【2020-21ラ・リーガ前半戦総括】超WS選出の最優秀選手はマルコス・ジョレンテ
2021.01.27 19:00 Wed
◆圧巻アトレティコが首位独走!
昨季後半戦で圧巻のパフォーマンスを見せたレアル・マドリーの2連覇を推す声も多かった今季のラ・リーガだが、前半戦の主役はアトレティコ・マドリーだった。
シメオネ監督率いるチームは消化17試合で14勝1敗2分けの勝ち点44という見事な数字を叩き出し、消化試合数が1試合多い2位のレアル・マドリー(勝ち点37)、3位のバルセロナ(勝ち点34)の2強に7ポイント差以上を付ける独走を見せている。
昨夏の移籍市場においてはFWモラタ、MFトーマスの主力2選手が流出した中、後釜にFWルイス・スアレス、MFトレイラ、MFコンドグビアを補強。ただ、それ以外は比較的静かな市場を過ごすことになり、副官ブルゴスの退団を含めて厳しいシーズンが予想された。しかし、新たな前線の核として加入したスアレス、加入2年目で真価を発揮するFWフェリックス、DFエルモソの覚醒、新システムの採用によって大きくスケールアップしたチームは、リーグ最少失点(7点)の堅守に加え、バルセロナに次ぐリーグ2位の得点数(33点)と盤石の戦いぶりを見せている。
その盤石のアトレティコに今季唯一勝利した昨季王者のマドリーは、補強がMFウーデゴールのレンタルバックに留まるなど、コロナ禍における緊縮財政の影響で昨季のチームをベースとする継続路線を採用。前述のアトレティコ、エル・クラシコと上位対決で強さを見せた一方、カディス、バレンシア、アラベス相手の敗戦やオサスナ、エルチェとのドローと下位相手の取りこぼしが目立つ。また、チャンピオンズリーグ(CL)のグループステージでの苦戦、3部相手のコパ・デル・レイ敗退と多くの失態を犯しており、ジダン監督の進退問題も騒がしい状況だ。それでも、MFクロース、MFモドリッチ、FWベンゼマと百戦錬磨のベテランの奮闘により、何とか優勝争いに踏みとどまっている。
マドリード勢の後塵を拝す昨季2位のバルセロナは昨季の無冠、クーマン新監督の下での大刷新、バルトメウ前会長の辞任、FWメッシの退団騒動など、ピッチ内外での多くの混乱の中で苦闘する前半戦となった。[4-2-3-1]、[3-5-2]の新布陣、DFデストやMFペドリら若手の抜擢など試行錯誤を続ける中、前半戦を通して安定した戦いぶりを見せられず。ライバルとの直接対決での惨敗含め、相手を圧倒するような本来のパフォーマンスは鳴りを潜め、財政難の中で負傷者の多さも気がかりだ。それでも、悩めるエースの復調気配、新星ペドリの躍動など、決してすべてが悪かったわけではない。
昨季、ロペテギ監督の下でヨーロッパリーグ(EL)制覇を成し遂げたセビージャは、市場の人気株だったDFジエゴ・カルロス、DFクンデの2センターバックの残留を含め大きな流出はなく、主力クラスの入れ替えはMFバネガ、DFレギロンに代わって、MFラキティッチ、DFアクーニャの2選手ぐらいと継続路線を歩む。昨季同様に堅守は機能も、エースFWオカンポスの金属疲労によるパフォーマンスの低下など、FWエン=ネシリ頼みの攻撃面の改善は必須だ。
エメリ監督を新指揮官に据えたビジャレアルは首位のアトレティコに次ぐ2敗と堅実な指揮官らしく手堅い好チームに仕上がっている。だが、FWジェラール・モレノへの依存が顕著な攻撃面の停滞、多くの負傷者の影響などもあり、リーグ最多タイの9引き分けと勝ち切れない試合が目立つ。
ソシエダは試合数の影響もあり、序盤戦から首位を維持してきたが、FWオヤルサバル、MFダビド・シルバの長期離脱によって第11節から6戦未勝利と急失速。主力が揃えば、昨季同様の魅力的なアタッキングフットボールが展開される一方、前線の主力が1人、2人と欠けると、パンチ力不足の印象は否めず。
7位のグラナダ(勝ち点28)以下は前半戦を通して安定感を欠くチームが多く混戦模様だ。10位のヘタフェ(勝ち点20)、14位のバレンシア(勝ち点20)が足踏みする一方、昇格組で9位に位置するカディス(勝ち点24)の奮闘が印象的だ。
残留争いでは昨季セグンダ覇者のウエスカが最下位(勝ち点12)、昇格プレーオフを制したエルチェが18位(勝ち点17)と昇格組が苦戦。ここに19位のオサスナ、17位のアラベスといった辺りが残留争いのメインキャストとなっている。
最後に日本人選手4人の前半戦ではエイバルのMF乾貴士とFW武藤嘉紀の2選手が定期的に出場機会を得て、主力として活躍。シーズン中盤を迎えてゴールやアシスト、PK奪取など目に見える結果を残している。
プリメーラ初参戦のFW岡崎慎司もチームが最下位に低迷する中、ケガによる約1カ月の離脱期間を除けば、前線の主軸として起用されている。ミチェル監督からパチェタ新監督への指揮官交代の影響が懸念されるところが、就任2試合目でスタメン起用されており、構想に含まれているようだ。
最後に日本では今季のラ・リーガで最も注目を集める存在となっていたMF久保建英は、レンタル先をマジョルカからビジャレアルに変更しステップアップを図ったが、上位に付けるチームにおいてポジション争いに敗れ、今冬の移籍市場でヘタフェに電撃移籍。新天地デビューではいきなり2点に絡む鮮烈な活躍を見せており、後半戦での巻き返しに期待したいところだ。
【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆MFマルコス・ジョレンテ(アトレティコ・マドリー)

新生アトレティコをけん引する万能型MF。今季前半戦で首位を快走するアトレティコでは守護神オブラク、スアレス、フェリックスの2トップが主役を担い、控え選手を含めほとんどの選手のパフォーマンスが総じて高いレベルにある。その中でMVPを挙げるとすれば、マルコス・ジョレンテだ。
