「ホッとしているのが正直なところ」史上最速、8大会連続のW杯出場を決めた森保一監督は選手たちを称える「選手たちの努力があってこそ」
2025.03.21 05:30 Fri
森保一監督がW杯出場を喜ぶ
日本代表の森保一監督が、史上最速でのワールドカップ出場を決めた戦いを振り返った。20日、日本代表は、2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選でバーレーン代表と対戦した。
ここまでの6試合で5勝1分けと圧倒的な強さを見せてきた日本は、この試合に勝利すれば8大会連続8度目のW杯出場が決定。また、3試合を残しての決定となれば史上最速での決定となった。
試合は前半はバーレーンのコンディションの良さと準備のおyさで難しい展開に。ゴールレスで終わると、後半も簡単には戦わせてくれない。それでも、選手交代で流れを変えると、鎌田大地、久保建英にゴールが生まれ、2-0で勝利。ホームに集まった5万8000人を超える大観衆の前で、W杯出場権を獲得した。
試合後にはセレモニーも行われ、森保監督はファン・サポーターへ挨拶。選手たちからは寒空の下で水を大量にかけられるなどしたが、記者会見では感謝の気持ちを示した。
「試合は戦前から厳しい、難しい戦いになるなと思っていました。理由はバーレーンの選手の方が事前に国内キャンプ、日本に来てからも期間を長く準備ができているからです」
「我々の対策も万全にしてきていたと思いますし、コンディション的にも我々はホームですが、日本の選手よりもバーレーンの選手の方が時差対策、気候対策、環境への対策等々も万全にできていると予想されたので、厳しい戦いになるかなと選手たちも共有していました」
「選手たちも前半からなかなか理想的な戦いができない中で、無失点に抑えながらも我慢強く、粘り強く試合を進めていく。そして、後半は自分たちにも続けた先にもチャンスが来るだろうと、タフに粘り強く戦ってくれたおかげで、今日の勝利に繋がったと思います」
しっかりと勝利を収めた日本。改めて、森保監督はW杯出場を2大会連続で決められたことを振り返った。
「今日の試合はW杯の出場に王手がかかった状況の中で、4戦で1勝すれば自力で、途中で対戦相手の状況で変わるかもしれませんが、今日勝って決めることを選手たちとも共有していましたし、最後に送り出す言葉でも勝って決めるというものでした」
「選手たちもこの一戦一戦を全力で戦っていく中で、勝利を目指すというところはこれまでやっていた考えの中で全力を尽くしてくれていたと思いますし、W杯を決める勝利を意識して戦ってくれたと思います。この1勝だけではなく、この1勝1勝の積み上げがW杯につながる、自分たちの成長につながる戦いをしてくれたと外から見ていて感じました」
しっかりとプレーした選手たちを称えた森保監督。この試合でも、途中出場の鎌田がゴールを決めたが、この最終予選では途中出場の選手や、ベンチ外になる選手たちも含めて戦ってきたとした。
「今日もそうですが、これまでの戦いもチーム一丸となって、スタメン、サブ、メンバー外の選手も含めて試合に挑もうということ。そして、スタメンがまず出し切る戦い方をしながらも、スタメンの選手がつなげて勝っていく、チームでバトンを渡しながら繋げて勝つというところを、今日も選手たちは体現してくれたと思います」
「スタメンがレギュラーということがあるかもしれませんが、我々の考え方では全員がレギュラーだと。スタートで出るか、サブで出るかというところで、力を持った選手たちがその役割の中でチームで繋いで勝つというところを表現してくれて、体現してくれていることが今日の結果に繋がったと思います」
バーレーン戦でも選手交代がハマった形だが「監督に閃きはありません笑」と自虐的に語る森保監督。全ては選手たちのパフォーマンスだとした。
「選手たちが日常の自チームでプレーで見せてくれて、代表の活動の中で練習からパフォーマンスを見せてくれていることで判断して送り出しているところがあるので、私自身の閃きというよりも、選手たちが見せてくれていることが繋がったと思います」
「今日の試合に関しては、なかなかリズムが出ないまま、このまま1試合続くことも考えられている中で、全体として自分たちで理想通りにいかない中で、切れてしまわないように、選手たちが我慢強さと冷静さを持って戦ってくれました」
「(鎌田)大地を入れた時には、より起点となる部分と、ゴール前に得点を決めるために出ていく素晴らしい能力を持っているので、試合をコントロールしながら、チャンスをより広げていくこと。ゴールを決めてくれて、素晴らしい活躍をしてくれました」
「(伊東)純也に関しても、(堂安)律が頑張って前半から守備で貢献してくれて、攻撃でも起点となってくれる中で、純也は相手のゴールに推進力を持てるようにということで送り出しました」
選手がしっかりと役割を務める中で、結果がついてきている最終予選。前回大会は最終予選で苦しんだ末にアウェイで決着。今回はホームで決めたが心境の違いについても語った。
「正直、嬉しさが爆発するというよりも、ホッとしているという心境が両大会とも強くあります。嬉しいということはありますが、自分が監督をしている時に、W杯出場を途切らせてはいけないという思いがあるので、ホッとしているのが正直なところです」
「選手たちはW杯出場を決めて喜んでくれていますが、次に向けてのギラギラ感が本当に凄いので、次の試合に向けてどういうメンバー編成をしたら良いかと頭が切り替わっています」
すでに25日のサウジアラビア代表戦に向かっているという森保監督。この最終予選のターニングポイントについて問われると、「ターニングポイントということよりも、第1戦から凡事徹底を選手たちがしてくれていたことと、最終予選は甘くないぞということを、レベルが高い中で海外やJリーグで戦っている選手たちも簡単ではないと、気を引き締めて最高の準備をして全力で試合に挑んでくれた結果かなと思います」と、しっかりと戦っている結果だと言及した。
