町田戦で初勝利期す東京V、木村勇大「チームにいい効果を生めるように」、綱島悠斗「自分たちが背負って戦うしかない」ファンに勝ち点3誓う

2025.02.25 18:00 Tue
町田戦で初白星狙う木村勇大(左)と綱島悠斗(右)
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町田戦で初白星狙う木村勇大(左)と綱島悠斗(右)
東京ヴェルディは26日、町田GIONスタジアムで明治安田J1リーグ第3節のFC町田ゼルビア戦を戦う。ダービーマッチでの今シーズン初勝利を期すFW木村勇大、MF綱島悠斗が意気込みを語った。

東京Vは前節、鹿島アントラーズとアウェイで対戦し、0-4の完敗を喫した。0-1で敗れた清水エスパルスとの開幕戦での不甲斐ない戦いを払拭すべく臨んだものの、同じく黒星発進でホーム開幕戦に臨んだ鹿島の圧力、開幕戦からの変化に対応し切れず。FWレオ・セアラとFW鈴木優磨の両エースストライカーに2点ずつを奪われた上、攻撃では前半こそ決定機を作ったもののシュート5本に終わり、2試合連続無得点での黒星となった。

京都サンガF.C.から完全移籍に移行し、今季は10番を背負いエースストライカーの重責を担う木村。キャリアハイの10得点を記録した昨季を超えるべく意気込んで臨んだ開幕だったが、ここまでは対戦相手の徹底した対策に加え、チームのビルドアップの機能不全もあって持ち味を発揮できず。
「うまく繋げていないぶん、みんながボールを受けるために低い位置に下りる状況や前だけ行って剥がされて分断してというのがすごく多い。それが取ったときの距離の遠さとかにも繋がっている」と、前線の選手として難しい状況を認める。

それとともに、「現状ではあまり多くのチャンスを作れていないので、ああいう1本を決められるようにしないとダメ。少ないチャンスで決めるか、決めないかで変わると思うので、次は決められるようにしたい」と、現状のチーム状況においてはチャンスで確実に仕留める必要があると、そのベクトルを自身に向けている。
「去年に比べて観ている人もわくわく感がないと思う」と躍動感を欠く攻撃の部分では鹿島戦での対戦相手のアプローチを引き合いに出し、チームメイトに対してより自身へのチャレンジのパスを要求。その上で個人としても味方のチャレンジを促すべく、動き出しの量や質で出し手をサポートする意識を強める。

「ギリギリの状況の縦パスはディフェンスもあまり準備できないというか、取った瞬間とかは特に。ゆったり回して狙ってばかりだと相手もボールを奪いに行きやすいので、そういう取った瞬間とかにもっと前を見てほしいですし、そこで受けられる準備を常にし続けたいです」

「前の選手は10回動いて10回来ることはないので、今後それを5回でも3回でも来たときにいい状況で前を向けるようにしたい。前を向けないと、攻撃で自分のよさも出ないので、そういう状況をもっと作りたい」

「前線としてもっと回数を増やさないとダメですし、『パスを出せばフリーだよ』という動きをやり続けることで、自然と後ろも見るようになると思うので、後ろからの視界を広げてあげるためにも、もっと動き出しを増やさないとダメだと思うので、そこは意識したいです」

また、ハイライン・ハイプレスを志向するスタイルでありながらも、開幕からの2試合は後ろへの重さや後方からのビルドアップの詰まりが全体に影響している部分は否めないが、「前がもっと引き出して結果を残せば、後ろもより守備に力が入ると思いますし、逆もしかり。そこはチームとして戦っているので、いい効果を生めるようにやりたいです」と、攻守一体を強調してあくまでチームとして良い方向に改善していきたいと語った。

一方の綱島は開幕から2試合連続で3バックの右で先発し、鹿島戦ではディフェンスラインの一員として悔しい大量失点も経験。個人としてはリハビリからの今季始動という部分もあり、コンディションや試合勘という部分で状態を上げながらと試行錯誤の段階だ。

その鹿島戦については「4失点してしまった理由というのはすごくわかりやすいと思いますし、ああやって個の力で負けてしまうと、相手に点を取れるフォワードはたくさんいると思うので、そこのバトルというのは負けてはいけない」と自身を含め反省を口にした。

“へそ”と形容する中盤の底を使ったビルドアップの部分では「相手の圧力というのは去年以上に感じますし、自分たちが使いたいゾーンを先に潰されている」と2年目での相手の対策を感じつつも、「逆境があるからこそ自分たちが成長できると思っているので、本当に成長するためだけに、自分たちにフォーカスしてやっていきたい」と、現状を乗り越えることが個人・チームとしてレベルアップに繋がると、あくまで前向きだ。

「相手の目線を変えることはすごく大事だと思いますし、自分たちがへそを使いたいからといって相手が来ているにもかかわらず、へそを使うとああいった失点にも繋がると思います。ただ、来ているから使わないというわけでもないですし、来ていても勇気を持って繋いで、その後のリカバリーだったりとか、自分たちのポジションを修正することによって、逆に相手を食いつかせるというのもできると思うので、そこは相手を見てというか、時間帯を見て判断しなければいけないと思います」