昨季後半戦にシメオネ監督の下、かつてのMFラウール・ガルシアのようにセカンドトップにコンバートされ、CLリバプール戦での大活躍も記憶に新しい25歳MF。しかし、今季は序盤戦こそセカンドトップや右サイドハーフで起用されたが、可変式の[3-5-2]の導入によって現在は右のインテリオールが主戦場に。ここまでアトレティコが戦ったリーグ戦全17試合に出場し、いずれもキャリアハイとなる6ゴール4アシストを記録。リーグ屈指のアスリート能力を生かした抜群の対人対応に加え、守備では驚異的な守備範囲の広さ、攻撃ではまさに“スペースをアタック”するという絶妙なスプリント、飛び出しで決定機に関与している。その攻守両面での貢献度の高さ、替えの利かない稀有なプレースタイルを評価してMVPに選出した。
★最優秀監督
◆ディエゴ・シメオネ(アトレティコ・マドリー)

就任9年目を迎えた不動の指揮官が進化。2011年12月の就任以降、幾度か布陣変更を図ったものの、シメオネのアトレティコの代名詞は中盤フラットの[4-4-2]。ボールポゼッションに関心を示さず、自身の志向する守備戦術を最も機能させる上で最適な布陣を重用し、それに合わせた用兵を一貫して行ってきたが、今季途中から更なるチームの進化に向けて[3-5-2]、[3-4-2-1]とも形容できる可変式の布陣を採用。これにより、もうひとつの代名詞である世界屈指の堅守を維持しつつ、攻撃では明らかにポゼッションの質、崩しのアイデアが改善され、長年課題とされてきた得点力が大幅に向上。また、放出候補にも挙がっていたMFレマルのインテリオール起用、DFエルモソの覚醒と新たなオプションの構築に成功。まさに、プランが完璧に嵌った満点の前半戦となった。
【期待以上】
★チーム
◆カディス

昨季セグンダ2位チームが15年ぶりに復帰したプリメーラで躍動。今季のラ・リーガ前半戦では上位陣に好不調の波があったものの、概ね予想通りのリーグテーブルとなっている。その中で唯一のサプライズチームがアンダルシアの伏兵だ。久々のプリメーラ参戦に向けて百戦錬磨のベテランFWネグレドら実力者数名をスカッドに迎え入れたものの、その戦力を考えれば、有力な降格候補と目されていた。しかし、かつてのアトレティコ、ヘタフェを彷彿とさせる[4-4-2]の堅守速攻スタイルを武器に、ここまで降格圏と7ポイント差の9位に付けている。シーズン中盤を迎えて3連敗を含む5戦未勝利と苦戦もあったが、シーズン序盤にはレアル・マドリー、バルセロナを破る大金星を挙げている。
★選手
◆MFペドリ(バルセロナ)

クレに“イニエスタ”を思い起こさせる驚異の18歳。昨夏、ラス・パルマスから17歳で世界屈指の名門にやってきた攻撃的MFは、当初他クラブへの武者修行に出される可能性が濃厚だった。だが、クーマン新監督の主導のチーム刷新、財政難による新戦力補強の停滞もあって短いプレシーズンにチャンスを与えられると、まるでマシア出身者と見まごうばかりの戦術理解ですぐさまトップチームのスタイルに順応した。
シーズン序盤は[4-2-3-1]の左右のウイングを主戦場としたが、MFコウチーニョの離脱や原点回帰の[4-3-3]への布陣変更などをキッカケに、自身が得意とする中央でのプレーが主戦場となると、卓越したポジショニング、判断力、テクニックを武器に、自身が憧れと語るイニエスタのようなプレーでバルセロナの攻撃をけん引。18試合2ゴール2アシストと目に見える貢献は限定的も、立ち位置と技術で局面を変える運び、崩しの部分での存在感は絶大。イニエスタらの退団以降、中盤の相棒不在だった大エースもペドリの台頭により、久々に連携を楽しんでいる印象だ。
【期待外れ】
★チーム
◆バレンシア

昨季の9位を下回る14位と名門の苦闘は続く。今シーズン、ハビ・グラシア監督の下で巻き返しのシーズンに臨んだバレンシアだが、深刻な財政難やクラブ首脳と選手の確執の影響によって主将MFパレホ、FWロドリゴ、MFコクラン、MFコンドグビア、FWフェラン・トーレスと多数の主力が流出。その穴を埋める補強もできず、開幕前の時点から今季の苦戦は目に見えていた。レアル・マドリーに大勝し、バルセロナと引き分けに持ち込むなど、見せ場は作ったものの、ここまで4勝7敗8分けの戦績で14位に低迷。FWユヌス・ムサやDFギジャモンなど若手の台頭は朗報も、攻守両面で停滞感が漂っており、今冬の移籍市場で目立った補強がなければ、昨季を下回る順位でシーズンを終える可能性は高い。
★選手
◆MFセルヒオ・ブスケッツ(バルセロナ)

原点回帰でやや復調も厳しい序盤戦に。昨夏各クラブが大型補強を行わなかったため、既存戦力からの選出に。マドリーのFWアザールやDFマルセロ、アトレティコのMFサウールらも厳しい前半戦となったが、バルセロナの絶対的なオーガナイザーを選出した。
昨シーズン辺りからチーム内での序列に変化が生まれ始めた中、今季はクーマン新監督の下でここまで17試合に起用されている。ただ、シーズン序盤は本職のアンカーからドブレピボーテの一角での起用となり、立ち位置や景色の変化の影響もあり、持ち味の配球の部分で苦戦。また、よりアグレッシブにボールを奪いに行くスタイルの中で機動力、守備範囲の問題も重なって自身の長所よりも短所が目立つ試合が多かった印象だ。それでも、[4-3-3]への原点回帰によって本来のポジションに戻った直近の数試合ではセンターバックの球出しの質の改善、相棒メッシの復調などもあり、徐々に本来のパフォーマンスを取り戻している。そのため、後半戦では頼れるオーガナイザーの本領発揮に期待したい。
【後半戦展望】
◆アトレティコ独走か、2強の巻き返しか
現時点ではアトレティコの2013-14シーズン以来のリーグ制覇が有力と見えるが、マドリーとバルセロナに劇的な改善が起こり、首位チームに勝ち切れない試合が増えた場合、数字上は十分に巻き返しが可能なはずだ。
アトレティコはFWジエゴ・コスタの契約解消によって一時スアレスのバックアップ不在の状況となったが、リヨンからFWムサ・デンベレを獲得したことで、今後のフィットの有無は別としてきっちり穴埋めに成功。また、控え選手がまずまずの働きを見せていることで、主力の大量離脱さえ起きなければ、ここから大崩れする可能性はなさそうだ。直近のバレンシア戦では賭博問題で10週間の出場停止を科されたトリッピアーの再離脱という懸念材料が生まれたが、MFカラスコの右サイドでの起用など新たなオプションがまずまず機能している。そのため、前述の2強が大幅な連勝など、大変貌を遂げない限り、引き分けの数が増えたとしても十分に逃げ切りは可能と思われる。
