「我々らしさを取り戻す」原点回帰で鹿島撃破狙う東京Vの城福監督「開幕戦から様変わりした様子を見せなければいけない」
2025.02.21 20:46 Fri
強い覚悟で鹿島戦に挑む城福監督
東京ヴェルディの城福浩監督が、22日に県立カシマサッカースタジアムで行われる明治安田J1リーグ第2節の鹿島アントラーズ戦に向けた会見を実施した。
選手たちも口々に反省の言葉を語った開幕戦のパフォーマンスを受け、今週のトレーニングではチーム全体にピリッとした空気が漂っていた。
城福監督は20日にクラブハウスで行われた会見の場で、改めて清水戦の反省を語るとともに、鹿島戦へのアプローチについて言及した。
そのなかで城福監督が「一番大きな問題」と指摘したのは、敗戦という結果以上に自分たちが志向するスタイルの“一端”も披露できなかった点。
「おそらく(開幕戦を)見ている方が、『ヴェルディってこんなだったっけ』と、おそらくそういう印象を持たれたのではないかなと。『ヴェルディはもっと尖ったものがあったはずだった』と、抽象的に感覚的に言えば、そういう感覚を持たれてもしょうがないような試合をしてしまった」
「それが何なのかというのはもちろん、攻守においてサッカーの側面からもメンタルの側面からもアプローチはしましたけど、ヴェルディが去年のJ1で周りの期待、予想をいい意味で裏切れたのか。それがどういうことなのかというのが、見ている方が漠然とでも感じられたものが、この前の開幕戦では感じさせることができなかった。それが一番大きな問題でした」
「人間なので『この舞台が当たり前と思うな』と言われても、あるいは『5万人の観衆の中でプレーするのを人生で何回できるのか』というふうに言われたとしても、やっぱり去年の開幕の頃の、『この舞台を絶対に逃してはいけない』という思いと比べれば、(今回の開幕戦でより)思いが濃かったと言えないのは事実で、その思いをもう一度取り戻すためには、そういう思いを内に秘めている選手を起用していくということもそうですし、出ていた選手が我々のいろんな面でのベースをもう一度思い出させるということ。その両方のアプローチが必要かなと考えています」
その反省を踏まえた上で鹿島戦に向けては「我々らしさをまず取り戻すこと」と、「ヴェルディの試合は心を打つ」とも評された愚直さやアグレッシブさ、最後まで諦めない姿勢。個のタレントの質や選手層で上回る相手に渡り合うために、突き詰めてきたコレクティブ且つリスクを負うプレースタイルの部分を改めて徹底することをチーム全体で確認した。
「去年からやってきたこと。今年のプレシーズンでやってきたことのルートを逸脱することなく、ただ何に尖っていたのかと。我々が我々のような経験値で、我々のような規模のクラブが丸くなったら勝負できない。何に尖ってきたのかというのを、もう一度みんなで認識すること。尖れば必ずリスクがある。我々は何のリスクを背負ってやっているのかと。そこを含めてみんなで強い共通意識を持って、今週は準備しています」
より戦術的な部分では「何のリスクを背負ってやっているのか」との前述の発言と関連する形で、チームが強みと特徴としているMF森田晃樹、MF齋藤功佑ら攻撃的なボランチ2枚を軸に“へそ”と形容する、中盤を使ったビルドアップ、攻撃の組み立ての改善をテーマに掲げた。
「4バックの相手との対戦では相手が4バックで守る。そこでの我々の立ち位置というのはアンマッチになるはずですけど、本当にいやな位置に立ち続けたか。安易にボールが受けやすいところに引いてきてないかとか、本当の一番深いところの一番いやなところで、我々はよく『制限のあるなかで自由を勝ち取れ』と言っていますが、自由に受けやすいのであれば、どんどん引いてくればいいですけど、それは何にも怖くない」
「だから、ここにいられたらいやだなというエリアの中でもっともがいてくれと。そこは新しい選手も入って、既存選手もまだまだ易きに流れているというか、ポジションの取り直しであったり、動き直しであったりはもっとやらなければいけない」
「“へそ”はどこのチームも抑えにくる。今までの“へそ”の受け方でボールが受けられるかというと、受けさせてくれないのはこの前の試合でよくわかったと思いますし、まだまだ改善の余地あり。ただ中間ポジションに立っていればボールが入ってくると思ったらそれは大間違いで、そこにも2秒、3秒前の工夫がいる。ボールホルダーがどういうボールを持ち方をするかというのもすごく大事なので、センターバックのボールの持ち方ひとつ、コントロールが一つ目、二つ目をどの方向で持っているかというのも、これはもうみんなで共有しました」
「我々が何のリスクを背負ってこのメンバーを選んでるかを考えたら、このボールの持ち方ひとつで全部飛んじゃうでしょと。蹴るしかないようなボールの持ち方をして、我々は何のリスクを背負ってやっているんだというようなことは確認しました」
加えて、「ビルドアップというのはキーパーからスタートするのが全てではない」と語り、「勝負どころはスクランブルで奪った瞬間からのビルドアップ。我々はもっと厳しいところにボールを入れてスクランブルになって、そこで奪い返すようなシーンをもっと作らなければいけない」と、トランジションの強度・精度を同時に求めている。
まずは自分たちにベクトルを向けることを最優先とした城福監督だが、川崎フロンターレで多くのタイトルを獲得してきた名将・鬼木達監督を新指揮官に迎えた鹿島について「去年からバージョンアップしているのは間違いない」と警戒。
昨季はアウェイで0-3から3-3のドローに持ち込み、ホームでの前回対戦では2-1の勝利を収めているものの、湘南ベルマーレとの開幕戦に敗れてホーム開幕戦で新体制初勝利を狙う難敵相手に厳しい戦いを覚悟している。
「もちろん先制点を奪いたいですし、劇的な試合というよりは、しっかり守って追加点を奪って、試合が終えられるような展開になるのが一番いい。ただ、鹿島さんも必死でくるでしょうし、個人の力とチーム力、クラブ力からしたら、アウェイの地でそんなに簡単な試合にはならない」
「それでも、我々が何を大事にしていて、何を追求しているかということが全く伝えられなかった開幕戦からは様変わりした様子を見せなければいけない。もちろん結果が一番大事ですが、その姿勢をまず見せることで、最終的に結果に対する全責任は自分にあるというふうに思っています」
