【ELグループステージ総括】強豪クラブに明暗…鎌田&長谷部が唯一のラウンド16進出
2021.12.11 17:00 Sat
2021-22シーズンのヨーロッパリーグ(EL)・グループステージ全日程が9日に終了した。ヨーロッパ・カンファレンスリーグ(ECL)新設に伴い、昨季までの48チーム制から32チーム制にレギュレーション変更が図られた今大会にはナポリやラツィオ、レスター・シティ、リヨン、マルセイユ、レバークーゼンなど5大リーグの実力派クラブ。日本人選手7人が参戦した。
ここでは、注目クラブや日本人選手の所属するチームを中心にグループステージを総括していきたい。
◆レスターやマルセイユらが無念の敗退

例年に比べビッグクラブの参戦が少なかった今グループステージだが、ECL創設によってチーム数が大幅に減ったことで、勝ち点の草刈り場となる小国クラブの参戦が少なくなり、ある意味でコンペティションのレベル自体は上がった印象だ。
そういった中、5大リーグの中堅クラブやCL参戦レベルの強豪チームの間では明暗分かれるグループステージとなった。
実力伯仲の今グループステージでは3チームが全勝突破を決めたチャンピオンズリーグ(CL)とは異なり、全勝突破はおろか無敗で突破を決めたのはリヨンとモナコのフランス勢と、フランクフルトの3チームのみ。
その他の強豪チームではプレミアリーグで堂々たるトップ4争いに絡むウェストハム、レバークーゼン、ガラタサライといった強豪クラブが順当に首位通過を決定している。
その一方で、所属するタレントのレベルを考えれば、優勝候補筆頭と言えるナポリとラツィオのイタリア勢は、それぞれスパルタク・モスクワ、ガラタサライの後塵を拝した。さらに、今大会に無類の強さを見せるスペイン勢のレアル・ソシエダ、ベティスも2位通過で、チャンピオンズリーグ(CL)の3位敗退組と対峙するプレーオフに回ることになった。
また、前述の4クラブ以上に厳しい結果となったのが、優勝候補の一角にも挙がっていたレスター・シティ。ナポリとスパルタク・モスクワ、レギア・ワルシャワと同居したグループCにおいて、12位に低迷するプレミアリーグと同様に苦戦。2位通過を懸けた最終節のナポリ戦を2-3で落とし、無念の3位敗退。同じく低迷したマルセイユやフェネルバフチェらと共にECL決勝トーナメントのプレーオフに回ることになった。
なお、来年2月に開催されるEL決勝トーナメントのプレーオフではグループステージ2位通過8チームと、CL3位敗退組8チームが対戦。その3位敗退組にはバルセロナ、ドルトムント、セビージャ、アタランタ、RBライプツィヒといった強豪が勢揃いしており、決勝トーナメントではよりハイレベルな戦いが期待されるところだ。
◆鎌田&長谷部のフランクフルトが唯一の突破~日本人選手~

また、今シーズンのELグループステージでは7人の日本人選手が参戦。その中でMF鎌田大地、MF長谷部誠を擁するフランクフルトが唯一ラウンド16進出を決めている。
オリンピアコス、フェネルバフチェ、MF三好康児を擁するアントワープと同じグループDに入ったフランクフルトは、3勝3分けの無敗で首位通過を決定。
その中で昨季にアーセナルを破る2ゴール、レッドブル・ザルツブルク相手にハットトリックを達成するなど、今大会に非常に相性が良い鎌田の“EL男”ぶりは今季も健在。全6試合に出場し、オリンピアコスとの連戦から第5節のアントワープ戦まで3試合連続ゴールを記録。チームの突破の立役者となった。
また、長谷部は初戦こそ出場機会はなかったものの、以降の5試合でゲームキャプテンを務めて持ち味である要所を締める守備と的確な配球でチームを牽引。最終節のフェネルバフチェ戦では失点に絡むミスもあったが、3バックの中央で存在感を放ち続けた。
フランクフルトと同居したグループを最下位で終えることになったアントワープの三好は3試合に出場。ただ、コンディションの問題などもあり、2ゴールを挙げて本大会出場に貢献した予選プレーオフのような輝きを見せることはできなかった。
