元会長にキスされたスペイン女子代表FWエルモソ、裁判所での陳述で悲痛な訴え「選手としても人間としても尊敬されているとは感じなかった」

2023.10.11 11:05 Wed
Getty Images
オーストラリア&ニュージーランド女子ワールドカップ(W杯)で見事に優勝するも、メダル授与式でのキス事件が大きな騒動となったスペイン女子代表FWジェニファー・エルモソが、当時の出来事について語っている。事件は今夏行われた女子W杯決勝後に発生。エルモソに対し、当時のスペインサッカー連盟(RFEF)の会長であるルイス・ルビアレス氏が公然と唇にキスをした。
祝福の一環かとも思われた中、このキスは望ましいものではなかったとエルモソが主張したことで世界中で大きな騒動に。ルビアレス元会長は一旦は謝罪をするも、合意の上だったと主張を繰り返し、自身に非がないことを主張したが、最終的には辞任に追い込まれた。

ルビアレス元会長と関係の深いRFEFの役員の退陣を求めてスペイン女子代表は代表活動をボイコットすることに。結果として、関係する人の総退陣が約束された中、エルモソはルビアレス元会長を正式に訴えることを決断していた。

スペイン『テレシンコ』の番組「コディゴ10」は裁判所でエルモソが検事に供述した内容を放送。エルモソは当時の出来事と心境を語った。
「メダル授与式に出席したとき、彼は私にメダルをくれました。女王に挨拶し、娘を抱きしめる。そして次に来たのはルビアレスでした」

「私は彼を抱きしめる。そして私が彼を抱きしめたときに私が最初に言うのは『私たちが何をしたのか』です。そして彼は私に飛びつきます。そして私はしっかりと立っています」

「彼が降りてきたとき、私が覚えている唯一のことは、彼が私に『我々は君のおかげで、このワールドカップに勝った』と言ったことです。次に覚えているのは、彼の手が私の頭に置かれ、口にキスされたことです」

当時の状況を口にしたエルモソ。被害者でありながら、この騒動では私生活にも深刻な影響が出たと語っている。

「私は家から出られていないのに、なぜ抑圧されなければならないのですか。私にはこのすべてを経験する必要性がないと思います。彼らは私のイメージを傷つけたのに、誰も私を守ってくれないと感じました」

騒動が大きくなり、RFEFの関係者は誰も守ろうとしてくれなかったと訴えるエルモソ。ルビアレス元会長からのキスは想像もしていなかったと語った。

「反応する力?いや、予想もしませんでした。ワールドカップ決勝のあの舞台で、どうしてそれが期待されたでしょうか...私はその瞬間を探そうともしませんでしたし、その行為がどのように起こるかについては何も知りませんでした」

「その瞬間、私はそのお祝いに衝撃を受けました。私たちが命をかけて達成した歴史的事実。まさかそんなことが起こるとは予想できませんでした。私が彼を抱きしめたアドレナリンのせいで、彼は信頼できる人であり、それがどれほど自然であったとしても、誰もそれを期待しませんでした」

「そこで反応する時間がありませんでした。それは数秒で、すぐに私は仲間とともにステージから降りました。私がアレクシアとイレーネに言った最初のことは、『ねえ、ルビアレスが今私の口にキスしてきたよ』でした。アレクシアは『何を言っているの?』と言ってきました」

「すぐに楽しめなくなりました。私も他の誰も、このような祝福の行為を予想していなかったので、私は驚きました。私は彼女らと一緒に座り、トロフィーの授与式が終わると、この状況から切り離してその瞬間を楽しもうと努めます」

「選手としても人間としても尊敬されているとは感じなかったです」

突然の出来事に困惑し、優勝の喜びが吹き飛んだというエルモソ。ロッカールームで実際の画像をチームメイトに見せられた時、唖然としたという。

「その瞬間、私はなんとか耐えて、チームメイトと楽しみ続けようとしました。その瞬間を楽しめなかったことを後悔したくなかった。何が起こったのか明確でした」

「ロッカールームで見せてもらうまで、キスの画像を見たことがなかった。画像を見ると...「これは現実だったのか?」という感じです」

その他にも、RFEFの対応への不満、騒動による家族への影響、不誠実な対応を受け続けたことなどを陳述。ルビアレス氏は一貫して合意を主張しているが、どのような判決が下るのか。性的暴行罪に当たる可能性もあるだけに、注目が集まる。