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城福体制4年目で“超野心的”な目標を掲げて新シーズンに臨んだ東京Vだが、16日に国立競技場で行われた清水エスパルスとの開幕戦では0-1の敗戦。「局面の戦いを含めて清水さんのストーリーのなかでゲームをやってしまった」、「僕の準備の至らなさ」と試合後の会見で指揮官は、ホームゲームでの不甲斐ない戦いぶりに憤りとともにファン・サポーターへの申し訳なさを滲ませた。城福監督は20日にクラブハウスで行われた会見の場で、改めて清水戦の反省を語るとともに、鹿島戦へのアプローチについて言及した。
「我々が大事にしているベースになる気持ちの部分、ハードワークの部分。もうひとつは戦術的な部分のところは切り分けて伝えました」と清水戦後のミーティングについて明かした指揮官。
そのなかで城福監督が「一番大きな問題」と指摘したのは、敗戦という結果以上に自分たちが志向するスタイルの“一端”も披露できなかった点。
「おそらく(開幕戦を)見ている方が、『ヴェルディってこんなだったっけ』と、おそらくそういう印象を持たれたのではないかなと。『ヴェルディはもっと尖ったものがあったはずだった』と、抽象的に感覚的に言えば、そういう感覚を持たれてもしょうがないような試合をしてしまった」
「それが何なのかというのはもちろん、攻守においてサッカーの側面からもメンタルの側面からもアプローチはしましたけど、ヴェルディが去年のJ1で周りの期待、予想をいい意味で裏切れたのか。それがどういうことなのかというのが、見ている方が漠然とでも感じられたものが、この前の開幕戦では感じさせることができなかった。それが一番大きな問題でした」
「人間なので『この舞台が当たり前と思うな』と言われても、あるいは『5万人の観衆の中でプレーするのを人生で何回できるのか』というふうに言われたとしても、やっぱり去年の開幕の頃の、『この舞台を絶対に逃してはいけない』という思いと比べれば、(今回の開幕戦でより)思いが濃かったと言えないのは事実で、その思いをもう一度取り戻すためには、そういう思いを内に秘めている選手を起用していくということもそうですし、出ていた選手が我々のいろんな面でのベースをもう一度思い出させるということ。その両方のアプローチが必要かなと考えています」
その反省を踏まえた上で鹿島戦に向けては「我々らしさをまず取り戻すこと」と、「ヴェルディの試合は心を打つ」とも評された愚直さやアグレッシブさ、最後まで諦めない姿勢。個のタレントの質や選手層で上回る相手に渡り合うために、突き詰めてきたコレクティブ且つリスクを負うプレースタイルの部分を改めて徹底することをチーム全体で確認した。
「去年からやってきたこと。今年のプレシーズンでやってきたことのルートを逸脱することなく、ただ何に尖っていたのかと。我々が我々のような経験値で、我々のような規模のクラブが丸くなったら勝負できない。何に尖ってきたのかというのを、もう一度みんなで認識すること。尖れば必ずリスクがある。我々は何のリスクを背負ってやっているのかと。そこを含めてみんなで強い共通意識を持って、今週は準備しています」
より戦術的な部分では「何のリスクを背負ってやっているのか」との前述の発言と関連する形で、チームが強みと特徴としているMF森田晃樹、MF齋藤功佑ら攻撃的なボランチ2枚を軸に“へそ”と形容する、中盤を使ったビルドアップ、攻撃の組み立ての改善をテーマに掲げた。
「4バックの相手との対戦では相手が4バックで守る。そこでの我々の立ち位置というのはアンマッチになるはずですけど、本当にいやな位置に立ち続けたか。安易にボールが受けやすいところに引いてきてないかとか、本当の一番深いところの一番いやなところで、我々はよく『制限のあるなかで自由を勝ち取れ』と言っていますが、自由に受けやすいのであれば、どんどん引いてくればいいですけど、それは何にも怖くない」
「だから、ここにいられたらいやだなというエリアの中でもっともがいてくれと。そこは新しい選手も入って、既存選手もまだまだ易きに流れているというか、ポジションの取り直しであったり、動き直しであったりはもっとやらなければいけない」
「“へそ”はどこのチームも抑えにくる。今までの“へそ”の受け方でボールが受けられるかというと、受けさせてくれないのはこの前の試合でよくわかったと思いますし、まだまだ改善の余地あり。ただ中間ポジションに立っていればボールが入ってくると思ったらそれは大間違いで、そこにも2秒、3秒前の工夫がいる。ボールホルダーがどういうボールを持ち方をするかというのもすごく大事なので、センターバックのボールの持ち方ひとつ、コントロールが一つ目、二つ目をどの方向で持っているかというのも、これはもうみんなで共有しました」
「我々が何のリスクを背負ってこのメンバーを選んでるかを考えたら、このボールの持ち方ひとつで全部飛んじゃうでしょと。蹴るしかないようなボールの持ち方をして、我々は何のリスクを背負ってやっているんだというようなことは確認しました」
加えて、「ビルドアップというのはキーパーからスタートするのが全てではない」と語り、「勝負どころはスクランブルで奪った瞬間からのビルドアップ。我々はもっと厳しいところにボールを入れてスクランブルになって、そこで奪い返すようなシーンをもっと作らなければいけない」と、トランジションの強度・精度を同時に求めている。
まずは自分たちにベクトルを向けることを最優先とした城福監督だが、川崎フロンターレで多くのタイトルを獲得してきた名将・鬼木達監督を新指揮官に迎えた鹿島について「去年からバージョンアップしているのは間違いない」と警戒。
昨季はアウェイで0-3から3-3のドローに持ち込み、ホームでの前回対戦では2-1の勝利を収めているものの、湘南ベルマーレとの開幕戦に敗れてホーム開幕戦で新体制初勝利を狙う難敵相手に厳しい戦いを覚悟している。
「もちろん先制点を奪いたいですし、劇的な試合というよりは、しっかり守って追加点を奪って、試合が終えられるような展開になるのが一番いい。ただ、鹿島さんも必死でくるでしょうし、個人の力とチーム力、クラブ力からしたら、アウェイの地でそんなに簡単な試合にはならない」
「それでも、我々が何を大事にしていて、何を追求しているかということが全く伝えられなかった開幕戦からは様変わりした様子を見せなければいけない。もちろん結果が一番大事ですが、その姿勢をまず見せることで、最終的に結果に対する全責任は自分にあるというふうに思っています」