セルティックFW古橋亨梧は初出場となった今大会でもリーグ戦同様に存在感を放った。レバークーゼン、ベティスと同居した厳しいグループGに組み込まれた中、セルティックは両者の後塵を拝す形で3位敗退となったが、古橋は5試合の出場で2ゴール3アシストを記録。フェレンツヴァローシュ相手の連勝などに貢献した。その一方で、レバークーゼン戦で絶好機を逸するなど、更なる決定力向上が求められるところだ。なお、最終節のベティス戦ではハムストリングを負傷しており、しばしの戦線離脱が見込まれる。
セルティックと同様に無念のグループ3位敗退となったPSVのMF堂安律は、4試合に出場し1アシストを記録。開幕前は構想外と見なされていたが、序盤戦で見せた好パフォーマンスによってシュミット監督の信頼を掴み主力に定着。このELでも右サイドを主戦場に安定したパフォーマンスを見せたが、チームはモナコとソシエダという強豪に屈する形となった。
また、ヘンクFW伊東純也とラピド・ウィーンFW北川航也はウェストハム、ディナモ・ザグレブと共にグループHで同居。ヘンクの絶対的な主力である伊東は全6試合に出場し、初戦のラピド・ウィーン戦、第5節のウェストハム戦でアシストを記録。チームは最下位で敗退したものの、個人としてはまずまずの奮闘を見せた。
一方、今季もチーム内でのポジション争いにおいて苦戦が続く北川は第2節から5試合連続で途中出場。大きなインパクトは残せなかったが、チームは3位フィニッシュでECL決勝トーナメントプレーオフ行きを決めている。
▽ELグループステージ最終順位
◆グループA
1. リヨン(勝ち点16)
――EL決勝T進出――
2. レンジャーズ(勝ち点8)
―EL決勝T・PO進出―
3. スパルタ・プラハ(勝ち点7)
―ECL決勝T・PO進出―
4. ブロンビー(勝ち点2)
◆グループB
1. モナコ(勝ち点12)
――EL決勝T進出――
2. ソシエダ(勝ち点9)
―EL決勝T・PO進出―
3. PSV(勝ち点8)
―ECL決勝T・PO進出―
4. シュトルム・グラーツ(勝ち点2)
◆グループC
1. スパルタク・モスクワ(勝ち点10)
――EL決勝T進出――
2. ナポリ(勝ち点10)
―EL決勝T・PO進出―
3. レスター・シティ(勝ち点8)
―ECL決勝T・PO進出―
4. レギア・ワルシャワ(勝ち点6)
◆グループD
1. フランクフルト(勝ち点12)
――EL決勝T進出――
2. オリンピアコス(勝ち点9)
―EL決勝T・PO進出―
3. フェネルバフチェ(勝ち点6)
―ECL決勝T・PO進出―
4. アントワープ(勝ち点2)
◆グループE
1. ガラタサライ(勝ち点12)
――EL決勝T進出――
2. ラツィオ(勝ち点9)
―EL決勝T・PO進出―
3. マルセイユ(勝ち点7)
―ECL決勝T・PO進出―
4. ロコモティフ・モスクワ(勝ち点2)
◆グループF
1. ツルヴェナ・ズヴェズダ(勝ち点11)
――EL決勝T進出――
2. ブラガ(勝ち点10)
―EL決勝T・PO進出―
3. ミッティラン(勝ち点9)
―ECL決勝T・PO進出―
4. ルドゴレツ(勝ち点2)
◆グループG
1. レバークーゼン(勝ち点13)
――EL決勝T進出――
2. ベティス(勝ち点10)
―EL決勝T・PO進出―
3. セルティック(勝ち点9)
―ECL決勝T・PO進出―
4. フェレンツヴァーロシュ(勝ち点3)
◆グループH
1. ウェストハム(勝ち点13)
――EL決勝T進出――
2. ディナモ・ザグレブ(勝ち点10)
―EL決勝T・PO進出―
3. ラピド・ウィーン(勝ち点6)
―ECL決勝T・PO進出―
4. ヘンク(勝ち点5)
◆CL3位敗退組
RBライプツィヒ
ポルト
ドルトムント
シェリフ
バルセロナ
アタランタ
セビージャ
ゼニト
ここでは、注目クラブや日本人選手の所属するチームを中心にグループステージを総括していきたい。
◆レスターやマルセイユらが無念の敗退

Getty Images
例年に比べビッグクラブの参戦が少なかった今グループステージだが、ECL創設によってチーム数が大幅に減ったことで、勝ち点の草刈り場となる小国クラブの参戦が少なくなり、ある意味でコンペティションのレベル自体は上がった印象だ。
