【プレビュー】満身創痍の世界王者vs磐石の開催国《ドイツvsフランス》
2016.07.07 06:30 Thu
▽ユーロ2016準決勝、ドイツ代表vsフランス代表が7日にベロドロームで行われる。2014年ブラジル・ワールドカップ王者であるドイツと開催国フランスがポルトガルの待つ決勝進出を懸けた大一番だ。
▽1996年大会以来4度目のユーロ優勝を目指すドイツは、ポーランドや北アイルランドが同居したグループステージを低調ながらも守備陣が無失点で乗り切り、2勝1分けで首位通過を果たした。そして、ゲッツェのゼロトップに見切りをつけて臨んだ決勝トーナメント1回戦ではスロバキアに3-0と圧勝。続く準々決勝イタリア戦ではJ・ボアテングの不用意なPK献上によって1-1と持ち込まれた中、9人までもつれ込んだPK戦をノイアーの活躍もあって制し、3大会連続ベスト4進出を果たした。ただ、イタリア戦が激戦となったこともあって主力3選手がフランス戦を欠場することが決まっており、チームは満身創痍の状態だ。
▽一方、2000年大会以来3度目のユーロ優勝を目指すフランスは、スイスやアルバニアが同居したグループステージをドイツ同様に低調ながらも勝負強さを見せ、2勝1分けで首位通過を果たした。そして、決勝トーナメント1回戦ではアイルランドに先制を許したものの、グリーズマンの2発で逆転勝利を飾ると、続く準々決勝では今大会最高のパフォーマンスを見せてアイスランドに5-2と大勝し、優勝した2000年大会以来となる4大会ぶりのベスト4進出を果たした。ドイツより休養が1日少ないフランスだが、ケガ人がいない上にアイスランド戦を大勝としたことで、余力を残して準決勝に進出している。
▽両国はこれまで27度対戦しており、ドイツから見て9勝6分け12敗の戦績。直近ではブラジル・ワールドカップ準々決勝で対戦し、終始ドイツが主導権を握った中、1-0でドイツが勝利している。
GK:ノイアー
DF:カン、ムスタフィ、J・ボアテング、ヘクター
MF:キミッヒ、シュバインシュタイガー、エジル、クロース、ドラクスラー
FW:ミュラー
出場停止者:DFフンメルス
負傷者:MFケディラ、FWゴメス
GK:ロリス
DF:サーニャ、ラミ、コシエルニー、エブラ
MF:ポグバ、カンテ、マテュイディ
FW:グリーズマン、ジルー、パイエ
出場停止者:なし
負傷者:なし
▽一方のフランスは出場停止者、負傷者ともにおらず磐石の状態だ。そして、準々決勝を出場停止で欠場したカンテとラミが復帰する。彼らがそのままスタメンに復帰する可能性もあるが、アイスランド戦でフランスは今大会最高のパフォーマンスを見せているだけにアイスランド戦の[4-2-3-1]を踏襲する可能性があるかもしれない。その場合はカンテではなくムサ・シッソコが右サイドでスタメンとなる。
★タクティカル・プレビュー
▽実力拮抗同士の対戦となるだけに時間帯によって主導権が入れ替わる目まぐるしい展開が予想される。ただ、開催国のアドバンテージを武器に大観衆の後押しを受けるフランスがより積極的な試合運びを見せる可能性が高いかもしれない。ケガ人が多く、コンディションが万全でないドイツは、相手の出方を窺いながらまずはカウンターでけん制する試合運びを選択するのではないか。
◆主力3選手欠場の穴を埋められるか~ドイツ~
▽ドイツが決勝に進出する上で、主力3選手の穴を埋められるかが最大のポイントとなる。とりわけ痛手となりそうなのがゴメスの不在だ。グループステージ最終節の北アイルランド戦で今大会初先発を飾ったゴメスは、ゲッツェのゼロトップ・システムによって機能性を欠いていたドイツの攻撃のバリエーションを格段に広げることに成功した。ポストプレーとディフェンスライン裏を突くランニングで奥行きを使えるようになったドイツは2列目のエジルやミュラー、ドラクスラーが生き生きとプレー。北アイルランド戦以降は多くのチャンスを生み出し、順当な勝利を収めてきている。そのゴメスが不在となる中、ミュラーが持ち前のフリーランでゴメス同様に相手守備陣を引っ張るような動きを見せて2列目の選手たちにスペースを生み出せるかが勝敗の分かれ目となりそうだ。
▽また、J・ボアテングのパートナーを務めるフンメルスを出場停止で欠くのもやや痛い。新シーズン、バイエルンでコンビを組むことになる両者は共にビルドアップ能力に優れ、最後尾からゲームを作ることが可能だった。その片割れであるフンメルスを欠くことでフランス戦は後方からの組み立てにおいて、ややスムーズさを欠く可能性がある。ケディラの不在に関してはイタリア戦ではPKこそ外したものの、そつのないプレーを見せていた経験豊富なシュバインシュタイガーが務めるため、大きな問題にはならないはずだ。