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東京ヴェルディがリーグ戦6試合ぶりの敗戦を喫した。 12日、東京Vは味の素スタジアムで行われた明治安田J1リーグ第10節でヴィッセル神戸と対戦し0-1で敗れた。 手応えと明確な課題を自覚した3連戦での3試合連続ドローを4試合ぶりの白星に繋げるべく臨んだ2連覇中の王者とのホームゲーム。 MF汰木康也のシュートミスに救われたものの、開始直後に左サイドを完璧に崩されていきなりピンチに晒されると、以降は要所を締める守備で失点こそ回避したが、自陣からなかなか出られない守勢の時間帯が続いた。 それでも、FW染野唯月の鋭いミドルシュートなど徐々に反撃態勢に入ると、32分にはDF綱島悠斗のフィードでうまくハイラインの背後へ抜け出したFW木村勇大のボックス内での粘りからボックス中央のMF福田湧矢にビッグチャンスが舞い込んだが、福田の右足シュートはゴールカバーに入ったDF山川哲史の圧巻のブロックに阻まれ、痛恨の決定機逸に。 さらに、前半終盤には左CKから綱島がゴールネットを揺らしたが、オンフィールド・レビューの末にGK前川黛也へのオフェンスファウルでノーゴール。前半アディショナルタイムに綱島が放った強烈なミドルシュートも好守に阻まれ、先制点には至らず。 すると、前半同様に後半立ち上がりの51分には中盤でのデュエルに続けて負けて局面を打開されると、FWエリキの丁寧な折り返しを中央に走り込んだ汰木に右足で蹴り込まれて先制を許した。 以降はFW山見大登、新天地デビューのFW川﨑修平らの投入で攻勢を強め、裏抜けした山見が決定機にも絡んだが、老獪な試合運びを見せた王者相手に徐々にトーンダウン。86分には綱島が2枚目のイエローカードで退場となり、2試合連続無得点でリーグ6戦ぶりの黒星を喫することになった。 ボール支配率やデュエルの勝利数では勝者に分があった一方、決定機の数ではほぼイーブン。決して悲観すべき内容ではなかったが、この敗戦によって直近の3試合連続ドローが4試合未勝利というネガティブな捉え方に変わってしまった感もある。 同試合後の会見で城福浩監督は「最初の入り以外は悪い試合ではなかった」、「すべてで神戸が上回っているかと言えば、そうは思わない」と冷静に分析しつつも、戦前から警戒していた神戸が突き詰めるベーシックな部分で上回られたと悔しさを滲ませた。 「球際の体を入れる反応の速さとか強さで神戸さんに上回られた。そんな印象を持ったゲームでした。最初の入り以外は悪い試合ではなかったと思いますし、我々にも決定的なチャンスがいくつかありました」 「後半立ち上がり6分で点を取られた後は、もっともっと押し返したかったですけど、そこの球際のところで、サッカーはどうしてもルーズボールがあるので、そこの強さで神戸さんとの差を埋めていかなければいけないなと改めて思いました」 「ボールを持てたときに我々が狙いとする攻撃というのができそうな予感がありましたが、やはり局面のところが多いサッカーのなかで、そこが負ける割合が多いと、なかなか難しい試合になる。ここは自分たちが埋めていかなければいけない差なのかなと思います」 さらに、指揮官は最後の精度、選手層の底上げに加え、新たな課題として球際・切り替えといったファンダメンタルの向上を挙げ、日常のところからさらなる成長を求めた。 「やはりイーブンボールを、最低五分五分で我々のボールにしなければ、そこはリーグのなかでもおそらく(神戸は)一番強いチームなので、そこが追いつけるようにはしなければいけない。サッカーの志向が違うので、すべてをというよりもあの局面に関しては、我々が追いついていくような鍛錬をしなければいけない」 「(球際の勝負で勝っていくには)ひとつは日常の強度のところを、さらに上げていかなければいけない。筋力的な能力の差を埋めるというよりは、そこは高めていきながらも、予測の部分や自分たちのボールを保持しながら、失った瞬間にどういうふうにその五分五分のボールをマイボールにしていくか」 失点場面での綱島の対応に関して「アグレッシブに行くところとマークを受け渡して自分のポジションに戻るところの判断は、もう一度見返してみないとわかりませんけど、非常にもったいないシーンだった」と言及したものの、今後の再戦を考慮して細かい部分の言及を避けた城福監督。 一方で、DF林尚輝は指揮官同様に球際での劣勢を認めながらも、今季ここまでは比較的足元で繋ぐチームやモビリティ型の前線で背後を狙うチームとの対戦が続いたなか、ロングボールとセカンドを強調する相手に対して、チームとしてうまくアジャストし切れなかったと感じている。 「ラインを高くすることも求められながら、それを実行していくなかで、個々のマッチアップとか、そういったところで勝っていかないと、セカンドボールを含めて厳しい。相手の良さを引き出してしまったなという感覚があります」 ディフェンスラインとしてはマッチアップが明確な状況において良い守備ができた感触があったものの、FW大迫勇也やファジーな立ち位置を取ったエリキらの対応に手を焼いたところが大きかったという。 「最初の立ち位置の関係性もあって、自分の視野外から対応しないといけないシーンが多かったですし、特にロングボールに関してはサイドに流れていくので、自分が競りに行くというか、カバーリングがメインになっていて、そのマッチアップのところではあまり自分の良さを発揮できなかったです」 「ロングボールを主体に攻めてくる相手に対して、まず競るところもそうですし、その競ったあとに拾われるというシーンは数多くあったので、そこで相手のペースになってしまった。球際のところとかの質はもっと上げていかないとダメですし、そこでの勝負というのが今後も試合のキーになると思っているので、次の試合に向けて自分たちがもう一回取り組まないといけないところかなと思っています」 攻撃陣では個人として前線で奮闘した木村は「前半は特に決定機やゴールが入ったシーンも含めてかなりあった。そこで決め切れないと、神戸のような相手には負けるよなという感じを表したゲームだと思います」と、自身を含め改めて自分たちの時間帯に決め切る重要性を訴えた。 続けて後半の失点後になかなか押し返すことができなかったゲーム運びに関しても「ああいうふうに先制点を奪われて相手に押し込まれた時間帯でどうするかというのは、チームとしてもっとやらないと。退場したなかでどういうゲーム運びに持っていくかというのもピッチのなかで話し合ってやらないとダメだと思うので、そういうところはまだ甘さが出たかなとは思います」と、より突き詰めていく必要があると語っている。 この敗戦によって開幕10試合の戦績は2勝4分け4敗の勝ち点10と、勝ち点では昨季の10ポイントと並んだ。 現状では豊かな伸びしろを持つ若きスカッドの成長が、相手の研究・分析を上回ることができていない。 