「今後の指標になるゲームを」代行監督として8年ぶりになでしこ指揮…佐々木則夫氏が韓国戦へ意欲、新主将は“明日に期待!”
2024.10.25 15:35 Fri
代行監督として8年ぶりになでしこジャパンを指揮する佐々木則夫氏
なでしこジャパン(日本女子代表)の佐々木則夫監督代行が、26日の『MIZUHO BLUE DREAM MATCH2024』韓国代表戦へ向けて、前日会見で意気込んだ。
パリ五輪が終わり、今回のなでしこは正式な監督が不在という状況での日韓戦に。佐々木則夫氏が代行監督を務め、内田篤人氏と狩野倫久氏もコーチを務める形となっている。
8年ぶりの指揮が「今回が最後だろう」と言う佐々木氏は「練習回数は少なかったけども、映像も含めたミーティングと練習を繰り返し、密濃く準備してきました。勝利はもちろん、『今後のなでしこの指標になるゲームを』と選手に伝えております。サポーターの皆様にも見てほしいですね」と意気込んだ。
対戦相手の韓国については「向こうも監督が変わって、どういったシステム、スタイルで臨んでくるかなどは見えてない」としながらも、「状況を把握して、対応することが大事」とい言い、「積極的に強気に、勇気を持って攻撃的な守備をする」と選手たちにハッパをかけた。
「GKのところから、しっかりボールを動かしていく。昨日の紅白戦は選手たちの意識も非常に高く、攻守の切り替えも良かった印象です。練習後はミーティングで選手のほうから質問があったりと、意欲的な姿勢が垣間見えました」
「内田コーチは『守備的な要素』を中心に、セットプレーの“マル秘攻撃”も。細かいところを選手にレクチャーしてくれていますね。攻撃については狩野コーチがアプローチしてくれています。包括的な部分は狩野コーチですね」
「2人とも、経験を踏まえて積極的なアプローチをしてくれています。内田コーチにはプラスアルファのミーティングもお願いしていますし、選手たちは興味深く聞いていましたね。今回とても良い代表活動になっています」
「僕自身が8年ぶりの指揮ということで、僕の鈍った部分を2人に補ってもらっている感じですね」
一方、ゲーム主将については「ここ(会見)に来るバスの中で考えていました(笑) 僕の腹は決まったんだけども、まだ本人に交渉していないんでね。今晩、交渉と調整をさせていただきたい」と取材陣の笑いを誘い、「誰になるんでしょうか!?」と、“明日に期待”とした。
今回、初招集含め、20歳前後の選手が多いなでしこ。かつてと現在で選手の「変化」はあるかと問われた佐々木氏は、こう回答した。
「以前なでしこにいた選手は、“濃い”。ひとりひとりに味があり、個性が強かった。僕にプレッシャーをかけたりなんかして、僕としてはやりずらいところもありましたね(笑) 」
「だけど、それを活かして、世界と戦ってくれたわけですよね。今の選手は大人しすぎて、僕としてはやりやすい…がしかし、それだけではダメ。厳しい状況でも歯を食いしばって戦うような、貪欲なところを持たないといけない」
「技術的には、W杯を優勝した頃の選手よりも上手い。そんな中で“我”というかね、そういった部分を表に出さないといけない。この部分も若い選手たちには伝えていきたいですね」
「これからなでしこジャパンを背負って立つだろう選手もいるので、皆さんには是非、注目と期待をしてほしいです」
◆MIZUHO BLUE DREAM MATCH2024
2024年10月26日(土) 14:20キックオフ
なでしこジャパン vs 韓国女子代表
東京・国立競技場
パリ五輪が終わり、今回のなでしこは正式な監督が不在という状況での日韓戦に。佐々木則夫氏が代行監督を務め、内田篤人氏と狩野倫久氏もコーチを務める形となっている。
8年ぶりの指揮が「今回が最後だろう」と言う佐々木氏は「練習回数は少なかったけども、映像も含めたミーティングと練習を繰り返し、密濃く準備してきました。勝利はもちろん、『今後のなでしこの指標になるゲームを』と選手に伝えております。サポーターの皆様にも見てほしいですね」と意気込んだ。
「GKのところから、しっかりボールを動かしていく。昨日の紅白戦は選手たちの意識も非常に高く、攻守の切り替えも良かった印象です。練習後はミーティングで選手のほうから質問があったりと、意欲的な姿勢が垣間見えました」
また、内田篤人コーチ、狩野倫久コーチの役割分担についても言及。
「内田コーチは『守備的な要素』を中心に、セットプレーの“マル秘攻撃”も。細かいところを選手にレクチャーしてくれていますね。攻撃については狩野コーチがアプローチしてくれています。包括的な部分は狩野コーチですね」
「2人とも、経験を踏まえて積極的なアプローチをしてくれています。内田コーチにはプラスアルファのミーティングもお願いしていますし、選手たちは興味深く聞いていましたね。今回とても良い代表活動になっています」
「僕自身が8年ぶりの指揮ということで、僕の鈍った部分を2人に補ってもらっている感じですね」
一方、ゲーム主将については「ここ(会見)に来るバスの中で考えていました(笑) 僕の腹は決まったんだけども、まだ本人に交渉していないんでね。今晩、交渉と調整をさせていただきたい」と取材陣の笑いを誘い、「誰になるんでしょうか!?」と、“明日に期待”とした。