「逆に、自分たちが怖がってへそを使えなくなったら、たぶんこのチームは勝てなくなると思うので、そこはやっぱり自信持ってやっていきたい。自分たちが変化して、よりそこの時間をどう使うのかとか、どこのポジションでボールを回すというのは相手の状況を見て変化させていけたらなと思っています」

木村同様に「3連敗というのはあり得ない」と強い覚悟で臨む次節の町田戦。黒田剛監督の就任以降は、いずれも無得点でシーズンダブルを喫した昨季を含め1分け3敗と分が悪い。

「メンバーはあまり去年から変わっていないなかで、また新しい選手が入ってきて去年よりも強いチームになっていると思います」とライバルの力を認めた上で綱島は「それは自分たちも同じで、そこに対して絶対負けてはいけないというプライドがある」と一歩も引く気はない。

さらに、「彼らのためにも何としても次に勝ち点3をつかみたい」と開幕連敗スタートも、力強い応援でチームを鼓舞する緑の12番目の戦士の思いも背負って戦い、今季初白星を分かち合いたいと力強く語った。

「前回の試合内容で自分たちが下を向いてしまいそうなときでも、ああやってサポーターの方が顔を上げさせてくれたというのはすごく感謝しかないですし、本当に彼らのためにも何としても次に勝ち点3をつかみたい。町田に来てくれるサポーターもそうですし、来られないサポーターのぶんも自分たちが背負って戦うしかないと思うので、必ず勝ち点3をつかみ取って帰れるようにしたいなと思っています」

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半歩進んだ手応えを勝利に繋げられるか…東京Vの城福監督、名古屋のスピード警戒も「どこでサッカーしたいかはぶれないでやりたい」

東京ヴェルディの城福浩監督が、15日に味の素スタジアムで行われる明治安田J1リーグ第6節の名古屋グランパス戦に向けた会見を実施した。 現在、1勝1分け3敗の16位と厳しい序盤戦を過ごす東京V。8日にアウェイで行われた明治安田J1リーグ第5節のアルビレックス新潟戦は2-2のドロー。今季初の複数得点を奪っての初の引き分けとなった。 「次の勝ち点3に繋がるような戦いができた」とポジティブな要素も得て臨む今節は、開幕から未勝利で最下位に沈む名古屋を相手に、3戦目でのホーム初勝利を目指す。 城福監督は13日にクラブハウスで行われた会見の場で、最新のチームニュースに言及。ガンバ大阪戦の試合中に脳震とうで交代となったMF福田湧矢は、脳震とうからの復帰に向けたプロトコルを遵守した上でチームトレーニングに復帰。しかし、過去の既往歴を踏まえ、現時点で実戦復帰を急がせる考えはないと現状について説明している。 「彼(福田)の既往歴というか、これまでに複数回の脳震とう、あるいは脳震とうに近い状態でプレーを中断せざるを得ないという状況があったので、我々はその回数というのもすごく重視しています」 「ただ、メディカル的な専門的な診断というのも、しっかり聞きながらのアプローチをしているので、彼の不安感であるとか、そうは言ってもゲームのときにはヘディングをしなくていいという状況にはならないですし、この前のシーンのように必ずしもヘディングでそういうふうになるわけではなくて、ボールがクリアされたり、シュートブロックでも頭部に当たることがあるので、そこへの不安感とか迷いというのが、もし彼にあるのであれば、そこはなかなかピッチに立たせるのは難しいと思います」 「彼とよく相談をしながらという言い方がいいか、そこの不安感を確認しながらですけども、彼のなかではこれまでも何度か経験があったように、それまでのゲームへ向かうプロセスにおいては慎重にやりながらも、ゲームが始まったらピッチに立ってやりますというのは、ヴェルディに入ってからも何回もそういうことがあって、実際にそれで試合に出たらヘディングで競っている。そこはメディカル的な見地と、彼の心情というのをしっかりと我々は汲み取りながら、送り出していくときにはしっかりと送り出していくということだと思います」 また、前節の新潟戦において開幕戦以来のスタメン起用で初ゴールを挙げたFW木村勇大のパフォーマンスについて改めて言及した指揮官。その特大のポテンシャルを知るがゆえに、依然として評価は厳しいものとなったが、対戦相手からの対策を打ち破っての本格的なブレークを期待する。 