それでも、開幕を迎える前から厳しい2年目を覚悟していたチームは現状の苦戦を真摯に受け止めつつ、ここからの巻き返しへ魂を燃えす。 林は「今日勝てば負けずに勝ち越せたというゲームになりますし、今日負けてしまったので、勝てなかった4試合というふうに評価されると思っています。ただ、自分たちは次に向けてやるしかない。負けはもう負けなので、 はっきり切り替えるというのは、自分たちがまた反発していくのに重要なこと」と、リバウンドメンタリティを強調。 木村も「去年より対策されて難しいゲームのなかで、勝ち点をもっと取れたはずのところを落としたりというゲームが、ここ最近は非常に多い。そういうところで取れないとズルズルと下にいってしまうと思いますし、逆にそこをちゃんと拾えるようになれば、去年みたいにまた上を向いていける」、「1試合1試合を大事に、そういうところは意識するだけで変わらないと思うので、ピッチのなかでもっとすり合わせてやっていきたい」と、危機感は抱きながらも前向きに反攻を誓った。 2025.04.13 17:07 Sun4
【J1注目プレビュー|第10節:東京Vvs神戸】ともに気になる不発の攻撃陣、フィニッシュのクオリティがカギ
【明治安田J1リーグ第10節】 2025年4月12日(土) 15:00キックオフ 東京ヴェルディ(13位/10pt) vs ヴィッセル神戸(16位/9pt) [味の素スタジアム] <h3>◆目指せ4試合ぶりの勝利【東京ヴェルディ】</h3> 現在3試合連続ドロー。今季はまだ2勝しか挙げられていない状況だ。 2年目のJ1で苦しみも味わっている東京V。失点の多さも数字上は気になるが、第2節の鹿島アントラーズ戦の4失点を除けば2失点が2試合という状況で、崩れているとは言えない。 課題は攻撃面。ここまで9試合7得点という状況で、無得点が4試合。ゴール前のクオリティと精度を上げなければいけない状況だ。 ポゼッションを上げている中で、フィニッシュワークをどう結果に繋げるか。強力な神戸の攻撃陣をどう抑えていくのかも気になるところだ。 ★予想スタメン[3-4-2-1] GK:マテウス DF:綱島悠斗、林尚輝、谷口栄斗 MF:宮原和也、齋藤功佑、平川怜、新井悠太 FW:染野唯月、山見大登 FW:木村勇大 監督:城福浩 <h3>◆攻撃陣の停滞をどう解消する?【ヴィッセル神戸】</h3> 前節は国立競技場でアルビレックス新潟と対戦した中で0-1で敗戦。相手にシーズン初白星を献上してしまう手痛いゲームとなった。 連覇中の王者としては不甲斐ないシーズンとなっている今季。16位と低迷し、降格圏との勝ち点差は「1」。試合数が少ないとはいえ、らしくない戦いとなっている。 守備に関しては複数失点は8試合中1試合。ただ、無得点は4試合、複数得点は2試合と攻撃陣が不発に終わっている。 引いて堅く守る相手を崩しきれていない状況。東京Vがいつも通りハイプレスをかけてくるならば背後を、引いてくるならばどうこじ開けるのか注目だ。 ★予想スタメン[4-3-3] GK:前川黛也 DF:広瀬陸斗、山川哲史、マテウス・トゥーレル、酒井高徳 MF:井手口陽介、扇原貴宏、宮代大聖 FW:武藤嘉紀、大迫勇也、汰木康也 監督:吉田孝行 2025.04.12 12:35 Sat5
「もっとチャレンジの試合をさせたかった」東京Vは2ラウンド連続薄氷勝ち抜けも「押し返して逆転できたことは大きい」
東京ヴェルディが前ラウンドに続く厳しい戦いを制し、YBCルヴァンカップ3回戦進出を決めた。 16日、東京Vはソユースタジアムで行われたJリーグYBCルヴァンカップ 1stラウンド2回戦でブラウブリッツ秋田と対戦。延長戦までもつれ込んだ120分の激闘を2-1で勝利した。 直近のリーグ戦でヴィッセル神戸に0-1で敗れてリーグ戦では6戦ぶりの黒星を喫したJ1・16位のチーム。今週末には川崎フロンターレとのアウェイゲームを控えていることもあり、城福浩監督はFW染野唯月と次節サスペンションのMF綱島悠斗を除く先発9人を入れ替えて臨んだ。 「当たり前のことをやって、なおかつ我々らしいサッカーをやることが大事」というテーマを持って臨んだ一戦だったが、強風やボールが走らないピッチの影響もあり、立ち上がりからロングボールを軸に球際の勝負を全面に押し出す秋田の土俵での戦いを強いられた。 33分には古巣対戦のFW佐川洸介に起点を作られ、左サイドのMF佐藤大樹のグラウンダークロスをファーに走り込んだMF石田凌太郎にワンタッチで流し込まれて先制点を献上。1点ビハインドで折り返した後半は主力の投入で両ウイングバックにドリブラーを配置する攻撃的な布陣でゴールを目指すも、75分に相手のハンドで得たPKはキッカーのFW木村勇大が右ポストに当ててしまい、痛恨の決定機逸に。 その後、秋田にうまく時計を進められて後半アディショナルタイムを迎えたが、92分には右サイドで仕掛けたMF福田湧矢がグラウンダーで折り返したクロスを起点に、ボックス中央でルーズボールを収めた木村の左足反転シュートが決まって土壇場で同点に。 延長戦では左ポスト直撃のシュートを打たれるなどホームチームの勢いに苦しんだが、PK戦突入濃厚と思われた118分にDF宮原和也の果敢な仕掛けからのクロスが演出したゴール前の混戦で、木村のヘディングでの落としに反応した福田がゴール左隅へ右足シュートを蹴り込み、値千金の加入後初ゴールで激闘を制した。 試合後の会見では「大事なのは次のラウンドに進むこと。最低限のミッションは全員で勝ち取った」と常々カップ戦は結果がすべてと語るなかで、粘り強く勝ち切った結果に対しては一定の評価を下した城福監督。 ただ、タイムアップの瞬間に勝利の喜びを表すことなく厳しい表情を見せた指揮官は「最後の一対一の対応とクロス対応はちょっと拙かった」、「もっと我々らしくへそを使える場面もあったなか、ある意味で相手のペースにはまってしまった」と、攻守両面での少なくない課題を指摘。 さらに、「やり切れた選手、それで勝利を呼び込めた選手が次のリーグ戦に関わっていく。そういうサイクルにしたい」と4選手を今季公式戦初スタメンで起用したものの、新たな力の台頭には至らなかったという部分での不満も滲ませた。 「難しい試合になるとは思っていました。この過密日程を考えたら、やはりチャンスを与えられた選手たちが当たり前のようにピッチでプレーができるという状況ではなくて、もっとパッションに溢れた。チャレンジの試合をさせたかったですけど、ちょっとそこをさせられなかった。自分への不甲斐なさもありますし、もちろん延長まで行きたくなかった。