今回、初招集含め、20歳前後の選手が多いなでしこ。かつてと現在で選手の「変化」はあるかと問われた佐々木氏は、こう回答した。
「以前なでしこにいた選手は、“濃い”。ひとりひとりに味があり、個性が強かった。僕にプレッシャーをかけたりなんかして、僕としてはやりずらいところもありましたね(笑) 」
「だけど、それを活かして、世界と戦ってくれたわけですよね。今の選手は大人しすぎて、僕としてはやりやすい…がしかし、それだけではダメ。厳しい状況でも歯を食いしばって戦うような、貪欲なところを持たないといけない」
「技術的には、W杯を優勝した頃の選手よりも上手い。そんな中で“我”というかね、そういった部分を表に出さないといけない。この部分も若い選手たちには伝えていきたいですね」
「これからなでしこジャパンを背負って立つだろう選手もいるので、皆さんには是非、注目と期待をしてほしいです」
◆MIZUHO BLUE DREAM MATCH2024
2024年10月26日(土) 14:20キックオフ
なでしこジャパン vs 韓国女子代表
東京・国立競技場
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なでしこジャパンは28日、パリ・オリンピック(五輪)グループC第2節でブラジル女子代表と対戦し、2-1で勝利した。 初戦のスペイン女子代表戦を惜敗したなでしこは、その試合からスタメンをを3人変更。負傷離脱した清水梨紗や藤野あおば、清家貴子に代わり、守屋都弥、浜野まいか、高橋はなをスタメンで起用した。 北京五輪の銀メダル以来、16年ぶりのメダル獲得を目指すブラジルに対し、なでしこは最前線に田中美南、2シャドーに浜野まいかと宮澤ひなたを据えた[3-4-2-1]の布陣で臨んだ。 立ち上がりから素早い攻守の切り替えでボールを支配するブラジルに対し、なでしこは19分に最初の決定機。GK山下杏也加のパントキックで右サイドのスペースに抜け出した宮澤がボックス右まで切り込み折り返しを供給。これを中央でフリーの田中が右足で合わせたが、このシュートはゴール左に外れた。 その後もブラジルの攻撃を封じ込め続けるなでしこは、ポゼッションで劣勢ながらも落ち着いて試合をコントロール。38分には、ボックス左でパスを受けた守屋のクロスから走り込んだ長谷川唯がシュートを放ったが、右足アウトで合わせたボールはGKロレナが正面でキャッチした。 このまま試合終了かと思われたが、なでしこは前半終了間際に最大のチャンスを得る。前半追加タイム1分、宮澤のマイナスのパスをボックス手前で受けた守屋がカットインから右足を振り抜くと、このシュートがラファエレ・ソウザの左手に当たり、主審はPKを宣告。しかし、田中のPKは完璧な読みを見せたGKロレナにキャッチされた。 ゴールレスで迎えた後半もブラジルがボールを保持する展開が続くと、なでしこは56分に失点する。マルタのロングスルーパスでルドミラがDFの裏に抜け出すと、ラストパスを受けたジェニファーがペナルティアーク右からゴール右隅にシュートを流し込んだ。 先制を許したなでしこは、57分に浜野を下げて植木理子を投入。すると64分、左サイドを突破した植木がボックス左深くまで侵入。折り返しを走り込んだ田中が左足で合わせたが、このシュートはラファエレ・ソウザのブロックに阻まれた。 さらになでしこは、68分にも守屋の左クロスをボックス内の田中が絶妙なトラップから反転ボレーでゴールに迫ったが、シュートはGKロレナの好セーブに防がれた。 その後、なでしこは70分に古賀塔子を下げて清家を、80分に宮澤と守屋を下げて千葉玲海菜と谷川萌々子を投入。すると89分、ボックス右から仕掛けた谷川の切り返しの際にスライディングしたヤスミムの右腕に当たると、VARの末にハンドが認められ、PKを獲得。このPKを熊谷がゴール右下に沈め、試合を振り出しに戻した。 1-1のまま試合終了かと思われたが、なでしこは19歳が試合をひっくり返す。96分、清家がハイプレスをかけると、相手のミスパスに反応した谷川が敵陣中盤からロングシュート。これが見事にGKの頭上を超えてゴール左に吸い込まれた。 結局、試合はそのまま2-1でタイムアップ。後半アディショナルタイムに2点を奪ったなでしこが劇的な逆転勝利でブラジルを下し、決勝トーナメント進出へ望みを繋いだ。 ブラジル女子代表 1-2 なでしこジャパン 【ブラジル】 ジェニファー(後11) 【なでしこ】 熊谷紗希(後47)【PK】 谷川萌々子(後51) ◆出場メンバー ()内=途中出場選手 GK 山下杏也加 DF 高橋はな、熊谷紗希、南萌華 MF 古賀塔子(→清家貴子 70)、長野風花、長谷川唯、守屋都弥(→谷川萌々子 80) FW 宮澤ひなた(→千葉玲海菜 80)、田中美南、浜野まいか(→植木理子 57) <span class="paragraph-title">【動画】衝撃の一発!19歳谷川萌々子が後半ATに圧巻ロングシュート!</span> <span data-other-div="movie"></span> <script>var video_id ="mR5bRPbdKlc";var video_start = 0;</script><div style="text-align:center;"><div id="player"></div></div><script src="https://web.ultra-soccer.jp/js/youtube_autoplay.js"></script> 2024.07.29 02:11 Mon4
