)とは違い、チームからのリクエストでVARと同様に「得点かどうか」、「PKかどうか」、「一発退場かどうか」、「人間違いのカード提示」の場面で介入が可能。監督がリクエストすることで発動し、権利は1試合に2回までとなり、リクエストが失敗した場合は1回消化されることとなる。

狩野監督は「FVSは新たな取り組みではありますが、レフェリーが試合を進めることが前提で、我々は色々なレクチャーを受け、それに対して選手もレクチャーや知識を事前に現地に入ってからも進めています」と、ある程度の準備はしているとしたが、「やはりフットボールはフットボールなので、まずはレフェリーが見てくれているということ。その中で重要なアクション、事象があった場合はリクエストができるということに意識を持ってやっているので、気を取られることはなく、審判と共同でゲームを進めていくというところで、オンザピッチで躍動するところを出そうよとやっています」と、大きく意識させていることはないとした。

ラウンド16ではナイジェリアと対戦。身体能力の高さもあるナイジェリアは、グループステージでドイツ、韓国、ベネズエラと同居し、2勝1敗の2位で通過してきた。

狩野監督は「アフリカ大陸特有の身体能力が高い選手が前線に多くいるので、それに対する準備というのがキーになると思っています」と警戒。「そうはいっても我々の良さである攻撃力をどう出していくかがポイントだと思っています」と、怖気付くことなく、しっかりと良さを出して挑んでいくとした。

そのナイジェリア戦も再びボゴタでの試合に。前回大会も現地のファンを虜にしたヤングなでしこだったが、今大会も日本人以外からも大きな声援を贈られている。

「現地でこちらにお住まいの日本の方、多くの方が見にきてくださった中で、コロンビアの現地の方が「ハポン、ハポン」と応援してくれ、試合中にも聞こえてきます」

「選手たちにとっては多くのサポーターの前でプレーできることを感じていると思います。これがこの大会だけではなく、強いなでしこを作っていく、彼女たちが活躍することで次の舞台はなでしこなので、常に失敗してもチャレンジする、前向きな姿勢でピッチに立とうという形が、そういった声援などにつながっていると思います」

現地のファンも味方につけているヤングなでしこ。残り4試合を戦い抜き、頂点に立つことが期待される。

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「絶対に負けたくない」ここまで5ゴール、ヤングなでしこのエース・土方麻椰は前回大会決勝の悔しさを胸に優勝を掴み取る「優勝する気持ちが誰よりも強い」

