パワハラで処罰された監督で思うこと/六川亨の日本サッカー見聞録
2022.03.11 12:30 Fri
早いもので、東日本大震災から11年の歳月が過ぎた。当日は超ワールドサッカーの原稿を書き終え、Fリーグを取材に代々木体育館へ行こうと思っていたら、突然の大揺れに立っていられず、思わずベッドに腰掛けた。揺れはしばらく続き、気持ち悪くなったほどだった。
テレビをつけると、信じられない光景が次々と映し出された。仙台にはベガルタというJクラブがあり、日韓W杯の試合会場となった、ちょっと不便だけど立派なスタジアムもある。それだけにサッカー関係者にとっては思い入れのある都市の一つだろう。いまなお復興への歩みを重ねているだけに、微力ながら応援したいと思わずにいられない。
そしてJリーグである。7日には第50回となる新型コロナウイルス対策連絡会議が開催された。冒頭で司会を務めた村井満チェアマンは「2年にわたる会議は隔週で開催されました。今日は私にとって最後の会議」であることを表明。NPB(日本野球機構)の斉藤惇コミッショナーも「サッカーと野球が非常に仲良く1つの問題に取り組むことができた。村井チェアマンの個性でもある。サッカーと野球にこだわらず、お互いに気持ちをシェアし、専門家の先生も1回も休まず参加してくれた」と感謝の言葉を述べた。
村井チェアマンの功績に関しては、15日の退任後に多くのメディアが検証するだろう。自分自身もその一助となれるよう、現在は『まん延防止』のためストップしているが、密かに村井チェアマンと一緒に取材を進めている最中だ。早ければ今月末にも紹介できると思うので、その際は当コラムで紹介したいと思っている。
さて、鳥栖の金明輝前監督と東京Vの永井秀樹前監督への処分が昨日のJFA(日本サッカー協会)理事会で承認された。詳細は当サイトでも報じているので割愛するが、鳥栖の金前監督にはS級コーチングライセンスからA級ジェネラルコーチングライセンスへの降級処分、永井前監督には1年間のS級ライセンス停止処分が下された。
処分そのものに異論はない。ただ、難しいのは、どこまでがパワハラなのかという認定度ではないだろうか。現京都の監督も湘南の監督時のパワハラで処分を受けた。しかし、曺貴裁監督の指導で成長できたという選手もいた。
選手も試合に出られてこそ価値があるわけで、年俸やボーナスに影響してくる。「使ってくれる監督」=「いい監督」というのは古今東西、変わらない。このため、どこまでがパワハラ(セクハラ)なのか、定義は難しいし(ケースバイケースのため)、個人情報の保護という側面もある。しかしながら、具体的な暴力行為やどんな暴言だったのかを開示してくれないと(例題でもいいので)、判断基準も不明確なため抑止力にならない気がしてしまうのだ。
9日には大岩剛監督が率いるU-21日本代表(候補)が、Jのチームと45分×2本の練習試合を実施した。その試合を取材していて、指導者らしき人物が選手に対し、「おい、お前~」という指示をだした。一緒に取材していた同業者と、「いまの発言はパワハラになるのかどうか」で話し合った。
もしかしたらユース年代の指導では当たり前のことかもしれないが、そうしたことも含めてJFAはガイドラインを示すべきではないだろうか。金氏も永井氏も、悪意があっての行動とは思えない。それは日本全国、どこの指導者、特に近年は学校の先生ではなくプロの指導者が増えている高校サッカーの現場では、今後は切実な問題になるような気がするからでもある。
明確な基準さえあれば、父兄はもちろん我々メディアもアドバイスできる可能性があるのではないだろうか。
テレビをつけると、信じられない光景が次々と映し出された。仙台にはベガルタというJクラブがあり、日韓W杯の試合会場となった、ちょっと不便だけど立派なスタジアムもある。それだけにサッカー関係者にとっては思い入れのある都市の一つだろう。いまなお復興への歩みを重ねているだけに、微力ながら応援したいと思わずにいられない。
そしてJリーグである。7日には第50回となる新型コロナウイルス対策連絡会議が開催された。冒頭で司会を務めた村井満チェアマンは「2年にわたる会議は隔週で開催されました。今日は私にとって最後の会議」であることを表明。NPB(日本野球機構)の斉藤惇コミッショナーも「サッカーと野球が非常に仲良く1つの問題に取り組むことができた。村井チェアマンの個性でもある。サッカーと野球にこだわらず、お互いに気持ちをシェアし、専門家の先生も1回も休まず参加してくれた」と感謝の言葉を述べた。