1 2
関連ニュース

デル・ボスケ氏、汚職問題に揺れるRFEFを監視する特別委員会の委員長に任命

スペイン政府は、スペインサッカー連盟(RFEF)を監督する新たな委員会の委員長にビセンテ・デル・ボスケ氏(73)を任命したことを発表した。スペイン『マルカ』が伝えている。 ポルトガルとモロッコと共に2030年ワールドカップ(W杯)を共催するスペインは、先日に運営団体が新たな選挙を実施するまでRFEFを監督する特別委員会の設置を発表していた。 この動きは、昨年のFIFA女子W杯オーストラリア&ニュージーランド2023優勝後のピッチ上の表彰式で、スペイン女子代表FWジェニー・エルモソの口にキスしたルイス・ルビアレス前会長の解任や、ここ数カ月に及ぶ汚職スキャンダルの影響によるものだった。 今回、その特別委員会の委員長に任命されたデル・ボスケ氏は、現役時代にレアル・マドリー、スペイン代表で活躍。また、指導者としてはその古巣マドリーで2度のラ・リーガ、チャンピオンズリーグ制覇に導き、スペイン代表では2010年南アフリカW杯、ユーロ2012制覇に導いた名将として知られている。 2024.05.01 07:10 Wed

汚職事件の捜査対象であるロシャ氏がスペインサッカー連盟の新会長に就任、前会長との関与が疑われる

スペインサッカー連盟(RFEF)は26日、新会長にペドロ・ロシャ氏(69)が就任したことを発表した。 RFEFは、前任のルイス・ルビアレス元会長が、2023年のオーストラリア&ニュージーランド女子ワールドカップ(W杯)にて、悲願の初優勝後のセレモニーでジェニファー・エルモソにキス。しかし、これが合意の下ではないとして騒動に発展する。 当初ルビアレス氏は合意の下だと主張するも、エルモソの訴え、そして映像でも強引なキスであるとして世界的に批判を受け、会長を辞任した。 その後、不在となっていた会長に就任するロシャ氏は、RFEF管理委員会の会長を務めていたが、こちらも曰く付き。ルビアレス前会長とともに汚職事件の一環で捜査対象となっているが、それでも多くの支持を得て選挙に勝利し、会長に就任することが決定した。 また、この件を受けてスペイン政府はRFEFを監視するために特別委員会を設置。それにも関わらず、RFEFは発表していた。 スペインの国家スポーツ評議会(CSD)は、ロシャ氏の停職処分を検討しているものの、来週まで決定を延期。また、スポーツ仲裁裁判所(TAD)が、今後数週間で裁定を下すことになるという。 2024.04.27 15:45 Sat

なでしこジャパン未招集でも大記録!エイバル一筋MF米井朋香がクラブ通算100試合出場達成

エイバルの女子チームに所属するMF米井朋香(24)が、クラブでの通算100試合出場を達成した。 米井はJFAアカデミー福島の7期生で、同期にはマイナビ仙台レディースのMF高平美憂らがいる。 2018年の卒業後にスペインへと渡った米井は、当初エイバルのBチーム中心でスタートしたが、早期にファーストチームデビューし、出場機会も増加。1部昇格年となった2020-21シーズンは18試合に出場した。 ただ、翌シーズンは開幕前にヒザの前十字じん帯損傷という大ケガに見舞われ、チームも2部へ降格。それでも、復帰を果たしてチームを再び1部へ押し上げ、今季もリーガF(スペイン女子1部)でスタメン10試合を含む17試合に出場している。 13日の第23節、セビージャ戦で77分に途中出場を果たし、エイバル一筋7シーズン目にして通算100試合出場という偉大な記録を達成。試合も3-0で勝利し、節目に花を添えている。 <span class="paragraph-title">【写真】エイバルが米井朋香の100試合出場を祝福!</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet"><p lang="eu" dir="ltr"> partida bete ditu Honoka Yoneik talde armaginean!<br><br><a href="https://twitter.com/hashtag/EibarFem?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#EibarFem</a> | <a href="https://twitter.com/hashtag/BetiArmaginak?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#BetiArmaginak</a> <a href="https://t.co/FWf8wv24Ra">pic.twitter.com/FWf8wv24Ra</a></p>&mdash; SD Eibar (@SDEibar) <a href="https://twitter.com/SDEibar/status/1779150236285350241?ref_src=twsrc%5Etfw">April 13, 2024</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2024.04.15 22:05 Mon