その前に決着をつけたかったです」 実際にピッチでプレーした選手たちからは指揮官同様にカップ戦は結果がすべてという割り切りや、リーグ戦でゴール、結果が出ていないなかでの勝利をポジティブに捉える言葉もあったが、やはり内容や個人のパフォーマンスに関して反省の言葉も多かった。 神戸戦で新天地デビューを飾り、今回の一戦では初スタメンで90分間プレーしたFW川﨑修平。 引いた相手に対する局面打開能力を期待してギリギリまで引っ張った指揮官は「彼の良さである狭いエリアでプレーするということは時折見せていた」と一定の評価を下した。 実際、前半の終盤には強引なカットインからの際どいミドルシュートやボックス内でのコンビプレーやボレーシュートなど見せ場は作った。 ただ、川﨑自身は「最初よりは全然良くなってきている」とコンディション、試合勘の部分での向上は感じながらも、「90分出て得点もアシストもゼロという結果はすごく残念。チャンスに絡む回数も少ないですし、チームの勝利はうれしいですけど、自分自身の結果でチームに貢献できなかった」と自己評価は厳しい。 1カ月半ぶりの実戦復帰で、古巣相手に120分戦い切ったDF千田海人は「(ここ最近の厳しい)チームの状況もそうですし、普段出ていない選手もこの試合で多くスタメンで出たと思うので、この試合の意味みたいなものをしっかり全員が理解して、本当にチャンスだと思うので、後悔のないようにというふうに声をかけて戦えるようにしました」と自身を含め、個人にとってもチームにとっても今後に繋がる試合にすべく臨んだ試合だったと振り返った。 「粘り強くやった」とタフな試合を逆転でモノにした部分を評価した一方、「もうちょっと自信を持って、自分たちのペースでボールを握っていればよかったですけど、ちょっと相手に付き合った感じもありました。焦れているような感じもあったので、もう少しチームでどういうふうに進めていくかという意思統一ができればよかった」と、指揮官も指摘したマイボール時のボールの運び方の改善を訴えた。 PK失敗に土壇場の同点ゴール、決勝点のアシストとこの試合で最も多くのトピックがあった木村は「今日はまさに劇団ひとりです(苦笑)」、「すみません、(試合終了が)遅くなってしまってという感じです」と自虐気味に試合を総括。 PK失敗に関しては「キーパーがギリギリまで動かなかったので、ちょっと慎重になりすぎました。コースを狙いすぎましたし、練習あるのみ」と反省。それでも、「PKを外して『ワーッと』思いましたけど、思ったより自分の気分も落ちていなかったので、次に決めればいいかなという感じでやれていたので、決められてよかった」と、メンタル面での切り替えができたことをポジティブに捉えた。 さらに、決勝点をお膳立てした福田については「本当は自分で打ってもよかったんですけど、(福田)湧矢くんが横でフリーでしたし、ちょっとボールも跳ねていたので、いい形で判断を変えられた。湧矢くんとしても神戸戦で似たような形でディフェンダーに止められていたので、彼にとってもすごくよかったのではないかなと思います」と、神戸戦で“未遂”に終わったアシストを付けられたことを喜んだ。 ここまでリーグ戦10試合2勝と苦戦が続くなか、ルヴァンカップにおいてもPK戦を制した長野戦に続き、薄氷の勝利となった。 改めて勝つことの難しさを実感させられた一戦に木村は「やることを徹底しているチームの怖さは改めて感じましたけど、そのなかでしっかり押し返して逆転できたというのは、チームにとって大きい」と、苦しみ抜いての勝利が今後に繋がると信じている。 2025.04.17 07:50 Thu東京ヴェルディの人気記事ランキング
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【Jリーグ出場停止情報】札幌DF馬場晴也は2試合出場停止と罰金10万円…清水DF北爪健吾はDOGSOで一発退場
Jリーグは14日、最新の出場停止情報を発表した。 J1では東京ヴェルディのMF綱島悠斗、清水エスパルスのDF北爪健吾が出場停止に。J2では北海道コンサドーレ札幌のDF馬場晴也が2試合、RB大宮アルディージャのFW杉本健勇が1試合の出場停止となる。 北爪は12日に行われた明治安田J1リーグ第10節の川崎フロンターレ戦で一発退場。「ペナルティーエリア付近で、ド リブルをしていた相手競技者に対し、ボールにプレーできず反則で止めた行為は、「相手チームの決定的得点機会の阻止」に相当する」と判断。DOGSOにより1試合の出場停止処分となった。 また、馬場は、12日に行われた明治安田J2リーグ第9節の水戸ホーリーホック戦で一発退場。「相手競技者の右足に対し、足裏で過剰な力で タックルした行為は、「著しい反則行為」に該当する」と判断され、2試合の出場停止と罰金10万円が課されることとなった。 <h3>【明治安田J1リーグ】</h3> MF綱島悠斗(東京ヴェルディ) 第11節 vs川崎フロンターレ(4/20) 今回の停止:1試合停止 DF北爪健吾(清水エスパルス) 第12節 vs横浜F・マリノス(4/16) 今回の停止:1試合停止 <h3>【明治安田J2リーグ】</h3> DF馬場晴也(北海道コンサドーレ札幌) 第10節 vs藤枝MYFC(4/20) 今回の停止:2試合停止(1/2) 第11節 vsRB大宮アルディージャ(4/25) 今回の停止:2試合停止(2/2) FW杉本健勇(RB大宮アルディージャ) 第10節 vsFC今治(4/20) 今回の停止:1試合停止 DFキム・ボムヨン(レノファ山口FC) 第10節 vsサガン鳥栖(4/19) 今回の停止:2試合停止(2/2) 2025.04.14 18:35 Mon2
ルヴァン杯・秋田戦で今季初出場目指す東京VのDF深澤大輝「チームが勝つために何ができるか」、開幕から苦戦するチームへの想いも