「彼が去年J1で10点取って周りからは注目されたと思います。当たり前ですけど注目をされるということは対策をされるわけで、その対策を超えて去年よりも数字的にも数字の見えないところでもチームに貢献することこそが本当のブレーク。去年というのはその片鱗、ポテンシャルを見せただけだと思います」 「今年について彼も期するものがあったと思いますけど、特に開幕のところは対策をされたときに、それ以外でチームに全く貢献できなかった。攻撃面で言えば彼はストライカーなので、対策を上回るものを見せなければいけない。それは動き出しであったり、圧力を受けながらの質であったり、(シュートの)振りの速さ、クロスの入り方であったりのところ」 「もうひとつは対策をされたら、むしろチームのマイナスになるような状態になれば、これはピッチに立てない。それを彼はここ数試合で思い知ったと思いますし、まずはチームに貢献するような、あるいは勝つための守備からスタートして、そこから自分の良さを出していくというところが、この前の試合は全部やり切れたとは言わないです。まだまだなところもありますけど、その姿勢というのはしっかり見えましたし、まだ体がフレッシュな時間帯においては、あのような一振りも、あのような動き出しもできるというところ。それは彼が持っているもので、我々は驚くべきものでも何でもないです」 「問題はその前後でチームの勝利のために何からスタートしたかというところがすごく大事。前からのチェイシングで相手に制限をかけて、より前で奪うことがより得点に繋がるんだということを、彼がやり続けてそのやれる時間というのが少しでも長くなっていけば、もっと得点のチャンスは増えていくと思いますし、それこそ相手が対策できない。それを我々が言わずとも、彼がオートマティックにやれるようになれば、それこそひとつブレークしたと言える選手になるのではないかなと思います」 名古屋戦に向けて指揮官は、度重なる負傷者の影響もあって2分け3敗と開幕から低迷する対戦相手の不調を認めながらも、「本当に層が厚いチーム」と警戒。 「今年に関して言えば、もちろんケガ人が何人か出ているというのは承知していますけれど、それでもマテウス(・カストロ)をもう一度呼び戻して、後から出てくる選手を含めて、本当に層が厚いチームだなと思います」 「クオリティの高い選手、キックで違いを見せられる選手もいれば、高さもある。セットプレーからの得点も多いですし、ミドルシュートを打てる選手がいる。中盤は本当にハードワークできる選手を揃えているので、どの試合を見ても、勝ち点3を取ってもおかしくない試合をしていると思います」 続けて昨シーズンの1勝1敗の戦績、今季開幕前の沖縄キャンプで実施されたトレーニングマッチにおける主力組同士の対戦結果(1-3●)も踏まえた上で、厳しい戦いを覚悟。とりわけ、FWキャスパー・ユンカー、FW山岸祐也の負傷離脱によって、よりスピードと背後を意識するであろう、相手の攻撃をいかに封じるかが重要なポイントになると語った。 「我々は去年、ホームでは勝ち点3を取れましたけど、アウェイでは本当にねじ伏せられたというか、早いうちに点を取られて何となくボールを持たせてもらっているけれども、ほとんど相手のゴール前に崩して入っていくことができなかった。本当に相手の思う通りの試合をやられた印象があります」 「入りのところも十分に気をつけなければいけない、セットプレーも気をつけなければいけないし、個の局面でも個人としてもチームとしてもしっかり対応しなければいけない。何よりも永井(謙佑)とマテウスのスピードに関しては、チーム全員でカバーしなければいけないと思っています」 「スピードのある選手はどこのエリアでもスピードがある。一番出されたくないのは我々のゴール前。ペナの周辺で、本当の10メーターをトップスピードで入るのが非常に速い選手たちなので、そこで5メーター、10メーターをスプリントさせるような状況を多く作るような展開にはしたくない。そういう意味で、我々がどこでサッカーしたいかというところは、ぶれないでやりたいなと思います」 パフォーマンスの部分では清水エスパルスとの開幕戦でマイナスからのスタートとなった昨季の6位チーム。以降は前進と後退を繰り返す序盤戦となっているが、半歩進んだ新潟戦の戦いを活かして前進できるか。 2025.03.14 19:30 Fri

