途中出場グリーズマンの一発でリーガ6連勝のアトレティコがバルサにプレッシャー《リーガエスパニョーラ》

2016.05.01 03:04 Sun
Getty Images
アトレティコ・マドリーは4月30日、リーガエスパニョーラ第36節でラージョを本拠地ビセンテ・カルデロンに迎え、1-0で勝利した。
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▽途中出場のコレア弾で前節マラガに1-0と辛勝し、リーガ5連勝として首位バルセロナと同勝ち点で並ぶ2位アトレティコ(勝ち点82)は、3日前に行われたCLバイエルン戦を1-0と勝利。そのバイエルン戦のスタメンから大幅に7選手を変更し、トーレスやグリーズマンがベンチスタートとなって控え選手主体の構成となった。▽マラガ戦でのボール投げ込みによって責任を負わされたシメオネ監督が、3試合のベンチ入り禁止処分を受けてスタンド観戦となった中、アトレティコはフラットな[4-4-2]の布陣を採用。2トップにビエットとコレア、中盤は右からトーマス、ガビ、クラネビッテル、オリベルと配置。4バックは右からフアンフラン、ホセ・ヒメネス、リュカ、ヘスス・ガメスと並べた。
▽前節レアル・マドリーに善戦しながらも2-3で逆転負けし、残留争いに巻き込まれている16位ラージョ(勝ち点35)もアトレティコ同様にフラットな[4-4-2]の布陣で臨んだ一戦。

▽開始3分にエンバルバに際どいシュートを浴びせられたアトレティコだったが、5分にセンターバックのアマヤのボールロストを突いて、ボックス右へ侵入したコレアが枠の左を捉えるシュートを浴びせる決定機を演出。しかし、GKファン・カルロスの好守に阻止された。
▽その後、8分にCKからフリーとなったアマヤのヘディングシュートを浴びたアトレティコは、控え選手主体の影響もあって、ラージョにポゼッションで上回られる展開を強いられてしまう。すると23分にはボックス右への侵入を許したミクにGKオブラクを強襲される。

▽36分にようやくスローインを受けたコレアが華麗なトラップでDFをかわし、ボックス右からシュートを狙ったものの威力を欠いてGKにセーブされたアトレティコは、ハーフタイムにかけて一進一退の攻防を強いられた。そして、決定的なシュートに持ち込めずに前半をゴールレスで終えた。

▽後半頭からガビに代えてコケを投入したアトレティコだったが、52分にベベのクロスを受けたハビ・グエラにGKオブラクを強襲されるなど、やはりペースを掴みきれない。そして55分にビエットとオリベルに代えてトーレスとグリーズマンを投入したアトレティコは、直後に均衡を破る。大仕事をやってのけたのはグリーズマン。ロングボールのルーズボールをボックス手前左で拾ったフランス代表アタッカーはゴール左へ強烈なシュートを叩き込んだ。

▽左サイドに移ったコレアの仕掛けを軸に攻勢に出るアトレティコに対し、ラージョは64分にアマヤに代えてマヌーチョを投入し、攻撃の枚数を増やす。そんな中、70分にアトレティコに決定機が訪れる。グリーズマンのパスを受けたボックス中央のトーレスが左足でシュート。しかし、コースが甘くGKファン・カルロスのセーブに阻まれてしまった。

▽77分にボックス左からコケの放ったシュートで追加点に迫ったアトレティコは、終盤にかけてリトリートし、試合をクローズにかかる。そして、GKオブラクを中心にラージョの反撃をシャットアウト。リーガ6連勝を飾ってバルセロナにプレッシャーをかけている。