東京ヴェルディは16日、YBCルヴァンカップ2回戦でJ2のブラウブリッツ秋田戦に臨む。リーグ6戦ぶりの敗戦、過密日程の3連戦2戦目のカップ戦ということもあり、メンバー入れ替えも想定されるなか、DF深澤大輝が今季の公式戦初出場への意気込みを語った。 東京ヴェルディジュニアからユースまでアカデミーで育ち、中央大学を経て2021年シーズンから東京Vのトップチームでプレーする深澤。J2時代の2022シーズン、2023シーズンは左右のサイドバックで定位置を確保し、16年ぶりのJ1昇格に貢献した。 ただ、プロ4年目で初の挑戦となった昨季のJ1ではシーズン序盤戦で左サイドバックのレギュラーとして9試合連続スタメンでプレーしたが、チームの3バック変更やケガの影響もあって以降はベンチやベンチ外と6位躍進のチーム成績とは裏腹に厳しいJ1での1年目を過ごした。 捲土重来を期して臨む今季もここまで公式戦での出番はない。プレシーズンに負った太腿の負傷によって出遅れるも、明治安田J1リーグ第5節のアルビレックス新潟戦では今季初のベンチ入り。その翌日に行われた清水エスパルスとのトレーニングマッチでは先制点に加え、急造3バックの中央で持ち味であるコーチング、ラインコントロールに加え、対人や配球の部分でも冴えわたるプレーを披露。 良いアピールをみせ、その後の試合でのベンチ入りや初出場の可能性も期待されたが、同試合の後半に前述の箇所を再び痛めて痛恨の再離脱となっていた。 再々発を避けるべく慎重にリハビリを進めてきたなか、現在は問題なく強度の高いトレーニングに復帰し、日常から城福浩監督ら首脳陣へのアピールを続ける26歳DFは、今季ここまでの自身の歩みについてこう語っている。 「腿前のところでアクシデントがあって復帰して、すぐ新潟戦でメンバーに入って、監督もコンディションが良かったから入れてくれたというのも聞いていて、その流れでの清水戦でした。試合に出るのは楽しいなと改めて思えたのがあの練習試合で、特に味スタでしたし、相手の清水とはプレーオフもそうですし、開幕戦といろんなところで戦っているなかで、すごく楽しみにしていた一戦でもありました」 「清水戦で再発して、再々発だけは絶対にしないようにというところで、少し長くかかってしまいました。サッカーができることが楽しいなというふうに思いますし、それが味スタであろうが、ここ(練習場)であろうが関係ないですし、それは仁志さん(森下仁志コーチ)も意識次第というのも言っていますし、そこでコンディションというのは最近やっと上がってきたなと思っていますし、連戦がここからまた始まるので、そこでチームの力になれるようにというのを意識しています」 現在は左右のウイングバックに加え、3バックの一角で厳しいポジション争いに挑んでいる。174cmと3バックではややサイズに乏しく、チームが得点力不足にあえぐ状況でウイングバックもより攻撃的なチョイスが増えており、J2時代には得点力を発揮したものの個での打開力という特長は持ち合わせていない深澤としては、攻守のベースアップに取り組みつつ、現状ではクローザー役として守備面の仕事を意識。そのなかで自身のやり方で「ギアを上げる」ことを追求している。 「もちろんスタートから出たい気持ちもありますけど、途中から出ることになったときには、守備のところで穴を作らないというところは大事。バトンを渡していくというふうに言われていますし、途中から出た選手がもう少しギアを上げるというか、上げられるのかなと感じています」 「それはドリブルで全員抜くとか、そういうことではなくて、思い切りプレッシャーに行くであったり、ヘディングで勝つといったところでもギアを上げられると思います。特徴的に僕はそういうタイプでもあるので、そういうところは意識していきたいなというふうに思います」 クラブ生え抜きで在籍5年目、J1最年少スカッドにおいて今年8月で27歳となる背番号2は、東京Vにおいてベテランと言っても差し支えない。 アカデミー、トップチームの選手として長らくJ2での戦いが続いた冬の時代も知り、ベンチ外でも自身の我を抑えて、懸命にチームのために戦ってきた先達の薫陶を受けてきただけに、昨季の躍進からここまで16位と苦戦が続くチームに対しても忌憚なく自身の考えを語っている。 「もっと自分たちの土俵に持っていくというか、去年試合に出ていたときも外から見ていたときも思ったのはアグレッシブだなとか、絶対諦めないなとか、球際行くなとか、守備に行くなというところ。スタジアムに来ている人たちが、心を打たれるというか、去年はアディショナルタイムに追いついたりというのも多かったですし、そういうふうにも言われていましたけど、今年はそういったところが少し足りてない」 「去年はああやって6位という結果を残して、誰も満足はしてないですけど、そこで現状維持は衰退と言いますし、もっともっとやれるというか、ピッチに立っている人はやらなくてはいけない。ピッチに立てない選手はその悔しさをこうやって今日のような練習のピッチで表現しないといけないですし、そこで監督が誰を選ぶかというところ。ピッチに立っていない選手もやらなければいけないと思いますし、ピッチに立っている選手をもっとやらなければいけないのかなというのは少し思います」 以前から課題とされる“声”の量や質、リーダーシップの部分に関しても「監督やコーチがいくら外から言ってもやるのは自分たちですし、ピッチの中でやっている選手が一番わかっている。そこでキャプテンがいたり、声を出せる選手というのもいますけど、ピッチに立っている以上は全員が本当に勝つために何をしなければいけないかという部分で、動くだけではダメだからこそしゃべるというところもそうですし、ジェスチャーもそうですし、いろんな手段を使って勝つというところはこのチームに足りない」と指摘。 その上で「そこをリードしていければと自分的には思っていますし、それをいざ試合からやろうと思っても無理なので、そこは練習からやっていかないといけないと思っています」と、チームとともに自身に対して矢印を向ける。 さらに、指揮官重要視する選手層の底上げという部分では、全体練習の後に控えメンバーや若手選手を中心に行われる“エクストラ”と呼ばれるトレーニングにおいて、コーチや先輩からの言葉にインスピレーションを受けながら、「だからこそ自分がこのクラブにいる」と、強い覚悟を持って取り組んでいるという。 「メンバーを外れている選手を見たら、1年目や2年目の選手の若い選手がいるなかで、去年仁志さんから言われてすごく覚えているのが、メンバー外の練習で若い選手たちに『やっぱり大輝さん、すごいなと思わせろ』みたいなことを言われました」 「年齢は関係ないですし、ピッチに立ったらキャリアとかも全く関係ないですけど、そこはプレーや背中、言葉で見せていかなければいけないところのひとつでもありますし、だからこそ自分がこのクラブにいると思っています」 「僕はピッチに立てない時期も去年ありましたし、今年もまだ立てていないですけど、毎日やれることというのはそういうところですし、ヒジくん(翁長聖)も『続ければ失敗はない』と言ってくれていましたし、そういうところは若手というか、みんなに見せていかなければいけないし、ヒジくんも(千田)海人くんもそういう先輩なので、そこら辺は自分も見せていきたいなと思っています」 自身の現状を真摯に受け止めつつ、チームに対する熱い想いを語った深澤。現状ではメンバー入りか否かのギリギリのラインにいると言わざるを得ないが、「全員が相手の特徴を知っているからこそ負けてはいけない」と語る秋田戦に向けては「ピッチでアピールし続けて、試合では本当にチームが勝つために何ができるかというところを見せるだけかなと思います」と、今季公式戦初出場へ意気込んだ。 2025.04.15 16:30 Tue3