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【J1注目プレビュー|第6節:東京Vvs名古屋】目指すは今季2勝目or初勝利、下位に沈む両者のカギは攻守のバランス

【明治安田J1リーグ第6節】 2025年3月15日(土) 14:00キックオフ 東京ヴェルディ(16位/4pt) vs 名古屋グランパス(20位/2pt) [味の素スタジアム] <h3>◆攻撃の改善は? 今季2勝目目指す【東京ヴェルディ】</h3> 前節はアウェイでのアルビレックス新潟戦。未勝利の相手との戦いとなった中、2-2のドローに終わり、勝ち切ることができなかった。 昨シーズンとは異なり、シーズン序盤は苦しい戦いが続き、5試合を終えてわずか1勝。特に攻撃の部分では安定して結果を残せていないという状況だ。 ただ、前節は木村勇大が開幕戦以来となる先発起用で豪快ゴール。チームも今季初の複数得点を記録し、徐々にエンジンがかかってきた様子。ホームに戻る今節では爆発も期待したい。 対戦相手の名古屋は今季未勝利の最下位チーム。沖縄キャンプでトレーニングマッチですでに対戦している相手だが、しっかりと勝利を収めたいところだ。 ★予想スタメン[3-4-2-1] GK:マテウス DF:綱島悠斗、林尚輝、谷口栄斗 MF:宮原和也、森田晃樹、齋藤功佑、翁長聖 FW:染野唯月、新井悠太 FW:木村勇大 監督:城福浩 <h3>◆今季初勝利を掴めるか【名古屋グランパス】</h3> 昨シーズンのカップ王者であり、大きな戦力ダウンもないはずの名古屋だが、ここまで未勝利の最下位。想定外と言えるだろう。 ケガ人に泣かされてきた部分もあるが、やはりここ数年の課題でもある攻撃の改善ができていない印象。豊富なタレントがいながらもまだまだ完成度は低いと言えるだろう。 安定感のあった守備も、GKミッチェル・ランゲラックの退団の影響が絶大であり、頼みのGKシュミット・ダニエルが開幕前に重傷。守備陣もケガ人が少なくなく、不安定さを露呈。5試合で12失点はリーグワースト。まずは守備から入りたいところだろう。 明るい材料は少なく、FW山岸祐也とDF 徳元悠平の離脱が発表された。泣きっ面に蜂の状態だが、まずは1勝目を目指す。 ★予想スタメン[3-4-1-2] GK:武田洋平 DF:原輝綺、佐藤瑶大、宮大樹 MF:野上結貴、稲垣祥、椎橋慧也、和泉竜司 MF:森島司 FW:浅野雄也、永井謙佑 監督:長谷川健太 2025.03.15 09:00 Sat
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今季東京V加入の平川怜&鈴木海音、ルヴァンカップ長野戦をポジション奪取足掛かりに「ギラギラした気持ちはずっと持ち続けている」