H・ルナール監督退場もW・ルナール主将の決勝点でフランスがスウェーデンに辛勝!スペインやドイツも連勝発進【女子ユーロ予選】

女子欧州選手権(ユーロ)2025予選のグループステージ第2節が9日に各地で行われた。 グループA3、アウェイでのスウェーデン女子代表戦に臨んだフランス女子代表は、エルヴェ・ルナール監督が退場処分を受けたが、辛くも勝利を収めた。 フランスは序盤から好機を量産するもゴールが割れず。逆に前半終了間際にはコソヴァレ・アスラニにあわやの場面を作られたが、セルマ・バシャのゴールカバーで事なきを得た。 両者無得点で迎えた58分には、ウジェニー・ル・ソマーが相手との激しい接触でピッチに倒れ込むと、このプレーと判定に異を唱えたフランス指揮官にはレッドカードが提示されることに。ルソメも62分にマリー・アントワネット・カトトとの交代となる。 スコアが動いたのは80分、フランスはCKの二次攻撃からサキナ・カルシャウイがクロスを送ると、ファーのカトトが頭で落とし、キャプテンのワンディ・ルナールが力強く蹴り込んだ。 試合終了間際にはバシャも2枚目のイエローカードで退場となったが、そのまま逃げ切り勝ち。2連勝を飾っている。 同じくグループA3、初戦はスウェーデンと引き分けたイングランド女子代表は、アイルランド女子代表との敵地戦で2-0と勝利している。 グループA2では初戦大勝のスペイン女子代表がチェコ女子代表を逆転で下して2連勝。同じくベルギー女子代表に勝利したデンマーク女子代表も連勝をスタートを切った。 グループA1ではイタリア女子代表がフィンランド女子代表に敗れる波乱。そのイタリアに初戦で敗れたオランダ女子代表は、開始6分に挙げたリネト・ベーレンスタインのゴールを守り切り、初戦でフィンランドに大勝したノルウェーを下すなど、早くも混戦模様を呈している。 その他の結果は以下の通り。 ▼女子ユーロ2025予選GS第2節 ◆リーグA ▽グループA1 フィンランド 2-1 イタリア オランダ 1-0 ノルウェー ▽グループA2 デンマーク 4-2 ベルギー スペイン 3-1 チェコ ▽グループA3 スウェーデン 0-1 フランス アイルランド 0-2 イングランド ▽グループA4 ポーランド 1-3 オーストリア ドイツ 3-1 アイスランド ◆リーグB ▽グループB1 アゼルバイジャン 0-4 スイス トルコ 2-1 ハンガリー ▽グループB2 イスラエル 2-4 セルビア スコットランド 1-0 スロバキア ▽グループB3 ボスニア・ヘルツェゴビナ 1-3 北アイルランド マルタ 0-2 ポルトガル ▽グループB4 コソボ 0-6 ウェールズ クロアチア 1-0 ウクライナ ◆リーグC ▽グループC1 リトアニア 1-0 キプロス ベラルーシ 3-0 ジョージア ▽グループC2 北マケドニア 0-5 スロベニア モルドバ 0-1 ラトビア ▽グループC3 モンテネグロ 5-1 フェロー諸島 ▽アンドラ 0-3 ギリシャ ▽グループC4 ブルガリア 2-3 アルメニア ルーマニア 1-0 カザフスタン ▽グループC5 アルバニア 2-0 エストニア ※奇数のためルクセンブルクは今節試合なし <span class="paragraph-title">【動画】フランスを勝利に導くルナールの決勝点!</span> <span data-other-div="movie"></span> <script>var video_id ="b_aHNVbcAmw";var video_start = 0;</script><div style="text-align:center;"><div id="player"></div></div><script src="https://web.ultra-soccer.jp/js/youtube_autoplay.js"></script> <span class="paragraph-title">【ハイライト動画】パリ五輪ではなでしこと同組、スペインがチェコに逆転勝ち</span> <span data-other-div="movie2"></span> <script>var video_id ="xOt4CwP4FZE";var video_start = 0;</script><div style="text-align:center;"><div id="player"></div></div><script src="https://web.ultra-soccer.jp/js/youtube_autoplay.js"></script> 2024.04.10 18:45 Wed