連覇に向けて厳しい状況のマドリーではアザール、アセンシオの完全復活やバルベルデ、ヴィニシウス、ミリトンといった若手の台頭が巻き返しの鍵を握る。現在、チームはフル稼働のベテランのハイパフォーマンスによって何とか2位を維持している状況であり、彼らに不測の事態が起きた場合、巻き返しはおろか、トップ4陥落の可能性もぬぐい切れない。財政難によって今冬の補強が難しい中、ここまで1年半に渡って期待外れの烙印を押されてきたベルギー代表の意地に期待したい。
マドリー以上に好不調の波が激しいバルセロナだが、伸びしろという部分では2位チームに勝る。ペドリやDFアラウホと心境著しい若手の台頭に加え、シーズン終盤に向けてはDFピケ、MFコウチーニョ、DFセルジ・ロベルトら負傷者の復帰も見込まれている。また、復調傾向のFWデンベレ、FWグリーズマンがこのまま離脱することなく調子を上げていけば、大型連勝の可能性は十分にあるはずだ。ただ、前半戦を通じて課題となる勝負強さ、上位陣との対戦成績の改善は必須だ。
トップ4争いではセビージャが有力と見る。持ち味の堅守に加え、今冬の移籍市場ではアタランタの主将MFパプ・ゴメスの獲得が決定的となっており、前線に決定力とアイデアをもたらす百戦錬磨のアルゼンチン人MFの加入はスマッシュヒットの予感だ。
EL出場権争いではビジャレアルとソシエダが有力も、13位のアスレティック・ビルバオに注目したい。両者との勝ち点差は9ポイント以上(1試合未消化)と開きがあるが、マルセリーノ新監督の下でスーペル・コパを制したチームは攻守の改善が顕著であり、ここからの巻き返しは十分可能なはずだ。
残留争いに関しては14位のバレンシア(勝ち点20)から最下位のウエスカ(勝ち点12)の7チームの争いが予想される。その中で日本人選手在籍のエイバルと、ウエスカでは共にリーグ下位の得点力向上が残留の鍵を握る。そして、エイバルでは絶好調のMFブライアン・ヒルを軸に、乾と武藤の連携向上、ウエスカでは岡崎とFWエスクリチェという動き出しに特長を持つストライカーたちの活躍に期待したい。
昨季後半戦で圧巻のパフォーマンスを見せたレアル・マドリーの2連覇を推す声も多かった今季のラ・リーガだが、前半戦の主役はアトレティコ・マドリーだった。
シメオネ監督率いるチームは消化17試合で14勝1敗2分けの勝ち点44という見事な数字を叩き出し、消化試合数が1試合多い2位のレアル・マドリー(勝ち点37)、3位のバルセロナ(勝ち点34)の2強に7ポイント差以上を付ける独走を見せている。
昨夏の移籍市場においてはFWモラタ、MFトーマスの主力2選手が流出した中、後釜にFWルイス・スアレス、MFトレイラ、MFコンドグビアを補強。ただ、それ以外は比較的静かな市場を過ごすことになり、副官ブルゴスの退団を含めて厳しいシーズンが予想された。しかし、新たな前線の核として加入したスアレス、加入2年目で真価を発揮するFWフェリックス、DFエルモソの覚醒、新システムの採用によって大きくスケールアップしたチームは、リーグ最少失点(7点)の堅守に加え、バルセロナに次ぐリーグ2位の得点数(33点)と盤石の戦いぶりを見せている。
マドリード勢の後塵を拝す昨季2位のバルセロナは昨季の無冠、クーマン新監督の下での大刷新、バルトメウ前会長の辞任、FWメッシの退団騒動など、ピッチ内外での多くの混乱の中で苦闘する前半戦となった。[4-2-3-1]、[3-5-2]の新布陣、DFデストやMFペドリら若手の抜擢など試行錯誤を続ける中、前半戦を通して安定した戦いぶりを見せられず。ライバルとの直接対決での惨敗含め、相手を圧倒するような本来のパフォーマンスは鳴りを潜め、財政難の中で負傷者の多さも気がかりだ。それでも、悩めるエースの復調気配、新星ペドリの躍動など、決してすべてが悪かったわけではない。
オトラ・リーガの争いは4位のセビージャ(勝ち点33)、5位のビジャレアル(勝ち点33)、6位のレアル・ソシエダ(勝ち点30)と例年に近い顔ぶれとなっている。
昨季、ロペテギ監督の下でヨーロッパリーグ(EL)制覇を成し遂げたセビージャは、市場の人気株だったDFジエゴ・カルロス、DFクンデの2センターバックの残留を含め大きな流出はなく、主力クラスの入れ替えはMFバネガ、DFレギロンに代わって、MFラキティッチ、DFアクーニャの2選手ぐらいと継続路線を歩む。昨季同様に堅守は機能も、エースFWオカンポスの金属疲労によるパフォーマンスの低下など、FWエン=ネシリ頼みの攻撃面の改善は必須だ。
エメリ監督を新指揮官に据えたビジャレアルは首位のアトレティコに次ぐ2敗と堅実な指揮官らしく手堅い好チームに仕上がっている。だが、FWジェラール・モレノへの依存が顕著な攻撃面の停滞、多くの負傷者の影響などもあり、リーグ最多タイの9引き分けと勝ち切れない試合が目立つ。
ソシエダは試合数の影響もあり、序盤戦から首位を維持してきたが、FWオヤルサバル、MFダビド・シルバの長期離脱によって第11節から6戦未勝利と急失速。主力が揃えば、昨季同様の魅力的なアタッキングフットボールが展開される一方、前線の主力が1人、2人と欠けると、パンチ力不足の印象は否めず。
7位のグラナダ(勝ち点28)以下は前半戦を通して安定感を欠くチームが多く混戦模様だ。10位のヘタフェ(勝ち点20)、14位のバレンシア(勝ち点20)が足踏みする一方、昇格組で9位に位置するカディス(勝ち点24)の奮闘が印象的だ。
残留争いでは昨季セグンダ覇者のウエスカが最下位(勝ち点12)、昇格プレーオフを制したエルチェが18位(勝ち点17)と昇格組が苦戦。ここに19位のオサスナ、17位のアラベスといった辺りが残留争いのメインキャストとなっている。
最後に日本人選手4人の前半戦ではエイバルのMF乾貴士とFW武藤嘉紀の2選手が定期的に出場機会を得て、主力として活躍。シーズン中盤を迎えてゴールやアシスト、PK奪取など目に見える結果を残している。
