乾が今季最強バルサ相手に果たすべき役割とは? パウリーニョと対峙するサイドが勝負の分かれ目-木村博嗣コラム(WOWOW)

2018.02.17 20:30 Sat
Getty Images
◆バルサ相手でも乾の役割は明確
「メンディリバルに憧れている」。
バルセロナの監督時代のグアルディオラが、現エイバルのメンディリバル監督への憧憬を口にしたことがある。当時バルセロナに対して下がってカウンターのチャンスをうかがう戦い方が普通だったのに、メンディリバルが率いるチームは果敢に前からボールを奪いに行っていたからだ。
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その発言から8年の歳月が過ぎ、リスクを冒しても前からプレスを掛けるやり方が対バルセロナ戦術として主流となったのは、前々節のエスパニョールと前節のヘタフェがそのやり方で勝ち点1をもぎ取ったことでわかるだろう。両チームとも通常あそこまで前から行くチームではない。他のチーム相手なら引いて待つところだ。しかし、バルセロナ相手に後ろからボールを繋がれるとマークがどんどんずれていき、味方のDFが強力な攻撃陣の前に裸にされかねない。あるいは、ボールを自由自在に回され自陣から一歩も出られない状態に陥りかねない。それらを避けるための前線からのプレスなのだ。もちろん、このやり方にもリスクがある。最終ラインを高く設定する必要があるから、裏を突かれればあっという間にGKとメッシやルイス・スアレスとの1対1ができかねないのだ。
引きっ放しで言わば“座して死を待つ"のか? それとも一発のパスで“瞬殺"されることを選ぶのか?

“プレス派"の元祖で、2年前に本人に聞いたら「どんな相手でも戦い方を変えない」と断言していたメンディリバルに尋ねるまでもない。守備は前からプレス、攻撃は縦に速いカウンター、得点パターンはサイドをえぐってのセンタリングで2トップを生かす――。となると、今週末ホームにバルセロナを迎えるエイバル、乾の役割は明確だ。
2トップと連動したボール出しへの忠実なプレス、ボールを奪えば縦へ抜けて2トップへの速いセンタリング、または対角線に侵入してのシュート気味のセンタリングを送る。背後のSBホセ・アンヘルがリーグのDFアシスト王(7つ)と絶好調なので、彼にセンタリングを任せ、乾は対角線で侵入する2つ目のオプションが増えるかもしれない。2人の縦関係で崩せない場合はいったん戻して、サイドに張りやはり好調のオレジャーナからのサイドチェンジを待つ。逆サイドからのピンポイントのロングパスを足の甲を使う柔らかいトラップでピタッとボールを収めて「オー!」と感嘆を誘ってから、対角線ドリブルを始めてフェイントからシュートを撃つ――そんな光景が目に浮かぶようだ。実際、昨季のカンプ・ノウではこうしたプレーぶりで乾は2ゴールを挙げ、エイバルは歴史的な勝利を達成する寸前までいっている。

◆乾とパウリーニョのいるサイドが勝負の分かれ目
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ただ、バルベルデ監督にあの苦戦の二の舞を演じるつもりはないだろう。クリスマス休暇以来ついに1週間のインターバルを経て休養したチームに、前節出場停止だったウムティティ、ピケが帰って来る。主力にケガ人も累積警告者もおらずベストメンバーが組める。加えて、乾とマッチアップする右サイドの守備力があの2ゴール時と比べて大幅に向上した。[4-3-3]で3トップの右でプレーしていたメッシが守備をせず、乾に圧倒された右SBセルジ・ロベルトが前半だけで交代させられたことは記憶に新しいが、今季は[4-4-2]で右サイドはフィジカルの強いパウリーニョとSBで守る形が主流。エイバル戦でも脅威である乾を止めるために、デンベレを左トップにした[4-3-3]ではなく、右パウリーニョの[4-4-2]で臨むだろう。

そのパウリーニョの持ち味はパスワークではなく裏への飛び出しだ。相手が前からプレスを掛けてきた場合、ボールポゼッションにこだわるか? こだわらないか? アスレティック・ビルバオで今のエイバルに似た戦い方をしていたバルベルデは、おそらく「こだわらない」だろう。ピケ、ラキティッチ、下がって来たメッシからのパスでパウリーニョを裏へ飛び出させる、シンプルでカウンターを食うリスクの少ないやり方を選択するはずだ。ネイマール喪失をプラスに変える[4-4-2]への変更で、23節終了時の失点がわずか11と昨季より8点少なく勝ち点は8ポイント多い、堅守のチームを作り上げた彼は、生え抜き特有のロマンではなく論理と実利を優先する監督なのだ。

以上のことから言えることはつまり、乾とパウリーニョのいるサイドが勝負の分かれ目となる可能性が極めて高い、ということ。ホセ・アンヘルとセルジ・ロベルトとのサポートと連係によって、どちらがどれだけ相手を押し込むか? どちらがどれだけ相手に守備をさせるか? どちらがどれだけ攻撃の持ち味を発揮するのか?
乾の挑戦とは、単独でバルセロナに挑むことではない。真の挑戦とは、「メンディリバルの戦術VSバルベルデの戦術」、「乾+ホセ・アンヘルVSパウリーニョ+セルジ・ロベルト」という2つのVS構図に勝利するために、いかに乾が貢献するかである。もしその2つでエイバルが勝利を収めたなら、乾は再びゴールでスペイン人を驚嘆させるかもしれない。
(文/木村浩嗣)