「次のステップに行くため」ブレイクスルー期す東京VのFW木村勇大、神戸戦へ「ここでひとつ自分が変わるためにも頑張りたい」
東京ヴェルディの背番号10が古巣対戦でのブレイクスルーを期す。 東京Vは前節、3連戦の最終戦となった明治安田J1リーグ第9節の横浜F・マリノス戦を0-0のドローで終えた。 この3連戦では2試合でクリーンシートと開幕からの課題だった守備に関して改善が見受けられ、いずれの試合でも勝ち点3を得てもおかしくない内容ではあった。だがしかし、3試合2得点と攻撃面ではアタッキングサードでの精度・判断の質に課題を残した。 そんななか、1勝4分けで5戦無敗の13位のチームは4試合ぶりの白星を目指し、12日に味の素スタジアムで行われるJ1第10節では1試合未消化ながら16位に低迷するヴィッセル神戸と激突する。 京都サンガF.C.から期限付き移籍で加入した昨季はJ1初ゴールを含めキャリアハイの10得点を記録し、東京Vの6位フィニッシュに貢献したFW木村勇大。 今季はチームとともに序盤戦で悔しい思いをしたが、第5節のアルビレックス新潟戦で待望の初ゴールを記録すると、以降はゴールこそ奪えていないものの、攻守両面で徐々に昨季の躍動感を見せ始めている。 ゴールレスドローに終わった横浜FM戦でも最終的に際どいオフサイドで“幻”にはなったが、会心のヘディングシュートでゴールネットを揺らす見せ場も作っていた。 「次はゴールになってほしい」と語った木村だが、「ちょうどライン間で自分が浮いていたので、そういう状況をいかに作れるか。次の試合も相手に捕まらないように浮きながら狙い続ける。クロスへの入り方というのも意識し続けて狙っていきたい」と、プレシーズンから取り組む形のフィニッシュに少なからず手応えを感じている。 3連戦ではほぼフル稼働ながら、関西学院大学の同期で長期離脱中のFW山田剛綺の想いも背負って、より意識を高めるハードワーク、守備面の貢献は試合ごとに高まっている。 「きつい部分もありますけど、自分はあまり休み過ぎると体が重くなるので、連戦の方がいいですね。最後にかけてコンディションも上がっていった」と今後の連戦に向けても頼もしいコメントを残した185cmのストライカーは、「もちろん好きではないですけど…」と偽らざる本音を口にしながらも最前線で攻守にチームを牽引する覚悟も芽生えている印象だ。 「一回スタメンを外れて、(山田)剛綺が頑張る姿を見て、自分は点を決めることに力を注ぎたいという考えがやっぱりありましたけど、このチームでサッカーをやる限り、まず守備でというところ。チームのためにやるしかないので、そこの意識はすごく上がっています」 「走行距離とかを見てもすごく(数値が)上がっていて、チームのために戦い続けるなかでチャンスが来ると思うので、それを信じてハードワークしたい。戦う姿勢を見せるというのは、後ろに勇気を与えることにもなると思いますし、そういう姿勢がどこかでボールをゴール前で呼び込むと思うので、それを信じてやり続けます」 良い守備から良い攻撃というチームコンセプトをより深く理解し、ひとつ殻を破った感のある緑の背番号10は、指揮官がチームとして課題に挙げる得点力不足解消に向けてもブレイクスルーを期す。 昨季のブレイクによって開幕から相手の徹底マークを受けており、相手を背負っての鋭いターンからの推進力あるプレーはここまで鳴りを潜める。加えて、今季のレフェリング基準の変更の影響もあってか、不可解なオフェンスファウルや明らかなファウルを見逃されるケースも散見され、木村自身も「結構フラストレーションは溜まっています」と思うところはあるという。 それでも、「次のステップに行くため」と改善を示す守備同様に、攻撃に関しても意識の部分でポジティブな切り替えが意識できている。 「もちろん対策されていますし、相手もそれをさせないような距離感で守ってきたりとか、入れ替われる瞬間にファウルで止められたりとかという部分が多い。対策されるのは去年の自分の活躍が認められているということだと思うので、そこを上回れるように、ファウルでも止められないぐらいの馬力を身につけたい。そういう対策を上回れるというのが、次のステップに行くためだと思っています」 「去年だったら浮いていたポジションでも、今年は絶対にDFが1人ずっと付いてきていたりとか、自分に入ったときのカバーとプレスバックとかもすごく速いですし、明らかにそういう部分は感じますけど、そこを超えてこそ。そこに対する打開策も考えつつ、自分の良さを失わないようにしつつ、すごく難しいですけど、ここでひとつ自分が変わるためにも頑張りたいです」 得点を奪う上では個人としての改善だけでなく、チームとしての共通認識、連携の精度を高めていくことも重要。 「絶大な信頼を持っています」と今季初ゴールに横浜FM戦の決定機を演出したFW染野唯月とのホットラインに加え、ここに来てボランチで存在感を示すMF平川怜、中学時代に関西のトレセンで共演経験もある新加入のFW川﨑修平とのより良い関係性の構築も図っている。 「(平川は)ボールを持てる選手なので、彼がフリーで前を向いたときには必ず動き出せるようにしたいですし、それが彼に選択肢を与えることにもなる」 「彼(川﨑)もパスを出せる選手で、感覚的にも近い部分がある。一緒に出た際には彼の良さを引き出せるように、自分も引き出してもらえるように、そこはやっていきたいなと思います」 決意新たに今季2点目、チーム4戦ぶりの白星を目指す神戸とのホームゲーム。 ヴィッセル神戸U-12、U-15とアカデミー時代を過ごした古巣対戦に向けて木村は「もちろんクオリティがあるチームなので、チャンスは余計に減ると思いますけど、どうにかして決められるチャンスを、自分としてもチームとしても作っていければと思います。守備のところは引き続きしっかりハードワークして失点をなくせるようにしていければ。ワンチャンスが来たらモノにできるように準備したいです」と、恩返しの一発を狙う。 2025.04.11 17:05 Fri4
キャリア初退場から巻き返し誓う東京VのMF綱島悠斗「まずはルヴァンに集中。その後は色々な方向でチームの勝利に貢献したい」
