【J1クラブ中間評価】順位は想定内も深刻な得点力不足で不安残す折り返しに《ヴァンフォーレ甲府》
2017.07.14 20:30 Fri
▽2017シーズンの明治安田生命J1リーグは早くも折り返し地点に。DAZNマネーで増加した分配金などを巡る争いも背景に存在していることから、優勝争いのみならず、例年以上に戦いが激化している。超ワールドサッカー編集部は、このタイミングでJ1全18クラブを中間評価。今回はヴァンフォーレ甲府編をお届けする。
勝ち点16/3勝7分7敗
◆ポジション別採点
▽17試合で18失点。昨シーズン前半戦の31失点から大幅な改善を見せており、今シーズンのJ1でも失点数に関しては8位タイと上々の数字だ。攻守両面で存在感を放つDFエデル・リマ、守護神に抜擢されたGK岡大生、ここにきて調子を上げるDF新里亮を中心に粘り強く守れている印象だ。また、自身の理想をひと先ず脇に置き、現実的な守備重視の戦術を採用する吉田新監督の采配も失点減の大きな要因だ。
【MF】40/100点満点
▽アンカーポジションで優れた戦術眼と高精度の左足を武器に“レジスタ”としてプレーするMF兵働昭弘、インサイドハーフで持ち味のボール奪取や守備センスを遺憾なく発揮するMF小椋祥平のベテラン新加入組の活躍が目立った。また、J1屈指のスプリント回数を誇る右ウイングバックのMF松橋優、MF田中佑昌と豊富な運動量とアグレッシブさを誇る2選手の貢献も大きかった。ただ、守備面が機能した一方、攻撃面に関しては前線との連係に問題を抱えており、厳しい前半戦となった。
▽前半戦でわずか10ゴールと深刻な得点力不足に陥った中、ストライカー陣が奪ったゴールはわずかに「5」。前線からの守備や起点作りなど、得点以外の貢献を考慮に入れても、評価に値しない体たらくだ。もちろん、守備的スタイルの弊害や後方からのサポート不足が得点力不足の一因だが、主力として起用されながらも2人でわずかに2ゴールのFWドゥドゥとFWウイルソンの不振が痛恨だった。また、2年ぶりの復帰を果たしたMF堀米勇輝はチーム最多の2ゴールを記録もインパクトを欠き、FW河本明人や途中加入のFWジュニオール・バホスもバックアッパーの域を出なかった。
◆超WS的前半戦チーム内GOODプレーヤー
明治安田生命J1リーグ:15試合(先発14回)/1ゴール
▽攻守両面で異彩を放つ左利きのブラジル人センターバックを選出。プレシーズンの負傷で出遅れたものの、第4節の大宮アルディージャ戦から左ストッパーとして先発を飾ると、以降のリーグ戦全試合でスタメン出場を継続中だ。187cmながら痩身の31歳は、快速とリーチの長さを生かした見事な対人守備で最終ラインに安定をもたらせば、攻撃の場面では豪快な持ち上がりや左足の正確な球出しで存在感を放った。第5節の北海道コンサドーレ札幌戦では利き足とは逆の右足で圧巻のボレーを決め、初ゴールも記録。
◆超WS的前半戦チーム内BADプレーヤー
FWウイルソン(32歳/No.9)
明治安田生命J1リーグ:14試合(先発13回)/1ゴール