プリメーラ初参戦のFW岡崎慎司もチームが最下位に低迷する中、ケガによる約1カ月の離脱期間を除けば、前線の主軸として起用されている。ミチェル監督からパチェタ新監督への指揮官交代の影響が懸念されるところが、就任2試合目でスタメン起用されており、構想に含まれているようだ。
最後に日本では今季のラ・リーガで最も注目を集める存在となっていたMF久保建英は、レンタル先をマジョルカからビジャレアルに変更しステップアップを図ったが、上位に付けるチームにおいてポジション争いに敗れ、今冬の移籍市場でヘタフェに電撃移籍。新天地デビューではいきなり2点に絡む鮮烈な活躍を見せており、後半戦での巻き返しに期待したいところだ。
【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆MFマルコス・ジョレンテ(アトレティコ・マドリー)

Getty Images
新生アトレティコをけん引する万能型MF。今季前半戦で首位を快走するアトレティコでは守護神オブラク、スアレス、フェリックスの2トップが主役を担い、控え選手を含めほとんどの選手のパフォーマンスが総じて高いレベルにある。その中でMVPを挙げるとすれば、マルコス・ジョレンテだ。
昨季後半戦にシメオネ監督の下、かつてのMFラウール・ガルシアのようにセカンドトップにコンバートされ、CLリバプール戦での大活躍も記憶に新しい25歳MF。しかし、今季は序盤戦こそセカンドトップや右サイドハーフで起用されたが、可変式の[3-5-2]の導入によって現在は右のインテリオールが主戦場に。ここまでアトレティコが戦ったリーグ戦全17試合に出場し、いずれもキャリアハイとなる6ゴール4アシストを記録。リーグ屈指のアスリート能力を生かした抜群の対人対応に加え、守備では驚異的な守備範囲の広さ、攻撃ではまさに“スペースをアタック”するという絶妙なスプリント、飛び出しで決定機に関与している。その攻守両面での貢献度の高さ、替えの利かない稀有なプレースタイルを評価してMVPに選出した。
★最優秀監督
◆ディエゴ・シメオネ(アトレティコ・マドリー)

Getty Images
就任9年目を迎えた不動の指揮官が進化。2011年12月の就任以降、幾度か布陣変更を図ったものの、シメオネのアトレティコの代名詞は中盤フラットの[4-4-2]。ボールポゼッションに関心を示さず、自身の志向する守備戦術を最も機能させる上で最適な布陣を重用し、それに合わせた用兵を一貫して行ってきたが、今季途中から更なるチームの進化に向けて[3-5-2]、[3-4-2-1]とも形容できる可変式の布陣を採用。これにより、もうひとつの代名詞である世界屈指の堅守を維持しつつ、攻撃では明らかにポゼッションの質、崩しのアイデアが改善され、長年課題とされてきた得点力が大幅に向上。また、放出候補にも挙がっていたMFレマルのインテリオール起用、DFエルモソの覚醒と新たなオプションの構築に成功。まさに、プランが完璧に嵌った満点の前半戦となった。
【期待以上】
★チーム
◆カディス

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昨季セグンダ2位チームが15年ぶりに復帰したプリメーラで躍動。今季のラ・リーガ前半戦では上位陣に好不調の波があったものの、概ね予想通りのリーグテーブルとなっている。その中で唯一のサプライズチームがアンダルシアの伏兵だ。久々のプリメーラ参戦に向けて百戦錬磨のベテランFWネグレドら実力者数名をスカッドに迎え入れたものの、その戦力を考えれば、有力な降格候補と目されていた。しかし、かつてのアトレティコ、ヘタフェを彷彿とさせる[4-4-2]の堅守速攻スタイルを武器に、ここまで降格圏と7ポイント差の9位に付けている。シーズン中盤を迎えて3連敗を含む5戦未勝利と苦戦もあったが、シーズン序盤にはレアル・マドリー、バルセロナを破る大金星を挙げている。
★選手
◆MFペドリ(バルセロナ)

Getty Images
クレに“イニエスタ”を思い起こさせる驚異の18歳。昨夏、ラス・パルマスから17歳で世界屈指の名門にやってきた攻撃的MFは、当初他クラブへの武者修行に出される可能性が濃厚だった。だが、クーマン新監督の主導のチーム刷新、財政難による新戦力補強の停滞もあって短いプレシーズンにチャンスを与えられると、まるでマシア出身者と見まごうばかりの戦術理解ですぐさまトップチームのスタイルに順応した。
シーズン序盤は[4-2-3-1]の左右のウイングを主戦場としたが、MFコウチーニョの離脱や原点回帰の[4-3-3]への布陣変更などをキッカケに、自身が得意とする中央でのプレーが主戦場となると、卓越したポジショニング、判断力、テクニックを武器に、自身が憧れと語るイニエスタのようなプレーでバルセロナの攻撃をけん引。18試合2ゴール2アシストと目に見える貢献は限定的も、立ち位置と技術で局面を変える運び、崩しの部分での存在感は絶大。イニエスタらの退団以降、中盤の相棒不在だった大エースもペドリの台頭により、久々に連携を楽しんでいる印象だ。
【期待外れ】
★チーム
◆バレンシア

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昨季の9位を下回る14位と名門の苦闘は続く。今シーズン、ハビ・グラシア監督の下で巻き返しのシーズンに臨んだバレンシアだが、深刻な財政難やクラブ首脳と選手の確執の影響によって主将MFパレホ、FWロドリゴ、MFコクラン、MFコンドグビア、FWフェラン・トーレスと多数の主力が流出。その穴を埋める補強もできず、開幕前の時点から今季の苦戦は目に見えていた。レアル・マドリーに大勝し、バルセロナと引き分けに持ち込むなど、見せ場は作ったものの、ここまで4勝7敗8分けの戦績で14位に低迷。FWユヌス・ムサやDFギジャモンなど若手の台頭は朗報も、攻守両面で停滞感が漂っており、今冬の移籍市場で目立った補強がなければ、昨季を下回る順位でシーズンを終える可能性は高い。
★選手
◆MFセルヒオ・ブスケッツ(バルセロナ)