東京ヴェルディは20日、長野Uスタジアムで行われるJリーグYBCルヴァンカップ 1stラウンド第1回戦でAC長野パルセイロと対戦する。ルヴァンカップ初戦をポジション奪取への足掛かりとしたい今季新加入のMF平川怜、DF鈴木海音が意気込む。 東京Vは先週末に行われた明治安田J1リーグ第6節の名古屋グランパス戦を2-1で逆転勝利。待望のホーム初白星とともに今季リーグ2勝目を手にし、インターナショナルマッチウィークの中断期間に入った。 その中断明けには、ここまで4位と好調を維持する柏レイソルとのアウェイゲームを控えるなか、J3の長野と対戦する。 超野心的な目標を掲げる城福浩監督は、昨季はいずれも2戦目で敗退したカップ戦の戦いを重要視。タイトルを目指すなかで序盤戦においても若手や控えメンバーに“チャンスを与える”は考えはなく、その門戸を広げながらも“チャンスを掴む”ことを求めている。 とはいえ、「次のリーグ戦、連戦に向けてトライしたい」と今後に向けた選手層の底上げや新たなオプションも考慮しており、いくつかのポジションで選手の入れ替えも見込まれる。 そんななか、加入後初スタメンが有力視されるのが、ジュビロ磐田から新加入の平川だ。 開幕から3試合連続で途中出場の背番号16は、以降2試合で出番なしに終わったものの名古屋戦ではMF森田晃樹の負傷を受けて前半半ばに途中出場。ボランチの一角で安定したパフォーマンスを披露し、チームの逆転勝利に貢献。少なくとも今回の一戦に関して森田の出場は難しく、ボランチの一角で初スタメンを飾る可能性は高そうだ。 「移籍してきた立場なのでチャンスを活かさないといけないですし、そこ(名古屋戦)はターニングポイントであることは間違いないです」 名古屋戦で手応えを得た平川だが、「ただ、そこで(最低限の役割を)こなしているだけでは、立ち位置を掴めないと思うので、自分の良さを出して勝利に繋げるというのが、常に求められています」。「ボールにしっかり関わり続けることはやっていかないといけないですし、それは守備も攻撃もですけど。そこから自分たちが常に主導権を握れるようなプレーをしていきたい」と、より一層の存在感を示すことを自身に課す。 対長野という部分ではロアッソ熊本時代に指導を受けた藤本主税監督の存在も大きなモチベーションに。 「技術のところはもちろんですけど、気持ちが熱い指導者だと思いますし、メンタル的なところも大事にしていたと思います」と対戦相手の指揮官について触れた元ロアッソMFは、「かなりお世話になった指導者ですし、藤本さんが監督になってどういうサッカーをしてくるかというのはとても楽しみです」と語った。 ジャイアントキリングを目指してアグレッシブに臨むであろうJ3のチームに対して、受けに回る入りとなった場合、名古屋戦同様に厳しい戦いになることは間違いない。 そのため、平川は「自分たちが試合の入りから圧倒してというような戦いができたら、また次のリーグ戦にも繋がると思いますし、ここで温い入りをしていたらそのままというか、変わっていないと思うので、ここが大事なゲーム。相手も特徴のあるチームですけど、自分たちがどれだけできるかということが一番大事」と、試合の入りから相手を90分間圧倒する戦いを見せたいと意気込んだ。 その平川と同じ磐田から新加入となった鈴木は、より今回の一戦で自身の価値を証明しなければならない選手の一人だ。 昨年のパリ・オリンピックに出場した実力者だが、ハイレベルのポジション争いを覚悟して加入した新天地では第5節のアルビレックス新潟戦の後半終盤の出場でデビューを果たしたが、ベンチ外も3試合と想定以上の苦戦を強いられている印象だ。 それでも、日本一のトレーニングを掲げる指揮官、昨季も多くの選手を成長させてきた森下仁志コーチが主導する全体練習後の“エクストラ”と呼ばれるグループ・個別トレーニングを通じて心身ともに成長を実感する鈴木。 「自分がなかなかピッチに立てない。去年もずっとフルで試合に出ていたわけではないので、今年環境が変わってチームも変わって、やっぱりスタートからもちろん出る気持ちでいましたけど、なかなかそういう機会というのが回ってこない中でも、周りの選手もベンチに座っている選手とかも、自分がいつ出てもいいというような準備をしていますし、全体練習が終わった後のそういったメンバーの練習も、すごくみんなが熱量を持ってやっていますし、そこはすごくいい環境だなと思っています」 そして、「ワンプレーのこだわり」、「練習中も考える時間が増えた」と新たな気づきもあったなか、自身の課題を克服しながら手応えを得始めている段階にある。 「スライドの部分だったり、もっと周りを動かして自分がディフェンスラインを統率するところだったり、ヘディングも元々は短所の部分だと感じていましたが、ここで出られない期間で、去年よりも明らかに練習する時間が増えていると思いますし、サッカーを見る時間も増えて今すごくサッカーに集中できています」 「間違いなく最初に来たときよりも自分の良さというものは出せていると思いますし、チームのやることもだんだん理解できてきて、それにプラスアルファで自分の良さを最近はすごく出せていると思いますし、コンディションもいい状態です」 ただ、「若いと思っていない」、「今日の練習だったり、次の試合が自分にとってサッカー人生最後だったらと考えたら、もっとこだわらなければいけない」と悲壮感も漂わせる22歳は、「サッカー選手としてピッチで結果を残すことが一番。もちろん成長にこだわるのもすごく大事ですけど、結果にもこだわってやっていきたいので、自分がいつ出てもいいように、そういうギラギラした気持ちはずっと持ち続けてやれているので、それをピッチに立ったときに出すしかないと思います」と、改めて公式戦出場への強い思いを示した。 「長い期間一緒にやっていた選手なのですごく楽しみ」と語る磐田時代の元同僚であるMF藤川虎太朗とのマッチアップもモチベーションに臨む長野戦に向けて鈴木は、チームの勝利とともに今後に向けてプラスアルファをもたらしたいと語った。 「どういうメンバーになっても、まず勝つことがすごく重要になってくると思いますし、相手が下のカテゴリーだからとか全く関係なく、自分たちが今まで積み上げてきたものを出すだけです。プラスアルファで、普段リーグ戦に絡めていない選手だったりが、突き上げというか、そういったものを見せなければいけないと思うので、そこを意識していきたいなと思います」 2025.03.19 18:00 Wed
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「まだまだ信用されていない」東京Vの2年目FW白井亮丞は冷静に立ち位置理解も「献身性もありつつ結果残す」出場機会確保へぎらつく