東京ヴェルディのMF綱島悠斗がキャリア初の退場からの巻き返しを誓う。 自身初のJ1挑戦となった昨シーズンは後半戦から3バックの一角で定位置を掴み、188cmの長身と長いリーチ、サイズを感じさせない機動力を活かした対人守備。元々の本職がボランチで、J2での1年目は状況に応じて前線でもプレーした経験もあり、攻撃面でも違いを生み出した。 国内クラブからの関心も集めながらも残留を決断した今季は開幕からリーグ全試合に出場し、アルビレックス新潟と名古屋グランパスとの2試合ではいずれもチームに勝ち点をもたらす重要なゴールも記録。まだまだ粗削りな部分はありながらも、そのスケールの大きなプレースタイルから国内組中心で臨む、今年7月のEAFF E-1サッカー選手権での日本代表選出も期待されている。 その好調な24歳だが、12日に行われた明治安田J1第10節のヴィッセル神戸戦(0-1●)では前半のハイパフォーマンスから一転、後半は失点関与にキャリア初の退場というほろ苦い経験することになった。 神戸戦から2日経った練習後に囲み取材に応じた綱島は改めて神戸戦を振り返った。 オンフィールド・レビューの末に取り消された前半終盤の“幻のゴール”、その直後に放った会心のミドルシュートに関してはこぼれ球への予測、昨季1試合2ゴールを記録した浦和レッズ戦から好感触を得るフィニッシュに関する手応えを語りつつ、後半の失点シーンと退場についても言及。 51分の失点場面では相手陣内まで侵入してMF井手口陽介のヘディングに反応したFW宮代大聖からボールを奪いに行ったものの、井手口を含めたルーズボールの競り合いで奪い切れず、空けたスペースで前向きに仕掛けた宮代から左のFWエリキに展開され、最後はゴール前のMF汰木康也に右足で決められた。 最終局面での守備の人数はある程度揃っており、すべての責任を背負うべきではないが、試合後に城福浩監督も「アグレッシブに行くところとマークを受け渡して自分のポジションに戻るところの判断はしなければならない」と改善を訴えていた。 全く同じ状況ではないものの、先日のFC東京戦ではリスキーな局面でアグレッシブにボールを奪い切った流れから最終的にチーム2点目に繋がっており、出足鋭い潰しという持ち味は好プレーと紙一重でもある。 綱島自身も失点に絡んだ責任を受け入れつつも、この経験によって自身のプレーが縮こまることも危惧し、ネガティブに捉えすぎるべきではないと考えている。 「3バックでやっている以上、自分のポジションでなかなか前に出られないと重たくなってしまいますし、逆に出すぎてしまうと、ああいうふうにピンチになる。一番バランスが難しいポジションでもあると思います。ただ、自分があそこで出たシーンに関しては、ボール状況と相手の状況を判断して、あまり遠くにセカンドボールが落ちてこないだろうという予測のもとで、前に出る判断に出た」 「そこは自分としてすごくポジティブに捉えていますし、そこの判断があるからこそ次の判断がより正確になると思います。ただ、あそこで自分が奪っていれば失点しなかったわけですし、そこは反省しつつもネガティブに捉えすぎることなく振り返っています」 一方で、後の退場にも繋がった後半立ち上がりの49分にFW大迫勇也との競り合いの中でもらったイエローカードを含め、ときにアグレッシブに行き過ぎて不必要なファウルやカードをもらっている点は指揮官からの指摘を含め、より高いレベルでプレーするために改善が必要な点だと自覚している。 「(失点場面で)あの場所であれだけフリーな選手、なおかつ宮代選手という技術の高い選手に、あれだけのプレースペースと時間を与えたというのは自分自身の責任でもあります。ああいったところで、プロフェッショナルなファウルで止めるというのも、これから自分が上に行くために必要な要素でもあると思います。そのためにいらないところのファウルだったり、あそこでのイエローカードがあるからこそ、そのプレーができなかったと思うので、そこは全部が繋がっているのかなと思っています」 86分に2枚目のカードをもらって退場となった場面ではMF佐々木大樹の背後への抜け出しに対して、先にスルーパスに反応してポジションを取った末にプレーエリアを確保した手に佐々木がぶつかってきたようにも見受けられ、両者の身長差も含めてイエローカードは厳しい判定だった。 綱島自身も「意見はいろいろあると思いますけど…」と前置きしながらも、「自分としては今でも納得できていない」とコメント。 ただ、大迫との前半からのやり合いを含め、審判に対して悪いイメージを与えていた可能性も認め、「誰が見てもクリーンな対応をしなければいけない」と修正すべき部分だと切り替えた。 「海外では普通に手を使ってブロックするシーンもありますし、もちろん印象はすごく悪かったなと思いますけど、自分のプレーエリアを確保しているところで、相手選手が来てという感じなので、自分から肘を当てたわけではないなという思いはあります」 「ただ、いろんな捉え方がありますし、自分がああやってレッドカードで退場してしまうと、チーム的にも苦しくなりますし、そういったところの修正というのは、自分自身がしなければいけない。自分が退場したシーンもそういう見られ方をしてしまったと思うので、全部が繋がっているからこそ、一つひとつのプレーを大切にしたいなと思っています」 今回の退場によってリーグ次節の川崎フロンターレ戦はサスペンションで欠場となるため、3連戦の2戦目である16日のYBCルヴァンカップ 1stラウンド2回戦のブラウブリッツ秋田戦では出場機会が与えられる可能性は高い。 対戦相手には東京V加入時の同期であるFW佐川洸介や国士舘大学の先輩であるFW梶谷政仁など旧知の選手も在籍。さらに、プロ初ゴールを挙げた相手ということもあり「知っている選手も多くいますし、そこはすごく楽しみ。自分がプロ初ゴールを決めたのも秋田さんですし、これまでの成長を感じられる一戦になる」と意気込む。 また、ルヴァンカップでの禊の活躍を誓うとともに、川崎F戦に向けては裏方としてチームの勝利に貢献したいと語った。 「自分に残されている道というのは、やっぱりルヴァンで活躍しなければいけないと思いますし、リーグ戦に次は出られないからこそ、今の自分に何ができるのかというのはもう一度改めて考えて、いろいろな方向でチームの勝利に貢献したいなと強く思っています。まずはルヴァンに集中し、ルヴァンが終わってからはチームの勝利に集中することというのは、すごく求められるのかなと思います」 2025.04.15 19:00 Tue5