ただ「ターニングポイントとして思い浮かぶのは、最終予選の第2戦でバーレーンで戦った時に、1試合目で中国に大勝してバーレーンに乗り込んだんですが、今日のようにスタートはあまり自分たちのペースにならず、相手に攻め込まれるシーンがあった中で体を張って絶対に最後ゴールを割らせないというところ。相手のチャンスを体を張って選手たちが防いでくれた中で、自分たちのペースに持って行けたことは、今回の最終予選の中でも毎試合そういう形でピンチを防ぐことが序盤で出てきたので、その遠征の試合だと思います」と、アウェイでのバーレーン戦の戦い方ぶりが良かったと振り返った。
カタールW杯でベスト16。クロアチア代表にPK戦の末に敗れたが、グループステージではドイツ代表、スペイン代表にも勝っており、日本の存在感を世界に知らしめたと言って良い。
ただ、その後のアジアカップではベスト8で敗退。優勝を目指した中での失意を味わったが、その経験が選手たちを奮起させ、そしてW杯優勝という目標に向かう原動力にもなっているとした。
「理由は2つあって、1つは過去の経験でアジアカップで優勝を目指しながらもベスト8で終わってしまった。アジアの戦いの中で悔しい思いをしたことが、選手たちが戦う部分での意識の変化になったと思います」
「もう1つは、純粋にW杯で優勝したい、優勝するということを選手たちが目標に持っている中で、今の成長をどうしなければいけないのかというところを、目標と現実の中で一戦一戦勝利のためにと成長のために戦ってくれているという悔しさと、純粋な目標に向かって成長したいというところを持ち合わせていることがこの結果に繋がっていると思います」
これでW杯の切符を確保した日本は、およそ1年3カ月の時間をもらうこととなった。しっかりとチームをブラッシュアップしていくことが大事だが、次の目標は世界の頂。JFAはW杯への合言葉として「最高の景色を2026 FOR OUR GREATEST STAGE」を設定したことを発表した。
「最高の景色とは?と聞かれて、自分の中での想像はW杯のトロフィーをキャプテンが掲げているシーンがイメージできるかなと思いますし、W杯の決勝の舞台で日本が戦っているところを最高の景色とイメージしたいです」
「JFAが発表してくれたということで、実現できるようにしたいなと思っていますし、実現するために何をするかを考えていきたいと思います」
「映像が残っているかと思いますが、カタールW杯で監督をさせていただいた一番最後の瞬間に、まだ北中米W杯で監督をやると決まっていない時に、選手たちに投げかけた言葉が『最高の景色を目指してきたぞ。そうすればもっと成長が得られる』という趣旨の話をしていたので、その言葉を拾われているわけではないと思いますが、JFAのみなさんと同じ思いを共有できて、我々にとってやりがいのあるキャッチフレーズかなと思います」
前回大会前から指揮を執り始めて6年半。チームは間違いなく成長しており、そのレベルは世界で戦えるものになっている。ただ、森保監督は全てがうまくいっているわけではないとしながらも、選手たちの努力と、先人たちが積み上げたものが今の強さの理由だとした。
「試合をやっていく中で山あり谷あり、紆余曲折ある中で、少しずつ成長できているかなと思いますが、常に上を見ながらやっていくということ、少しでも前進できるという思いでやっていきたいということで、これまでもこれからも自分でできるベストを尽くしていきたいと思います」
「右肩上がりの理由で、要因はいくつか考えていますが、まずは日本のサッカーの歴史の積み上げで今我々が戦わせてもらえていると感じます。歴史を過去から努力して下さった選手や指導者、サッカーファミリーの皆さんの積み上げのおかげで、今の結果に繋がっていることは間違いなくあります。日本のサッカーの歴史の積み上げだと思います」
「歴史の積み上げの中で、選手たちが世界の競争の中で厳しいポジション争い、戦いの中で揉まれながら力をつけてくれていることが、今の結果に繋がっていると思いますので、選手たちの努力があってこそだと思いますし、選手を育てることに尽力して下さっている指導者、サッカーファミリーの皆さんの力が結果に繋がっていると思います」
ここまでの6試合で5勝1分けと圧倒的な強さを見せてきた日本は、この試合に勝利すれば8大会連続8度目のW杯出場が決定。また、3試合を残しての決定となれば史上最速での決定となった。
試合後にはセレモニーも行われ、森保監督はファン・サポーターへ挨拶。選手たちからは寒空の下で水を大量にかけられるなどしたが、記者会見では感謝の気持ちを示した。
「試合というよりも今思い浮かんできているのは、色々な感謝の気持ちです。今日の試合も含めて、厳しい戦いが続いた中、我々が戦って来れたのは現地で応援してくださっているサポーターの皆さん、ここにおられるメディアを通して応援してくれるサポーターの皆さん、日本の国民の皆さんに応援されたからこそ、我々も今日の結果に繋がったと思いますので感謝を申し上げたいと思います」
「試合は戦前から厳しい、難しい戦いになるなと思っていました。理由はバーレーンの選手の方が事前に国内キャンプ、日本に来てからも期間を長く準備ができているからです」
「我々の対策も万全にしてきていたと思いますし、コンディション的にも我々はホームですが、日本の選手よりもバーレーンの選手の方が時差対策、気候対策、環境への対策等々も万全にできていると予想されたので、厳しい戦いになるかなと選手たちも共有していました」
「選手たちも前半からなかなか理想的な戦いができない中で、無失点に抑えながらも我慢強く、粘り強く試合を進めていく。そして、後半は自分たちにも続けた先にもチャンスが来るだろうと、タフに粘り強く戦ってくれたおかげで、今日の勝利に繋がったと思います」