好調維持するスペインFWパラジュエロ、代表2度目のハットで今季35試合32得点「こんなに取れるとは」

スペイン女子代表FWサルマ・パラジュエロ(バルセロナ)が、大勝したベルギー女子代表戦を振り返った。スペイン『マルカ』が伝えた。 スペインは5日、女子欧州選手権(ユーロ)2025予選グループA2のグループステージ第1節でベルギーとアウェイで対戦し、7-0と圧勝。先発出場したパラジュエロは8分にCKのこぼれ球を蹴り込み、大量点の口火を切ると、30分、47分にもネットを揺らし、代表通算2度目のハットトリックを達成した。 62分でお役御免となった弱冠20歳FWは、「すべてにおいて素晴らしかった」と試合を振り返る。 「このチームは強いハングリー精神を持っています。裏では多くの努力をしていて、対戦相手や試合の瞬間に関わらず、メンタリティは常に同じ。ベルギー戦のチームはすごく良かったと思いますし、とても素晴らしかったです。多くのチャンスを生み出し、すべてにおいて素晴らしい仕事でした」 今季はクラブと代表を合わせ、35試合で32得点をマーク。「こんなにたくさん取れるとは予想していませんでした」と謙遜するが、「野心は持っているので、昨年よりも良い数字を出したいと思っていました。すべてがともてスムーズに進んでおり、非常に満足しています」との想いも明かす。 2022年のU-20女子ワールドカップ(W杯)で大ブレイクしたパラジュエロは、同年11月にスペイン代表デビュー。2023年の女子ワールドカップ(W杯)メンバーにも選出され、優勝したことで、U-17、U-20を含めた女子W杯全カテゴリーを制した史上初の選手となった。 代表での成績は21試合で12ゴール。パリ・オリンピックではなでしこジャパンとも同居するスペインの超新星の勢いは、まだまだ止まりそうにない。 「矢印が上向いていてとてもうれしい。ゴールを決め続けることができて、貢献できてうれしいです。今シーズンはとても楽しんでいます」 <span class="paragraph-title">【動画】パラジュエロのハットトリックを含む7ゴールでスペインがベルギーに圧勝!</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet"><p lang="es" dir="ltr">I España arranca la clasificación para la <a href="https://twitter.com/hashtag/WEURO2025?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#WEURO2025</a> por todo lo alto (0-7)<br><br> Crónica: <a href="https://t.co/u1QGaQs0dx">https://t.co/u1QGaQs0dx</a><br><br><a href="https://twitter.com/hashtag/JugarLucharYGanar?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#JugarLucharYGanar</a> <a href="https://t.co/BJgEuzsuiZ">pic.twitter.com/BJgEuzsuiZ</a></p>&mdash; Selección Española Femenina de Fútbol (@SEFutbolFem) <a href="https://twitter.com/SEFutbolFem/status/1776377659821330875?ref_src=twsrc%5Etfw">April 5, 2024</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2024.04.06 22:10 Sat
NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly