「最初の3分で試合の展開がほぼ決まった」、完敗のエルサルバドル監督は前半入りを悔やむ

2023.06.16 00:07 Fri
Getty Images
エルサルバドル代表を率いるウーゴ・ペレス監督が、日本代表戦を振り返った。

FIFAランキングで75位に位置するエルサルバドルは、4年ぶりの来日でカタール・ワールドカップでベスト16の日本相手に番狂わせの勝利を目指した。
しかし、15日に豊田スタジアムで行われた試合は開始早々の失点に加え、DFロナルド・ロドリゲスのPK献上&一発退場によって大きくゲームプランが崩れると、以降は防戦一方の戦いを強いられた末に0-6での大敗となった。

同試合後、公式会見に出席したペレス監督は、試合序盤の連続失点と退場が流れに大きな影響を与えたとしながらも、素直に完敗を認めている。

「今日の試合に関してできるコメントはそう多くない。最初の3分でこの試合の展開がほぼ決まった、1分で先制されて、立て続けに2点目、選手が退場。日本は非常に高い能力を持った選手が揃っているチームですので、0-2ビハインドかつ数的不利で試合ができる相手ではありませんでした」
「最終的な今日のこの試合の結果の責任は私にある。選手たちは一生懸命、最後まで戦ったしそれは称賛に値する。ハーフタイムにもそれを伝えた。今日の展開はどの選手のせいでもない。こういうことは常に起こり得る。日本を相手にこういう展開になるとは誰も想像していませんでした。アジアではあと1試合残っているし、その後はゴールドカップの重要な試合も残っています」

また、当初のゲームプランについては、格上の日本に対してもポゼッションを高めた能動的なスタイル、ハイプレスでの戦いを想定していたという。

「この代表チームとこれまで取り組んできた中で大事にしているのはポゼッション率を高めること。今日も本当はハイプレスで戦いたかった。日本をフリーにしないで試合を展開するプランだった。ただ0-2になってしまうと、同じプランを続行できなかった。私たちはロングボールを蹴り出すのではなくハイプレス、そして後ろからビルドアップすることを目指しているチームです。ただ最初の4分で決まってしまいました」

最後に、実際に対峙した日本の攻撃の印象についても言及。やはり数的不利がサイドアタックを封じる上で困難をチームにもたらしたようだ。

「日本代表がサイドにスピードのある選手がいることは分かっていた。サイドからの攻撃を封じたいと思っていた。そうした試合前に準備したものを実行することはほぼ不可能だった。センターバックを失ったから守備の形を変更せざるを得なかった。私たちはボールを持っていないときより、持っているときの方が良く守備ができる。したがって、1名を欠いてそういうサッカーを行うのが難しかった」

「日本の皆さんに祝福の言葉をお送りしたい。素晴らしい形でサッカーの強化に取り組んでいる。日本という国も清潔で、人々も親切に接してくださる。ありがとうございました」
関連ニュース

アルゼンチンがメッシ不在も快勝! アメリカ遠征初戦のエルサルバドル戦でプレミア勢3発【国際親善試合】

アルゼンチン代表は22日にフィラデルフィアでエルサルバドル代表との国際親善試合に臨み、3-0と快勝した。 夏のコパ・アメリカが迫るなか、今活動でアメリカ遠征に出たアルゼンチン。負傷不参加の主将メッシに代わり、ゲームキャプテンのディ・マリアがラウタロ・マルティネスや、エンソ・フェルナンデス、ロメロらとともに先発した。 今年に入っての初戦にもなるアルゼンチンは16分に左CKのチャンスを掴むと、ディ・マリアのキックに勢いをつけてゴール前に入っていったロメロが頭で合わせ、幸先よく先手を奪う。 42分には複数選手が絡むカウンター。左サイドから中央に展開して、ファーに駆けていったエンソ・フェルナンデスがラウタロが仕留められなかったボールを押し込み、突き放しに成功した。 ハーフタイムにオタメンディとガルナチョの交代カードを切っての後半も優勢に試合を運び、52分にラウタロの落としに反応したロ・チェルソがボックス中央から左足アウトサイドでネットを揺らす。 その後はゴールなしだったが、デビューのバルコやブオナノッテ、マク・アリスター、モリーナを送り込み、試合をクローズ。メッシ不在だったが、プレミアリーグ勢の3発で危なげなく勝利した。 なお、次戦は26日に行われ、ロサンゼルスでコスタリカ代表と対戦する。 アルゼンチン代表 3-0 エルサルバドル代表 【アルゼンチン】 ロメロ(前16) エンソ・フェルナンデス(前42) ロ・チェルソ(後7) 2024.03.23 15:35 Sat