しっかりと勝利を収めた日本。改めて、森保監督はW杯出場を2大会連続で決められたことを振り返った。
「今日の試合はW杯の出場に王手がかかった状況の中で、4戦で1勝すれば自力で、途中で対戦相手の状況で変わるかもしれませんが、今日勝って決めることを選手たちとも共有していましたし、最後に送り出す言葉でも勝って決めるというものでした」
「選手たちもこの一戦一戦を全力で戦っていく中で、勝利を目指すというところはこれまでやっていた考えの中で全力を尽くしてくれていたと思いますし、W杯を決める勝利を意識して戦ってくれたと思います。この1勝だけではなく、この1勝1勝の積み上げがW杯につながる、自分たちの成長につながる戦いをしてくれたと外から見ていて感じました」
しっかりとプレーした選手たちを称えた森保監督。この試合でも、途中出場の鎌田がゴールを決めたが、この最終予選では途中出場の選手や、ベンチ外になる選手たちも含めて戦ってきたとした。
「今日もそうですが、これまでの戦いもチーム一丸となって、スタメン、サブ、メンバー外の選手も含めて試合に挑もうということ。そして、スタメンがまず出し切る戦い方をしながらも、スタメンの選手がつなげて勝っていく、チームでバトンを渡しながら繋げて勝つというところを、今日も選手たちは体現してくれたと思います」
「スタメンがレギュラーということがあるかもしれませんが、我々の考え方では全員がレギュラーだと。スタートで出るか、サブで出るかというところで、力を持った選手たちがその役割の中でチームで繋いで勝つというところを表現してくれて、体現してくれていることが今日の結果に繋がったと思います」
バーレーン戦でも選手交代がハマった形だが「監督に閃きはありません笑」と自虐的に語る森保監督。全ては選手たちのパフォーマンスだとした。
「選手たちが日常の自チームでプレーで見せてくれて、代表の活動の中で練習からパフォーマンスを見せてくれていることで判断して送り出しているところがあるので、私自身の閃きというよりも、選手たちが見せてくれていることが繋がったと思います」
「今日の試合に関しては、なかなかリズムが出ないまま、このまま1試合続くことも考えられている中で、全体として自分たちで理想通りにいかない中で、切れてしまわないように、選手たちが我慢強さと冷静さを持って戦ってくれました」
「(鎌田)大地を入れた時には、より起点となる部分と、ゴール前に得点を決めるために出ていく素晴らしい能力を持っているので、試合をコントロールしながら、チャンスをより広げていくこと。ゴールを決めてくれて、素晴らしい活躍をしてくれました」
「(伊東)純也に関しても、(堂安)律が頑張って前半から守備で貢献してくれて、攻撃でも起点となってくれる中で、純也は相手のゴールに推進力を持てるようにということで送り出しました」
選手がしっかりと役割を務める中で、結果がついてきている最終予選。前回大会は最終予選で苦しんだ末にアウェイで決着。今回はホームで決めたが心境の違いについても語った。
「正直、嬉しさが爆発するというよりも、ホッとしているという心境が両大会とも強くあります。嬉しいということはありますが、自分が監督をしている時に、W杯出場を途切らせてはいけないという思いがあるので、ホッとしているのが正直なところです」
「選手たちはW杯出場を決めて喜んでくれていますが、次に向けてのギラギラ感が本当に凄いので、次の試合に向けてどういうメンバー編成をしたら良いかと頭が切り替わっています」
すでに25日のサウジアラビア代表戦に向かっているという森保監督。この最終予選のターニングポイントについて問われると、「ターニングポイントということよりも、第1戦から凡事徹底を選手たちがしてくれていたことと、最終予選は甘くないぞということを、レベルが高い中で海外やJリーグで戦っている選手たちも簡単ではないと、気を引き締めて最高の準備をして全力で試合に挑んでくれた結果かなと思います」と、しっかりと戦っている結果だと言及した。
ただ「ターニングポイントとして思い浮かぶのは、最終予選の第2戦でバーレーンで戦った時に、1試合目で中国に大勝してバーレーンに乗り込んだんですが、今日のようにスタートはあまり自分たちのペースにならず、相手に攻め込まれるシーンがあった中で体を張って絶対に最後ゴールを割らせないというところ。相手のチャンスを体を張って選手たちが防いでくれた中で、自分たちのペースに持って行けたことは、今回の最終予選の中でも毎試合そういう形でピンチを防ぐことが序盤で出てきたので、その遠征の試合だと思います」と、アウェイでのバーレーン戦の戦い方ぶりが良かったと振り返った。
カタールW杯でベスト16。クロアチア代表にPK戦の末に敗れたが、グループステージではドイツ代表、スペイン代表にも勝っており、日本の存在感を世界に知らしめたと言って良い。
ただ、その後のアジアカップではベスト8で敗退。優勝を目指した中での失意を味わったが、その経験が選手たちを奮起させ、そしてW杯優勝という目標に向かう原動力にもなっているとした。
「理由は2つあって、1つは過去の経験でアジアカップで優勝を目指しながらもベスト8で終わってしまった。アジアの戦いの中で悔しい思いをしたことが、選手たちが戦う部分での意識の変化になったと思います」
「もう1つは、純粋にW杯で優勝したい、優勝するということを選手たちが目標に持っている中で、今の成長をどうしなければいけないのかというところを、目標と現実の中で一戦一戦勝利のためにと成長のために戦ってくれているという悔しさと、純粋な目標に向かって成長したいというところを持ち合わせていることがこの結果に繋がっていると思います」
これでW杯の切符を確保した日本は、およそ1年3カ月の時間をもらうこととなった。しっかりとチームをブラッシュアップしていくことが大事だが、次の目標は世界の頂。JFAはW杯への合言葉として「最高の景色を2026 FOR OUR GREATEST STAGE」を設定したことを発表した。