実力伯仲の今グループステージでは3チームが全勝突破を決めたチャンピオンズリーグ(CL)とは異なり、全勝突破はおろか無敗で突破を決めたのはリヨンとモナコのフランス勢と、フランクフルトの3チームのみ。
その中でリヨンはヨーロッパの戦いを知り抜くボス監督の下、スコットランド王者レンジャーズやスパルタ・プラハという難敵を相手に5勝1分けと最多16ポイントを挙げての首位通過を果たしている。リーグ戦では低迷しているものの、MFシャキリ、DFボアテングという百戦錬磨の新戦力に、FWシェルキやDFグストといったアカデミー自慢の若手が融合するチームはラウンド16以降の戦いでも躍進が期待される。
その他の強豪チームではプレミアリーグで堂々たるトップ4争いに絡むウェストハム、レバークーゼン、ガラタサライといった強豪クラブが順当に首位通過を決定している。
その一方で、所属するタレントのレベルを考えれば、優勝候補筆頭と言えるナポリとラツィオのイタリア勢は、それぞれスパルタク・モスクワ、ガラタサライの後塵を拝した。さらに、今大会に無類の強さを見せるスペイン勢のレアル・ソシエダ、ベティスも2位通過で、チャンピオンズリーグ(CL)の3位敗退組と対峙するプレーオフに回ることになった。
また、前述の4クラブ以上に厳しい結果となったのが、優勝候補の一角にも挙がっていたレスター・シティ。ナポリとスパルタク・モスクワ、レギア・ワルシャワと同居したグループCにおいて、12位に低迷するプレミアリーグと同様に苦戦。2位通過を懸けた最終節のナポリ戦を2-3で落とし、無念の3位敗退。同じく低迷したマルセイユやフェネルバフチェらと共にECL決勝トーナメントのプレーオフに回ることになった。
なお、来年2月に開催されるEL決勝トーナメントのプレーオフではグループステージ2位通過8チームと、CL3位敗退組8チームが対戦。その3位敗退組にはバルセロナ、ドルトムント、セビージャ、アタランタ、RBライプツィヒといった強豪が勢揃いしており、決勝トーナメントではよりハイレベルな戦いが期待されるところだ。
◆鎌田&長谷部のフランクフルトが唯一の突破~日本人選手~

Getty Images
また、今シーズンのELグループステージでは7人の日本人選手が参戦。その中でMF鎌田大地、MF長谷部誠を擁するフランクフルトが唯一ラウンド16進出を決めている。
オリンピアコス、フェネルバフチェ、MF三好康児を擁するアントワープと同じグループDに入ったフランクフルトは、3勝3分けの無敗で首位通過を決定。
その中で昨季にアーセナルを破る2ゴール、レッドブル・ザルツブルク相手にハットトリックを達成するなど、今大会に非常に相性が良い鎌田の“EL男”ぶりは今季も健在。全6試合に出場し、オリンピアコスとの連戦から第5節のアントワープ戦まで3試合連続ゴールを記録。チームの突破の立役者となった。
また、長谷部は初戦こそ出場機会はなかったものの、以降の5試合でゲームキャプテンを務めて持ち味である要所を締める守備と的確な配球でチームを牽引。最終節のフェネルバフチェ戦では失点に絡むミスもあったが、3バックの中央で存在感を放ち続けた。
フランクフルトと同居したグループを最下位で終えることになったアントワープの三好は3試合に出場。ただ、コンディションの問題などもあり、2ゴールを挙げて本大会出場に貢献した予選プレーオフのような輝きを見せることはできなかった。
セルティックFW古橋亨梧は初出場となった今大会でもリーグ戦同様に存在感を放った。レバークーゼン、ベティスと同居した厳しいグループGに組み込まれた中、セルティックは両者の後塵を拝す形で3位敗退となったが、古橋は5試合の出場で2ゴール3アシストを記録。フェレンツヴァローシュ相手の連勝などに貢献した。その一方で、レバークーゼン戦で絶好機を逸するなど、更なる決定力向上が求められるところだ。なお、最終節のベティス戦ではハムストリングを負傷しており、しばしの戦線離脱が見込まれる。
セルティックと同様に無念のグループ3位敗退となったPSVのMF堂安律は、4試合に出場し1アシストを記録。開幕前は構想外と見なされていたが、序盤戦で見せた好パフォーマンスによってシュミット監督の信頼を掴み主力に定着。このELでも右サイドを主戦場に安定したパフォーマンスを見せたが、チームはモナコとソシエダという強豪に屈する形となった。
