東京Vの城福浩監督、難敵・千葉撃破に「またひとつ選手の成長に…」、今季2敗清水との昇格PO決勝へ「1年間やってきたサッカーでチャレンジ」
2023.11.26 23:05 Sun
昇格PO決勝進出に導いた東京Vの城福浩監督
東京ヴェルディを率いる城福浩監督が、2023J1昇格プレーオフ準決勝のジェフユナイテッド千葉戦を振り返った。
今シーズンの明治安田生命J2リーグを2位のジュビロ磐田と同じ勝ち点75で終えたものの、得失点差で涙を呑んで3位フィニッシュとなった東京V。これにより、2018シーズン以来の参戦となるプレーオフで、16年ぶりのJ1昇格という悲願達成を目指す。
26日に味の素スタジアムで行われた準決勝では6位の千葉を迎え撃ち、前半にMF中原輝、MF森田晃樹が挙げた2ゴールを守り切って2-1の勝利を収めた。そして、決勝進出を決めたチームは12月2日に国立競技場で行われる決勝で、モンテディオ山形を破った清水エスパルスと対戦する。
同試合後、公式会見に出席した城福監督は、前半半ば過ぎまで守勢を強いられたタフな一戦を総括。自身にとっても初の采配となったプレーオフでの難しさを実感しながらも、レギュラーシーズン終盤の痺れる戦いに続き、成長途上のチームが手にした新たな経験値が今後の戦いにプラスになると大きな手ごたえを強調した。
「もちろん試合の入りというべきか、もっと広い25分ぐらいまでは千葉さんの圧力に押された時間を我々は想定していましたが、やはり判断のところがまだまだこのチームは学ぶべき点が多い若いチームなので、相手の力を利用したサッカーがまだできない。そこの反省点はありつつも、マテウスのビッグセーブもありましたが、そこをしっかりと凌いで自分たちのペースになったときに2点取れたことは、我々にとってすごくアドバンテージになったと思います」
「今日は多くのサポーターに来ていただいて選手には言いましたが、この春から我々側から見たスタジアムの風景が一変してきている。我々が望んだような舞台でやれている。このなかで自分たちが積み上げてきたものを見せるという部分で、今日は満点というわけにはいかなかったですが、この舞台を自分たちで作れたこと。そのなかでしっかりと次に勝ち進めたことは選手にとってもチームにとっても非常にポジティブです。またひとつ選手の成長につながる試合であればと思います」
試合展開に関しては突破へ勝利必須の千葉のハイプレスに対して、圧力を受ける場面が多かった前半の戦い方について「相手の力を利用する」という、よりしたたかな戦い方を課題に挙げている。
「このチームはつなぐチームで、つなぐことが正しいという言い方がいいのか、善であるというか、言い方を恐れずに言えば、“蹴る”ことが悪であるという感覚から、僕は1年半前にスタートしました。“蹴る”のではなく相手の力を利用するというところの判断は、それは技術ではなく判断なので、そこはこういう大きなゲームのなかで相手の力を利用しながら自分たちがやりたいつなぐサッカーに持ち込むというところでは、まだ学んでいる途中だと思います」
「そこでこの舞台に来られたことは彼らの頑張りによるものですが、僕はその部分を謙虚に受け止めています。もちろん千葉さんの圧力はおそらくJ2でトップクラスのチームだと思いますが、それに対してどういうようなサッカーで入るかというところで今日は本当によい学びになったと思います」
「その圧力を利用したシーンが実はあって、それがひょっとしたら丁寧につなぐような形のフィードではなかったですが、そこから押し込んでコーナーを取りました。そのコーナーで点を取ったり、ビッグチャンスになったわけではなかったですが、それ以降に相手陣でサッカーができるようになった印象があります。それはそのプレーがきっかけという言い方もそうですが、時間とともにあれぐらいのハイプレスが続くものではないので、多少我々がつなぎたいというところが可能になったと考えています」
その一方で、上位チームでは異例といえる2桁得点者なしでレギュラーシーズンを終えたなか、この試合でも見せた複数の選手が有機的に絡む形で奪ったゴールの形に、これまでのチームの確かな積み上げを感じている。
「自分たちはレギュラーシーズンを終えたときに最高得点者が6点でした。おそらく他のチームからすれば、誰かにボールを預けたら点を取ってくれるとか、絶対的なストライカーがいるわけではなく、フィールドの全員が点を取っている。よく言えば、全員で点を取る。悪く言えば、絶対的なストライカーがいるわけではないなかで自分たちが大事にしているのは、ボールを運んだなかでゴール前に人数をかけること」
「1点目も斜めのくさびに対して3人ぐらいが絡んだと思います。うまく全部パスがつながったかは別としても、フリックしてコンビネーションを試みたところにこぼれたところに人がいるので、最後は中原輝のところにボールがこぼれたというか、最後はパスだったと思いますが、うまく転がっていった」
「2点目も齋藤功佑のクロスに3人飛び込んだと思います。その一人が森田晃樹でした。我々はボールを丁寧に運んだ後にペナの中に人数をかける。それが今シーズンの我々のチームが点を取るうえで一番違いを生める方法だと思っていたので、この2点目はいずれも人数をかけられていたという部分で我々らしかったと思います」
また、今シーズンのリーグ戦ではアウェイで1-2、ホームで0-1といずれも敗れている清水との決勝に向けては、順位上は自分たちが上位であるものの、「彼らにチャレンジしたい」とあくまで挑戦者として臨む構えだ。
「レギュラーシーズンは我々が2敗しています。もちろん内容的にもアウェイのときは完敗でしたし、ホームのときは自分たちがボールを握っていたとはいえ、同じチームにダブルを食らっているので、同じチームに3連敗するわけにはいかない」
「エスパルスは世の中の人が見たときにこのメンバーでJ2にいてはいけないと感じるクラブでそういうメンバーを揃えています。だからこそ我々はチャレンジしがいがありますし、我々が1年間やってきたサッカーで彼らにチャレンジしたい」
今シーズンの明治安田生命J2リーグを2位のジュビロ磐田と同じ勝ち点75で終えたものの、得失点差で涙を呑んで3位フィニッシュとなった東京V。これにより、2018シーズン以来の参戦となるプレーオフで、16年ぶりのJ1昇格という悲願達成を目指す。
26日に味の素スタジアムで行われた準決勝では6位の千葉を迎え撃ち、前半にMF中原輝、MF森田晃樹が挙げた2ゴールを守り切って2-1の勝利を収めた。そして、決勝進出を決めたチームは12月2日に国立競技場で行われる決勝で、モンテディオ山形を破った清水エスパルスと対戦する。
「もちろん試合の入りというべきか、もっと広い25分ぐらいまでは千葉さんの圧力に押された時間を我々は想定していましたが、やはり判断のところがまだまだこのチームは学ぶべき点が多い若いチームなので、相手の力を利用したサッカーがまだできない。そこの反省点はありつつも、マテウスのビッグセーブもありましたが、そこをしっかりと凌いで自分たちのペースになったときに2点取れたことは、我々にとってすごくアドバンテージになったと思います」
「昨日の(清水と山形の)試合も我々は観ていましたが、アドバンテージがあるとされるチームの戦う難しさを感じながらやっていて、実際にやってみてもこういうプレーオフを勝ち抜くのが簡単ではないということを選手たちが経験できて、非常に力のある千葉の壁を乗り越えられたことは、我々にとって大きなことだったと思います」
「今日は多くのサポーターに来ていただいて選手には言いましたが、この春から我々側から見たスタジアムの風景が一変してきている。我々が望んだような舞台でやれている。このなかで自分たちが積み上げてきたものを見せるという部分で、今日は満点というわけにはいかなかったですが、この舞台を自分たちで作れたこと。そのなかでしっかりと次に勝ち進めたことは選手にとってもチームにとっても非常にポジティブです。またひとつ選手の成長につながる試合であればと思います」
試合展開に関しては突破へ勝利必須の千葉のハイプレスに対して、圧力を受ける場面が多かった前半の戦い方について「相手の力を利用する」という、よりしたたかな戦い方を課題に挙げている。
「このチームはつなぐチームで、つなぐことが正しいという言い方がいいのか、善であるというか、言い方を恐れずに言えば、“蹴る”ことが悪であるという感覚から、僕は1年半前にスタートしました。“蹴る”のではなく相手の力を利用するというところの判断は、それは技術ではなく判断なので、そこはこういう大きなゲームのなかで相手の力を利用しながら自分たちがやりたいつなぐサッカーに持ち込むというところでは、まだ学んでいる途中だと思います」
「そこでこの舞台に来られたことは彼らの頑張りによるものですが、僕はその部分を謙虚に受け止めています。もちろん千葉さんの圧力はおそらくJ2でトップクラスのチームだと思いますが、それに対してどういうようなサッカーで入るかというところで今日は本当によい学びになったと思います」
「その圧力を利用したシーンが実はあって、それがひょっとしたら丁寧につなぐような形のフィードではなかったですが、そこから押し込んでコーナーを取りました。そのコーナーで点を取ったり、ビッグチャンスになったわけではなかったですが、それ以降に相手陣でサッカーができるようになった印象があります。それはそのプレーがきっかけという言い方もそうですが、時間とともにあれぐらいのハイプレスが続くものではないので、多少我々がつなぎたいというところが可能になったと考えています」
その一方で、上位チームでは異例といえる2桁得点者なしでレギュラーシーズンを終えたなか、この試合でも見せた複数の選手が有機的に絡む形で奪ったゴールの形に、これまでのチームの確かな積み上げを感じている。
「自分たちはレギュラーシーズンを終えたときに最高得点者が6点でした。おそらく他のチームからすれば、誰かにボールを預けたら点を取ってくれるとか、絶対的なストライカーがいるわけではなく、フィールドの全員が点を取っている。よく言えば、全員で点を取る。悪く言えば、絶対的なストライカーがいるわけではないなかで自分たちが大事にしているのは、ボールを運んだなかでゴール前に人数をかけること」
「1点目も斜めのくさびに対して3人ぐらいが絡んだと思います。うまく全部パスがつながったかは別としても、フリックしてコンビネーションを試みたところにこぼれたところに人がいるので、最後は中原輝のところにボールがこぼれたというか、最後はパスだったと思いますが、うまく転がっていった」
「2点目も齋藤功佑のクロスに3人飛び込んだと思います。その一人が森田晃樹でした。我々はボールを丁寧に運んだ後にペナの中に人数をかける。それが今シーズンの我々のチームが点を取るうえで一番違いを生める方法だと思っていたので、この2点目はいずれも人数をかけられていたという部分で我々らしかったと思います」
また、今シーズンのリーグ戦ではアウェイで1-2、ホームで0-1といずれも敗れている清水との決勝に向けては、順位上は自分たちが上位であるものの、「彼らにチャレンジしたい」とあくまで挑戦者として臨む構えだ。
「レギュラーシーズンは我々が2敗しています。もちろん内容的にもアウェイのときは完敗でしたし、ホームのときは自分たちがボールを握っていたとはいえ、同じチームにダブルを食らっているので、同じチームに3連敗するわけにはいかない」
「エスパルスは世の中の人が見たときにこのメンバーでJ2にいてはいけないと感じるクラブでそういうメンバーを揃えています。だからこそ我々はチャレンジしがいがありますし、我々が1年間やってきたサッカーで彼らにチャレンジしたい」
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東京ヴェルディのMF松橋優安が、原点回帰あるいは新たなアタッカー像を模索している。 前節、中2日の過密日程、多くの離脱者という逆境を乗り越え、横浜FCとの4連戦ラストマッチを2-0で勝利した11位の東京V。 その“総緑戦”となった一戦ではいずれも今季リーグ初先発でクリーンシートに貢献したDF深澤大輝、MF稲見哲行。久々の出場でプロ初ゴールを挙げたFW熊取谷一星が、先制点を挙げたFW染野唯月とともに勝利の立役者としてスポットライトを浴びる形となった。 一方、開幕節の清水エスパルス戦以来のリーグ先発となった背番号19も、先制点の起点を含めチームに勢いをもたらすプレーを見せた殊勲者の一人だった。 36分に染野が決めた先制点の場面では相手陣内右サイドのタッチライン際でMF翁長聖から縦パスを受けると、胸トラップからの巧みな浮き球コントロールで内側にドリブルで切り込み、一度は相手DFに引っかかりながらも味方に繋いだボールが最終的に染野のヘディングシュートに繋がった。 また、前々節の浦和レッズ戦で立ち上がりが課題となったなか、この試合ではほぼファーストプレーで背後への抜け出しから松橋が開始早々に放ったファーストシュートがチームに勢いをもたらした。 「ゲームの入りの部分からいい守備やゴールに向かうプレーで自分たちの流れに持って行こうという部分で、その後もコーナーを取れていい入りはできました」 「まずはいい守備から入る部分は心掛けていましたけど、攻撃はどんどん背後や仕掛けの部分は出していこうという意識はありました。それがまさに出て、得点に繋がったのは良かったと思います」 攻撃面の仕事を淡々と振り返った松橋。守備面ではDF福森晃斗、DF新保海鈴と左足に特長を持つ相手のストロングに対して、アグレッシブ且つ繊細な対応を続けた末、「プロフェッショナルな判断」によって後半立ち上がりにFW川﨑修平との交代でピッチを後にした。 