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原点回帰でやや復調も厳しい序盤戦に。昨夏各クラブが大型補強を行わなかったため、既存戦力からの選出に。マドリーのFWアザールやDFマルセロ、アトレティコのMFサウールらも厳しい前半戦となったが、バルセロナの絶対的なオーガナイザーを選出した。
昨シーズン辺りからチーム内での序列に変化が生まれ始めた中、今季はクーマン新監督の下でここまで17試合に起用されている。ただ、シーズン序盤は本職のアンカーからドブレピボーテの一角での起用となり、立ち位置や景色の変化の影響もあり、持ち味の配球の部分で苦戦。また、よりアグレッシブにボールを奪いに行くスタイルの中で機動力、守備範囲の問題も重なって自身の長所よりも短所が目立つ試合が多かった印象だ。それでも、[4-3-3]への原点回帰によって本来のポジションに戻った直近の数試合ではセンターバックの球出しの質の改善、相棒メッシの復調などもあり、徐々に本来のパフォーマンスを取り戻している。そのため、後半戦では頼れるオーガナイザーの本領発揮に期待したい。
【後半戦展望】
◆アトレティコ独走か、2強の巻き返しか
現時点ではアトレティコの2013-14シーズン以来のリーグ制覇が有力と見えるが、マドリーとバルセロナに劇的な改善が起こり、首位チームに勝ち切れない試合が増えた場合、数字上は十分に巻き返しが可能なはずだ。
アトレティコはFWジエゴ・コスタの契約解消によって一時スアレスのバックアップ不在の状況となったが、リヨンからFWムサ・デンベレを獲得したことで、今後のフィットの有無は別としてきっちり穴埋めに成功。また、控え選手がまずまずの働きを見せていることで、主力の大量離脱さえ起きなければ、ここから大崩れする可能性はなさそうだ。直近のバレンシア戦では賭博問題で10週間の出場停止を科されたトリッピアーの再離脱という懸念材料が生まれたが、MFカラスコの右サイドでの起用など新たなオプションがまずまず機能している。そのため、前述の2強が大幅な連勝など、大変貌を遂げない限り、引き分けの数が増えたとしても十分に逃げ切りは可能と思われる。
連覇に向けて厳しい状況のマドリーではアザール、アセンシオの完全復活やバルベルデ、ヴィニシウス、ミリトンといった若手の台頭が巻き返しの鍵を握る。現在、チームはフル稼働のベテランのハイパフォーマンスによって何とか2位を維持している状況であり、彼らに不測の事態が起きた場合、巻き返しはおろか、トップ4陥落の可能性もぬぐい切れない。財政難によって今冬の補強が難しい中、ここまで1年半に渡って期待外れの烙印を押されてきたベルギー代表の意地に期待したい。
マドリー以上に好不調の波が激しいバルセロナだが、伸びしろという部分では2位チームに勝る。ペドリやDFアラウホと心境著しい若手の台頭に加え、シーズン終盤に向けてはDFピケ、MFコウチーニョ、DFセルジ・ロベルトら負傷者の復帰も見込まれている。また、復調傾向のFWデンベレ、FWグリーズマンがこのまま離脱することなく調子を上げていけば、大型連勝の可能性は十分にあるはずだ。ただ、前半戦を通じて課題となる勝負強さ、上位陣との対戦成績の改善は必須だ。
トップ4争いではセビージャが有力と見る。持ち味の堅守に加え、今冬の移籍市場ではアタランタの主将MFパプ・ゴメスの獲得が決定的となっており、前線に決定力とアイデアをもたらす百戦錬磨のアルゼンチン人MFの加入はスマッシュヒットの予感だ。
EL出場権争いではビジャレアルとソシエダが有力も、13位のアスレティック・ビルバオに注目したい。両者との勝ち点差は9ポイント以上(1試合未消化)と開きがあるが、マルセリーノ新監督の下でスーペル・コパを制したチームは攻守の改善が顕著であり、ここからの巻き返しは十分可能なはずだ。
残留争いに関しては14位のバレンシア(勝ち点20)から最下位のウエスカ(勝ち点12)の7チームの争いが予想される。その中で日本人選手在籍のエイバルと、ウエスカでは共にリーグ下位の得点力向上が残留の鍵を握る。そして、エイバルでは絶好調のMFブライアン・ヒルを軸に、乾と武藤の連携向上、ウエスカでは岡崎とFWエスクリチェという動き出しに特長を持つストライカーたちの活躍に期待したい。
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「若き日のディエゴを思い出す」ジュリアーノ・シメオネ22歳をマドリード紙ら称賛「彼の血にも“チョリズモ”」「息子3人の中で最も父親似」
アトレティコ・マドリーのアルゼンチン代表FWジュリアーノ・シメオネ(22)に対する評価が高まってきた。「若き日の父親ディエゴを彷彿とさせる」などとマドリード紙が称える。 父ディエゴ・シメオネが指揮するアトレティコに16歳で入団したジュリアーノ。 トップチームで父親から初めて起用されたのは19歳。しかし、そこからしばらくセカンドチームを主戦場とし、23-24シーズンはアラベスへ武者修行…現役時代からアトレティコ魂を持つ父ディエゴに肩を並べるのは難しいだろうと誰もが思うなか、昨夏アラベスより復帰した。 それでも迎えた今季、ジュリアーノはラ・リーガ第10節あたりからスターターに定着し、ワイドアタッカーとして奮闘。4日のコパ・デル・レイ準々決勝ヘタフェ戦では2得点を記録した。 『マルカ』などに寄稿するマドリードのジャーナリスト、アドリアン・ブランコ氏は、自身のXでジュリアーノを称賛。 「ジュリアーノ・シメオネは今季アトレティコのビッグネームである。彼がアトレティコの復活、成長、競争力を象徴する存在となっているのだ。そのプレーにはエネルギー、犠牲、決意、熱意が溢れ、とにかく情熱的。彼の血にも“チョリズモ”が流れている」 『Relevo』も社説でジュリアーノを称賛した。 「ジュリアーノは“魂”そのものか。ピッチ脇でチョロ(父ディエゴ)が望むこと全てをフィールド全域に伝えるのが、このシメオネ家の三男だ。彼がアトレティコに来たのは父親のおかげだと誰もが言ったが、今ここに残っているのは父親が持っていたもの全てを彼も持つからだ」 「ジュリアーノが自らのゴールを祝っている様子を見ると、いつだったか…ビセンテ・カルデロンでエンブレムを指差して歌っていた若き日のディエゴを思い出す。今や、ジュリアーノがアトレティコのスターターであることに異論を唱える者はいない。間違いなく、息子3人の中でジュリアーノが最も父親に似ている」 2025.02.05 20:41 Wed2