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エース北川航也の2発で清水が5試合ぶり白星! 2度オフサイドに泣いた湘南は連敗喫する【明治安田J1第7節】

29日、明治安田J1リーグ第7節の清水エスパルスvs湘南ベルマーレがIAIスタジアム日本平で行われ、ホームの清水が3-0で勝利した。 開幕2連勝から一転して勝利が遠ざかっている清水。代表ウィーク中のYBCルヴァンカップ1回戦ではSC相模原を3-1で下したなか、リーグ戦5試合ぶりの勝利を狙う。前節の京都サンガF.C.戦からは2人変更し、吉田豊が左ウイングバック、宇野禅斗がボランチに入る3バックで臨んだ。 対するアウェイの湘南も前節のヴィッセル神戸戦で初黒星。ルヴァンカップ1回戦ではツエーゲン金沢を1-0で破った。神戸戦からは3人入れ替え、福田翔生がスタメン復帰。新戦力の奥埜博亮や高橋直也も先発し、ベンチにはこちらも新加入の小田裕太郎が入った。 立ち上がりから積極性を見せたのは清水。ハイプレスでボールを奪いに行くと、11分にはPKから先制。宇野のインターセプトから北川航也がポストプレーを見せると、一度は湘南ボールとなりながら奪い返しに行ったのは宇野。ボールに触れてからボックス内で倒され、北川がPKを右隅に決めた。 追いかける形となった湘南は縦に速い攻撃で同点ゴールを奪いに行く。20分には畑大雅の左クロスに福田翔生が頭で合わせるが、ゴール右に外れる。 清水は湘南の攻撃をしっかりと抑えると、21分には北爪健吾が右サイドを突破。折り返しから乾貴士がダイレクトで右足を振るが、これはGK上福元直人がキャッチする。 28分、主導権を握る清水に追加点が生まれる。右サイドで組み立てると、宇野から中央でフリーのマテウス・ブエノへワンタッチパス。そのままマテウス・ブエノが持ち上がると引きつけてから右ポケットでフリーの松崎快へ。冷静に右足で流し込んだ。 2点ビハインドの苦しい展開となった湘南が攻勢を強めるが、清水の集中した守備をなかなか攻略できず。40分には小野瀬康介の右クロスに奥野がダイビングヘッドで飛び込むが、高木践が身体を張ってシュートコースを消す。 2-0で折り返すと、後半序盤に湘南に決定機。小野瀬から右クロスが上がると鈴木章斗がボレー。こぼれ球を拾った畑の折り返しから奥野がネットを揺らすが、オフサイドでゴールは認められない。 まず1点を返したい湘南は藤井智也に代えて茨田陽生を投入。しかし直後、サイドチェンジから右サイドを崩した清水に決定機。クロスのセカンドボールから宇野がダイレクトミドルを放つと、コース上で高橋が足を出して枠から外れる。 なんとか3点目を阻止した湘南も、福田のフリックから鈴木章斗が最終ライン裏へ抜け出す。ボックス手前で仕掛けて右足を振るとグラウンダーのシュートがゴール左隅に決まるが、抜け出した時点のオフサイドでまたもゴールは認められない。 67分、清水に決定的な3点目。最終ラインで回す湘南に対し、マテウス・ブエノが前に出てインターセプト。触れたボールがそのまま背後へのスルーパスとなり、抜け出した北川がGK上福元との一対一を制した。 苦しい展開の湘南は、デビューとなる小田に加えて石井久継の投入で2枚替え。75分には交代カードを使い切る。 清水も選手を入れ替えながら終盤へ。4分の後半アディショナルタイムにも反撃を許さず、3-0の完封勝利。リーグ戦5試合ぶりの勝利を手にしたが、敗れた湘南は2連敗となった。 清水エスパルス 3-0 湘南ベルマーレ 【清水】 北川航也(前11、後22) 松崎快(前28) <span class="paragraph-title">【動画】北川航也が2点目! 抜け出しから冷静に一対一制す</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet" data-media-max-width="560"><p lang="ja" dir="ltr">まさにエースの仕事<br><br>高い位置でのボール奪取から<a href="https://twitter.com/hashtag/%E5%8C%97%E5%B7%9D%E8%88%AA%E4%B9%9F?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#北川航也</a> GKとの1vs1を制し今日2ゴール<br> <br>明治安田J1リーグ第7節<br>清水×湘南<br><a href="https://twitter.com/hashtag/DAZN?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#DAZN</a> LIVE配信<a href="https://twitter.com/hashtag/%E6%B8%85%E6%B0%B4%E6%B9%98%E5%8D%97?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#清水湘南</a><a href="https://twitter.com/hashtag/J%E3%81%BF%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%9C?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#Jみようぜ</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/J%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B0?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#Jリーグ</a> <a href="https://t.co/yIDzn43ShJ">pic.twitter.com/yIDzn43ShJ</a></p>&mdash; DAZN Japan (@DAZN_JPN) <a href="https://twitter.com/DAZN_JPN/status/1905857448361029989?ref_src=twsrc%5Etfw">March 29, 2025</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2025.03.29 15:04 Sat

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