さて、鳥栖の金明輝前監督と東京Vの永井秀樹前監督への処分が昨日のJFA(日本サッカー協会)理事会で承認された。詳細は当サイトでも報じているので割愛するが、鳥栖の金前監督にはS級コーチングライセンスからA級ジェネラルコーチングライセンスへの降級処分、永井前監督には1年間のS級ライセンス停止処分が下された。
S級ライセンスからA級ジェネラルコーチングライセンスへの降級処分は今回が史上初のケースになり、かなり重い処分と言える。さらにJFAが指定する研修と社会奉仕活動への参加も課された。
処分そのものに異論はない。ただ、難しいのは、どこまでがパワハラなのかという認定度ではないだろうか。現京都の監督も湘南の監督時のパワハラで処分を受けた。しかし、曺貴裁監督の指導で成長できたという選手もいた。
選手も試合に出られてこそ価値があるわけで、年俸やボーナスに影響してくる。「使ってくれる監督」=「いい監督」というのは古今東西、変わらない。このため、どこまでがパワハラ(セクハラ)なのか、定義は難しいし(ケースバイケースのため)、個人情報の保護という側面もある。しかしながら、具体的な暴力行為やどんな暴言だったのかを開示してくれないと(例題でもいいので)、判断基準も不明確なため抑止力にならない気がしてしまうのだ。
9日には大岩剛監督が率いるU-21日本代表(候補)が、Jのチームと45分×2本の練習試合を実施した。その試合を取材していて、指導者らしき人物が選手に対し、「おい、お前~」という指示をだした。一緒に取材していた同業者と、「いまの発言はパワハラになるのかどうか」で話し合った。
もしかしたらユース年代の指導では当たり前のことかもしれないが、そうしたことも含めてJFAはガイドラインを示すべきではないだろうか。金氏も永井氏も、悪意があっての行動とは思えない。それは日本全国、どこの指導者、特に近年は学校の先生ではなくプロの指導者が増えている高校サッカーの現場では、今後は切実な問題になるような気がするからでもある。
明確な基準さえあれば、父兄はもちろん我々メディアもアドバイスできる可能性があるのではないだろうか。
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まだJ1からの降格をしたことがないチームってどこまで粘ってきたの?!の巻/倉井史也のJリーグ
J1から降格したことのない3チームってどこ? 鹿島と横浜FMと……実は鳥栖。その鳥栖が最下位ですからね。嘆きのメール、たくさんいただいております。まぁそういう嘆き方って正しいんですけどね。サッカークラブが売ってるのは、夢じゃなくてストレスなんだから。 ともあれ、先週の札幌の回でも書いたんだけど、やっぱり1試合あたり2失点以上というのはかなりヤバいんですよ。でもね、鳥栖って落ちてないけどかなり危ないときが過去何度もあったんじゃないかと思うんです。クラブが危ないときも多かったけど、残留もヤバイって時が。 ということで、ここでは鳥栖が昇格した2012年以降、最低順位と最高順位をピックアップしてみました。 2012年:最低順位13位/最高順位 3位 2013年:最低順位15位/最高順位 5位 2014年:最低順位 9位/最高順位 1位 2015年:最低順位14位/最高順位 3位 2016年:最低順位17位/最高順位 2位 2017年:最低順位17位/最高順位 8位 2018年:最低順位17位/最高順位 6位 2019年:最低順位18位/最高順位14位 2020年:最低順位17位/最高順位11位 2021年:最低順位 7位/最高順位 2位 2022年:最低順位12位/最高順位 5位 2023年:最低順位18位/最高順位 8位 ちなみに最終順位は 2012年: 5位 2013年:12位 2014年: 5位 2015年:11位 2016年:11位 2017年: 8位 2018年:14位 2019年:15位 2020年:13位 2021年: 7位 2022年:11位 2023年:14位 おお、確かにサポーターが騒ぐ気持ちもよく分かる。 2023年に18位だったのは第1節のみ。2019年は第1節から第3節、第7節から第11節、第15節から第16節、第19節から第20節って12節も最下位だったけど、ルイス・カレーラス監督を第9節のあとに解任。そこまで1勝1分7敗だったチームを金明輝監督が10勝6分18敗までもちこんで最終節に残留を果たしたって年でした。 鳥栖って今年も波瀾万丈ありそうね。これまでの奇跡の力に期待ってとこでしょうか。 2024.04.20 10:30 Sat2