現役時代のシメオネ監督はどんな人物だった? かつての同僚が明かす
アトレティコ・マドリーのディエゴ・シメオネ監督について、現役時代のチームメイトたちが振り返った。スペイン『マルカ』が伝えている。 現役時代セビージャやアトレティコ、そしてインテルなどで活躍したシメオネ氏。特に現在監督を務めるアトレティコには1994年から1997年までの3年間と2003年から2005年1月までの1年半の2度在籍し、公式戦155試合出場29ゴールを記録した。 <div id="cws_ad"><div class="dugout-video dugout-embed-eyJrZXkiOiJKcDZqR25nZCIsInAiOiJ1bHRyYXNvY2NlciIsInBsIjoiIn0="></div><script type="text/javascript" src="https://embed.dugout.com/v3.1/ultrasoccer.js"></script></div> 監督としてピッチサイドで感情を全面に出したスタイルでチームを鼓舞するシメオネ氏だが、現役時代からこの情熱的なスタイルは一貫したもので、共にプレーした多くの選手たちに大きな印象を与えていたようだ。 アトレティコでのチームメイトだった元スペイン代表DFトニ・ムニョス氏は、選手時代のシメオネ氏の情熱を振り返っている。 「彼は全てにおいて情熱的で、ピッチ上でも自分が感じたことを表現していた。苦しむことを楽しんでいたし、全員に対して高い要求を持っていて、強いパーソナリティのある選手だった」 またムニョス氏は、シメオネ氏の優れた戦術眼が得点に繋がっていたと話す。 「戦術的にもとても優れていた。常に1シーズンで8から14ゴールくらいを決めていたが、それは彼がフリーキックや攻撃参加が上手かっただけでなく、試合を読む力に非常に長けていたからだ」 「彼のフットボールに対する思いはとても大きかった。私にシエスタすらさせてくれなかったよ。常にフットボールについて話していて、寝ていても起こされたものだ」 「彼のウォーミングアップは試合前のホテルから始まっていた。チームメイトに指示をして人を集めて、ランチやディナーの時、気付いたら相手がどういう風にプレーするのかという話をしていた」 またセビージャ時代のチームメイトである元スペイン代表DFマノーロ・ヒメネス氏も、シメオネ氏がピッチ上で見せる姿に感嘆していたと明かし、選手時代から名監督としての片鱗を見せていたと語った。 「彼は熱量に溢れていた。失敗した時には怒り、野心と高い要求を求める選手だった。彼はチームのみんなのリスペクトを勝ち取った。なぜなら、失敗しても自分の足でもう一度立ち上がることのできる、勇気ある選手だったからだ」 「彼はハードワーカーで、自分の持つ全てをピッチで出し尽くし、全てのボールを200%の力で追う、今で言うBox to Box タイプのMFだった」 「アグレッシブさとクオリティを兼ね備え、前線への攻撃参加もできた、完全な選手だった。彼が監督になる姿は容易に想像できた」 「選手の時も監督の時も、エル・チョロ(シメオネ愛称)は誇張して大袈裟に行動したりしない。あれが彼のそのままの生き方なんだ」 「彼はベンチで静かに座っているようなタイプではない。自分のメンタルの強さやウイニング・スピリットを常に示してきた人物で、それは彼のDNAの中にあるものなんだ」 また、同じくセビージャ時代の同僚でチームのCBであったホセ・ミゲル・プリエト氏も、シメオネ氏は選手時代からリーダシップを発揮していたと明かした。 「彼はよく試合の前、失敗はピッチに持ち込まずロッカールームに置いていけと私たちに言ったよ」 「常にフットボールのことを考えていて、その執着にも似た思いは今でも増していると思う」 「試合中は全てのプレーに関わっていたし、サッカーというものを理解していた。優れたMFがいれば、CBの力を引き出すことができる。私たちが活躍できたのは彼のおかげだ」 しかし、そんな情熱的なシメオネ氏だが、抜けている部分もあったとプリエト氏は語る。 「私たちはトレーニングに彼の車に乗って行ったことがあったが、車のタイヤがパンクしていたのにずっと変えていなかったんだ。だから私がタイヤの買い方を教えてやったんだ」 2020.06.10 12:45 Wed3
【2020-21 ラ・リーガベストイレブン】優勝アトレティコから最多4人を選出
2020-21シーズンのラ・リーガが全日程を消化しました。そこで本稿では今シーズンのベストイレブンを超ワールドサッカー編集部が独自に選定してみました。 ◆ラ・リーガベストイレブン GK:オブラク DF:クンデ、サビッチ、パウ・トーレス MF:マルコス・ジョレンテ、デ・ヨング、モドリッチ、カラスコ FW:メッシ、ベンゼマ、ジェラール・モレノ GK ヤン・オブラク(28歳/アトレティコ・マドリー) 出場試合数:38(先発:38)/失点数:25 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210601_100_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 2シーズンぶり5度目のサモラ賞獲得と共に自身初のプリメーラ制覇。今季はよりチームが攻撃的な振る舞いを見せた中、38試合中18試合でクリーンシートを達成。試合を通して高い集中力を維持し、ピンチとなれば的確なポジショニングと驚異的な反応で圧巻のシュートストップを連発。また、第28節のアラベス戦では土壇場でチームが与えたPKをストップする殊勲の仕事で優勝に繋がる勝ち点3奪取に貢献するなど、近年苦手としていたPKでは敗れたセビージャ戦でも見事なセーブを見せた。 