▽不安要素が目立つドイツだが、守護神ノイアーが今大会さすがのパフォーマンスを発揮し続けている点は心強い。並のGKであれば失点してもおかしくないようなシーンでもノイアーは驚異の反応でビッグセーブを見せ、今大会わずか1失点に抑えている。また、左サイドのコンビが好調な点もフランス戦に向けては追い風だ。サイドバックのヘクターはここまで全試合にフル出場し、質の高い攻撃参加で存在感を示し続けている。また、左アウトサイドのドラクスラーも出場した際には鋭い仕掛けでドイツの攻め手となっている。フランス戦で対面するのは全盛期を過ぎた感のあるサーニャだけに、ドイツとしては左サイドから攻略を図るのが最善かもしれない。
◆好調攻撃陣、引き続き爆発なるか~フランス~
▽対するフランスとしては決勝トーナメントに入って以降、状態を上げてきている攻撃陣に期待が懸かる。とりわけ、前線3枚の中でも鍵を握っているのが最前線でプレーするジルーだ。アイスランド戦で先制ゴールを叩き込んだジルーは持ち前の身体の強さやテクニックの高さを生かして4ゴールに絡む活躍を見せた。大会前はベンゼマ不在によってストライカー不在が懸念されたフランスだが、ジルーがアイスランド戦のような活躍を引き続き見せられれば頂点も十分に見えてくる。
▽そのジルーが最前線で存在感を発揮することができれば、サイドには世界屈指のタレントであるグリーズマンとパイエが構えており、ドイツ相手にも十分爆発することが考えられる。グリーズマンはアトレティコ・マドリーでも発揮している得点力を代表でも見せており、ジルーがDFを引き付けてできたスペースをうまく活用することができている。また、パイエは精度の高いキックでゴールとアシストを量産。ドイツ戦でもジルーに多くのチャンスを生み出すはずであり、そこを決めきれるかがポイントだ。
▽一方で不安な点としては守備陣が挙げられる。中でも不安なのが出場停止が明けて先発が見込まれるラミだ。スピードに難を抱えるパワータイプのセンターバックは、前への守備には強さを見せるものの、自身背後への対応には大きな問題を抱える。対面するのがおそらくミュラーとなることから、かなり揺さぶられることが予想されるが、耐えきれるか。カバーリング能力の高い相棒のコシエルニーがラミのウィークポイントをケアできるかにも注目だ。
▽1996年大会以来4度目のユーロ優勝を目指すドイツは、ポーランドや北アイルランドが同居したグループステージを低調ながらも守備陣が無失点で乗り切り、2勝1分けで首位通過を果たした。そして、ゲッツェのゼロトップに見切りをつけて臨んだ決勝トーナメント1回戦ではスロバキアに3-0と圧勝。続く準々決勝イタリア戦ではJ・ボアテングの不用意なPK献上によって1-1と持ち込まれた中、9人までもつれ込んだPK戦をノイアーの活躍もあって制し、3大会連続ベスト4進出を果たした。ただ、イタリア戦が激戦となったこともあって主力3選手がフランス戦を欠場することが決まっており、チームは満身創痍の状態だ。
▽両国はこれまで27度対戦しており、ドイツから見て9勝6分け12敗の戦績。直近ではブラジル・ワールドカップ準々決勝で対戦し、終始ドイツが主導権を握った中、1-0でドイツが勝利している。
◆ドイツ◆
【4-2-3-1】
【4-2-3-1】
(C)CWS Brains,LTD.
▽ドイツ予想スタメンGK:ノイアー
DF:カン、ムスタフィ、J・ボアテング、ヘクター
MF:キミッヒ、シュバインシュタイガー、エジル、クロース、ドラクスラー
FW:ミュラー
出場停止者:DFフンメルス
負傷者:MFケディラ、FWゴメス
▽累積警告によりドイツ不動のセンターバックであるフンメルスが欠場する。さらにイタリア戦で負傷したケディラとゴメスの欠場が決まっており、主力3選手が不在だ。さらにヘヴェデスとシュバインシュタイガーも出場が危ぶまれていたが、シュバインシュタイガーに関しては前日練習をこなし、レーブ監督も先発起用を明言したことからスタメンの見込みだ。仮にヘヴェデスが起用できない場合は、センターバックにはムスタフィが入る。そしてゴメス不在の最前線にはミュラーが入るものと思われる。システムに関してはイタリア戦で突如採用した3バックから使い慣れた4バックに戻すことが濃厚だ。
◆フランス◆
【4-3-3】
【4-3-3】
(C)CWS Brains,LTD.