緑の若武者が前線の相次ぐ離脱者を受け、虎視眈々とチャンスを窺う。 ジュニアユースから東京ヴェルディの下部組織に在籍するFW白井亮丞は、プロ2年目で飛躍が期待される185cmの本格派ストライカー。 2種登録選手として2023年6月に行われた天皇杯2回戦のザスパクサツ群馬戦でトップチームデビュー。さらに、翌月に行われた天皇杯3回戦のFC東京との東京ダービーでは初ゴールを挙げる活躍を見せ、同シーズンにJリーグデビューも果たした。 だが、プロ1年目となった2024シーズンは第5中足骨疲労骨折および、有痛性三角骨障害の全治3カ月のケガを負うなどシーズンを通して負傷に悩まされ、公式戦出場なしのほろ苦いルーキーイヤーとなった。 捲土重来を期して臨む今シーズンは、昨年の離脱期間に集中して取り組んだ筋力アップによって上半身を中心に体の厚みを増しつつ、プレシーズンもハイインテンシティを志向するチームスタイルに順応すべく運動量、プレー強度の改善に取り組んできた。 そして、明治安田J1リーグ開幕節の清水エスパルス戦では途中出場でプロデビューとともにJ1デビューも果たしたが、「正直何もできなかった」とピッチに送り出した城福浩監督の言葉通り、白井自身も不甲斐なさを反省した。 以降のリーグ戦3試合はベンチ外となったが、この間にチームでは最前線のファーストチョイスとなっていたFW山田剛綺が左ヒザの重傷によって長期離脱が決定。8日に行われた第5節のアルビレックス新潟戦では白井に4試合ぶりのベンチ入りのチャンスが訪れた。 この試合でチームは今季初の複数得点を記録し、一時逆転を許したアウェイゲームで2-2の同点に追いつくポジティブな勝ち点1という結果を持ち帰ったが、19歳のストライカーは「まだ信用されていない」と出番なしに終わった悔しさを強く感じた。 「1-2、2-2の状況で、自分が選択されなくてまだ信用されていないということはわかりました。あの状況(点が必要な状況)で使われる。そういう使われ方をするのかなと自分では思っていたので、そこでまだ自分が使われないということは、まだまだ信用されていないということです」 下部組織時代からエースFWを担ってきた矜持を滲ませつつ、チームが序盤戦で負け越している状況において、ストライカーとして得点という結果で貢献できないもどかしさがあったことは想像に難くない。 それでも、反骨心とともにあくまで自身の成長にベクトルを向ける若武者は、その新潟戦翌日に行われた清水エスパルスとのトレーニングマッチでフル出場。ゴールという目に見える結果に加え、90分間走り抜いて攻守にハードワークもこなした。 白井自身も「ここで少しでも信用を勝ち取るために、まず守備から主力と比較しても遜色なく、さらにまた一段階ギアを上げて出られる選手と思わせるようなプレーができたらなと思ってやっていたので、点を取ることもできて、90分走り続けることもできたので、そこは良かったかなと思います」と清水戦の手応えを口に。 「練習からコロコロと転んでしまうことが多いので、そこは城福さんにも指摘されていて、『簡単に転ぶな』という部分を言われてきたので、その部分での力強さや(木村)勇大くんが最後にガス欠したときに、自分が出ても前で体を張ることができるということを意識してやりました」 「高橋(祐治)選手が出てくるのもわかっていて、以前から知っている選手ですし、そういう選手に対して通用できれば、J1でもやっていく自信がついてくるかなと思っていたので、そこで体を張ってうまくできたので、フィジカルの勝負のところでの自信はついたと思います」 城福監督もいくつかの課題を挙げつつも「自分の特徴とチームの求めるものというのを合わせられたシーンがたくさんあった」、「早く戦力になってほしい」と開幕戦からの成長を認めた。 今後出場機会を得ていく上では攻守にわたるベースアップは当然のことながら、指揮官も自身も想定する、得点が必要な状況での決定的な仕事。前線の駒が不足するなか、試合終盤における前線でのハードワークという“ゲームチェンジャー”としての役割をこなせるか否かがポイントとなるはずだ。 清水戦を含めトレーニングマッチにおける得点能力、日々のトレーニングでもシュートに関して非凡なものを見せているが、ポジションを争う両エースに比べて「まだまだ」とさらなる改善を訴える。 「シュートの部分に関しては毎日練習が終わった後とか、フォワードの選手たちと一緒にやったり、仁志さん(森下仁志コーチ)とやっているので、精度は上がってきていると思います。ただ、まだまだソメくん(染野唯月)とかに比べたら低いので、もっともっと練習していこうと思います」 「ソメくんは両足蹴れますし足の振りも速い。勇大くんも一瞬の動きで外してシュートをファーにうまく打てるので、参考になる部分が多いです。もちろん真似したいところはありますが、シュートに関しては真似というよりも、自分の感覚でやった方がいいかなと思っているので、たくさん打っていきながらフィーリングを合わせていけたらなと思います」 同じく185cmの恵まれた体躯をまだまだ活かし切れていない空中戦についても「やっぱり(山田)剛綺くんがそういう部分で、勇大くんからポジションを奪って出ていましたが、今はケガをしてしまい、そういうことできる選手が1人欠けたので、自分は空中戦がそこまで得意ではないですけど、そこはやらなければいけない、絶対に求められているものだと思うので、成長できたらなと思います」と、真摯に課題に取り組む。 前線のコマ不足と清水戦のアピールによって、15日に控える第6節の名古屋グランパス戦、20日控えるJリーグYBCルヴァンカップのAC長野パルセイロでの今季2試合目の出場も期待される。 緑の背番号27は「ポジション的にも前線の選手が足りない状況で、ルヴァンカップも含めてチャンスが回ってくると思うので、この前の清水戦みたいな献身性もありつつ得点という形で結果を残して、もっと城福さんにJリーグでも通用するぞというアピールに繋げられたらなと思っています」と、今後の戦いに向けた決意を示した。 2025.03.14 17:05 Fri
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「伝わっていないということは伝えていないと同じ」逆転でホーム初白星も東京Vの城福監督は名古屋戦での多くの課題に言及