U-20女子ワールドカップ(W杯)は残すところ3位決定戦と決勝の2試合となっている中、“ヤングなでしこ”の愛称でも知られるU-20日本女子代表は3大会連続の決勝に駒を進めた。 現地時間18日に準決勝が行われ、日本はU-20オランダ女子代表と対戦。準々決勝では前回王者のU-20スペイン女子代表を延長戦の末に下した中、オランダ戦は終始ペースを握り、2-0で勝利を収めた。 3大会連続の決勝に進んだヤングなでしこ。前回大会のリベンジを果たしたいなか、決勝の相手はアジア王者であるU-20北朝鮮女子代表に決定した。 北朝鮮相手には、今年行われたU20女子アジアカップでグループステージと決勝の2度敗れている相手。3度目の対戦は世界一をかけての戦いとなる。 今大会5ゴールを記録している土方麻椰(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)は現地時間19日にオンライン取材に応対。決勝へ意気込みを語った。 「DPR(北朝鮮)ということで、2回負けている相手なので、絶対に負けたくない気持ちもありますし、前回大会は準優勝で終わっていて絶対に優勝したいという思いがあるので、自分が点をとって日本を勝たせられるように、強い気持ちを持って試合に臨みたいと思います」 土方は2022年にコスタリカで行われた前回大会にも出場。決勝では悔しい思いをしている。今大会はコロンビアで行われている中、前回大会に続いて現地でも熱いサポートを受けている。 「日本のファン・サポーターの皆さんが多くて、声援や土方コールも聞こえてきて、やる気が出て力がみなぎります。日本ではなかなか経験できないことで、楽しんでやれていると思います」 日本人や現地人の応援を受けている土方だが「予想以上ではありました」と、その力は予想以上とのこと。その中で、大会を通してチームも成長を見せている。 「私は点を取ることが仕事なので、点を取ることはもっと突き詰めてやらなければいけないですが、自分でシュートに持っていくシーン、駆け引きで相手の逆をとって味方との連携を含めて、シュートまで行くチャンスが増えたことは成長したところだと思います」 手応えを掴みつつあり、実際にも5ゴールと得点ランキングではトップ。決勝でもゴールに期待がかかるが、富士山の五合目、六合目あたりでのプレーは厳しさがあるという。 「最初はコンディションを整えるところから始まって、それだけでもすぐに息が上がったり、疲れすぎたり、眠れなかったりしました」と振り返った土方。「5日ぐらいして順化して来て、いつも通りやれるようになったかなという感じです」と、現地入りしてからしばらく時間が必要だったという。 また「ワンプレーしただけですぐ息が上がったり、息が落ち着くまでに時間がかかったりして、ボールに関わる回数が減ってしまう状況になりました」と、実際にプレーしての感想も語り、「普段通りのハードワークだったり、何度もスプリントを繰り返すことができなくて、少しずつ慣れて来た部分ではありますが、そこに苦しんでいました」と、環境が大きく異なることでの苦労は絶えなかったようだ。 日本は今大会の会場では最も高度の高いボゴタ(標高2640m)でグループステージを戦っており、そこでの環境に順化していっていた。それは大会が始まり、有利に働いたといい、「ボゴタで試合と練習をしたことで、メディシン(標高1495m)、カリ(標高1018m)では凄く楽に感じて、自分でも体力がついたなと感じています」と、高度が半分程度のところでは楽に感じたという。 大会5ゴールを決めている土方には北朝鮮からもタイトでハードなマークがつくことが予想される。土方は「まずはFWとしてかなりタイトにマークが来ると思うので、そういった中で、自分が起点になったり、背後の抜け出しでチャンスを作ったり、いろいろな部分で攻撃に関わりたいと思っています」とコメント。「守備でも前からハードワークして前線から奪うことで、後ろの助けになったり、前回も相手に一歩上回られるシーンが多かったので、1つの速さ、予測で上回れば勝てると思います」と、しっかりとプレーの狙いは定まっているようだ。 また「個人的にですが、球際やボールへの食いつきがすごいので、背後は空くと思います」と、ディフェンスラインの裏は狙い目だとし、「(相手は)ボールウォッチャーになるので、クロスでは視野から外れてファーで合わせるとか、視野の外からボールに合わせていくことが有効かなと思います」と、プレーイメージはわいているようだ。 そして、このチームの強みの1つは一体感。「11人だけじゃなく、ベンチメンバー含め、スタッフ全員を含めて目の前の試合に勝つという1つの方向に向いている中で、スペイン戦でも延長戦に入った中で、ベンチの選手が出ている選手のケアをしてくれたり、全員で掴んだ勝利でした」と語り、「細かいところが今まで勝てて来た成果だと思うので、次の決勝もチーム一丸となって戦って勝てればと思います」と、改めてチーム全体で勝利を目指していくとした。 改めてW杯制覇に向けて「私自身は(前回大会の決勝は)あまり出場時間は長くなかったですが、ベンチで見ていた中でスペインに圧倒されて負けたということはありました」と振り返り、「その時に次に出て借りを返そうと同期で決意してやって来ました。決勝でDPRを倒して優勝する気持ちが誰よりも強いです」と、強い決意を持っているという土方。「スタッフや監督ファンサポーターにも恩返しになるので、強い気持ちを持って責任を持って戦いたいと思います」と、チームのためにも勝利を目指すとした。 その先にはなでしこジャパンも見えてくる。同世代の古賀塔子(フェイエノールと)や谷川萌々子(バイエルン)はパリ・オリンピックにも出場している。土方は「実力を認めた上で悔しい思いは強いです」と語りつつ、「自分がやれること、この舞台に建てていることで、ここで結果を残すことで次のなでしこジャパンに繋がってくると思います。今やるべきことに集中して、いつか追い越せるように、早まらずに、自分のタイミングでなでしこジャパンに入って中心選手になりたいという覚悟があります」と、まずはU-20で王者になることを目指し、その先をしっかりと見据えていきたいとした。 2024.09.20 14:05 Fri
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ヤングなでしこは2大会連続準優勝…アジア杯に続き北朝鮮に敗れる【U-20女子W杯】