また、ヘンクFW伊東純也とラピド・ウィーンFW北川航也はウェストハム、ディナモ・ザグレブと共にグループHで同居。ヘンクの絶対的な主力である伊東は全6試合に出場し、初戦のラピド・ウィーン戦、第5節のウェストハム戦でアシストを記録。チームは最下位で敗退したものの、個人としてはまずまずの奮闘を見せた。
一方、今季もチーム内でのポジション争いにおいて苦戦が続く北川は第2節から5試合連続で途中出場。大きなインパクトは残せなかったが、チームは3位フィニッシュでECL決勝トーナメントプレーオフ行きを決めている。
▽ELグループステージ最終順位
◆グループA
1. リヨン(勝ち点16)
――EL決勝T進出――
2. レンジャーズ(勝ち点8)
―EL決勝T・PO進出―
3. スパルタ・プラハ(勝ち点7)
―ECL決勝T・PO進出―
4. ブロンビー(勝ち点2)
◆グループB
1. モナコ(勝ち点12)
――EL決勝T進出――
2. ソシエダ(勝ち点9)
―EL決勝T・PO進出―
3. PSV(勝ち点8)
―ECL決勝T・PO進出―
4. シュトルム・グラーツ(勝ち点2)
◆グループC
1. スパルタク・モスクワ(勝ち点10)
――EL決勝T進出――
2. ナポリ(勝ち点10)
―EL決勝T・PO進出―
3. レスター・シティ(勝ち点8)
―ECL決勝T・PO進出―
4. レギア・ワルシャワ(勝ち点6)
◆グループD
1. フランクフルト(勝ち点12)
――EL決勝T進出――
2. オリンピアコス(勝ち点9)
―EL決勝T・PO進出―
3. フェネルバフチェ(勝ち点6)
―ECL決勝T・PO進出―
4. アントワープ(勝ち点2)
◆グループE
1. ガラタサライ(勝ち点12)
――EL決勝T進出――
2. ラツィオ(勝ち点9)
―EL決勝T・PO進出―
3. マルセイユ(勝ち点7)
―ECL決勝T・PO進出―
4. ロコモティフ・モスクワ(勝ち点2)
◆グループF
1. ツルヴェナ・ズヴェズダ(勝ち点11)
――EL決勝T進出――
2. ブラガ(勝ち点10)
―EL決勝T・PO進出―
3. ミッティラン(勝ち点9)
―ECL決勝T・PO進出―
4. ルドゴレツ(勝ち点2)
◆グループG
1. レバークーゼン(勝ち点13)
――EL決勝T進出――
2. ベティス(勝ち点10)
―EL決勝T・PO進出―
3. セルティック(勝ち点9)
―ECL決勝T・PO進出―
4. フェレンツヴァーロシュ(勝ち点3)
◆グループH
1. ウェストハム(勝ち点13)
――EL決勝T進出――
2. ディナモ・ザグレブ(勝ち点10)
―EL決勝T・PO進出―
3. ラピド・ウィーン(勝ち点6)
―ECL決勝T・PO進出―
4. ヘンク(勝ち点5)
◆CL3位敗退組
RBライプツィヒ
ポルト
ドルトムント
シェリフ
バルセロナ
アタランタ
セビージャ
ゼニト
ナポリの関連記事
UEFAヨーロッパリーグの関連記事
|
ナポリの人気記事ランキング
1
ナポリが新スタジアム建設へ…会長が1959年開場“マラドーナ”利用終了を明言「市長へ協力を依頼済み」
ナポリが新スタジアムを建設するようだ。イタリア『メディアセット』が伝えている。 現在のナポリは、半世紀以上前の1959年に開場したスタディオ・ディエゴ・アルマンド・マラドーナ(旧スタディオ・サン・パオロ)を本拠地利用。1990年のイタリア・ワールドカップ(W杯)に合わせて一度改修されているが、歴史は古く、老朽化が進む。 イタリアが2032年のユーロ(欧州選手権)をトルコと共同開催することが決まっているなか、ナポリのアウレリオ・デ・ラウレンティス会長が7日、突如としてナポリ市内に新スタジアムを建設する構想を表明した。 「私にフオリグロッタ(現本拠地)を改修するつもりはない。バニョーリ(※1)に新しいスタジアムを建設する準備がある。例えば2027年7月に大規模なレセプション、パーティ、花火大会が開催されるだろう」 (※1)現本拠地フオリグロッタから直線距離にして約1kmほど南西に進んだ位置にあるバニョーリ地区 地元紙『イル・マッティーノ』によると、スタディオ・ディエゴ・アルマンド・マラドーナの改修計画はここ数年しきりに叫ばれていたようだが、どうやらデ・ラウレンティス会長は歴史ある“マラドーナ”の利用を終えることで、つい最近、所有者のナポリ市行政と合意したという。 