岡山退団の齊藤和樹、JFL新宿が新天地に 「まだサッカーを本気で続けられる喜びを感じながら…」
2022.12.28 11:50 Wed
ファジアーノ岡山は28日、FW齊藤和樹(34)が日本フットボールリーグ(JFL)のクリアソン新宿に完全移籍すると発表した。
中京大学、ロアッソ熊本、ジュビロ磐田を経て、2018年に岡山入りの齊藤。今季は明治安田生命J2リーグで11試合の出場にとどまり、シーズン終了後の退団が決定していた。
岡山の公式サイトを通じて「このたび、クリアソン新宿に移籍することになりました」と移籍先決定を報告するとともに、別れの挨拶をしている。
「ファジアーノでの5年間、思い返すと様々な感情が湧き出ます。2019年、前十字靭帯断裂という大怪我をした時は本当に悔しく、復帰まで1年以上かかる辛く悔しい日々でした。しかし、その経験があったからこそ、気づけた感情や学びがありました」
「そして、今シーズンはチーム最高の成績となりました。その時のファジアーノに関わる全ての人たちの熱量がものすごく、サッカーの面白さを改めて感じました。情熱的なファン、サポーターのみなさんとともに戦い、素晴らしい雰囲気のスタジアムでプレーできたことは、ずっと忘れません」
中京大学、ロアッソ熊本、ジュビロ磐田を経て、2018年に岡山入りの齊藤。今季は明治安田生命J2リーグで11試合の出場にとどまり、シーズン終了後の退団が決定していた。
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「そして、今シーズンはチーム最高の成績となりました。その時のファジアーノに関わる全ての人たちの熱量がものすごく、サッカーの面白さを改めて感じました。情熱的なファン、サポーターのみなさんとともに戦い、素晴らしい雰囲気のスタジアムでプレーできたことは、ずっと忘れません」
「これからは、まだサッカーを本気で続けられる喜びを感じながら何事にも全力でチャレンジし、新たな自分の可能性に期待しています。また、新しく出会う方々との交流も楽みにしています。来シーズンこそ、ファジアーノ岡山がJ1昇格することを祈っています。ありがとうございました」
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