「最高の景色とは?と聞かれて、自分の中での想像はW杯のトロフィーをキャプテンが掲げているシーンがイメージできるかなと思いますし、W杯の決勝の舞台で日本が戦っているところを最高の景色とイメージしたいです」
「JFAが発表してくれたということで、実現できるようにしたいなと思っていますし、実現するために何をするかを考えていきたいと思います」
「映像が残っているかと思いますが、カタールW杯で監督をさせていただいた一番最後の瞬間に、まだ北中米W杯で監督をやると決まっていない時に、選手たちに投げかけた言葉が『最高の景色を目指してきたぞ。そうすればもっと成長が得られる』という趣旨の話をしていたので、その言葉を拾われているわけではないと思いますが、JFAのみなさんと同じ思いを共有できて、我々にとってやりがいのあるキャッチフレーズかなと思います」
前回大会前から指揮を執り始めて6年半。チームは間違いなく成長しており、そのレベルは世界で戦えるものになっている。ただ、森保監督は全てがうまくいっているわけではないとしながらも、選手たちの努力と、先人たちが積み上げたものが今の強さの理由だとした。
「試合をやっていく中で山あり谷あり、紆余曲折ある中で、少しずつ成長できているかなと思いますが、常に上を見ながらやっていくということ、少しでも前進できるという思いでやっていきたいということで、これまでもこれからも自分でできるベストを尽くしていきたいと思います」
「右肩上がりの理由で、要因はいくつか考えていますが、まずは日本のサッカーの歴史の積み上げで今我々が戦わせてもらえていると感じます。歴史を過去から努力して下さった選手や指導者、サッカーファミリーの皆さんの積み上げのおかげで、今の結果に繋がっていることは間違いなくあります。日本のサッカーの歴史の積み上げだと思います」
「歴史の積み上げの中で、選手たちが世界の競争の中で厳しいポジション争い、戦いの中で揉まれながら力をつけてくれていることが、今の結果に繋がっていると思いますので、選手たちの努力があってこそだと思いますし、選手を育てることに尽力して下さっている指導者、サッカーファミリーの皆さんの力が結果に繋がっていると思います」
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森保監督続投で歴代最長監督はというと…/六川亨の日本サッカーの歩み
まだ正式決定ではないが、森保一監督の『2年間の』続投が決まったようだ。正式には来年のJFA(日本サッカー協会)理事会での承認待ちになる。その頃にはコーチ陣などのスタッフの詳細も決定しているだろう。 93年のJリーグ誕生以降、日本代表の監督は基本的にW杯の4年サイクルで交代してきた。例外は94年のアジア大会で韓国に敗れたロベルト・ファルカン氏、97年のアウェー中央アジア2連戦で更迭された加茂周氏、07年に病に倒れたイヴィチャ・オシム氏、15年に契約解除されたハビエル・アギーレ氏、そして18年に解任されたヴァイッド・ハリルホジッチ氏の5人しかいない。 そうした過去30年の歴史のなかで、初めて『続投』が決定的となったのが森保監督である。目標としていた「ベスト8」には届かなかったものの、大国ドイツとスペインに逆転勝ちを収めたことが高く評価されたことは言うまでもない。 そこで過去の歴代監督の任期を振り返ると、上には上がいるもので、長沼健氏(元JFA会長)は1962年から69年までの7年間と、さらに72年から76年までの4年間、トータル11年間も日本代表の監督を務めた。「時代が違う」と言ってしまえばそれまでだが、おそらく2度と破られることのない記録と言っていいだろう。 長沼氏が“長期政権"を担うことになったのには理由がある。64年に東京五輪があったからだ。このため62年に33歳の若さで監督に抜擢された。そして東京五輪ではグループリーグでアルゼンチンを倒して決勝トーナメントに進出。準々決勝で銀メダルに輝いたチェコスロバキアに0-4で敗れたが、ベスト8進出で日本に“第1次サッカーブーム"を巻き起こした。 さらに4年後のメキシコ五輪では、アジア勢初となる銅メダル獲得の快挙を達成。その再現を半世紀後の21年東京五輪で森保監督は期待されたが、残念ながらメダルにはあと一歩届かなかった。 長沼氏は69年のメキシコW杯アジア1次予選で、韓国とオーストラリアの後塵を拝したことで監督の座をコーチだった岡野俊一郎氏(元JFA会長)に譲る。しかし岡野氏が71年のミュンヘン五輪予選で韓国とマレーシアに負けたことで、日本サッカーの復権は再び長沼氏に託されることになった。 ところが73年の西ドイツW杯アジア予選はイスラエル(当時はアジアに所属し、中東勢が対戦を拒否したため予選は東アジアに組み込まれた)とマレーシアに敗れ、76年のモントリオール五輪アジア予選も韓国とイスラエルに敗れて監督から退くことになった。 当時の日本サッカーは、「W杯予選は負けても当たり前」であり、五輪予選で敗退するたびに監督は交代していた。Jリーグ開幕以前では、92年のバルセロナ五輪アジア最終予選で敗れた横山謙三総監督、88年ソウル五輪アジア最終予選で中国に逆転負けを喫した石井義信氏(故人)、80年モスクワ五輪アジア予選で韓国とマレーシアに及ばなかった下村幸男氏らである。 しかし96年のアトランタ五輪に28年ぶりに出場して以来、五輪出場は7大会連続して出場。その間には12年ロンドン五輪と21年東京五輪ではメダルまであと一歩に迫った。もう五輪は出場するのは当たり前で、次の24年パリ五輪は「メダル獲得」がノルマになるだろう。 同じようにW杯も98年以降7大会連続して出場中で、さらに2026年のアメリカ・カナダ・メキシコ大会は出場国が48に増えるため、出場権を失うことはまず考えられない。森保監督にとっては「ベスト8」への再チャレンジになるが、その前に横内昭展ヘッドコーチは磐田の監督に、上野優作コーチはFC岐阜の監督に転身するなどスタッフの陣容は一新せざるを得ない。 果たして新たなスタッフの顔ぶれはどうなるのか。そこに外国人コーチが入るのかどうかなどは楽しみなところ。 そして森保監督は、23年こそ秋まで親善試合しかない“静かな"一年になるものの、21年東京五輪は「金メダル」を目標に掲げながらも4位に終わり、カタールW杯も「ベスト8」が目標だったがラウンド16で敗退した。このため、まだ先の話ではあるが、24年のアジアカップでは『優勝』がW杯まで続投するためのノルマにすべきではないだろうか。 2022.12.26 22:00 Mon3