「元々は私も“マラドーナ”を改修したかったんだ。しかし、関係者らと視察を重ね、大衆を最も惹き寄せるのは、新たなスタジアムを作ることだという意見が占めた。そのためには、少なくとも3シーズンはマラドーナを離れなくてはならない」 「すでにバニョーリ地区の再開発担当者とも顔を合わせているよ。ナポリ市長にはこのプロジェクトへの協力を依頼してある。新たなスタジアムは、我々用の施設だけでなく、ショッピングセンターなども併設した地域のコミュニティを目指す」 その一方、ナポリ市郊外の山沿いの地区・アフラゴーラから新スタジアム誘致の話があるというが、これについては「何ヘクタールもの土地を提供してくれるというありがたい話があったが、スタジアムを全く別の場所へ移すことは考えていない」としている。 今回、初めて明言されたナポリの新スタジアム建設計画。ユーロ2032まで8年、どんな経過を辿るだろうか。 2024.03.08 11:20 Fri2
日本人が目指すべきCB像、“希少なバロンドーラー“ファビオ・カンナバーロ
サッカー界においてなかなか評価がされないのが守備的な選手。勝利に貢献する派手なゴールを決める攻撃的な選手はわかりやすい活躍の指標が存在するが、なかなかディフェンダーは評価が得にくい。 もちろん、これまでのサッカー界で高く評価されたディフェンダーは多々いるが、世界年間最優秀選手に贈られる「バロンドール」では3人のみが受賞。元西ドイツ代表DFのフランツ・ベッケンバウアー氏と、元東ドイツ代表DFマティアス・ザマー氏、そして元イタリア代表DFファビオ・カンナバーロ氏の3人しかいない。 DFとして最後に受賞したのが2006年のカンナバーロ氏だが、ベッケンバウアー氏やザマー氏はリベロのポジションを務めており、中盤でのプレー機会も多かった選手たち。一方で、カンナバーロ氏は、純粋にセンターバックを務めており、DFとして最初の受賞者と言っても良い存在だ。 イタリア代表のキャプテンとしてドイツ・ワールドカップ(W杯)を優勝した功績が認められたカンナバーロ氏。現役時代のキャリアで多くのタイトルを獲得しているが、縁がなかったのがチャンピオンズリーグ(CL)だ。 <span class="paragraph-title">◆記録よりも記憶に残るプレーヤー</span> 現役時代はナポリでキャリアをスタートさせたカンナバーロだが、クラブの財政難により放出。パルマへと移籍する。 このパルマでは、GKジャンルイジ・ブッフォンやDFリリアン・テュラムらと強固な守備陣を形成。“ミラクル・パルマ“とも呼ばれ、カンナバーロも2度のコッパ・イタリア優勝や、UEFAカップ(現ヨーロッパリーグ)での優勝を経験した。 中田英寿ともチームメイトとしてプレーした中、セリエAのスクデット獲得には至らずに2002年8月にインテルへと移籍。しかし、インテルでは監督との確執もあり出番が減り、2004年8月にユベントスへと完全移籍する。 すると、パルマ時代の同僚であったブッフォンとテュラムと再びチームメイトに。2004-05シーズンに見事スクデットを獲得する。しかし、このスクデットは2006年に発覚したカルチョ・スキャンダルといわれた一連の八百長事件の影響で剥奪に。結果、カンナバーロはスクデットも獲得していないこととなった。 チームはセリエBに降格処分となり、カンナバーロはレアル・マドリーへと完全移籍。そこでも本領を発揮すると、難しい中で行われたドイツW杯で優勝。前述のバロンドールも受賞することとなると、FIFA年間最優秀選手賞も受賞した。 マドリーではラ・リーガ連覇を果たすなどしたが、再びユベントスに復帰。その後は、アジアでプレーし引退した。 ビッグクラブに在籍を続けていたカンナバーロだったが、実はタイトル獲得数は多くない。クラブキャリアではわずか7個。そこにW杯が加わり8つと、イメージよりは少ないのではないだろうか。 <span class="paragraph-title">◆縁がないチャンピオンズリーグ優勝</span> そのカンナバーロだが、ことCLとなるとより縁遠くなる。