U-20日本女子代表は現地時間22日、FIFA U-20女子ワールドカップ(W杯)の決勝でU-20北朝鮮女子代表と対戦し、0-1で敗戦。2大会連続の準優勝に終わった。 グループステージを全勝突破し、決勝トーナメントではナイジェリア、スペイン、オランダをしぶとく連破してファイナル進出を決めたヤングなでしこ。2大会ぶり2度目の優勝に向けた大一番では、U-20アジアカップ決勝で敗れた因縁の相手にリベンジを狙った。 狩野倫久監督は準決勝のオランダ戦から氏原里穂菜に代えて早間美空を起用した以外同じメンバーを継続した。 やや硬さが見受けられる日本は開始直後にいきなりピンチを招く。5分、右サイドのスペースに抜け出したチェ・イルソンにボックス内に持ち込まれると、カバーを試みたDF米田博美も交わされてしまい、左足の強烈なシュートを打たれるが、ここはGK大熊茜の好守で事なきを得た。 最初のピンチは何とか凌いだが、以降も強度の高い北朝鮮の圧力を前に守勢を強いられる日本。すると、15分には右サイドのチェ・イルソンの馬力ある仕掛けにDF佐々木里緒が振り切られて中央に切り込まれると、カバーに入った大山愛笑も止められず、再び左足シュートを打たれる。ヘディングでのブロックを試みたDF白垣うのにディフレクトしたボールがそのままゴールネットに突き刺さった。 守勢を耐え切れずにいきなりビハインドを背負う形となった日本。すぐさま反撃に出たいところだが、引き続きハイインテンシティのプレーを継続する相手の攻撃を防ぐのが精いっぱいという状況が続く。 前半半ばを過ぎて徐々にボールを動かし始めると、32分には大山の縦パスを前線の土方麻椰が落としたところに前向きでサポートに入った松窪真心がミドルシュートを狙うが、これは枠を捉え切れない。 難しい状況が続く中で狩野監督は37分、早間を下げて笹井一愛を投入。オフ・ザ・ボールの動き出しとボールキープも期待できるストライカーに局面打開を託す。だが、前半の内に攻撃を活性化させることはできず。1点ビハインドでハーフタイムを迎えた。 ハーフタイムの修正に注目が集まった後半立ち上がりも、勢いを持った北朝鮮の圧力に苦しむ日本。後半もチェ・イルソンの再三の仕掛けや連動したハイプレスからのショートカウンターで幾度となく際どいシーンを作られるが、体を張った守備や相手のシュートミスにも救われて1点差を維持。62分には大山を下げて天野紗を2枚目のカードとして切った。 さらに、76分には佐々木と松永未夢を下げて林愛花、角田楓佳を同時投入した日本。さすがに相手も疲れの色が見え始めるなか、82分には最大の決定機が訪れる。右サイド深くでボールを持った柏村菜那から内側でパスを引き出した松窪が縦への鋭い仕掛けでポケットを取って正確な折り返しを供給。これをゴール前にタイミング良く入ってきた小山史乃観が右足ダイレクトで合わすが、パワー不足のシュートはGKにキャッチされた。 その後はしたたかに時計を進めるプレーを選択する相手に対して、最後の力を振り絞って攻撃を仕掛けていく日本。8分が加えられた後半アディショナルタイムにはGK大熊も攻撃参加させたセットプレーやラストプレーでは松窪がボックス内に抜け出す決定機も作ったが、最後まで北朝鮮ゴールをこじ開けることはできず。 この結果、アジアカップに続き北朝鮮に敗れたヤングなでしこは前回大会に続き2大会連続の準優勝に終わった。 U-20北朝鮮女子代表 1-0 U-20日本女子代表 【北朝鮮】 チェ・イルソン(前15) ◆U-20日本女子代表 出場メンバー GK:大熊茜 DF:柏村菜那、白垣うの、米田博美、佐々木里緒(→76分 林愛花) MF:松永未夢(→76分 角田楓佳)、大山愛笑(→62分 天野紗)、松窪真心、小山史乃観、早間美空(→37分 笹井一愛) FW:土方麻椰 2024.09.23 08:08 Mon

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