DF ジュール・クンデ(22歳/セビージャ) 出場試合数:34(先発:33)/得点数:2 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210601_100_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> メガクラブ注目の逸材DF。守備的MFとして特大の輝きを放った同僚フェルナンドを3バックの中央に置く形も考えたが、伸びしろとプレーのインパクトを評価してフランス代表DFを選出。敏腕SDモンチの眼鏡にかなった元ボルドーDFは加入2年目となった今季も見事な成長曲線を描いた。若かりし頃のセルヒオ・ラモスを彷彿とさせる攻撃的なセンターバックはパワー勝負、スピード勝負のいずれにおいても一線級のアタッカー相手に全く見劣らず、守備者としてはポジショニングや判断面を除いてワールドクラスの域に足を踏み入れている。さらに、攻撃面においても的確な繋ぎ、局面を変える持ち出しと著しい成長を見せた。先日のインタビューでは今夏のステップアップを示唆しており、その動向にも注目が集まるところだ。 DF ステファン・サビッチ(30歳/アトレティコ・マドリー) 出場試合数:33(先発:33)/得点数:1 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210601_100_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 優勝チームの最終ラインを統率。昨季のゴディン退団に伴い、ディフェンスリーダーとしての自覚をさらに強め、ヒメネスが離脱を繰り返した中で3バックと4バックを併用したロヒブランコスの最終ラインを締めた。出足鋭い守備で相手アタッカーに自由を与えず、ビッグマッチにおいても冷静な対応でチームに落ち着きをもたらした。今季のチームがよりビルドアップを重視していた中、安定した球出しで中盤、前線へクリーンなボールを届ける攻撃面での仕事も秀逸だった。 DF パウ・トーレス(24歳/ビジャレアル) 出場試合数:33(先発:33)/得点数:2 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210601_100_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 今季のラ・リーガ最高のスぺイン人DF。昨シーズンにブレイクを果たした24歳の左利きのセンターバックは、智将エメリの下で更なるスケールアップを遂げた。守備では191cmの恵まれた体躯とリーグ屈指の快足を武器に対人対応で無類の強さをみせ、カバーリングやスペースケアもそつなくこなした。さらに、優れた戦術眼、左足のキックを武器に長短織り交ぜた正確なパスでビルドアップの場面でも存在感を放っており、そのポテンシャルの高さを考えれば、今夏のメガクラブ行きは濃厚か…。 MF マルコス・ジョレンテ(26歳/アトレティコ・マドリー) 出場試合数:37(先発:33)/得点数:12 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210601_100_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 今シーズンのMVP。いずれもキャリアハイとなる12ゴール11アシストという目に見える数字の貢献度に加え、セカンドトップや右サイドハーフ、インテリオール、サイドバックと状況に応じて複数のポジションをこなしながら、攻守両面で高い強度のプレーをシーズン通して継続した。 MF フレンキー・デ・ヨング(24歳/バルセロナ) 出場試合数:37(先発:35)/得点数:3 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210601_100_tw6.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> ブラウグラナの未来。驚異的なデビューシーズンを飾った同僚ペドリはシーズン総括の“期待以上”の枠に回ってもらい、加入2年目の超万能型MFを選出。代表の恩師であるクーマン監督からの厚い信頼に応え、ピボーテ、インテリオール、センターバックと様々なタスクを完璧にこなし、シーズンを通して攻守両面で決定的な仕事を果たした。戦術眼、テクニック、アスリート能力と3拍子揃ったコンプリートMFとして、前目で使われれば果敢なゴール前への飛び出し、後ろ目で使われれば、安定した繋ぎ、局面を変える持ち出し、強度の高い守備とその貢献度は驚異的だった。 MF ルカ・モドリッチ(35歳/レアル・マドリー) 出場試合数:35(先発:32)/得点数:5 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210601_100_tw7.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 老いては益々壮んなるべし。中盤の名パートナーであるカゼミロとクロースの活躍も光ったが、そのトリボーテを代表してエルブランコの背番号10を選出。昨季終盤の鬼気迫るパフォーマンスを今季も継続した35歳は、最終ラインと前線に多くの離脱者に見舞われた今季のチームをベンゼマらと共に牽引。円熟味を増す抜群のゲームメイクに加え、中盤での泥臭い仕事、クラシコ初戦、最終節のビジャレアル戦で見せた貴重なゴールと試合の際を見極めたプレーを幾度も見せた。36歳で臨む新シーズンも大暴れを期待したい。 MF ヤニック・カラスコ(27歳/アトレティコ・マドリー) 出場試合数:30(先発:25)/得点数:6 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210601_100_tw8.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 後半戦の攻撃の中心選手。