スアレスがマイアミデビュー! メッシとの親友コンビにブスケッツ&アルバを含む元バルサカルテットが復活

ウルグアイ代表FWルイス・スアレスとアルゼンチン代表FWリオネル・メッシがともにインテル・マイアミの選手としてピッチで再び共演した。 今季を迎えるにあたり、プレシーズンがスタートしたマイアミ。19日にエルサルバドルでエキシビジョンマッチとしてエルサルバドル代表と対戦した。 この試合は0-0のドローと物静かな結果だったが、メッシやセルヒオ・ブスケッツ、ジョルディ・アルバとともに、デビューのスアレスも先発入りした。 バルセロナ時代以来の共演が実現した4選手はともに前半のみのプレーに。マイアミはこの一戦を初戦に世界を股にかけたプレシーズンツアーが始まる。 そんなマイアミは2月上旬に来日。7日に国立競技場でヴィッセル神戸と対戦する。 <span class="paragraph-title">【動画】マイアミの元バルサカルテットでチャンスメーク</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet"><p lang="en" dir="ltr">Alba to Suarez to Busquets to Messi to Busquets to Messi.<br><br>They&#39;re just getting warmed up. <br><br> <a href="https://t.co/weT5JfeSqf">https://t.co/weT5JfeSqf</a> <a href="https://t.co/p6wv1zSJ5b">pic.twitter.com/p6wv1zSJ5b</a></p>&mdash; Major League Soccer (@MLS) <a href="https://twitter.com/MLS/status/1748523815762571760?ref_src=twsrc%5Etfw">January 20, 2024</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2024.01.20 16:35 Sat