インテル移籍後は毎シーズン出場はしていたが、チームとしての成績は良くなく、最高がベスト4止まりだった。 今でこそ、マドリーやユベントスはタイトルを多く獲得し、マドリーは近年CLを何度も制しているが、ちょうど“銀河系“を形成していたカンナバーロが在籍していた時代は過渡期。2000年から2010年まではラ・リーガも4度の優勝に留まっており、CLも2001-02シーズンを最後に11年間獲れなかった。 最もビッグイヤーに近づいたのは、インテル在籍時の2002-03シーズン。準決勝に駒を進めると、決勝進出を懸けた相手はライバルのミラン。2試合とも引き分けに終わったが、アウェイゴール差で僅かに敗れて敗退した。 その後は、ユベントス時代に2度ベスト8、マドリー時代に2度ベスト16まで勝ち上がっているが、それ以上は進めず。ビッグイヤーを掲げていないどころか、決勝の舞台にすら立ったことがなく、最も意外な選手の1人と言っても良い。 <span class="paragraph-title">◆タイトルは少なくとも才能は抜群</span> 目に見えたタイトルというものにはあまり恵まれていないキャリアのカンナバーロ。そのため、ワールドカップの優勝とバロンドール受賞が輝いて見える。 ただ、ピッチ上で見せるパフォーマンスの評価、そして持ち合わせた才能は世界屈指と言われている。 なんといっても、センターバックとしては身長175cmと小柄。体格に勝るヨーロッパではもちろんのこと、日本で考えても175cmのセンターバックはあまりいないタイプだ。 しかし、持って生まれた強靭な肉体が身長のハンデを埋めることに。まず一対一の守備力が抜きん出ており、相手との競り合いに負けないほか、身長を補う高いジャンプ力を武器としていた。 どんなストライカー相手でも、空中でも地上でも抜かせないという守備力は一級品だが、カンナバーロの真骨頂は守備をする前のパフォーマンスだ。 最も優れているとされたのがポジショニング。相手との競り合いに負けないフィジカルも素晴らしいが、相手よりも優位なポジションを先読みして取ることで、そもそも勝負の前に勝っているのだ。 一対一の勝負もさることながら、簡単にボールを奪い切る能力は抜きん出ている。 そしてもう1つが抜きん出た統率力。センターバックとして周りの選手にコーチングして相手を追い込んだり、優位なポジションを取ったりすることができる。これは、「カテナチオ」と言われるイタリアの堅い守備には欠かせず、ドイツW杯を制した際にもこの点は非常に評価された。チームのパフォーマンスを引っ張り上げる彼の力は、タイトルの数に関係なく、最後まで高く評価され続けた。 日本人と変わらない体格で世界と渡り合ったカンナバーロ。お手本とすべき選手の1人とも言えるだろう。 <div id="cws_ad"><hr>イタリア代表で活躍し、“カテナチオ“戦術の中心としても活躍したファビオ・カンナバーロが大人気スポーツ育成シミュレーションゲーム『プロサッカークラブをつくろう!ロード・トゥ・ワールド』(サカつくRTW)に登場!<br/><br/>現役時代に魅せたプレーが『サカつくRTW』でも再現。是非一度チェックしてみよう。<a href=“https://ryan.onelink.me/C7cD/awagt0va” target=“_blank”><div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2022/sega20220713.jpg" style="max-width:100%;"></div></a></div> <span class="paragraph-title">【動画】相手を封殺!カンナバーロの闘志溢れるユベントス時代のディフェンス集</span> <span data-other-div="movie"></span> <div class="dugout-video dugout-embed-eyJrZXkiOiJsdGt2Y1FHSiIsInAiOiJ1bHRyYXNvY2NlciIsInBsIjoiIn0="></div><script type="text/javascript" src="https://embed.dugout.com/v3.1/ultrasoccer.js"></script> <div id=“cws_ad”><hr>イタリア代表で活躍し、“カテナチオ“戦術の中心としても活躍したファビオ・カンナバーロが大人気スポーツ育成シミュレーションゲーム『プロサッカークラブをつくろう!