サイドアタッカーではルーカス・バスケス(レアル・マドリー)やエメルソン(ベティス)、アクーニャ(セビージャ)らの活躍も見事だったが、優勝チームに敬意を評してベルギー代表MFを選出。今季は左右のサイドハーフに加え、左のウイングバック、2シャドーの一角と様々なポジションをこなし、M・ジョレンテと共にチームに多くのオプションをもたらした上、6ゴール10アシストと数字の面でも申し分ない結果を残した。とりわけ、シーズン終盤戦においてはアタッカー陣に離脱者が目立った中、9試合中8試合でゴールかアシストを記録。その突破力とラストプレーの精度は見事だった。 FW リオネル・メッシ(33歳/バルセロナ) 出場試合数:35(先発:33)/得点数:30 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210601_100_tw9.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 2年ぶりの30ゴールの大台到達で5年連続8度目のピチーチ獲得。シーズン開幕直後は退団問題、試行錯誤を繰り返したチームの影響もあってスロースタートも、昨年11月以降に本来のコンディションを取り戻すと、チームの布陣が定まった中盤戦から後半戦にかけては出場8試合連続ゴールを記録。ブスケッツ、ジョルディ・アルバとのホットラインに加え、ペドリやデ・ヨング、グリーズマンとの連携も深まり、終盤戦では様々なパターンからゴールを陥れた。 FW カリム・ベンゼマ(33歳/レアル・マドリー) 出場試合数:34(先発:33)/得点数:23 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210601_100_tw10.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> エルブランコの絶対的エースとして抜群の存在感を放った。アトレティコに優勝をもたらしたルイス・スアレスと天秤にかける形となったが、23ゴール9アシストという数字面の優位性に加え、メッシ同様にその替えの利かなさを鑑みて選出した。ヴィニシウス、アセンシオに少なからず成長が見られたものの、アザールの体たらくによってチャンスメイク、フィニッシュと膨大な仕事量をシーズン通してこなした。決定力、勝負強さだけでなく、今季はセルヒオ・ラモスらが度々不在の中でリーダーとしての仕事ぶりも光った。 FW ジェラール・モレノ(29歳/ビジャレアル) 出場試合数:33(先発:30)/得点数:23 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210601_100_tw11.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> ラ・リーガ最高のスペイン人ストライカー。昨季、18ゴールを挙げてスペイン人最多得点者に与えられるサラ賞を初受賞したビジャレアルの絶対的エースは、昨季の数字を大幅に更新して2年連続のサラ賞を獲得した。エメリ新監督の下、右ウイング、センターフォワード、セカンドトップを主戦場に多士済々な相棒をうまく生かしつつ、その卓越した左足の精度、決定力を武器にゴールを量産。チャンスメイクの部分でも7アシストとリーグ屈指の万能型アタッカーの本領を発揮。なお、ジュゼッペ・ロッシに並ぶクラブ最多得点者(82点)となった29歳は、今夏のステップアップも噂される中で去就が注目されるところだ。 2021.06.02 19:01 Wed4
アトレティコの新FWはマテウス・クーニャに! 東京五輪で金メダリスト獲得に向け原則合意か?
アトレティコ・マドリーがヘルタ・ベルリンに所属するU-24ブラジル代表FWマテウス・クーニャ(22)の獲得に迫っているようだ。ドイツ『スカイ』が報じている。 アトレティコは今夏の移籍市場でウルグアイ代表FWルイス・スアレスのバックアップを担う新ストライカー獲得を優先事項としていた。ここまではセビージャ移籍が決定したU-24スペイン代表FWラファ・ミルを初め、インテルのアルゼンチン代表FWラウタロ・マルティネス、フィオレンティーナのセルビア代表FWドゥシャン・ヴラホビッチらの獲得に動いていた。 しかし、ラウタロとヴラホビッチに関しては所属クラブの徹底抗戦に遭っており交渉が難航していた。 そういった中、同じく以前から獲得候補に挙がっていた東京オリンピックの金メダリストの獲得に本腰を入れ始め、アトレティコとヘルタは3000万ユーロ(約38億6000万円)+ボーナスという条件で原則合意に至ったようだ。 なお、クーニャに対してはエバートンも獲得に動いていた模様だが、選手自身がアトレティコ行きを望んでいるという。 『スカイ』によれば、クーニャは今週ミッドウィークにマドリードに渡り、メディカルチェックを受診した後に、アトレティコとの契約にサインする見込みだ。 母国コリチーバの下部組織出身のクーニャは2017年にスイスのシオンでヨーロッパでのキャリアをスタート。その後、2018年にRBライプツィヒに完全移籍したが、在籍1年半でブンデスリーガ35試合2ゴールと思うような結果を残せず。2020年1月にヘルタに活躍の場を移していた。 そのヘルタでは昨シーズンの公式戦28試合に出場し、8ゴール7アシストを記録。また、先の東京五輪では5試合に出場し3ゴールを挙げる活躍を見せ、ブラジルの大会連覇に大きく貢献していた。 184cmという恵まれた体躯の割に相手を背負うポストプレーに課題を残すものの、ウイングでもプレー可能なスピードと突破力、オフ・ザ・ボールの動き出しにも優れる万能型のストライカー。また、依然として決定力には伸びしろを残すが、強烈なミドルシュートなど多彩なフィニッシュにも定評がある。 現在、2トップや1トップ2シャドーをメインとするアトレティコにとっては理想的なプレースタイルの持ち主と言えそうだ。 2021.08.23 23:12 Mon5