東京ヴェルディの城福浩監督が、多くの課題が出たなかでの今季ホーム初白星を振り返った。 東京Vは15日、味の素スタジアムで行われた明治安田J1リーグ第6節で名古屋グランパスと対戦し、2-1で逆転勝利した。 今季初の複数得点を奪って2-2のドローに持ち込んだアルビレックス新潟戦と同じメンバーで臨んだ一戦。[3-4-2-1]のミラーゲームという構図の下、球際のデュエルとマンマーク気味の相手の守備に対して、効果的にずれを生み出すことをテーマに掲げたなか、前半は相手の勢いを受ける難しい展開となった。 立ち上がり数分の劣勢を撥ね返し、徐々にボールを保持して攻撃を仕掛けたいところだったが、21分には自陣でのビルドアップを引っかけられてMF森島司に先制点を奪われた。その後、MF森田晃樹の負傷によってMF平川怜のスクランブル投入を余儀なくされたなか、前半は攻撃の糸口を見いだせず。 それでも、後半に入ってDF宮原和也を下げてFW山見大登を投入し前がかりの戦いを見せると、押し込んだ時間帯の63分にFW染野唯月の中盤でのボール奪取からカウンターを発動。左サイドを突破してボックス内に持ち込んだ山見のニア下を狙ったシュートがGK武田洋平の脇を抜けてゴールネットを揺らし、同点に追いついた。 以降は完全に試合の主導権を握り、73分には山見の右CKをゴール前のMF綱島悠斗がゴール右上隅へヘディングシュートで流し込み、2試合連続ゴール。以降は開幕から未勝利でヘッドダウンしたアウェイチームの反撃を危なげなく凌ぎ切り、今季初の逆転勝ちで待望のホーム初白星を挙げた。 一見すると、ハーフタイムの修正と交代策が機能した指揮官の手腕光る逆転勝利と言えるが、「ホームで勝てていなかったので、サポーターと一緒に喜び合えたのは本当によかった」と会見の冒頭で語った後の城福監督からは自身を含めたチームの問題点に関する言葉が並んだ。 「前半は相手が特に中盤のところで非常に激しく来るのはわかっていました。そのなかでこのチームの課題ではありますけれども、どうしても受けてしまう。やり合わないというか、このチームの課題が露呈したような前半でした」 「ハーフタイムにそこを修正して、ピッチに送り出しましたけれど、あの後半頭からの気迫とサッカーを、前半から自分たちがしっかりやれるというところを、このチームが表現できれば、もっともっと高いものを目指せるチームになり得ると思います」 「殴られてから目が覚めるという部分では、そこは人がいいというのか、ピッチ内のリーダーがいないと言うべきか、そこをちょっと育てきれていない自分がいるので、ここは自分としてもチームとしても課題かなと思っています」 試合後に選手たちも口々に不甲斐なさを語った前半に関しては、単純な球際、ハードワークの部分での劣勢に加え、効果的な立ち位置や相手の守備の矢印を折れていない状況にも関わらず、“へそ”に固執した戦い方。嵌る状況が続くなかでの後ろ向きなプレー選択を問題視。「伝わっていないということは伝えていないと同じ」と勝利した上で今後に向けた戒めとした。 「後ろへの選択が極力少なくなるような準備をしてきたつもりですけど、あの前半を見たら、全く準備をしていなかったと言われてもしょうがないですし、それぐらい私も悔しいです。伝わっていないということは伝えていないと同じなので、自分ももっともっと精進しなければいけないなと思います」 「ヴェルディが抱えるひとつの課題。綺麗にかわそうとするというか、戦い合ったなかで、90分間あのインテンシティにはならないので、どこかでへそを使って我々らしくサッカーはできるはずですけど、来られれば来られるほどに、まずそこに選択が行ってプレッシャーがあるので、当たり前ですけど前を向けないのでバックパスになる」 「まずはファイティングポーズを取って戦い合うところからスタートするというところは、このチームが相手を見ながらそれを選択できるようになれば、チームの伸びしろになるかなと思います」 普段の水準を下回った前半の出来、後半の名古屋のトーンダウンも逆転劇の要因ではあるが、絶望的な前半から本来のパフォーマンスを取り戻させた指揮官の修正は見事と言うべきだろう。 そのハーフタイムの修正、選手たちを奮い立たせた“檄”の内容について問われた指揮官は、「僕が彼らに伝えられるかどうかの勝負なので、そこはお察しください(笑)」と明言を避けたが、「守備でも攻撃でも中途半端なポジショニング、プレーが多かったという指摘があった(平川)」、「これはいつもの俺らじゃないという話があった(綱島)」と短い映像を使ったロジカルな修正とともに、選手の心に響く声掛けがあったことは想像に難くない。 大きな手応えを得たものの勝ち点1に終わった新潟戦に対して、勝ち点3は得たもののより多くの課題が出た名古屋戦と、若さゆえのムラっ気をはらむ東京Vの序盤戦。 ひとまず今季2勝目を手にした城福監督だが、「まだ五分の星に持っていけていない」と、次節に控える上位の柏レイソルとの戦いが今後に向けた重要なものになると気持ちを切り替えた。 「まだ五分の星に持っていけていないので、まずはそこに早く到達したいなと。そこからが勝負だと思っていますし、このチームが今年を迎える難しさであったり、我々が目指す超野心的なものを表現するという部分においては、まず星を五分に戻さないと話にならないというふうに思っているので、次がものすごく大事かなと思います」 「開幕で負けて以来は内容的に全否定するものではなかったけれども、勝ち点という意味では追いついてきていないので、まずは五分に戻してからが、我々が今年見せたいものを地に足をつけてしっかりと見せていくということが大事かなと思っています」 なお、前半に左足を痛めて負傷交代したキャプテンの森田に関しては、悪化を防ぐ予防的な意味合いもあってか、試合後に松葉杖を使用しピッチを後にする姿も確認された。 開幕から負傷者が続出するなかでの主将の状態は大きな懸念材料となるが、指揮官は「ちょっと強い打撲と聞いています。ただ、打撲の場所であったり症状からして、今はおそらく普通に歩行ができない状況。どれぐらい長引くかというのはちょっと様子を見なければいけないかなと思います」とコメントしている。 2025.03.15 22:05 Sat
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「今一番このチームで点火力のある選手」指揮官も重要性認める緑のダイナモ…東京Vの齋藤功佑が名古屋戦へ「まず走り勝つことが大事」