「悔しさが抜け切れていない」スクランブルで両ウイングバックを務めた守屋都弥、将来の海外挑戦を視野に意欲高く成長を誓う「意識して取り組みたい」
パリ・オリンピックを戦ったなでしこジャパンが5日に帰国。DF守屋都弥(INAC神戸レオネッサ)が大会を振り返った。 守屋は当初はバックアップメンバーとして招集を受けていた中、大会のレギュレーションが変更となり、22人のメンバーが試合ごとに18名になるレギュレーションに。そんな中、初戦でDF清水梨紗が負傷離脱すると、右サイドバックとして抜擢された。 第2戦のブラジル女子代表戦は左ウイングバックでプレーすると、ナイジェリア女子代表戦、アメリカ女子代表戦は右ウイングバックとしてプレー。両サイドを支えるウインガーとしてチームに貢献した。 守屋はオリンピックを終え、「自分の打ったシュートだったり、相手の得点シーンが凄く飛行機の中でもよぎる感じでした。まだ、悔しさが抜け切れていないと思います」と現在の心境を語った。 世界を相手には2023年のオーストラリア&ニュージーランド女子ワールドカップ(W杯)でも経験している中、「アメリカ戦の前半だったりは相手も疲れている部分がありましたが、突破をさせなかったり、守備でもできた部分は多かったです」と、プレーには一定の手応えも感じたようだ。 スクランブルにチームを支えた守屋。「自チームでも何回もスプリントしてクロスを上げることは持ち味なので、海外のチーム相手でも関係なく挑戦しようと思っていました。そこから得点やアシストはなかったので、そこが課題かなと思います」と、攻撃的にプレーしたいと考えていた通りのプレーはできたものの、数字に繋がらなかったことを悔やんだ。 なでしこジャパンは海外組が増えてきた中、守屋もその考えはあるとのこと。「海外にはいずれ行きたいと思っていますが、タイミングとかもありますし、オファーがあれば考えたいです」と、今はINAC神戸に集中しているという。 プレー強度の部分については「ナイジェリア戦では一発で抜かれたり、アメリカ戦も攻撃面のファーストタッチで食われる部分もあったので、自チームでやっていることとの差も感じました」とコメント。「自チームでも海外を意識して取り組んでいかないと、また海外でプレーした時にブランクも生まれてしまうので、これから意識しつつやって行きたいです」と、今後のチームではレベルを高くトレーニングしたいとのこと。「攻撃面でもっとドリブルで仕掛けることは挑戦したいです。出してもらってクロスということはできているので、そこから自分で切り込んであげるためにどうやるかということを自チームでもやりたいです」と、より攻撃面に磨きをかけたいと意気込んだ。 大会中に印象に残っているシーンについては、「(植木)理子に上げたクロスというのは、INACでもやっている持ち味でもあるので、あそこから得点が生まれたことはプラスかなと思います」と振り返り、ナイジェリア戦での田中美南のゴールに繋がったクロスをピックアップした。 次は3年後の女子W杯。守屋は「一旦は休もうかなとも思いますが、WEリーグも始まるので難しいところです」と語り、「取り敢えずは、WEリーグを盛り上げるために自分も頑張りたいですし、そこから代表に呼ばれたら目標を持ってやりたいです」とコメント。海外へこのオフも多くの選手がWEリーグから移籍し、INAC神戸もGK山下杏也加、FW田中美南となでしこでもチームメイトの2人はチームを去ることが決まっている。 「今までは(田中)美南さんだったり、(北川)ひかる、山さん(山下杏也加)だったりに頼っていて、そのままでは勝っていけないと思うので、自分が昨シーズンよりももう一歩、もう二歩成長したプレーをしないと、WEリーグ優勝、皇后杯、カップの優勝も遠いと思うので、自チームでも高めあって行きたいです」 「今までチームにプラスな言葉をかけてくれた美南さん、山さんがいなくなるということは、自分は苦手なんですがやっていかないといけないなと思います。まだINACに一度も合流していないですが、自分の役割を見つめ直して行きたいと思います」 意欲も十分な守屋。オリンピックでの悔しさを胸に、このまま精進して行きたいという。 「得点に絡めていなかったり、自分が決められるシーンもあったりしたので、ふとした時に絶対過ぎると思います。悔しさをバネにじゃないですが、W杯もずっと悔しさがあって、メダルを獲るまでやりきったと思うことはないと思うので、そこに向かってこれから頑張って行きたいです」 2024.08.06 06:25 Tue5