▽フランス予想スタメンGK:ロリス
DF:サーニャ、ラミ、コシエルニー、エブラ
MF:ポグバ、カンテ、マテュイディ
FW:グリーズマン、ジルー、パイエ
出場停止者:なし
負傷者:なし
▽一方のフランスは出場停止者、負傷者ともにおらず磐石の状態だ。そして、準々決勝を出場停止で欠場したカンテとラミが復帰する。彼らがそのままスタメンに復帰する可能性もあるが、アイスランド戦でフランスは今大会最高のパフォーマンスを見せているだけにアイスランド戦の[4-2-3-1]を踏襲する可能性があるかもしれない。その場合はカンテではなくムサ・シッソコが右サイドでスタメンとなる。
★タクティカル・プレビュー
▽実力拮抗同士の対戦となるだけに時間帯によって主導権が入れ替わる目まぐるしい展開が予想される。ただ、開催国のアドバンテージを武器に大観衆の後押しを受けるフランスがより積極的な試合運びを見せる可能性が高いかもしれない。ケガ人が多く、コンディションが万全でないドイツは、相手の出方を窺いながらまずはカウンターでけん制する試合運びを選択するのではないか。
◆主力3選手欠場の穴を埋められるか~ドイツ~
▽ドイツが決勝に進出する上で、主力3選手の穴を埋められるかが最大のポイントとなる。とりわけ痛手となりそうなのがゴメスの不在だ。グループステージ最終節の北アイルランド戦で今大会初先発を飾ったゴメスは、ゲッツェのゼロトップ・システムによって機能性を欠いていたドイツの攻撃のバリエーションを格段に広げることに成功した。ポストプレーとディフェンスライン裏を突くランニングで奥行きを使えるようになったドイツは2列目のエジルやミュラー、ドラクスラーが生き生きとプレー。北アイルランド戦以降は多くのチャンスを生み出し、順当な勝利を収めてきている。そのゴメスが不在となる中、ミュラーが持ち前のフリーランでゴメス同様に相手守備陣を引っ張るような動きを見せて2列目の選手たちにスペースを生み出せるかが勝敗の分かれ目となりそうだ。
▽また、J・ボアテングのパートナーを務めるフンメルスを出場停止で欠くのもやや痛い。新シーズン、バイエルンでコンビを組むことになる両者は共にビルドアップ能力に優れ、最後尾からゲームを作ることが可能だった。その片割れであるフンメルスを欠くことでフランス戦は後方からの組み立てにおいて、ややスムーズさを欠く可能性がある。ケディラの不在に関してはイタリア戦ではPKこそ外したものの、そつのないプレーを見せていた経験豊富なシュバインシュタイガーが務めるため、大きな問題にはならないはずだ。
▽不安要素が目立つドイツだが、守護神ノイアーが今大会さすがのパフォーマンスを発揮し続けている点は心強い。並のGKであれば失点してもおかしくないようなシーンでもノイアーは驚異の反応でビッグセーブを見せ、今大会わずか1失点に抑えている。また、左サイドのコンビが好調な点もフランス戦に向けては追い風だ。サイドバックのヘクターはここまで全試合にフル出場し、質の高い攻撃参加で存在感を示し続けている。また、左アウトサイドのドラクスラーも出場した際には鋭い仕掛けでドイツの攻め手となっている。フランス戦で対面するのは全盛期を過ぎた感のあるサーニャだけに、ドイツとしては左サイドから攻略を図るのが最善かもしれない。
◆好調攻撃陣、引き続き爆発なるか~フランス~
▽対するフランスとしては決勝トーナメントに入って以降、状態を上げてきている攻撃陣に期待が懸かる。とりわけ、前線3枚の中でも鍵を握っているのが最前線でプレーするジルーだ。アイスランド戦で先制ゴールを叩き込んだジルーは持ち前の身体の強さやテクニックの高さを生かして4ゴールに絡む活躍を見せた。大会前はベンゼマ不在によってストライカー不在が懸念されたフランスだが、ジルーがアイスランド戦のような活躍を引き続き見せられれば頂点も十分に見えてくる。
▽そのジルーが最前線で存在感を発揮することができれば、サイドには世界屈指のタレントであるグリーズマンとパイエが構えており、ドイツ相手にも十分爆発することが考えられる。グリーズマンはアトレティコ・マドリーでも発揮している得点力を代表でも見せており、ジルーがDFを引き付けてできたスペースをうまく活用することができている。また、パイエは精度の高いキックでゴールとアシストを量産。ドイツ戦でもジルーに多くのチャンスを生み出すはずであり、そこを決めきれるかがポイントだ。
▽一方で不安な点としては守備陣が挙げられる。中でも不安なのが出場停止が明けて先発が見込まれるラミだ。スピードに難を抱えるパワータイプのセンターバックは、前への守備には強さを見せるものの、自身背後への対応には大きな問題を抱える。対面するのがおそらくミュラーとなることから、かなり揺さぶられることが予想されるが、耐えきれるか。カバーリング能力の高い相棒のコシエルニーがラミのウィークポイントをケアできるかにも注目だ。
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