ロード・トゥ・ワールド』(サカつくRTW)に登場!<br/><br/>現役時代に魅せたプレーが『サカつくRTW』でも再現。是非一度チェックしてみよう。<a href=“https://ryan.onelink.me/C7cD/awagt0va” target=“_blank”><div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2022/sega20220713.jpg" style="max-width:100%;"></div></a></div> 2022.07.13 21:30 Wed3
「思い出すのはサッリ」 ナポリの象徴ハムシク、母国で歩み始めた指導者人生を語る 「400人の子どもたちに…」
元スロバキア代表MFマレク・ハムシク氏が歩み出したばかりの指導者キャリアについて語った。イタリア『カルチョメルカート』が伝えている。 6月に現役を退いたハムシク氏。今やセリエA王者となったナポリで通算520試合出場および121ゴール103アシストという数字を積み上げた36歳は現在、RSCハムシク・アカデミーという自身の名を冠した母国スロバキアの3部リーグクラブでオーナー兼育成コーチとして新たな人生を歩み出している。 そんなハムシク氏の選手キャリアにおけるピークはもちろんナポリ時代。11年半の在籍期間中に6人の指揮官と共闘した元キャプテンだが、イタリア『コリエレ・デッロ・スポルト』のインタビューでは、やはりマウリツィオ・サッリ監督の印象が今も色濃く残っていると語った。 「私はサッリの副官のようだった。チャレンジングなフットボールを志向する彼は、私たち選手にどんなことでも時間を割いて説明してくれた。誰しも時折、『なぜこれが必要なんだ?』と考えることがあるだろう? 私はコーチとして選手にコンセプトを上手く伝えたい…思い出すのはサッリだ」 ハムシク氏は19歳以下の選手への指導が認められるUEFAライセンスを保有しているものの、指導者キャリアは始まったばかり。「私の元に400人の子どもたちがいるんだ。その全員に私の経験を提供したい。けど、与えるには受け取る柔軟性が必要だ。私自身が学びを続けているよ」 スロバキアの子どもたちへの指導について語った一方、同胞の後輩MFスタニスラブ・ロボツカがチームの要に君臨する古巣ナポリの話にも花を咲かせた。 「インテルがとても良いスタートを切ったね。さすがはチャンピオンズリーグ(CL)のファイナリストだ。安定感が光る彼らはナポリからスクデットを取り戻そうとしているだろう。ミランとユベントスのことも忘れてはならない」 「だが、ルディ・ガルシア(監督)とクヴィチャ・クワラツヘリアは10年先を行く資質の持ち主だ。他の選手たちも高い能力を兼ね備えている。ロボツカも、彼がフットボーラーとして、人として、どれほどの価値がある存在か私は知っていた。私の推薦は間違っていなかっただろう?(笑)」 2023.09.05 17:32 Tue4
【伝説のチーム】マラドーナ全盛期のナポリはどんなチーム?後に柏でプレーするFWカレカにゾラの名も
フットボール界のレジェンドであるディエゴ・マラドーナ氏(60)が25日に急逝した。 10月30日に60歳の誕生日を迎えたばかりのマラドーナ氏だったが、その後に硬膜下血腫が見つかり緊急手術。無事に手術は成功していたが、この度心不全で帰らぬ人となった。 そのマラドーナ氏が全盛期を過ごし、チームに黄金期をもたらせたのがナポリだった。 現在はイタリア屈指の強豪として認知されているナポリだが、初めて歓喜の渦に包まれたのは1980年代後半だった。1984-1985シーズンにバルセロナからやってきたディエゴ・マラドーナによって、チームは数々のタイトルを獲得した。 