WEへの挑戦権はたったの4つ…皇后杯勝ち上がりのスフィーダ神川監督は提言残す「もう少し組み合わせを考えて…」

2023.12.11 21:55 Mon
©超ワールドサッカー
11月18日に幕を開けた第45回皇后杯は、12月10日までに4回戦が終了。スフィーダ世田谷FC、ASハリマアルビオン、日体大SMG横浜、愛媛FCレディースが勝ち残り、5回戦からは各WEリーグクラブも登場する。
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8試合が行われる5回戦だが、いきなりのWEリーグ勢対決が半数。多くのアマチュアチームがWEリーグクラブとの対戦を目標に定める中で、プロクラブに挑戦できるチームがわずか4チームに過ぎない現状に、S世田谷の神川明彦監督は4回戦終了後、率直な提言を残している。神川監督は2005年から2014年まで明治大学の指揮官を務め、天皇杯では幾度もJリーグチームを苦しめた。
2007年には当時J1の清水エスパルスと4回戦でPK戦にまでもつれ込む激闘を演じ、2009年には当時J2の湘南ベルマーレ、当時J1のモンテディオ山形を撃破してのベスト16入りも果たしている。

「もう少し組み合わせを考えて、(WEの)12チームをばらつかせて、それぞれがアマチュア勢と対戦できる形を作っていただきたい。いきなりWEリーグ同士の対戦が始まるのはちょっと……。(皇后杯で)ファンが見たいのは、WEリーグに挑戦するアマチュアの姿でしょうから、それを12作ってあげればと。たったの4チームしかそのチャンスを得られないこのレギュレーションには、ものを申したいですね。大会を面白くするかしないかは、そういうところにかかっていると思うんですよ」
「僕も明治の時にJリーグと激闘した人間ですから、プロに向かっていくアマチュアの楽しみをわかっています。なので、それを12チーム分味わわせてあげれば、それが(女子サッカー界の)底上げになるのではと」

また、女子サッカーの普及を1つの目的として、皇后杯の試合は様々な地域で行われているが、遠征がチームに与える影響は小さくない。

S世田谷は2回戦の早稲田大学戦を鳥取県のAxisバードスタジアムで、3回戦の日テレ・東京ヴェルディメニーナ戦を宮城県のセイホクパーク石巻 石巻フットボール場で戦った。あらかじめ会場が決まっていたこととはいえ、東京勢同士の顔合わせで長距離を移動することになった。

S世田谷vsニッパツの4回戦は、静岡県の藤枝総合運動公園サッカー場で行われ、同じく4回戦まで勝ち上がっていた東海地区代表の藤枝順心高校は、愛媛FCレディースと石巻で対戦することとなった。

「WEリーグチームがない地域がまだたくさんあるわけですから、WEリーグ勢を地方で見せればいいのでは、とも思います。『なでしこジャパンに入っているあの子が来る』という宣伝にもなりますし。普及を目的としている割には、普及にならないような組み合わせになっているのが現状かと思いますね。藤枝順心さんがここ(藤枝)で試合をするとなったら、おそらく相当観客が入るのではないでしょうか」

S世田谷が4回戦で対戦したニッパツ横浜FCシーガルズも相当の距離を踏んでいる。2回戦のFC今治レディース戦を先の石巻で、3回戦・大和シルフィードとの神奈川ダービーは福井県の日東シンコースタジアム丸岡サッカー場で行われた。

ニッパツの石田美穂子監督も「移動に関しては互いにフェア」との言葉を残しつつ、選手らに掛かる負担に関しては、本音を漏らしている。

「スフィーダさんも一緒だと思いますけど、(互いの本拠地は)近いのに(試合会場は)遠い。先週の大和さんもそうでしたが、あえてお互いにこういう労力を使わなくてもいいのではとの声は、やはり各チーム、スタッフ、選手からも上がっています。その中で疲労もありますが、そこはお互いにフェアなので、仕方のない部分かなと思います」

トーナメントである以上、対戦カードは予測できず、会場の仮押さえにも費用や労力は発生する。あらかじめ会場が決定していれば、協会側の準備は容易というメリットもある。とはいえ、勝ち上がる分だけ長距離移動が発生するというのも、疲労や拘束時間を考えると悩ましい話だ。

プロアマが混在することやシーズン制度の差異などもあり、すべてを平等にすることは不可能だが、大会の発展や女子サッカー普及の観点からも、一考すべき点はありそうだ。

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