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ガーナ戦で先制点を挙げた南野拓実。練習からギラつく20歳前後の若手たちに囲まれながら、30歳になった自分の立ち位置を静かに受け止めている。日本代表に呼ばれて10年。かつて自分も“勢いだけの若者”だった時代がある。その記憶を抱えながら、今はキャプテンマークを巻き、彼らの背中を押す側へ――。森保ジャパンが世代交代を迎える渦中で、南野は何を思い、どう若手たちと向き合っているのか。 ■キャプテンマークは「特別じゃない」 「20歳ぐらいの選手たちは、練習からギラギラしてましたね。ああいう勢いはすごくいい刺激になります」 南野の表情には、どこか懐かしさがあった。自分が代表に初めて呼ばれた2015年――。あの頃も、先輩たちの背中を追いかけ、少しでも近づこうともがいていた。南野が見つめる若手たちの姿は、10年前の自分と重なるのだろう。 ガーナ戦では歴史的勝利を収めたブラジル戦に続き、キャプテンの重責を担った。左腕の腕章は森保監督からの信頼を証といっていい。 「森保さんは僕がキャップ数も多いし、日本代表で長くプレーしているので任せてくれたんだと思います。キャプテンマークを巻けるのは誇らしいし光栄です。でも、特別な意識はありません。ただのゲームキャプテンなので、必要以上に気負ってはいないです」 森保一監督が掲げる「底上げ」の波は、北中米W杯を控える中、一気に押し寄せている。ブラジル戦、そしてガーナ戦。南野の周りには、知らないうちに“新しい日本代表の景色”が広がっている。経験値のある選手として、その光景はどう映っているのか。 「彼らの勢いをしっかり受け取って、僕らもそのまま合わせていければいいと思います」 かつては“追う側”だった人間が、いつの間にか“支える側”になっている。その移り変わりを、南野は抵抗なく受け止めているようだ。 ■10年前の“自分”と出会うように 若手の台頭を不安ではなく、むしろ歓迎できるのは、勝った経験だけでなく、苦しんだ経験も積み重ねてきたからだ。 カタールW杯では日本の10番を背負った。初のベスト8をかけた決勝トーナメント1回戦のクロアチア戦では1人目のキッカーに名乗りを挙げたが止められ、失意を味わった。 第2次・森保ジャパンの発足後は、メンバーから漏れることが続く。およそ1年間、南野拓実の名前は日本代表から消えた。 「南野は終わった」という声も聞こえる中、モナコへの移籍をきっかけに復調を遂げた。前線からの献身的な守備と、ゴール前での決定力で、2シャドーの一角を勝ち取っている。そして南野は、ゴール数よりもはるかに大切なことを静かに語った。 「ゴール数よりも、重要な試合のゴールが大事。ワールドカップの一発かもしれない。そのために、良いコンディションを維持することが重要です」 ミックスゾーンを去っていく背中を見ながら思った。彼は今、森保ジャパンの“架け橋”のような存在なのだと。若手が未来へ突き進むスピードを受け止め、経験でチームの重心を整え、それでいて決定的な場面では自ら勝負を決めていく。 10年前の自分と、目の前の若手たち。その両方を知るのは、南野拓実だけだ。日本代表が次のフェーズへ進む今、30歳のアタッカーは、静かに、しかし確実にチームの中心へ歩を進めている。 取材・文=北健一郎 2025.11.18 16:45 Tue4
6番+8番+10番。鎌田大地がボリビア戦で示した“シン・ボランチ像”
ゴール前で輝く決定力と、中盤を支える戦術眼。その両方を併せ持つ“新しいボランチ像”を、日本代表のMF鎌田大地がボリビア代表戦で体現した。開始4分、MF久保建英のクロスを胸で収め、左足で冷静に流し込んだ先制点。ボランチでありながらペナルティエリアへ侵入し、フィニッシュまで持ち込む――。クリスタルパレスと日本代表では求められる役割は異なる。それでも鎌田は、6番・8番・10番をひとつに束ねた“自分だけのポジション”を研ぎ澄ませている。 ■“6番”の位置から、ペナルティエリアへ ボリビア戦の開始4分。試合は、MF鎌田大地が切り拓いた。 MF久保建英が右サイドで深くえぐる。相手がゴール前へ引き寄せられる一瞬の隙を、鎌田は逃さなかった。ペナルティーエリアにスッと入っていき、浮き球のクロスを胸でコントロールすると、左足で逆サイドネットへ流し込んだ。 「チームとして、あそこが空くっていうのは分析でもやっていた。ボランチですけど、ああいうところに何回か入っていくことが大事だと思っていたので。ボールが来てシュートチャンスができたのは良かったかなと」 クリスタルパレスではリスク管理が徹底され、センターラインより前に踏み込む回数は限られる。しかし日本代表では、森保一監督の戦術が鎌田に自由度を与えている。 「自分がある程度自由に前に行けるような、6番だけじゃなくて8番や10番くらいの役割までできる方が、やっていて躍動感はある。そっちの方が自分には合っていると思いますし」 相手の守備ラインが一歩下がった瞬間、鎌田は3列目の位置からスッと前へ出ていき、いつの間にか最前線に顔を出す。ボランチでありながらフィニッシュまで関与できる稀有な才能が、日本の攻撃に奥行きをもたらす。