▽待望の点取り屋としてベガルタ仙台から今シーズン新加入も、前半戦で決めたゴールはPKによる1ゴールのみと大きく期待を裏切った。前線で基準点となるプレーや後方の味方を助けるプレスバックなど、全体的な貢献度が著しく低かったわけではないが、開幕から一向にコンディションが上がってこないのは気がかりだ。また、競り合いでの消極的な姿やプレッシャーが少ないサイドに流れる場面が目立つなど、決定機での慌てぶりに加えて、自信を失っている印象。同じく不調のFWドゥドゥと共に後半戦に向けて心身共にコンディションを整えられるかが、クラブの5年連続J1残留のカギとなるはずだ。
◆戦術転換と助っ人コンビの覚醒で停滞感を振り払えるか
▽順位と勝ち点を考えれば、いずれも残留を果たした過去4シーズンとあまり変わらない想定内の立ち位置と言える。だが、残留を争うライバルが監督交代や積極補強を起爆剤に心機一転を図る中、予算的に限りがあるクラブは、後半戦も継続路線でチームとしての上積みを図っていくしかない。
▽その中で一番に改善すべき点は、深刻な得点力不足の解消だ。元々、攻撃的なポゼッションスタイルを志向する吉田監督にとって、攻撃的なスタイルへの転換は得意とするところ。その一方で、ここまで勝ち切れなかったものの、決して大崩れしていたわけではない現状からのスタイル転換は、これまで積み上げてきた堅守を崩壊させる、リスクも孕んでいる。そのため、理想を言えば現状のスタイルをベースに少ない手数で攻め切る中、FWウイルソンやFWドゥドゥといった個人の覚醒、前半戦で機能しなかった連係面の擦り合わせで得点力を向上させたい
▽しかし、前半戦のように助っ人コンビの状態が上がらなければ、ボールを保持してより前に人数をかけて攻める、よりリスキーな攻撃スタイルへの転換も必要となるかもしれない。堅守を維持しつつ、得点力を伸ばせるかが残留へのカギを握るだろう。
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◆課題の守備改善も深刻な得点力不足に…勝ち点16/3勝7分7敗
(C)CWS Brains,LTD.
▽昨シーズンは年間14位で終え、4年連続のJ1残留を決めた甲府。今シーズンは5年連続のJ1残留を最大使命に、柏レイソルやアルビレックス新潟で指揮を執りポゼッションスタイルのフットボールを志向する吉田達磨新監督を招へい。より攻撃的なスタイルへの転換を目指したものの、蓋を開けてみれば、実質5バックに近い[3-3-2-2]の守備的な布陣でいかにも甲府らしい堅守を軸としたスタイルで前半戦を戦った。▽ガンバ大阪との敵地での開幕戦を1-1のドローでスタートした甲府は、第3節で浦和レッズに1-4の大敗を喫するも、大宮アルディージャ(1-0)と北海道コンサドーレ札幌(2-0)に連勝を記録するなど、第9節のヴィッセル神戸戦までは真骨頂である堅守を軸とした戦いで順調に勝ち点を積み重ね、余裕の残留圏内をキープ。だが、その後は深刻な得点力不足に陥り、第10節のジュビロ磐田戦から前半戦最終戦の第17節サガン鳥栖戦まで8戦未勝利(4敗4分け)と急失速し、降格圏と2ポイント差の14位で前半戦を終えた。とりわけ、直近4試合で無得点という内容は後半戦に向けて大きな不安を残す。(C)CWS Brains,LTD.
