「プランを完遂できた」スフィーダ神川明彦監督が皇后杯勝利に手応え!5回戦ではクラブ史上初、東京NBとの対戦に
2023.12.11 17:30 Mon
皇后杯5回戦進出を決めたスフィーダ世田谷FCの神川明彦監督
皇后杯5回戦進出を決めたスフィーダ世田谷FCの神川明彦監督が手応えを口にした。
S世田谷は10日、静岡県の藤枝総合運動公園サッカー場で行われた第45回皇后杯4回戦で、ニッパツ横浜FCシーガルズと対戦し、5-1で勝利を収めた。
開始早々の7分、ボックス右脇でのFKを起点に大竹麻友が先制点を奪うと、2分後にも足の長いFKを大竹が落とし、三本紗矢香が右ポケットから対角へ流し込む。
27分には望月麻央、前半終了間際には新堀華波と、ニッパツに流れが傾きかけたタイミングで効率よくネットを揺らすと、65分に新堀が再びゴールを奪い、PKで1点を返されたものの、快勝。今季のリーグ戦で2敗を喫した借りを返した。
試合終了を告げるホイッスル後、拳を高々と突き上げた神川監督。インタビューでは「プランを完遂できた」と、笑みを浮かべた。
「守備に関しても、クロス対応は徹底して練習してきたので、前半攻め込まれる場面はありましたが、しっかりと対応できていました。いいタイミングで点が取れたことにより、守備のリズムも生まれて相手の時間帯もしっかり耐えた前半でした」
「後半、一番怖いのは早い時間に失点して相手にエネルギーを与えてしまうことでしたので、攻撃的姿勢は失わないようにしながらも、今は1点を失うことの方が良くないからと。相手も変化を付けてくることは予測できたので、しっかり対応しながら願わくは5点目をとの感じでしたが、割と早い時間に取れたので、ほぼほぼそこで勝敗は決められたと思います」
ニッパツに流れが傾きそうなタイミングで、効果的に追加点を奪ったS世田谷。中でも指揮官は、早い時間帯にリードを広げて以降の戦い方に言及し、前半の終了間際にセットプレーの二次攻撃から決めた新堀のゴールが大きかったのではと語った。
「相手はボールを動かすのもうまいですし、ノックアウト(一発勝負)で0-3になったら(相手は)行くしかないので、どうしても相手のペースになる。そうなった時に大事なことは、受けに回った時に弱気にならないで、しっかり受け止めること。僕はよく割り切りと言いますが、割り切って守ることで時間をうまく経過させる、それに徹して欲しいなと思っていたんです」
「前半の最後に決めたゴールがこのゲームの分岐点になったのではないでしょうか。相手は(今季なでしこ1部優勝の)オルカに0-3から追い付いたゲームがあるんですよ(第19節)。そういう記憶もあったので、相手からすれば3点ならいけるだろうが、さすがに4点を追い付いた経験はないだろうと。あれが大きかったと思います」
勝利したS世田谷は、17日の5回戦で昨季王者、日テレ・東京ヴェルディベレーザとカンセキスタジアムとちぎで顔を合わせる。神川監督によれば「ベレーザさんと公式戦で対戦するのはクラブ史上初」とのこと。メニーナのかたき討ちを目論んでいるかもと、冗談めかしながらも、
「ベレーザは状況を見てサッカー変えてくるし、松田(岳夫)監督は隙がない。本当に大変なゲームにはなると思いますけど、挑戦権を得られたので、自分たちのできることを精一杯やろうと思います」
S世田谷は10日、静岡県の藤枝総合運動公園サッカー場で行われた第45回皇后杯4回戦で、ニッパツ横浜FCシーガルズと対戦し、5-1で勝利を収めた。
開始早々の7分、ボックス右脇でのFKを起点に大竹麻友が先制点を奪うと、2分後にも足の長いFKを大竹が落とし、三本紗矢香が右ポケットから対角へ流し込む。
試合終了を告げるホイッスル後、拳を高々と突き上げた神川監督。インタビューでは「プランを完遂できた」と、笑みを浮かべた。
「ゲームプランを本当に完遂できました。立ちあがりで決着をつけるぐらいの入りをしようとずっと言っていたので、2点目、3点目を取って相手が軌道修正する前に勝負を決めろと。そういう意味では大竹がファーストチャンスをしっかり決めたこと、三本(のゴール)も狙っていた形なので、本当に予定通りにいきました」
「守備に関しても、クロス対応は徹底して練習してきたので、前半攻め込まれる場面はありましたが、しっかりと対応できていました。いいタイミングで点が取れたことにより、守備のリズムも生まれて相手の時間帯もしっかり耐えた前半でした」
「後半、一番怖いのは早い時間に失点して相手にエネルギーを与えてしまうことでしたので、攻撃的姿勢は失わないようにしながらも、今は1点を失うことの方が良くないからと。相手も変化を付けてくることは予測できたので、しっかり対応しながら願わくは5点目をとの感じでしたが、割と早い時間に取れたので、ほぼほぼそこで勝敗は決められたと思います」
ニッパツに流れが傾きそうなタイミングで、効果的に追加点を奪ったS世田谷。中でも指揮官は、早い時間帯にリードを広げて以降の戦い方に言及し、前半の終了間際にセットプレーの二次攻撃から決めた新堀のゴールが大きかったのではと語った。
「相手はボールを動かすのもうまいですし、ノックアウト(一発勝負)で0-3になったら(相手は)行くしかないので、どうしても相手のペースになる。そうなった時に大事なことは、受けに回った時に弱気にならないで、しっかり受け止めること。僕はよく割り切りと言いますが、割り切って守ることで時間をうまく経過させる、それに徹して欲しいなと思っていたんです」
「前半の最後に決めたゴールがこのゲームの分岐点になったのではないでしょうか。相手は(今季なでしこ1部優勝の)オルカに0-3から追い付いたゲームがあるんですよ(第19節)。そういう記憶もあったので、相手からすれば3点ならいけるだろうが、さすがに4点を追い付いた経験はないだろうと。あれが大きかったと思います」
勝利したS世田谷は、17日の5回戦で昨季王者、日テレ・東京ヴェルディベレーザとカンセキスタジアムとちぎで顔を合わせる。神川監督によれば「ベレーザさんと公式戦で対戦するのはクラブ史上初」とのこと。メニーナのかたき討ちを目論んでいるかもと、冗談めかしながらも、
「ベレーザは状況を見てサッカー変えてくるし、松田(岳夫)監督は隙がない。本当に大変なゲームにはなると思いますけど、挑戦権を得られたので、自分たちのできることを精一杯やろうと思います」
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昨季王者を苦しめたスフィーダ神川明彦監督、東京NBと初の公式戦は健闘及ばずも「ベレーザの本気を引き出したことは価値がある」
「持っているものは全部出しました、見ての通りです。(手は)何も残ってなかったですね」 清々しい表情でミックスゾーンに姿を見せたスフィーダ世田谷FCの神川明彦監督が、充実感と悔しさの入り混じった言葉を残した。 なでしこリーグ1部に属するS世田谷は17日、栃木県のカンセキスタジアムとちぎで行われた第45回皇后杯5回戦で、日テレ・東京ヴェルディベレーザと対戦した。 今年の9月3日には『女子サッカーの日』と称し、WEリーグとなでしこリーグ、初の共同開催を実施した両チーム。練習試合では幾度も顔を合わせていたが、意外にも公式戦では初の"東京ダービー"となった。 昨季はなでしこ1部優勝、今季は4位のS世田谷は、シンプルな裏狙いの攻撃で東京NBを苦しめ、76分に金子ゆいがネットを揺らして先手を取った。 それでも、昨季の皇后杯王者、歴代最多16度の優勝を誇る東京NBが地力を見せると、80分に藤野あおば、87分に北村菜々美にゴールを奪われて逆転負け。S世田谷は今季の戦いを終えることとなった。 強豪相手に臆することなく挑んだS世田谷。神川監督は試合後、東京NBの勝負強さを称えるとともに、王者と渡り合ったチームの戦いに胸を張った。 「最初の5分は前から行こうと思っていましたが、すぐに背後を取られて危ない場面があったように、5分くらいは(最終ラインを高めに設定して)いけるだろうけど、後は相手の状況に合わせてラインをこまめに修正しなさいと言ってきました」 「それほどズルズルと下がることはなかったですが、後半は相手がピッチの3分の1に全員入ってくるような状況になってしまったので、あれが力のあるチームとの差だと思います」 「下がって守り切れるのかについては、懐疑的ではあったのですが、今日はかなり粘れていました。リーグでもなかなかない状況なので、(シーズンを通して)守備も固くなったと感じます」 「ベレーザさんはパス&ムーブが徹底されているので、はたかれた後にしっかりついていかないと置いていかれてしまう。目だけで追い掛けることがないよう、プレスを掛けたら戻る。そういうトレーニングの成果は出せたと思います」 同点ゴールを浴びた場面についても、「チャレンジした結果」だとコメント。1点リードの80分、ショートカウンターを仕掛けて右へ展開した際、左サイドバックの倉富祐歌が前線に顔を出し、クロスが合えばシュートに至るという場面だったが、ラストパスを相手がカット。その左サイドからカウンターを受ける形となった。 「倉富(祐歌)が積極的にいって、裏返された形でやられてしまいましたが、2点目を取りに行く姿勢が絶対に大事でしたので、あれも致し方なしかなと」 「藤野選手や昨日の菅澤選手も含めて、代表に入ってくる選手というのは、(ここぞの場面で)違いを見せてくるなと感じました」 敗れはしたものの、確かな爪痕を残したS世田谷。指揮官は「夏に練習試合は行いましたけど、(その時とは)全然違いますし、こういうのを味わうことがクラブとしての歴史になっていく。(先制後の)残りの時間、ベレーザさんの本気を引き出したという意味でも、価値のあるものになったのではないでしょうか」と、目頭を拭いながらも胸を張った。 <span class="paragraph-title">【動画】S世田谷、金子ゆいの先制ゴール</span> <span data-other-div="movie"></span> <script>var video_id ="O9sIJNF_QP0";var video_start = 5997;</script><div style="text-align:center;"><div id="player"></div></div><script src="https://web.ultra-soccer.jp/js/youtube_autoplay.js"></script> 2023.12.18 20:45 Mon3
明治大学を率いる名将・栗田大輔監督が退任! 今年はリーグ戦無敗優勝も達成「新たなチャレンジの話を頂き、私自身も挑戦しようと」
明治大学サッカー部は30日、栗田大輔監督(54)の退任を発表した。 栗田監督は2013年に明治大学のサッカー部コーチに就任。2014年に助監督となると、神川明彦前監督の後を継ぐ形で2015年に監督に就任した。 就任後、10年間指揮を執った栗田監督は、関東大学サッカーリーグ1部で5度の優勝に導き、2024年は史上初の無敗優勝を達成。また、準優勝1回、3位2回という成績だった。 また、総理大臣杯全日本大学サッカートーナメントでは3度の優勝、2度の準優勝を経験。全日本大学サッカートーナメント(インカレ)でも2度の優勝、3度の3位の成績を収めていた。さらに、アミノバイタルカップで3度の優勝、2度の準優勝を経験。天皇杯も監督に就任してからは2度出場を果たしていた。 毎年のように、数多くのJリーガーを輩出。近年では、MF瀬古樹(ストーク・シティ)やDF森下龍矢(レギア・ワルシャワ)、DF常本佳吾(チューリヒ)らJリーグ経由で海外でプレーする選手や、FW佐藤恵允(ブレーメン)のように、直接海外クラブに加入するなど、多くの選手を育てた。 2024シーズンをもって退任する栗田監督は、明治大学を通じてコメントしている。 ーーーーー 日頃より明治大学体育会サッカー部をご支援、ご声援賜り、心より御礼申し上げます。 さて、私事ではありますが、2024年シーズン終了をもちまして、明治大学体育会サッカー部監督を退任することとなりました。 在任中は本当に多くの皆様に支えられ、今があることに感謝の気持ちが尽きません。 本年はアミノバイタル杯優勝、そして、関東大学サッカーリーグ無敗優勝を学生が達成してくれました。これは、一重に日々の学生の積み重ねと努力、そして、代々の先輩たちが明治の基準を追求し、毎年を超えていく作業を繰り返してくれた結果だと思っています。 「明治が変えてはいけないもの」、そして、「進化していかなければならないもの」を学生が追求してくれたからだと思っています。日々、全力で取り組んでいるスタッフ、学生を誇りに思います。 2014年に助監督、2015年からは監督を務め、11年が経過しましたが、この良き時期に退任をして、次の世代に引き継ぐことが更なる明治の発展に繋がるのではないかと思ったのがきっかけです。明治大学にいるから強いわけでもなく、成長できるわけではありません。 環境は人を育てますが、その環境は人がつくるものです。 学生が野心をもって、自分たちの今をつくり続けて欲しいと願っています。 また、このような思いをもったタイミングで、新たなチャレンジの話を頂き、私自身も挑戦しようと思い、今回の決断に至りました。 新体制は後日発表されることになりますが、今よりもパワーアップして更なる進化を成し遂げてくれる体制であり、今後の明治大学体育会サッカー部が楽しみで仕方ありません。 私は後方からサポートを行い、新体制を支えていきたいと思っています。 最後になりますが、明治大学体育会サッカー部を取り巻く全てのご関係の皆様に心から感謝を申し上げご挨拶とさせて頂きます。 ーーーーー 2024.12.30 19:15 Mon4
WEへの挑戦権はたったの4つ…皇后杯勝ち上がりのスフィーダ神川監督は提言残す「もう少し組み合わせを考えて…」
11月18日に幕を開けた第45回皇后杯は、12月10日までに4回戦が終了。スフィーダ世田谷FC、ASハリマアルビオン、日体大SMG横浜、愛媛FCレディースが勝ち残り、5回戦からは各WEリーグクラブも登場する。 8試合が行われる5回戦だが、いきなりのWEリーグ勢対決が半数。多くのアマチュアチームがWEリーグクラブとの対戦を目標に定める中で、プロクラブに挑戦できるチームがわずか4チームに過ぎない現状に、S世田谷の神川明彦監督は4回戦終了後、率直な提言を残している。 神川監督は2005年から2014年まで明治大学の指揮官を務め、天皇杯では幾度もJリーグチームを苦しめた。 2007年には当時J1の清水エスパルスと4回戦でPK戦にまでもつれ込む激闘を演じ、2009年には当時J2の湘南ベルマーレ、当時J1のモンテディオ山形を撃破してのベスト16入りも果たしている。 「もう少し組み合わせを考えて、(WEの)12チームをばらつかせて、それぞれがアマチュア勢と対戦できる形を作っていただきたい。いきなりWEリーグ同士の対戦が始まるのはちょっと……。(皇后杯で)ファンが見たいのは、WEリーグに挑戦するアマチュアの姿でしょうから、それを12作ってあげればと。たったの4チームしかそのチャンスを得られないこのレギュレーションには、ものを申したいですね。大会を面白くするかしないかは、そういうところにかかっていると思うんですよ」 「僕も明治の時にJリーグと激闘した人間ですから、プロに向かっていくアマチュアの楽しみをわかっています。なので、それを12チーム分味わわせてあげれば、それが(女子サッカー界の)底上げになるのではと」 また、女子サッカーの普及を1つの目的として、皇后杯の試合は様々な地域で行われているが、遠征がチームに与える影響は小さくない。 S世田谷は2回戦の早稲田大学戦を鳥取県のAxisバードスタジアムで、3回戦の日テレ・東京ヴェルディメニーナ戦を宮城県のセイホクパーク石巻 石巻フットボール場で戦った。あらかじめ会場が決まっていたこととはいえ、東京勢同士の顔合わせで長距離を移動することになった。 S世田谷vsニッパツの4回戦は、静岡県の藤枝総合運動公園サッカー場で行われ、同じく4回戦まで勝ち上がっていた東海地区代表の藤枝順心高校は、愛媛FCレディースと石巻で対戦することとなった。 「WEリーグチームがない地域がまだたくさんあるわけですから、WEリーグ勢を地方で見せればいいのでは、とも思います。『なでしこジャパンに入っているあの子が来る』という宣伝にもなりますし。普及を目的としている割には、普及にならないような組み合わせになっているのが現状かと思いますね。藤枝順心さんがここ(藤枝)で試合をするとなったら、おそらく相当観客が入るのではないでしょうか」 S世田谷が4回戦で対戦したニッパツ横浜FCシーガルズも相当の距離を踏んでいる。2回戦のFC今治レディース戦を先の石巻で、3回戦・大和シルフィードとの神奈川ダービーは福井県の日東シンコースタジアム丸岡サッカー場で行われた。 ニッパツの石田美穂子監督も「移動に関しては互いにフェア」との言葉を残しつつ、選手らに掛かる負担に関しては、本音を漏らしている。 「スフィーダさんも一緒だと思いますけど、(互いの本拠地は)近いのに(試合会場は)遠い。先週の大和さんもそうでしたが、あえてお互いにこういう労力を使わなくてもいいのではとの声は、やはり各チーム、スタッフ、選手からも上がっています。その中で疲労もありますが、そこはお互いにフェアなので、仕方のない部分かなと思います」 トーナメントである以上、対戦カードは予測できず、会場の仮押さえにも費用や労力は発生する。あらかじめ会場が決定していれば、協会側の準備は容易というメリットもある。とはいえ、勝ち上がる分だけ長距離移動が発生するというのも、疲労や拘束時間を考えると悩ましい話だ。 プロアマが混在することやシーズン制度の差異などもあり、すべてを平等にすることは不可能だが、大会の発展や女子サッカー普及の観点からも、一考すべき点はありそうだ。 2023.12.11 21:55 Mon5