先制点は、その象徴だった。 ■自由と責任の狭間で描く“シン・ボランチ像” 鎌田のプレーは、単なる攻撃的ボランチではない。試合の状況に応じて6番(ボランチ)にも8番(インサイドハーフ)にも10番(トップ下)にもなる。 「パレスはボランチがリスク管理で、余ってる選手を捕まえたり、後ろ5枚で守る形。こっち(日本代表)はもっと攻撃に関われる。やり方の違いが大きいと思います」 その言葉通り、ボリビア戦では攻撃でも守備でも表情を変えた。後半、相手のカウンターを鎌田がつぶした場面は象徴的だった。厳しいプレスを受け続けた前半の疲労が残る中でも、最後のところで身体を投げ出し、相手の芽を摘んだ。 ガーナ戦をコンディション不良で欠場したものの、ボリビア戦で本来の実力を示した。 「しっかりプレーできるレベルには戻ってきているので、そこは問題なかったと思います」 守備強度とゲームメイク、そして得点力。これらを同時に要求されるのは酷にも思えるが、鎌田はその領域に自ら踏み込んでいる。 この日のミックスゾーンでは、鎌田らしい“脱力感”ある一幕も。 「ゴールの後に森保さんのところに行こうとチームで話していたそうですが?」という質問を受けた時のこと。 それまで淡々と話していた鎌田の表情がゆるむ。 「僕は聞いてなかったんで。集中していたので、全然頭になくて。(森保監督に)申し訳ないというか……(笑)」 周囲に笑いが起きる。プレッシャーの中にあっても自然体でいられること。それもまた、鎌田の強みだろう。 チーム内のポジション争いは激しい。MF佐野海舟をはじめ、鎌田の主戦場にもライバルが台頭し、代表チームは新しいフェーズへと進んでいる。ただ、鎌田には慢心も不安もない。 「日本人選手は頭が良くて、どのポジションでもある程度できる選手が育っている。監督にとっても理想的じゃないですかね」 6番+8番+10番。ボランチの概念を超えた鎌田が、森保ジャパンをさらなる高みへ導いていく。 取材・文=北健一郎 2025.11.19 00:45 Wed5
日本代表スタメン発表! ターンオーバーで中国戦は5名変更、伊東純也&中村敬斗のランスコンビや久保建英がスタメン【2026W杯アジア最終予選】
19日、2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選第6節の中国代表戦に臨む日本代表のスターティングメンバーが発表された。 ここまで5試合を戦い、4勝1分けの無敗で首位を独走している日本。15日にはアウェイでインドネシア代表と対戦し、0-4で勝利を収めていた。 中国戦に勝利すれば、3月にもW杯出場が決まる可能性がある日本。ホームでは7-0と圧勝を収めていた中、森保一監督はインドネシア戦から5名を変更しターンオーバーを敢行してきた。 中国戦で新たに起用された5名は、DF瀬古歩夢(グラスホッパー)、MF田中碧(リーズ・ユナイテッド)、MF伊東純也(スタッド・ランス)、MF久保建英(レアル・ソシエダ)、MF中村敬斗(スタッド・ランス)となった。 また、ベンチ外はインドネシア戦と同様。DF長友佑都(FC東京)、DF関根大輝(柏レイソル)、DF高井幸大(川崎フロンターレ)、MF藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン)となった。 中国戦はこの後21時キックオフ。『DAZN』で独占配信される。 <h3>◆日本代表スタメン</h3> GK 鈴木彩艶(パルマ) DF 板倉滉(ボルシアMG) 町田浩樹(ユニオン・サン=ジロワーズ) 瀬古歩夢(グラスホッパー) MF 遠藤航(リバプール) 南野拓実(モナコ) 中村敬斗(スタッド・ランス) 伊東純也(スタッド・ランス) 田中碧(リーズ・ユナイテッド) 久保建英(レアル・ソシエダ) FW 小川航基(NECナイメヘン) <h3>◆ベンチ入りメンバー</h3> GK 大迫敬介(サンフレッチェ広島) 谷晃生(FC町田ゼルビア) DF 菅原由勢(サウサンプトン) 橋岡大樹(ルートン・タウン) MF 守田英正(スポルティングCP) 三笘薫(ブライトン&ホーヴ・アルビオン) 堂安律(フライブルク) 前田大然(セルティック) 鎌田大地(クリスタル・パレス) 旗手怜央(セルティック) FW 古橋亨梧(セルティック) 大橋祐紀(ブラックバーン) <h3>◆メンバー外</h3> 長友佑都(FC東京) 関根大輝(柏レイソル) 高井幸大(川崎フロンターレ) 藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン) 2024.11.19 19:49 Tue日本代表の人気記事ランキング
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「チームに求められていることしか考えていない」。後藤啓介、20歳が見せた献身と野心
11月14日、ガーナ戦で日本代表デビューを果たしたFW後藤啓介。ジュビロ磐田でクラブ史上最年少得点者となり、2024年にベルギーへ渡った20歳は、限られた時間の中でチームのために走り続けた。ストライカーとして結果を追いながらも、まずは求められた役割を遂行する。そこには、後藤が抱く「献身」と「野心」が確かにあった。 ■「まず守備から」。後藤が体現したチームファースト 森保監督から告げられたのは、シンプルなひと言だった。 「まず守備から。ゼロで抑えるためにハードワークしてほしい」 26番を背負った191cmのストライカーがピッチに入ったのは後半31分。ファーストプレーで相手DFを背負った状態でボールを収めると、その後は相手のパス回しを全力で追いかけた。 後半40分、ゴール前でMF佐野海舟からの縦パスを受けると、走り込んできたMF佐藤龍之介へワンタッチで落とす。 「龍が勢いを持って入ってきたのが見えてたので。