久々の先発出場ということもあり、より長い時間プレーしポジション奪取へアピールしたい気持ちがあったことは間違いないが、“バトンを繋ぐ”重要性を誰よりも理解する選手の一人だけに、出し切った上での交代に一切の後悔はなかったという。 「ハーフタイム時点では問題なくて、後半立ち上がりの部分で出る時にちょっと足にきているというのは伝えていました。もうスタメンを伝えられた時から前半から出し切る気持ちで、時間なんて気にしないという気持ちでやっていたので、そこで出し切れたというのはプラス。普段スタメンで出ている人たちがベンチに控えていたので、自分は本当に出し切って、バトンを繋ぐだけという意識だったので、そこはいい流れができたと思います」 この試合ではユースの先輩でもある深澤ら出場機会に飢えた選手たちが、過密日程と離脱者というチームにとっての逆境において奮闘。森下仁志コーチが主導するエクストラ(個別トレーニング)で培ってきたものを遺憾なく発揮した。 昨季始動時はフィールドプレーヤーの序列の最後尾という立ち位置ながら、頭から湯気を出し続けて自身の立ち位置を確立した23歳は、感慨とともに改めていい刺激を受け取った。 「特に、(深澤)大輝くんなんかは去年からエクストラをやり続けている選手の1人です。正直一緒にスタメンで出るとなった時に個人的にすごく楽しみというか、自分もスタメンが久々でしたし、一緒に戦って絶対勝ちたいという気持ちが心から湧き上がってきました。本当にチームとしても素晴らしい影響だったと思いますし、自分にとっても特別な試合になりました」 チームとしても個人としても、いいきっかけを掴めそうな勝利を経て、今後は激化するポジション争いのなかで自身の課題にも目を向ける。 昨季とシーズン序盤戦はウイングバックでのプレーがメインだったが、ここ最近はアカデミー時代やプロ入り後も主戦場としてきた2列目のポジションでの起用が増え始めている。 ある意味では原点回帰、城福浩監督の薫陶を受けたなかでの新たな松橋優安のアタッカー像という部分でも今後の成長に期待が集まる。 松橋自身も「シャドーは相模原の時にずっとやっていたポジションなので、自分のなかでいい感覚がありますし、イメージもいいものは持っています。ここ最近はそこで使ってもらうことが多いですし、昔を思い出しながらも、ここで求められている守備の部分だったりは継続しつつ、結果を残していきたいという感じです」と、ポジティブに取り組んでいる。 「(守備で)前からの圧力というのは常に言われていますし、そこで圧力をかけることや靴一足分寄せることによって、相手のプレーの選択も狭まると思いますし、後ろの選手たちもやっぱり楽に守備できる。前で出る時は本当に前から追いかける、ボールを奪いに行くという強い気持ちで追いかけています」 「同時に前目のポジションは数字の部分が求められると思いますし、徐々にゴールに近づく、繋がるプレーというのは増えてきているので、そこでの質をさらに高めて数字を残していきたいです」 さらに、黙々と求められる仕事をこなす“職人”的な印象もある23歳に求めたいのは、内に秘めた情熱を含め周囲を動かすコーチングやパーソナリティの部分だ。 松橋自身も「自分がやるのは当たり前ですけど、周りにも言えるように要求していけるようにというのは、もっと自分のなかで必要になってくる」、「周りと連携しながら、周りも動かせるような選手になっていければ、もう1個上の段階へのステップに上がっていける」と、より意識を高めている。 そんななか、チームは11日に味の素スタジアムで行われる明治安田J1リーグ第16節で湘南ベルマーレと対戦。ホーム3連勝とともに上位浮上に向けた勝ち点3奪取を狙う。 チーム自体は昨季の公式戦3試合で1勝2敗と負け越した相手であり、とりわけ味スタで行われた前回対戦では0-2のスコア以上に力の差を見せつけられた。 一方で松橋はスタメン出場した天皇杯(0-1●)ではウイングバックでの起用ではあったが、攻撃面でよりアグレッシブなプレーをみせ、何かを掴んだ印象もあった一戦でもあった。 「確かに攻撃の部分でいい感覚を掴めてきたきっかけとなった試合でもあったので、そこはいいイメージはあります」と昨季の対戦を振り返ったが、「今年はまた状況も違いますし、間違いなく簡単に勝てる相手ではないと思うので、短い時間でしっかりいい準備をしていきたいです」といいイメージは持ちつつも、チームの勝利に向けて普段通り自身が持てるすべてを捧げる。 2025.05.10 22:05 Sat4
全員守備・全員攻撃の体現者、東京VのFW染野唯月「自分たちはもっとゴールを狙っていきたい」
東京ヴェルディは11日、味の素スタジアムで行われる明治安田J1リーグ第16節で湘南ベルマーレと対戦する。FW染野唯月が自身の2試合連発とともに今季2度目の連勝へ静かに闘志を燃やす。 現在、11位の東京Vは前節の横浜FC戦を2-0で勝利し、厳しい4連戦を3勝1敗の上々の戦績で終えた。 その横浜FC戦では中2日の過密日程と主力数名に離脱者が重なったなか、先発6人を入れ替えてスクランブルで臨んだが、出番に飢えていた選手たちの気迫のプレーによって今季初の複数得点差での勝利を飾った。 自身も5試合ぶりのスタメン且つ、本職である[3-4-2-1]の最前線でプレーし、前半の36分にはMF齋藤功佑がボックス左で上げたクロスを、絶妙なプルアウェイの動きでセンターバックとウイングバックの間に入り打点の高いヘディングシュートを叩き込み、スタメン起用に応える今季2点目を挙げた。 得点場面以外でも再三の競り合いの勝利、献身性・ハードワーク、気の利いた守備でファーストディフェンダーとしてチームが志向するコンパクトな守備を牽引。セットプレー以外で決定機を作らせなかった堅守に一役買った。 ストライカーに対して守備面のハードワークを大前提に、その上でゴールという結果も要求する城福浩監督も、「葛藤し続けた彼が、彼らしいヘディングで点を取ったということは、本当に喜ばしい。守備からスタートして攻撃もやり続けていればボールが来るということを実感してくれたとしたら、このチームのコンセプトにそってプレーする後押しになる」と称賛の言葉を送っていた。 その横浜FC戦について染野は「背後を取りつつ、しっかり相手を裏返すというところは意識していましたし、自分から守備はスタートするので、そこのスイッチというところは心がけてプレーをしていました。守備から入って、いい感じで試合に入れたのはよかったです」と、攻守両面で準備してきたものをある程度出すことができたとポジティブに振り返った。 以前からチームではクロスの入り方、とりわけ前線のアタッカーに対しては動き直しの重要性を口酸っぱく要求。今回の染野の得点はまさに狙い通りの形だった。 染野自身も「練習からチーム全体として共通意識を持ってやっていることではあります。相手の裏というところは常に狙っているところなので、そこの位置取りであったりは意識してやっています。何回も動き直してボールを要求することが結果というか、ゴールに繋がったのかなと思います」と手応えを口にしている。 チームは5試合ぶりのスタメン起用となった染野を含め、久々にプレー機会を得た選手たちがいずれも好パフォーマンスを披露し、ポジション争いという部分でも今後に繋がる結果となった。 どちらの立場も経験している背番号9も「誰が出てもスタメンが定着するというわけでもないので、本当にいい選手、練習からいいパフォーマンスを出した選手が試合に出ていくというのは当たり前。そこはプロとしてチャンスをもらった試合で結果を出す。守備であればゼロで抑えるとかというところは大事だなと思いました」と、深澤らの活躍を称えつつ、チーム内で良い競争が生まれている感覚を得ている。 今季2度目の連勝とともに勝てば、今季初めてシーズン成績で勝ち越しとなる重要な一戦に向けては「マンツーマンというか、相手も似たようなシステムのなかで、自分たちがまず個の力で負けないように、相手に押し込まれないで、自分たちの時間帯を増やせればいいかなと思います」と、横浜FC戦同様にミラーゲームではより重要となる局面での戦いを勝負のポイントに挙げた。 リーグ最多タイの7試合クリーンシートと守備面に安定感が出てきた一方、得点力は引き続き明確な課題となるなか、2試合連発も期待されるストライカーはへそを使ったビルドアップの改善を含め、チームとしてより貪欲にゴールを奪いたいとその決意を語った。 「自分たちは後ろから繋ぐというところをチャレンジしているので、そこを放棄せずに自分たちがしっかり顔を出して動いて、ボールに関わる人数を増やしていきながら、ゴール前に人数をかけていくというところ。それがおのずと個人個人の走行距離にも繋がっていきますし、無駄走りという言い方が正しいかはわからないですけど、そういうところが大事なのかなと思います」 「ゼロに抑えてくれるぶん、攻撃陣はやっぱり点を取らなきゃいけないですし、そこはプラスに捉えながら、自分たちはもっとゴールというところを狙っていきたい。個人としても常にゴールは狙っているので、そこは意識して試合に臨めればなと思います」 ストライカーとしてゴール前での攻撃の仕事により注力したい葛藤を常に抱えながらも、FW木村勇大とともに常にチームのために前線からのハードワークで全員守備・全員攻撃の体現者の一人として奮闘が続く染野。 前節はその献身に対する報酬を自ら手繰り寄せたが、連勝を狙う今回の一戦でも引き続きのハードワークとともにゴールという最高の報酬を得るためピッチの上で戦い続ける。 2025.05.10 14:30 Sat5
中2日で臨む横浜FCとの4連戦最終戦、「だからこそ『勝ってやる』という思いでやる」東京Vの城福監督は日程面での不利はね返す姿勢求む
東京ヴェルディの城福浩監督が、6日に味の素スタジアムで行われる明治安田J1リーグ第15節の横浜FC戦に向けた会見を実施した。 東京Vは前節、浦和レッズとのアウェイゲームで0-2の敗戦。4試合ぶりの失点とともに敗戦を喫し、順位をひとつ下げて14位に転落した。 5万2千人超えの埼玉スタジアムの完全アウェイの雰囲気に飲まれたことに加え、警戒していた相手の強度が高い前半立ち上がりの失点で全体が重くなった末にセットプレー流れで2失点目。後半は選手交代と意識の切り替えで押し返したが、DF谷口栄斗の一発退場で万事休す。後半終盤は10人で相手を押し込む気概を示したが、完敗と言わざるを得ない内容で好調の上位チーム相手に敗れた。 試合後の会見では「空気に飲まれた」、「怖がらずにやれたのかと言えば、そうは言い切れない前半があった」。メンタル面を含め、腰が引けた前半の戦いを悔やんだ城福監督。 さらに、「我々が中3日で、浦和さんが中7日ということは一言も言っていない」と意識させずに臨んだものの、中3日でのアウェイ連戦という部分でエンジンのかけ方を含め自身のアプローチを改めて反省した。 「過密日程のなかで連戦が続いていくなかで、一番ありがちなのは疲労感が出て、エンジンのかかりが遅いということ。体が重く感じるような状況がキックオフの時にあり得る。それは自分の経験則でもわかっていましたが、そのエンジンのかけ方というか、そこがうまくいかなかったなと」 「(10人となった2点ビハインドの後半終盤)尻に火がついたらあれだけやるわけじゃないですか。浦和さんが開始の20分、25分がどれだけインテンシティ高く、かつハイクオリティのサッカーをしてくるかというのは、個人のレベルを見ても明らかだったので、そこをしっかりしのげば、我々からしたら自分のエネルギーのひょっとしたら最初の20分で、そのエネルギーの50%を使っているのではないかと思うようなしのぎ方だったとしても、一度息が上がれば過密日程であっても思いのほか動けるというところが、ちょっと息が上がるところまでのやらせ方というのが、自分のなかでは反省しています」 とはいえ、「目が覚めて一息上がった状況になれば、みんながボールを呼び込むようになって、体が動くようになってというのも経験できた。実際には勝っていないし得点を取っていないので、あれをやれたと言えるかは別ですけど、選手としては手応えというか、反省としたら気持ちの持ちようであれだけ変われるというのは感じてくれた」と、痛い目を見ながらもチームがまた一つ成長のきっかけを得たとポジティブな姿勢も忘れない。 そんななか、チームは4連戦のラストゲームで19位の横浜FCと対戦。 昇格組となるアウェイチームは2連敗中且つ4試合未勝利と厳しい序盤戦を過ごしているが、「簡単な相手ではない」と一つ歯車が嚙み合えば、下位を脱する力がある相手だと警戒している。 「資金力があるチームなので、我々から見ると、個を揃えたなかでそれをチームにしていくというプロセス。横浜FCは毎年そういうチーム作りをしてきているチームだと思います。そういう意味で最初は難しい戦いになるけれども、そこが馴染んできて最大値を掴んできたら、それは簡単じゃなくなるというふうに思います」 「個のストロングをお互いが理解しながら、そこから逆算した組み合わせにしているなというふうに思っているので、そこは我々が相手の利き足であったりとか、どのようにしてスクランブルを起こそうとしてきているのかを予測したりであるとかというのは意識しなければいけない」 また、谷口をサスペンション、DF千田海人、DF林尚輝が負傷と3バックの主力3人を欠く形での戦いを強いられるなか、高精度のクロッサーと前線に高さのあるストライカーを揃える相手の攻撃への対応はひとつのポイントとなる。 その点について「細心の注意を払いたい」としながらも、指揮官は試合全体としては自分たちで主導権を握る戦いをすることが重要だと語った。 「相手が利き足でクロスを上げて、中の身長の高い選手が飛び込んでいくという回数が多くなれば、もちろん勝負としては危うくなる難しくなる。まずはその回数を減らすこと。もしその場面になっても、少しでも相手が圧力をかかった状態でクロスを上げるような状況にすること。ヘディングそのものを叩き込まれないように、まずは競り合う直前のところからの駆け引きをすること。あとはセカンドボール。ここへの集中というのは大事になると思うので、そこは細心の注意を払いたいと思います」 「その数を減らすという意味では、我々がボールを握るということが一番大きな方法論のひとつだと思うので、前に進まないということではなくて、我々が相手陣でボールを握りながら厳しいところにボールをつけていくという場面を多くしたいなと思います」 中2日での4連戦のラストマッチという過酷なコンディションに加え、浦和戦に続いて対戦相手の横浜FCは、前節が後ろ倒し開催となる影響で中6日と十分な休養と準備を施して挑んでくる。 過去に指揮を執った際に13連戦を経験し、「いろんなチームのいろんな状況はありますし、これが得だったとか損だとか、なんで我々だけかというふうなことは思ってもしょうがない」と日程面について触れた指揮官。ただ、その経験豊富な指揮官としても「連戦のなかで2試合続けて、相手が大きく休みが取れているというのは自分の経験上でも珍しい」と、正直な思いも吐露。 それでも、逆境でこそ燃える闘将は「だからこそ『勝ってやる』という思いでやる。だからこそ『走ってやる』と。『日程くん、見てろよ』というぐらいのメンタリティがないとダメだと思います」と、ミラーゲームが想定される状況でベースの部分で相手を上回りたいと意気込んだ。 なお、ディフェンスラインを中心に中2日でのメンバリングについては、心身のコンディションを含めギリギリまで見極める必要があるとしながらも、「この状況を、レギュラー格の今まで出ていた選手が同じポジションで何人もいなくなったと捉えるか、だからこそ『見てろよ』と」、「それは当該の選手だけではなくて、我々もそう思わないと、本当にそういうマインドにならないので、これを乗り越えてみせる。そのためにやってきたでしょというエネルギーに満ちた状態でピッチに立たせてやりたい」と、自身も覚悟を持ってチームとしての最大値を引き出す選択をしたいと語った。 2025.05.05 18:30 Mon東京ヴェルディの人気記事ランキング
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【明治安田J1第14節まとめ】鹿島は4連勝で首位キープ、浦和は5連勝で2位浮上…G大阪が4ゴール快勝で連勝
3日に明治安田J1リーグ第14節の8試合が各地で行われた。 <h3>【G大阪vs湘南】助っ人の2戦連発など4ゴール快勝</h3> 14位のガンバ大阪は11位の湘南ベルマーレと対戦。前節首位を下したG大阪はこの日も攻撃陣が躍動する。 開始2分、GKのロングボールを受けたデニス・ヒュメットがファン・アラーノのパスを受けるとドリブルをスタートさせボックス手前から左足一閃。強烈なミドルシュートで先制すると、13分にはスルーパスに抜け出した宇佐美貴史がボックス内左からシュート。これはGK上福元直人にセーブされるが、岸本武流が詰めて追加点を奪う。 勢いに乗るG大阪は29分にもカウンター。左サイドを仕掛けたファン・アラーノがクロスを入れると、ボックス内に走り込んだ岸本がハーフボレーで蹴り込み3点目。35分にはボック付近のFKからクリアボールを黒川圭介が拾ってクロス。ファーサイドで半田陸が折り返すと、中谷進之介がヘディングで押し込み4点目。前半に一気に試合を決めたG大阪が4-0で快勝を収めた。 <h3>【鹿島vs町田】4連勝の鹿島が首位キープ</h3> 3連勝で首位に立つ鹿島アントラーズと3連敗を止めた7位のFC町田ゼルビアの一戦。鹿島が主導権を握り中、16分には関川郁万が負傷交代するアクシデントが発生。すると39分、チャヴリッチのパスをボックス手前で受けた鈴木優磨が素早くボックス左に展開。駆け上がった安西幸輝の折り返しを走りこんだ田川亨介が左足で流し込んだ。 鹿島が先制した展開となった中、町田は選手交代で流れを変えにいくも、なかなかゴールを奪えず。70分には、ナ・サンホが直接FKで狙ったがシュートはクロスバー直撃。町田の猛攻は最後まで続いたが、鹿島が1点を守り切って、首位をキープした。 <h3>【新潟vsFC東京】下位対決はFC東京に軍配</h3> 17位のアルビレックス新潟と16位のFC東京の一戦は点の取り合いに。先制したのはFC東京。8分にルーズボールを拾ったマルセロ・ヒアンがドリブルで運ぶと、ボックス手前から左足一閃。移籍後初ゴールで見事に先制する。 前半はFC東京がリードして終えると52分にも追加点。敵陣でFC東京はボールを回すと、細かくパスを繋いでいくと起点となった小泉慶がフィニッシュを仕上げて追加点を奪う。 2点ビハインドとなった新潟。しかし66分に奥村仁が左サイドを仕掛けてボックス内からシュート。これはGK野澤大志ブランドンがセーブするも、クリアが小さくなると笠井佳祐がこぼれ球を蹴り込み1点を返す。 1点差となったが82分には新潟が右サイドからのダニーロ・ゴメスのクロスを奥村がボックス内で合わせるも左ポスト直撃。すると、ここからFC東京がカウンター。白井康介が拾ってドリブルスタート。敵陣まで1人で持ち込みスルーパスを出すと、マルセロ・ヒアンが抜け出しフィニッシュ。新潟は後半アディショナルタイムにダニーロ・ゴメスが1点を返すも2-3でFC東京が勝利を収めた。 その他、東京ヴェルディを2-0で下した浦和レッズは5連勝。2週間ぶりの試合となったヴィッセル神戸はファジアーノ岡山を2-0で下してこちらも4連勝と勝ち点を重ねている。 <h3>◆明治安田J1リーグ第14節</h3> ▽5/3(土) サンフレッチェ広島 2-1 アビスパ福岡 【広島】 加藤陸次樹(後22) ジャーメイン良(後45+8) 【福岡】 見木友哉(後41) アルビレックス新潟 2-3 FC東京 【新潟】 笠井佳祐(後21) ダニーロ・ゴメス(後45+9) 【FC東京】 マルセロ・ヒアン(前8、後37) 小泉慶(後7) 清水エスパルス 0-3 名古屋グランパス 【名古屋】 稲垣祥(前36) 和泉竜司(後3) 椎橋慧也(後5) 鹿島アントラーズ 1-0 FC町田ゼルビア 【鹿島】 田川亨介(前39) 浦和レッズ 2-0 東京ヴェルディ 【浦和】 松尾佑介(前6) 渡邊凌磨(前31) ガンバ大阪 4-0 湘南ベルマーレ 【G大阪】 デニス・ヒュメット(前2) 岸本武流(前13、前29) 中谷進之介(前35) ヴィッセル神戸 2-0 ファジアーノ岡山 【神戸】 宮代大聖(後6) 井手口陽介(後28) 京都サンガF.C. 2-3 セレッソ大阪 【京都】 原大智(前12) 松田天馬(前14) 【C大阪】 ルーカス・フェルナンデス(前18) 古山兼悟(前43) 中島元彦(後20) <span class="paragraph-title">【動画】覚醒した助っ人、デニス・ヒュメットが2戦連発の衝撃ミドル</span> <span data-other-div="movie"></span> <script>var video_id ="OdH_JRuadok";var video_start = 0;</script><div style="text-align:center;"><div id="player"></div></div><script src="https://web.ultra-soccer.jp/js/youtube_autoplay.js"></script> 2025.05.03 21:50 Sat2
守備陣に離脱者相次ぐチーム救えるか…東京Vの鈴木海音&稲見哲行がそれぞれの想いを胸に横浜FC戦へ
東京ヴェルディは6日、味の素スタジアムで行われる明治安田J1リーグ第15節で横浜FCと対戦する。チームの窮地において台頭求められるDF鈴木海音とMF稲見哲行がそれぞれの想いを語った。 東京Vは前節、浦和レッズに0-2の敗戦。4試合ぶりの失点とともに敗戦を喫し、14位に転落した。 さらに、同試合では決定機阻止でレッドカードを受けたDF谷口栄斗が1試合の出場停止。前半終盤にハムストリングを痛めたDF千田海人が負傷。「なかなかいつ頃というのははっきりと言えない状況」と指揮官が語ったDF林尚輝を含め、3バックの主力不在という状況で、中2日の4連戦ラストマッチへ臨むことになった。 ディフェンスラインではMF綱島悠斗、DF宮原和也と左右のストッパーを務める主力2人は健在も、ハイライン・ハイプレスを志向するなかでライン統率、カバーリングを主に担う中央の選手が不在に。そのため、連戦のコンディション面を含め3バックの人選には大きな注目が集まるところだ。 ここまでリーグワーストの13試合8得点と得点力不足に悩まされる横浜FCだが、ルキアン、鈴木武蔵、櫻川ソロモン、森海渡ら前線にはフィジカル能力が高い長身FWが揃っている。 そういった事情もあり、4日にクラブハウスで行われた会見では城福浩監督に対して、ディフェンスラインの人選に関する質問もあった。 その際に指揮官はセットプレーを含む相手のストロングを認識しつつ、重視するポイントについてこう語った。 「横浜FCのストロングは認識しそれを頭に入れながらも、最終ラインの統率をどういうふうにしていくか。我々のストロングラインをどういうふうに取っていくか。そこのリスクをどういうふうに全員で共有しながら、できればゴール前まで来させないようにするか」 「マッチアップした選手にやらせないという一対一の局面は出てくると思いますけど、そこだけにフォーカスして選手を選んでいくということにはならないと思います」 その点を踏まえると、174cmとサイズ面の不安要素はありながらも、トレーニングマッチでは3バックの中央でプレーする機会も多く、コーチングとライン統率に優れるDF深澤大輝が筆頭候補。 ただ、センターバックが本職の鈴木、綱島が中央に入った場合はボランチとウイングバックが主戦場ながら、傑出した対人・アスリート能力を武器に3バックの左右でもプレーする稲見も代役としてピッチに立つ可能性は十二分にある。 昨年のパリ・オリンピックに出場し、ジュビロ磐田からの完全移籍で今季加入した鈴木。第5節のアルビレックス新潟戦の途中出場で新天地デビューを果たしたが、以降は新たなスタイルへの適応とともに厳しいポジション争いで苦戦。 初スタメンを飾った先日のYBCルヴァンカップ、ブラウブリッツ秋田戦でも攻守で持ち味を発揮できず。それでも、先日の東洋大学との練習試合ではゴールも記録し、徐々に状態を上げてきている。 そんななか、巡ってきそうな千載一遇のチャンスに向けて22歳DFは悲壮な決意を語っている。 「自分自身、ここに来てから納得いったプレーは全くできていない。去年J1で何試合か出て今までもJ2でプレーしてきましたけど、ここでの信頼は全く掴めているとは思っていないです。それは環境が変わって自分自身がそういった決断をしたので、ここでやっぱりそういうものを掴むために、サポーターの方の期待に応えていきたい気持ちはすごくあります」 「この何カ月かは正直苦しい思いをしてきましたけど、そういったものは言い訳にもならないと思いますし、自分自身がピッチで何を示せるかというのが一番大事になってくると思うので、そこは覚悟を持って見せたい」 秋田戦では守備の苦戦によって全体的に消極的なプレーに終始したが、「僕自身に失うものは何もないと思うので、今はチャレンジすることだったり失敗しても下を向かないで次のプレーを意識するということは、練習から取り組んでいます。球出しや持ち味である運ぶことや縦パスを差すところは、もっとチャレンジしたい」と同じ轍を踏むつもりはない。 試合に出ることになれば、ジュビロ磐田時代の元同僚であるルキアンとのマッチアップが想定される。ユース時代、プロ1年目ではだいぶやられたというが、その時からの成長を示したいと意気込む。 「高校生の頃や高卒1年目の時に僕はずっと試合に出ていなかったので、試合に出ていたルキアン選手はずっとマッチアップした選手。だいたい特徴はわかりますけど、あっちも僕の特徴をわかっていると思います。ただ、あの時から成長している姿を示したいですし、体が強かったりスピードもありますけど、そこで負けないことが重要になってくると思います」 一方、在籍4年目でMF松橋優安らとともにユーティリティー性を買われて定期的にベンチメンバーに入り、今季は公式戦7試合に出場している稲見。指揮官から一定以上の信頼を得ているが、スタメン奪取へアピールが必要な選手の1人だ。 今回の横浜FC戦に向けては「1年目もケガでスタートしましたし出られない時間にどれだけ準備できて、来るチャンスで何ができるかというのは、常に考えてプレーしてきました。そこは変わらずに準備し続けたいです」。普段と変わらぬ心持ちでチャンスを待つ。 あくまでチームの勝利を最優先にしつつ、その上でポジション奪取の足掛かりとすべく自身の持ち味を発揮できるような試合にしたいと考えている。 「(深澤)大輝くんもウミ(鈴木海音)も全員が準備できていると思うので、誰が入っても行ける準備はしていますし、連戦だからこそ全員の力が必要になってくる」 「自分の特徴は守備なので、ビルドアップで何かしたいというよりはゼロに抑えるという部分で貢献したい。むしろチャンスだと思って自分が出たら、ポジションを掴みに行くぐらいの気持ちでやりたいなと思います。対人が強みの選手なので、そこ(ミラーゲーム)はより強みを出せると思います」 百戦錬磨の指揮官がいかなる陣容で臨むにしても、日程面のディスアドバンテージを含め東京Vにとって厳しい試合になることは間違いないが、“総緑戦”という位置付けで臨むホームゲームで新たな力の台頭とともに勝ち点3を掴み取れれば、単なる1勝以上の価値となるはずだ。 2025.05.05 21:00 Mon3
東京Vの城福監督、離脱者・日程面の不利はね返しての勝利に手応え「彼の期する思いが全員に伝播した」今季初出場で奮闘の生え抜きDFを称賛
東京ヴェルディの城福浩監督が、“総緑戦”で掴んだ勝利を誇った。 6日、東京Vは味の素スタジアムで行われた明治安田J1リーグ第15節で横浜FCと対戦し2-0で勝利した。 前節、浦和レッズとのアウェイゲームで4試合ぶり失点と敗戦を喫した東京V。結果・内容共にダメージが残る敗戦となり、中2日での指揮官の立て直しに注目が集まったなかでの今回の一戦となった。 4連戦ラストマッチでの中2日での対戦ということもあり、城福浩監督は先発6人を変更。浦和戦の退場でサスペンションとなったDF谷口栄斗、負傷のDF千田海人に加え、主力数名を外し、いずれも今シーズンリーグ戦初スタメンとなるDF深澤大輝、MF稲見哲行の2選手やMF松橋優安といった先発機会の少ない選手を抜擢した。 ベンチに主力アタッカーを残し後半勝負を窺わせるスタートを切ったなか、前半は無失点を最優先とするような試合運びとなった。互いに得点を奪えていないチーム同士という局面の攻防が続いたが、36分には右サイドで見事な局面打開を見せた松橋のドリブルを起点にMF森田晃樹を経由したボールがボックス左の齋藤功佑に繋がると、古巣初対戦のMFのクロスをFW染野唯月が頭で合わせて先制に成功。 0-0でもベターという状況でベストに近い1-0のスコアで折り返すと、後半は終始押し込まれる展開ながらも要所を締める守備で、DF福森晃斗の高精度のキックを活かしたセットプレー以外で決定機まで持ち込ませず。 すると、最少得点差で迎えた後半アディショナルタイムには長らくベンチからも遠ざかっていたFW熊取谷一星が右サイドからのカットインで左足を振り抜くと、DFンドカ・ボニフェイスにディフレクトしてコースが変わってゴール左隅に突き刺さり、大卒ルーキーの値千金の一発で追加点。急造布陣での厳しい戦いとなったが、今季初の複数得点差での勝利となった。 中3日で臨んだ浦和戦では相手が中7日、中2日で臨んだ横浜FC戦は相手が中6日という異例の状況での連戦を前に「だからこそ『勝ってやる』という思いでやる。だからこそ『走ってやる』と」と意気込んでいた指揮官。 今回の一戦ではその指揮官の檄に応えるかのように、走行距離とスプリント回数では休養十分の相手を完全に凌駕。内容面では少なくない課題も見受けられたが、チームの姿勢や戦うという部分では間違いなく満足のいく内容だったはずだ。 試合後会見の冒頭で城福監督は「日程のディスアドバンテージを一緒に戦おうと、背中を押そうという、そういう空気を感じました。彼らと一緒に喜び合えてよかったなと思います」と、12番目の選手として“総緑戦”の一員となったファン・サポーターへの感謝を口に。 試合内容に関してはセットプレーの対応で苦戦を強いられたものの、チーム全体で共通意識を持ちながら粘り強く戦えたとそのパフォーマンスを評価した。 「セットプレーでは少し危ない場面がありましたけれど、流れのなかでは20分、25分ぐらいまでそこまで危ないシーンは作らせなかった。それがあったからこそ、自分たちの時間をしっかり手繰り寄せて1点目を取れたと思います」 「最終ラインも中盤も急造のなかで、よくお互いのよさを出しながら辛抱強く、我慢するところは我慢して耐えたことで、最後に追加点が取れた。ずっとここのところメンバーにも入れなかった熊取谷一星がそれを取ったことは、このチームにとって非常に大きなことだなと思っています」 熊取谷同様にチームにとって大きかったのは、FW木村勇大同様にファーストディフェンダーとして守備面でハードワークをこなしながら得点を奪うという難しいタスクのなかで苦戦を強いられている染野に今季2点目が生まれた点だ。 指揮官は今のヴェルディに求められるストライカー像について改めて説明するとともに、そのタスクを担ったなかで結果を残した染野のゴールに「本当に喜ばしい」と目を細めた。 「我々はご承知の通り、外国籍の選手というのはゴールキーパーのマテウスしかおらず、他のJ1のクラブと比べて、誰かにボールを預けておけば、チャンスが作れるというメンバー構成ではない。じゃあいかにしてJ1で戦っていくかとなった時に、チーム一体となって全員で前線から守備をする。チーム一体となって全員で攻撃をするということを貫かない限り、誰かに頼ったサッカーをしたら、おそらくJ1にはいられないです」 「それはもう火を見るより明らかで、それをみんなが深く理解しながら、ただストライカーというのは点を取りたいですし、点を取るためにエネルギーを貯めたいのがストライカーなので、かなり葛藤があったはずです」 「ただ、自分のやり方は曲げないし、このクラブがJ1に居続けたいならば、そこを妥協してはいけないので、そのなかで得点を取るにはどうしたらいいかというのを、ずっとコンディションを上げていくことを含めて葛藤し続けた彼が、彼らしいヘディングで点を取ったということは本当に喜ばしいです。守備からスタートして攻撃もやり続けていればボールが来るんだということを実感してくれたとしたら、またこのチームのコンセプトにそってプレーする後押しになったのではないかなと思います」 染野が攻撃面の主役とすれば、守備面の主役は文句なしで背番号2だ。2度のケガを乗り越え、直近数試合でベンチ入りしていた深澤は、この試合が今季リーグ初先発だけでなく公式戦初出場となった。 アカデミー時代や中央大学ではセンターバックでプレーしていたものの、174cmのDFの東京Vでの主戦場はサイドバックやウイングバック。今季はトレーニングマッチで3バックの中央を務めていたが、急造布陣でぶっつけ本番での今回の一戦を迎える上でプレッシャーは相当なものがあったはずだ。 しかし、不退転の覚悟で臨んだ生え抜きDFはFWルキアン、FW鈴木武蔵らフィジカル能力に長けたストライカーに一歩も引くことなく見事な対人対応で封殺。さらに、持ち味のライン統率、コーチングで味方を動かしながらクリーンシートの立役者となった。 戦前から背番号2の起用に含みを見せていた城福監督は、「今回出られないメンバーが決まった時から、もう彼しかないというふうに思っていた」と今回の起用に一切の迷いはなかったとコメント。 その上で重責を果たした深澤の働きを称賛している。 「深澤大輝は去年もクローザーとして出てきて、何度か悔しい思いをしていましたし、J1のピッチに立って結果を出すという思いは、彼だけじゃないですけど非常に強かったと思います。ケガで出遅れたなかで、それが治ってもベンチメンバーに入れる時と入れない時があり、ベンチメンバーに入っても試合に出られないという状況が続いた」 「そのなかでも、残り組というかメンバー外の練習であったり、2日前、3日前というのは、まだメンバーがはっきりしないなかで、エクストラをやっているなかでも、彼は常に高いレベルを示していました。もちろん、彼のなかで課題はありつつも、グループとして力を出すという意味においては、今回こうなった瞬間に、僕は深澤大輝しかいないなと思いました」 「もちろん相手の個のフィジカル的なものは非常に強烈ですけれども、我々はグループで守ると。グループの最大値を出すのであれば、ひょっとしたら深澤大輝はこのチームのなかでも1、2を争うような選手であることをずっと示し続けていたので、今回出られないメンバーが決まった時から、もう彼しかないというふうに思っていました。本当に期待に応えてくれたと思うし、彼の期する思いというのはチーム全員に伝播したんじゃないかなと思います」 2025.05.06 23:45 Tue4
“Jリーグの日”5月15日からJリーグがYouTube&TikTokで32試合フルマッチライブ配信! 各シーズンの名試合を1試合ずつ厳選
Jリーグは9日、Jリーグ開幕32周年を記念して、過去のリーグ戦32試合をJリーグ公式YouTube・TikTokチャンネルにて連続ライブ配信することを発表した。 1993年5月15日に開幕したJリーグ。今年で32周年を迎える中、Jリーグの日 特別企画として5月15日(木)の5時15分から「32試合フルマッチライブ配信」を実施する。 5月17日(土)の12時40分まで、連続して32試合のフルマッチを配信。1993シーズンから2024シーズンのリーグ戦のうち、毎シーズン1試合をピックアップして配信します。2016年以前の試合については、実況・解説を再収録して行われる。 なお、アーカイブは行われないため、ライブ配信でのみ楽しめることとなる。 <h3>◆Jリーグの日特別企画 32試合フルマッチライブ配信リスト</h3> ・1993年 Jリーグサントリーシリーズ 第1節 ヴェルディ川崎 vs 横浜マリノス 実況:平畠啓史 / 解説:水沼貴史 ・1994年 Jリーグサントリーチャンピオンシップ 第2節 ヴェルディ川崎 vs サンフレッチェ広島 実況:平畠啓史 / 解説:水沼貴史 ・1995年 Jリーグサントリーシリーズ 第13節 ベルマーレ平塚 vs 鹿島アントラーズ 実況:八塚浩 / 解説:名良橋晃 ・1996年 Jリーグ 第29節 鹿島アントラーズ vs 名古屋グランパスエイト 実況:八塚浩 / 解説:名良橋晃 ・1997年 Jリーグ1stステージ 第1節 ガンバ大阪 vs ベルマーレ平塚 実況:原大悟 / 解説:永島昭浩 ・1998年 Jリーグ2ndステージ 第8節 ジュビロ磐田 vs ジェフユナイテッド市原 実況:永田実 / 解説:松原良香 ・1999年 サントリーチャンピオンシップ 第2戦 清水エスパルス vs ジュビロ磐田 実況:永田実 / 解説:松原良香 ・2000年 Jリーグ ディビジョン1 2ndステージ第15節 ヴィッセル神戸 vs 京都サンガF.C. 実況:原大悟 / 解説:永島昭浩 ・2001年 サントリーチャンピオンシップ 第2戦 鹿島アントラーズ vs ジュビロ磐田 実況:八塚浩 / 解説:名良橋晃 ・2002年 Jリーグ ディビジョン1 1stステージ 第12節 ジュビロ磐田 vs ガンバ大阪 実況:桑原学 / 解説:福西崇史 ・2003年 Jリーグ ディビジョン1 2ndステージ 第15節 横浜F・マリノス vs ジュビロ磐田 実況:原大悟 / 解説:長谷川アーリアジャスール ・2004年 Jリーグ ディビジョン1 1stステージ 第1節 ヴィッセル神戸 vs ジェフユナイテッド市原 実況:下田恒幸 / 解説:水沼貴史 ・2005年 Jリーグ ディビジョン1 第34節 川崎フロンターレ vs ガンバ大阪 実況:下田恒幸 / 解説:水沼貴史 ・2006年 Jリーグ ディビジョン1 第34節 浦和レッズ vs ガンバ大阪 実況:原大悟 / 解説:坪井慶介 ・2007年 Jリーグ ディビジョン1 第1節 浦和レッズ vs 横浜FC 実況:原大悟 / 解説:坪井慶介 ・2008年 Jリーグ ディビジョン1 第34節 ジェフユナイテッド市原 vs FC東京 実況:桑原学 / 解説:石川直宏 ・2009年 Jリーグ ディビジョン1 第34節 浦和レッズ vs 鹿島アントラーズ 実況:原大悟 / 解説:坪井慶介 ・2010年 Jリーグ ディビジョン1 第12節 FC東京 vs 清水エスパルス 実況:桑原学 / 解説:石川直宏 ・2011年 Jリーグ ディビジョン1 第7節 川崎フロンターレ vs ベガルタ仙台 実況:平畠啓史 / 解説:ワッキー ・2012年 Jリーグ ディビジョン1 第33節 サンフレッチェ広島 vs セレッソ大阪 実況:平畠啓史 / 解説:柿谷曜一朗 ・2013年 Jリーグ ディビジョン1 第33節 セレッソ大阪 vs 鹿島アントラーズ 実況:平畠啓史 / 解説:柿谷曜一朗 ・2014年 J1昇格プレーオフ 準決勝 ジュビロ磐田 vs モンテディオ山形 実況:原大悟 / 解説:坪井慶介 ・2015年 明治安田生命 Jリーグチャンピオンシップ 決勝 第1戦 ガンバ大阪 vs サンフレッチェ広島 実況:永田実 / 解説:藤本淳吾 ・2016年 明治安田生命J1リーグ 1stステージ第5節 ガンバ大阪 vs 横浜F・マリノス 実況:永田実 / 解説:藤本淳吾 ・2017年 明治安田生命J1リーグ 第34節 川崎フロンターレ vs 大宮アルディージャ 実況:西岡明彦 / 解説:名良橋晃 ・2018年 明治安田生命J1リーグ 第21節 ヴィッセル神戸 vs ジュビロ磐田 実況:寺西裕一 / 解説:佐藤慶明 ・2019年 明治安田生命J2リーグ 第42節 柏レイソル vs 京都サンガF.C. 実況:原大悟 / 解説:松原良香 ・2020年 明治安田生命J1リーグ 第30節 川崎フロンターレ vs 横浜F・マリノス 実況:下田恒幸 / 解説:福田正博 ・2021年 明治安田生命J1リーグ 第26節 アビスパ福岡 vs 川崎フロンターレ 実況:南鉄平/ 解説:森﨑浩司 ・2022年 明治安田生命J1リーグ 第24節 川崎フロンターレ vs 横浜F・マリノス 実況:西岡明彦 / 解説:福田正博 ・2023年 J1昇格プレーオフ 決勝 東京ヴェルディ vs 清水エスパルス 実況:原大悟 / 解説:清水範久 ・2024年 明治安田J1リーグ 第1節 東京ヴェルディ vs 横浜F・マリノス 実況:下田恒幸 / 解説:水沼貴史、槙野智章 <span class="paragraph-title”>【動画】Jリーグの日特別企画 32試合フルマッチライブ配信!</span> <span data-other-div="movie"></span> <script>var video_id ="CFavXpQ3W5w";var video_start = 0;</script><div style="text-align:center;"><div id="player"></div></div><script src="https://web.ultra-soccer.jp/js/youtube_autoplay.js"></script> 2025.05.09 14:15 Fri5