名古屋グランパス戦で今シーズンのホーム初白星を目指す東京ヴェルディのキーマンが意気込みを語った。 現在、1勝1分け3敗の16位と厳しい序盤戦を過ごす東京V。それでも、8日にアウェイで行われた明治安田J1リーグ第5節のアルビレックス新潟戦では今季2勝目こそ逃したが、今季初の複数得点にビハインドの状況から追いつく2-2のドローと、厳しい戦いが続く状況においてもポジティブな要素も得た。 その前節は豪快なシュートで先制点を挙げたFW木村勇大、貴重な同点ゴールを挙げたMF綱島悠斗の活躍も印象的だったが、試合を通して傑出したワークレート、判断・技術が光ったアシストで同点ゴールを演出したMF齋藤功佑のパフォーマンスがより印象的だった。 この一戦において齋藤はJ1第5節のリーグ全体のトップとなる走行距離(13.556km)を記録。守備時は3トップと連動する形でアグレッシブなハイプレスに参加しつつ、MF森田晃樹とともに中盤の幅広いエリアをカバー。攻撃でも“へそ”と言われる中盤の底でビルドアップの起点を担いつつ、相手のボックス付近まで攻撃参加を披露。 さらに、前線に離脱者が相次ぐなか、後半途中からは[3-4-2-1]のシャドーに入り、守備のスイッチ役と前線と中盤のリンクマンとして新たな顔も見せた。 後半終盤にはバルセロナのスペイン代表MFガビを彷彿とさせる、ピッチに倒れ込みながらも頭でルーズボールを味方に繋げようとするなど勝利への執念も示した緑のダイナモは、「勝ちたかったですけど連敗しなかった、追いつけたという部分ではチームとしてタフになった証拠」と、新潟戦をポジティブに振り返った。 自身のパフォーマンスに関しては「本当に勝つためにプレーした結果が数字(走行距離)にも表れたという感じ」と冷静に受け止めながらも、自信とともに新たな課題を口にしている。 「シンプルに90分間あの強度でプレーできたというのは自分にとっても自信になりますし、次はまた質の部分だったり、新しい課題に向き合いながら、もっと成長できたらいいかなと思います」 「(積極的なプレスと攻撃参加)自分の中でだいぶ強度が出せるようになってきたなかで、行けるときは積極的に前に顔を出していきたいというのは、自分の成長する部分としてトライしているところですし、自然とそういうシーンが増えてきてはいると思います」 また、城福浩監督の下では[4-2-3-1]のトップ下や[4-4-2]のサイドハーフでもプレーしてきたが、新潟戦ではチーム事情もあってシャドーの位置でプレー。 「ボランチとは動きが全然変わる」と試行錯誤のプレーとなったが、「そこの意識の切り替えの部分は自分の中で整理できてやれた。(谷口)栄斗が持ったときに背後への抜け出したりとか、ウイングバックにボールが入ったときになめる動きとか、ビルドアップのときはちょっとボランチを助ける動きとか。意外と整理できていたので、悪くはなかったかなと思っています」と、その感触を語った。 13日に行われた監督会見の場で、そのシャドー起用について問うと、指揮官はボランチを含めポジションが重なる選手の奮起を促しつつも、十二分にオプションになり得ると返答。さらに、「今一番このチームで点火力のある選手」とその重要性を改めて語っている。 「ボランチについて、今は森田晃樹と齋藤功佑で、我々らしく“へそ”を使いながら、相手陣でサッカーをするというところを具現化してくれている選手。何よりも彼の点火力というか、あれこそが背中から頭から湯気を出してチームを牽引するということを具現化しようとしてくれている選手」 「ボランチとしても、もちろん彼の中での課題というのを突き詰めていってほしいところはありますし、我々は提示も要求もしますけど、あのスイッチの入れ方であるとか、それこそ13kmを超える運動量であったり、両足蹴れることによるチャンスメイクであったりというのは、我々はそこにも注目している」 「攻撃バージョンになったときに、何よりもまずはボールを奪わなければいけないので、そこのスイッチにもなり得ますし、ボールを集めながらゲームを作りながらゴール前に入っていく走力も今はあるので、ボランチとしてもシャドーとしても、今の彼の運動量とかインテンシティを持ってすれば、両方こなせるかなというふうに思います」 指揮官がその存在感を称賛した背番号8は、15日に味の素スタジアムで行われる最下位の名古屋戦でも勝敗のカギを握るキーマンの一人となる。 開幕前の沖縄キャンプで実施されたトレーニングマッチでは、ともに主力を起用した1本目と2本目で1-3の逆転負けを喫した相手との再戦に向けて齋藤は、“ミラーゲーム”をいかに優位に進められるかが、ホーム初勝利の重要なポイントになると主張した。 「ミラーゲームになる上で、相手のボランチがハードワークできて球際とかセカンドが強いイメージがあります。攻撃では個がある。スピードだったり、パワーだったりという選手が多いイメージ」 「ミラーゲームというところが非常に重要になってくると思うので、そのバランスをいかに崩せるか。ワンタッチフリックとかがすごく大事になってくると思いますし、3人目の動き、ボランチの3人目の抜け出しみたいなのは攻撃で大事になるので、まず走り勝つことがまた大事になるかなと思います」 2025.03.14 18:15 Fri

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