【GK&DF】70点/100点満点▽17試合で18失点。昨シーズン前半戦の31失点から大幅な改善を見せており、今シーズンのJ1でも失点数に関しては8位タイと上々の数字だ。攻守両面で存在感を放つDFエデル・リマ、守護神に抜擢されたGK岡大生、ここにきて調子を上げるDF新里亮を中心に粘り強く守れている印象だ。また、自身の理想をひと先ず脇に置き、現実的な守備重視の戦術を採用する吉田新監督の采配も失点減の大きな要因だ。
【MF】40/100点満点
▽アンカーポジションで優れた戦術眼と高精度の左足を武器に“レジスタ”としてプレーするMF兵働昭弘、インサイドハーフで持ち味のボール奪取や守備センスを遺憾なく発揮するMF小椋祥平のベテラン新加入組の活躍が目立った。また、J1屈指のスプリント回数を誇る右ウイングバックのMF松橋優、MF田中佑昌と豊富な運動量とアグレッシブさを誇る2選手の貢献も大きかった。ただ、守備面が機能した一方、攻撃面に関しては前線との連係に問題を抱えており、厳しい前半戦となった。
【FW】10/100点満点
▽前半戦でわずか10ゴールと深刻な得点力不足に陥った中、ストライカー陣が奪ったゴールはわずかに「5」。前線からの守備や起点作りなど、得点以外の貢献を考慮に入れても、評価に値しない体たらくだ。もちろん、守備的スタイルの弊害や後方からのサポート不足が得点力不足の一因だが、主力として起用されながらも2人でわずかに2ゴールのFWドゥドゥとFWウイルソンの不振が痛恨だった。また、2年ぶりの復帰を果たしたMF堀米勇輝はチーム最多の2ゴールを記録もインパクトを欠き、FW河本明人や途中加入のFWジュニオール・バホスもバックアッパーの域を出なかった。
◆超WS的前半戦チーム内GOODプレーヤー
(c)J.LEAGUE PHOTOS
DFエデル・リマ(31歳/No.6)明治安田生命J1リーグ:15試合(先発14回)/1ゴール
▽攻守両面で異彩を放つ左利きのブラジル人センターバックを選出。プレシーズンの負傷で出遅れたものの、第4節の大宮アルディージャ戦から左ストッパーとして先発を飾ると、以降のリーグ戦全試合でスタメン出場を継続中だ。187cmながら痩身の31歳は、快速とリーチの長さを生かした見事な対人守備で最終ラインに安定をもたらせば、攻撃の場面では豪快な持ち上がりや左足の正確な球出しで存在感を放った。第5節の北海道コンサドーレ札幌戦では利き足とは逆の右足で圧巻のボレーを決め、初ゴールも記録。
◆超WS的前半戦チーム内BADプレーヤー
FWウイルソン(32歳/No.9)
明治安田生命J1リーグ:14試合(先発13回)/1ゴール
▽待望の点取り屋としてベガルタ仙台から今シーズン新加入も、前半戦で決めたゴールはPKによる1ゴールのみと大きく期待を裏切った。前線で基準点となるプレーや後方の味方を助けるプレスバックなど、全体的な貢献度が著しく低かったわけではないが、開幕から一向にコンディションが上がってこないのは気がかりだ。また、競り合いでの消極的な姿やプレッシャーが少ないサイドに流れる場面が目立つなど、決定機での慌てぶりに加えて、自信を失っている印象。同じく不調のFWドゥドゥと共に後半戦に向けて心身共にコンディションを整えられるかが、クラブの5年連続J1残留のカギとなるはずだ。
◆戦術転換と助っ人コンビの覚醒で停滞感を振り払えるか
▽順位と勝ち点を考えれば、いずれも残留を果たした過去4シーズンとあまり変わらない想定内の立ち位置と言える。だが、残留を争うライバルが監督交代や積極補強を起爆剤に心機一転を図る中、予算的に限りがあるクラブは、後半戦も継続路線でチームとしての上積みを図っていくしかない。
▽その中で一番に改善すべき点は、深刻な得点力不足の解消だ。元々、攻撃的なポゼッションスタイルを志向する吉田監督にとって、攻撃的なスタイルへの転換は得意とするところ。その一方で、ここまで勝ち切れなかったものの、決して大崩れしていたわけではない現状からのスタイル転換は、これまで積み上げてきた堅守を崩壊させる、リスクも孕んでいる。そのため、理想を言えば現状のスタイルをベースに少ない手数で攻め切る中、FWウイルソンやFWドゥドゥといった個人の覚醒、前半戦で機能しなかった連係面の擦り合わせで得点力を向上させたい
▽しかし、前半戦のように助っ人コンビの状態が上がらなければ、ボールを保持してより前に人数をかけて攻める、よりリスキーな攻撃スタイルへの転換も必要となるかもしれない。堅守を維持しつつ、得点力を伸ばせるかが残留へのカギを握るだろう。
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