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何度も繰り返された光景を見た…/原ゆみこのマドリッド

「もう慣れっこになって怒る気にもなれない」そんな風に私が溜息をついていたのは水曜日、CL3節をプレーしたスペイン勢の中で、負けたのはアトレティコだけだったのに気がついた時のことでした。いやあ、その日はメトロポリターノでリール戦を見ていたため、バルサがモンジュイックで4-1と見事にバイエルンを粉砕。ラフィーニャのハットトリックやレバンドフスキ、ハリー・ケーンらのゴール映像を目にしたのは、アトレティコの選手たちが出て来るのをミックスゾーンで待ちながらだったんですけどね。このオールホームゲーム節では前日、まだ未勝利だったジローナまで、ミゲル・グティエレスとファンペのゴールでスロバン・ブラスチラバに2-0と快勝。 もちろん、その火曜開催組の方ではお隣さん、レアル・マドリーもドルトムントにきっちりお家芸、根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)で5-2と勝利しているんですが、うーん、2022-23シーズンのDecimocuarta(デシモクアルタ/14回目のCL優勝のこと)に至る決勝トーナメント以来、サンティアゴ・ベルナベウではあまりに当たり前の風景になってしまいましたからねえ。その頃はまだ、スタンドが大改造中で、かなりピッチに近いところにプレス席が位置。目の前で繰り広げられる怒涛のレモンターダラッシュを私も呆気に取られて見ていたものですが、ほぼ完成形に近づいた今のプレス席が8階という高みにあるせいもある? おかげで逆転の感動も目に映る選手の大きさ同様、米粒大になってしまった気もしなくはないんですが…いや、まずはそのドルトムント戦がどんな試合だったか、お伝えしていくことにすると。いやあ、2節では伏兵、リールにアウェイで1-0と負けていたマドリーだったため、気合を入れて、ピッチに立ったはずだったんですけどね。そこはファンもわかっていて、選手入場の時にはfondo sur/フォンド・スール(南側ゴール裏)にCLトロフィーを抱えたバイキング(マドリーの愛称の1つ)が描かれた大幕と白と紫のモザイクが登場し、十八番の大会の雰囲気を盛り上げていたんですが、どうにも今季、とりわけ前半は不活発なプレーが続くホームチームの悪癖は治らず。 実際、アンチェロッティ監督も「Hemos estado tímidos en la primera parte, no hemos sido intensos con balón/エモス・エスタードー・ティミドス・エンラ・プリメーラ・パルテ、ノー・エモス・シードー・インテンソス・コン・バロン(前半のウチはどこか内気で、ボールを持った時の激しさがなかった)」と認めていた程だったんですけどね。それでも0-0で収めれば、別に良かったところ、30分には守備の穴を突かれ、ギラシーのパスから、マレンに先制ゴールを奪われてしまったから、ビックリしたの何のって。 更にその4分後にもドルトムントは、今度はマレンのラストパスをバイノー=ギテンスが撃ち込んで、あっという間に2点差になったとなれば、39分にはブラントのミドルシュートをparadon(パラドン/スーパーセーブ)で弾いたGKクルトワが、「Era demasiado fácil/エス・デマシアドー・ファシル(あまりに簡単すぎだ)」と怒っていたのも当然だった?まあ、その件を「ブラントはコントールしてシュートできた。Obviamente he hecho una buena parada/オビアメンテ・エ・エッチョー・ウナ・ブエナ・パラダ(ボクがいいセーブをしたのは明らかだけど)、0-3でハーフタイムに入る可能性もあった」と自画自賛混じりに語ってしまうのは、いかにもクルトワらしいんですけどね。結果、スタンドからpito(ピト/ブーイング)を浴びて、ロッカールームに戻った選手たちは…。 ええ、ここがまさにマドリーが他のチームと違うところで、後半のヒーローとなったビニシウスが語ったところによると、「無言でロッカールームに戻って、監督の言葉を聞いた。Y dijimos una sola cosa,si marcamos el primero vamos a remontar otra vez/イ・ディヒモス・ウナ・ソラ・コーサ・シー・マルカモス・エル・プリメーロ・バモス・ア・レモンタール・オトラ・ベス(ボクらが唯一、話したのは、1点目を取れば、また逆転するだろうってことだけだ)」そうなんですけどね。同様にアンチェロッティ監督も「3点取る話をするのは夢物語だから、ディテールについて話した。いいパスを送ること、ドゥエルに勝つこと。Había que ganar la dinámica del partido/アビア・ケ・ガナール・ラ・ディナミカ・デル・パルティードー(試合の流れを引き寄せないといけなかった)。それが勝利に繋がるからね」と説明していたんですが、当然ながら、言うは易く行うは難し。 それを簡単にやってしまうのがマドリーで、いえ、早くも後半8分には、今季からドルトムントを率いることになった、36才のヌリ・シャヒン監督が守りに入り、バイノー=ギテンスの代わりにアントンを入れ、3CB制を取ってくれたおかげもあるんですけどね。15分にはエムバペのクロスから、リュディガーがヘッドを決め、反撃の狼煙を上げたマドリーはもう2分後には、今度はエムバペのゴールと平行するパスをシュロッターベックがクリアし損ね、そのボールをビニシウスがシュート。最初は主審にオフサイドにされてしまったものの、VAR(ビデオ審判)チェックにより、晴れて2-2のスコアになっているんですから、まったく仕事が早い。 あっという間に同点にされてしまったシャヒン監督は、うーん、彼がマドリーにいた2011-12シーズン、モウリーニョ監督時代のチームはそこまで、レモンターダの鬼ではなかったんですけどね。屋根をクローズしたベルナベウの音響効果もあって、どんどんホームファンの応援が白熱していくのにも影響されたが、マレンの代わりにMFのグロスを投入したんですが、スイッチの入ったマドリーを止めるのはまず不可能。それにはもちろん、37分にはクルトワがバイアーのシュートを弾き、2-3になるのを防いでくれたおかげもあって…。 38分、ロドリゴが負傷してまで、ゴールラインを越えそうなボールを救った後、ルーカス・バスケスがとうとう、逆転のゴールを挙げてくれたんですよ。さすがにこれにはドルトムントも力が抜けてしまったか、あとはビニシウスが41分、自陣からドリブルを開始して、エリア前からの弾丸シュートを突き刺すと、ロスタイムにも5点目をゲット。5-2の完勝を飾っただけでなく、自身もハットトリックを達成して、来週月曜に発表となるバロンドール受賞の前祝いをしていたんですが、え?昨季のCL決勝では2-0でマドリーが勝ったチームから、かなりメンバーの落ちているドルトムントには逆転できても、相手がバルサとなるクラシコ(伝統の一戦)では難しいんじゃないかって? 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