【特集】優勝候補3カ国紹介《U-21欧州選手権2015》

▽6月17日から30日にかけてU-21欧州選手権2015が開催される。今大会はグループAに開催国チェコ、ドイツ、デンマーク、セルビアが、グループBにイングランド、イタリア、ポルトガル、スウェーデンが名を連ねている。ここでは、優勝候補の3カ国を紹介する。

◆ドイツ～磐石過ぎる歴代最強のGK陣～
▽マヌエル・ノイアーやメスト・エジル、マッツ・フンメルスらを擁して優勝した2009年大会以来3大会ぶり2度目の欧州王者を目指すドイツは今予選、ルーマニアやアイルランドが同居したグループを余裕の首位で通過。そして、プレーオフではウクライナと対戦し、2戦合計スコア5-0の圧勝で本戦出場を果たした。

▽予選で圧巻の強さを誇った今大会のドイツは、2連覇中のスペインが不在のなか、紛れもない優勝候補だ。主力は全てブンデスリーガでレギュラーを張る実力者ばかりで、とりわけGK3人のレベルは異常とも言える。バルセロナでCL優勝を果たしたマルク=アンドレ・テア・シュテーゲン、レバークーゼンの守護神でCL経験が豊富なベルント・レノ、ケルンの堅守を支えたティモ・ホルンと、磐石過ぎる陣容を誇る。一方でバックラインはやや心許ない。マティアス・ギンターやロビン・クノッヘといったセンターバック陣はやや軽率なミスの多い選手たちだ。
▽中盤はGK同様、磐石と言える。アタッキングMFの位置に今予選で10ゴールを挙げた高いボールスキルと得点力を有すシャルケのマックス・マイヤーが入り、セントラルMFの位置には岡崎の同僚で類まれなるプレーメーカーで、プレースキッカーでもあるヨハネス・ガイスが構える。さらにリバプールで3バックの一角としてレギュラーポジションを掴んだ守備力に優れるエムレ・カンら実力者が揃う。

▽攻撃陣の軸はこのチームのキャプテンであり、ドリブルテクニックとシュートセンスに優れるホッフェンハイムのケヴィン・フォラントだ。彼以外にもアーセナルのスピードスターであるセルジュ・グナブリーや岡崎の同僚であるユヌス・マリら、足元の技術に優れた選手を多数擁する。◆イングランド～前線にタレントが揃ったヤング・スリーライオンズ～
▽5大会連続12度目のU-21欧州選手権出場となるイングランドは、定期的にフル代表でプレーしているFWラヒーム・スターリングやMFロス・バークリー、DFフィル・ジョーンズなど数名が招集外となっており、少し小粒な印象がある。しかし、前線にはタレントが揃っており、優勝候補の一角であることは間違いない。予選のグループステージは、9勝1分けという圧倒的な成績で突破。プレーオフではクロアチア代表を2戦合計4-2で撃破し、本大会行きを決めた。3度目の優勝を狙うチームを率いるのは、現役時代に名センターバックとして名を馳せた元イングランド代表DFギャレス・サウスゲート監督だ。

▽ヤング・スリーランズのゴールマウスを守るのは、ストーク・シティのジャック・バットランドだ。名手アスミル・ベゴビッチが在籍するクラブでは控えだが、U-21代表でこれまで28試合に出場するなど、経験値は十分。フル代表デビューも果たしている選手だ。最終ラインは、アーセナルのカラム・チャンバース、カール・ジェンキンソン(2014-15シーズンはウェストハムにレンタル)のほか、エバートンのジョン・ストーンズなど、プレミアリーグでレギュラーとして活躍する選手が名を連ねる。

▽中盤では、ノリッジのレッドモンドやマンチェスター・ユナイテッドのジェシー・リンガードがドリブルでアクセントを付ける。センターでは、機動力とパスセンスに優れるサウサンプトンのワード=プロウスを軸に、スパーズのトム・キャロル、チェルシーのロフタス=チークなど、ビッグクラブの期待の星が大会での躍進を狙っている。

▽前線には好メンバーが揃った。エース格は、2014-15シーズンのプレミアリーグでセルヒオ・アグエロに次ぐ21ゴールを挙げたハリー・ケイン。先日にバーンリーからリバプールへの移籍が発表されたダニー・イングスも、ポストワークとフィニッシュに優れるストライカーだ。さらに、WBAでリーグ戦14ゴールを挙げたサイード・ベラヒノも先発を狙える座におり、フィニッシャーには事欠かない。

◆イタリア～攻守に要を揃えるアッズリーニ～
▽最多5度の優勝を誇るイタリアは前回大会、スペインの前に決勝で完敗。そのイタリアは今予選ではセルビアやベルギーといった強豪国と同居したなか、首位でプレーオフへ進出。そして、スロバキアとのプレーオフでは2戦合計スコア4-2で危なげなく制して本戦出場を果たし、2004年大会以来6大会ぶりの優勝を目指す。

▽闘将ディ・ビアッジョ率いる今大会のアッズリーニのゴールマウスを守るのは、前回大会も出場したフランチェスコ・バルディが濃厚だ。ただ、バルディはキエーボで控えに降格しており、アタランタで正GKを務めたマルコ・スポルティエッロが務める可能性もある。バックラインの中心は2014-15シーズンのセリエAで全試合フル出場を果たしたエンポリDFのダニエレ・ルガーニ。新シーズン、王者ユベントスでプレーする20歳の若きDFは、クレバーなプレースタイルが売りで警告を1度ももらうことがなかった。相棒のアレッシオ・ロマニョーリもサンプドリアの堅守を支えた人材で両センターバックがチームに安定をもたらすだろう。

▽中盤はやや人材不足だが、2014-15シーズンの後半戦でジェノアからユベントスへ移籍し、渋い働きを見せたステファノ・ストゥラーロが軸となる。フィジカルの強さと無難なパス捌きでチームに落ち着きを与える。また、躍進したラツィオで準レギュラーとして働いた運動量豊富なダニーロ・カタルディも面白い存在だ。

▽そして、何と言ってもこのチームの中心は、2014-15シーズンのセリエAで15ゴールを挙げたサッスオーロFWのドメニコ・ベラルディだ。2年連続2桁ゴールを達成した20歳のレフティーは、将来のアッズーリを背負って立つ逸材。ゴールセンスだけでなくチャンスメークにも長け、イタリアの攻撃を牽引する。