「凄い!」「これはお宝」「良い笑顔」元SKE48の高木由麻奈さん、エルサルバドル戦後に奇跡の出会いが話題「主審とツーショット渋い!」

SKE48の元メンバーで、現在はモデルやタレントとして活躍する高木由麻奈さんが、奇跡の出会いを報告した。 愛知県出身の高木さんは、2010年9月にSKE48第4期生オーディションに合格。同年12月に研究生から正規メンバーに昇格していた。 2019年5月をもってSKE48を卒業。その後はモデルやタレントとして活躍している一方で、愛知県のケーブルテレビ局で名古屋グランパスの応援番組『グランパスSTADIUM!』にも出演している。 その高木さんは15日に豊田スタジアムで行われた日本代表vsエルサルバドル代表を観戦。三笘薫のユニフォームを着て、名古屋に所属する初招集でデビューを果たしたDF森下龍矢のフラッグの前での写真と投稿するなどしていた。 そんな中、試合後には奇跡の出会いがあったことを報告。なんと、主審を務めたアンドリュー・マドレイ氏と出会ったという。 マドレイ主審は、プレミアリーグでも笛を吹いており、審判交流プログラムの一環でこのタイミングで来日。Jリーグでも笛を吹いた他、エルサルバドル戦でも笛を吹いていた。 奇跡的な出会いを果たした高木さんは自身のSNSで報告している。 ーーーーー 日本vsエルサルバドルの試合の主審をされた アンドリュー・マドレイさんです 試合後、偶然お会いした時に 快くお写真撮ってくださいました ありがとうございます!! ーーーーー 気さくなマドレイ主審と同じサムズアップで2ショットを撮影した高木さん。ファンは「主審とツーショット渋い!」、「これはお宝」、「良い笑顔」、「凄い!」とコメントが集まった。 <span class="paragraph-title">【写真】元SKE48の高木由麻奈さん、試合後に主審と奇跡の遭遇で2ショット!</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="instagram-media" data-instgrm-captioned data-instgrm-permalink="https://www.instagram.com/p/CtoefdqpjBl/?utm_source=ig_embed&amp;utm_campaign=loading" data-instgrm-version="14" style=" background:#FFF; border:0; border-radius:3px; box-shadow:0 0 1px 0 rgba(0,0,0,0.5),0 1px 10px 0 rgba(0,0,0,0.15); margin: 1px; max-width:540px; min-width:326px; padding:0; width:99.375%; width:-webkit-calc(100% - 2px); width:calc(100% - 2px);"><div style="padding:16px;"> <a href="https://www.instagram.com/p/CtoefdqpjBl/?utm_source=ig_embed&amp;utm_campaign=loading" style=" background:#FFFFFF; line-height:0; padding:0 0; text-align:center; text-decoration:none; width:100%;" target="_blank"> <div style=" display: flex; flex-direction: row; align-items: center;"> <div style="background-color: #F4F4F4; border-radius: 50%; flex-grow: 0; height: 40px; margin-right: 14px; width: 40px;"></div> <div style="display: flex; flex-direction: column; flex-grow: 1; justify-content: center;"> <div style=" background-color: #F4F4F4; border-radius: 4px; flex-grow: 0; height: 14px; margin-bottom: 6px; width: 100px;"></div> <div style=" background-color: #F4F4F4; border-radius: 4px; flex-grow: 0; height: 14px; width: 60px;"></div></div></div><div style="padding: 19% 0;"></div> <div style="display:block; height:50px; margin:0 auto 12px; width:50px;"><svg width="50px" height="50px" viewBox="0 0 60 60" version="1.1" xmlns="https://www.w3.org/2000/svg" xmlns:xlink="https://www.w3.org/1999/xlink"><g stroke="none" stroke-width="1" fill="none" fill-rule="evenodd"><g transform="translate(-511.000000, -20.000000)" fill="#000000"><g><path d="M556.869,30.41 C554.814,30.41 553.148,32.076 553.148,34.131 C553.148,36.186 554.814,37.852 556.869,37.852 C558.924,37.852 560.59,36.186 560.59,34.131 C560.59,32.076 558.924,30.41 556.869,30.41 M541,60.657 C535.114,60.657 530.342,55.887 530.342,50 C530.342,44.114 535.114,39.342 541,39.342 C546.887,39.342 551.658,44.114 551.658,50 C551.658,55.887 546.887,60.657 541,60.657 M541,33.886 C532.1,33.886 524.886,41.1 524.886,50 C524.886,58.899 532.1,66.113 541,66.113 C549.9,66.113 557.115,58.899 557.115,50 C557.115,41.1 549.9,33.886 541,33.886 M565.378,62.101 C565.244,65.022 564.756,66.606 564.346,67.663 C563.803,69.06 563.154,70.057 562.106,71.106 C561.058,72.155 560.06,72.803 558.662,73.347 C557.607,73.757 556.021,74.244 553.102,74.378 C549.944,74.521 548.997,74.552 541,74.552 C533.003,74.552 532.056,74.521 528.898,74.378 C525.979,74.244 524.393,73.757 523.338,73.347 C521.94,72.803 520.942,72.155 519.894,71.106 C518.846,70.057 518.197,69.06 517.654,67.663 C517.244,66.606 516.755,65.022 516.623,62.101 C516.479,58.943 516.448,57.996 516.448,50 C516.448,42.003 516.479,41.056 516.623,37.899 C516.755,34.978 517.244,33.391 517.654,32.338 C518.197,30.938 518.846,29.942 519.894,28.894 C520.942,27.846 521.94,27.196 523.338,26.654 C524.393,26.244 525.979,25.756 528.898,25.623 C532.057,25.479 533.004,25.448 541,25.448 C548.997,25.448 549.943,25.479 553.102,25.623 C556.021,25.756 557.607,26.244 558.662,26.654 C560.06,27.196 