自分はゴールに背を向けていたし、前向きの選手をシンプルに使いました」 その1分後には右サイドからのクロスに飛び込んだ。惜しくも相手のクリアに阻まれたが、動き出しの質には手応えがあった。 「昨日の練習で(菅原)由勢くんがいいクロスを上げてたので、来るなと思ってました。ああいう形は続けていきたい」 ストライカーである以上、“結果”は常に求められる。だが後藤は、チームの秩序の中で自分を活かす選択をした。 「結果を出すこと、チームに求められること、どんなバランスでプレーしていましたか?」と聞くと、後藤は迷うことなく答えた。 「チームに求められていることしか考えていないです。それをやった結果、ゴールはついてくると思っています」 限られた時間の中で、ストライカーとしての嗅覚とチームプレーのバランスを見せた。 ■黒髪に戻して、もう一度スタートラインへ 日本代表に合流した時は金髪だった後藤だが、豊田スタジアムのピッチには黒髪で現れた。シント=トロイデンVVのチームメート・谷口彰悟と一緒に美容室に行って黒に染め直したと明かした。 「初代表ですし、もう一回スタートだなと思って。プロになった時の気持ちを思い出したかった」 デビューの夜に合わせて、自分自身をリセットする。そこには、本気でW杯に出場するという決意が滲んでいた。 森保ジャパンでは、センターフォワード争いが熾烈だ。FW上田綺世、FW小川航基、FW町野修斗らがしのぎを削る中で、後藤はサプライズ選出を狙う。 「次は国立。今日よりお客さんも入ると思うので、その中で結果を残したい。森保(一)さんに“使いたい”と思わせるプレーをしたい」 チームファーストでありながら、ストライカーとしての本能を隠さない。 そして、同世代の仲間たち——佐藤、MF北野颯太と共にピッチに立った時間も、新しい刺激を与えた。 「急にすごく若くなったので、アンダー世代(の代表)なのかと思ったぐらいですけど、自分たちが引っ張っていかないといけない」 20歳のFWは言葉を選びながら、確かな責任感を見せた。ガーナ戦での数分間は、単なる“デビュー”ではない。チームの中でエゴを磨き、大舞台へ感覚を研ぎ澄ませる、若きストライカーの“始まり”だった。 取材・文=北健一郎 2025.11.15 12:30 Sat2
6番+8番+10番。鎌田大地がボリビア戦で示した“シン・ボランチ像”
ゴール前で輝く決定力と、中盤を支える戦術眼。その両方を併せ持つ“新しいボランチ像”を、日本代表のMF鎌田大地がボリビア代表戦で体現した。開始4分、MF久保建英のクロスを胸で収め、左足で冷静に流し込んだ先制点。ボランチでありながらペナルティエリアへ侵入し、フィニッシュまで持ち込む――。クリスタルパレスと日本代表では求められる役割は異なる。それでも鎌田は、6番・8番・10番をひとつに束ねた“自分だけのポジション”を研ぎ澄ませている。 ■“6番”の位置から、ペナルティエリアへ ボリビア戦の開始4分。試合は、MF鎌田大地が切り拓いた。 MF久保建英が右サイドで深くえぐる。相手がゴール前へ引き寄せられる一瞬の隙を、鎌田は逃さなかった。ペナルティーエリアにスッと入っていき、浮き球のクロスを胸でコントロールすると、左足で逆サイドネットへ流し込んだ。 「チームとして、あそこが空くっていうのは分析でもやっていた。ボランチですけど、ああいうところに何回か入っていくことが大事だと思っていたので。ボールが来てシュートチャンスができたのは良かったかなと」 クリスタルパレスではリスク管理が徹底され、センターラインより前に踏み込む回数は限られる。しかし日本代表では、森保一監督の戦術が鎌田に自由度を与えている。 「自分がある程度自由に前に行けるような、6番だけじゃなくて8番や10番くらいの役割までできる方が、やっていて躍動感はある。そっちの方が自分には合っていると思いますし」 相手の守備ラインが一歩下がった瞬間、鎌田は3列目の位置からスッと前へ出ていき、いつの間にか最前線に顔を出す。ボランチでありながらフィニッシュまで関与できる稀有な才能が、日本の攻撃に奥行きをもたらす。先制点は、その象徴だった。 ■自由と責任の狭間で描く“シン・ボランチ像” 鎌田のプレーは、単なる攻撃的ボランチではない。試合の状況に応じて6番(ボランチ)にも8番(インサイドハーフ)にも10番(トップ下)にもなる。 「パレスはボランチがリスク管理で、余ってる選手を捕まえたり、後ろ5枚で守る形。こっち(日本代表)はもっと攻撃に関われる。やり方の違いが大きいと思います」 その言葉通り、ボリビア戦では攻撃でも守備でも表情を変えた。後半、相手のカウンターを鎌田がつぶした場面は象徴的だった。厳しいプレスを受け続けた前半の疲労が残る中でも、最後のところで身体を投げ出し、相手の芽を摘んだ。 ガーナ戦をコンディション不良で欠場したものの、ボリビア戦で本来の実力を示した。 「しっかりプレーできるレベルには戻ってきているので、そこは問題なかったと思います」 守備強度とゲームメイク、そして得点力。これらを同時に要求されるのは酷にも思えるが、鎌田はその領域に自ら踏み込んでいる。 この日のミックスゾーンでは、鎌田らしい“脱力感”ある一幕も。 「ゴールの後に森保さんのところに行こうとチームで話していたそうですが?」という質問を受けた時のこと。 それまで淡々と話していた鎌田の表情がゆるむ。 「僕は聞いてなかったんで。集中していたので、全然頭になくて。(森保監督に)申し訳ないというか……(笑)」 周囲に笑いが起きる。プレッシャーの中にあっても自然体でいられること。それもまた、鎌田の強みだろう。 チーム内のポジション争いは激しい。MF佐野海舟をはじめ、鎌田の主戦場にもライバルが台頭し、代表チームは新しいフェーズへと進んでいる。ただ、鎌田には慢心も不安もない。 「日本人選手は頭が良くて、どのポジションでもある程度できる選手が育っている。監督にとっても理想的じゃないですかね」 6番+8番+10番。ボランチの概念を超えた鎌田が、森保ジャパンをさらなる高みへ導いていく。 取材・文=北健一郎 2025.11.19 00:45 Wed3
完封勝利の裏に「もっとやれた」。早川友基、“第3GK”からW杯へのロードマップ
ガーナ戦のピッチに立った鹿島アントラーズの守護神・早川友基。正GK鈴木彩艶の負傷、第2GK大迫敬介の不在の中で巡ってきたチャンスを、無失点という最高の形で終えた。だが、試合後のミックスゾーンに現れた早川の表情に、満足の色はなかった。代表2戦目にして、“守るだけ”のGKでは終わらない次のステージを見据えていた。 ■ピッチで感じた想像以上の「圧」 先発出場を告げられたのは試合の2日前だったという。 「今まで培ってきたものをピッチで出すだけだと思っていました」 鹿島で見せる特徴は、セービングだけではない。足元の技術と配球判断、そして試合を読む力だ。しかし、この日感じたのは、想像以上の「圧」だった。 「トラップしてからの駆け引きとか、出しどころを消される感覚。持ち運ぼうとした瞬間にプレッシャーがかかる。そのスピード感と背後を狙う走力はすごかった」 それでも、背後の対応では冷静だった。 「足の速い選手が背後を狙ってくると聞いていたので、試合を通じてカバーを意識できました」 早川は身体能力で上回る相手にも、読みとポジショニングで対抗した。後半も集中を切らさず、チームを完封へ導いた。 ■“第3GK”が描く、W杯への道筋 試合後のコメントには、自己評価の厳しさがにじむ。 「欲を言えば、もっとやれた。パスの質、長短の判断、その精度はまだ上げられる」 無失点でも課題を口にするのは、すでに次を見ているからだ。 「みんなとも話したんですけど、代表の試合にでてこそ得られる経験値があるなと。僕自身も今までにない緊張感はありました」 そう語る早川の目には、明確なターゲットがある。 「目指しているのはワールドカップ。そこがぶれることはないです」 ミックスゾーンでは何度も“成長”という言葉を繰り返した。 「こういう経験ができたのは素晴らしいと思いますし、しっかり振り返って、また次の試合につなげていきたい」 無失点という結果の裏にあるのは、静かな決意だ。“第3GK”から、“守護神”へ。そのロードマップは、もう動き始めている。 取材・文=北健一郎 2025.11.18 15:30 Tue4
「奪って、つないで、また走る」。佐野海舟がガーナ戦で見せた超回収力と新中盤像
ガーナ代表との一戦で、ピッチを支配したのはMF佐野海舟だった。MF南野拓実の先制ゴールを導いたボール奪取とラストパス。MF久保建英が真っ先に駆け寄ったのは、決めた南野ではなく、その起点となった背番号21のもとだった。日本代表復帰から約半年。彼はいま、ボランチ争いで一歩抜け出そうとしている。 ■奪って、前へ。南野の先制点を生んだ“縦への意識” 前半26分。相手陣内の高い位置で、MF佐野海舟は迷いなく飛び込んだ。 相手のパスを読み切り、身体を滑り込ませてボールを奪うと、そのまま前方へ持ち上がる。ペナルティーエリア手前の右から放った横パスはMF南野拓実の足元へ。冷静にゴール右隅へ流し込んだ南野の背後で、MF久保建英が真っ先に走り寄った先は──佐野だった。 「ボールを奪ってから、前にスペースがあったので、うまく運べました。拓実くんがいい動き出しをしてくれたので、迷わずパスを出しました」 その言葉にあるのは、攻撃意識の変化だ。ブラジル代表戦、パラグアイ代表戦ではボールを奪っても後方に下げる場面が多かった。だが、この試合は、縦へのスイッチを入れる瞬間を逃さなかった。 「前半は簡単なミスもあったけど、そこを修正する方が先」と冷静に振り返る姿勢に、地に足の着いた成長がにじむ。 この日、森保ジャパンはマンツーマンを軸にした守備戦術を採用。誰が誰を見るのか、責任を明確にするスタイルだ。佐野のタスクは、ガーナの司令塔MFクワシ・シボを封じること。「奪って、前へ」のリズムを作るには、まず相手の呼吸を止める必要があった。 「ファウルに見えないように、ならないように、もう一歩早く行くことを意識していました」 その言葉どおり、予測とタイミングで勝負する。相手が前を向く瞬間にはすでに足を差し込み、ボールを刈り取る。久保や南野の輝きを支えていたのは、ボールハンター・佐野だった。 ■日本代表での「地位が上がったとは思っていない」 2024年7月、佐野は一度、代表から姿を消した。世間の視線は厳しかった。だが約1年後、森保ジャパンに戻ってきたとき、佐野のプレーには凄みが増していた。ブラジル戦で歴史的な勝利に貢献し、アフリカの強豪ガーナ戦ではMOMとも呼べる働きを見せた。 W杯を半年後に控えて、日本代表のボランチは再編期を迎えている。 第二次森保ジャパンでは、キャプテンのMF遠藤航とMF守田英正のダブルボランチが“不動”だった。しかし、遠藤はリバプールでクローザーとしての起用が増え、守田は怪我の影響で出場機会が限られている。 そんな中、クリスタル・パレスを牽引するMF鎌田大地の相棒候補として、佐野海舟の名前が浮上した。運動量、対人の強さ、そして前への意識。佐野の存在は、遠藤・守田の時代から次のフェーズへ移るチームの象徴でもある。 ただし、チーム内での立ち位置について問われると、首を横に振った。 「地位が上がったとも思っていません。自分のやるべきことを続けていくしかない。毎回の活動で課題が出て、それをチームに帰って修正して、また次へ。うまくいかないときにどう立て直せるかが大事だと思います」 ボランチの“一番手”を争う位置に立った今も、慢心とは無縁なのだ。 ボールを回収する力はもちろん、失われた信頼を一つずつ取り戻していく姿勢が、チームにエネルギーを与えている。奪って、つないで、また走る。その地道な積み重ねの先に、森保ジャパンの新しい中盤像が見えてくる。 取材・文=北健一郎 2025.11.15 13:30 Sat5