マラドーナが中心のチームは、1986-87シーズンにセリエAとコッパ・イタリアの2冠に輝き、その後も優勝を争いながら、1988-89シーズンにはUEFAカップ(現EL)を獲得。そして、迎えた1989-90シーズンにクラブ史上2度目となるスクデットを手に入れることとなる。 <div style="text-align:center;" id="cws_ad"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2020/1989-90napoli.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;"><</div><div style="padding: 0.5em 1em;margin: 2em 0;border: double 5px #4ec4d3;"><p style="margin: 0; padding: 0;">監督:アルベルト・ビゴン(52) 獲得タイトル:セリエA 攻撃力9:★★★★★★★★★☆ 守備力8:★★★★★★★★☆☆ タレント7:★★★★★★☆☆☆ 連係8:★★★★★★★★☆☆ 選手層7:★★★★★★★☆☆☆</p></div> <div style="padding: 0.25em 0.5em;font-weight:800;font-size:1.2em;color: #494949;background: #dbeeff;border-left: solid 5px #7db4e6;">◆マラドーナのチーム</div> 開幕から順調に勝ち点を積み重ねたナポリは、このシーズンにチャンピオンズリーグ2連覇を達成したミランやインテルと優勝争いを繰り広げた。後半戦ではそのミランとインテルとの直接対決に敗れたが、粘りを見せて最後の5試合で5連勝を達成。ミランを追い抜いて見事に優勝を決めた。 フットボールの世界では、絶大なる個の力を有する選手がそのチームの戦術となることがしばしばある。そして、この頃のナポリは、まさにマラドーナのチームだった。 そのマラドーナを支えるため、チロ・フェラーラを中心とした守備陣とフェルナンド・デ・ナポリなどの中盤の選手は守備に奔走した。ナポリは、当時のイタリア代表メンバーを中心にマラドーナを支える土台を固めていた。 攻撃は前線のトライアングルで形成した。自由を与えられたマラドーナは攻撃の全権を掌握。また、後に柏でプレーするブラジル代表FWカレカとイタリア代表FWアンドレア・カルネバーレの2トップがゴールを重ね、当時23歳のジャンフランコ・ゾラも存在感を示した。 “ナポリの王様”と評されたマラドーナは、イタリア随一の陽気な街に2度のスクデットをもたらした。数々の魅力的なプレーで観客を魅了し、自身が付けた10番が永久欠番になるほどサポーターから愛された。ただ、かねてからコカイン使用が疑われるなど、イタリアマフィアの巣窟であるナポリで麻薬に染まり、プロ選手としてのキャリアが終焉に向かっていった。 <div id="cws_ad">◆全盛期のマラドーナがナポリで見せたスーパーゴール集<br/><div style="margin:0 auto; max-width:100%; min-width:300px; " ><div style="position: relative; padding-bottom:56.25%; height: 0; overflow: hidden; "><iframe src="https://embed.dugout.com/v2/?p=eyJrZXkiOiJRQkZwNEVQayIsInAiOiJ1bHRyYXNvY2NlciIsInBsIjoiIn0=" style="width: 300px; min-width: 100%; position: absolute; top:0; left: 0; height: 100%; overflow: hidden; " width="100%" frameborder="0" allowfullscreen scrolling="no"></iframe></div></div></div> 2020.11.26 17:30 Thu5