561.058,27.846 562.106,28.894 C563.154,29.942 563.803,30.938 564.346,32.338 C564.756,33.391 565.244,34.978 565.378,37.899 C565.522,41.056 565.552,42.003 565.552,50 C565.552,57.996 565.522,58.943 565.378,62.101 M570.82,37.631 C570.674,34.438 570.167,32.258 569.425,30.349 C568.659,28.377 567.633,26.702 565.965,25.035 C564.297,23.368 562.623,22.342 560.652,21.575 C558.743,20.834 556.562,20.326 553.369,20.18 C550.169,20.033 549.148,20 541,20 C532.853,20 531.831,20.033 528.631,20.18 C525.438,20.326 523.257,20.834 521.349,21.575 C519.376,22.342 517.703,23.368 516.035,25.035 C514.368,26.702 513.342,28.377 512.574,30.349 C511.834,32.258 511.326,34.438 511.181,37.631 C511.035,40.831 511,41.851 511,50 C511,58.147 511.035,59.17 511.181,62.369 C511.326,65.562 511.834,67.743 512.574,69.651 C513.342,71.625 514.368,73.296 516.035,74.965 C517.703,76.634 519.376,77.658 521.349,78.425 C523.257,79.167 525.438,79.673 528.631,79.82 C531.831,79.965 532.853,80.001 541,80.001 C549.148,80.001 550.169,79.965 553.369,79.82 C556.562,79.673 558.743,79.167 560.652,78.425 C562.623,77.658 564.297,76.634 565.965,74.965 C567.633,73.296 568.659,71.625 569.425,69.651 C570.167,67.743 570.674,65.562 570.82,62.369 C570.966,59.17 571,58.147 571,50 C571,41.851 570.966,40.831 570.82,37.631"></path></g></g></g></svg></div><div style="padding-top: 8px;"> <div style=" color:#3897f0; font-family:Arial,sans-serif; font-size:14px; font-style:normal; font-weight:550; line-height:18px;">この投稿をInstagramで見る</div></div><div style="padding: 12.5% 0;"></div> <div style="display: flex; flex-direction: row; margin-bottom: 14px; align-items: center;"><div> <div style="background-color: #F4F4F4; border-radius: 50%; height: 12.5px; width: 12.5px; transform: translateX(0px) translateY(7px);"></div> <div style="background-color: #F4F4F4; height: 12.5px; transform: rotate(-45deg) translateX(3px) translateY(1px); width: 12.5px; flex-grow: 0; margin-right: 14px; margin-left: 2px;"></div> <div style="background-color: #F4F4F4; border-radius: 50%; height: 12.5px; width: 12.5px; transform: translateX(9px) translateY(-18px);"></div></div><div style="margin-left: 8px;"> <div style=" background-color: #F4F4F4; border-radius: 50%; flex-grow: 0; height: 20px; width: 20px;"></div> <div style=" width: 0; height: 0; border-top: 2px solid transparent; border-left: 6px solid #f4f4f4; border-bottom: 2px solid transparent; transform: translateX(16px) translateY(-4px) rotate(30deg)"></div></div><div style="margin-left: auto;"> <div style=" width: 0px; border-top: 8px solid #F4F4F4; border-right: 8px solid transparent; transform: translateY(16px);"></div> <div style=" background-color: #F4F4F4; flex-grow: 0; height: 12px; width: 16px; transform: translateY(-4px);"></div> <div style=" width: 0; height: 0; border-top: 8px solid #F4F4F4; border-left: 8px solid transparent; transform: translateY(-4px) translateX(8px);"></div></div></div> <div style="display: flex; flex-direction: column; flex-grow: 1; justify-content: center; margin-bottom: 24px;"> <div style=" background-color: #F4F4F4; border-radius: 4px; flex-grow: 0; height: 14px; margin-bottom: 6px; width: 224px;"></div> <div style=" background-color: #F4F4F4; border-radius: 4px; flex-grow: 0; height: 14px; width: 144px;"></div></div></a><p style=" color:#c9c8cd; font-family:Arial,sans-serif; font-size:14px; line-height:17px; margin-bottom:0; margin-top:8px; overflow:hidden; padding:8px 0 7px; text-align:center; text-overflow:ellipsis; white-space:nowrap;"><a href="https://www.instagram.com/p/CtoefdqpjBl/?utm_source=ig_embed&amp;utm_campaign=loading" style=" color:#c9c8cd; font-family:Arial,sans-serif; font-size:14px; font-style:normal; font-weight:normal; line-height:17px; text-decoration:none;" target="_blank">高木由麻奈 / Yumana Takagi(@yumana_takagi)がシェアした投稿</a></p></div></blockquote> <script async src="//www.instagram.com/embed.js"></script> 2023.06.19 23:25 Mon

エルサルバドル戦で見えた新たなユニット/六川亨の日本サッカー見聞録

勝って当然の相手だったため、エルサルバドル戦のテーマはこれまでのカウンターに加えて攻撃のバリエーションを増やすこと、セットプレーからの得点など攻撃力のアップにあったはずだ。前者に関しては開始1分に久保建英のFKから谷口彰悟がヘッドで代表初ゴールを決めた。そして3分後には高い位置からのプレスで相手のミスを誘発してPKを獲得。これを上田綺世が確実に決めてリードを広げた。上田にとっては代表15試合目にしてやっと手に入れた初ゴールだった。 ただ、上田を倒してPKを与えたCBロナルド・ロドリゲスが一発退場になったのは、ルール通りとはいえちょっと厳しい判定だった。DOGSO(決定機阻止)ではあるが、意図的な反則ではなく、ロドリゲスがトラップミスからボールを失ったことで、慌てて追いかけて倒してしまった印象を受けた。このため“三重苦”の緩和措置であるイエローカードでも良かったのではないだろうか。 試合に話を戻すと、日本は立ち上がりから右サイドの久保、堂安律、菅原由勢と上田らが連動した素早い攻守でエルサルバドルに襲いかかった。特にボールを失った後のトランジション、高い位置からのプレスは効果的で、エルサルバドルDF陣をパニックに陥れていた。 試合開始10~15分は攻守とも強度の高い入り方をするが、日本の強度はエルサルバドルの想定外だったのかもしれない。だからといって、日本が特別なことをしたわけでもない。久保や上田、堂安に加えて三笘薫と旗手怜央も、今シーズンの所属チームでのプレーをそのまま再現したに過ぎない。 これまでの代表マッチとの違いを指摘するとすれば、久保はソシエダで日本人最多の1シーズン9ゴールをあげてチームをCLに導いた。三笘も新天地でアピールに成功し、ブライトン初のEL出場の立役者となった。上田は22ゴールでベルギーリーグの得点ランク2位、後半から出場の古橋亨梧も27ゴールで欧州主要トップリーグでは日本人初の得点王と、それぞれが結果を残したことがあげられる。選手個々のスキルアップが、代表チームの底上げ、攻撃のバリエーション増につながったと言えるだろう。 さらにエルサルバドル戦では、新たな発見もあった。攻撃のビルドアップのスタートを担ったのはベテランCB谷口だったが、アンカーの守田英正と左インサイドの旗手とはスムーズなパス交換から前線へと展開して攻撃を組み立てた。さらに守田は三笘にパスを供給するだけでなく、彼からスルーパスを受けて左サイドを崩すなど、意思の疎通を感じさせた(後半はさらに高い位置でプレーして持ち味を発揮)。 改めて指摘するまでもなく、彼らは川崎Fの元チームメイトである。ドイツ代表のように、単独チーム(バイエルン・ミュンヘン)の選手をベースに代表チームを作るケースは、これまでの日本代表にはなかった。“元”ではあるが、川崎Fの選手をベースにしたチーム作りは、選手同士のコミュニケーションもスムーズになることをエルサルバドル戦は証明した。遠藤航や鎌田大地、伊東純也をどこで使ったらいいか迷うほどで、このメンバーによる4-1-4-1は新たなユニットになるだろう。 さらに、左サイドでプレーした三笘と旗手、SB森下龍矢と上田は2019年ナポリユニバーシアードのチームメイトで(他に角田涼太朗、中村帆高、紺野和也、明本考浩、林大地ら)、最後となるユニバーで7度目の金メダルを獲得している。ここらあたりも連係に好影響を及ぼしたことは想像に難くない。 とはいえ、当てにならないFIFAランク(20位と75位)でもかなりの差があり、なおかつエルサルバドルの選手は自国のリーグ以外ではMLSか中南米のクラブ所属で、ヨーロッパでプレーしている選手はセリエCモンテバルキのジョシュア・ペレスしかいない。さらに開始早々に1人少なくなったのだから、日本は圧勝して当然だった。 前述したプラス要素は、継続してトライすることで通用するかどうか判明するだろうし、進化を遂げるだろう。このため森保一監督には、ペルー戦でも攻撃陣にはあまり手を加えず継続性を重視して欲しい。 そしてゴールこそ決めたが、この試合で堂安は持ち味を発揮したとは言い難い。ワイドに開いた久保がプレーしやすいよう“黒子に徹した”という言い方もできるが、やはり堂安もワイドなポジションが本来のスタートポジションのようだ。そこで現在は負傷リハビリ中の田中碧が右インサイドに入ったらどうなるか。元川崎Fのトライアングルも見てみたいと思うのは私だけではないだろう。 <hr>【文・六川亨】<br/><div id="cws_ad">1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた</div> 2023.06.16 17:30 Fri

ラッキーではない6-0の大勝は日本代表が続けたやるべきプレーの成果、ワンランク上のチームへの第一歩【日本代表コラム】

開始1分で先制、2分で相手が退場し、4分で2-0。ピッチ上の人数は11vs10という状況。エルサルバドル代表戦は、日本代表にとって、この上ないスタートとなった。 試合の結果はご存知の通り6-0の圧勝。立ち上がり5分で決着がついたように見える試合だったが、それでもしっかりと戦い切れないのがこれまでの日本だった。しかし、この日は6ゴールを奪い、前半4点、後半2点。選手を入れ替え、新たな取り組みをした上での結果は、評価して良いだろう。 試合後、森保一監督は「選手たちの試合に懸ける思いが結果を良くしたと思います」とコメント。序盤のエクスキューズは、しっかりとチームが生み出したものだと振り返った。 ミックスゾーンでは三笘薫(ブライトン&ホーヴ・アルビオン)も「結果だけを見れば、相手が弱い、簡単だと言われることもあるかもしれませんが、そんなことはない」と語気を強めた。ラッキーが重なっただけの大勝劇ではない。 3月に新体制でスタートした森保ジャパン。ベテラン勢の招集を見送り、カタール・ワールドカップ(W杯)のメンバーからはケガなども含めて11名が呼ばれず。フレッシュな顔ぶれで臨み、新たなビルドアップやコンビネーションを試した中、ウルグアイ代表、コロンビア代表を相手に勝利を掴めなかった。 そして迎えた6月。3月の反省を生かしたい中、選手たちの高みを目指す想いはより一層強くなっている。 新キャプテンに就任した遠藤航(シュツットガルト)は「世界一になるために活動してほしい」と選手たちに伝えた。森保監督も「選手たちが思ってくれていることは嬉しい」と、突破できていないベスト16の壁を越えることではなく、更なる高みを求めて活動できることを喜んでいた。 口で言うことは簡単だろう。ただ、目標を達成するためにどう働きかけるのか。目標を達成できなくとも、成長や進化、ステップアップを果たすために、目に見えて変化を示す必要があった。 そこで迎えたエルサルバドル戦。前述の通り、エクスキューズがあったが、選手たちのパフォーマンスが落ちることはなく、自分たちにフォーカスしてプレーを続けられたことは評価すべきだろう。 先制点に繋がったFKは、左サイドでボールを受けた三笘が仕掛けたことで獲得できた。相手も当然警戒していた中で、ファーストプレーで特徴を出した三笘は「状況を判断して、スペースがあったので、上手くもらうことができました」とプレー選択の理由を語った。結果、それがゴールに繋がった。 アシストを記録した久保建英(レアル・ソシエダ)は「ここのところ良いフィーリングでセットプレーを蹴れていた」と、FKのキッカーを旗手怜央(セルティック)に志願。「角度的にもここはファーなんじゃない」(旗手)という言葉を受けてクロスを上げ、谷口彰悟(アル・ラーヤン)の日本代表初ゴールを生み出した。 そして2点目に繋がったプレー。結果として相手を退場に追い込み、PKで追加点を奪えたが、その前の相手陣内でのプレスが全てだった。 ゲームキャプテンを務めた守田英正(スポルティングCP)は、「自分たちが良い形でプレスをかけて前から嵌めていった結果」と退場に追い込んだプレーを振り返り、「ポジティブに自分たちにとって良かったと捉えています」と11vs11の試合ができなかったことを残念がりながらも、徹底できたプレスがよかったと振り返った。 3点目の久保のゴールについて、アシストした三笘は「狙っていた」と切り替えの部分を狙ったとコメント。その三笘が持ち出してミドルシュートを放ったこぼれ球を決めた堂安律(フライブルク)は「ごめんしかないです笑」とごっつぁんゴールだと認めながらも「こぼれて来ることは意識していた。ラッキーではない」と、インサイドハーフとしての役回りと試合の流れを見ての判断が生んだものだと振り返った。 エルサルバドルのウーゴ・ペレス監督は「最初の3分でこの試合の展開がほぼ決まった」と試合の入りを嘆いた。本来であればハイプレスとポゼッションで対抗したかったと語った監督だが、そうはさせないキックオフからの集中力が全てだった。 FIFAランキングを見れば、エルサルバドルの方が確かに下に位置している。三笘の言葉のように、相手が弱かった、人数が違ったなどということは簡単だが、日本だって集中力を失う可能性もあった。それでも、6ゴールを奪って勝ち切ったことは評価できる。 得点には絡まなかったが、インサイドハーフでフル出場した旗手は圧巻のパフォーマンスを見せた。守備を支え、バランスを取り、ボックス内にも積極的に入った。影のMVPと言って良いパフォーマンスを見せたが、代表での2試合目ということを忘れてはいけない。 後半開始から起用され、久保のお膳立てからゴールを決めたFW中村敬斗(LASKリンツ)も代表2試合目。ほぼデビュー戦という状況で、左サイドで攻守に躍動した。時間は短かったが、25分間プレーしたMF川辺駿(グラスホッパー)はちょうど2年ぶりの代表戦出場に。オフ・ザ・ボールの動きは秀逸で、バランスを取り、強度を保ってチームの中盤を支えた。追加招集し、合流から24時間後に日本代表デビューしたMF伊藤敦樹(浦和レッズ)も慣れないポジションで力を発揮した。“ホーム”で日本代表デビューしたDF森下龍矢(名古屋グランパス)も同様だ。まだまだ世界との差、経験の差はあれど、がむしゃらにプレーした。積極的な攻撃参加を見せ、持ち味を見せつけたと言える。 森保監督が語った「試合に懸ける思い」を、しっかりとピッチで表現し、相手の状況に関係なく、自分たちが求めるパフォーマンスを出し切った日本。「伊東純也選手にももっと取れただろと言われたし、前半2~3回取れたシーンがあったのでそこは悔やまれますね」と久保が語ったが、もっとできたという反省点を次のペルー戦にどう生かすのか。大勝したからこそ、ディテールに目を向けて反省は必要だが、ピッチ上のパフォーマンスでまず示したことは素直に評価すべきだろう。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 <span class="paragraph-title">【動画】3人が代表初ゴール! 日本代表、圧巻の6発ゴールショー</span> <span data-other-div="movie"></span> <script>var video_id ="ZLvd4VyvZCI";var video_start = 0;</script><div style="text-align:center;"><div id="player"></div></div><script src="https://web.ultra-soccer.jp/js/youtube_autoplay.js"></script> 2023.06.16 12:30 Fri
NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly